JP3687898B2 - セリウム系研摩材の製造方法及びその方法を用いて製造されるセリウム系研摩材 - Google Patents

セリウム系研摩材の製造方法及びその方法を用いて製造されるセリウム系研摩材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セリウム系研摩材の分級方法及びその方法により製造されるセリウム系研摩材に関する。
【0002】
【従来の技術】
セリウム系研摩材は、主成分である酸化セリウム(CeO2)粒子と他の希土類金属酸化物粒子とからなる研摩材粒子よりなり、酸化セリウムの全希土酸化物含有量(以下、TREOという)に対する含有量によって高セリウム研摩材と低セリウム研摩材とに分類されるが、その製造工程に大差はない。即ち、いずれのセリウム系研摩材を製造する場合であっても、まず原料を粉砕し、その後に化学処理(湿式処理)を施す。ここでの化学処理は、セリウム系研摩材の高い切削性を確保する目的でフッ素成分を添加する処理(フッ化処理)や、後の焙焼時に異常粒成長の原因となるナトリウム等のアルカリ金属を除去する処理(鉱酸処理)である。この化学処理後、原料を濾過、乾燥し、その後高温で加熱して焙焼することで原料粒子同士を焼結し、焼結されたものを再度粉砕する。そして、焙焼、粉砕後の原料を分級して所望の粒径、粒度分布の研摩材を製造している。
【0003】
焼結、粉砕後の原料の分級では、該原料が所望の分級点で粗粉と微粉とに分けられる。セリウム系研摩材を製造する場合は、通常、分級によって回収される微粉が有用成分である。したがって、分級点は、回収される微粉が所望の粒径、粒度分布になるように調整される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年はハードディスク等の磁気記録媒体用ガラスや液晶ディスプレイ(LCD)のガラス基板といった電気・電子機器で用いられるガラス材料用の研摩材としてセリウム系研摩材の需要が高まっており、生産性の向上が課題になっている。生産性を向上させる手段として、分級におけるセリウム系研摩材の収率(回収率)を向上させるということが考えられる。仕上げ研摩用の研摩材を製造する場合(分級時に回収される微粉が有用成分である場合)に収率を向上させる方法としては、例えば分級点をより大きな粒径値にすることが考えられる。ところが、分級点をより大きな粒径値にすると、回収された微粉に粗粒子が混入しやすくなる。粗粒子は研摩時に研摩面を傷付ける原因であり、仕上げ研摩用の研摩材への粗粒子の混入は極力防止する必要がある。
【0005】
また、分級点は同じであっても分級精度(分級の鋭さ)が向上すれば、分級によって回収される微粉への粗粒子の混入は、より確実に防止され、しかも微粉の収率が向上するが、分級精度を向上させることは容易でない。ここでいう分級精度は、分級の鋭さのことであり、分級における部分分離効率曲線の勾配のことである。分級点が同じであっても勾配が無限大に近いほど分級精度が高く、微粉の収率が高まる。
【0006】
本発明は以上のような背景の下になされたものであり、比較的簡易な方法であって、分級における微粉の収率が向上されており、しかも回収される微粉に粗粒子が混入しやすくなることがないセリウム系研摩材の分級方法及びこの分級方法を用いて製造されるセリウム系研摩材を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者等は、分級点をより大きな粒径値にすることなく、しかも分級精度を向上させなくても微粉の収率を向上させる方法について鋭意研究を重ねた結果、本願発明をするに至った。
【0008】
上記課題を解決するための本発明は、粉体のセリウム系研摩材から微粉を回収する分級工程を複数回行うセリウム系研摩材の製造方法であって、粉体のセリウム系研摩材を微粉と粗粉とに分けて微粉を回収する基礎分級工程と、前記基礎分級工程によって得られた粗粉を少なくとも1回分級して得られる微粉を回収する粗粉分級工程と、基礎分級工程で回収された微粉と粗粉分級工程のそれぞれの分級で回収される微粉とを混合する工程と、を含み、粗粉分級工程の分級点を、基礎分級工程の分級点以下の粒径値とし、粗粉分級工程の分級を、2回以上行う場合の2回目以降の分級点を、直前に行った分級の分級点以下の粒径値として、直前に行なった分級で得られた粗粉を分級するセリウム系研摩材の製造方法である。
【0009】
基礎分級工程とは、この分級方法にて複数回行われる分級工程のうちの最初に行われる分級工程である。まず、基礎分級工程によって分級対象の粉体であるセリウム系研摩材は微粉と粗粉とに分けられ、そのうちの微粉が分級品として回収される。基礎分級工程の分級条件(分級点など)を、分級工程が1回だけであった従来の分級における条件と同じにすると、従来と同様の粒径、粒度分布の微粉が同様の収率で基礎分級工程において回収される。
【0010】
基礎分級工程後の粗粉分級工程における分級対象は基礎分級工程によって得られた粗粉である。基礎分級工程における部分分離効率曲線の勾配は現実には無限大ではないので、基礎分級工程で得られた粗粉には、基礎分級工程の分級点の粒径値よりも小さい粒径の微粒子が含まれている。したがって、基礎分級工程によって得られた粗粉を、基礎分級工程に続いて行われる粗粉分級工程によって分級すると微粉が回収される。
【0011】
最初の粗粉分級工程は、基礎分級工程によって得られた粗粉を分級する工程であり、次に行われる粗粉分級工程は、最初の粗粉分級工程によって得られた粗粉を分級する工程である。このようにして粗粉分級工程を適宜の回数繰り返す。すると、基礎分級工程において従来と同量の微粉が回収される上に、粗粉分級工程によっても微粉が回収されるので、分級における微粉の収率が向上する。
【0012】
各分級工程にて回収された微粉は、その後混合された後に製品になる。混合する際、各分級工程において回収される微粉を全て混合して一の微粉体として取り扱うことができる。また、全てを混合して一の微粉体とするのではなく、各分級工程において回収される微粉の粒径や粒度分布などの特徴を考慮して相互に混合される微粉の群を定め、複数種類の微粉体として取り扱ってもよい。具体的には、基礎分級工程で回収された微粉だけを集めて混合したものと、粗粉分級工程で回収された微粉だけを集めて混合したものとの、2種類の微粉体を作ってもよい。また、粗粉分級工程で回収された微粉について、例えば1回目の粗粉分級工程で回収される微粉だけを集めて混合し、2回目の粗粉分級工程で回収される微粉だけを集めて混合するというように、同じ回の粗粉分級工程で回収された微粉だけを集めて混合してもよい。
【0013】
また粗粒子の混入を防止する観点から、粗粉分級工程における分級点は、基礎分級工程における分級点以下であるのが好ましい。粗粉分級工程の分級点を基礎分級工程の分級点よりも大きな粒径値にすると、傷発生の原因である粗粒子が微粉に混入するおそれが高くなるからである。同様の理由により、粗粉分級工程のうち2回目以降のものにおける分級点は、直前の粗粉分級工程の分級点以下であるのが好ましい。
【0014】
なお、分級前の粉体と、その分級によって得られた粗粉とを比較すると、含まれる粗粒子の割合は分級によって得られた粗粉の方が高い。したがって、分級によって得られた粗粉をさらに分級する場合に、分級点を前回と同じにすると、回収される微粉中に粗粒子が混入する可能性が高まるおそれがある。このような理由により、粗粉分級工程の分級点は基礎分級工程の分級点よりも小さい粒径値であるのがより好ましく、粗粉分級工程のうち2回目以降のものにおける分級点は、直前の粗粉分級工程の分級点より小さい粒径値であるのがより好ましい。
【0015】
粗粉分級工程の回数は1回から5回までが好ましく、必要上十分な収率を確保できるのであれば、1回から3回までがより好ましい。このように回数を制限するのが好ましい理由は、粗粉分級工程の回数をこれより多くしても、新たに回収できる微粉の量は微量であり、しかも粗粉分級工程を行うために必要な手間や時間を考慮すると、粗粉分級工程の回数を増やすことは研摩材の生産性を低下させるおそれがあるからである。
【0016】
ところで、粗粉分級工程の前に、当該粗粉分級工程にて分級される粗粉を粉砕すれば、当該粗粉の微粒子の割合が増加すると共に粗粒子の割合が減少する。したがって、粉砕後に行われる粗粉分級工程において回収される微粉の量は、粉砕しない場合に比べて増加する。つまり微粉の収率が向上する。なお、全ての粗粉分級工程の前に必ず粉砕を行う必要はなく、必要に応じて行えば良い。粉砕方法は特に限られるものではないが、分級が乾式である場合は乾式の粉砕方法が好ましく、分級が湿式の場合は湿式の粉砕方法が好ましい。乾式の粉砕機としては、例えば、振動ミル、インパクトミル、インペラーミル、アトマイザー(ハンマーミル)及びジェットミル等がある。また、湿式の粉砕機としては、例えば、湿式ボールミル、湿式振動ミル及び湿式インパクトミル等がある。
【0017】
基礎分級工程における分級点は、0.5〜15μmであるのが好ましい。15μmより大きくすると微粉に粗粒子が混入するおそれが高くなり、その一方で0.5μmより小さくしても、この条件に対応する運転条件を設定するのは困難だからである。なお分級点は1〜10μmであるのが好ましい。
【0018】
セリウム系研摩材の製造において、以上で説明した分級方法を用いて微粉を回収すれば、微粉の収率が高まりセリウム系研摩材の生産性が向上する。特に、これらの分級方法を、セリウム系研摩材の製造過程の最終段階で行われる分級(例えば、焙焼後のセリウム系研摩材用原料の分級又は焙焼及びその後必要に応じて行われる粉砕を経た後のセリウム系研摩材用原料の分級)の方法として用いれば、より高い収率でセリウム系研摩材を製造でき、しかも製造されたセリウム系研摩材の粒径及び粒度分布についての品質を損なうことはない。
【0019】
なお、分級点は分級における分離の基準となる値のことであり、一般には部分分離効率50%の粒子径(50%分離粒子径)DP50、平衡粒子径DPc、ふるいの目開きなど、特定の粒子径によって表される数値が分級点として用いられている。ここでいう分級点は、基準として広く用いられている部分分離効率50%の粒子径DP50である。実際の分級では、分級装置において設定した条件に対応して分級点が示されている場合や、設定した条件に基づいて分級点を特定(算出)できる場合がある。例えば、概略的な説明ではあるが、乾式の強制渦型遠心分級機では、分級対象の粉体を空気の流れによって分級室へ送り込むと共に当該粉体に遠心力を与えて分級しており、粉体を分級室に送り込む空気の流量及び粉体に遠心力を与えるロータの回転数などの設定した条件に基づいて分級点を特定できる。このような場合においても、分級点として広く用いられている基準は部分分級効率50%の粒子径DP50である。
【0020】
本発明に用いられる分級機としては、乾式、湿式のいずれを用いる場合でも微粉を精度良く分級できるものが好ましい。本発明でいうセリウム系研摩材には、粉状のものだけでなく、例えばスラリー状のものも含まれるが、粉状の研摩材を得る場合は、コストの点及び凝集体が生ずるおそれのある乾燥工程が不要である点で乾式の分級機が好ましい。他方、スラリー状の研摩材を得る場合は、乾式、湿式のいずれの分級機でもよい。乾式の分級機を用いる場合は、分級によって得られた粉状の研摩材を水等の液体と混合してスラリー状の研摩材を得ることができる。
【0021】
乾式の分級機としては、例えば、慣性分級機、自由渦型、半自由渦型又は強制渦型の遠心分級機がある。また、湿式の分級機としては、重力分級機や自由渦型又は強制渦型の遠心分級機などがある。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を用いて説明する。
【0023】
第1実施形態:TREOが72重量%、TREO中の酸化セリウム含有量50重量%、フッ素含有量が5%のバストネサイト精鉱320kgを、40kgずつ8回に分けて共通の粉砕条件で湿式粉砕した。具体的にはバストネサイト精鉱40kgと純水40l(リットル)とを、直径5mmのスチールボール12kg分を用いた湿式ボールミル(容量5l)にて4時間粉砕して粉砕スラリーを得た。粒度分布測定装置(製品名:マイクロトラック、日機装社製)を用いて測定した結果、各粉砕スラリー中の粉体の平均粒径(マイクロトラック法D50(累積50%粒径))は、1.5〜1.6μmであった。次に、8回の湿式粉砕によって得られた粉砕スラリーを全て混合した後、混合された粉砕スラリーを濃度3mol/lの塩酸100lを使用して鉱酸処理し、純水で洗浄した後、濾過してケーキを得た。このケーキを乾燥し、1000℃にて12時間静置炉で焙焼して242kgの焙焼品を得た。平均粒径は2.5μmであった。続いて、焙焼品のうちの200kgを乾式の粉砕機(製品名:アトマイザー、東京アトマイザー社製)を用いて粉砕し、その後、分級してセリウム系研摩材を得た。なお、第1実施形態においてこの後に行われる乾式の粉砕ではこの粉砕機を同じ条件で用いた。
【0024】
分級では、乾式の風力分級機(製品名:ワイエムマイクロカット、安川電機社製)を用いた。この分級機では、分級対象の粉体を分級工程は4回であった。最初の分級(基礎分級工程)では、分級点を8μmに設定して微粉(第1微粉)を146.2kg回収し、粗粉を53.3kg得た。
【0025】
次に、最初の分級で得られた粗粉を、乾式の粉砕機を用いて粉砕した。粉砕したものについて、2回目の分級(粗粉分級工程)を行い(分級点を7μmに設定)、微粉(第2微粉)を30.4kgと、粗粉を22.7kg回収した。そして、2回目の分級で得られた粗粉を乾式の粉砕機で粉砕した後、3回目の分級(粗粉分級工程)を行い(分級点を6μmに設定)、微粉(第3微粉)を9.6kgと、粗粉を13.0kg回収した。さらに、3回目の分級で得られた粗粉を乾式の粉砕機で粉砕した後、4回目の分級(粗粉分級工程)を行い(分級点を5μmに設定)、微粉(第4微粉)を4.2kgと、粗粉を8.8kg回収した。
【0026】
その後、各分級工程によって回収された微粉の半量、具体的には第1微粉のうちの73.1kgと、第2微粉のうちの15.2kgと、第3微粉のうちの4.8kgと、第4微粉のうちの2.1kgとをV型混合機(製品名:DV−1型、ダルトン社製)にて混合して94.7kgのセリウム系研摩材を得た。半量だけ混合し、半量残したのは、各分級工程によって回収された微粉毎に研摩試験を実施するためである。
【0027】
比較例1:第1実施形態で得た混合後の焙焼品(242kg)のうちの20kgを、第1実施形態における1回目の分級と同じ条件(分級点を8μmに設定)で分級して微粉を14.6kg、また粗粉を5.3kg回収した。
【0028】
比較例2:第1実施形態で得た混合後の焙焼品(242kg)のうちの20kgを、分級点を25μmに設定して分級し、微粉を18.9kg、また粗粉を1.1kgそれぞれ回収した。分級点を25μmに設定したのは、比較例2における微粉の回収率を第1実施形態における微粉の回収率(混合後の回収率)と同様にするためである。
【0029】
第1実施形態及び各比較例によって得られた微粉(セリウム系研摩材)について研摩試験を行い、研摩値の測定及び研摩面の状態評価を行った。研摩試験では、まず微粉である研摩材を水に分散させて10重量%の研磨材スラリーを調製した。研摩試験中、この研摩材スラリーを撹拌機にて常時撹拌し、研摩材が沈降しないようにした。研摩試験にはオスカー型研摩試験機(台東精機(株)社製HSP−2I型)を用い、60mmφの平面パネル用ガラスを被研摩材とし、このガラスをポリウレタン製の研摩パッドを用いて研摩した。研摩条件は、研摩材スラリーを15ml/minの速度で供給し、研摩面に対する圧力を5kg/cm2に設定し、研摩試験機の回転速度を1700rpmとして30分間研摩するというものであった。研摩後のガラス材料は、純水で洗浄し無塵状態で乾燥させた。
【0030】
研摩値は、研摩前後のガラスの重量を測定して研摩による重量減を求め、この重量減を基に評価したものであり、比較例1によって回収された微粉の研摩値を基準(100)として算出したものである。また、研摩面の状態評価を、研摩表面の傷の有無及び研磨材粒子の研摩面への残存の有無を基準として行った。具体的には、研摩後のガラスの表面に30万ルクスのハロゲンランプを照射し、反射法にてガラス表面を観察して傷の程度(大きさ)を見極めて点数化し、100点満点からの減点方式にて評価した。第1実施形態及び各比較例における分級の結果及び研摩試験の結果を次の表に示す。表1及び後に掲載した表2において、分級及び混合の前後で原料収支が合っていない場合があるが、混合、粉砕あるいは分級中に原料や研摩粒子が飛散等によって減少したためである。
【0031】
【表1】
Figure 0003687898
【0032】
第1実施形態の微粉回収率は分級終了時で95.2%、また混合後でも94.7%であり、比較例1の微粉回収率(73.0%)と比べて著しく高かった。一方、平均粒径や研摩評価の結果は、1回目〜4回目のいずれの分級によって回収された微粉とも、比較例1によって回収された微粉と同等であった。また、第1実施形態と比較例2とを比較すると、微粉回収率はほぼ同じであるが、研摩評価のうちの傷評価は、第1実施形態で得た混合処理後の微粉体(セリウム系研摩材)の傷評価「96」の方が、比較例2の微粉の傷評価「71」と比べて著しく高かった。比較例2では、微粉回収率を向上させるために分級点の設定を大きな粒径値にしたことから、傷発生の原因になる粗粒子が微粉中に多量に混入したと考えられる。これらの結果から、第1実施形態によれば、研摩材の品質は維持され、しかも微粉体の回収率が向上することが解った。
【0033】
また、第1実施形態及び各比較例によって得られた微粉(セリウム系研摩材)について粗粒子濃度を定量化するために粗粒子濃度分析を行った。分析工程を、図1を参照しながら説明する。まず、分析対象の微粉(セリウム系研摩材)を秤量採取によって200g採取し、これを0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液に分散させ、2分間撹拌し、スラリーを製造した。このスラリーを孔径10μmのマイクロシーブで濾過して、篩上の残滓を回収した。回収した残滓を再度0.1%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液に分散させてスラリー化した。また超音波撹拌を1分間行うことにより分散させた。そして、スラリーを孔径10μmのマイクロシーブで濾過した。この回収残滓の再スラリー化及び濾過を本分析では2回行った。そして回収した粗粒子を十分乾燥させた後、秤量した。このとき採取された粗粒子(10μm以上の粒子)の量に基づいて、粗粒子濃度(重量比)を換算した。分析結果を次の表に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0003687898
【0035】
第1実施形態の方法で回収された微粉(混合後のもの)と比較例1とを比べると、粗粒子濃度はほぼ同じであった。つまり、第1実施形態の方法によって微粉を回収すれば、微粉の回収率が向上し、しかも粗粒子濃度が高まることはないということが解った。また比較例2で得られた微粉における粗粒子濃度は他と比べて著しく高かった。これは、傷評価の結果と共に説明したように、微粉回収率を向上させるために分級点の設定を大きな粒径値にしたことが原因であると考えられる。
【0036】
第2実施形態:TREOが45重量%、TREO中の酸化セリウム含有量60重量%の炭酸希土を5時間、800℃にて仮焼して得た酸化希土80kgを、40kgずつ2回に分けて湿式粉砕した。具体的には酸化希土40kgと純水40l(リットル)とを、直径5mmのスチールボール12kg分を用いた湿式ボールミル(容量5l)にて5時間粉砕して粉砕スラリーを得た。スラリー中の粉体の平均粒径はいずれの回も0.9μmであった。次に、2回の湿式粉砕によって得られた粉砕スラリーを全て混合した後、この粉砕スラリーを濃度4mol/lのフッ化アンモニウム水溶液51lを使用してフッ化処理した。その後、純水で洗浄し、濾過してケーキを得た。このケーキを乾燥し、850℃にて12時間静置炉で焙焼して78.1kgの焙焼品を得た。平均粒径は1.2μmであった。続いて、焙焼品のうちの30kgを乾式の粉砕機を用いて粉砕し、その後、分級してセリウム系研摩材を得た。
【0037】
分級では、乾式の風力分級機を用いて分級工程を2回行った。最初の分級(基礎分級工程)では、分級点を4μmに設定して微粉(第1微粉)を20.2kg回収し、粗粉を9.6kg得た。次に、最初の分級で得られた粗粉を乾式の粉砕機によって粉砕したものについて2回目の分級(粗粉分級工程)を行い(分級点を3.5μmに設定)、微粉(第2微粉)を5.2kg、また粗粉を4.3kg得た。その後、各分級工程によって回収された微粉の半量、具体的には第1微粉10.1kg、第2微粉2.6kgをV型混合機にて混合して12.6kgのセリウム系研摩材を得た。なお、第2実施形態で用いられた装置は、第1実施形態で用いられたものと同じである。
【0038】
比較例3:第2実施形態で得た混合後の焙焼品(78.1kg)のうちの20kgを、第2実施形態における1回目の分級と同じ条件(分級点を4μmに設定)で分級して微粉を13.5kg回収し、粗粉を6.4kg得た。
【0039】
比較例4:第2実施形態で得た混合後の焙焼品(78.1kg)のうちの20kgを、微粉の回収率が第2実施形態における微粉の回収率(混合後の回収率)と同様になる分級条件(分級点を18μmに設定)で分級して微粉を16.7kg回収し、粗粉を3.2kg得た。
【0040】
第2実施形態、比較例3及び比較例4によって得られた微粉(セリウム系研摩材)について、第1実施形態等によって得られた微粉に対して行った試験や評価と同様のことを行って、研摩値の測定及び研摩面の状態評価を行った。なお、次に示す表3では、比較例3によって回収された微粉の研摩値を基準(100)として他の微粉についての研摩値を算出した。第2実施形態及び各比較例における分級の結果及び研摩試験の結果を次の表に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0003687898
【0042】
第2実施形態の微粉体の回収率は分級終了時で84.7%、また混合後でも84.0%であり、比較例3の微粉回収率(67.5%)と比べて著しく高かった。一方、平均粒径や研摩評価の結果は、1回目及び2回目のいずれの分級によって回収された微粉とも、比較例3によって回収された微粉と同等であった。また第2実施形態と比較例4とを比較すると、微粉回収率はほぼ同じであるが、研摩評価のうちの傷評価は、第2実施形態で得た混合処理後の微粉体(セリウム系研摩材)の傷評価「99」の方が、比較例4の微粉の傷評価「78」と比べて著しく高かった。比較例4では、微粉回収率を向上させるために分級点の設定を大きな粒径値にした結果、傷発生の原因である粗粒子が微粉中に多量に混入したと考えられる。これらの結果から、第2実施形態によれば、研摩材の品質は維持され、しかも微粉体の回収率が向上することが解った。
【0043】
また、第2実施形態及び比較例3,4によって得られた微粉(セリウム系研摩材)について、第1実施形態及び比較例1,2に対して行った方法と同様の方法で粗粒子濃度分析を行った。分析結果を次の表に示す。
【0044】
【表4】
Figure 0003687898
【0045】
第2実施形態で最終的に回収された微粉(混合後のもの) と比較例3とを比べると、粗粒子濃度はほぼ同じであった。つまり、第2実施形態の分級方法によって微粉を回収すれば、微粉の回収率が向上し、しかも粗粒子濃度が高まることはないということが解った。また比較例4で得られた微粉の粗粒子濃度は他と比べて著しく高かった。これは、傷評価の結果と共に説明したように、微粉回収率を向上させるために分級点の設定を大きな粒径値にしたことが原因と考えられる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、セリウム系研摩材を製造する際に、比較的簡易な方法で分級における微粉体の収率を向上させることができる。しかも、本発明の方法で分級すれば研摩材に粗粒子が混入しやすくなることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】粗粒子濃度分析法の工程を示す図。

Claims (5)

  1. 粉体のセリウム系研摩材から微粉を回収する分級工程を複数回行うセリウム系研摩材の製造方法であって、
    粉体のセリウム系研摩材を微粉と粗粉とに分けて微粉を回収する基礎分級工程と、前記基礎分級工程によって得られた粗粉を少なくとも1回分級して得られる微粉を回収する粗粉分級工程と、基礎分級工程で回収された微粉と粗粉分級工程のそれぞれの分級で回収される微粉とを混合する工程と、を含み、
    粗粉分級工程の分級点を、基礎分級工程の分級点より小さい粒径値とし、
    粗粉分級工程の分級を、2回以上行う場合の2回目以降の分級点を、直前に行った分級の分級点より小さい粒径値として、直前に行なった分級で得られた粗粉を分級するセリウム系研摩材の製造方法。
  2. 粗粉分級工程を行う前に、基礎分級工程にて分離された粗粉を粉砕する請求項1記載のセリウム系研摩材の製造方法。
  3. 粗粉分級工程で行う分級の前に、直前に行った分級で得られた粗粉を分級する請求項1又は請求項2にセリウム系研摩材の製造方法。
  4. 基礎分級工程における分級点は、0.5〜15μmである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のセリウム系研摩材の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4いずれか1項に記載の方法により製造されるセリウム系研摩材。
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