JP3689130B2 - ドライバ回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電力出力部のためのドライバ回路に関する。用いられた電力出力部はトリガクロック周波数が高いパワーMOSFETか、あるいは、大電力を高速にスイッチングするスイッチングモードで動作し、電力消費ができる限り小さいパワーIGTBのいずれかである。このようなドライバ回路は周知であり、工場で採用されている。基本的には、本発明は、FET入力を有する任意の電力出力部として用いることができる。
【0002】
なお、本明細書の記述は本件出願の優先権の基礎たるドイツ国特許出願第P 43 38 083.2号の明細書の記載に基づくものであって、当該ドイツ国特許出願の番号を参照することによって当該ドイツ国特許出願の明細書の記載内容が本明細書の一部分を構成するものとする。
【0003】
【従来の技術】
慣用のドライバ回路には次のような問題点がある。すなわち、ドライバ回路の入力接続とドライバ回路の出力接続の間の遅延時間が比較的長く、干渉時の応答時間が比較的長く、最小"0" 禁止時間を充分短く調整することができず、クロック周波数のデュティサイクルレンジが有限であるという問題点がある。
【0004】
ドイツ国出願公告DE 36 114 832 C2号には、入力コイルのコモンと、出力コイルのコモンが共通でなく、出力コイルは入力コイルから離間してあってスイッチング動作をし、ディジタル入力信号から出力信号を生成する信号伝送回路が記載されている。入力コイルと出力コイルは、入力信号に応じた出力信号が出力コイルの端子に供給されるように離間されている。この回路は充分な電力を供給し、同時に、スイッチング動作回数が少ない。
【0005】
ドイツ国出願公開DE 29 12 693 A1には、パルスから電位を分離するための変圧器を用いたバッファアンプが記載されている。バッファアンプは供給電流と信号電流を正確に分離するように設計されている。
【0006】
ドイツ国出願公開DE 21 03 091 A1には、トランジスタ・チョッパ・モジュレータが記載されており、このモジュレータは、干渉を最小にするため、変圧器のコアに1次巻線と2次巻線が互いに近接させて捲いてある。前記モジュレータでは疑似信号は生じない。
【0007】
ドイツ国出願DE 25 25 741 B2号には、変圧器のコアに、1次巻線と2次巻線を2本の撚線(entwined wire) として捲いてあり、かえって複雑になった変圧器を備えたクロックパルスシステムが記載されている。記載されている編成により、タイミングをとった2つの互いに対称のパルス信号を生成し分配することができ、これらのパルス信号はDC成分がない。
【0008】
Patent Abstract of Japan, Sect.E, vol.2 (1978) No.145 (E-75)、すなわち、特公昭53-112048 号には、1以上の巻線を有し、サンプルホールド回路を有し、コアが飽和した変圧器により、干渉のないアナログ出力信号を供給する信号分離回路が記載されている。
【0009】
Patent Abstract of Japan, Sect.E, vol.6 (1982) No.205 (E-136) 、すなわち、特開昭57-113606 号には、制御手段に信号を転送するのに用いられる非接地増幅回路が記載されている。サンプリング期間と位相は励磁電流がゼロになるように調整される。このように調整することにより、変圧器と簡単な回路を用いて精度を高くすることができる。
【0010】
Patent Abstract of Japan, Sect.E, vol.12 (1988) No.124 (E-601)、すなわち、特開昭62-250704 号に非接地型電圧検知器が示されている。この電圧検知記は、部品点数は少ないが、回路の信頼性が向上している。インバータの出力信号を、接地型増幅器を駆動する駆動信号として直接用いている。
【0011】
そのため、本発明の目的は、信号伝送遅延時間を短くすることができ、信号クロック周波数帯域が広く、動作の安定性がより高いドライバ回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
電圧供給部により供給された動作電圧が予め定めた値未満になると、低電圧検知部はパワードライバの駆動を禁止するので、パワー出力部を駆動するための駆動信号は、常に、後者が線形な動作状態に到達しないようにされる。
【0013】
パワードライバの駆動を禁止する大電流検知部を用いて、パワー出力部の(MOSFET出力部に関しては)ドレイン−ソース電圧か、あるいは、(IGBT出力部に関しては)コレクタ電圧が予め定めた値を超えたとき、パワー出力部がオーバロードすることがないようにして、効率的に、パワー出力部が故障しないようにする。
【0014】
入力部は、駆動信号を供給する高周波信号伝送用の変圧器を備えている。この変圧器により、駆動の下限はDC信号範囲であり、その上限はMHzの範囲である。このような変圧器により、デューティサイクルが0%−100%である入力信号を伝送することができる。
【0015】
高速動作をするパワー素子を用いて、干渉を禁止するため、変圧器は1次側および/または2次側がシールドされている。このようにシールドした変圧器は、特に、ラジアル方向にスロットを設けた金属層を有する(ドーナツ型の)リングコアにすることができ、
本発明に係るドライバ回路の駆動回路は、遅延することなく、駆動信号を供給することができる駆動信号をストアするメモリを備えており、できる限り小さい駆動用変圧器を備えている。このメモリは、レベルが制御される2つのインバータにより構成されたフリップフロップであるのが好ましい。
【0016】
好ましい実施態様では、電圧供給部は、高周波電力を供給することができる電力を伝送するための変圧器を備えている。高周波電力を供給するようになっているので、非常に小さい変圧器を用いることができ、他方、ドライバ回路に充分な電圧を供給することができる。
【0017】
充分な電圧の供給は、0.5MHzないし5MHz(1.5MHzが好ましい)の範囲の周波数を有する電力信号を変圧器が伝送したときに行われる。
【0018】
個々の電力信号は方形のパルス列が好ましく、このパルス列は発振器により駆動される増幅部により、変圧器に供給される。
【0019】
変圧器は1次側および/または2次側がシールドされており、干渉が小さく、電力が供給される。その上、このように設計された変圧器により、本発明では、隣接するスイッチング回路には、駆動信号に起因する干渉信号が侵入しない。実際には、この変圧器はセットアップと構造が入力部の変圧器と同一である。
【0020】
パワー出力部を(より高温で)できる限り干渉することなく動作させるのは、駆動信号が正のレベルと負のレベルの間を行ったり来りするときに、有効である。このため、電圧供給部は正の電圧と負の電圧を供給する必要がある。例えば、レギュレータ 12V 電流源に接続された、本発明に係るドライバ回路を動作させることも可能である。というのは、必要な動作電圧レベルはレギュレータから特定の電圧供給部により生成されるからである。これは、モービルユース(電気駆動の乗り物等)に特に有効である。
【0021】
低電圧検知部は調整可能なヒシスリシス曲線を有する比較器を備えているのが好ましい。比較器を備えていると、装置全体(パワー出力部を有するドライバ回路)を広い範囲で安全に動作させることができる。
【0022】
この比較器は、特に、インバータが直列に接続されており、ループバックされている。この比較器の出力端子には、予め定めた降伏電圧(ツェナー電圧)を有するツェナーダイオードが接続されている。
【0023】
このように構成された比較器の特徴は、CMOSインバータの場合、スイッチングポイントに到達すると直ちに、インバータはスイッチングモードでなくなるが、線形モードになる点にある。その結果、電流消費が著しく増大(約35mA)する。スイッチングポイントでは、動作電圧が上昇したとき、さらに、電力が供給される。この比較器は、動作電圧が前記負荷に対してさらに増大する場合に、トグル動作を行う。その結果、駆動信号はイネーブルにされる。同時に、比較器の電流消費が再び1mAに降下する。干渉がある場合には、回路の電流消費が増大するので、さらに、電圧が降下し、その結果、スイッチングポイントに、さらに急速であるが安全に到達する。スイッチングポイントを超えた場合には、電流消費は正規の値(IC4の場合は約1mA)に戻る。
【0024】
好ましい実施例では、電圧供給部により供給される動作電圧の1つが予め定めた値未満になると、低電圧検知部は駆動回路をディセーブルにする信号を出力する。
【0025】
大電流検知部は、パワー出力部のドレイン−ソース電圧、またはコレクタ電圧が予め値を超えたとき、駆動回路をディセーブルにする禁止信号を出力信号を出力するインバータを備えているのが好ましい。
【0026】
特に、インバータは禁止信号を、この場合は、入力部のメモリに供給する。
【0027】
大電流検知部はその入力側にRC回路網を有し、スイッチオンされたとき、このRC回路網により、大電流検知部の応答を遅延させる。このように構成したので、パワー出力部全体を導通させることができる。
【0028】
好ましくは、RC回路網は、スイッチオンされた後、100ns未満だけ遅延させた後、大電流検知部が禁止信号を供給することができるように構成されている。
【0029】
ドライバ回路の好ましい実施例は、繰り返し禁止部を有し、この繰り返し禁止部は、大電流検知部のインバータの禁止信号による入力部ディセーブルのキャンセルを禁止する。そのため、パワー出力部のパワートランジスタをスイッチオフさせることができ、予め定めた期間の間、再びスイッチオンされるのを禁止させることができる。短絡された場合は、熱的なオーバロードをセーフガードする。大電流検知部の応答速度が早いので、短絡された場合は、慣用のdi/diリミッタチョークコイルを破棄することができる。
【0030】
好ましくは、直列接続された2つのCMOS単安定マルチバイブレータ(monoflop)を用いて、ダブルパルス禁止が行われる。その結果、禁止期間が数秒の範囲になる。
【0031】
MOSFET出力部をパワー出力部として用いたとき、パワードライバは並列接続した複数のインバータを有するのが好ましい。これらインバータの出力は2つのドライバトランジスタに結合される。これらドライバトランジスタはパワー出力部の入力端子を駆動するのに必要な信号を生成する。
【0032】
本発明は、パワーMOSFETを有するパワー出力部として用いることができ、しかも、パワーIGBTを有するパワー出力部として用いることができる。本発明は、調整すべきパワー出力部を駆動するパワー出力部のみである。MOSFETとIGBTの主に相違する点は、MOSFETに対して、IGBTは、並列に接続することができない点である。その上、IGBTは正温度特性サーミスタがなく、ゲート電圧を高くする必要があり、しかも、入力キャパシタンスを非常に大きくする必要がある。
【0033】
IGBT出力部をパワー出力部として用いるとき、パワードライバ部はレベル変換部を有し、異なる動作レベルで動作する少くとも、2つのインバータICを有する。2つのインバータICの出力は、それぞれ、パワー出力部の入力端子を駆動するのに必要な信号を供給するドライバトランジスタに結合される。
【0034】
ドライバトランジスタは、pMOSFETとnMOSFETにより構成されたハーフブリッジを備えているのが好ましい。パワードライバは、駆動信号を遅延させるための少なくとも1つの(遅延時間が約20nsの)遅延回路を備えているのが好ましい。従って、MOSFETハーフブリッジの短絡を回避することができる。
【0035】
MOSFETハーフブリッジは、Bモード動作時に、エミッタホロワーに結合される2つの相補型バイポーラPNPまたはNPNパワートランジスタであって、IGBTパワー出力部を駆動する駆動信号を供給するパワートランジスタを制御する。
【0036】
このようなパワードライバは、動作時の損失が非常に小さく、最大および最小+/−12Vの容量性負荷出力電流と、最大および最小+/−20Vゲート電圧を、パワー出力部に入力するための入力信号として供給することができる。
【0037】
従って、本発明に係るドライバ回路により、次のような効果を奏することができる。このようなドライバ回路は実際のサイズは小さく、製造コストが低い。インバータは、全て、電力消費の少ないCMOSインバータにすることができる。パワー出力部の信号入力端子から駆動入力端子までの伝播時間は、極端に短く、MOSFET出力部の場合は、100nsの範囲であり、IGBT出力部の場合は、約150nsないし180nsの範囲である。MOSFET出力部の場合、複数の同様の出力部を並列に同時に駆動することが可能である。本発明に係る並列駆動される複数のドライバ回路の伝播時間の差は非常に小さい。伝播時間は13nsの範囲にある。このことは、完全なパワースイッチアセンブリ(パワー出力部を有するドライバ回路)を、非常に小さいチョークコイルにより並列に接続することができることを意味する。電圧が印加されず、従って、ドライバ回路とパワー出力部をスイッチオンまたはスイッチオフするシーケンスが所望のシーケンスにすることができた場合でさえ、パワー出力部は低インピーダンス駆動されることになる。電圧変動のトレランス(du/dtトレランス)は非常に高い。
【0038】
本発明に係るドライバ回路であって、IGBT出力部用に設計されているドライバ回路では、100μFを超える容量の入力容量を有する非常に強力なIGBTパワー出力部を50kHzを超えるクロック周波数で動作をさせることができるという利点を有する。IGBT出力部の駆動入力端子の電圧降下率は、100μF/1オームの負荷で、100V/μsである。
【0039】
IGBTのスイッチングはMOSFETより非常に遅いので、追加の伝播時間と遅延時間は負の影響は伴わない。
【0040】
本発明の他の効果は図面を参照することにより実施例から明かである。
【0041】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0042】
図1は図示しないMOSFETパワー出力部を駆動するドライバ回路を示すブロック図である。これは、本出願日以前の例えばドイツ特許出願DE 42 30 510.1に記載されているものである。
【0043】
ドライバ回路10は、パワードライバ20と、電圧供給部30と、パワードライバ20を駆動する駆動回路40と、低電圧検知部50と、大電流検知部60と、繰り返しパルス禁止部70とを備えている。
【0044】
駆動回路40は入力部90とメモリ80を含む。
【0045】
ドライバ回路10には、ディジタル制御信号が入力端子12を介して供給されている。ディジタル制御信号の周波数の下限は、実質的にDC電圧信号範囲内にあり、その上限は1Hz−2Hzの範囲内にある。入力信号のパルスデューティ比は0%と100%の間にすることができる。
【0046】
電圧供給部30には+12V DC電圧が供給されている。ドライバ回路を動作させるのに必要な正負の電圧は12V DC電圧から電圧供給部30により生成される。
【0047】
パワードライバ20は、パワー出力部に接続されるゲート端子Gとエミッタ端子Eを備えている。大電流検知部60はドレイン端子Dを含む。ドレイン端子Dはパワー出力部に接続される。
【0048】
パワードライバ20は、駆動回路40のメモリ80により駆動される。次の(1)ないし(3)の場合にのみ、すなわち、(1)パワー出力部がドレイン電流を消費し過ぎたため、大電流検知部60が禁止信号をメモリ80に供給しない場合、(2)電圧供給部の動作電圧のうちの少なくとも1つが予め定めたレベル未満になったため、低電圧検知部50が禁止信号をメモリ80に供給しない場合、(3)大電流検知部60により検知された大電流状態が以前に生じて、繰り返しパルス禁止部70に設定された予め定めた時間が満了した場合、メモリ80により駆動信号が伝送される。
【0049】
メモリ80には、入力部90により入力信号が供給される。入力部90の出力端子のコモンと入力端子のコモンは共通ではない。
【0050】
ついで、これは、電圧供給部30により生成された動作電圧に供給される。ここのユニットを動作させるため、電圧供給部30は正負の動作電圧(IGBTに対しては+15V,+20V,−20V;MOSFETに対しては−5V)を生成する。これらの動作電圧の基準電圧は、外部+12V供給電圧の基準電圧と共通ではない。
【0051】
図2は図1に示すドライバ回路10を詳細に示す回路図である。CMOS集積回路(インバータ、ドライバ、発振器、単安定マルチバイブレータ(monoflop))が用いられている。
【0052】
電圧供給部30は発振器IC2であり、発振器IC2のクロック周波数は、抵抗R1およびコンデンサC2により、0.5MHzないし1.5MHzの範囲に設定されており、1.5MHzが好ましい。発振器IC2は方形のパルスのパルス列を供給する。このパルス列により、2つのドライバ・トランジスタT1,T2により構成された増幅部が駆動される。この増幅部は相補エミッタホロワーとして接続される。
【0053】
トランジスタT1,T2のそれぞれのコレクタ端子は、12V DC電圧源(正電極とグランド)に接続されており、直列接続された電解コンデンサC3,C4に並列に接続されている。変圧器TR2の1次巻線は、電解コンデンサC3,C4の節点と、2つのドライバトランジスタT1,T2のエミッタとの間に接続されている。
【0054】
変圧器TR2はフェライトリングコア変圧器であり、1次側と2次側がそれぞれシールドされている。シールドは、フェライトコアの回りのリングコアの回りに設けた金属製ジャケットにより行っている。シールドはグランドに接続されており、個々の巻線の直下に、ラジアル方向にスロットを設けた円環体が設けてある。
【0055】
変圧器TR2は2次巻線N1,N2がそれぞれセンタタップしてあり、巻線N1はダイオードD1,D2に接続してあり、巻線N2は2つのダイオードD3,D4に接続してあり、単相全波整流器が構成されている。各単相全波整流器の出力は、平滑用の電解コンデンサC5,C6に結合されており、ツェナーダイオードD5,D6が電解コンデンサC5,C6に並列にそれぞれ接続されている。
【0056】
ツェナーダイオードD5,D6の降伏電圧により、電圧供給部30の正負の動作電圧(+12V,−5V)が一定に保たれる。
【0057】
入力部90は変圧器TR1を備えており、1次側の一方の端子には直流阻止コンデンサC9が接続してあり、コンデンサC9の他方の端子と1次側の他方の端子は、ドライバ回路10が接続してある。変圧器TR1(後程、図5および図6を参照して詳細に説明する)も、フェライトリングコア変圧器であり、1次側と2次側にそれぞれ金属製ジャケットによりシールドがしてある。金属製ジャケットはグランドに接続してあり、フェライトコアの回りに設けてあり、個々の巻線の直下に、ラジアル方向にスロットに設けた円環体が設けてある。
【0058】
抵抗R4は変圧器TR1の2次側に並列に接続してある。変圧器TR1の2次側の一方の端子は、抵抗R3を介して負の動作電圧に接続されており、変圧器TR1の2次側の他方の端子は、コンデンサC8を介して負の動作電圧に接続されている。変圧器TR1の2次側の一方の端子は、抵抗R2を介してインバータI1の出力端子に接続されている。変圧器TR1の2次側の他方の端子は、インバータI2の入力端子に接続されている。インバータI1の入力端子はインバータI2の入力端子に接続してあり、このように電流を流すことにより、メモリ・フリップフロップ92の出力を生成する。メモリ・フリップフロップ92は変圧器TR1を介して供給された入力信号を一時的にストアする。
【0059】
パワードライバ部20は2段になっている。1段目は並列に接続した7つのCMOSインバータI3−I9により構成され、CMOSインバータI3−I9の入力はメモリ・フリップフロップ92の出力端子に接続されている。1段目のインバータの数は厳密なものではなく、増減することができる。エッジスロープレート(edge slope rate) が適正であって、2段目を駆動するのに充分な出力を供給することだけが重要なことである。2段目は相補エミッタホロワーとして接続されている2つのドライバ・トランジスタT3,T4により構成されている。パワー出力部のゲート端子である端子Gは、2つのドライバ・トランジスタT3,T4の2つのエミッタ端子の間を接続する線である。
【0060】
低電圧検知部50は2つの直列接続したインバータI10,I11により構成されている。インバータI11の出力は、抵抗R10を介してインバータI10の入力端子にフィードバックされている。分圧回路はインバータI10の入力側に抵抗R12を介して配置してある。分圧回路は抵抗R11と、ツェナーダイオードD11と、コンデンサC14とによりなり、抵抗R11の一方の端子が正の動作電圧に接続され、抵抗R11の他方の端子とコンデンサC14の一方の端子が接続されており、コンデンサC14の他方の端子が負の動作電圧に接続されている。ツェナーダイオードD11が非導通方向にコンデンサC14に並列に接続されている。電解コンデンサC13は一方の端子が正の動作電圧に接続され、他方の端子が負の動作電圧に接続されている。
【0061】
インバータI10,I11は、フィードバック抵抗R10により、リニア動作モードで動作する。ツェナーダイオードD11に印加される電圧がツェナー電圧に到達すると、すなわち、正負の動作電圧と、抵抗R11により定まる分圧との比がツェナー電圧に到達すると、正および/または負の動作電圧が減少するので、インバータI10の入力端子の入力電圧が変化し、インバータI10,I11のスイッチオーバ・ポイントに到達する。フィードバック抵抗R10があるので、インバータI10,I11での電流消費が増加し、その結果、電力(35mA)の供給が行われる。電力の供給が足りない場合は、動作電圧がさらに低下し、その結果、インバータI10,I11はそれぞれのスイッチングポイントを超えることになる。そして、禁止信号がメモリ80に供給され、インバータI10,I11の電流消費が再び(約1mAまで)減少する。
【0062】
インバータI11の出力はトランジスタT6のベースに供給される。トランジスタT6のコレクタは正の動作電圧に接続されており、そのエミッタは結合回路(combining circuit) 120に接続されている。結合回路120は禁止信号をメモリ80に結合するものである。
【0063】
結合回路120の入力側には、直列接続された抵抗R9と抵抗R8があり、抵抗R8が負の動作電圧に接続されており、抵抗R9と抵抗R8により分圧回路が構成されている。トランジスタT5のベースは、抵抗R9と抵抗R8の節点に接続されており、エミッタは負の動作電圧に接続され、コレクタはダイオードD8のカソードに接続されている。ダイオードD8のアノードは、メモリ80のインバータI2の入力端子に接続されている。
【0064】
大電流検知部60はインバータI13であり、インバータI13の入力端子は2つのダイオードD12,D13のアノードに、抵抗R14およびR15により構成された分圧回路を介して接続されている。さらに、ダイオードD12,D13のアノードは、抵抗R13を介して正の動作電圧に接続されており、コンデンサC16を介して負の動作電圧に接続されている。ダイオードD13のカソードは、パワー出力部のドレイン−ソース電流を検知するセンサである。他方、ダイオードD13のアノードは、トランジスタT3,T4のゲート電圧またはエミッタ出力電圧を検知する。
【0065】
パワー出力部のドレイン−ソース電圧が予め定めた値を超えると直ちに、インバータI13は出力状態が変化し、入力部のメモリ92を、ダイオードD7を介して禁止する。
【0066】
RC回路網R13−C16により、大電流検知部の応答が遅延される。その結果、パワー出力部は、メモリ92を禁止することができる前に、全体が導通状態になり、それ以上、駆動信号を伝送することができなくなる。このため、RC回路網R13−C16は、約100nsだけ応答を遅延させるように設計されている。
【0067】
繰り返しパルス禁止部70は、2つの単安定マルチバイブレータM1,M2が直列に接続されており、単安定マルチバイブレータM1は大電流検知部60の出力端子にも接続されている。単安定マルチバイブレータM1の時定数はRC回路R6−C10により決定される。単安定マルチバイブレータM1の出力は単安定マルチバイブレータM2の入力端子に結合されるとともに、結合回路120にダイオードD9を介して結合される。結合回路120にて、メモリ80への禁止信号が結合される。単安定マルチバイブレータM2の時定数はRC回路R7−C11により決定される。単安定マルチバイブレータM2の出力は結合回路120にダイオードD10を介して結合される。
【0068】
ドライバ回路の例を図3および図4に示す。図3および図4に示すドライバ回路と、図1および図2に示すドライバ回路との相違する点は、IGBTトランジスタにより構成されたパワー出力部に、ドライバ回路を設けた点である。このようなパワー出力部を駆動するには、駆動信号のレベルを+/−20Vのレベルにすることが必要である。図3に示すレベルコンバータ150には、メモリ80から駆動信号が供給されている。レベルコンバータ150の後段にはパワードライバ160が設けてある。
【0069】
図1に示すドライバ回路は図3に示すドライバ回路に対応する。図2に示す回路と図4に示す回路は実質的に同一である。
【0070】
IGBTを有するパワー出力部を駆動するため、電圧を+/−20V変化させるには、メモリ92の出力信号が、インバータIC7,IC8を直列接続した2つのドライバ回路にそれぞれ供給される。インバータIC7のドライバは、グランド電圧に対して+20Vの電圧で動作し、インバータIC8はグランド電圧に対して−20Vの電圧で動作する。動作電圧はそれぞれ個々のツェナーダイオードD17,D15により安定化される。ツェナーダイオードD17,D15はそれぞれコンデンサC18,C14が並列に接続されている。
【0071】
メモリ92の出力信号のレベルを調整するため、メモリ92の出力信号は、抵抗R13,R14,R15により構成された分圧回路に供給される。メモリ92の出力信号は抵抗R14と抵抗R15の節点に供給される。抵抗R15の他の端子はインバータIC7に接続されている。インバータIC7の出力は、並列に接続した5つのインバータのそれぞれの入力端子に、抵抗R19と、この抵抗R19に並列に接続したダイオードD18と、グランドに接続したコンデンサC19とにより構成された遅延回路を介して接続されている。
【0072】
抵抗R13と抵抗R14の節点は、インバータIC8に接続されている。インバータIC8の出力は、IC8と関係する、並列に接続した5つのインバータのそれぞれの入力端子に、抵抗16と、この抵抗16に並列に接続したダイオードD16と、グランドに接続したコンデンサC15とにより構成された遅延回路を介して接続されている。
【0073】
インバータIC7およびIC8に関係する、並列接続した5つのインバータは、それぞれ、nMOSFET T6とpMOSFET T5のゲート端子に接続されている。MOSFET T5,T6はハーフブリッジ(half bridge) を構成し、2つのバイポーラトランジスタT7,T8のプッシュプル段を駆動する。トランジスタT7,T8は図2に示すように接続されている。遅延回路はそれぞれ時定数が約20nsであり、MOSFET T5,T6により構成されたハーフブリッジの短絡を防止する。
【0074】
図5ないし図8は駆動信号または電圧供給のため変圧器の詳細を示す図である。フェライトリングコア変圧器のシールドは、いずれの場合も、フェライトリングコアに設けた金属製ジャケットMにより行われる。変圧器の個々の巻線Nは、それぞれ、フェライトリングに対してシールドされている。シールドはラジアル方向にスロットが設けてあって、巻線の短絡を防止する。
【0075】
金属製ジャケットMはそれぞれグランドに接続した個々の回路内に設けてある。
【図面の簡単な説明】
【図1】MOSFETパワー出力部を駆動するドライバ回路を示すブロック図である。
【図2】図1に示すMOSFETパワー出力部を駆動するドライバ回路の電気回路図である。
【図3】IGBT出力部を駆動するドライバ回路を示すブロック図である。
【図4】図3に示すIGBT出力部を駆動するドライバ回路の電気回路図である。
【図5】入力部に対する変圧器の電気回路図である。
【図6】図5に示す平面図である。
【図7】パワー出力部に対する変圧器の電気回路図である。
【図8】図7に示す変圧器の平面図である。
【符号の説明】
10 ドライバ回路
12 入力端子
20 パワードライバ
30 電圧供給部
40 駆動回路
50 低電圧検知部
60 大電流検知部
70 繰り返しパルス禁止部
80 メモリ

Claims (19)

  1. MOSFET又はIGBTパワー出力部のドライバ回路(10)であり、
    前記MOSFET又はIGBTパワー出力部を駆動するパワードライバ(20)と、
    入力部(90)を有する駆動回路(40)であって、前記パワードライバ(20)を駆動する駆動回路(40)と、
    電圧供給部(30)と、
    前記入力部(90)内の第1手段(TR1)であって、入力信号が入力される第1手段(TR1)と、
    前記MOSFET又はIGBTパワー出力部のドレイン−ソース電圧またはコレクタ電圧が予め定めた値を超えたとき、前記パワードライバ(20)の駆動を禁止する大電流検知部(60)と
    を有するドライバ回路(10)であって
    前記電圧供給部(30)は、個別に電力を供給するための第2手段(TR2)を備え
    前記大電流検知部(60)は、前記MOSFET又はIGBTパワー出力部のドレイン−ソース電圧またはコレクタ電圧が予め定めた値を超えたとき、前記駆動回路(40)をディセーブルにするための禁止信号を出力するインバータ(I13)を含み
    本ドライバ回路は、前記大電流検知部(60)のインバータ(I13)の禁止信号により、前記駆動回路(40)のディセーブルのキャンセルを禁止する繰り返しパルス禁止部(70)を備えた
    ことを特徴とするドライバ回路。
  2. 請求項1において、前記電圧供給部(30)により供給される動作電圧が予め定めた値未満になったとき、前記パワードライバ(20)の駆動を禁止する低電圧検知部(50)を備えたことを特徴とするドライバ回路
  3. 請求項1において、前記入力部(90)の第1手段(TR1)は、駆動信号を供給する高周波信号伝送用の変圧器を含むことを特徴とするドライバ回路。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記駆動回路(40)は、駆動信号をストアするメモリ(80)を含むことを特徴とするドライバ回路。
  5. 請求項において、前記メモリ(80)は、2つのインバータ(I1、I2)により構成されたフリップフロップを含むことを特徴とするドライバ回路。
  6. 請求項1において、前記電圧供給部(30)の第2手段(TR2)は、高周波電力を伝送する変圧器を含むことを特徴とするドライバ回路。
  7. 請求項において、前記変圧器(TR2)は、0.5MHzないし5MHzの間の周波数を有する電気信号を伝送することを特徴とするドライバ回路。
  8. 請求項において、前記電気信号は、方形のパルス列であり、発振器(IC2)により駆動される増幅部(T1、T2)により前記変圧器(TR1)に供給されることを特徴するドライバ回路。
  9. 請求項3又は6において、第1変圧器(TR1)および第2変圧器(TR2)の少なくとも一方は、1次側および/または2次側にシールド(M)を有することを特徴とするドライバ回路。
  10. 請求項1において、前記電圧供給部(30)は正および負の動作電圧を供給することを特徴とするドライバ回路。
  11. 請求項において、前記低電圧検知部(50)は、調整可能なヒステリシス曲線を有する比較器(I10、I11)を含むことを特徴とするドライバ回路。
  12. 請求項11において、前記比較器(I10、I11)は、直列に接続されると共にループバックされた2つのインバータにより構成され、その入力端子をツェナーダイオード(D11)に接続したことを特徴とするドライバ回路。
  13. 請求項において、前記低電圧検知部(50)は、電圧供給部(30)により供給される動作電圧が予め定めた値未満になったとき、駆動回路(40)をディセーブルにする信号を出力することを特徴とするドライバ回路。
  14. 請求項13において、前記インバータ(I13)は、禁止信号を駆動回路(40)のメモリ(80)に供給することを特徴とするドライバ回路。
  15. 請求項14において、前記インバータ(I13)は、その入力側が、前記大電流検知部(60)の応答を遅延させるRC回路網(R13、C16)を備え、前記インバータ(I13)は、前記パワー出力部の全体を導通させるように構成したことを特徴とするドライバ回路。
  16. 請求項15において、100ns未満の最小on時間は、前記RC回路網(R13、C16)と前記インバータ(I13)により得られることを特徴とするドライバ回路。
  17. 請求項1において、前記パワードライバ(20)は、並列接続したインバータ(I3、..、I9)を含み、該インバータ(I3、..、I9)の各出力は2つのドライバトランジスタ(T3、T4)に接続してあり、該2つのドライバトランジスタ(T3、T4)は、パワー出力部の入力端子(G)を駆動するのに必要な信号を供給することを特徴とするドライバ回路。
  18. 請求項17において、前記パワードライバ(20)は、レベルコンバータ(150)と、異なる動作電圧で動作する少なくとも2つのインバータ(IC7、IC8)とを含み、該2つのインバータ(IC7、IC8)の出力は、パワー出力部の入力端子(G)を駆動するのに必要な信号を供給するドライバトランジスタ(T6、T5;T7、T8)に結合されていることを特徴とするドライバ回路。
  19. 請求項18において、前記ドライバトランジスタは、pMOSFETおよびnMOSFETにより構成されたハーフブリッジ(T5、T6)を有し、前記パワードライバ(20)は、駆動信号を出力する少なくとも1つの遅延回路(R19;C19;R16、C15)を含むことを特徴とするドライバ回路。
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