JP3689017B2 - 車体の塗装方法および車体塗装時のスライドドア仮付装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドアを有する車両の、塗装時にスライドドアを車体に仮付けして、車体とスライドドアとを同時に塗装する車体の塗装方法および車体塗装時のスライドドアの仮付装置に関し、特に、板金工程において仮ローラを用いてスライドドアを建付調整した車体を塗装工程で塗装した後、正規ローラに付け替える車体の塗装方法およびスライドドアの仮付装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の車体には、乗降のためあるいは荷物の積み卸し又はメンテナンスのための開口部を開閉するドアなどの所謂蓋物が設けられている。この蓋物は、車体の外板の面積の大部分を占めるため、車体本体と蓋物との隙間や連続面の所謂建て付けが車体の品質の重要な要素となる。
例えば、車体のフロントドアとリヤドアの例でこの建て付けを説明すると、フロントドアは前側をフェンダパネルやフロントピラーと、後側をリヤドアとの隙間や連続面を、また、リヤドアは前側はフロントドアと、後側はクォータパネルとの隙間や連続面を、そしてこれら両ドアの上端はルーフサイドレールと、下端はフロアのロッカパネルとの隙間や連続面を調整することである。
【0003】
そして、この建付調整は、蓋物側すなわちドア側で車体本体に対する取り付け位置を変更することにより車体本体との隙間や連続面を調整して行う。
したがって、この蓋物の建付調整を車体の塗装後に行うと、塗装面を傷つけたりしてその修正工数が増大するので、近年は、塗装前の車体の板金工程で蓋物の建付調整を行うことが多い。
【0004】
ところで、上記蓋物がスライドドアSの場合は、該スライドドアSは、図1に示すように、車体10の開口部Pの上方に設けたアッパレール40と下方に設けたロアレール50と、これらアッパレール40とロアレール50の中間の高さで前記開口部Pの後方に設けたセンタレール820に、それぞれ係合・案内されるアッパローラ41、ロアローラ51及びセンタローラ830により支持されて、車体10の外板面に対して前後方向ほぼ平行に摺動するように取り付けられる。なお、図1では解りやすいように、各レールに各ローラが係合する前の状態で示してある。
【0005】
スライドドアSの支持構造をセンタレール820とセンタローラ830の例で説明すると、図7の断面図に示すように、車体10の開口部Pの後部のクォータパネル13に略水平に設けられ、車体10の外側に開口する凹溝14内にセンタレール820が収納される。
センタレール820は、車体10の外側に開口する横方向コ字型断面部825の上フランジに、下方に開口するコ字型断面の下向きガイド溝823を形成したもので、横方向コ字型断面部825の垂直な後壁部822で前記クォータパネル13の凹溝14内の底部141にボルト締めされて取り付けられる。
【0006】
センタレール820に係合するセンタローラ830は、センタレール820の横方向コ字型断面部825の水平な下部フランジからなる水平転動面821上を転動し、水平方向の支持軸834でスライドドアSから延在するアーム835に支持されるメインローラ8301と、アーム835に垂直方向の支持軸834で支持され、前記下向きガイド溝823の垂直な左右のフランジ部に接触して転動するガイドローラ8302とから構成されている。
すなわち、メインローラ8301はスライドドアSの重量をセンタレール820の下側のフランジの水平転動面821で支持し、ガイドローラ8302はスライドドアSの車体10の左右方向への出入り位置を規制するものである。
【0007】
ところで、上記のように構成され、板金工程で建付調整されたレールとローラによるスライドドアSの支持構造を有する車体10を、塗装工程においてED塗装、中塗塗装及び上塗塗装を行うと、ED塗装工程では車体10をED塗料槽内に全浸漬するので当然レールにも塗料が付着する。また、中塗、上塗塗装工程では霧化した塗料による吹付塗装が行われるため、同様に当然レールにも塗料が付着する。したがって、図7の横方向コ字型断面部825の水平転動面821の上面にも塗料が付着する。
【0008】
また、車体10の中塗、上塗塗装工程において、ロボットによる静電塗装が行われる場合、スライドドアSが閉じた状態でのロボットによる塗装では、塗料が付着しにくい部位があるので、スライドドアSを開いて塗料が付着しにくい部位を作業者の手吹きにより塗装することが行われる。すなわち、焼付工程の前の塗料の吹付工程で、車体10に付着した塗料がまだ固まらない内にスライドドアSの開閉が行われる。
【0009】
そうすると、横方向コ字型断面部825の水平転動面821の上面に付着したまだ柔らかい塗料の上をメインローラ8301が転動するため、水平転動面821の塗装面が凸凹になったり、水平転動面821から塗料が剥がれてメインローラ8301に付着して凹凸になるため、この状態で塗装乾燥炉で塗料が焼き付けられ、固化されると、水平転動面821の表面やメインローラ8301の表面が凸凹になって、スライドドアSを開閉したときにこの凹凸上をメインローラ8301が転動することとなり、メインローラ8301がスムースに回転せず、回転しても上下に振動するため、異音が発生するという問題がある。
特に、メインローラ8301が樹脂製あるいはベアリングのアウタレースの表面を樹脂によりコーティングしたローラの場合は、塗装乾燥炉の熱でローラの樹脂部がクリープして変形し、さらに凹凸が激しくなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような塗料が乾燥しないうちのスライドドアの開閉による問題を避けるために、特開2000−16086号公報に記載された技術が提案されている。
すなわち、この公報に記載されたスライドドア係止装置は、車体の塗装時に、アッパローラをアッパレールに係止し、ロアローラをロアレールに係止して、スライドドアの前側を車体に支持するとともに、センタローラをセンタレールから外して、自動車搬送ラインに沿って別に設けられる吊りハンガ用ガイドレールに移動可能に取り付けられた吊りハンガにより、アッパローラとロアローラを中心としてスイングした状態でスライドドアを吊りながら車体を搬送するものである。
したがって、この状態でスライドドアに塗装を施こすと塗装中はスライドドアがセンタレール上を転動しないので、前述の問題を解決できるものである。
【0011】
ところが、上記の係止装置では、自動車搬送ラインに新たな吊りハンガ用ガイドレールの設置を必要とし、装置が大がかりなものとならざるを得ず、しかもメインの搬送レールとこの吊りハンガ用ガイドレールの搬送タイミングを合致させるコントロールが必要であるなどの自動車搬送ラインの運転上の問題も生じていた。
【0012】
このため、さらに改良する必要があり、図7、図8に記載したような、塗装工程の後工程である組立工程において、センタレール820の横方向コ字型断面部825の水平転動面821の上面に、ステンレス薄板製でセンタレール820と略同一長さのカバー部材として転動プレート711を取り付けて、センタレール820上面の付着塗料による凹凸をカバーし、この転動プレート711の平坦な上面をメインローラ8301が転動するように構成して、センタレール820上面の凹凸による異音を防止するようにしたものが提案されている。
しかしながら、この構造では、ステンレス製のカバー部材として転動プレート711を必要とし、コスト高となるとともに、転動プレート711の板厚分、および水平転動面521上に塗料が付着したまま転動プレート711を取り付けるための水平転動面821上に付着した塗料の厚さ分だけセンタレール820とメインローラ8301の建付寸法が変化し、板金工程での建付調整作業が無駄なものとなるなどの問題がある。
【0013】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、板金工程で建付調整したスライドドアを車体に支持した状態で塗装しても、センタローラによる異音を発生させず、しかも建付寸法を変化させない車体の塗装方法および車体塗装時のスライドドア仮付装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る車体の塗装方法は、車体に配設したレール上を転動するローラにより支持されるスライドドアを車体に組み付けた状態で塗装を行う車体の塗装方法であって、完成車両に使用される正規ローラが転動するレールの面を予めマスキングしておくとともに、塗装時に、スライドドアにはスライドドア開閉時に前記マスキング部に接触しない形状の仮ローラを組み付け、塗装後に、前記マスキングを除去し、かつ、前記仮ローラを正規ローラに付け替えることを特徴とする。
よって、車両完成時に、レール上のマスキング材を剥離して、かつ、スライドドアに正規ローラを取り付けるようにしたため、レールやローラに塗料が付着していない状態とすることができるので、レールやローラに付着塗料による凹凸がなく、ローラの転動による異音が発生せず、また、塗装の前工程で建付調整されたスライドドアと車体の関係寸法をそのまま維持することができるため、建て付けの再調整や修正工数を不要とし、安価に車体を製造できる。
【0015】
また、本発明に係る車体塗装時のスライドドア仮付装置は、車体に取り付けたレール上を転動するローラにより支持されるスライドドアを有する車体を塗装するときのスライドドアの仮付装置であって、完成車両に使用される正規ローラが転動する面を予めマスキングしたレールと、前記正規ローラの取付部に該正規ローラと付け替え可能に設けられ、スライドドア開閉時に前記レール上を転動しつつスライドドアを支持し、かつ転動時に前記マスキング部に接触しない形状の仮ローラとからなることを特徴とする。
よって、塗装作業中にスライドドアを移動させたときに、仮ローラはレールのマスキング部から外れた部分を転動し、マスキング部には接触しないので、仮ローラによる塗料の剥離を最小限に押さえ、かつ、仮ローラを正規ローラと付け替え可能なものとしたので、大きな工数をかけることなくスライドドアを有する車体を組み立てることができる。
【0016】
また、本発明に係る車体の塗装方法は、前記仮ローラが、正規ローラと同径の外径を有し、前記レール上の前記マスキング部以外の面上を転動する転動部を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る車体塗装時のスライドドア仮付装置は、前記仮ローラが、正規ローラと同径の外径を有し、前記レール上の前記マスキング部以外の面上を転動する転動部を備えることを特徴とする。
よって、塗装作業中のスライドドアの移動に際しては、仮ローラに設けた転動部がレールのマスキング部以外の面上を転動するため、このマスキング部以外の部位に付着した塗料が剥がれたり凹凸状に固まっても、車両完成時の正規ローラの転動には直接関係ないので、ローラの転動による異音の発生を防止できる。
また、正規ローラと仮ローラは同径の外径なので、仮ローラを正規ローラと付け替えてもスライドドアの建て付けを維持できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車体の塗装方法および車体塗装時のスライドドア仮付装置の一の実施の形態について図面を参照して以下に説明する。本実施の形態の車体の塗装方法および車体塗装時のスライドドア仮付装置は、スライドドアを有するワンボックス車に適用されたものである。
ここで、図1は、スライドドアを装備した車両の全体図であり、図2は、スライドドアを支持するセンタレール部の断面図である。図3は、センタレールのマスキング部を示す平面断面図であり、図4は、正規ローラと仮ローラの側面断面図である。
【0018】
(構成)
スライドドア仮付け装置の構成について説明する。
車両のスライドドアSは、図1に示すように、車体10の開口部Pの上部に配設したアッパレール40に係合するアッパローラ41と、開口部Pの下部に配設したロアレール50に係合するロアローラ51と、これらアッパレール40とロアレール50の高さ方向中間位置でクォータパネル13に配設したセンタレール20に係合するセンタローラ30に支持されて、車体10の外板と略平行に前後方向に摺動するように設けられている。
【0019】
そして、レールとローラの関係を、センタレール20とセンタローラ30の例を主体に説明すると、図2の断面に示すように、クォータパネル13の高さ方向中間部に水平に設けた凹溝14内に、従来と同様のセンタレール20が車両前後方向に配設されている。
センタレール20は、図1に示すように、車体10のスライドドアSを取り付ける開口部Pのリヤピラー12から湾曲してクォータパネル13の後部まで配設されるステンレス板をロール成形したものであり、車体10の板金工程で取り付けられる。
【0020】
センタレール20は、車体10の外側に開口する横方向コ字型断面部25の上フランジに、下方に開口するコ字型断面の下向きガイド溝23を形成し、横方向コ字型断面部25の水平な下部フランジを、その面上を後述するセンタローラ30のメインローラ301が転動する水平転動面21としたもので、横方向コ字型断面部25の垂直な後壁部22で前記クォータパネル13の凹溝14内の底部141に複数のボルト、ナットにより取り付けられている。
【0021】
そして、このセンタレール20の、後述するセンタローラ30のメインローラ301が転動する水平転動面21に、図3、図5に示すように、塗装工程で塗料が付着しないように、センタレール20のロール成形と同時に、マスキング材としてマスキングテープ60をセンタローラ30のメインローラ301の軌跡に沿って貼り付けている。
すなわち、図3のセンタレール20の先端部の平面断面で明らかなように、センタローラ30の二つのガイドローラ302、302の中間に設けられたメインローラ301の、該ガイドローラ302、302による案内によって、センタレール20の直線部および湾曲部に沿って転動する転動軌跡上にマスキングテープ60が貼り付けられている。
なお、センタレール20の先端の湾曲部は、直線でロール成形された後に湾曲状に曲げられるので、マスキングテープ60もその形状に追従して湾曲形状となる。
【0022】
一方、センタローラ30は、図2に示すように、スライドドアSに首振り自在(図略)に取り付けられるアーム35の垂直部に水平方向に取り付けた支持軸34により支持されるメインローラ301と、このメインローラ301の前後で、前記アーム35の水平部に垂直方向に取り付けた支持軸34により支持される二つのガイドローラ302、302から構成されている。
そして、このメインローラ301として後述する正規ローラ31と仮ローラ32を用意しておく。
【0023】
正規ローラ31は、図4(A)に示すように、内側をボールベアリング312で構成し、そのアウタレース313の外表面に合成樹脂をコーティングして転動面311となし、この転動面311の外径Dを24mm、幅Wを8mmに成形したローラである。
【0024】
仮ローラ32は、図4(B)に示すように、正規ローラ31の転動面311の幅Wと同一寸法の幅wを有し、外径dが正規ローラ31の転動面311の外径Dより若干小さい20mmの円筒部321と、該円筒部321の外側、すなわち仮ローラ32をアーム35に取り付けたときに、正規ローラ31をアーム35に取り付けたときの正規ローラ31の転動面311に相当する位置より外れた位置で支持軸34の頭部を覆うように張り出し、その外径Dは正規ローラ31の転動面311の外径Dと同一寸法の24mmに形成された転動部322と軸孔325から構成されている。転動部322の厚さvは支持軸34の頭部の厚さ程度に薄く形成されている。
【0025】
一方、図5、図6に示すように、スライドドアSに取り付けたアーム35の垂直部に設けた取付孔355に、メインローラ301を回転自在に支持する支持軸34を取り付けるためのナット350が溶接されている。
このナット350は、内側に前記支持軸34のネジ部347がねじ込まれるネジ孔353が設けられ、外径部が小径部351と大径部352からなる段付けナットであり、小径部351の外面はセレーションが形成されている。この大径部352の内側にネジ孔353に連続する所定の深さのザグリ孔354が設けられている。
そして、このナット350のアーム35の垂直部への取付は、アーム35の取付孔355に小径部351を室内側から外側に向かって打ち込み、セレーションで回り止めされるとともに、アーム35の垂直部と大径部352の接触する位置で、その周囲を溶接により固着している。
【0026】
支持軸34は、前記正規ローラ31の軸孔315ならびに仮ローラ32の軸孔325に挿入される軸部345と、該軸部345を挟んで一端に軸部345より大径の頭部341と、他端にアーム35に取り付けたナット350に螺合されるネジ部347を形成している。
なお、軸部345の本実施の形態における外径は、正規ローラ31用の支持軸34と仮ローラ32用の支持軸34とは相違させてあり、仮ローラ32用の支持軸34の軸部345の外径を大きくしている。これは、塗装工程で高温にさらされ、しかも塗料が付着しているであろう仮ローラ32用の支持軸34と未使用の支持軸34とを混用しないようにするためである。
【0027】
そして、仮ローラ32の軸孔325あるいは正規ローラ31の軸孔315に支持軸34の軸部345を挿入し、支持軸34のネジ部347をアーム35に取り付けたナット350に螺合し、締め付けて仮ローラ32あるいは正規ローラ31をスライドドアSに取り付ける。
なお、仮ローラ32は板金工程で取り付けられ、正規ローラ31は塗装工程を終了した組立工程で仮ローラ32と取り替えられて取り付けられる。
【0028】
(作用)
次に、上記の車体塗装時のスライドドア仮付装置を用いた車体の塗装方法について説明する。
まず、車体10の板金工程で、スライドドアSを取り付ける開口部Pに、上部にアッパレール40を、下部にロアレール50を及びクォータパネル13の凹溝14にセンタレール20を取り付ける。
そして、これらのアッパレール40にはスライドドアSに取り付けた状態でアッパローラ41を、ロアレール50には同じくロアローラ51を、そしてセンタレール20には同じくセンタローラ30を係合させて、スライドドアSが車体10に対してスライド可能に取り付ける。
ただし、センタローラ30のメインローラ301として、板金工程ではアーム35に仮ローラ32を取り付けておく。
【0029】
このように、各レール40、50、20に各ローラ41、51、30を係合させた状態で、車体10に対するスライドドアSの建付調整を行う。
すなわち、建付調整は、スライドドアSが閉じたときの車体10の開口部PとスライドドアSの外周との位置が所定の間隙になるように、また、車体10の開口部P周囲の外板面とスライドドアSの外板面とが面一になるように、また、スライドドアSが滑らかにスライドするように各ローラ41、51、30の取り付け位置、ならびに図示は省略したがスライドドアSのロック装置を微調整することにより行う。
【0030】
この板金工程での建付調整により、センタローラ30の仮ローラ32は、正規ローラ31と同一の関係寸法、すなわち、正規ローラ31の外径Dと同一寸法の外径Dを有する転動部322により建付調整された状態で取り付けられ、仮ローラ32の転動部322がセンタレール20の水平転動面21上を転動する。
仮ローラ32の転動部322は、円筒部321の幅wより外側、すなわち仮ローラ32をアーム35に取り付けたときに、正規ローラ31をアーム35に取り付けたときの正規ローラ31の転動面311に相当する位置より外れた位置に張り出しているので、図5に示すように、センタレール20の水平転動面21に張り付けたマスキングテープ60のマスキング部から外れた水平転動面21上を転動する。
【0031】
板金工程を終了した車体10を、表面処理工程を経由して塗装工程に搬送する。塗装工程では、従来の塗装と全く同様に、ED塗装工程とその焼付工程、中塗工程とその焼付工程、上塗工程とその焼付工程の各工程を経て塗装が完了する。
上記の各塗装工程において、センタレール20にも塗料が付着するが、特に水平転動面21に着目すると、図5、図6に示すように、塗料は一般面はもとよりマスキングテープ60上にも付着して塗装がなされる。
【0032】
そして、この塗装工程では、前述したように、センタローラ30のメインローラ301として仮ローラ32を取り付けているので、図5で明らかなように、該仮ローラ32は幅狭の転動部322によりセンタレール20の水平転動面21上のマスキングテープ60が張られていない部分上を転動し、マスキングテープ60上には接触しない。
従って、塗装工程において、塗装作業の都合で、スライドドアSを転動させても、スライドドアSに取り付けられている仮ローラ32の転動部322でセンタレール20の水平転動面21を転動するだけであるため、水平転動面21上に付着した塗料を削り取る量も少なく、水平転動面21から落下する塗料も少ない。
【0033】
塗装工程において塗装を終了した車体10は、組立工程において、各種の部品が取り付けられて完成車両となるが、その途中で、センタレール20の水平転動面21に貼り付けたマスキングテープ60を剥がすとともに、センタローラ30に取り付けてある仮ローラ32を正規ローラ31に取り替える。
そうすると、図6に示すように、センタレール20の水平転動面21のマスキングテープ60が剥がされて塗料が付着していない面に、塗装工程を経ることなく組立工程に待機していたため塗料が付着していない正規ローラ31の、仮ローラ32の転動部322の外径Dと同一寸法の外径を有する正規ローラ31の転動面311が接触して、スライドドアSの車体10に対する建付けを再調整することなく、正規ローラ31の転動面311がこの面上を転動移動する。
【0034】
このように、スライドドアSを車体10に支持するセンターレール20の水平転動面21に、センタローラ30のメインローラ301が転動する軌跡上にマスキングテープ60を貼り付けるとともに、メインローラ301として正規ローラ31の外径より小径の円筒部321を有し、該円筒部321から外側、すなわち仮ローラ32をアーム35に取り付けたときに、正規ローラ31をアーム35に取り付けたときの正規ローラ31の転動面311に相当する位置より外れた位置で正規ローラ31と同径で幅狭の転動部322を形成した仮ローラ32を取り付けて、板金工程において建付調整を行い、塗装工程を経た後、組立工程において、前記マスキングテープ60をセンターレール20の水平転動面21から剥がすとともに、センタローラ30のメインローラ301としての仮ローラ32を正規ローラ31に取り替えるようにしたので、車体10の塗装時にスライドドアSを開閉してもセンターレール20の水平転動面21上に付着した塗料が仮ローラ32の転動部322に付着するだけであり、その後の組立工程で取り替えられた正規ローラ31は塗料の付着していないセンタレール20の水平転動面21上に接触して転動することとなり、スライドドアSの車体10に対する建付けは塗料の付着していない板金工程で調整したと同様になり、組立工程で再調整する必要がなく、車体の組立工数の低減が図れる。
また、正規ローラ31と、該正規ローラ31の転動面311が接触するセンタレール20の水平転動面21上には塗料が付着しておらず、正規ローラ31の転動が円滑となり、異音発生の防止が可能となった。
【0035】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、センタレール上のメインローラが転動する面にマスキングテープを貼り付け、センタローラのメインローラに仮ローラを取り付けて塗装する車体の塗装方法を説明したが、このマスキングテープと仮ローラの関係は、これに限られず、センタレールとガイドローラ、アッパレールとアッパローラまたはロアレールとロアローラの関係に適用することも可能である。
また、仮ローラに設けた幅狭の転動部は、仮ローラがセンタレールに取り付けられた状態で、センタレールの横方向コ字型断面部の後壁部に近い側に設けた例で示したが、横方向コ字型断面部の開口側に設けたものであってもよい。後壁部に近い側に設けた場合は、塗装工程でのスライドドアの移動による付着塗料のセンタレールからの落下を押さえることができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は、車体に配設したレール上を転動するローラにより支持されるスライドドアを、前記車体に組み付けた状態で、車体に対し塗装を行う車体の塗装方法において、完成車両に使用される正規ローラが転動するレールの面を予めマスキングしておくとともに、塗装時に、スライドドアにはスライドドア開閉時に前記マスキング部に接触しない形状の仮ローラを組み付け、塗装後に、前記仮ローラを正規ローラに付け替えることを特徴とする車体の塗装方法、ならびに、完成車両に使用される正規ローラが転動する面を予めマスキングしたレールと、前記正規ローラの取付部に該正規ローラと付け替え可能に設けられ、スライドドア開閉時に前記レール上を転動しつつスライドドアを支持し、かつ転動時に前記マスキング部に接触しない形状の仮ローラとからなる車体塗装時のスライドドア仮付装置としたので、車体塗装時にスライドドアを支持するローラとレールの転動面に塗料が付着しても、塗装後に該レールの面のマスキングを剥がし、ローラを正規ローラに取り替えるため、レールとローラに塗料が付着しない状態で車体にスライドドアを支持することができ、スライドドア開閉時の異音の発生を防止し、かつ、スライドドアの建付寸法を変化させずに車体にスライドドアを支持することができるため、建て付けの再調整を必要とせず、車体の組立工数の低減が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に係るスライドドアを装備した車両の全体図である。
【図2】本発明の一の実施の形態に係るスライドドアを支持するセンタレール部の断面図である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係るセンタレールのマスキングゾーンを示す平面断面図である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る正規ローラと仮ローラの側面断面図である。
【図5】本発明の一の実施の形態に係る仮ローラを取り付けた断面図である。
【図6】本発明の一の実施の形態に係る正規ローラを取り付けた断面図である。
【図7】従来のセンタレール部の断面図である。
【図8】従来のセンタレール部の斜視図である。
【符号の説明】
10 車体
20 センタレール
21 水平転動面
30 センタローラ
31 正規ローラ
32 仮ローラ
40 アッパレール
50 ロアレール
60 マスキングテープ
S スライドドア
Claims (4)
- 車体に配設したレール上を転動するローラにより支持されるスライドドアを車体に組み付けた状態で塗装を行う車体の塗装方法において、
完成車両に使用される正規ローラが転動するレールの面を予めマスキングしておくとともに、
塗装時に、スライドドアにはスライドドア開閉時に前記マスキング部に接触しない形状の仮ローラを組み付け、
塗装後に、前記仮ローラを正規ローラに付け替えることを特徴とする車体の塗装方法。 - 車体に取り付けたレール上を転動するローラにより支持されるスライドドアを有する車体を塗装するときのスライドドアの仮付装置であって、
完成車両に使用される正規ローラが転動する面を予めマスキングしたレールと、
前記正規ローラの取付部に該正規ローラと付け替え可能に設けられ、スライドドア開閉時に前記レール上を転動しつつスライドドアを支持し、かつ転動時に前記マスキング部に接触しない形状の仮ローラと
からなる車体塗装時のスライドドア仮付装置。 - 請求項1に記載の車体の塗装方法において、
前記仮ローラは、
正規ローラと同径の外径を有し、前記レール上の前記マスキング部以外の面上を転動する転動部を備えることを特徴とする車体の塗装方法。 - 請求項2に記載の車体塗装時のスライドドア仮付装置において、
前記仮ローラは、
正規ローラと同径の外径を有し、前記レール上の前記マスキング部以外の面上を転動する転動部を備えることを特徴とする車体塗装時のスライドドア仮付装置。
Priority Applications (1)
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