JP3687830B2 - 自動車のドア構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のドア構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来の自動車のドア構造の要部を示す断面図である。このドア構造は、フロントドア1及びリヤスライドドア2が閉じられた状態で、フロントドア1の後端部1aとリヤスライドドア2の前端部2aとがセンタピラー3の近傍の最も外側で対向した位置にあり、フロントドア1は後端部1aで結合したアウタパネル4とインナパネル5とを有し、リヤスライドドア2は前端部2aで結合したアウタパネル6とインナパネル7とを備えて構成されている。そしてフロントドア1の後端部1aとリヤスライドドア2の前端部2aとの間には隙間Cがあって、該隙間Cを通じてその内側のセンタピラー3の表面が外部から直接見えるようになっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のドア構造では、自動車が前面から後方へ向かう衝撃荷重を受けた場合、フロントドア1が後方へ変位し、変位後の状態で、図8に示すように、フロントドア1の後端部1aがリヤスライドドア2の前端部2aの内側へ入り込み、外側からフロントドア1を開けようとする時に、開け難くなる可能性があった。また、側面外部から見た時に、隙間Cの奥にあるセンタピラー3の表面が暗く見えて、見切り部が目立つ傾向があるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述のような従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、見切り部が目立たず、自動車が前面から後方へ向かう衝撃荷重を受けた後、フロントドアの後端部がリヤスライドドアの内側に食い込むことがなく、該フロントドアを容易に開けることができる自動車のドア構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、インナパネルとアウタパネルとを組合わせてなるリヤドアと、該リヤドアの前方に配置したフロントドアとを備え、前記リヤドアの前端部におけるアウタパネルの部分には前記フロントドアの後端部に対向する前向きの段差面を有する段差部を折曲成形し、該段差部の前方内側で前記アウタパネルに前記インナパネルを合わせる一方、該段差部の後方近傍に剛性を上げるためのリインフォースメントを前記インナパネル及び前記アウタパネルのいずれか一方に部分的に配設する自動車のドア構造において、前記リインフォースメントには前記段差部の後方に対向する前板部を形成するとともに該リインフォースメントをキャラクタラインの上下に亘り部分的に配設したことを特徴とする。また、本発明に係る自動車のドア構造では、前記リヤドアをリヤスライドドアとし、前記キャラクタラインが前記フロントドア及び前記リヤスライドドアにわたって設けられることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る自動車のドア構造について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係るドア構造を適用した自動車を示す側面図、図2は図1のA−A線断面図であって、フロントドア及びリヤスライドドアを閉じた状態を示す。この実施の形態に係る自動車11は、フロントドア1とリヤスライドドア12とを有し、該フロントドア1及びリヤスライドドア12を通じて前後方向に沿ったキャラクタライン14を備えており、両ドアを閉じた状態で、センタピラー13の外側近傍にフロントドア1の後端部1aとリヤスライドドア12の前端部12aがある。なお、フロントドア1は、従来と特に異なるところがないので、図8と同一部分に同一符号を付けて示し、説明を省略する。
【0007】
リヤスライドドア12は、インナパネル15とアウタパネル21とを組合わせて構成されている。そして、リヤスライドドア12のインナパネル15は、内板部16と、この内板部16の前端で外側へ曲げて形成した段差板部17と、この段差板部17の外端で前方へ曲げて形成した受板部18と、この受板部18の前方に続く接合板部19とを一体に有し、受板部18にはインナリインフォースメント26が固着されている。
【0008】
リヤスライドドア12のアウタパネル21は、外板部22と、この外板部22の前端で内側へ曲げて形成した段差部23と、断面U字形に曲げられた接合部24とを一体に有し、段差部23の前向き段差面23aがフロントドア1の後端部1aに対向し、接合部24がフロントドア1の後端部1aに対しセンタピラー13側即ち内側に位置している。そして、アウタパネル21は、外板部22及び段差部23によってインナリインフォースメント26を覆い、接合部24の断面U字形の部分にインナパネル15の接合板部19を挿入し、接合部24を加締めて該接合部24とインナパネル15の接合板部19とが接合されている。
【0009】
インナリインフォースメント26は、図3に示すように、上下方向の中央における断面がコ字形をなしていて、前板部27とその両側で後方へ曲げ成形した両側板部28,29とを一体に有している。また、インナリインフォースメント26は、外側の側板部29の上下方向の中央に外向き凹状の曲部29aを有し、この曲部29aをキャラクタライン14の位置に合わせてあり、上下方向に沿ってキャラクタライン14の上下に亘ってリヤスライドドア12に部分的に配置されており、前板部27を段差部23に対向させ、内側の側板部28をインナパネル15の受板部18に当接させスポット溶接Wによって該インナパネル15に固着されている。
【0010】
なお、インナリインフォースメント26は、上述の如くリヤスライドドア12の上下方向の全体に亘って設けずにキャラクタライン14の上下に亘って部分的に設けてある。これは、特に変形する箇所やフロントドア1が最初に当たってくる箇所にのみ設ければよいからである。
【0011】
そして、リヤスライドドア12は、フロントドア1とともに閉じられている状態の時に、インナパネル15とアウタパネル21が互いに接合されている前端部12aがセンタピラー13の外面近傍にあって、その外側にフロントドア1の後端部1aが重なるように配置され、フロントドア1と相まってセンタピラー13の外面全体を覆っている。
【0012】
本発明の上記実施の形態に係るドア構造の場合、リヤスライドドア12の段差部23の後方近傍にコ字形断面を有するインナリインフォースメント26がインナパネル15に固着され配置されているので、自動車が前面から後方へ向かう衝撃荷重を受けてフロントドア1が後方へ移動した時、図4に示すように、フロントドア1の後端部1aがリヤスライドドア12の段差部23に当たることにより該段差部23の変形が抑えられ、リヤスライドドア12の段差部23が凹むのを確実に回避することができる。フロントドア1の後端部1aがリヤスライドドア12の段差部23に当たり、フロントドア1の後端部1aは、段差部23の段差面23aに弾かれて、リヤスライドドア12の外側へ必ず出るため、フロントドア1は外部から容易に開くことができる。
【0013】
前方からの急激な衝撃力が車体に加わった時、車体の変形に伴い、フロントドア1及びリヤスライドドア12が上下方向にずれると同時に、フロントドア1の後端部1aとリヤスライドドア12の段差面23aとが接触する。かかる現象は、キャラクタライン部以外では発生し難いため、キャラクタライン14を浅くすることによっても解決可能であるが、デザイン上、またドア1,12に剛性をもたせる上で、深いキャラクタライン14が必要な場合に、本発明のドア構造が有効となる。
【0014】
また、上記実施の形態に係るドア構造では、フロントドア1及びリヤスライドドア12を閉じた時に、リヤスライドドア12の前端部12aの外側にフロントドア1の後端部1aが重なり合って、センタピラー13の外面を覆うので、外部からセンタピラー13が全く見えず、見切り部の見栄えが良くなるという利点もある。
【0015】
なお、本発明は、上記実施の形態によって限定されるものではなく、種々の変形及び変更が可能である。例えば、断面がコ字形のインナリインフォースメント26に代えて、図5に示すような断面がL字形のインナリインフォースメント26Aを用い、これを溶接Wによってインナパネル15に固着してもよく、図6に示すように、アウタパネル21側に接着剤30で固着してもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明の自動車のドア構造は、リインフォースメントには段差部の後方に対向する前板部を形成するとともに該リインフォースメントをキャラクタラインの上下に亘り部分的に配設したので、ドアを閉じた状態で、見切り部の見栄えが良く、衝撃荷重によりフロントドアが後方へ移動してリアドアに当たったとき、該フロントドアが前記リアドアの内側に食い込まず、外部から容易に前記フロントドアを開けることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るドア構造を適用した自動車を示す側面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るドア構造の要部を示した斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るドア構造の変形後の状態を表した断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るドア構造の変更例を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るドア構造の別の変更例を示す断面図である。
【図7】従来の自動車のドア構造の要部を示した断面図である。
【図8】従来の自動車のドア構造の変形後の状態を表した断面図である。
【符号の説明】
1 フロントドア
12 リヤスライドドア
14 キャラクタライン
15 インナパネル
17 段差板部
18 受板部
21 アウタパネル
23 段差部
23a 段差面
26 インナリインフォースメント
27 前板部
28,29 側板部

Claims (2)

  1. インナパネルとアウタパネルとを組合わせてなるリヤドアと、該リヤドアの前方に配置したフロントドアとを備え、前記リヤドアの前端部におけるアウタパネルの部分には前記フロントドアの後端部に対向する前向きの段差面を有する段差部を折曲成形し、該段差部の前方内側で前記アウタパネルに前記インナパネルを合わせる一方、該段差部の後方近傍に剛性を上げるためのリインフォースメントを前記インナパネル及び前記アウタパネルのいずれか一方に部分的に配設する自動車のドア構造において、前記リインフォースメントには前記段差部の後方に対向する前板部を形成するとともに該リインフォースメントをキャラクタラインの上下に亘り部分的に配設したことを特徴とする自動車のドア構造。
  2. 前記リヤドアをリヤスライドドアとし、前記キャラクタラインが前記フロントドア及び前記リヤスライドドアにわたって設けられることを特徴とする請求項1に記載の自動車のドア構造。
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