JP4002740B2 - セリウム系研摩材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セリウム系研摩材の製造方法に関し、特に、焙焼前に行なわれる原料を粉砕する工程に特徴を有するセリウム系研摩材の製造方法およびこの方法により製造されたセリウム系研摩材に関する。
【0002】
【従来の技術】
セリウム系研摩材(以下、単に研摩材とも称する)は、従来から、光学レンズの研摩に多用されているが、近年、ハードディスク等の磁気記録媒体用ガラスや液晶ディスプレイ(LCD)のガラス基板といった電気・電子機器で用いられるガラス材料用の研摩材としても広く用いられている。
【0003】
セリウム系研摩材は、例えば、バストネサイト鉱や中国産複雑鉱をから得られるセリウム系希土類炭酸塩(以下、炭酸希土とも称する)、または炭酸希土を予め高温で仮焼することにより得られるセリウム系希土類酸化物(以下、酸化希土とも称する)を原料として、次のようにして製造される。まず、これらのセリウム系研摩材の原料(以下、単に原料ともいう)をアトライタ、ボールミル、ビーズミルなどの粉砕装置によって湿式粉砕し、その後、化学処理(湿式処理)を施して、濾過し、乾燥する。その後、加熱して焙焼することで原料粒子同士を適度に焼結させ、焼結後の原料を、上述したような粉砕装置を用いて乾式あるいは湿式で解砕(再粉砕)すると共に解砕後の原料を分級する。このようにすることで所望の粒径、粒度分布の研摩材を得ている。なお、ここでいう化学処理とは、焙焼時に異常粒成長の原因となるナトリウム等のアルカリ金属を除去する処理(鉱酸処理)のこと、およびセリウム系研摩材の研摩力の確保や被研摩面の平滑性の確保を目的としてフッ素成分を添加する処理(フッ化処理)のことである。フッ素成分は被研摩材であるガラスと反応して被研摩面の平滑性を向上させる効果や研摩力を高める効果があるため、フッ化処理を行うことでこのような効果を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、研摩材製品には粗大粒子が含まれていないことが望ましい。これは、粗大粒子が被研摩面に傷をつける原因になるからである。また、例えば、高密度記録や高速読み書きに対応できる磁気記録媒体用ガラス基板の製造過程で行われる研摩工程では、ガラス基板の表面(被研摩面)の平滑性などについて、非常に高い精度が要求されており、この要求に対応する必要があるが、研摩材中の粗大粒子濃度が高いとガラス基板の表面に傷が発生しやすいく、平滑性などの要求に対応できない。したがって、この点からも研摩材には粗大粒子が含まれていないことが望まれる。
【0005】
また、研摩工程における研摩作業効率を考慮すると、研摩材製品としては、研摩力が高いものが望ましい。そして、高い研摩力を確保するためには、研摩材粒子の粒径が必要以上に小さくならないように粉砕する必要がある。
【0006】
ところが、従来の粉砕手段では、これらの条件を満足しようとしても限界がある。つまり、ボールミル、アトライタ、ビーズミルなどの粉砕装置を用いる従来の湿式粉砕によって、粗大粒子が少なくなるように粉砕するには、粉砕時間を長くする必要があるが、粉砕時間を長くすると、必要以上に粉砕された微粒子の生成量が増加するため、研摩材製品において、必要な研摩力を確保することが難しくなるのである。
【0007】
そこで、従来の研摩材では、研摩材製造時にフッ化処理を行ってフッ素成分を添加し、添加したフッ素成分の効果によって、必要な被研摩面の平滑性や研摩時の研摩力を確保している。上述したように、フッ素成分には、被研摩面の平滑性を向上させる効果や研摩力を高める効果があるからである。例えば、特開平9−183966号公報には、研摩材製品中のフッ素含有量が3重量%〜9重量%になるように、湿式粉砕粉砕後の原料スラリーにフッ酸水溶液を撹拌しながら滴下して研摩材を製造する方法が開示されている。
【0008】
しかしながら、フッ素を添加して必要な平滑性や研摩力を確保すると、研摩材中のフッ素成分の濃度が高くなるため、研摩時に微粒の研摩材が被研摩面に付着しやすくなり、しかも被研摩面上に残留しやすくなるため、被研摩面の洗浄性が低下するという不具合がある。
【0009】
本発明は、以上のような背景の下になされたものであり、粗大粒子濃度がより低く、かつより高い研摩力が確保されており、しかも被研摩面の洗浄性に優れるセリウム系研摩材の製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するため、発明者等は、従来アトライタなどの粉砕装置を用いて行われている、研摩材製造の初期段階の原料を粉砕する工程に着目し、より粗大粒子濃度が低くなる粉砕条件や、より微粒の研摩粒子の濃度が低くなる粉砕条件について検討した。しかしながら、粗大粒子および微粒の研摩粒子の両方について、濃度をより低く抑えることができる粉砕条件は見出されなかった。
【0011】
そこで、発明者等は、従来の粉砕方法に拘泥することなく広く粉砕手段を検討した。その結果、アトライタなどの粉砕装置を用いて原料を粉砕しなくても、特定の原料を用いた場合には、原料を水溶液中に浸漬させた状態で加熱することによって粉砕できることを見出し、本発明に想到した。
【0012】
すなわち、本発明は、セリウム系研摩材の原料を粉砕する工程を有すると共に、粉砕後の原料を焙焼する工程および焙焼後の原料を解砕する工程を有するセリウム系研摩材の製造方法において、セリウム系研摩材の原料として、セリウム系希土類炭酸塩、またはセリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とが混在するものが用いられており、原料を粉砕する工程は、原料を水溶液中に浸漬させた状態で加熱することによって粉砕する工程を有することを特徴とするセリウム系研摩材の製造方法である。
【0013】
原料を粉砕する工程では、セリウム系希土類炭酸塩、またはセリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とが混在するものを原料とし、この原料を水溶液中に浸漬させた状態で加熱して粉砕(以下、「浸漬加熱粉砕」ともいう)する。浸漬加熱粉砕前の原料の大きさは、厳密に限られるものではないが、通常、平均粒径が1000μm以下になるまで粗粉砕された原料が用いられており、この程度の大きさが好ましい。平均粒径が1000μmを超える場合には、浸漬加熱粉砕に供用する前に、粉砕機によって平均粒径が1000μm以下になるまで粉砕しておくことが好ましい。また、水溶液中に浸漬させる原料は、乾燥した粉末状態の原料でもよいし、スラリー状態の原料でもよい。
【0014】
原料と水溶液との混合比率(重量比率)は、特に限定されるものではないが、水溶液は原料(原料がスラリーの場合はその固形成分)の0.5倍〜10倍が好ましい。水溶液の量が0.5倍より少ないと原料を均等に加熱できないおそれがあり、他方、10倍より多くしても加熱の均一性は向上せず、加熱時間やエネルギーを浪費することになるからである。なお、原料を浸漬させる水溶液には、水(純水、工業用水、水道水等)そのものや、例えばアルコール、アセトンなどの水溶性の有機溶媒が混合された溶液が含まれる。こられの溶液を用いて原料を浸漬加熱粉砕できるからである。
【0015】
原料を水溶液中に浸漬させた状態で加熱する態様としては、加熱前の水溶液中に原料を浸漬させた後これらを加熱する態様、加熱した水溶液中に原料を浸漬させる態様、加熱した水溶液中に原料を浸漬させた後さらに加熱する態様等が考えられる。また、浸漬加熱粉砕の際に撹拌によって原料を水溶液中に分散させると原料の加熱をより均等に行うことができるため好ましい。
【0016】
このようにして原料を粉砕すれば、アトライタ、ボールミル、ビーズミルなど、原料を物理的に粉砕する従来の粉砕装置を用いなくても原料(スラリー中の固形成分)を粉砕でき、しかもこのような従来の粉砕に比べて、原料全体をより均等に粉砕できる。なお、このような従来の粉砕は、ボール等の粉砕媒体を強制的に運動させて粉砕媒体どうしを衝突させることで原料を粉砕するものであり、粉砕が行われる原料と行われない原料とが生じやすい。このようなことから、粉砕が不足している原料が生じて粗大粒子が残存する一方で、過剰な粉砕が行われて微粒子が生成されやすいと考えられる。
【0017】
浸漬加熱粉砕が可能な理由は、原料を水溶液中で加熱すると、原料中の炭酸根の一部が分解して二酸化炭素が放出され、このとき粉砕が進むものと考えられる。例えば、浸漬加熱粉砕後の炭酸希土をX線回折装置にて解析すると、モノオキシ炭酸塩のピークが主ピークになっている。また、浸漬加熱粉砕によれば、水溶液を介して原料全体を均等かつ確実に加熱することができるため、原料全体を均等に粉砕できると考えられる。なお、浸漬加熱ではなく、高湿度下で加熱する方法も考えられたが、伝熱が浸漬加熱ほど均一でないため、粉砕の均一性に劣り、比較的粗大粒子が残存しやすい。そして、浸漬加熱粉砕と同程度の粉砕を行うには長時間の加熱を要するため、生産性が低くなり、しかも研摩速度が低下するおそれがあるという問題がある。加えて、高湿度下での加熱を実現するには、恒温恒湿器あるいはスチーム導入が可能な乾燥機など、高価な装置が必要であるという問題もある。つまり、水溶液は水蒸気に比べて原料を均等に加熱する熱媒体としてとても優れている。
【0018】
原料全体が均等に粉砕されれば、粗大粒子の残存が防止されると共に、部分的な過剰粉砕が防止され、微粒子の生成も防止される。つまり、浸漬加熱粉砕には、原料中の粗大粒子濃度および微粒子濃度の両方を低くする効果がある。粉砕後の原料中の粗大粒子濃度を低くすることができれば、研摩材製品中の粗大粒子濃度をより確実に、またより容易に低くすることができる。研摩材中の粗大粒子濃度が低くなれば、粗大粒子を原因とする被研摩面における傷発生がより確実に防止される。また、粉砕後の原料中の微粒子濃度が低くすることができれば、結果として研摩材を構成する各研摩材粒子の粒径が平均粒径付近に揃った状態になるので、研摩速度が向上する。
【0019】
必要な研摩速度が確保されれば、フッ素成分を添加してこれらの性能を確保する必要がなくなるため、研摩材製品中のフッ素成分濃度の低減が可能になり、フッ素成分濃度を低減することで、被研摩面の洗浄性を向上させることが可能になる。もちろん、洗浄性などについて必要な性能が確保される範囲で、少量のフッ素成分を添加して、例えば研摩速度を高めるなどといったことは可能である。また、近年は、年々高水準の環境対策が要求されるようになりつつあり、フッ素成分濃度についてもより低い濃度が要求されるようになると考えられるところ、フッ素成分濃度をより低減できれば、より確実にこのような要求にも対応できる。
【0020】
原料を粉砕する工程では、浸漬加熱粉砕と、従来からあるアトライタ、ボールミル、ビーズミルなどの粉砕装置を用いる粉砕とを併用できる。したがって、場合によっては、併用により、より効率的な粉砕を行うことも可能である。他の粉砕を併用する場合、浸漬加熱粉砕を先に行っても、後に行っても、さらには同時に行ってもよい。
【0021】
また、浸漬加熱粉砕について検討する中で、加熱温度によって粉砕状態に違いが生ずることが見出された。そこで、加熱温度について検討した。その結果、原料を水溶液中に浸漬させた状態で加熱することによって粉砕する工程における水溶液の加熱温度は、60℃以上が好ましいことが解った。60℃未満では十分に粉砕が進まないことがあるからである。これに対して、加熱温度について上限温度は見出せなかった。これは、原料を浸漬させた水溶液の沸点は常圧下では100℃前後であり、これ以上の温度で加熱するにはオートクレーブ等の特殊な装置が必要となるなど工業的にみて不利であるため、実験を行わなかったことによるものであるが、少なくとも100℃以下であれば、原料を粉砕できることは解った。
【0022】
さらに、浸漬加熱粉砕における粉砕時間についても検討した。その結果、1分という極めて短時間で、浸漬加熱粉砕によって原料が粉砕されることが解った。つまり、浸漬加熱粉砕は、原料を均等に粉砕できるという効果を有するほか、短時間で迅速に原料を粉砕できるという効果も有することが解った。一方、粉砕時間が長くなると、過剰な粉砕により微粒子が生成されて微粒子濃度が高まるため、粉砕時間は90分より短い方が好ましい。そして、粗大粒子濃度および微粒子濃度のいずれもが低い優れた粉砕が可能であるという点では、粉砕時間は60分以下がより好ましい。
【0023】
また、上述したように、本発明では、原料として、セリウム系希土類炭酸塩、またはセリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とが混在するものを用いる。浸漬加熱粉砕によれば、原料中の粗大粒子の残存量および微粒子の生成量が極めて少ない状態に粉砕できるが、これは、主に炭酸希土に対する効果であると考えられるからである。
【0024】
なお、「セリウム系希土類」とは、全重量に占める全希土酸化物含有量(以下、TREOという)に占める酸化セリウム(CeO2)の割合が30重量%以上であるもののことであり、通常の研摩材製造では、この値が40重量%〜99重量%の範囲にあるものが用いられている。また「セリウム系希土類炭酸塩」とは、「セリウム系希土類」水溶液から炭酸根を含有する沈殿剤によって得られるものである。例えばセリウム系希土類水溶液として塩化希土水溶液を、また沈殿剤として炭酸水素アンモニウムを例示することができる。そして、「セリウム系希土類酸化物」とは、セリウム系希土類炭酸塩を焙焼して酸化させたものである。
【0025】
そこで、本発明のセリウム系研摩材の製造方法で用いる原料として好ましい範囲について、セリウム系研摩材用原料の強熱減量(以下、LOI(Loss On Ignition)ともいう。)という物性に着目して検討した。LOIとは、対象物を強熱した際の重量減少率のことである。その値は炭酸希土で約30重量%〜40重量%、また完全に酸化された酸化希土の場合は0重量%であり、このLOIによって化学的な粉砕の効果が高い炭酸希土の原料中に占める割合が解るからである。
【0026】
セリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とが混在する原料を対象として検討した結果、1000℃で1時間加熱した場合の強熱減量が1.0重量%〜40重量%であるセリウム系研摩材用の原料が好ましいことが解った。LOIが1.0重量%より小さくなるほど炭酸希土の割合が低くなると、粉砕時に、粗大粒子を粉砕する効果がほとんど得られなくなると考えられる。なお、通常はLOIが0.5重量%未満のものを酸化希土と称している。
【0027】
原料のLOIの測定は、JIS−K−0067(1992年、日本規格協会)に準拠して行った。測定手順を簡単に説明すると、まず少量の原料をサンプリングして105℃で減量しなくなるまで十分に予備乾燥(例えば1時間)させた。予備乾燥後、予め重量が測定されているるつぼ(Ag(グラム))に乾燥させた原料を入れて、全体の重量(Bg)を0.1mgの桁まで測定し、原料の重量W1(=B−A)を求めた。その後、これらを電気炉中で1000℃、1時間加熱して乾燥雰囲気下で放冷した後、再び原料入りのるつぼの重量(Cg)を測定し、加熱の前後の重量差W2(=B−C)を求め、これらの値に基づいてLOI(=(W2/W1)×100:単位は重量%)を算出した。なお、LOIの測定において、予備乾燥を行うのは、通常の原料は水分を含んでいる場合が多く、水分を含んだままLOIを測定したのでは、炭酸希土の原料中に占める割合を示す有用な指標たりえないためである。なお、予備乾燥温度を105℃に定めたのは、JIS−K−0068(1992年)に掲載されている「化学製品の水分測定方法」の「5.乾燥減量法」に、105℃にて恒量になるまで加熱乾燥することが規定されており、これに準拠したものである。また、1000℃で1時間加熱した後に重量測定することにしたのは、炭酸希土の場合、500℃以上の加熱で強熱減量の値が安定し始めることが実験的に確認されており、1000℃での加熱が最も安定的な指標として適用可能であるという考えに基づくものである。
【0028】
ところで、セリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とが混在する原料を大別すると、セリウム系希土類炭酸塩を仮焼することによって得られる原料(前者)と、セリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とを混合させることで得られる原料(後者)とがあるが、前者の原料の方が粉砕性により優れているため、得られる研摩材製品中の粗大粒子濃度がより低くなり、より好ましい。前者の原料は、炭酸希土原料全体を適度に仮焼することによって得られるものであり、炭酸根がかなり微視的に見ても原料全体に均一に含まれているため、浸漬加熱粉砕が原料全体で均一に進行しやすいと考えられる。他方、後者の原料は、粉砕されやすい炭酸希土からなる粒子と、炭酸根を含まないため粉砕されにくい酸化希土とからなる粒子の混合物であるため、均一に粉砕されにくく、粗粒子が残りやすいと考えられる。
【0029】
原料を粉砕する工程が終了すると、従来の技術で説明したような通常の製造工程と同様の工程を行って研摩材を製造する。具体的には、まず必要に応じて化学処理(湿式処理)を施し、濾過して乾燥する。その後、焙焼して解砕(再粉砕)を行う。湿式粉砕によって解砕する場合は、解砕を十分行って粗粒子を低減すれば、終了した時点で、スラリー状態の研摩材が得られ、さらに乾燥させると粉末状の研摩材が得られる。解砕後、湿式分級によって粗粒子および/または微粒子を低減し、あるいはカートリッジフィルターを通過させて粗粒子を低減する等の操作を行って、さらに高品質の研摩材を得る場合もある。他方、乾式粉砕によって解砕する場合は、通常、解砕後、乾式分級を行って、所望の粒径、粒度分布の粉末状態の研摩材を得る。この場合に、スラリー状態の研摩材を得るためには、乾式分級した粉末状態の研摩材をスラリー化してもよいし、乾式粉砕による解砕後の研摩材をスラリー化して湿式分級してもよい。なお、ここでいう化学処理とは、フッ化処理や鉱酸処理のことであるが、これまでの説明から解るように、本発明に係るセリウム系研摩材の製造方法によれば、フッ化処理は必須でないため、フッ化処理によって添加されるフッ素成分の添加量を大幅に低減すること、さらには添加量をゼロ(0)にすることが可能である。
【0030】
ここまで説明してきたように、本発明の研摩材の製造方法によれば、粗大粒子濃度および微粒子濃度の両方が低い状態になるように原料を粉砕できるため、粗大粒子濃度および微粒子濃度が低い研摩材を容易に製造できる。つまり、従来の製造方法では、両方の濃度が低くなるように粉砕できないため、従来は、まず粗大粒子濃度が低い状態になるまで粉砕し、フッ素成分を添加することで必要な研摩力(研摩速度)を確保していた。したがって、粗大粒子濃度が低く、かつ低フッ素濃度である研摩材を製造することは困難であった。これに対し、本発明に係るセリウム系研摩材の製造方法によれば、研摩材へのフッ素の添加量を従来より大幅に低くしても、あるいはフッ素を全く添加しなくても、研摩速度、被研摩面の平滑性および洗浄性に優れる研摩材を容易に製造できる。そして、検討の結果、本発明に係るセリウム系研摩材の製造方法によって製造された研摩材の中でも、研摩材中のフッ素成分濃度が3.0重量%以下であるものが被研摩面の平滑性および洗浄性に優れており、研摩時の傷発生が少なく、しかも研摩力が高い研摩材であることが解った。研摩材中のフッ素成分濃度が3.0重量%を超えると、急激に洗浄性が低下するからである。そして、その中でもフッ素成分濃度が0.01重量%〜1.0重量%の研摩材が特に洗浄性に優れることが解った。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0032】
第1実施形態:セリウム系研摩材原料として、TREOが69重量%であって、TREOに占める酸化セリウム(CeO2)が60重量%、TREOに対するフッ素成分の含有量が0.1重量%である炭酸希土を用いた。なお、原料の平均粒径は約500μmであり、原料のLOIは30重量%であった。LOIの測定方法は、上述した通りであり、その説明を省略する。後述の各実施形態および比較例では、特に説明していない限り、この原料を用いた。
【0033】
まず、撹拌装置の容器内に純水9.3kgを入れて65℃まで加熱した後、撹拌しながら原料5.7kg(うち水分が0.7kg)を投入し、容器内を撹拌する状態を5分間維持した。また、撹拌装置に容器内の水を加熱する手段を設けて、原料の投入開始から撹拌終了まで、撹拌装置内のスラリーの温度が60℃以上(65℃以下(=下限保持温度+5℃の温度以下))に保持されるように、容器内のスラリーを加熱した。撹拌終了後、水と原料からなる撹拌装置内のスラリー(固形成分含有率が33.3重量%)を、直径4mmのボールが10kg投入されたアトライタ(三井三池製作所(株)製 MA−1SE)に投入して1時間、湿式粉砕を行った。粉砕後、固形成分を濾過してケーキを得た後、このケーキを乾燥させて焙焼(850℃、5時間)し、サンプルミル(不二パウダル社製)にて解砕を行い、その後、粗大粒子を低減するために風力分級機の一種であるターボプレックス(ホソカワミクロン社製)にて1回分級(分級点7μm)を行ってセリウム系研摩材製品を得た。そして、得られたセリウム系研摩材について、粒度分析計(マイクロトラックMK−II SPA MODEL7997−20、日機装社製)によって粒度分布を測定し、小粒径側からの体積累積粒度分布度数が50%になる粒径値(平均粒径(D50))を求めた。
【0034】
粗大粒子濃度の測定:第1実施形態をはじめ、後述の実施形態および比較例では、粉砕工程の所定の時期(表1参照)に原料および研摩材製品の粗大粒子濃度(粒径10μm以上の粒子の濃度)を測定すると共に得られた研摩材について粗大粒子濃度を測定した。粗大粒子濃度の測定は次のようにして行った。測定対象について、固形成分の重量が200gに相当する量を秤量採取し、これを分散剤として0.1重量%のヘキサメタリン酸ナトリウムを含有する水溶液に分散させ2分間攪拌しスラリーを製造した。このスラリーを孔径10μmのマイクロシーブで濾過し、篩上の残滓を回収した。回収した残滓を再度0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液に分散させスラリー化した。このとき、分散は超音波攪拌を1分間行っている。そして、スラリーを孔径10μmのマイクロシーブで濾過した。この回収残滓の再スラリー化、濾過は2回行って粗大粒子を回収した。その後、この粗大粒子を十分乾燥させた後秤量し、この粗大粒子重量から粗大粒子濃度を求めた。
【0035】
第2〜6実施形態および比較例1と比較例2:原料投入時の撹拌装置内の水温および原料投入後の浸漬時間を変えて浸漬加熱粉砕を行った。これら以外の研摩材製造条件は、第1実施形態と同じであったので説明を省略する。
【0036】
比較例3:原料を粉砕する工程では、アトライタによる湿式粉砕のみによって原料を粉砕し、撹拌装置を用いた浸漬加熱粉砕を行わずに焙焼を行った。具体的には、まず原料を純水と混合してスラリー(固形成分含有率が33.3重量%)を調製し、該スラリーをアトライタに投入して10時間、湿式粉砕を行うのみで粉砕を終了した。これ以外の研摩材製造条件は、第2実施形態と同じであった。
【0037】
【表1】
【0038】
比較例3では、浸漬加熱粉砕を行わず、アトライタ粉砕だけで原料を粉砕しており、粉砕後の原料の粗大粒子濃度を表記の値にするまでに10時間を要した。これに対し、第1実施形態や第2実施形態では、浸漬加熱粉砕を5分間行い、その後アトライタ粉砕を1時間行うことで、粉砕後に、より粗大粒子濃度の低い原料が得られた。この結果、浸漬加熱粉砕を行えば、より短時間で原料の粉砕が可能であることが解った。また、最終的に得られる研摩材製品中の粗大粒子濃度も比較例3と比べて抑制されており、研摩材中の粗大粒子濃度を低減する効果を有することも解った。
【0039】
比較例1は、スラリーの温度を40℃以上(45℃以下)に保持して浸漬加熱粉砕を行ったものであるが、浸漬加熱粉砕後に得られた原料の粗大粒子濃度は高いものであった。これに対し、粗大粒子濃度が低かった第1実施形態は、スラリーの温度を60℃以上(65℃以下)に保持して浸漬加熱粉砕を行ったものである。この結果から、浸漬加熱粉砕時のスラリーの保持温度は60℃以上が好ましいことが解った。一方、スラリーの保持温度の上限値であるが、スラリーを95℃以上であって100℃以下に保持して浸漬加熱粉砕を行った第4実施形態において、良好な粉砕結果が得られていることから、少なくとも浸漬加熱粉砕時のスラリーの保持温度が100℃以下であれば、粗大粒子濃度が低い良好な砕後を行うことができ、しかも研摩材製品中の粗大粒子濃度が低くなることが解った。
【0040】
また、第3実施形態の結果から、浸漬時間が1分以上あれば、浸漬加熱粉砕だけでも、アトライタ粉砕だけを10時間行った場合(比較例3)と同等のレベルまで粗大粒子濃度を低くすることができることが解った。また、最終的に得られた研摩材製品の粗大粒子濃度も低かった。一方、浸漬時間の上限値であるが、第6実施形態や比較例2の結果から解るように、浸漬時間を長くするほど、粗大粒子濃度を低減できることが解った。
【0041】
第7実施形態:この実施形態では、アトライタによる湿式粉砕を行わず、撹拌装置を用いた浸漬加熱粉砕のみによって原料を粉砕した。浸漬加熱粉砕では、撹拌装置内のスラリーの温度が95℃以上(100℃以下)に保持されるように、容器内のスラリーを加熱した。また浸漬時間を20分とした。これら以外の研摩材製造条件は、第2実施形態と同じであった。
【0042】
第8実施形態:この実施形態の原料を粉砕する工程では、まず、原料を純水と混合してスラリー(固形成分含有率が33.3重量%)を調製し、調整したスラリーをアトライタに入れて湿式粉砕した。この湿式粉砕後、原料を撹拌装置に投入して浸漬加熱粉砕を行った。アトライタ粉砕を先に行い、その後浸漬加熱粉砕を行ったこと以外の研摩材製造条件は、スラリーの保持温度や浸漬時間を含め、第2実施形態と同じであった。
【0043】
【表2】
【0044】
浸漬加熱粉砕によって粗大粒子濃度を低くすることができることは、既に説明したが、第7実施形態よって、浸漬加熱粉砕後、アトライタなどの装置を用いた粉砕を実際に行わずに焙焼しても、粗大粒子濃度の低い研摩材製品が得られることが確認された。また、第8実施形態より、浸漬加熱粉砕と、アトライタ粉砕とを組み合わせる場合、いずれの粉砕を先に行っても、粗大粒子濃度の低い、良好な粉砕結果が得られることが解った。
【0045】
第9〜11実施形態および比較例4:第1実施形態で用いた原料(炭酸希土)を所定の仮焼条件で仮焼してLOIを調整した原料のうち5kgを、撹拌装置の容器内の加熱された純水10kgに投入して浸漬加熱粉砕を行った。各実施形態および比較例における仮焼条件は表3に示すとおりである。これら以外の研摩材製造条件は、第2実施形態と同じであった。
【0046】
【表3】
【0047】
LOIが0.5重量%である比較例4では、浸漬加熱粉砕後の原料の粗大粒子濃度が著しく高かった。これに対し、LOIが1.0重量%以上(40重量%以下)の各実施形態では、浸漬加熱粉砕後の原料や研摩材製品の粗大粒子濃度が低く抑えられることが解った。これらの結果、浸漬加熱粉砕は、セリウム系研摩材の原料が、セリウム系希土類炭酸塩である場合、およびセリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とが混在するものである場合に、粗大粒子濃度を低減でき、しかも粉砕時間を短縮できるなど、特に有効な粉砕方法であることが解った。
【0048】
第12および13実施形態と比較例5:浸漬加熱粉砕を行った後、アトライタによる湿式粉砕を行って得られた原料について、フッ化処理を行い、その後、焙焼を行った。これ以外の研摩材製造条件は、第2実施形態と同じであった。なお、フッ化処理では、スラリー中にフッ化水素(HF)水溶液を添加した。添加する溶液としては、この他に、例えば、フッ化アンモニウムなどを挙げることができる。フッ化処理後に得られた原料のフッ素成分濃度は表4に示すとおりであった。
【0049】
【表4】
【0050】
表から解るように、粉砕前にフッ化処理を行った場合にも、粗大粒子濃度が低減された良好な粉砕が得られることが解った。ただし、第2実施形態との比較から解るように、浸漬加熱粉砕後の原料や研摩材製品についての粗大粒子濃度は大差なかった。
【0051】
研摩試験:各実施形態及び比較例により得られたスラリー状態のセリウム系研摩材について研摩試験を行い、研摩値の測定および研摩面の状態評価(傷評価)を行った。研摩試験では、高速研摩試験機を試験装置として用い、65mmφの平面パネル用ガラスを被研摩材とし、このガラスをポリウレタン製の研摩パッドを用いて研摩した。研摩試験では、得られた研摩材をさらに水に分散させてスラリー濃度が10重量%の研摩材スラリーを調製した。研摩条件は、調製した研摩材スラリーを5l/minの速度で供給し、研摩面に対する圧力を1.54MPa(15.7kg/cm2)に設定し、研摩試験機の回転速度を1000rpmに設定するというものであった。研摩後のガラス材料は、純水で洗浄し無塵状態で乾燥させた。
【0052】
研摩値の評価:上述の研摩試験において、研摩前後のガラス重量を測定することにより求められたガラス重量の減少量に基づいて、研摩値を求めた。ここでは、比較例1の研摩材を用いて研摩した場合の研摩値を基準(100)とした。
【0053】
傷の評価:被研摩面の状態を評価したものである。被研摩面の傷の有無を基準として傷の評価を行った。具体的には、研摩後のガラスの表面に30万ルクスのハロゲンランプを照射し、反射法にてガラス表面を観察して、傷の程度(大きさおよび個数)を見極めて点数化し、100点満点からの減点方式にて評価点を定めた。
【0054】
洗浄性の評価:各実施形態および比較例で得られたセリウム系研摩材を用いて研摩した被研摩面を洗浄して、研摩材の洗浄性試験を行った。試験では、光学顕微鏡観察用のガラス製プレパレートであって超音波洗浄によって洗浄し乾燥したものを用意した。そして、セリウム系研摩材を水に分散させて、濃度10重量%の研摩材スラリーを得た。この研摩材スラリーに用意したプレパラートを浸漬し、その後引き上げて乾燥機で十分に乾燥させてプレパラート表面に研摩材を付着させ、洗浄性試験用の試験片を得た。なお、乾燥時のプレパラート雰囲気の温度は50℃とした。そして、得られた試験片をビーカー内の純水に浸漬させた状態で、超音波洗浄を5分間行った。洗浄後、プレパラートをビーカー内から取り出して、純水にて流水洗浄した。そして、流水洗浄後のプレパラートの表面を光学顕微鏡にて観察し、表面に残存している研摩材粒子の残存量を評価した。評価結果を表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
比較例1および第1から第6実施形態の研摩材の研摩試験結果を参照すると、粗大粒子濃度が低い研摩材において高い評価が得られており、浸漬加熱粉砕を好適に行うための条件と、各性能に優れる研摩材を得るための条件とが基本的には一致していることが解った。ただし、比較例2(浸漬時間は180分)の研摩材は、粗大粒子濃度は極めて低いにも拘わらず、研摩値および洗浄性が比較的劣っていた。この結果から、浸漬加熱粉砕時の浸漬時間を長くし過ぎると、粗大粒子濃度は低減できるが、研摩材製品の研摩値や洗浄性が低下することが解った。つまり、全評価に優れる研摩材を得るには、既に説明した浸漬過熱粉砕の条件に加えて、浸漬時間を90分以下にすることが好ましく、また第6実施形態の結果から、浸漬時間は60分以下がより好ましいことが解った。したがって、浸漬時間が60分、特に90分を超えるおそれがある場合は、一旦スラリーを60℃未満(好ましくは常温)に冷却するのが好ましい。まとめると、スラリーの保持温度は、60℃〜100℃の範囲が好ましく、浸漬時間は、1分〜90分、特に1分〜60分が好ましいということになる。
【0057】
第7実施形態の研摩材についての試験結果は全て良好であった。この実施形態は、アトライタ粉砕を行わなかったものである。したがって、原料を浸漬加熱粉砕だけで粉砕しても、優れた研摩材が得られることが解った。
【0058】
また、第8実施形態の研摩材についての試験結果も全項目とも良好であった。この実施形態は、アトライタ粉砕を先に行い、その後、浸漬加熱粉砕を行ったものである。したがって、先に浸漬加熱粉砕を行った第2実施形態の結果と合わせ、浸漬加熱粉砕とアトライタ粉砕のいずれを先に行っても良いことが解った。
【0059】
第9から第11実施形態および比較例4の研摩材の研摩試験結果を参照すると、原料のLOIが低いと粉砕により得られた原料の粗大粒子濃度が高く、しかも最終的に得られた研摩材の傷評価が低かった(比較例4)。そして、原料のLOIが高いと粉砕により得られた原料の粗大粒子濃度が低く、しかも最終的に得られた研摩材の評価が高かった。この結果、浸漬加熱粉砕によって原料を粉砕する場合、原料は、セリウム系希土類炭酸塩であるか、またはセリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とが混在するものであるのが好ましいことが解った。そして、このような原料であれば、その原料を短時間で良好な状態に粉砕でき、各性能に優れる研摩材を製造できることが解った。
【0060】
第12および第13実施形態および比較例5の研摩材は、粉砕後焙焼前にフッ化処理が行われているものであり、浸漬加熱粉砕後の原料や研摩材製品についての粗大粒子濃度は、第2実施形態と比べて遜色ない結果が得られたが、フッ化処理におけるフッ素成分の添加量が最も多かった比較例5の研摩材は、傷および洗浄性の評価が劣っていた。この結果、フッ化処理を行うことは可能であるが、その場合、多量のフッ素成分を添加しない方が好ましいことが解った。具体的には、研摩材のフッ素成分濃度は、3.0重量%よりも低い方が好ましく、1.0重量%以下がより好ましいことが表から解る。
【0061】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、粗大粒子濃度がより低く、かつより高い研摩力が確保されており、しかも被研摩面の洗浄性に優れるセリウム系研摩材の製造方法を提供できる。また、本発明によれば、短い粉砕時間で、確実に粗大粒子濃度が低下するように効率的に原料を粉砕でき、優れた研摩性能を有するセリウム系研摩材を効率的に製造することができる。
Claims (1)
- セリウム系研摩材の原料を粉砕する工程を有すると共に、粉砕後の原料を焙焼する工程および焙焼後の原料を解砕する工程を有するフッ素成分濃度が3.0重量%以下のセリウム系研摩材の製造方法において、
セリウム系研摩材の原料として、セリウム系希土類炭酸塩、またはセリウム系希土類炭酸塩とセリウム系希土類酸化物とが混在し、1000℃で1時間加熱した場合の強熱減量が1.0重量%〜40重量%であるものが用いられており、
原料を粉砕する工程は、原料を水又は水溶性有機溶媒の水溶液中に浸漬させた状態で、60℃〜100℃で1〜90分間加熱することによって粉砕する工程を有することを特徴とするセリウム系研摩材の製造方法。
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