JP3688107B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板に所定の処理を行う基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用ガラス基板等の基板に種々の処理を行うために基板処理装置が用いられている。基板処理装置の1つに、基板加熱装置がある。
【0003】
基板加熱装置は、平板状の加熱プレートの上方に近接した状態で基板を保持し、ヒータ等の熱源により加熱プレートを加熱し、基板を所定温度に保持して加熱処理を行う。基板加熱装置は、例えば基板上のレジスト膜に対する露光処理前の加熱処理(プリベーク処理)、露光処理後の加熱処理(PEB処理:Post Exposure Bake)および現像後の加熱処理(ポストベーク処理)等に用いられる。
【0004】
これらの加熱処理においては、基板が設定温度に保持され、均一に加熱されることが要求される。このため、基板加熱装置では、加熱プレートに温度センサを設け、加熱プレートの温度が所定の範囲内に維持されるように熱源の動作を制御している。例えば、熱源としてヒータを用いた基板加熱装置では、ヒータへの電流の供給をオン/オフ制御することにより加熱プレートの温度を制御し、これによって基板の温度を一定範囲内に保持している。
【0005】
また、加熱処理中に加熱プレートの温度が一定の制限値を超えた場合には、熱源への電流の供給を遮断し、基板加熱装置の熱源による加熱を停止する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、基板加熱装置の熱源による加熱が停止されると、処理中の基板は不良品となる場合が多い。近年では、基板が大口径化しており、基板1枚当たりの単価が高価となっている。このため、基板加熱装置に異常が発生するたびに基板が不良品となると、製造コストが高くなり、また製造歩留りも低下する。
【0007】
装置の異常は、基板加熱装置に限らず、他の基板処理装置においても生ずる場合があり、上記の基板加熱装置と同様に異常発生時に動作を停止するように構成されている。このため、異常発生の度に基板の不良品が生じ、製造コストの増加や製造歩留りの低下が生じる。また、基板処理装置が停止することにより稼働率が低下し、基板の処理効率が低下する。
【0008】
一方で、基板処理装置の処理動作の設定値に対して、動作停止に至る制限値よりも小さい予備の設定値を設け、基板処理の所定の値が予備の設定値を超える場合に警報を発生する基板処理装置が提案されている。このような基板処理装置は、例えば、特許第2585050号に開示されている。
【0009】
しかしながら、このような基板処理装置では、処理動作の所定の値を検出すると同時に予備の設定値あるいは制限値との比較が行われるため、検出された処理動作の所定の値が予備の設定値以下の値から制限値を超える場合には警報が出力されると同時に基板処理装置が停止されることとなり、警報を出力する意味がなくなる。そのため、基板処理の異常発生による基板の不良化を十分に防止することができない。
【0010】
本発明の目的は、処理異常の発生による基板の不良化の低減が可能でかつ基板処理の歩留りの低下を防止することが可能な基板処理装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明に係る基板処理装置は、基板処理に関する所定の動作を行う処理部と、処理部の動作に関連する物理量の値を検出する検出手段と、検出手段により検出された物理量の値に基づいて所定時間経過後の物理量の予測値を算出する算出手段と、算出手段により算出された物理量の予測値が、予め定められた第1の値を超えるか否かを判定するとともに、算出手段により算出された物理量の予測値が第1の値からさらに離れた第2の値を超えるか否かを判定する判定手段と、判定手段によって物理量の予測値が第1の値を超えると判定された場合に警報を出力する警報手段と、判定手段により第2の値を超えると判定された場合にその第2の値を超えるまでの所定時間が経過する以前に処理部の動作を停止させる停止制御手段とを備えたものである。
【0012】
第1の発明に係る基板処理装置においては、処理部が基板処理に関する所定の動作を行い、検出手段が、所定の動作を行う処理部の動作に関連する物理量の値を検出して算出手段に出力する。算出手段では、検出手段から出力された物理量の値に基づいて所定時間経過後の処理部における物理量の予測値を算出する。これにより、所定時間経過後に処理部の動作に関連する物理量の値を予測することができる。そして、物理量の予測値が予め定められた第1の値を超えると判定手段が判定した場合、警報手段が警報を出力する。
【0013】
これにより、作業者は処理部の動作の変動により、ある物理量が所定時間経過後に第1の値を超えることを事前に知ることができる。このために、速やかに対策を講じることによって基板処理装置の異常の発生を未然に防止し、基板処理の不良による基板処理の歩留りの低下を防止することができる。
また、判定手段が、算出手段により算出された所定時間経過後の物理量の予測値が第2の値を超えると判定した場合に、その第2の値を超えるまでの所定時間が経過する以前に停止制御手段が処理部の動作を停止させる。このため、第2の値を処理部の動作が正常に行われる制限値に設定し、処理部が異常な動作状態に至る以前に処理部の動作を停止し、基板処理不良の発生を未然に防止することができる。
【0014】
第2の発明に係る基板処理装置は、第1の発明に係る基板処理装置の構成において、検出手段が、物理量の値を複数回サンプリングし、算出手段が、検出手段によりサンプリングされた物理量の複数の値に基づいて補間演算を行って物理量の予測値を算出するものである。
【0015】
この場合、検出手段が所定の時間間隔で物理量の値を複数回サンプリングする。そして、算出手段が、サンプリングされた物理量の複数の値を用いて補間演算を行うことにより物理量の予測値を算出することができる。これにより、所定時間経過後の処理部の動作に関連する物理量の値を精度良く求めることができる。
【0016】
第3の発明に係る基板処理装置は、第1または第2の発明に係る基板処理装置の構成において、処理部の動作に関連する物理量の値が予め定められた設定値となるように、処理部の動作を制御する動作制御手段をさらに備え、判定手段が、物理量の予測値が設定値から一定量離れた第1の値を超えるか否かを判定するものである。
【0017】
この場合、動作制御手段は正常動作時に、処理部の動作に関連する物理量の値が設定値となるように処理部の動作を制御する。検出手段は物理量の値を検出し、検出手段により検出された物理量の値に基づいて算出手段が所定時間経過後の物理量の予測値を算出する。そして、判定手段は、算出手段により算出された物理量の予測値が、第1の値を超えるか否かを判定する。第1の値は設定値に一定量の許容値を加えた値に予め設定されている。第1の値を超える場合には、警報手段により警報が出力される。
【0018】
これにより、作業者は所定時間経過後に処理部が設定値から一定量外れた動作状態となることを事前に知ることができる。したがって、速やかに対策を講じることによって基板処理装置の処理不良を防止し、基板処理の歩留り低下を防止することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施例による基板加熱装置の構成図である。以下では、基板処理装置として基板加熱装置を例に説明する。図1において、基板加熱装置は、加熱プレート1および熱源2を有する。加熱プレート1は良伝熱性材料からなり、上面には基板Wの下面を支持する3個の球状スペーサ3が設けられている。熱源2はマイカヒータあるいはペルチェ素子等からなり、加熱プレート1を所定の温度に加熱する。加熱プレート1の内部には温度センサ4が設けられている。温度センサ4は加熱プレート1の温度を検出する。
【0024】
主コントローラ5はCPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、時間計測のためのカウンタ、表示部等を有するマイクロコンピュータを備えている。さらに、主コントローラ5には温度制御条件等を入力するためのキーボード等からなる入力部6および警報ブザー、警告灯等からなる警報部7が接続されている。
【0025】
温度コントローラ8は熱源2に接続されており、主コントローラ5からの指示に応じて電源9から熱源2に供給される電流を制御する。
【0026】
本実施例では、加熱プレート1および熱源2が本発明の処理部に相当し、温度センサ4が検出手段に相当し、主コントローラ5が算出手段、判定手段、動作制御手段および停止制御手段に相当し、警報部7が警報手段に相当する。
【0027】
また、本実施例では、加熱プレート1の温度が本発明の物理量に相当し、後述する設定温度T0 、警報温度TAおよび許容温度TBがそれぞれ本発明の設定値、第1の値および第2の値に相当する。
【0028】
図1の基板加熱装置における基板加熱動作は次のように行われる。まず、入力部6から加熱プレート1の設定温度T0 、警報温度TA、許容温度TBの各値を入力する。さらに、入力部6から加熱動作の開始指示を入力する。
【0029】
加熱動作の開始指示入力を受けて、主コントローラ5は温度コントローラ8を起動し、電源9から熱源2に電流を供給する。電流が供給された熱源2は加熱プレート1を加熱し始める。
【0030】
熱源2により加熱された加熱プレート1は温度が上昇する。加熱プレート1の温度は温度センサ4により検出され、主コントローラ5に出力される。加熱プレート1の温度が設定温度T0 に近づくと、主コントローラ5は昇温制御から温度センサ4の出力に基づくPID制御に切り換える。そして、加熱プレート1の温度が設定温度T0 となるように温度コントローラ8により電源9から供給される電流を制御する。これにより、加熱プレート1の温度が設定温度T0 および設定誤差範囲内に設定される。例えば、加熱プレート1の温度は120℃±0.5℃に設定される。
【0031】
加熱プレート1が設定温度T0 近傍に設定されると、加熱プレート1上に基板Wが搬入され、一定時間加熱処理される。
【0032】
ここで、基板加熱装置に何らかの原因で異常が生じ、加熱プレート1の温度が異常に上昇する場合について説明する。図2は加熱プレートの温度変化を示す図である。
【0033】
主コントローラ5は温度センサ4からの出力を受け取り、一定の時間間隔Δtで加熱プレート1の温度Tをサンプリングしている。例えば、図2におけるT(0)〜T(3)はそれぞれ時刻t0〜t3においてサンプリングされた加熱プレート1の温度データを示している。そして、主コントローラ5は現時刻t0からΔt時間経過後の時刻tuにおける加熱プレート1の温度予測値T(u)を算出する。
【0034】
加熱プレート1の温度予測値T(u)の算出には、現時刻t0までにサンプリングされた温度データT(0)〜T(3)等に基づきニュートンの補間公式を用いる。ここで、n(整数)個のサンプリングされた温度データT(0)〜T(n)に対するニュートンの補間公式の一般形は下式で表される。
【0035】
【数1】
【0036】
式(1)において、u=(t−t0)/Δtであり、tは温度の予測値を算出する時刻を示し、t0は現時刻を示し、Δtはサンプリング時間間隔を示している。また、Δn T(0)はサンプリングされた温度データT(i)(i=0、1、2・・・)に対するn階差分値を示しており、その一般形は下式で表される。
【0037】
【数2】
【0038】
そこで、例えば現時刻t0を含む4つの時刻t0〜t3における温度データT(0)〜T(3)に基づいて上記のニュートンの補間公式を適用すると、式(1),(2)により現時刻t0から時間Δt後の時刻tuにおける温度予測値T(u)は下式により求められる。
【0039】
【数3】
【0040】
なお、ニュートンの補間公式に利用する温度データの数は上記の4個に限らず、適宜選択することができる。
【0041】
温度予測値T(u)が求められると、主コントローラ5は温度予測値T(u)と警報温度TAとを比較する。そして、温度予測値T(u)が警報温度TAを超えない場合には、そのまま加熱処理を続行する。
【0042】
また、温度予測値T(u)が警報温度TAを超える場合には、主コントローラ5は警報部7を起動する。警報部7は、主コントローラ5の表示部に警告を発したり、警報ブザーを鳴らしたり、警報灯を点滅させる等して、作業者に異常発生のおそれがあることを知らせる。
【0043】
一方、主コントローラ5は上記の温度予測値の算出処理とともに、サンプリングした現時刻の加熱プレート1の温度が許容温度TBを超えるか否かを判定する。そして、現時刻の温度が許容温度TBを超えた場合には、温度コントローラ8を制御して熱源2への電流の供給を停止する。
【0044】
このように、本実施例の基板加熱装置では、現時点から一定時間経過後の加熱プレート1の温度予測値が算出され、温度予測値が警報温度TAを超える場合には警報が出力される。このため、作業者は、加熱プレート1の異常加熱により基板加熱装置が停止状態に至る前に基板加熱装置の異常を検知して速やかに対策を講じることができる。これによって、基板加熱装置を停止させることなく加熱処理を続行することができる。
【0045】
また、異常原因の速やかな解消が困難な場合には、次の処理対象の基板を基板加熱装置に搬入する動作を停止させる等の対策を講じることができる。それによって基板加熱装置の異常動作による大量の基板の不良化が防止され、基板加熱処理の歩留りの低下が防止される。
【0046】
なお、上記実施例では、主コントローラ5は、現時刻の加熱プレート1の温度が許容温度TBを超えるか否かを判定するとともに、許容温度TBを超えた場合には、温度コントローラ8を制御して熱源2への電流供給を停止するようにしたが、これに限られず、主コントローラ5が、温度予測値の算出処理を行うとともに、所定時間経過後の加熱プレート1の温度が許容温度TBを超えるか否かを判定するとともに、許容温度TBを超えると判定した場合には、その許容温度を超えるまでの所定時間が経過する以前に温度コントローラ8を制御して熱源2への電流の供給を停止するようにしてもよい。これによれば、基板加熱処理装置が異常な動作状態に至る以前にその動作を停止し、基板処理不良の発生を未然に防止することができる。
【0047】
なお、上記実施例では加熱プレート1の異常加熱動作について説明したが、加熱プレート1の異常な温度降下の場合についても同様の制御が行われる。この場合には、警報温度TAおよび許容温度TBは設定温度T0 の低温側に設定される。
【0048】
また、上記実施例においては、加熱プレート1の温度予測値を算出するためにニュートンの補間公式を適用したが、予測値の算出方法はこれに限定されるものではなく、他の補間方法を適用することもできる。
【0049】
なお、本発明は、基板加熱装置のみならず、基板処理を行う他の基板処理装置に対しても適用することができる。例えば、回転式塗布装置、回転式洗浄装置あるいは回転式現像装置に用いられる基板回転保持装置に適用することができる。この場合には、基板を保持する吸引式スピンチャックやメカ式スピンチャックを回転させるモータの回転速度を検出し、検出した速度データに基づいて所定時間経過後のモータの回転速度の予測値を算出して異常の発生の有無を事前に判定し、警報を出力することができる。
【0050】
また、本発明をアンモニア濃度検出装置を有する基板処理装置に適用することもできる。この場合、アンモニア濃度測定器が検出したアンモニア濃度の経時データを用いて所定時間経過後のアンモニア濃度の予測値を算出する。アンモニア濃度の予測値が所定の警報濃度を超えた場合には、警報を出力する。これにより、作業者は基板処理装置のアンモニア濃度が制限値を超える前に対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による基板加熱装置の構成図である。
【図2】加熱プレートの温度変化を示す図である。
【符号の説明】
1 加熱プレート
2 熱源
4 温度センサ
5 主コントローラ
6 入力部
7 警報部
8 温度コントローラ
Claims (3)
- 基板処理に関する所定の動作を行う処理部と、
前記処理部の動作に関連する物理量の値を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記物理量の値に基づいて所定時間経過後の物理量の予測値を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記物理量の予測値が、予め定められた第1の値を超えるか否かを判定するとともに、前記算出手段により算出された前記物理量の予測値が前記第1の値からさらに離れた第2の値を超えるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記物理量の予測値が前記第1の値を超えると判定された場合に警報を出力する警報手段と、
前記判定手段により前記第2の値を超えると判定された場合にその第2の値を超えるまでの所定時間が経過する以前に前記処理部の動作を停止させる停止制御手段とを備えたことを特徴とする基板処理装置。 - 前記検出手段は、前記物理量の値を複数回サンプリングし、 前記算出手段は、前記検出手段によりサンプリングされた前記物理量の複数の値に基づいて補間演算を行って前記物理量の予測値を算出することを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
- 前記処理部の動作に関連する物理量の値が予め定められた設定値となるように前記処理部の動作を制御する動作制御手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記物理量の予測値が前記設定値から一定量離れた前記第1の値を超えるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2記載の基板処理装置。
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