JP3688551B2 - 用紙整合装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、デジタル複合機や画像形成装置に備えられ、画像がプリントされた用紙に対する例えばステープル等の後処理の際に用紙を整合する用紙整合装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、画像形成装置としての例えば複写機には、例えば、特開平２−１４４３７０号および特開平１０−１７７２８２号に開示されているように、画像がプリントされた後の用紙に、後処理としてのステープル処理を施す用紙後処理装置を備えたものがある。この用紙後処理装置には、ステープル処理を行う前に、プリント後に用紙後処理装置に入紙した用紙を整合する用紙整合装置が備えられている。
【０００３】
一方、画像形成装置にて画像がプリントされた後の用紙は、トナー像を用紙に加熱圧着させる定着装置（ヒートローラ）を通過しており、カールが生じがちである。したがって、このような用紙を単に整合装置に入紙したのでは、通常、整合が困難となる。
【０００４】
そこで、従来では、画像形成装置の定着装置と用紙整合装置との間に、用紙のカールを取り除くためのデカラーを設けている。例えば図１３（ａ）に示すように、デカラー２０１は、ゴムからなる大径の駆動ローラ２０２の外周部に、ゴムあるいはプラスチックからなる小径の２個の従動ローラ２０３を備え、カールした用紙２０４ａのカールを上記駆動ローラ２０２と従動ローラ２０３とにより矯正し、カールを取り除いた用紙２０４ｂとするものである。また、他の例では、図１３（ｂ）に示すように、デカラー２１１は、ゴムからなる駆動ローラ２１２と、これに圧接される例えばスポンジからなる従動ローラ２１３とを備えた構成となっている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のデカラー２０１、２１１は、高価であるとともに、圧接力の微妙な調整が必要であり、扱いが容易ではない。
【０００６】
また、用紙に生じるカールの高さや方向は、用紙の製造方法、用紙の裁断方向（いわゆる縦目や横目）、用紙の種類、用紙の厚さあるいは用紙の吸湿度等により変化する。このため、上記のデカラー２０１、２１１では、上記の各条件に応じた非常に煩雑な設定が必要となる一方、これを行わなければ、用紙のカールを十分に取り除くことが困難である。極端な場合には、図１４において例えば前記デカラー２１１により示すように、定着装置において発生した用紙２０４ａの逆カールが、デカラー２１１での処理によりさらに大きなカール（用紙２０４ａ' ）となってしまい、整合装置において整合不良を生じている。
【０００７】
さらに、上記のデカラー２０１、２１１を設けた場合には、装置の大型化を招来する。
【０００８】
従って、本発明は、カールの矯正装置（デカラー２０１、２１１）を使用することなく、簡単な構成にて用紙を確実に整合することができ、整合装置を備える装置の小型化および低コスト化を図り得る用紙整合装置の提供を目的としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備えていることを特徴としている。
【００１０】
上記の構成によれば、用紙後端押さえ部材が、用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを押さえ込み、可動整合部材が上記用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する。
【００１１】
したがって、用紙を整合した後に、例えばステープル処理等の後処理を行う場合において、用紙が例えば定着装置を経てカールしたものであっても、カールした用紙をそのまま整合することがができる。
【００１２】
これにより、用紙のカールを矯正するための高価なデカラーを必要とせず、簡単かつ安価な構成にて用紙の確実な整合が可能であるとともに、整合装置を備える用紙後処理装置や画像形成装置等の大型化を回避することができる。
【００１３】
さらに、本発明の用紙整合装置は、前記用紙後端押さえ部材は、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有していることを特徴としている。
【００１４】
上記の構成によれば、可動整合部材の高さに制約されることなく、用紙後端押さえ部材の用紙後端押さえ動作を行うための用紙後端押さえ位置を適切な位置に設定することができる。また、用紙後端押さえ部材を用紙後端押さえ位置に配し、可動整合部材を整合動作させる状態において、用紙後端押さえ部材と可動整合部材との衝突を回避でき、両者の同時動作が可能となる。これにより、用紙後端押さえ部材と可動整合部材とによる適切な用紙整合動作が可能である。
【００１７】
本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、前記用紙後端押さえ部材が、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有し、前記可動整合部材の上端部に、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部と係合し、それ以上の浮き上がりを阻止する用紙後端係止部が形成され、用紙後端押さえ部材が前記の用紙後端押さえ位置に配された後、可動整合部材による整合動作が行われるように、前記用紙後端押さえ手段と可動整合手段とを制御する制御手段を備えている構成である。
【００１８】
上記の構成によれば、可動整合部材による整合動作時には、先ず、用紙後端押さえ部材が用紙後端押さえ位置に配される。これにより、用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部が押さえ込まれる。その後、可動整合部材による整合動作が行われる。このとき、用紙の後端部は、用紙後端押さえ部材に押さえ込まれて可動整合部材の上端部よりも下方位置となっているので、少なくとも可動整合部材の上端部の用紙後端係止部にて係止される。したがって、カールした用紙であっても、用紙後端押さえ部材から可動整合部材に受け渡して、可動整合部材により用紙を確実に整合することができる。
【００１９】
本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、前記の可動整合部材は、整合動作を行う際の起き上がり状態と、この起き上がり状態から入紙方向の前方側へ倒れた倒れ状態とに保持可能であり、前記可動整合手段は、入紙した１枚の用紙の整合動作が完了したときに、可動整合部材を、前記倒れ状態に保持し、その上端部により、整合した用紙の後端部を押さえ込むように駆動する構成である。
【００２０】
上記の構成によれば、可動整合部材は、入紙した１枚の用紙の整合動作が完了したときに倒れ状態に保持されて、その上端部により、整合した用紙の後端部を押さえ込む。
【００２１】
これにより、用紙集積部に次に入紙されて来る用紙が可動整合部材に衝突する事態を防止し得るとともに、一旦整合された用紙の後端部が再び浮き上がり、用紙集積部に次に入紙されて来る用紙が、その用紙に衝突する事態、あるいはその用紙とその下の用紙との間に入り込み、頁順が入れ替わる事態等を防止することができる。
【００２２】
本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、前記の用紙後端押さえ部材は、用紙の入紙方向を前記用紙集積部の方向とそれ以外の方向とに切り換える切換え部材からなり、前記用紙後端押さえ部材による用紙の後端押さえ動作が行われている状態において前記可動整合部材による整合動作が行われる構成である。
【００２３】
上記の構成によれば、用紙後端押さえ部材が切り換え部材と兼用されるので、独立した用紙後端押さえ部材を設けて部品点数の増加や制御が複雑化する事態等を抑制することができる。
【００２４】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図１ないし図１２に基づいて以下に説明する。
画像形成装置は、図２に示すように、画像形成装置本体部１と用紙スタック部２とを有し、画像形成装置本体部１には、上部から下部方向に、原稿読取り部３、用紙後処理装置４、本体トレイ５と画像形成部６、および給紙部７が設けられている。
【００２５】
原稿読取り部３は、図３に示すように、上面に透明なガラス等からなる原稿載置台１１を有し、この原稿載置台１１の下方にスキャナー光学系１２を有している。スキャナー光学系１２は、露光用光源１３、複数の反射鏡１４、結像レンズ１５およびＣＣＤ１６を備えている。
【００２６】
露光用光源１３は、原稿載置台１１上に載置された原稿に光を照射する。この原稿からの反射光は、反射鏡１４により、結像レンズ１５を経てＣＣＤ（光電変換素子）１６に導かれる。
【００２７】
画像形成部６は、図３に示すように、ドラム形状をなして矢印方向に回転する感光体１７を有している。また、この感光体１７の周りの上記矢印方向に、現像装置１８、転写チャージャ１９、クリーニング装置（図示せず）、除電装置２０、主帯電器２１およびレーザースキャニングユニット（以下ＬＳＵ２２と称する）２２を有している。
【００２８】
前記ＣＣＤ１６により読み取られた原稿画像データは、画像処理が施された後、ＬＳＵ２２に供給される。ＬＳＵ２２は、原稿画像データをレーザー光として感光体１７の表面に照射し、静電潜像を形成する。現像装置１８は、この静電潜像をトナーにより可視像に現像する。転写チャージャ１９は、現像により感光体１７の表面に形成されたトナー像を用紙Ｐに転写する。クリーニング装置は、感光体１７の表面の残留トナーを除去する。除電装置２０は、感光体１７の表面の残留電荷を除去する。主帯電器２１は、感光体１７を所定の電位に帯電させる。
【００２９】
給紙部７は用紙Ｐを収容した用紙カセット３１を備えている。用紙カセット３１における出紙方向の先端位置には、用紙Ｐを出紙するための呼込みローラ３２、および用紙さばきローラ３３が設けられている。この用紙さばきローラ３３は、一方向に回転するローラと逆回転するローラとからなり、用紙Ｐの二重送りを防止している。なお、この構成に代えて、ローラと摩擦シート部材からなる構成であってもよい。
【００３０】
用紙搬送路として、給紙部７にはカセット側出紙路３４が設けられている。用紙搬送路において用紙Ｐが上流側から下流側に流れるものとした場合、上記カセット側出紙路３４の上流側端部には、前記用紙さばきローラ３３が設けられている。また、用紙搬送路として、画像形成部６には、手差し給紙路３５、主搬送路３６、反転搬送路３７および排紙搬送路３８が設けられ、用紙後処理装置４には後処理搬送路３９が設けられている。
【００３１】
手差し給紙路３５の上流側端部には、用紙さばきローラ４０が設けられ、この位置には、手差しトレイ４１および呼込みローラ４２が設けられている。
【００３２】
カセット側出紙路３４と手差し給紙路３５との下流側端部、および反転搬送路３７の一端部は、合流して主搬送路３６の上流側端部と接続されている。主搬送路３６は上方へ延び、下流側端部付近において反転搬送路３７の他端部と合流し、さらに、その下流側において、排紙搬送路３８と後処理搬送路３９とに分岐している。
【００３３】
主搬送路３６の上流側端部にはレジストローラ４３が設けられ、レジストローラ４３の上流側位置には、用紙の通過を検知するレジスト前検知スイッチ（図示せず）が設けられている。画像形成装置では、上記レジスト前検知スイッチの検知信号に基づき、感光体１７上のトナー像と用紙Ｐとの位置合わせをレジストローラ４３にて行っている。
【００３４】
主搬送路３６における転写チャージャ１９の下流側位置には、用紙Ｐ上のトナー像を加熱圧着させる定着装置４４が設けられている。この定着装置４４は、一対の定着ローラと、この定着ローラにおける用紙の通過を検知する定着紙検知スイッチ（図示せず）を有している。
【００３５】
排紙搬送路３８の下流側端部には、用紙Ｐを本体トレイ５に排紙する排紙ローラ４５が設けられ、この排紙ローラ４５の上流側位置には、排紙ローラ４５における用紙の通過を検知する排紙検知スイッチ（図示せず）が設けられている。
【００３６】
また、排紙搬送路３８と後処理搬送路３９との分岐部には、用紙Ｐの進行方向をこれらの何れかの方向に切り換える切換えゲート４６が設けられている。
【００３７】
上記の後処理搬送路３９は、図２に示すように、用紙Ｐを用紙後処理装置４に導くようになっている。後処理搬送路３９の中途位置には複数の搬送ローラ４７画設けられ、下流側端部には排紙ローラ４８が設けられている。また、排紙ローラ４８の上流側位置には、用紙後処理装置４への入紙を検知する用紙検知スイッチ４９が設けられている。
【００３８】
用紙後処理装置４は、排紙ローラ４８の下流側の上側位置に、非後処理搬送路となるエスケープ搬送路５１を有し、下側位置に、後処理部５２を有している。また、これらエスケープ搬送路５１と後処理部５２との分岐位置には、用紙Ｐの進行方向をこれらの何れかに切り換える切換えゲート（用紙後端押さえ部材、用紙後端押さえ手段）５３が設けられている。
【００３９】
エスケープ搬送路５１は、特殊紙や小サイズ紙等のステープル処理が禁止されている用紙Ｐを排出する際、あるいはステープル処理を行わない用紙Ｐを多量に排出する際に使用される。このエスケープ搬送路５１が選択されたとき、切換えゲート５３は二点鎖線にて示す状態ｂに切り換えられる。
【００４０】
一方、後処理部５２は、後処理すなわちステープル処理、トレイのオフセットによる用紙Ｐの仕分けを行う際に使用される。この後処理部５２が選択されたとき、切換えゲート５３は実線にて示す状態ａに切り換えられる。
【００４１】
エスケープ搬送路５１の下流側端部には用紙スタック部２の第１排出路５４と第２排出路５５とが接続され、後処理部５２の下流側端部には用紙スタック部２の第３排出路５６が接続されている。第１排出路５４と第２排出路５５への分岐部には、用紙Ｐの進行方向をこれらの何れかの方向に切り換える切換えゲート５７が設けられている。用紙Ｐは、切換えゲート５７が、実線にて示す状態ａのときに第１排出路５４に導かれ、二点鎖線にて示す状態ｂのときに第２排出路５５に導かれる。
【００４２】
第１排出路５４は、搬送ローラ５８を有し、用紙Ｐを第１用紙スタックトレイ５９に排出する。第２排出路５５は、排紙ローラ６０を有し、用紙Ｐを第２用紙スタックトレイ６１に排出する。第２用紙スタックトレイ６１は上下動可能であり、かつ第２用紙スタックトレイ６１への用紙Ｐの排紙方向と直交する水平方向にオフセット移動可能となっている。
【００４３】
用紙後処理装置４のエスケープ搬送路５１は、一般的なゴムローラからなり、用紙Ｐの搬送方向に配置された複数個の搬送ローラ６２を有している。これら搬送ローラ６２は、第１用紙スタックトレイ５９および第２用紙スタックトレイ６１に排紙可能として設定されている最小サイズの用紙Ｐにおける搬送方向長さよりも短いピッチにて配されている。エスケープ搬送路５１は、上記搬送ローラ６２にコロを加圧したローラ対、上ペーパーガイド６３および下ペーパーガイド６４により構成されている。この下ペーパーガイド６４は、後処理部５２における上ペーパーガイドとしても機能する。
【００４４】
後処理部５２には、ほぼ水平に、ステープルトレイ（用紙集積部）７１が配置されている。このステープルトレイ７１には、図４に示すように、後端板（可動整合部材、可動整合手段）７２、サイド規制板７３、先端ストッパ７４およびステープラ７５が設けられている。
【００４５】
後端板７２は、用紙搬送方向の前後方向に移動可能であり、ステープルトレイ７１上に入紙した用紙Ｐの後縁部を押して先端ストッパ７４に押し当てることにより、用紙Ｐの前後方向位置の整合を行うようになっている。
【００４６】
サイド規制板７３は、ステープルトレイ７１における用紙搬送方向に直交する用紙幅方向の一端側に設けられている。ステープルトレイ７１には、サイド規制板７３に対向して、上記一端側とは反対側に、上方に立ち上がった用紙側縁規制部７６が形成されている。サイド規制板７３は、用紙搬送方向に直交する用紙幅方向に移動可能であり、ステープルトレイ７１上に入紙した用紙Ｐの側縁部を押して用紙側縁規制部７６に押し当てることにより、用紙Ｐの前記用紙幅方向位置の整合を行うようになっている。
【００４７】
先端ストッパ７４は、ステープルトレイ７１における用紙搬送方向の前端側に設けられ、ステープルトレイ７１上での用紙の整合位置、即ちステープル処理される用紙の前端位置を規制して位置決めするようになっている。先端ストッパ７４は、同図に示す規制位置、およびステープルトレイ７１の上面から下方へ退行した退避位置に移動可能となっている。
【００４８】
後端板７２は、図５に示すように、用紙搬送方向に直交する用紙幅方向に延びた板状をなしている。後端板７２の上端部には、用紙搬送方向の前方に突出し、カールした用紙Ｐの後端部と係合し、用紙Ｐの後端部のそれ以上の浮き上がりを防止する用紙後端係止部７２ｂが形成されている。
【００４９】
後端板７２は、同図に示す後端板駆動機構（可動整合手段）８１により駆動される。後端板駆動機構８１は、後端板７２と共に移動する移動部として、ベース部材８２、スライド部材８３、第１斜歯歯車８４、第２斜歯歯車８５および与圧スプリング８６を備えている。また、上記移動部を移動させる駆動部として、ステッピングモータ８７、第１ベルト８８、第２ベルト８９、第１プーリ９０、第２プーリ９１および第３プーリ９２を備えている。さらに、後端板７２を回転させる駆動部として、ソレノイド９３、ソレノイドアーム９４、連結アーム９５、シャフトアーム９６、角シャフト９７および復帰スプリング９９を備えている。その他、原点センサ９８を備えている。
【００５０】
第２ベルト８９は、ステープルトレイ７１の下面側において、第２プーリ９１と第３プーリ９２とに架設され、用紙搬送方向に配されている。ベース部材８２は、この第２ベルト８９に連結されている。
【００５１】
第２プーリ９１は用紙搬送方向における後方位置に配され、第３プーリ９２は前方位置に配されている。第１プーリ９０と第２プーリ９１とは同一軸に設けられ、一体的に回転する。第１プーリ９０は、第１ベルト８８によりステッピングモータ８７の回転軸と接続されている。したがって、ステッピングモータ８７の回転により、ベース部材８２が用紙搬送方向の前後方向に移動する。
【００５２】
第２ベルト８９の互いに対向する往路側と復路側との間の空間には、角シャフト９７が用紙搬送方向に配されている。この角シャフト９７における後端部は、シャフトアーム９６、連結アーム９５およびソレノイドアーム９４を介してソレノイド９３と接続されている。したがって、ソレノイド９３に駆動されて角シャフト９７がその軸周りに回転する。
【００５３】
角シャフト９７には、第１斜歯歯車８４が用紙搬送方向に移動自在にかつ角シャフト９７と一体的に回転するように嵌合されている。第１斜歯歯車８４には第２斜歯歯車８５が噛み合っている。第２斜歯歯車８５は、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向を軸方向とし、その軸８５ａにより、スライド部材８３に回転自在に取り付けられている。また、上記軸８５ａには、用紙幅方向に延びる後端板７２が固定されている。
【００５４】
スライド部材８３は、ベース部材８２の上に設けられ、与圧スプリング８６を介して、ベース部材８２に対して用紙搬送方向に移動可能に設けられている。したがって、ステッピングモータ８７の回転により、後端板７２が用紙搬送方向の前後方向に移動する。なお、スライド部材８３のベース部材８２に対する移動可能量は、スライド部材８３に形成された長穴８３ｂに、ベース部材８２に設けられたピン８２ａが挿入されている構造により規制されている。
【００５５】
上記の後端板駆動機構８１では、ステッピングモータ８７が時計回りに回転することにより、後端板７２を含む移動部が用紙搬送方向における後方に移動する。このとき、スライド部材８３の後端部に設けられた検出片８３ａが原点センサ９８により検出されると、後端板７２がホームポジションに到達したことになり、ステッピングモータ８７が停止される。
【００５６】
一方、ステッピングモータ８７が反時計回りに任意パルス数回転するとことにより、パルス数に応じた任意の位置に後端板７２を移動させることができる。
【００５７】
この場合、後端板７２、即ちスライド部材８３は、与圧スプリング８６の圧縮反発力により、通常はベース部材８２と一体となって移動する。しかしながら、後端板７２による整合動作においては、用紙サイズのばらつき（通常はロット間で約±１ｍｍ）により、用紙Ｐが必要以上に押し込まれる場合がある。この場合、用紙Ｐが規定サイズより大きいと、その用紙Ｐが後端板７２の強い押し込み力によりダメージを受ける虞がある。そこで、このような事態を回避するため、用紙Ｐに対して必要以上の押し込み力が作用するときには、図６に示すように、与圧スプリング８６の圧縮動作により後端板７２を停止させるようにしている。これにより、用紙Ｐを常に適切な押し込み力にて整合でき、用紙Ｐにダメージを与えることがない。
【００５８】
また、ソレノイド９３がＯＮとなり退行動作を行うと、ソレノイドアーム９４が回転して連結アーム９５を引き、シャフトアーム９６、即ち角シャフト９７が９０度回転する。これにより、第１斜歯歯車８４および第２斜歯歯車８５が９０度回転し、図７に示すように、後端板７２が倒れ状態となる。この場合の倒れ角度は、角シャフト９７の回転角度の調整等により、適宜設定可能である。また、この動作は後端板７２を含む後端板駆動機構８１の前記移動部が移動中であっても可能である。
【００５９】
一方、ソレノイド９３がＯＦＦになると、ソレノイドアーム９４に接続された復帰スプリング９９の引っ張り力により、角シャフト９７が元の位置に逆回転する。これにより、後端板７２が起き上がり状態となる。
【００６０】
なお、後端板駆動機構８１の移動部において、第２斜歯歯車８５は、図８に示す第２斜歯歯車８５' を使用することも可能である。この第２斜歯歯車８５' は、ピン配列によって歯車を形成している。このような構成では、第２斜歯歯車８５' と後端板７２とを例えば射出成形により一体成形することが可能となり、製造が容易である。
【００６１】
即ち、図５に示した第２斜歯歯車８５の射出成形においては、金型から製品を抜き取る場合に、金型から製品を回転させながら抜き取る方法が考えられる。したがって、第２斜歯歯車８５と後端板７２とを一体成形した場合には上記抜き取りが行えず、両者の一体成形は不可能である。これに対し、斜歯歯車がピン配列からなる第２斜歯歯車８５' では、回転による製品抜き取りが不要となり、射出成形において両者の一体成形が可能となる。
【００６２】
図２に示した切換えゲート５３は、用紙後端押さえ部材としても機能する。この機能は、ステープルトレイ７１に入紙した用紙Ｐが、定着装置４４を通過したときにカールした場合であっても、後端板７２による整合が可能となるように、切換えゲート５３の先端部により用紙Ｐの後端部を押さえ込むものである。
【００６３】
このために、切換えゲート５３は図９に示す形状を有している。即ち、切換えゲート５３は、先端側に複数の切欠き部５３ａが形成され、この切欠き部５３ａを有することにより先端側が凹凸形状となっている。この凹凸形状に対応して、後端板７２は、上端側に切欠き部７２ａを形成することにより、上端側が凹凸形状となっている。
【００６４】
両者の上記形状により、図９に示すように、後端板７２がホームポジション（実線にて示す位置）から用紙Ｐを整合する整合位置（二点鎖線にて示す位置）に進出するとともに、切換えゲート５３が用紙後端押さえ位置（図２に示す状態ｂ）に降下した状態において、切換えゲート５３の先端部の下面（後述の用紙後端押さえ面５３ｂ）を後端板７２の上端部よりも下方の位置に配することができる。
【００６５】
したがって、切換えゲート５３における切欠き部５３ａの深さは、用紙Ｐの整合のための後端板７２の進出位置に応じて設定され、後端板７２における切欠き部７２ａの深さは、カールした用紙Ｐを後端板７２により整合可能となるように、カールした用紙Ｐの後端部を適切に押さえ込み得る後端板７２の先端部の高さ位置に応じて設定される。
【００６６】
また、切換えゲート５３は、ステープルトレイ７１に入紙する用紙Ｐにおける用紙入紙方向と直交する用紙幅方向の長さに相当する長さを有しており、角がカールした用紙（角折れ用紙）Ｐに対しても適切に押さえ込み機能を発揮する。
【００６７】
上記の切換えゲート５３は、図１０（ａ）（ｂ）に示すように、切換えゲート駆動機構（用紙後端押さえ手段）１０４により駆動される。切換えゲート駆動機構１０４において、切換えゲート５３は軸部材１０１により回転可能に支持され、この軸部材１０１にはソレノイド接続アーム１０２が設けられ、このソレノイド接続アーム１０２が、ソレノイド１００のロッド１００ａと接続されている。また、上記軸部材１０１には復帰スプリング１０３が設けられている。この復帰スプリング１０３は、ソレノイド１００がＯＮする前の状態に切換えゲート５３を復帰させるものであり、ねじりコイルばねからなる。
【００６８】
切換えゲート５３は、ソレノイド１００がＯＮとなってロッド１００ａが退行すると、用紙後端押さえ位置（図１０（ａ）に実線にて示す位置、状態ｂ）に回転し、その下面である用紙後端押さえ面５３ｂにてカールした用紙Ｐの後端部を押さえ込む。一方、ソレノイド１００がＯＦＦになると、復帰スプリング１０３に駆動されて、復帰位置（図１０（ａ）に二点鎖線にて示す位置、状態ａ）に回転する。
【００６９】
そして、本実施の形態においては、上記の切換えゲート５３、ステープルトレイ７１、後端板７２、サイド規制板７３、先端ストッパ７４およびそれらの駆動機構により用紙整合装置が構成されている。
【００７０】
上記の構成において、図３に示した画像形成部６において、感光体１７に形成されたトナー像は、例えば用紙カセット３１から供給される用紙Ｐに転写チャージャ１９により転写された後、定着装置４４により用紙Ｐに定着される。
【００７１】
上記の用紙Ｐがステープル処理（後処理）される場合、トレイのオフセットにより仕分けされる場合、あるいは大量に排出される場合には、これら何れかの処理を指令する予め行われた設定に基づいて、切換えゲート４６が、図２に示した状態ａに切り換えられる。これにより用紙Ｐは、主搬送路３６から後処理搬送路３９に導かれる。
【００７２】
次に、上記の用紙Ｐが特殊紙や小サイズ紙等のステープル処理が禁止されているものである場合、あるいはステープル処理を行わないように設定されたものである場合には、切換えゲート５３が状態ｂに切り換えられる。これにより、用紙Ｐはエスケープ搬送路５１に導かれる。
【００７３】
その後、例えば小サイズの用紙Ｐは、状態ａに切り換えられた切換えゲート５７に案内されて、第１用紙スタックトレイ５９に排出され、例えば大量の用紙Ｐは、状態ｂに切り換えられた切換えゲート５７に案内されて、第２用紙スタックトレイ６１に排出される。
【００７４】
一方、上記の切換えゲート５３は、例えば大サイズの用紙Ｐがステープル処理される場合、さらにトレイのオフセットにより仕分けされる場合等において、状態ａに切り換えられる。これにより、用紙Ｐは後処理部５２に入紙する。
【００７５】
後処理部５２に入紙した用紙Ｐは、図４に示したステープルトレイ７１上に集積される。このとき、先端ストッパ７４は同図に示す規制位置に上昇しており、用紙Ｐが入紙する毎に、後端板７２が退避位置から用紙サイズに応じた整合位置に進出して用紙Ｐの後端部を押して用紙Ｐの先端部を先端ストッパ７４に押し当てることにより、用紙Ｐを用紙搬送方向に整合する。同様に、用紙Ｐが入紙する毎に、サイド規制板７３が退避位置から用紙サイズに応じた整合位置に進出して、用紙Ｐの一方の側縁部を押して用紙Ｐの他方の側縁部を用紙側縁規制部７６に押し当てることにより、用紙Ｐを用紙搬送方向と直交する幅方向に整合する。
【００７６】
これら後端板７２とサイド規制板７３とは、上記の整合動作をほぼ同時に行い、整合動作後、次の用紙Ｐの受け入れのため、それぞれの退避位置に退避する。なお、上記整合動作は、１枚の用紙Ｐについて複数回実施すると、用紙Ｐ同士のずれを少なくしてさらに良好に整合することができる。
【００７７】
また、後端板７２による整合動作の際には、図１（ａ）に示すように、先ず、状態ａによって用紙Ｐを後処理部５２に案内した切換えゲート５３が、後処理部５２への用紙Ｐの入紙後にソレノイド１００がＯＮとなることにより、状態ｂ（用紙後端押さえ位置）に切り換えられる。その後、図１（ｂ）に示すように、後端板７２が退避位置から整合位置に進出する。
【００７８】
上記のように、後端板７２による整合動作の際に、先ず切換えゲート５３が状態ｂに切り換えられることにより、定着装置４４での定着処理によってカールし、用紙Ｐの浮き上がった後端部が、切換えゲート５３の用紙後端押さえ面５３ｂにより下方へ押さえ込まれる。この状態にて後端板７２が整合位置に進出すると、後端板７２は、カールしている用紙に対してもその後端部を確実に押すことができる。
【００７９】
また、このとき、用紙Ｐの後端部は、切換えゲート５３に押さえ込まれて後端板７２の用紙後端係止部７２ｂよりも下方位置となっているので、少なくとも用紙後端係止部７２ｂにて係止される。したがって、カールした用紙Ｐであっても、切換えゲート５３から後端板７２に受け渡して、後端板７２により用紙Ｐを確実に整合することができる。
【００８０】
したがって、ステープル処理の際には、ステープルトレイ７１上に集積された用紙束における各用紙Ｐの先端部のバラツキが少なくなり、用紙束の崩れが少なくなる。
【００８１】
また、上記のように、切換えゲート５３および後端板７２による用紙Ｐの整合の際には、切換えゲート５３の先端部および後端板７２の凹凸形状により、切換えゲート５３の先端部は、後端板７２の上端部よりも下方に位置することができる。これにより、後端板７２の高さを低くすることなく、即ち後端板７２の整合機能を劣化させることなく、切換えゲート５３による、カールした用紙の後端押さえ機能を得ることができる。
【００８２】
入紙した１枚の用紙Ｐの整合完了後には、次の用紙Ｐを受け入れるため、ソレノイド１００がＯＦＦとなって切換えゲート５３が状態ａに復帰する。また、後端板７２は、図１（ｃ）に示すように、次に入紙してくる用紙Ｐとの干渉を避け、かつ先程整合した用紙Ｐの後端部を押さえ込むため、所定距離だけ退避方向へ後退するとともに前方に倒れ込む（用紙後端押さえ位置）。この状態において、後端板７２は、上端部、即ち前方凸部７２ｂにより用紙Ｐの後端部を押さえ込んでいる。
【００８３】
上記の状態は、用紙Ｐの先端部が後端板７２の上端部を完全に通過するまで維持される。その後、後端板７２は、図１（ａ）に示すように、起き上がるとともに、退避位置に移動する。
【００８４】
その後、最後の用紙Ｐの整合動作が完了すると、後端板７２とサイド規制板７３とにより用紙束を位置決めした状態にて、ステープラ７５によるステープル処理が行われる。
【００８５】
このステープル処理が終了すると、先端ストッパ７４が退避位置に退避し、後端板７２によりステープル済の用紙束が、図２に示す排紙ローラ６０により排紙可能な位置まで押し出され、この排紙ローラ６０により第２用紙スタックトレイ６１上に排出される。
【００８６】
また、用紙整合装置を含む用紙後処理装置は、図１１に示す制御装置（制御手段）を備えている。この制御装置はＣＰＵ１２１、ＲＯＭ１２２およびＲＡＭ１２３を備えている。ＣＰＵ１２１には、後端板７２を用紙搬送方向に移動させるステッピングモータ８７、後端板７２を倒れ状態と起き上がり状態とに駆動するソレノイド９３、切換えゲート５３を切り換えるソレノイド１００、サイド規制板駆動部１２４、先端ストッパ駆動部１２５、ステイプラ７５、原点センサ９８および用紙検知スイッチ４９が接続されている。ＣＰＵ１２１は、ＲＯＭ１２２に格納されているプログラム、および原点センサ９８や用紙検知スイッチ４９等の検出結果に基づいて、前述のように、切換えゲート５３、後端板７２、サイド規制板７３、先端ストッパ７４およびステイプラ７５の動作を制御する。
【００８７】
次に、上記の用紙後処理装置４のステープル処理を行う場合の一連の動作を図１２のフローチャートにより説明する。
【００８８】
用紙後処理装置４では、後処理部５２でのステープル処理が選択された場合、先ず、切換えゲート５３が状態ａに配され（Ｓ１）、後端板７２が退避位置に配される（Ｓ２）。
【００８９】
この状態において、用紙Ｐがステープルトレイ７１に入紙すると（Ｓ３）、図１（ａ）に示すように、切換えゲート５３が状態ｂに配される（Ｓ４）。Ｓ３における入紙の判定は、例えば、用紙検知スイッチ４９での用紙の検知とＣＰＵ１２１での計時とにより可能である。
【００９０】
その後、後端板７２にて用紙Ｐの後端部が整合され、図１（ｂ）に示すように、サイド規制板７３にて用紙Ｐの側縁部が整合される（Ｓ５）。
【００９１】
次に、後端板７２が、図１（ｃ）に示すように、用紙後端押さえ位置に傾倒され（Ｓ６）、切換えゲート５３が状態ａに配される（Ｓ７）。
【００９２】
その後、１ジョブ（複数枚からなる一部のコピー、およびこれら複数枚の用紙Ｐの整合）が終了したか否かを判定する（Ｓ８）。ここでの１ジョブの終了の判定は、例えば、画像形成装置本体部１からＣＰＵ１２１に送信されるコピー枚数等の情報と、用紙検知スイッチ４９での用紙検出に基づく入紙枚数の検出により可能となる。
【００９３】
この判定の結果、１ジョブが終了していなければ、次の用紙Ｐの入紙を待ち、次の用紙Ｐの先端部が後端板７２を通過すると（Ｓ９）、後端板７２を退避位置に移動させ（Ｓ１０）、Ｓ３に移行してそれ以下の処理を繰り返す。Ｓ９における用紙Ｐの先端部が後端板７２を通過したか否かの判定は、例えば、用紙検知スイッチ４９での用紙の検知とＣＰＵ１２１での計時とにより可能である。
【００９４】
一方、Ｓ８において１ジョブが終了していれば、ステイプラ７５にてステープル処理を行い（Ｓ１１）、用紙束を第２用紙スタックトレイ６１に排出する（Ｓ１２）。
【００９５】
本発明の用紙整合装置は、可動整合部材が、入紙した用紙が長いときには、用紙の入紙直後に、用紙後端の浮き上がりを防止するために用紙の入紙方向とは逆方向に退避して用紙後端のカールによる浮きを矯正し、その後、用紙の整合位置において用紙の整合を行う構成としてもよい。
【００９６】
上記の構成によれば、排出される長尺用紙の後端カールを確実に矯正し、さらに排出される用紙の整合が可能となる。
【００９７】
また、本発明の用紙整合装置は、可動整合部材が、入紙した用紙が短いときには、用紙の入紙直後に、用紙後端の浮き上がりを防止するために用紙の排出方向とは逆方向に退避して用紙後端のカールによる浮きを矯正し、その後、用紙の整合のために、用紙の先端位置において入紙側の壁部とにより用紙の整合を行う構成としてもよい。
【００９８】
上記の構成によれば、入紙した用紙が小サイズである場合において、用紙の後端カールを確実に矯正し、かつ用紙の整合が可能となる。
【００９９】
上記の用紙整合装置は、可動整合部材の倒れと起き上がりが、可動整合部材の駆動ユニットが備える１対のねじ歯車と、一方のねじ歯車が取り付けられた、角度変化が明確となるシャフト（例えば、４角形等の多角形、星形、スプライン形状のもの）によって行われる構成としてもよい。
【０１００】
上記の構成によれば、シャフトの回転にて可動整合部材の倒れを制御でき、駆動源をユニットの外部に設置できる。
上記の用紙整合装置において、前記可動整合部材の上端部には、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部と係合し、それ以上の浮き上がりを阻止する用紙後端係止部が形成されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、可動整合部材の用紙後端係止部にて用紙の後端部を係止させることにより、整合動作時におけるカールした用紙後端部の浮き上がりを確実に防止することができる。これにより、可動整合部材によるさらに良好な整合動作が可能となる。
【０１０１】
【発明の効果】
以上のように、本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備えている構成である。
【０１０２】
上記の構成によれば、用紙を整合した後に、例えばステープル処理等の後処理を行う場合において、用紙が例えば定着装置を経てカールしたものであっても、カールした用紙をそのまま整合することがができる。
【０１０３】
これにより、用紙のカールを矯正するための高価なデカラーを必要とせず、簡単かつ安価な構成にて用紙の確実な整合が可能であるとともに、整合装置を備える用紙後処理装置や画像形成装置等の大型化を回避することができる。
【０１０４】
上記の用紙整合装置において、前記用紙後端押さえ部材は、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有している構成としてもよい。
【０１０５】
上記の構成によれば、可動整合部材の高さに制約されることなく、用紙後端押さえ部材の用紙後端押さえ動作を行うための用紙後端押さえ位置を適切な位置に設定することができる。また、用紙後端押さえ部材を用紙後端押さえ位置に配し、可動整合部材を整合動作させる状態において、用紙後端押さえ部材と可動整合部材との衝突を回避でき、両者の同時動作が可能となる。これにより、用紙後端押さえ部材と可動整合部材とによる適切な用紙整合動作が可能である。
【０１０６】
上記の用紙整合装置において、前記可動整合部材の上端部には、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部と係合し、それ以上の浮き上がりを阻止する用紙後端係止部が形成されている構成としてもよい。
【０１０７】
上記の構成によれば、可動整合部材の用紙後端係止部にて用紙の後端を係止させることにより、整合動作時におけるカールした用紙後端部の浮き上がりを確実に防止することができる。これにより、可動整合部材によるさらに良好な整合動作が可能となる。
【０１０８】
上記の用紙整合装置は、前記用紙後端押さえ部材が、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有し、前記可動整合部材の上端部に、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部と係合し、それ以上の浮き上がりを阻止する用紙後端係止部が形成され、用紙後端押さえ部材が前記の用紙後端押さえ位置に配された後、可動整合部材による整合動作が行われるように、前記用紙後端押さえ手段と可動整合手段とを制御する制御手段を備えている構成としてもよい。
【０１０９】
上記の構成によれば、可動整合部材による整合動作時には、先ず、用紙後端押さえ部材により、用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部が押さえ込まれ、その後、可動整合部材による整合動作が行われる。このとき、用紙の後端部は、用紙後端押さえ部材に押さえ込まれて可動整合部材の上端部よりも下方位置となっているので、少なくとも可動整合部材の上端部の用紙後端係止部にて係止される。したがって、カールした用紙であっても、用紙後端押さえ部材から可動整合部材に受け渡して、可動整合部材により用紙を確実に整合することができる。
【０１１０】
上記の用紙整合装置において、前記の可動整合部材は、整合動作を行う際の起き上がり状態と、この起き上がり状態から入紙方向の前方側へ倒れた倒れ状態とに保持可能であり、前記可動整合手段は、入紙した１枚の用紙の整合動作が完了したときに、可動整合部材を、前記倒れ状態に保持し、その上端部により、整合した用紙の後端部を押さえ込むように駆動する構成であってもよい。
【０１１１】
上記の構成によれば、用紙集積部に次に入紙されて来る用紙が可動整合部材に衝突する事態を防止し得るとともに、一旦整合された用紙の後端部が再び浮き上がり、用紙集積部に次に入紙されて来る用紙が、その用紙に衝突する事態、あるいはその用紙とその下の用紙との間に入り込み、頁順が入れ替わる事態等を防止することができる。
【０１１２】
上記の用紙整合装置において、前記の用紙後端押さえ部材は、用紙の入紙方向を前記用紙集積部の方向とそれ以外の方向とに切り換える切換え部材からなる構成としてもよい。
【０１１３】
上記の構成によれば、用紙後端押さえ部材が切り換え部材と兼用されるので、独立した用紙後端押さえ部材を設けて部品点数の増加や制御が複雑化する事態等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１（ａ）は、本発明の実施の一形態の用紙整合装置において、切換えゲートによるカールした用紙の後端部の押さえ込み動作を示す説明図、図１（ｂ）は、図１（ａ）の動作後の後端板による用紙の整合動作を示す説明図、図１（ｃ）は、図１（ｂ）の動作後に次の用紙を受け入れる際の切換えゲートと後端板との動作を示す説明図である。
【図２】図１に示した用紙整合装置を備える画像形成装置の概略の全体構成図である。
【図３】図２に示した用紙画像形成装置本体部をさらに詳細に示す全体構成図である。
【図４】図２に示した後処理部の構成を示す斜視図である。
【図５】図４に示した後端板駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図６】図５に示した後端板駆動機構の移動部における用紙のダメージ緩和動作を示す斜視図である。
【図７】図５に示した後端板駆動機構における後端板を倒れ状態とする動作を示す斜視図である。
【図８】図５に示した第２斜歯歯車とは別の第２斜歯歯車を備えた後端板駆動機構における移動部の構成を示す斜視図である。
【図９】図２に示した切換えゲートと図４に示した後端板との形状、および整合動作時における上記両者の位置関係を示す斜視図である。
【図１０】図１０（ａ）は、図９に示した切換えゲートを駆動する構成を示す正面図、図１０（ｂ）は、同側面図である。
【図１１】本実施の形態の用紙整合装置の動作を制御する制御装置の構成を示す概略のブロック図である。
【図１２】図１１に示した制御装置による制御動作を示すフローチャートである。
【図１３】図１３（ａ）は、用紙のカールを矯正するデカラーの一例を示す斜視図、図１３（ｂ）は、図１３（ａ）に示したデカラーの他の例を示す斜視図である。
【図１４】図１３（ｂ）に示したデカラーでの処理により、用紙のカールがさらに大きくなる例を示す斜視図である。
【符号の説明】
１ 画像形成装置本体部
２ 用紙スタック部
３ 原稿読取り部
４ 用紙後処理装置
６ 画像形成部
１７ 感光体
４４ 定着装置
４９ 用紙検知スイッチ
５１ エスケープ搬送路
５２ 後処理部
５３ 切換えゲート（用紙後端押さえ部材、用紙後端押さえ手段）
５３ａ 切欠き部
５３ｂ 用紙後端押さえ面
７１ ステープルトレイ（用紙集積部）
７２ 後端板（可動整合部材、可動整合手段）
７２ａ 切欠き部
７２ｂ 用紙後端係止部
７３ サイド規制板
７４ 先端ストッパ
７５ ステープラ
７６ 用紙側縁規制部
８１ 後端板駆動機構（可動整合部材、可動整合手段）
８７ ステッピングモータ
９３ ソレノイド
９８ 原点センサ
１００ ソレノイド
１０３ 復帰スプリング
１０４ 切換えゲート駆動機構（用紙後端押さえ手段）
１２１ ＣＰＵ（制御手段）
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、デジタル複合機や画像形成装置に備えられ、画像がプリントされた用紙に対する例えばステープル等の後処理の際に用紙を整合する用紙整合装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、画像形成装置としての例えば複写機には、例えば、特開平２−１４４３７０号および特開平１０−１７７２８２号に開示されているように、画像がプリントされた後の用紙に、後処理としてのステープル処理を施す用紙後処理装置を備えたものがある。この用紙後処理装置には、ステープル処理を行う前に、プリント後に用紙後処理装置に入紙した用紙を整合する用紙整合装置が備えられている。
【０００３】
一方、画像形成装置にて画像がプリントされた後の用紙は、トナー像を用紙に加熱圧着させる定着装置（ヒートローラ）を通過しており、カールが生じがちである。したがって、このような用紙を単に整合装置に入紙したのでは、通常、整合が困難となる。
【０００４】
そこで、従来では、画像形成装置の定着装置と用紙整合装置との間に、用紙のカールを取り除くためのデカラーを設けている。例えば図１３（ａ）に示すように、デカラー２０１は、ゴムからなる大径の駆動ローラ２０２の外周部に、ゴムあるいはプラスチックからなる小径の２個の従動ローラ２０３を備え、カールした用紙２０４ａのカールを上記駆動ローラ２０２と従動ローラ２０３とにより矯正し、カールを取り除いた用紙２０４ｂとするものである。また、他の例では、図１３（ｂ）に示すように、デカラー２１１は、ゴムからなる駆動ローラ２１２と、これに圧接される例えばスポンジからなる従動ローラ２１３とを備えた構成となっている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のデカラー２０１、２１１は、高価であるとともに、圧接力の微妙な調整が必要であり、扱いが容易ではない。
【０００６】
また、用紙に生じるカールの高さや方向は、用紙の製造方法、用紙の裁断方向（いわゆる縦目や横目）、用紙の種類、用紙の厚さあるいは用紙の吸湿度等により変化する。このため、上記のデカラー２０１、２１１では、上記の各条件に応じた非常に煩雑な設定が必要となる一方、これを行わなければ、用紙のカールを十分に取り除くことが困難である。極端な場合には、図１４において例えば前記デカラー２１１により示すように、定着装置において発生した用紙２０４ａの逆カールが、デカラー２１１での処理によりさらに大きなカール（用紙２０４ａ' ）となってしまい、整合装置において整合不良を生じている。
【０００７】
さらに、上記のデカラー２０１、２１１を設けた場合には、装置の大型化を招来する。
【０００８】
従って、本発明は、カールの矯正装置（デカラー２０１、２１１）を使用することなく、簡単な構成にて用紙を確実に整合することができ、整合装置を備える装置の小型化および低コスト化を図り得る用紙整合装置の提供を目的としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備えていることを特徴としている。
【００１０】
上記の構成によれば、用紙後端押さえ部材が、用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを押さえ込み、可動整合部材が上記用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する。
【００１１】
したがって、用紙を整合した後に、例えばステープル処理等の後処理を行う場合において、用紙が例えば定着装置を経てカールしたものであっても、カールした用紙をそのまま整合することがができる。
【００１２】
これにより、用紙のカールを矯正するための高価なデカラーを必要とせず、簡単かつ安価な構成にて用紙の確実な整合が可能であるとともに、整合装置を備える用紙後処理装置や画像形成装置等の大型化を回避することができる。
【００１３】
さらに、本発明の用紙整合装置は、前記用紙後端押さえ部材は、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有していることを特徴としている。
【００１４】
上記の構成によれば、可動整合部材の高さに制約されることなく、用紙後端押さえ部材の用紙後端押さえ動作を行うための用紙後端押さえ位置を適切な位置に設定することができる。また、用紙後端押さえ部材を用紙後端押さえ位置に配し、可動整合部材を整合動作させる状態において、用紙後端押さえ部材と可動整合部材との衝突を回避でき、両者の同時動作が可能となる。これにより、用紙後端押さえ部材と可動整合部材とによる適切な用紙整合動作が可能である。
【００１７】
本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、前記用紙後端押さえ部材が、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有し、前記可動整合部材の上端部に、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部と係合し、それ以上の浮き上がりを阻止する用紙後端係止部が形成され、用紙後端押さえ部材が前記の用紙後端押さえ位置に配された後、可動整合部材による整合動作が行われるように、前記用紙後端押さえ手段と可動整合手段とを制御する制御手段を備えている構成である。
【００１８】
上記の構成によれば、可動整合部材による整合動作時には、先ず、用紙後端押さえ部材が用紙後端押さえ位置に配される。これにより、用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部が押さえ込まれる。その後、可動整合部材による整合動作が行われる。このとき、用紙の後端部は、用紙後端押さえ部材に押さえ込まれて可動整合部材の上端部よりも下方位置となっているので、少なくとも可動整合部材の上端部の用紙後端係止部にて係止される。したがって、カールした用紙であっても、用紙後端押さえ部材から可動整合部材に受け渡して、可動整合部材により用紙を確実に整合することができる。
【００１９】
本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、前記の可動整合部材は、整合動作を行う際の起き上がり状態と、この起き上がり状態から入紙方向の前方側へ倒れた倒れ状態とに保持可能であり、前記可動整合手段は、入紙した１枚の用紙の整合動作が完了したときに、可動整合部材を、前記倒れ状態に保持し、その上端部により、整合した用紙の後端部を押さえ込むように駆動する構成である。
【００２０】
上記の構成によれば、可動整合部材は、入紙した１枚の用紙の整合動作が完了したときに倒れ状態に保持されて、その上端部により、整合した用紙の後端部を押さえ込む。
【００２１】
これにより、用紙集積部に次に入紙されて来る用紙が可動整合部材に衝突する事態を防止し得るとともに、一旦整合された用紙の後端部が再び浮き上がり、用紙集積部に次に入紙されて来る用紙が、その用紙に衝突する事態、あるいはその用紙とその下の用紙との間に入り込み、頁順が入れ替わる事態等を防止することができる。
【００２２】
本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、前記の用紙後端押さえ部材は、用紙の入紙方向を前記用紙集積部の方向とそれ以外の方向とに切り換える切換え部材からなり、前記用紙後端押さえ部材による用紙の後端押さえ動作が行われている状態において前記可動整合部材による整合動作が行われる構成である。
【００２３】
上記の構成によれば、用紙後端押さえ部材が切り換え部材と兼用されるので、独立した用紙後端押さえ部材を設けて部品点数の増加や制御が複雑化する事態等を抑制することができる。
【００２４】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図１ないし図１２に基づいて以下に説明する。
画像形成装置は、図２に示すように、画像形成装置本体部１と用紙スタック部２とを有し、画像形成装置本体部１には、上部から下部方向に、原稿読取り部３、用紙後処理装置４、本体トレイ５と画像形成部６、および給紙部７が設けられている。
【００２５】
原稿読取り部３は、図３に示すように、上面に透明なガラス等からなる原稿載置台１１を有し、この原稿載置台１１の下方にスキャナー光学系１２を有している。スキャナー光学系１２は、露光用光源１３、複数の反射鏡１４、結像レンズ１５およびＣＣＤ１６を備えている。
【００２６】
露光用光源１３は、原稿載置台１１上に載置された原稿に光を照射する。この原稿からの反射光は、反射鏡１４により、結像レンズ１５を経てＣＣＤ（光電変換素子）１６に導かれる。
【００２７】
画像形成部６は、図３に示すように、ドラム形状をなして矢印方向に回転する感光体１７を有している。また、この感光体１７の周りの上記矢印方向に、現像装置１８、転写チャージャ１９、クリーニング装置（図示せず）、除電装置２０、主帯電器２１およびレーザースキャニングユニット（以下ＬＳＵ２２と称する）２２を有している。
【００２８】
前記ＣＣＤ１６により読み取られた原稿画像データは、画像処理が施された後、ＬＳＵ２２に供給される。ＬＳＵ２２は、原稿画像データをレーザー光として感光体１７の表面に照射し、静電潜像を形成する。現像装置１８は、この静電潜像をトナーにより可視像に現像する。転写チャージャ１９は、現像により感光体１７の表面に形成されたトナー像を用紙Ｐに転写する。クリーニング装置は、感光体１７の表面の残留トナーを除去する。除電装置２０は、感光体１７の表面の残留電荷を除去する。主帯電器２１は、感光体１７を所定の電位に帯電させる。
【００２９】
給紙部７は用紙Ｐを収容した用紙カセット３１を備えている。用紙カセット３１における出紙方向の先端位置には、用紙Ｐを出紙するための呼込みローラ３２、および用紙さばきローラ３３が設けられている。この用紙さばきローラ３３は、一方向に回転するローラと逆回転するローラとからなり、用紙Ｐの二重送りを防止している。なお、この構成に代えて、ローラと摩擦シート部材からなる構成であってもよい。
【００３０】
用紙搬送路として、給紙部７にはカセット側出紙路３４が設けられている。用紙搬送路において用紙Ｐが上流側から下流側に流れるものとした場合、上記カセット側出紙路３４の上流側端部には、前記用紙さばきローラ３３が設けられている。また、用紙搬送路として、画像形成部６には、手差し給紙路３５、主搬送路３６、反転搬送路３７および排紙搬送路３８が設けられ、用紙後処理装置４には後処理搬送路３９が設けられている。
【００３１】
手差し給紙路３５の上流側端部には、用紙さばきローラ４０が設けられ、この位置には、手差しトレイ４１および呼込みローラ４２が設けられている。
【００３２】
カセット側出紙路３４と手差し給紙路３５との下流側端部、および反転搬送路３７の一端部は、合流して主搬送路３６の上流側端部と接続されている。主搬送路３６は上方へ延び、下流側端部付近において反転搬送路３７の他端部と合流し、さらに、その下流側において、排紙搬送路３８と後処理搬送路３９とに分岐している。
【００３３】
主搬送路３６の上流側端部にはレジストローラ４３が設けられ、レジストローラ４３の上流側位置には、用紙の通過を検知するレジスト前検知スイッチ（図示せず）が設けられている。画像形成装置では、上記レジスト前検知スイッチの検知信号に基づき、感光体１７上のトナー像と用紙Ｐとの位置合わせをレジストローラ４３にて行っている。
【００３４】
主搬送路３６における転写チャージャ１９の下流側位置には、用紙Ｐ上のトナー像を加熱圧着させる定着装置４４が設けられている。この定着装置４４は、一対の定着ローラと、この定着ローラにおける用紙の通過を検知する定着紙検知スイッチ（図示せず）を有している。
【００３５】
排紙搬送路３８の下流側端部には、用紙Ｐを本体トレイ５に排紙する排紙ローラ４５が設けられ、この排紙ローラ４５の上流側位置には、排紙ローラ４５における用紙の通過を検知する排紙検知スイッチ（図示せず）が設けられている。
【００３６】
また、排紙搬送路３８と後処理搬送路３９との分岐部には、用紙Ｐの進行方向をこれらの何れかの方向に切り換える切換えゲート４６が設けられている。
【００３７】
上記の後処理搬送路３９は、図２に示すように、用紙Ｐを用紙後処理装置４に導くようになっている。後処理搬送路３９の中途位置には複数の搬送ローラ４７画設けられ、下流側端部には排紙ローラ４８が設けられている。また、排紙ローラ４８の上流側位置には、用紙後処理装置４への入紙を検知する用紙検知スイッチ４９が設けられている。
【００３８】
用紙後処理装置４は、排紙ローラ４８の下流側の上側位置に、非後処理搬送路となるエスケープ搬送路５１を有し、下側位置に、後処理部５２を有している。また、これらエスケープ搬送路５１と後処理部５２との分岐位置には、用紙Ｐの進行方向をこれらの何れかに切り換える切換えゲート（用紙後端押さえ部材、用紙後端押さえ手段）５３が設けられている。
【００３９】
エスケープ搬送路５１は、特殊紙や小サイズ紙等のステープル処理が禁止されている用紙Ｐを排出する際、あるいはステープル処理を行わない用紙Ｐを多量に排出する際に使用される。このエスケープ搬送路５１が選択されたとき、切換えゲート５３は二点鎖線にて示す状態ｂに切り換えられる。
【００４０】
一方、後処理部５２は、後処理すなわちステープル処理、トレイのオフセットによる用紙Ｐの仕分けを行う際に使用される。この後処理部５２が選択されたとき、切換えゲート５３は実線にて示す状態ａに切り換えられる。
【００４１】
エスケープ搬送路５１の下流側端部には用紙スタック部２の第１排出路５４と第２排出路５５とが接続され、後処理部５２の下流側端部には用紙スタック部２の第３排出路５６が接続されている。第１排出路５４と第２排出路５５への分岐部には、用紙Ｐの進行方向をこれらの何れかの方向に切り換える切換えゲート５７が設けられている。用紙Ｐは、切換えゲート５７が、実線にて示す状態ａのときに第１排出路５４に導かれ、二点鎖線にて示す状態ｂのときに第２排出路５５に導かれる。
【００４２】
第１排出路５４は、搬送ローラ５８を有し、用紙Ｐを第１用紙スタックトレイ５９に排出する。第２排出路５５は、排紙ローラ６０を有し、用紙Ｐを第２用紙スタックトレイ６１に排出する。第２用紙スタックトレイ６１は上下動可能であり、かつ第２用紙スタックトレイ６１への用紙Ｐの排紙方向と直交する水平方向にオフセット移動可能となっている。
【００４３】
用紙後処理装置４のエスケープ搬送路５１は、一般的なゴムローラからなり、用紙Ｐの搬送方向に配置された複数個の搬送ローラ６２を有している。これら搬送ローラ６２は、第１用紙スタックトレイ５９および第２用紙スタックトレイ６１に排紙可能として設定されている最小サイズの用紙Ｐにおける搬送方向長さよりも短いピッチにて配されている。エスケープ搬送路５１は、上記搬送ローラ６２にコロを加圧したローラ対、上ペーパーガイド６３および下ペーパーガイド６４により構成されている。この下ペーパーガイド６４は、後処理部５２における上ペーパーガイドとしても機能する。
【００４４】
後処理部５２には、ほぼ水平に、ステープルトレイ（用紙集積部）７１が配置されている。このステープルトレイ７１には、図４に示すように、後端板（可動整合部材、可動整合手段）７２、サイド規制板７３、先端ストッパ７４およびステープラ７５が設けられている。
【００４５】
後端板７２は、用紙搬送方向の前後方向に移動可能であり、ステープルトレイ７１上に入紙した用紙Ｐの後縁部を押して先端ストッパ７４に押し当てることにより、用紙Ｐの前後方向位置の整合を行うようになっている。
【００４６】
サイド規制板７３は、ステープルトレイ７１における用紙搬送方向に直交する用紙幅方向の一端側に設けられている。ステープルトレイ７１には、サイド規制板７３に対向して、上記一端側とは反対側に、上方に立ち上がった用紙側縁規制部７６が形成されている。サイド規制板７３は、用紙搬送方向に直交する用紙幅方向に移動可能であり、ステープルトレイ７１上に入紙した用紙Ｐの側縁部を押して用紙側縁規制部７６に押し当てることにより、用紙Ｐの前記用紙幅方向位置の整合を行うようになっている。
【００４７】
先端ストッパ７４は、ステープルトレイ７１における用紙搬送方向の前端側に設けられ、ステープルトレイ７１上での用紙の整合位置、即ちステープル処理される用紙の前端位置を規制して位置決めするようになっている。先端ストッパ７４は、同図に示す規制位置、およびステープルトレイ７１の上面から下方へ退行した退避位置に移動可能となっている。
【００４８】
後端板７２は、図５に示すように、用紙搬送方向に直交する用紙幅方向に延びた板状をなしている。後端板７２の上端部には、用紙搬送方向の前方に突出し、カールした用紙Ｐの後端部と係合し、用紙Ｐの後端部のそれ以上の浮き上がりを防止する用紙後端係止部７２ｂが形成されている。
【００４９】
後端板７２は、同図に示す後端板駆動機構（可動整合手段）８１により駆動される。後端板駆動機構８１は、後端板７２と共に移動する移動部として、ベース部材８２、スライド部材８３、第１斜歯歯車８４、第２斜歯歯車８５および与圧スプリング８６を備えている。また、上記移動部を移動させる駆動部として、ステッピングモータ８７、第１ベルト８８、第２ベルト８９、第１プーリ９０、第２プーリ９１および第３プーリ９２を備えている。さらに、後端板７２を回転させる駆動部として、ソレノイド９３、ソレノイドアーム９４、連結アーム９５、シャフトアーム９６、角シャフト９７および復帰スプリング９９を備えている。その他、原点センサ９８を備えている。
【００５０】
第２ベルト８９は、ステープルトレイ７１の下面側において、第２プーリ９１と第３プーリ９２とに架設され、用紙搬送方向に配されている。ベース部材８２は、この第２ベルト８９に連結されている。
【００５１】
第２プーリ９１は用紙搬送方向における後方位置に配され、第３プーリ９２は前方位置に配されている。第１プーリ９０と第２プーリ９１とは同一軸に設けられ、一体的に回転する。第１プーリ９０は、第１ベルト８８によりステッピングモータ８７の回転軸と接続されている。したがって、ステッピングモータ８７の回転により、ベース部材８２が用紙搬送方向の前後方向に移動する。
【００５２】
第２ベルト８９の互いに対向する往路側と復路側との間の空間には、角シャフト９７が用紙搬送方向に配されている。この角シャフト９７における後端部は、シャフトアーム９６、連結アーム９５およびソレノイドアーム９４を介してソレノイド９３と接続されている。したがって、ソレノイド９３に駆動されて角シャフト９７がその軸周りに回転する。
【００５３】
角シャフト９７には、第１斜歯歯車８４が用紙搬送方向に移動自在にかつ角シャフト９７と一体的に回転するように嵌合されている。第１斜歯歯車８４には第２斜歯歯車８５が噛み合っている。第２斜歯歯車８５は、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向を軸方向とし、その軸８５ａにより、スライド部材８３に回転自在に取り付けられている。また、上記軸８５ａには、用紙幅方向に延びる後端板７２が固定されている。
【００５４】
スライド部材８３は、ベース部材８２の上に設けられ、与圧スプリング８６を介して、ベース部材８２に対して用紙搬送方向に移動可能に設けられている。したがって、ステッピングモータ８７の回転により、後端板７２が用紙搬送方向の前後方向に移動する。なお、スライド部材８３のベース部材８２に対する移動可能量は、スライド部材８３に形成された長穴８３ｂに、ベース部材８２に設けられたピン８２ａが挿入されている構造により規制されている。
【００５５】
上記の後端板駆動機構８１では、ステッピングモータ８７が時計回りに回転することにより、後端板７２を含む移動部が用紙搬送方向における後方に移動する。このとき、スライド部材８３の後端部に設けられた検出片８３ａが原点センサ９８により検出されると、後端板７２がホームポジションに到達したことになり、ステッピングモータ８７が停止される。
【００５６】
一方、ステッピングモータ８７が反時計回りに任意パルス数回転するとことにより、パルス数に応じた任意の位置に後端板７２を移動させることができる。
【００５７】
この場合、後端板７２、即ちスライド部材８３は、与圧スプリング８６の圧縮反発力により、通常はベース部材８２と一体となって移動する。しかしながら、後端板７２による整合動作においては、用紙サイズのばらつき（通常はロット間で約±１ｍｍ）により、用紙Ｐが必要以上に押し込まれる場合がある。この場合、用紙Ｐが規定サイズより大きいと、その用紙Ｐが後端板７２の強い押し込み力によりダメージを受ける虞がある。そこで、このような事態を回避するため、用紙Ｐに対して必要以上の押し込み力が作用するときには、図６に示すように、与圧スプリング８６の圧縮動作により後端板７２を停止させるようにしている。これにより、用紙Ｐを常に適切な押し込み力にて整合でき、用紙Ｐにダメージを与えることがない。
【００５８】
また、ソレノイド９３がＯＮとなり退行動作を行うと、ソレノイドアーム９４が回転して連結アーム９５を引き、シャフトアーム９６、即ち角シャフト９７が９０度回転する。これにより、第１斜歯歯車８４および第２斜歯歯車８５が９０度回転し、図７に示すように、後端板７２が倒れ状態となる。この場合の倒れ角度は、角シャフト９７の回転角度の調整等により、適宜設定可能である。また、この動作は後端板７２を含む後端板駆動機構８１の前記移動部が移動中であっても可能である。
【００５９】
一方、ソレノイド９３がＯＦＦになると、ソレノイドアーム９４に接続された復帰スプリング９９の引っ張り力により、角シャフト９７が元の位置に逆回転する。これにより、後端板７２が起き上がり状態となる。
【００６０】
なお、後端板駆動機構８１の移動部において、第２斜歯歯車８５は、図８に示す第２斜歯歯車８５' を使用することも可能である。この第２斜歯歯車８５' は、ピン配列によって歯車を形成している。このような構成では、第２斜歯歯車８５' と後端板７２とを例えば射出成形により一体成形することが可能となり、製造が容易である。
【００６１】
即ち、図５に示した第２斜歯歯車８５の射出成形においては、金型から製品を抜き取る場合に、金型から製品を回転させながら抜き取る方法が考えられる。したがって、第２斜歯歯車８５と後端板７２とを一体成形した場合には上記抜き取りが行えず、両者の一体成形は不可能である。これに対し、斜歯歯車がピン配列からなる第２斜歯歯車８５' では、回転による製品抜き取りが不要となり、射出成形において両者の一体成形が可能となる。
【００６２】
図２に示した切換えゲート５３は、用紙後端押さえ部材としても機能する。この機能は、ステープルトレイ７１に入紙した用紙Ｐが、定着装置４４を通過したときにカールした場合であっても、後端板７２による整合が可能となるように、切換えゲート５３の先端部により用紙Ｐの後端部を押さえ込むものである。
【００６３】
このために、切換えゲート５３は図９に示す形状を有している。即ち、切換えゲート５３は、先端側に複数の切欠き部５３ａが形成され、この切欠き部５３ａを有することにより先端側が凹凸形状となっている。この凹凸形状に対応して、後端板７２は、上端側に切欠き部７２ａを形成することにより、上端側が凹凸形状となっている。
【００６４】
両者の上記形状により、図９に示すように、後端板７２がホームポジション（実線にて示す位置）から用紙Ｐを整合する整合位置（二点鎖線にて示す位置）に進出するとともに、切換えゲート５３が用紙後端押さえ位置（図２に示す状態ｂ）に降下した状態において、切換えゲート５３の先端部の下面（後述の用紙後端押さえ面５３ｂ）を後端板７２の上端部よりも下方の位置に配することができる。
【００６５】
したがって、切換えゲート５３における切欠き部５３ａの深さは、用紙Ｐの整合のための後端板７２の進出位置に応じて設定され、後端板７２における切欠き部７２ａの深さは、カールした用紙Ｐを後端板７２により整合可能となるように、カールした用紙Ｐの後端部を適切に押さえ込み得る後端板７２の先端部の高さ位置に応じて設定される。
【００６６】
また、切換えゲート５３は、ステープルトレイ７１に入紙する用紙Ｐにおける用紙入紙方向と直交する用紙幅方向の長さに相当する長さを有しており、角がカールした用紙（角折れ用紙）Ｐに対しても適切に押さえ込み機能を発揮する。
【００６７】
上記の切換えゲート５３は、図１０（ａ）（ｂ）に示すように、切換えゲート駆動機構（用紙後端押さえ手段）１０４により駆動される。切換えゲート駆動機構１０４において、切換えゲート５３は軸部材１０１により回転可能に支持され、この軸部材１０１にはソレノイド接続アーム１０２が設けられ、このソレノイド接続アーム１０２が、ソレノイド１００のロッド１００ａと接続されている。また、上記軸部材１０１には復帰スプリング１０３が設けられている。この復帰スプリング１０３は、ソレノイド１００がＯＮする前の状態に切換えゲート５３を復帰させるものであり、ねじりコイルばねからなる。
【００６８】
切換えゲート５３は、ソレノイド１００がＯＮとなってロッド１００ａが退行すると、用紙後端押さえ位置（図１０（ａ）に実線にて示す位置、状態ｂ）に回転し、その下面である用紙後端押さえ面５３ｂにてカールした用紙Ｐの後端部を押さえ込む。一方、ソレノイド１００がＯＦＦになると、復帰スプリング１０３に駆動されて、復帰位置（図１０（ａ）に二点鎖線にて示す位置、状態ａ）に回転する。
【００６９】
そして、本実施の形態においては、上記の切換えゲート５３、ステープルトレイ７１、後端板７２、サイド規制板７３、先端ストッパ７４およびそれらの駆動機構により用紙整合装置が構成されている。
【００７０】
上記の構成において、図３に示した画像形成部６において、感光体１７に形成されたトナー像は、例えば用紙カセット３１から供給される用紙Ｐに転写チャージャ１９により転写された後、定着装置４４により用紙Ｐに定着される。
【００７１】
上記の用紙Ｐがステープル処理（後処理）される場合、トレイのオフセットにより仕分けされる場合、あるいは大量に排出される場合には、これら何れかの処理を指令する予め行われた設定に基づいて、切換えゲート４６が、図２に示した状態ａに切り換えられる。これにより用紙Ｐは、主搬送路３６から後処理搬送路３９に導かれる。
【００７２】
次に、上記の用紙Ｐが特殊紙や小サイズ紙等のステープル処理が禁止されているものである場合、あるいはステープル処理を行わないように設定されたものである場合には、切換えゲート５３が状態ｂに切り換えられる。これにより、用紙Ｐはエスケープ搬送路５１に導かれる。
【００７３】
その後、例えば小サイズの用紙Ｐは、状態ａに切り換えられた切換えゲート５７に案内されて、第１用紙スタックトレイ５９に排出され、例えば大量の用紙Ｐは、状態ｂに切り換えられた切換えゲート５７に案内されて、第２用紙スタックトレイ６１に排出される。
【００７４】
一方、上記の切換えゲート５３は、例えば大サイズの用紙Ｐがステープル処理される場合、さらにトレイのオフセットにより仕分けされる場合等において、状態ａに切り換えられる。これにより、用紙Ｐは後処理部５２に入紙する。
【００７５】
後処理部５２に入紙した用紙Ｐは、図４に示したステープルトレイ７１上に集積される。このとき、先端ストッパ７４は同図に示す規制位置に上昇しており、用紙Ｐが入紙する毎に、後端板７２が退避位置から用紙サイズに応じた整合位置に進出して用紙Ｐの後端部を押して用紙Ｐの先端部を先端ストッパ７４に押し当てることにより、用紙Ｐを用紙搬送方向に整合する。同様に、用紙Ｐが入紙する毎に、サイド規制板７３が退避位置から用紙サイズに応じた整合位置に進出して、用紙Ｐの一方の側縁部を押して用紙Ｐの他方の側縁部を用紙側縁規制部７６に押し当てることにより、用紙Ｐを用紙搬送方向と直交する幅方向に整合する。
【００７６】
これら後端板７２とサイド規制板７３とは、上記の整合動作をほぼ同時に行い、整合動作後、次の用紙Ｐの受け入れのため、それぞれの退避位置に退避する。なお、上記整合動作は、１枚の用紙Ｐについて複数回実施すると、用紙Ｐ同士のずれを少なくしてさらに良好に整合することができる。
【００７７】
また、後端板７２による整合動作の際には、図１（ａ）に示すように、先ず、状態ａによって用紙Ｐを後処理部５２に案内した切換えゲート５３が、後処理部５２への用紙Ｐの入紙後にソレノイド１００がＯＮとなることにより、状態ｂ（用紙後端押さえ位置）に切り換えられる。その後、図１（ｂ）に示すように、後端板７２が退避位置から整合位置に進出する。
【００７８】
上記のように、後端板７２による整合動作の際に、先ず切換えゲート５３が状態ｂに切り換えられることにより、定着装置４４での定着処理によってカールし、用紙Ｐの浮き上がった後端部が、切換えゲート５３の用紙後端押さえ面５３ｂにより下方へ押さえ込まれる。この状態にて後端板７２が整合位置に進出すると、後端板７２は、カールしている用紙に対してもその後端部を確実に押すことができる。
【００７９】
また、このとき、用紙Ｐの後端部は、切換えゲート５３に押さえ込まれて後端板７２の用紙後端係止部７２ｂよりも下方位置となっているので、少なくとも用紙後端係止部７２ｂにて係止される。したがって、カールした用紙Ｐであっても、切換えゲート５３から後端板７２に受け渡して、後端板７２により用紙Ｐを確実に整合することができる。
【００８０】
したがって、ステープル処理の際には、ステープルトレイ７１上に集積された用紙束における各用紙Ｐの先端部のバラツキが少なくなり、用紙束の崩れが少なくなる。
【００８１】
また、上記のように、切換えゲート５３および後端板７２による用紙Ｐの整合の際には、切換えゲート５３の先端部および後端板７２の凹凸形状により、切換えゲート５３の先端部は、後端板７２の上端部よりも下方に位置することができる。これにより、後端板７２の高さを低くすることなく、即ち後端板７２の整合機能を劣化させることなく、切換えゲート５３による、カールした用紙の後端押さえ機能を得ることができる。
【００８２】
入紙した１枚の用紙Ｐの整合完了後には、次の用紙Ｐを受け入れるため、ソレノイド１００がＯＦＦとなって切換えゲート５３が状態ａに復帰する。また、後端板７２は、図１（ｃ）に示すように、次に入紙してくる用紙Ｐとの干渉を避け、かつ先程整合した用紙Ｐの後端部を押さえ込むため、所定距離だけ退避方向へ後退するとともに前方に倒れ込む（用紙後端押さえ位置）。この状態において、後端板７２は、上端部、即ち前方凸部７２ｂにより用紙Ｐの後端部を押さえ込んでいる。
【００８３】
上記の状態は、用紙Ｐの先端部が後端板７２の上端部を完全に通過するまで維持される。その後、後端板７２は、図１（ａ）に示すように、起き上がるとともに、退避位置に移動する。
【００８４】
その後、最後の用紙Ｐの整合動作が完了すると、後端板７２とサイド規制板７３とにより用紙束を位置決めした状態にて、ステープラ７５によるステープル処理が行われる。
【００８５】
このステープル処理が終了すると、先端ストッパ７４が退避位置に退避し、後端板７２によりステープル済の用紙束が、図２に示す排紙ローラ６０により排紙可能な位置まで押し出され、この排紙ローラ６０により第２用紙スタックトレイ６１上に排出される。
【００８６】
また、用紙整合装置を含む用紙後処理装置は、図１１に示す制御装置（制御手段）を備えている。この制御装置はＣＰＵ１２１、ＲＯＭ１２２およびＲＡＭ１２３を備えている。ＣＰＵ１２１には、後端板７２を用紙搬送方向に移動させるステッピングモータ８７、後端板７２を倒れ状態と起き上がり状態とに駆動するソレノイド９３、切換えゲート５３を切り換えるソレノイド１００、サイド規制板駆動部１２４、先端ストッパ駆動部１２５、ステイプラ７５、原点センサ９８および用紙検知スイッチ４９が接続されている。ＣＰＵ１２１は、ＲＯＭ１２２に格納されているプログラム、および原点センサ９８や用紙検知スイッチ４９等の検出結果に基づいて、前述のように、切換えゲート５３、後端板７２、サイド規制板７３、先端ストッパ７４およびステイプラ７５の動作を制御する。
【００８７】
次に、上記の用紙後処理装置４のステープル処理を行う場合の一連の動作を図１２のフローチャートにより説明する。
【００８８】
用紙後処理装置４では、後処理部５２でのステープル処理が選択された場合、先ず、切換えゲート５３が状態ａに配され（Ｓ１）、後端板７２が退避位置に配される（Ｓ２）。
【００８９】
この状態において、用紙Ｐがステープルトレイ７１に入紙すると（Ｓ３）、図１（ａ）に示すように、切換えゲート５３が状態ｂに配される（Ｓ４）。Ｓ３における入紙の判定は、例えば、用紙検知スイッチ４９での用紙の検知とＣＰＵ１２１での計時とにより可能である。
【００９０】
その後、後端板７２にて用紙Ｐの後端部が整合され、図１（ｂ）に示すように、サイド規制板７３にて用紙Ｐの側縁部が整合される（Ｓ５）。
【００９１】
次に、後端板７２が、図１（ｃ）に示すように、用紙後端押さえ位置に傾倒され（Ｓ６）、切換えゲート５３が状態ａに配される（Ｓ７）。
【００９２】
その後、１ジョブ（複数枚からなる一部のコピー、およびこれら複数枚の用紙Ｐの整合）が終了したか否かを判定する（Ｓ８）。ここでの１ジョブの終了の判定は、例えば、画像形成装置本体部１からＣＰＵ１２１に送信されるコピー枚数等の情報と、用紙検知スイッチ４９での用紙検出に基づく入紙枚数の検出により可能となる。
【００９３】
この判定の結果、１ジョブが終了していなければ、次の用紙Ｐの入紙を待ち、次の用紙Ｐの先端部が後端板７２を通過すると（Ｓ９）、後端板７２を退避位置に移動させ（Ｓ１０）、Ｓ３に移行してそれ以下の処理を繰り返す。Ｓ９における用紙Ｐの先端部が後端板７２を通過したか否かの判定は、例えば、用紙検知スイッチ４９での用紙の検知とＣＰＵ１２１での計時とにより可能である。
【００９４】
一方、Ｓ８において１ジョブが終了していれば、ステイプラ７５にてステープル処理を行い（Ｓ１１）、用紙束を第２用紙スタックトレイ６１に排出する（Ｓ１２）。
【００９５】
本発明の用紙整合装置は、可動整合部材が、入紙した用紙が長いときには、用紙の入紙直後に、用紙後端の浮き上がりを防止するために用紙の入紙方向とは逆方向に退避して用紙後端のカールによる浮きを矯正し、その後、用紙の整合位置において用紙の整合を行う構成としてもよい。
【００９６】
上記の構成によれば、排出される長尺用紙の後端カールを確実に矯正し、さらに排出される用紙の整合が可能となる。
【００９７】
また、本発明の用紙整合装置は、可動整合部材が、入紙した用紙が短いときには、用紙の入紙直後に、用紙後端の浮き上がりを防止するために用紙の排出方向とは逆方向に退避して用紙後端のカールによる浮きを矯正し、その後、用紙の整合のために、用紙の先端位置において入紙側の壁部とにより用紙の整合を行う構成としてもよい。
【００９８】
上記の構成によれば、入紙した用紙が小サイズである場合において、用紙の後端カールを確実に矯正し、かつ用紙の整合が可能となる。
【００９９】
上記の用紙整合装置は、可動整合部材の倒れと起き上がりが、可動整合部材の駆動ユニットが備える１対のねじ歯車と、一方のねじ歯車が取り付けられた、角度変化が明確となるシャフト（例えば、４角形等の多角形、星形、スプライン形状のもの）によって行われる構成としてもよい。
【０１００】
上記の構成によれば、シャフトの回転にて可動整合部材の倒れを制御でき、駆動源をユニットの外部に設置できる。
上記の用紙整合装置において、前記可動整合部材の上端部には、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部と係合し、それ以上の浮き上がりを阻止する用紙後端係止部が形成されている構成としてもよい。
上記の構成によれば、可動整合部材の用紙後端係止部にて用紙の後端部を係止させることにより、整合動作時におけるカールした用紙後端部の浮き上がりを確実に防止することができる。これにより、可動整合部材によるさらに良好な整合動作が可能となる。
【０１０１】
【発明の効果】
以上のように、本発明の用紙整合装置は、入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備えている構成である。
【０１０２】
上記の構成によれば、用紙を整合した後に、例えばステープル処理等の後処理を行う場合において、用紙が例えば定着装置を経てカールしたものであっても、カールした用紙をそのまま整合することがができる。
【０１０３】
これにより、用紙のカールを矯正するための高価なデカラーを必要とせず、簡単かつ安価な構成にて用紙の確実な整合が可能であるとともに、整合装置を備える用紙後処理装置や画像形成装置等の大型化を回避することができる。
【０１０４】
上記の用紙整合装置において、前記用紙後端押さえ部材は、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有している構成としてもよい。
【０１０５】
上記の構成によれば、可動整合部材の高さに制約されることなく、用紙後端押さえ部材の用紙後端押さえ動作を行うための用紙後端押さえ位置を適切な位置に設定することができる。また、用紙後端押さえ部材を用紙後端押さえ位置に配し、可動整合部材を整合動作させる状態において、用紙後端押さえ部材と可動整合部材との衝突を回避でき、両者の同時動作が可能となる。これにより、用紙後端押さえ部材と可動整合部材とによる適切な用紙整合動作が可能である。
【０１０６】
上記の用紙整合装置において、前記可動整合部材の上端部には、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部と係合し、それ以上の浮き上がりを阻止する用紙後端係止部が形成されている構成としてもよい。
【０１０７】
上記の構成によれば、可動整合部材の用紙後端係止部にて用紙の後端を係止させることにより、整合動作時におけるカールした用紙後端部の浮き上がりを確実に防止することができる。これにより、可動整合部材によるさらに良好な整合動作が可能となる。
【０１０８】
上記の用紙整合装置は、前記用紙後端押さえ部材が、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有し、前記可動整合部材の上端部に、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部と係合し、それ以上の浮き上がりを阻止する用紙後端係止部が形成され、用紙後端押さえ部材が前記の用紙後端押さえ位置に配された後、可動整合部材による整合動作が行われるように、前記用紙後端押さえ手段と可動整合手段とを制御する制御手段を備えている構成としてもよい。
【０１０９】
上記の構成によれば、可動整合部材による整合動作時には、先ず、用紙後端押さえ部材により、用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部が押さえ込まれ、その後、可動整合部材による整合動作が行われる。このとき、用紙の後端部は、用紙後端押さえ部材に押さえ込まれて可動整合部材の上端部よりも下方位置となっているので、少なくとも可動整合部材の上端部の用紙後端係止部にて係止される。したがって、カールした用紙であっても、用紙後端押さえ部材から可動整合部材に受け渡して、可動整合部材により用紙を確実に整合することができる。
【０１１０】
上記の用紙整合装置において、前記の可動整合部材は、整合動作を行う際の起き上がり状態と、この起き上がり状態から入紙方向の前方側へ倒れた倒れ状態とに保持可能であり、前記可動整合手段は、入紙した１枚の用紙の整合動作が完了したときに、可動整合部材を、前記倒れ状態に保持し、その上端部により、整合した用紙の後端部を押さえ込むように駆動する構成であってもよい。
【０１１１】
上記の構成によれば、用紙集積部に次に入紙されて来る用紙が可動整合部材に衝突する事態を防止し得るとともに、一旦整合された用紙の後端部が再び浮き上がり、用紙集積部に次に入紙されて来る用紙が、その用紙に衝突する事態、あるいはその用紙とその下の用紙との間に入り込み、頁順が入れ替わる事態等を防止することができる。
【０１１２】
上記の用紙整合装置において、前記の用紙後端押さえ部材は、用紙の入紙方向を前記用紙集積部の方向とそれ以外の方向とに切り換える切換え部材からなる構成としてもよい。
【０１１３】
上記の構成によれば、用紙後端押さえ部材が切り換え部材と兼用されるので、独立した用紙後端押さえ部材を設けて部品点数の増加や制御が複雑化する事態等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１（ａ）は、本発明の実施の一形態の用紙整合装置において、切換えゲートによるカールした用紙の後端部の押さえ込み動作を示す説明図、図１（ｂ）は、図１（ａ）の動作後の後端板による用紙の整合動作を示す説明図、図１（ｃ）は、図１（ｂ）の動作後に次の用紙を受け入れる際の切換えゲートと後端板との動作を示す説明図である。
【図２】図１に示した用紙整合装置を備える画像形成装置の概略の全体構成図である。
【図３】図２に示した用紙画像形成装置本体部をさらに詳細に示す全体構成図である。
【図４】図２に示した後処理部の構成を示す斜視図である。
【図５】図４に示した後端板駆動機構の構成を示す斜視図である。
【図６】図５に示した後端板駆動機構の移動部における用紙のダメージ緩和動作を示す斜視図である。
【図７】図５に示した後端板駆動機構における後端板を倒れ状態とする動作を示す斜視図である。
【図８】図５に示した第２斜歯歯車とは別の第２斜歯歯車を備えた後端板駆動機構における移動部の構成を示す斜視図である。
【図９】図２に示した切換えゲートと図４に示した後端板との形状、および整合動作時における上記両者の位置関係を示す斜視図である。
【図１０】図１０（ａ）は、図９に示した切換えゲートを駆動する構成を示す正面図、図１０（ｂ）は、同側面図である。
【図１１】本実施の形態の用紙整合装置の動作を制御する制御装置の構成を示す概略のブロック図である。
【図１２】図１１に示した制御装置による制御動作を示すフローチャートである。
【図１３】図１３（ａ）は、用紙のカールを矯正するデカラーの一例を示す斜視図、図１３（ｂ）は、図１３（ａ）に示したデカラーの他の例を示す斜視図である。
【図１４】図１３（ｂ）に示したデカラーでの処理により、用紙のカールがさらに大きくなる例を示す斜視図である。
【符号の説明】
１ 画像形成装置本体部
２ 用紙スタック部
３ 原稿読取り部
４ 用紙後処理装置
６ 画像形成部
１７ 感光体
４４ 定着装置
４９ 用紙検知スイッチ
５１ エスケープ搬送路
５２ 後処理部
５３ 切換えゲート（用紙後端押さえ部材、用紙後端押さえ手段）
５３ａ 切欠き部
５３ｂ 用紙後端押さえ面
７１ ステープルトレイ（用紙集積部）
７２ 後端板（可動整合部材、可動整合手段）
７２ａ 切欠き部
７２ｂ 用紙後端係止部
７３ サイド規制板
７４ 先端ストッパ
７５ ステープラ
７６ 用紙側縁規制部
８１ 後端板駆動機構（可動整合部材、可動整合手段）
８７ ステッピングモータ
９３ ソレノイド
９８ 原点センサ
１００ ソレノイド
１０３ 復帰スプリング
１０４ 切換えゲート駆動機構（用紙後端押さえ手段）
１２１ ＣＰＵ（制御手段）
Claims (5)
- 入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、
用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、
入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、
前記用紙後端押さえ部材は、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有していることを特徴とする用紙整合装置。 - 入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、
用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、
入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、
前記用紙後端押さえ部材は、前記可動整合部材による整合動作時に、用紙後端押さえ面が可動整合部材の上端部よりも下方位置となる用紙後端押さえ位置に配されるとともに、用紙の整合動作を行う前記可動整合部材との衝突を回避するための切欠き部を有し、
前記可動整合部材の上端部には、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールにより浮き上がった後端部と係合し、それ以上の浮き上がりを阻止する用紙後端係止部が形成され、
用紙後端押さえ部材が前記の用紙後端押さえ位置に配された後、可動整合部材による整合動作が行われるように、前記用紙後端押さえ手段と可動整合手段とを制御する制御手段を備えていることを特徴とする用紙整合装置。 - 入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、
用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、
入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、
前記の可動整合部材は、整合動作を行う際の起き上がり状態と、この起き上がり状態から入紙方向の前方側へ倒れた倒れ状態とに保持可能であり、前記の可動整合手段は、入紙した１枚の用紙の整合動作が完了したときに、可動整合部材を、前記倒れ状態に保持し、その上端部により、整合した用紙の後端部を押さえ込むように駆動するものであることを特徴とする用紙整合装置。 - 入紙した用紙を集積するための用紙集積部と、
用紙後端押さえ部材を有し、前記用紙集積部に入紙した用紙のカールによる後端部の浮き上がりを、前記用紙後端押さえ部材にて押さえ込む用紙後端押さえ手段と、
入紙方向の前後方向に移動可能な可動整合部材を有し、この可動整合部材により前記用紙集積部に入紙した用紙の後端部を押して用紙を入紙方向の前後方向に整合する可動整合手段とを備え、
前記の用紙後端押さえ部材は、用紙の入紙方向を前記用紙集積部の方向とそれ以外の方向とに切り換える切換え部材からなり、
前記用紙後端押さえ部材による用紙の後端押さえ動作が行われている状態において前記可動整合部材による整合動作が行われることを特徴とする用紙整合装置。 - 前記用紙後端押さえ部材は、前記可動整合部材による整合動作終了後に、後端押さえ位置から復帰位置に復帰することを特徴とする請求項４に記載の用紙整合装置。
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