JP3687545B2 - コンパレータ回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの電圧の差が設定値よりも大きいか小さいかを判定するためのコンパレータ回路(いわゆるウィンドウ電圧コンパレータ)に関し、特に、IC化に適したウィンドウ電圧コンパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のウィンドウ電圧コンパレータの一般的な構成を図3に示す。このウィンドウ電圧コンパレータは、第1の入力電圧V及び第2の入力電圧Vを入力してそれらの差に比例する電圧を出力する第1のインスツルメンテーションアンプ(計装増幅器)31と、第1のウィンドウ電圧VW1及び第2のウィンドウ電圧VW2を入力してそれらの差に比例する電圧を出力する第2のインスツルメンテーションアンプ32と、第1のインスツルメンテーションアンプ31の出力電圧と第2のインスツルメンテーションアンプ32の出力電圧とを比較して比較結果に応じた出力VOUTを発生するコンパレータ33とを含んでいる。
【0003】
各インスツルメンテーションアンプのゲインGは、例えば1倍とすることができる。しかしながら、広い入力電圧に対応して正確なゲインで演算を行うインスツルメンテーションアンプをIC内で実現することは困難である。また、ウィンドウ電圧コンパレータの動作速度は、インスツルメンテーションアンプの応答速度によって決まってしまう。通常のインスツルメンテーションアンプの応答周波数はkHzオーダー止まりであり、MHzオーダーの周波数で動作させたい場合には、性能が不足してしまう。
【0004】
ところで、日本国特許出願公開(特開)昭62−269512号公報には、電圧依存性の無い容量素子を用いずに、MOSトランジスタのゲート容量とスイッチを用いることで、差動増幅器のオフセット電圧の影響を低減した高精度にして高速な電圧比較器が掲載されている。しかしながら、この電圧比較器は、1つの入力電圧が1つの参照電圧に対して大きいか小さいかを判定するものであり、4種の電圧に基づいて2つの入力電圧の差が2つの基準電圧の差で規定される設定値よりも大きいか小さいかを判定することはできない。
【0005】
また、特開平1−91373号公報には、ウィンドウコンパレータに対する上限と下限の2個の参照電圧を一定にした状態でウィンドウコンパレータの電圧軸に対する相対位置のみをシフト可能として、回路部分の偏位位置を調節する可変型ウィンドウコンパレータが掲載されている。しかしながら、この可変型ウィンドウコンパレータは、1つの入力電圧が2つの参照電圧に対して大きいか小さいかを判定するものであり、4種の電圧に基づいて2つの入力電圧の差が2つの基準電圧の差で規定される設定値よりも大きいか小さいかを判定することはできない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、上記の点に鑑み、本発明は、2つの電圧の差が設定値よりも大きいか小さいかを判定するためのウィンドウ電圧コンパレータにおいて、高速動作を実現し、かつ、IC化に適した回路構成を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明のコンパレータ回路は、ゲートに第1の入力電圧が印加される第1のNチャネルトランジスタとゲートに第2の入力電圧が印加される第2のNチャネルトランジスタとを含む第1のNチャネルトランジスタ差動対と、ゲートに第2の入力電圧が印加される第1のPチャネルトランジスタとゲートに第1の入力電圧が印加される第2のPチャネルトランジスタとを含む第1のPチャネルトランジスタ差動対と、 前記第1のNチャネルトランジスタ及び前記第1のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第1の電流合成手段と、前記第2のNチャネルトランジスタ及び前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第2の電流合成手段と、ゲートに第1の基準電圧が印加される第3のNチャネルトランジスタとゲートに第2の基準電圧が印加される第4のNチャネルトランジスタとを含む第2のNチャネルトランジスタ差動対と、ゲートに第2の基準電圧が印加される第3のPチャネルトランジスタとゲートに第1の基準電圧が印加される第4のPチャネルトランジスタとを含む第2のPチャネルトランジスタ差動対と、前記第3のNチャネルトランジスタ及び前記第3のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第3の電流合成手段と、前記第4のNチャネルトランジスタ及び前記第4のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第4の電流合成手段と、前記第1及び第4の電流合成手段の出力電流の和と前記第2及び第3の電流合成手段の出力電流の和とを比較することにより、第1の入力電圧と第2の入力電圧との差が第1の基準電圧と第2の基準電圧との差よりも大きいか小さいかを判定する比較手段と、を具備する。
【0008】
ここで、第1及び第2のPチャネルトランジスタのソース電位と第1及び第2のNチャネルトランジスタのソース電位との間の電位差を第1及び第2の入力信号の電圧に従って制御することにより、差動対のトータルゲインを制御する制御手段をさらに具備しても良い。
【0009】
以上において、比較手段が、ゲート電位を共通にし、各々のソースに差動対の出力が接続される2つの入力トランジスタを含む折り返しカスコード増幅回路で構成されるようにしても良い。
【0010】
上記構成によれば、2つの入力電圧の差を2つの基準電圧の差と比較することにより、2つの入力電圧の差が設定値よりも大きいか小さいかを判定することができる。また、トランジスタの差動対は応答速度が速く、IC化にも適しているため、半導体集積回路において高速なウィンドウ電圧コンパレータを実現することができる。
【0011】
また、本発明のコンパレータ回路は、ゲートに第1の入力電圧が印加される第1のNチャネルトランジスタとゲートに第2の入力電圧が印加される第2のNチャネルトランジスタとを含むNチャネルトランジスタ差動対と、ゲートに第2の入力電圧が印加される第1のPチャネルトランジスタとゲートに第1の入力電圧が印加される第2のPチャネルトランジスタとを含むPチャネルトランジスタ差動対と、前記第1のNチャネルトランジスタ及び前記第1のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第1の電流合成手段と、前記第2のNチャネルトランジスタ及び前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第2の電流合成手段と、前記第1の電流合成手段の出力ノード及び前記第2の電流合成手段の出力ノードとがそれぞれ接続され、前記第1のNチャネルトランジスタ及び前記第1のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和と、前記第2のNチャネルトランジスタ及び前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和との大小を比較する比較手段と、を具備する。上記構成によれば、第1の入力電圧と第2の入力電圧との大小を判定できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、このコンパレータ回路は、入力電圧V及びVが印加されるトランジスタの差動対1と、基準電圧VW1及びVW2が印加されるトランジスタの差動対2と、これらの差動対の出力電流を比較するための増幅回路3とを含んでいる。ここで、基準電圧VW1とVW2との差が設定値を表している。
【0014】
差動対1において、第1のトランジスタは電流I11を出力し、第2のトランジスタは電流I12を出力する。また、差動対2において、第3のトランジスタは電流I21を出力し、第4のトランジスタは電流I22を出力する。増幅回路3は、電流I11と電流I22との和(I11+I22)と、電流I12と電流I21との和(I12+I21)とを比較することにより、入力電圧VとVとの差が基準電圧VW1とVW2との差よりも大きいか小さいかを判定し、その結果を出力電圧VOUTとして出力する。
【0015】
増幅回路3は、折り返しカスコード接続された増幅回路である。増幅回路3において、PチャネルトランジスタQP13とQP14のゲートには、バイアス電圧VB1が印加されており、これらのトランジスタは所定のドレイン電流を供給する。トランジスタQP13とQP14には、PチャネルトランジスタQP11とQP12がそれぞれカスコード接続されている。また、PチャネルトランジスタQP11とQP12のゲートには、バイアス電圧VB2が印加されている。さらに、トランジスタQP11のソースには、差動対1に含まれる第1のトランジスタ及び差動対2に含まれる第4のトランジスタのドレインが接続されている。また、トランジスタQP12のソースには、差動対1に含まれる第2のトランジスタ及び差動対2に含まれる第3のトランジスタのドレインが接続されている。
【0016】
トランジスタQP11とQP12は、差動対1と2の出力電流の和を増幅して、ドレインから出力する。トランジスタQP11とQP12にそれぞれ接続されているNチャネルトランジスタQN11とQN12は、カレントミラーを構成しており、QN12のドレイン電流はトランジスタQP11のドレイン電流と等しくなる。これにより、トランジスタQP11の出力が折り返えされてトランジスタQP12の出力と合成され、トランジスタQP12とQN12のドレインにおいて、電流(I11+I22)と電流(I12+I21)との差に対応する出力電圧VOUTが得られる。この増幅回路は、電流入力タイプとなっているので、電圧飽和が起こり難いという特徴を有している。
【0017】
次に、本実施形態に係るコンパレータ回路において用いる差動対の回路構成について詳しく説明する。
図2は、図1に示す差動対1の具体的な回路構成例を示す図である。差動対2についても、同様の回路構成を使用できる。
【0018】
図2に示すように、差動対1には、入力電圧が高いときに動作するNチャネルトランジスタ差動対を構成するNチャネルトランジスタQN1及びQN2と、入力電圧が低いときに動作するPチャネルトランジスタ差動対を構成するPチャネルトランジスタQP1及びQP2とが含まれている。
【0019】
入力電圧が高いときに動作するNチャネルトランジスタ差動対においては、トランジスタQN1のゲートに入力電圧Vが印加され、トランジスタQN2のゲートに入力電圧Vが印加される。また、トランジスタQN1とQN2のソースには、ゲートにバイアス電圧VB4が印加されたNチャネルトランジスタQN5が接続されている。トランジスタQN1のドレイン電流は出力電流I11の一部となり、トランジスタQN2のドレイン電流は出力電流I12の一部となる。
【0020】
入力電圧が低いときに動作するPチャネルトランジスタ差動対においては、トランジスタQP1のゲートに入力電圧Vが印加され、トランジスタQP2のゲートに入力電圧Vが印加される。また、トランジスタQP1とQP2のソースには、ゲートにバイアス電圧VB3が印加されたPチャネルトランジスタQP5から電流が供給される。トランジスタQP1のドレイン電流は、カレントミラーを構成するNチャネルトランジスタQN6とQN7によって、出力電流I11の一部となる。また、トランジスタQP2のドレイン電流は、カレントミラーを構成するNチャネルトランジスタQN8とQN9によって、出力電流I12の一部となる。
【0021】
なお、入力電圧が高くもなく低くもないときには、Nチャネルトランジスタ差動対とPチャネルトランジスタ差動対との両方が動作して、差動対のトータルゲインが増加してしまう。これを防止するために、PチャネルトランジスタQP3及びQP4とNチャネルトランジスタQN3及びQN4とによって構成される回路を設けて、Nチャネルトランジスタ差動対のソース電位とPチャネルトランジスタ差動対のソース電位との間の電位差を制御することにより、差動対のトータルゲインを低下させている。このようにすれば、広い入力電圧範囲に対して、一定のゲインで差動増幅を行い、正確に入力電圧を出力電流に変換することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上述べた様に、本発明によれば、2つの入力電圧の差を2つの基準電圧の差と比較することにより、2つの入力電圧の差が設定値よりも大きいか小さいかを判定することができる。また、トランジスタの差動対は応答速度が速く、IC化にも適しているため、半導体集積回路において高速なウィンドウ電圧コンパレータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンパレータ回路の構成を示す図である。
【図2】図1に示す差動対1の具体的な回路構成例を示す図である。
【図3】従来のウィンドウ電圧コンパレータの一般的な構成を示す図である。
【符号の説明】
1、2 差動対
3 増幅回路
QP1〜QP14 Pチャネルトランジスタ
QN1〜QN12 Nチャネルトランジスタ

Claims (3)

  1. ゲートに第1の入力電圧が印加される第1のNチャネルトランジスタとゲートに第2の入力電圧が印加される第2のNチャネルトランジスタとを含む第1のNチャネルトランジスタ差動対と、
    ゲートに第2の入力電圧が印加される第1のPチャネルトランジスタとゲートに第1の入力電圧が印加される第2のPチャネルトランジスタとを含む第1のPチャネルトランジスタ差動対と、
    前記第1のNチャネルトランジスタ及び前記第1のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第1の電流合成手段と、
    前記第2のNチャネルトランジスタ及び前記第2のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第2の電流合成手段と、
    ゲートに第1の基準電圧が印加される第3のNチャネルトランジスタとゲートに第2の基準電圧が印加される第4のNチャネルトランジスタとを含む第2のNチャネルトランジスタ差動対と、
    ゲートに第2の基準電圧が印加される第3のPチャネルトランジスタとゲートに第1の基準電圧が印加される第4のPチャネルトランジスタとを含む第2のPチャネルトランジスタ差動対と、
    前記第3のNチャネルトランジスタ及び前記第3のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第3の電流合成手段と、
    前記第4のNチャネルトランジスタ及び前記第4のPチャネルトランジスタのドレイン電流の和を求める第4の電流合成手段と、
    前記第1及び第4の電流合成手段の出力電流の和と前記第2及び第3の電流合成手段の出力電流の和とを比較することにより、第1の入力電圧と第2の入力電圧との差が第1の基準電圧と第2の基準電圧との差よりも大きいか小さいかを判定する比較手段と、
    を具備するコンパレータ回路。
  2. 前記第1び第2のPチャネルトランジスタのソース電位と前記第1及び第2のNチャネルトランジスタのソース電位との間の電位差を第1及び第2の入力信号の電圧に従って制御することにより、前記差動対のトータルゲインを制御する制御手段をさらに具備する請求項1記載のコンパレータ回路。
  3. 前記比較手段が、ゲート電位を共通にし、各々のソースに前記差動対の出力が接続される2つの入力トランジスタを含む折り返しカスコード増幅回路で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のコンパレータ回路。
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