JP3688717B2 - 多層コーティングにおけるグレープライマーの最適化 - Google Patents

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Description

発明の背景
本発明は、トップコートペイント組成物の前に塗布される特定のプライマーペイント組成物を選択することにより自動車およびトラックの再塗装または再仕上げする方法に関するものである。特に、本発明はトップコートペイント組成物が支持体の色を完全に隠蔽するのに必要なペイントの厚さよりも薄く塗布される場合に、元来のトップコートに対するカラーマッチを提供する特定のプライマーペイント組成物を選択することに関する。
自動車またはトラックの車体を修理または再塗装するのに用いられるトップコートの量を減少させる努力において、適当なグレー、白または黒のプライマーを選択する技術が用いられてきた。それはもし適当な色彩のプライマーが用いられると、完全に隠蔽するよりも少ない量のトップコートを塗布することができ、かつなお再塗装されていない車両の他の部分とマッチするトップコートを達成することができるからである。より少ないトップコート組成物を使用することにより、コストが削減され、かつカラーマッチを達成しつつ、流れ、垂れおよびはじけ(popping)を減少または除去することができる。
1985年10月8日に発行されたAbeらの米国特許第4,546,007号は、完全に隠蔽するよう塗布された場合、トップコートの分光反射率曲線の最大値に可能な限り近似する分光反射率を有する白、グレーまたは黒のプライマーを選択する方法を用いている。この方法の結果は、試験されたある種の色の約3分の1において不正確であることがわかっている。プライマーをトップコートとマッチさせるための、より正確な方法に対するニーズがあり、これは修復されるペイントの色に本質的にマッチさせるのに完全に隠蔽するよりも少ない量でトップコートを塗布することのできるものである。
発明の概要
元来の塗装された支持体上に多層コーティング組成物を塗布する改良された方法は、最初にプライマーを塗布し、次いでプライマーコートの上に元来塗装された支持体の色とマッチするトップコートを完全に隠蔽するよりは少なく塗装して、トップコートの色が元来塗装された支持体の色と同じになるように塗布することによる。用いられた改良点は、完全隠蔽状態でのトップコートの最小吸収の波長で測定されるトップコートの反射率と同等の反射率を乾燥状態において有するグレーまたは白のプライマーコートを塗布することである。
発明の詳細な説明
ここで用いられる「と同じ」という用語は、比色計または分光光度計によるよりはむしろヒトの視覚検定により決定されることをさす。
本発明の方法は、完全に隠蔽するより少ないが元来のコーティングされた支持体とのカラーマッチが達成されるようにトップコートをプライマーの上に塗布することができるようにプライマーコートの色を選択することに関する。その方法は白および非常に濃いグレーおよび黒を含む種々の色彩のグレーであるプライマーコートの使用を要する。これはプライマーコートの反射率をトップコートの反射率に合わせることにより達成される。反射率はトップコートの最小吸収の波長で測定される。プライマーは、この最小吸収の波長での反射率とほぼ同じ反射率を有するものが用いられる。
色の着いた物質はそれ自身の色相の光を反射し、他の色相の光を吸収する。反射率、反射光は、各波長において表面で反射した光の量の測度である。本発明は、可視光、すなわち約400から700nmに関するものである。ここで用いられるプライマーコートの反射率は、トップコートの最小吸収の波長で測定される。最小吸収の波長は、Kubelka-Munk理論などの光散乱理論から決定される。トップコートの最小吸収の波長で測定されるトップコートとおよそ同じ反射率を有するプライマーを本発明の方法において用いる。
反射率を慣用の分光光度計により測定することができる。用いることのできる商業的な分光光度計の例としては、積分球測定ジオメトリーを有するMacbeth Color-Eye 3000;二方向性であり、45/0測定ジオメトリーを用いるBYK-Gardner 9300ハンディ-スペック分光光度計、ならびに二方向性であり、25,45,75度のアスペキュラー角(aspecular angles)の測定ジオメトリーを用いるX-Rite MA-58分光光度計がある。
光散乱理論は、各波長での色の反射率を同じ波長で光を吸収または散乱する着色剤の能力に関連づけている。最も広く用いられる理論はKubelkaおよびMunkにより展開されたものであり[P.KubelkaおよびF.Munk、塗料の光学への寄与(Ein Beitrag zur Optik der Farbanstriche), Z. tech. Physik.,12,593,(1931)]、下記の式を与える。
Figure 0003688717
式中 K=吸収係数
S=散乱係数
00=完全隠蔽状態での反射率
各波長での各着色剤のKおよびSを知ることにより、着色剤の混合物のK/Sを下記の式により算出することができる。
混合物= Σcii (式2a)
混合物= Σcii (式2b)
上記式中、c=混合物中の着色剤の濃度
iは、i番目の着色剤を意味する。
さらに、ペイントが完全隠蔽状態より少なく塗布される場合、反射率(R)は下記の式により算出することができる。
Figure 0003688717
上記式中、Rg=支持体の反射率
R00=完全隠蔽状態での反射率
X=ペイントのフィルム塗り厚
b=(1/R00−R00)/2
既知の組成物および反射率が既知の支持体上のフィルム塗り厚のサンプルを調製すること、それらの反射率を測定すること、およびこれらの式を用いてKおよびSを算出することにより、各波長での各着色剤についてKおよびSの係数を決定することができる。通常、金属色用のアルミニウムフレークまたは非金属色用の白色などの1つの参照着色剤についてKおよびSが一旦決定されれば、他の着色剤についてのKおよびSは、各着色剤を参照着色剤との2成分ブレンドを作成し、完全隠蔽状態におけるこれらのブレンドの反射率を測定し、そして式1および2aおよび2bを用いてKおよびSを算出することにより決定される。より詳細なKおよびS理論の議論は、色およびビジネス(Color and Business)、科学&産業(Science & Industry)、Dean B. JuddおよびGunter Wyszecki、John Wiley and Sons, Inc社、(第2版、1963)を参照のこと。
車を修理する際、既存の色とマッチさせるペイントの配合は再仕上ペイントのサプライヤーより供給されるマイクロフィッシュを調べることができる。典型的には、次いでプライマーを修復される部分に塗布する。車の未修復部分の仕上のカラーマッチが達成されるために完全にプライマーを隠すように十分なトップコートがこのプライマーの上に塗布されねばならない。本発明はより薄いトップコートの厚さでもなお未修復表面の色とマッチするプライマーの色を選択する方法を提供する。
トップコートにマッチする配合における着色剤の濃度を知ることにより、そして各着色剤についてのKおよびSの係数を予め決定しておけば、この着色剤の混合物に関する各波長でのKおよびSは式2aおよび2bから算出される。通常、これらの計算は10nm間隔毎に実施される。このように、可視スペクトルにわたる31個のK値および31個のK値を得ることができる。K値がこれら31個のうちの最小である波長が最小吸収の波長である。この波長でのトップコートの反射率を同じ波長でのこのK値およびS値を式1に置換することにより算出する。代替的には、分光光度計でこの波長での完全隠蔽状態におけるトップコートの反射率を測定することによって決定される。選ばれるグレーのプライマーは、それ自身の反射率がこの波長でこの反射率と同じであるか、非常に近いものであろう。
このプライマーは数種の方法で入手できる。1つの方法としては黒のプライマーおよび白のプライマーを用い、この反射率を得られるような比率でそれらをブレンドするものである。この比率は、正しい反射率が得られるまで試行錯誤によって達成される。正しい反射率が式1で提供されるように、これらのプライマーのKおよびS値が既知であり、ならびに式2aおよび2bにおける濃度が計算されるならば、コンピューターによっても決定することもできる。別の方法としては、測定または計算により可視スペクトルにわたる分光反射率が予め測定してある増加する明度を有する数種の(5から20)のプライマーを用いることである。一旦、トップコートについての最小吸収での反射率がわかれば、同じ波長で近い反射率を有するものを見つけることにより、最適なプライマーを選択することができる。もし5つのプライマーのみを用いるのであれば、中間のプライマーは分光反射率を与える既知の比率でこれらの5つのうちの2成分の組合せをブレンドすることにより調製することができる。
以下の実施例は、本発明を例示するものである。全てのパーセントは、重量によるものである。
実施例
オレンジ色の金属トップコートを完全隠蔽状態となるよう噴霧する。隠蔽は、パネルのコーナーに黒と白の格子模様の隠蔽タブを配置することにより決定される。トップコートを塗布すると、黒と白の格子は覆い隠される。十分なトップコートを塗布して隠蔽する場合、目では黒と白の格子を覆ったトップコートの色の相違を認めることはできない。白上で、および黒上で測定しても、器械の示度は同じスペクトル曲線を提供する。測定した分光反射率曲線を図1に示す(Hと記した曲線は「隠蔽」を意味する)。3つのグレーのプライマーはアンダーコートとみなされる。それらの反射率曲線はP1、P2および、P3として図1に示す。Abeらの米国特許第4,546,007号は「完全隠蔽状態トップコートの分光反射率の最大値にできる限り近似する分光反射率を有する」プライマーの使用法を教示している。トップコートの隠蔽状態での最大反射率は、700nmで起こり、この波長でその反射率に最も近くマッチするプライマーは、図1に示すようにP1プライマーである。
本発明の方法は、P1プライマーでは最善のカラーマッチを形成しないことを示している。Kubelka-Munk理論を用いることにより、トップコートの最小吸収の波長は580nmであることが決定され、図1に「A」として示される。式2aを用いてこの波長での吸収を1.14と算出し、ピーク反射率(700nm)では、4.81であった。580nmでの曲線Hの反射率は11.1%であった。580nmでの反射率が11.1%に最も近いプライマーは、P2、すなわちプライマー2であり、次の選択としてはP3、すなわちプライマー3である。このオレンジトップコートをこれら3つのプライマーの上に噴霧し、4塗層のみのトップコートを塗布する場合、得られるスペクトル曲線を図1のP'1、P'2および、P'3として示す。プライマー2の上にトップコートした曲線P'2は、隠蔽状態でのトップコート曲線Hに最も近く、本発明の方法により選択されるP'2、プライマー2は、先行技術であるAbeの特許の方法により決定されるプライマーであるプライマー1よりもむしろ最も近いカラーマッチを提供することを示している。

Claims (6)

  1. 最初にプライマー組成物のコーティング層を塗布する工程と、次いでプライマーコートの上に、塗装された支持体の色にマッチするトップコートを完全隠蔽の状態よりも少なく塗装して、トップコートと予め塗装された支持体とのカラーマッチを達成するトップコートを塗布する工程とにより、予め塗装された支持体上に多層コーティング組成物を塗布する改良法であり、完全隠蔽状態でのトップコートの最小吸収の波長で測定されたトップコートの反射率と乾燥状態で本質的に同じ反射率を有するグレーまたは白のプライマー組成物を塗布することを特徴とする改良法。
  2. 各々異なる明度の5〜20のグレーまたは白のプライマー組成物の群があり、かつプライマー組成物はトップコートの最小吸収の波長で測定されたトップコートの反射率と本質的に同じである群から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の改良法。
  3. 最小吸収の波長での反射率の測定はその波長におけるトップコートの反射率を測定することにより決定されることを特徴とする請求項1に記載の改良法。
  4. 最小吸収の波長でのトップコートの反射率は、Kubelka-Munk計算式を用いることにより算出されることを特徴とする請求項1に記載の改良法。
  5. 測定は積分球ジオメトリーを用いる分光光度計で実施することを特徴とする請求項2に記載の改良法。
  6. 測定は二方向性ジオメトリーを用いる分光光度計で実施することを特徴とする請求項5に記載の改良法。
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