JP2002212544A - 酸化セリウム系研摩材の製造方法及びその方法により得られた酸化セリウム系研摩材 - Google Patents

酸化セリウム系研摩材の製造方法及びその方法により得られた酸化セリウム系研摩材

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JP2002212544A
JP2002212544A JP2001005161A JP2001005161A JP2002212544A JP 2002212544 A JP2002212544 A JP 2002212544A JP 2001005161 A JP2001005161 A JP 2001005161A JP 2001005161 A JP2001005161 A JP 2001005161A JP 2002212544 A JP2002212544 A JP 2002212544A
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polishing
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Yoshiji Uchino
義嗣 内野
Hidehiko Yamazaki
秀彦 山▲崎▼
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研摩キズの発生原因となる粗粒子含有量を著
しく減少して、酸化セリウム系研摩材を効率的に製造で
きる技術の提供し、ガラス表面への研摩キズの発生を極
力抑制した状態の研摩が可能な酸化セリウム系研摩材を
提供する。 【解決手段】 セリウムを含む希土類原料を粉砕処理し
て得られる研摩材原料を用いて、焙焼処理、解砕処理、
分級処理を行うものである酸化セリウム系研摩材の製造
方法において、粉砕処理は、得られる研摩材原料におけ
る粒径10μm以上の粗粒子が500ppm以下の含有
量になるまで希土類原料を粉砕するものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化セリウム系研
摩材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、種々のガラス材料の研摩に酸化セ
リウム系研摩材が使用されている。これは、酸化セリウ
ム系の研摩材が、酸化ジルコニアや二酸化ケイ素等から
なる研摩材に比べて切削速度が大きく、研摩効率に優
れ、研摩精度も良好であることによる。酸化セリウム系
研摩材は、通常の板ガラスの研摩から、最近では、光デ
ィスクや磁気ディスク用のガラス、液晶ディスプレイ
(LCD)ガラス基板等の電気・電子機器に用いられる
ガラス材料の研摩にも用いられ、その利用分野は益々広
がる傾向にある。
【0003】このような酸化セリウム系研摩材は、セリ
ウムを含む希土類原料、例えば、モナザイトと呼ばれる
希土鉱石により得られる塩化希土や、バストネサイト鉱
や中国産複雑鉱と呼ばれる希土鉱石により得られる酸化
希土や炭酸希土等の希土類原料を、粉砕処理して得られ
る研摩材原料を用いて製造される。この酸化セリウム系
研摩材の製造方法の基本的な流れとしては、粉砕処理し
た研摩材原料を焙焼処理して、再度の粉砕処理、即ち、
解砕処理を行う。そして、最終的には、分級処理を行
い、所定の平均粒径を有した酸化セリウム系研摩材とし
て製品化されるものである。
【0004】このようにして得られる酸化セリウム系研
摩材は、粗仕上げから最終仕上げまでの目的に合わせた
研摩特性が実現できるように、所定の平均粒径とされて
いることが重要であり、更に、研摩キズの発生となる粗
粒子の含有量を低減することが必要である。そのため、
製品完成に近い処理工程、即ち、分級処理、解砕処理
を、特に厳密に管理して行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この酸化セリウム系研
摩材の製造方法における解砕処理及びその後の分級処理
により、所定の平均粒径にして、研摩材中の粗粒子含有
量を低減させることで、目的の研摩が行える酸化セリウ
ム系研摩材を得ることは可能である。しかしながら、解
砕処理、分級処理を厳密に行うことは生産効率の観点か
らすると、あまり好ましいものとはいえず、より効率的
に酸化セリウム系研摩材を製造する方法が求められてい
る。
【0006】そして、酸化セリウム系研摩材を用いて研
摩が行われる最近のガラス材料では、研摩後のガラス表
面の平滑性を、より厳しく求められる傾向で、特に、研
摩キズを極力発生しない研摩が行える研摩材を強く要望
されているのが現状である。
【0007】本発明は、このような事情の下になされた
ものであり、研摩キズの発生原因となる粗粒子含有量を
著しく減少して、酸化セリウム系研摩材を効率的に製造
できる技術の提供を目的とする。そして、ガラス表面へ
の研摩キズの発生を極力抑制した状態の研摩が可能な酸
化セリウム系研摩材を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者等は酸化セリウム系研摩材の製造方法につ
いて詳細な検討を行ったところ、最終製品である酸化セ
リウム系研摩材中の粗粒子含有量が、焙焼処理を行う研
摩材原料、即ち、セリウムを含む希土類原料を粉砕処理
して得られる研摩材原料の品位に大きく影響されること
を見出したのである。即ち、セリウムを含む希土類原料
を粉砕処理して得られる粉砕処理した研摩材原料に含ま
れる粗粒子の量を制御すると、製品となる酸化セリウム
系研摩材の粗粒子含有量を低減できることが判明したの
である。
【0009】より具体的には、希土類原料を粉砕処理し
て得られる研摩材原料において、粒径10μm以上の粗
粒子が500ppmを超える量含んでいると、その後の
焙焼処理、解砕処理、分級処理を行っても、最終製品で
ある酸化セリウム系研摩材における粗粒子含有量が多く
なり、研摩時のキズが発生しやすい傾向になることを突
き止めたのである。
【0010】このような知見に基づき、本発明では、セ
リウムを含む希土類原料を粉砕処理して得られる研摩材
原料を用いて、焙焼処理、解砕処理、分級処理を行うも
のである酸化セリウム系研摩材の製造方法において、前
記粉砕処理は、得られる研摩材原料における粒径10μ
m以上の粗粒子が500ppm以下の含有量になるまで
希土類原料を粉砕するものとした。
【0011】本発明の製造方法によれば、従来のように
解砕処理、分級処理を厳密に管理してなくとも、粗粒子
含有量が低減された酸化セリウム系研摩材を容易に得る
ことができ、生産効率も向上する。
【0012】本発明における粗粒子とは、最終製品とし
ての酸化セリウム系研摩材を構成する研摩材粒子の平均
粒径よりも数倍以上大きい粒径を有するもので、10μ
m以上の粒径を有したものをいう。この粒径10μm以
上の粗粒子が、希土類原料を粉砕処理して得られる研摩
材原料において、重量比で500ppmを超える量含ま
れていると、研摩の際にキズが発生し易くなる。そし
て、本発明における粉砕処理では、粒径10μm以上の
粗粒子が研摩材原料に対して100ppm以下の濃度に
なるまで希土類原料を粉砕するようにすることが、より
好ましい。100ppm以下にすると、最終製品である
酸化セリウム系研摩材中に含まれる粗粒子量が著しく減
少され、研摩キズを殆ど生じなくなり、高精度の仕上げ
研摩用酸化セリウム系研摩材とすることができるからで
ある。
【0013】本発明に係る製造方法では、希土類原料の
粉砕処理における粉砕方法、粉砕条件について、特に制
限はない。本発明の製造方法を最も簡単に実現する粉砕
方法としては、従来と同じ粉砕機を用い、研摩材原料に
対する粗粒子含有量が500ppm以下となるまで、粉
砕処理時間を長くして行えばよい。つまり、希土類原料
を粉砕する際に、得られる研摩材原料中の粗粒子含有量
が500ppm以下となるように、粉砕条件を調整して
粉砕処理を行えばよいのである。
【0014】本発明の製造方法における希土類原料の粉
砕処理には、ジェット粉砕機やボールミル、遊星ミル、
振動ミル等を、乾式或いは湿式の区別なく適用できる。
但し、乾式型ミルの場合、粉砕により形成される粒子の
均一性が劣るため、粒径10μm以上の粗粒子が多く残
留する傾向がある。それ故、乾式型ミルを採用する場合
には、例えば、微粉砕されたものだけが排出されるよう
な分級機能を兼ね備えた乾式型ミルを使用するなどによ
って、効率的に粗粒子含有量を低減させるようにするこ
とが好ましい。一方、湿式型ミルの場合、粉砕により形
成される粒子の均一性が優れるので、本発明の製造方法
では湿式ミルを適用することが好ましいものといえる。
【0015】本発明の製造方法において湿式型ミルを用
いる場合には、希土類原料と液体とを混合して作製する
粉砕用スラリーの希土類原料濃度を、重量換算で10〜
70wt%として粉砕処理を行うことが好ましい。この
粉砕用スラリーは、希土類原料と、水或いは有機溶媒な
どの液体とを混合することにより作製されるが、この粉
砕用スラリー中の希土類原料濃度は、湿式型ミルでの粉
砕処理効率に大きく影響する。本発明者らが、種々の湿
式型ミルを調査したところ、粉砕用スラリーの希土類原
料濃度が、重量換算で10wt%未満であると、スラリ
ー量が多くなり、粉砕時間的に効率が悪くなる傾向が確
認された。また、70wt%を超えると、スラリーの粘
度が大きくなり、スラリー作製時の混合や粉砕処理自体
が難しくなることが確認された。そのため、湿式型ミル
の場合には、上記希土類原料の濃度範囲の粉砕用スラリ
ーを用いると、生産効率的に良好な粉砕処理が行えるも
のとなる。
【0016】また、湿式型ミルにおいて粉砕媒体として
ボールを使用する場合、該ボール直径は0.2〜10m
mのものを用いることが好ましい。0.2mm未満の直
径であると、粉砕された研摩材原料と粉砕媒体であるボ
ールとを分離することが困難となり、粉砕媒体が研摩材
原料の異物として残存する可能性が生じるためである。
また、10mmを超える直径であると、粉砕効率が悪く
なり、非常に長い粉砕時間を取らなければならなくなる
からである。また、この粉砕媒体であるボールは、鋼、
超硬合金、耐摩耗鋼、アルミナ、ジルコニアなどの材質
からなるものを用いることが好ましい。
【0017】そして、本発明に係る製造方法において
は、粉砕処理中又は粉砕処理後に、研摩材原料に含まれ
る粗粒子量を測定することが好ましい。本発明者等が知
る限りにおいて、従来の製造方法では、希土類原料を粉
砕処理して得られる研摩材原料中における粗粒子含有量
を管理することが行われていたことはなく、解砕処理、
或いは分級処理において粗粒子含有量を測定することが
一般的に行われている。そこで、本発明のように、希土
類原料の粉砕処理中又は粉砕処理後に、研摩材原料中の
粗粒子含有量を測定し、粒径10μm以上の粗粒子が5
00ppm以下となるように粉砕処理工程を管理する
と、粗粒子含有量が低減された酸化セリウム系研摩材
を、後工程の解砕処理、分級処理を比較的緩和して管理
しても、生産効率よく製造することができるようにな
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を説明する。
【0019】第1実施形態:この第1実施形態では、希
土類原料として酸化希土(全酸化希土含有量(以下、T
REOとする)95%、TREO中の酸化セリウム含有
量60%)と、仮焼炭酸希土(TREO85%、TRE
O中の酸化セリウム含有量60%)とをそれぞれ用い、
粉砕機としては湿式タイプのアトライターを用いて粉砕
処理を行った場合について示す。ここで、希土類原料で
ある酸化希土は、中国産炭酸希土を化学処理し、900
℃の仮焼処理したものである。また、希土類原料とした
仮焼炭酸希土は、中国産炭酸希土を化学処理して、60
0℃の若干低い仮焼温度の熱処理をして、一部を酸化希
土にされたものである。
【0020】そして、粉砕機であるアトライター(三井
鉱山(株)社製)は、いわゆる高エネルギーボールミル
と総称されるものであり、粉砕タンク容量5.4Lのも
のを使用した。粉砕媒体としては、直径5mmの鋼製の
粉砕ボールを用いた。粉砕用スラリーは、50wt%
(約850g/L)の希土類原料濃度となるように、希
土類原料3kgと純水3Lとを混合して作製した。
【0021】粉砕処理は、作製した粉砕用スラリーと粉
砕ボール12kgとを、アトライターの粉砕タンクに投
入して、タンク内に設けられたアジテータアームを25
0rpmで回転させて行った。上記した炭酸希土、仮焼
炭酸希土のそれぞれの原料を用い、時間を変化させて粉
砕処理した。そして、粉砕処理後の各研摩材原料の平均
粒径及び粗粒子含有量を測定した。その結果を表1に示
す。表1中、実施例1〜5が炭酸希土の場合で、実施例
6〜10が仮焼炭酸希土の場合を示している。また、表
1で示すように、粉砕処理は1時間から最長5時間まで
の粉砕時間とした。
【0022】
【表1】
【0023】表1に記載する平均粒径は、粉砕処理後の
スラリ−を温度120℃で乾燥して粉体としたものより
測定した。そして、平均粒径aは、レーザー回折を利用
したマイクロトラック法により測定したもので、体積累
積粒度分布度数50%における粒径値(D50)であ
る。また、平均粒径bは、空気透過を利用したブレーン
法により得られた数値である。
【0024】そして、粉砕処理後の研摩材原料における
粗粒子含有量は、次のようにして測定した。まず、粉砕
処理後のスラリーを均一に撹拌混合した状態にして一定
容量採取し、その採取スラリーを、孔径10μmのマイ
クロシーブ(販売:(社)日本粉体工業技術協会)と呼
ばれる電成篩により濾過処理をし、篩上の残査を再びス
ラリーにして、再度、上記電成篩により濾過処理をし、
その篩上の残査を120℃で乾燥し、粒径10μm以上
の粗粒子重量を測定した。そして、この粗粒子重量値を
採取容量値で割ることで、粗粒子固形分率を算出した。
また、別途、一定容量採取しておいた採取スラリーを、
そのまま120℃で乾燥して、採取スラリー中の全粉体
重量を測定し、その全粉体重量値を採取容量値で割るこ
とにより、スラリー中の全固形分率を算出した。このよ
うにして得られた粗粒子固形分率と全固形分率とによ
り、粉砕処理後の研摩材原料中における粒径10μm以
上の粗粒子含有量を算出した。
【0025】表1を見ると判るように、この第一実施形
態での粉砕処理条件では、炭酸希土を希土類原料とした
場合、3時間程度の粉砕処理を行うと、平均粒径10μ
m以上の粗粒子含有量を500ppm以下にできること
が確認された。また、仮焼炭酸希土を希土類原料とした
場合では、2時間程度の粉砕処理を行うと、同じく粗粒
子含有量が500ppm以下にできることが確認され
た。
【0026】次ぎに、この粉砕処理された実施例1〜1
0の各研摩材原料を用いて酸化セリウム系研摩材を製造
し、各研摩材の研摩特性評価を行った結果について説明
する。実施例1〜10の粉砕処理された各研摩材原料
は、スラリーの状態で取り出し、このスラリーにフッ化
アンモニウム溶液を添加し、純水で洗浄後濾過してケー
キを得た。そして、このケーキを乾燥後、所定の温度で
5時間焙焼処理し、解砕処理後、分級処理することで各
酸化セリウム系研摩材を得た。ケーキ乾燥後の焙焼処理
は、1100℃と800℃の2つの焙焼温度で行い、更
に、フッ化アンモニウム溶液の濃度を変えて化学処理す
ることにより、F(フッ素)品位が異なる酸化セリウム
系研摩材を製造した。ここでの解砕処理は、アトマイザ
ー(商品名、東京アトマイザー社製)と呼ばれる粉砕機
により行い、分級処理は、乾式の縦型風力分級機を用
い、焙焼温度1100℃のものは分級点10μmで、焙
焼温度800℃のものは分級点8μmとして行ったもの
である。
【0027】以上のようにして表1に示す実施例1〜1
0の研摩材原料を用いて酸化セリウム系研摩材を製造
し、研摩試験を行い、各研摩材の研摩特性を調べた。研
摩試験は、高速研摩試験機を使用し、ほう珪酸ガラス
(商品名BK7)を被研摩物として、ポリウレタン製の
研摩パッドを用いて研摩を行った。研摩条件は、各酸化
セリウム系研摩材を水に分散させて、濃度15wt%と
した研摩材スラリーを5L/minの速度で供給して、
研摩面に対する圧力2.94×10Pa(30kgf
/cm)、回転速度3000rpmに設定して行っ
た。研摩時間は、1分間とした。
【0028】研摩特性の評価は、被研摩物であるほう珪
酸ガラスについて研摩前後のガラス厚みを測定し、この
厚み減量を研摩値として比較することによって行った。
また、研摩後のガラス表面を観察して表面の傷(キズ)
の有無を確認することで行った。この研摩後のガラス表
面観察は、30万ルクスのハロゲンランプを照射して、
反射法にて観察を行い、傷の大きさ及びその数により点
数付けするもので、100点満点からの減点方式にて評
価値を定めたものである。表2には、各酸化セリウム系
研摩材による研摩値及び研摩キズ評価の結果を記載して
いる。
【0029】
【表2】
【0030】表2で示すように、研摩値的には各研摩材
の研摩特性は大きく相違しないものの、研摩材原料中の
粗粒子含有量が500ppm以下(表1で示した実施例
3〜5、実施例7〜8)のものについては、キズ評価値
が80点以上であり、研摩キズの発生が抑制されてい
た。尚、表2で示す*印の粗粒子含有量は、酸化セリウ
ム系研摩材中に含有される、粒径10μm以上の粗粒子
量を測定した結果である。この最終製品である酸化セリ
ウム系研摩材の*粗粒子含有量(表2)が、研摩材原料
における粗粒子含有量(表1)よりも大きくなっている
のがあるのは、粉砕処理後の焙焼処理によって、微粒子
が凝集して、粒径10μm以上の粗粒子を多量に形成さ
れるためである(以下に示す表3、表4についても同
様)。
【0031】従来、表2に示す実施例4又は5、実施例
8〜10におけるキズ評価値レベル(95点以上)の酸
化セリウム系研摩材は、この第1実施形態で説明した分
級処理における分級点より小さく設定して分級処理を行
うか、或いは、解砕処理、分級処理を繰り返し行う厳密
な製造条件管理をしなければ得られないものであった。
しかし、この第1実施形態の結果から判るように、セリ
ウムを含む希土類原料を粉砕処理して得られる研摩材原
料における粗粒子含有量を100ppm以下にすること
によって、後工程での解砕処理、分級処理を特に厳密に
行わなくとも、粗粒子含有量が低減され、高精度の研摩
を実現できる酸化セリウム系研摩材が容易に得られるこ
とが判った。
【0032】第2実施形態:この第2実施形態では、希
土類原料としてバストネサイト精鉱(TREO70%、
TREO中の酸化セリウム含有量50%)を用い、粉砕
機として湿式型のSC MILL(商品名「砕王」型式
SC220/70:三井鉱山社製)を用いて粉砕処理を
行った場合について示す。ここで、希土類原料であるバ
ストネサイト精鉱は、バストネサイト鉱石を選鉱するこ
とによって得られたものである。
【0033】そして、粉砕機である湿式タイプのSC
MILLは、大量循環型粉砕機であり、円筒形粉砕部内
の撹拌ロータとその外周側に設けられたセパレータとか
ら構成され、撹拌ロータを回転させて遠心力を発生し、
粉砕媒体を外周側のセパレータ押し付け、撹拌ロータの
回転運動と相まって、粉砕媒体間に強力なせん断力を発
生させて粉砕処理を行うものである。粉砕媒体として
は、直径0.5mmのジルコニア製の粉砕ボールを用い
た。粉砕用スラリーは、50wt%(約850g/L)
の希土類原料濃度となるように、希土類原料20kgと
純水20Lとを混合して作製した。
【0034】粉砕処理は、作製した粉砕用スラリーを循
環タンクに投入し、SC MILL粉砕機(粉砕ボール
4.8kg)へ、循環タンク中の粉砕スラリーを15L
/minで循環するようにして行った。粉砕処理時間
は、30、60、90分間と変化させて行った(実施例
11〜13)。そして、各粉砕処理時間により得られた
研摩材原料の平均粒径及び粗粒子含有量を測定した。こ
のときの平均粒径及び粗粒子含有量の測定法について
は、第1実施形態で説明したものと同様である。但し、
この場合の粉砕処理後の粉砕スラリーには、第1実施形
態で行った磁気フィルタによる磁性粒子の除去処理は行
っていない。
【0035】また、各粉砕処理時間で得られた研摩材原
料を用いて酸化セリウム系研摩材を製造した。この時の
製造条件は、粉砕処理をした研摩材原料をスラリーの状
態で取り出し、このスラリーを純水で洗浄後濾過してケ
ーキを得て、このケーキを乾燥後、850℃で5時間焙
焼処理し、解砕処理後、分級処理するものである。解砕
処理、分級処理(分級点8μm)は、上記した第1実施
形態と同様である。尚、この第2実施形態の酸化セリウ
ム系研摩材では、バストネサイト精鉱にF(フッ素)が
含まれているため、F(フッ素)の化学処理は行ってい
ない。
【0036】そして、このようにして得られた各研摩材
の研摩特性を調査した。この研摩材の研摩特性評価方法
についても、上記した第1実施形態と同様であるので説
明は省略する。この第2実施形態における研摩材原料の
平均粒径及び粗粒子含有量測定結果と研摩特性調査結果
を表3に示す。尚、表3に示す実施例11〜13のF品
位は全て約5.5%であった。
【0037】
【表3】
【0038】表3に示すように、バストネサイト精鉱を
希土類原料として、SC MILLにより粉砕処理を6
0分間程度行うことで、研摩材原料中の粗粒子含有量が
500ppm以下になり、それにより得られた酸化セリ
ウム系研摩材では、研摩キズが低減されることが判明し
た。
【0039】第3実施形態:この第3実施形態では、第
1実施形態で使用した酸化希土を研摩材原料として用
い、粉砕機として湿式型のビーズミルを用いて粉砕処理
を行った場合について示す。
【0040】そして、粉砕機である湿式型のビーズミル
は、商品名ダイノーミル:KDL−PILOT A型
((株)シンマルエンタープライゼス社製)を使用し
た。このダイノーミルは、粉砕タンクとなるシリンダー
容器(1.4L)を横置きにして粉砕処理を行うように
なっているものである。粉砕媒体としては、直径1.2
5mmのジルコニア製の粉砕ボールを用いた。粉砕用ス
ラリーは、50wt%(約850g/L)の希土類原料
濃度となるように、希土類原料2kgと純水2Lとを混
合して作製した。
【0041】粉砕処理は、作製した粉砕用スラリーを、
設定流量0.5L/minにて、ビーズミル(粉砕ボー
ル4.15kg)に全量通過させて、この操作を複数回
繰り返すことによって行った。粉砕処理時間は、この通
過回数により調整し、粉砕処理時間を13、19、25
分間と変化させて行った(実施例14〜16)。そし
て、各粉砕処理時間で処理を行った粉砕処理後の研摩材
原料の平均粒径及び粗粒子含有量を測定した。このとき
の平均粒径及び粗粒子含有量の測定法については、第1
実施形態で説明したものと同様である。但し、この場合
の粉砕処理後のスラリーには、第1実施形態で行った磁
気フィルタによる磁性粒子の除去処理は行っていない。
【0042】また、各粉砕処理時間で得られた研摩材原
料を用いて酸化セリウム系研摩材を製造した。この時の
製造条件は、上記した第1実施形態の場合と同様であ
る。尚、焙焼温度は850℃で、分級処理における分級
点は8μmである。
【0043】そして、このようにして得られた酸化セリ
ウム系研摩材の研摩特性を調査した。研摩材の研摩特性
評価方法については、上記した第1実施形態と同様であ
る。この第3実施形態における研摩材原料の平均粒径及
び粗粒子含有量測定結果と研摩特性調査結果を表4に示
す。尚、表4に示す実施例14〜16のF品位は全て約
5%であった。
【0044】
【表4】
【0045】表4に示すように、炭酸希土を希土類原料
とし、ビーズミルにより粉砕処理を13分間程度行うこ
とで、研摩材原料中の粗粒子濃度が500ppm以下に
なり、それにより得られた酸化セリウム系研摩材では、
研摩キズの発生が抑制されることが判明した。
【0046】
【発明の効果】本発明によると、解砕処理や分級処理を
従来のように厳密に管理することなく、粗粒子含有量を
低減した酸化セリウム系研摩材を容易に製造することが
可能となる。そのため、高精度な研摩を要求される酸化
セリウム系研摩材であっても、生産効率良く製造するこ
とが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D063 FF35 GA10 GB05 GB07 GD02 GD24 GD27 4G076 AA02 AB02 AC04 CA04 CA26 DA30

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セリウムを含む希土類原料を粉砕処理し
    て得られる研摩材原料を用いて、焙焼処理、解砕処理、
    分級処理を行うものである酸化セリウム系研摩材の製造
    方法において、 前記粉砕処理は、得られる研摩材原料における粒径10
    μm以上の粗粒子が500ppm以下の含有量になるま
    で希土類原料を粉砕することを特徴とする酸化セリウム
    系研摩材の製造方法。
  2. 【請求項2】 粉砕処理は湿式型ミルによるものであ
    り、希土類原料と液体とを混合して作製する粉砕用スラ
    リーの希土類原料濃度は、重量換算で10〜70wt%
    としたものである請求項1に記載の酸化セリウム系研摩
    材の製造方法。
  3. 【請求項3】 湿式型ミルで使用する粉砕媒体がボール
    であり、該ボール直径が0.2〜10mmであるものを
    用いる請求項2に記載の酸化セリウム系研摩材の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 粉砕処理中又は粉砕処理後に、研摩材原
    料に含まれる粗粒子量を測定するものである請求項1〜
    請求項3いずれかに記載の酸化セリウム研摩材の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 セリウムを含む希土類原料を粉砕処理し
    た研摩材原料において、 研摩材原料に含まれる粒径10μm以上の粗粒子が50
    0ppm以下の含有量であることを特徴とする研摩材原
    料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項4に記載する酸化セリ
    ウム系研摩材の製造方法により得られた酸化セリウム系
    研摩材。
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