JP3687417B2 - 減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車体など支持体に弾性的に支持された物体の振動を抑制するための減衰力を発生するとともに、前記減衰力を可変にした減衰力可変ショックアブソーバを制御するための電気制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、この種の装置としては、作動液が封入されたシリンダの内周面上に液密的かつ軸線方向に摺動可能に組み込まれて同シリンダ内を上下室に区画するピストンに組み付けられるとともに、アクチュエータにより駆動されて前記上下室間の連通路の開度を変更する可変絞り機構を備え、前記シリンダに対する前記ピストンの変位に対して前記連通路の開度に応じた減衰力を付与する減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置において、アクチュエータを制御することにより可変絞り機構における上下室間の連通路の開度を制御し、前記減衰力を適切に制御するようにしたものがある。この場合、例えば特開平4−102740号公報に示されているように、車両に適用された減衰力可変ショックアブソーバの減衰カを変更制御して車両の操縦安定性及び走行安定性を適切に保つようにした電気制御装置において、シリンダに対するピストンの変位速度が所定速度以上であったときアクチュエータの制御を禁止するようにして、可変絞り機構における連通路の開度の変更に伴う異音の発生を防止するようにしたものもあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来装置においては、ピストンの変位に対して付与されるべき目標減衰力及びピストンの変位に対して実際に付与されている実減衰力とは無関係に、単にピストンの変位速度に基づきアクチュエータの制御を禁止するようにしていただけであったため、例えば連通路の開度が大きい場合など、前記変位速度にかかわらず異音が発生しない場合であってもアクチュエータの制御が不必要に禁止されたり、目標減衰力と実減衰力の差が小さくて減衰力の変更の必要性が少ないにもかからわらずアクチュエータを不必要に頻繁に駆動したりすることがあった。したがって、減衰力の変更が不必要に禁止されたり、減衰力の変更が不必要に頻繁に行われたりして、ショックアブソーバの本来の機能が損なわれて車両にあっては操縦安定性及び走行安定性が無意味に悪化したり、異音が不必要に発生したり、可変絞り機構及びアクチュエータの耐久性がむやみに悪化したりするという問題があった。
【0004】
【発明の概要】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、減衰力の変更を不必要に制限したり、減衰力の変更を不必要に頻繁に行わないようにして、異音の発生を的確に防止したり、可変絞り機構及びアクチュエータの耐久性を良好に保ったりする減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置を提供することにある。
【0005】
上記目的を達成するための本発明の構成上の特徴は、作動液が封入されたシリンダの内周面上に液密的かつ軸線方向に摺動可能に組み込まれて同シリンダ内を上下室に区画するピストンに組み付けられるとともに、アクチュエータにより駆動されて上下室間の連通路の開度を変更する可変絞り機構を備え、シリンダに対するピストンの変位に対して連通路の開度に応じた減衰力を付与する減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置において、減衰力可変ショックアブソーバにてピストンの変位に対して付与されるべき目標減衰力を計算する目標減衰力計算手段と、減衰力可変ショックアブソーバにてピストンの変位に対して実際に付与されている実減衰力を計算する実減衰力計算手段と、前記計算された実減衰力と予め決められた所定減衰力とから設定され、実減衰力を急激に大きく変化させない範囲内の減衰力であって、前記計算された目標減衰力に最も近い減衰力に対応した連通路の開度を計算する開度計算手段と、アクチュエータを制御して連通路を前記計算された開度に設定するアクチュエータ制御手段とを設けたことにある。
【0006】
前記特徴によれば、アクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御によって、可変絞り機構における上下室間の連通路が、実減衰力を急激に大きく変化させない範囲内で、目標減衰力計算手段により計算された目標減衰力に最も近い減衰力に対応した開度に設定される。すなわち、大きな異音が発生する可能性が高くなる減衰力の急激かつ大きな変更制御のみが禁止され、大きな異音が発生する可能性の低い範囲内で前記減衰力の変更制御が許容されることになるので、前記減衰力の変更制御を不必要に制限することなく、例えば車両の減衰力可変ショックアブソーバに適用した場合ならば同車両の操縦安定性及び走行安定性を極力良好に確保した上で、大きな異音の発生を防止できる。
【0007】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記本発明の構成に、さらに、前記計算された実減衰力の大きさが所定減衰力未満であるときアクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御を許容し、前記計算された実減衰力の大きさが所定減衰力以上であるときアクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御を禁止する禁止手段とを設けたことにある。
【0008】
前記特徴によれば、実減衰力が所定減衰力未満であれば、アクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御によって、可変絞り機構における上下室間の連通路が、目標減衰力計算手段により計算された目標減衰力に最も近い減衰力に対応した開度に設定される。一方、実減衰力が所定減衰力以上であれば、禁止手段によってアクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御が禁止されて、可変絞り機構における連通路の開度の変更が禁止される。したがって、大きな異音が発生する可能性が高い場合における減衰力の変更制御のみが禁止され、大きな異音が発生する可能性の低い場合における減衰力の変更制御が許容されることになるので、減衰力の変更制御を不必要に制限することなく大きな異音の発生を防止できる。そして、この発明を車両の減衰力可変ショックアブソーバに適用すれば、車両の操縦安定性及び走行安定性を極力良好に確保した上で、大きな異音の発生を防止できる。
【0009】
さらに、本発明の他の構成上の特徴は、前記本発明の構成に、さらに、前記計算された目標減衰力と前記計算された実減衰力との差が所定値以上であるときアクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御を許容し、前記計算された目標減衰力と前記計算された実減衰力との差が所定値未満であるときアクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御を禁止する禁止手段とを設けたことにある。
【0010】
前記特徴によれば、目標減衰力と実減衰力の差が所定値以上であれば、アクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御によって、可変絞り機構における上下室間の連通路が、目標減衰力計算手段により計算された目標減衰力に最も近い減衰力に対応した開度に設定される。一方、目標減衰力と実減衰力の差が所定値未満であれば、禁止手段によってアクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御が禁止されて、可変絞り機構における連通路の開度の変更が禁止される。したがって、前記開度の変更による減衰力の変化が少ないために減衰力を変更する必要性が少ない場合には、前記開度の変更が不必要に行われなくなり、可変絞り機構及びアクチュエータの耐久性が向上するとともに、同開度の変更による異音の発生確率も少なくなる。そして、目標減衰力と実減衰力の差が大きくて減衰力の変更が必要な場合には、減衰力は目標減衰力に変更されるので、減衰力の変更が不必要に制限されることなく、減衰力可変ショックアブソーバの本来の機能を発揮する。例えば、この減衰力制御を車両に適用すれば、可変絞り機構及びアクチュエータの耐久性を向上させるとともに不必要な異音の発生を避けた上で、車両の操縦安定性及び走行安定性を良好に保つことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。同実施形態は本発明に係る電気制御装置を車両の減衰力可変ショックアブソーバに対して適用したものであり、図1は同電気制御装置の全体を概略的に示したブロック図である。
【0012】
この電気制御装置を適用した車両は、車体(ばね上部材)11と、同車体11の前後左右位置にそれぞれ配設された車輪(ばね下部材)12とを備えている。なお、図1においては、一つの車輪12のみを図示している。車輪12に接続されたロアアーム(ばね下部材)13と車体11との間には、車体11をロアアーム13に対して弾性的に支持するスプリング14と、減衰力可変ショックアブソーバ15とが並列的に配置されている。
【0013】
減衰力可変ショックアブソーバ15は、ロアアーム13に組み付けられて作動油(作動液)を封入したシリンダ15aと、車体11に組み付けられるとともにシリンダ15aの内周面上に液密的かつ軸線方向に摺動可能に組み込まれてシリンダ15a内を上下室R1,R2に区画するピストン15bとを備えており、車輪12及びロアアーム13に対する車体11の相対変位、すなわちシリンダ15aに対するピストン15bの変位に対し同変位の速度に比例した減衰力を付与するものである。また、減衰力可変ショックアブソーバ15は、ピストン15bに組み付けられて上下室R1,R2間の連通路の開度を1段からn段までの間で段階的に変更する可変絞り機構15cと、可変絞り機構15cを駆動するアクチュエータとしてのステップモータ15dとを内蔵しており、減衰係数が複数段階に変更されるようになっている。
【0014】
減衰力可変ショックアブソーバ15に適用された電気制御装置は、加速度センサ21、変位量センサ22、マイクロコンピュータ23及び駆動回路24を備えている。
【0015】
加速度センサ21は、車体11に組み付けられて、絶対的な空間に対する車体11の上下方向の加速度Zb”を検出して、同加速度Zb”を表す検出信号を出力する。検出加速度Zb”は、正の値により上方向の加速度を表し、負の値により下方向の加速度を表すものである。変位量センサ22は、車体11とロアアーム13との間に組み付けられて、車体11の車輪12及びロアアーム13に対する相対的な変位量Zsを検出して、同変位量Zsを表す検出信号を出力する。変位量Zsは、正の値により基準値からの増加量(シリンダ15aに対するピストン15bの上方向への変位量)を表し、負の値により基準値からの減少量(シリンダ15aに対するピストン15bの下方向への変位量)を表すものである。
【0016】
マイクロコンピュータ23は、内蔵のタイマによる制御のもとに、図2のフローチャートに対応したプログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行して、駆動回路24を介して可変絞り機構15cにおける上下室R1,R2間の連通路の開度を設定し、減衰力可変ショックアブソーバ15の減衰係数を変更制御する。駆動回路24は、マイクロコンピュータ23により制御されて、減衰力可変ショックアブソーバ15のステップモータ15dを駆動する。
【0017】
次に、上記のように構成した実施形態の動作を図2のフローチャートに沿って説明する。マイクロコンピュータ23は、ステップ100にてプログラムの実行を開始する毎に、ステップ102にて、加速度センサ21及び変位量センサ22からの検出加速度Zb”及び検出変位量Zsを入力する。そして、ステップ104にて前記検出加速度Zb”を時間積分することにより車体11の上下方向の絶対速度Zb’を計算し、ステップ106にて前記検出変位量Zsを時間微分することにより車体11の車輪12及びロアアーム13に対する相対速度(シリンダ15aに対するピストン15bの変位速度)Zs’を計算する。
【0018】
次に、マイクロコンピュータ23は、ステップ108にて、車輪12及びロアアーム13に対する車体11の相対変位、すなわちシリンダ15aに対するピストン15bの変位に対して減衰力可変ショックアブソーバ15が付与すべき目標減衰力Fdを計算する。具体的には、予め設定されたスカイフック減衰係数Cshを用いて下記数1の演算を実行する。
【0019】
【数1】
Fd=Csh・Zb’
【0020】
一方、ステップ110においては、マイクロコンピュータ23に内蔵の図3に示すZs’−Fマップを参照して、シリンダ15aに対するピストン15bの変位に対して減衰力可変ショックアブソーバ15が実際に付与している実減衰力Frを計算する。Zs’−Fマップは、減衰力可変ショックアブソーバ15の可変絞り機構15cにおいて設定される上下室R1,R2間の連通路の開度の各段数1〜n毎に、相対速度Zs’に対する減衰力Fの特性カーブをそれそれグラフに表したものである。マイクロコンピュータ23は、段数指定変数pにより指定された段数に対応した特性カーブに基づいて、前記ステップ106にて計算した相対速度Zs’に対応した減衰力を実減衰力Frとして計算する(図3参照)。段数指定変数pは、図示しない初期設定又は後述するステップ118にて設定されて、可変絞り機構15cにおいて実際に設定されている連通路の開度の段数を表すものである。
【0021】
ステップ112においては、前記計算した実減衰力Frの大きさ|Fr|が予め設定された所定減衰力F0以上であるか否かを判定する。このとき、減衰力Frの大きさ|Fr|が所定減衰力F0未満であれば、マイクロコンピュータ23は「NO」との判定のもとにプログラムをステップ114以降へ進める。
【0022】
ステップ114〜118は、前記ステップ108にて計算した目標減衰力Fdに基づいて、可変絞り機構15cにおける上下室R1,R2間の連通路の開度の段数を更新設定する処理である。この場合、マイクロコンピュータ23は、まず、ステップ114にて、Zs’−Fマップを参照し、各段数1〜nに対応した各特性カーブに基づいて、前記ステップ106にて計算した相対速度Zs’に対応する各段数1〜n毎の減衰力F1〜Fnをそれぞれ計算する。ステップ116においては、前記計算した各段数1〜n毎の減衰力F1〜Fnのうちから、実減衰力Frから所定範囲内の減衰力Fa〜Fbを抽出する。なお、この所定範囲は、実減衰力Frより予め設定された所定減衰力△Fだけ小さい減衰力Fr―△Fから、実減衰力Frより同所定減衰力△Fだけ大きい減衰力Fr+△Fまでの範囲に設定される。
【0023】
ステップ117においては、前記抽出した減衰力Fa〜Fbのうちから前記ステップ108の処理により計算した目標減衰力Fdに最も近い減衰力Fxを選択する。ステップ118においては、段数指定変数pを前記選択した減衰力Fxに対応した段数を表す値に更新設定する。そして、ステップ120にて、前記更新設定した段数指定変数pを表す制御信号を駆動回路24に対して出力し、減衰力可変ショックアブソーバ15の可変絞り機構15cにおける上下室R1,R2間の連通路の開度を同段数指定変数pにより表される段数に更新設定する。
【0024】
―方、前記ステップ110にて計算した実減衰力Frの大きさ|Fr|が所定減衰力F0以上であれば、マイクロコンピュータ23は、ステップ112における「YES」との判定のもとに、前記ステップ114〜120の処理を回避して可変絞り機構15cにおける連通路の開度の変更制御を禁止する。
【0025】
前記各処理後、マイクロコンピュータ23は、ステップ122にてプログラムの実行を一旦終了する。このようなプログラムの繰り返し実行により、可変絞り機構15cにおける上下室R1,R2間の連通路の開度が適宜設定されて、減衰力可変ショックアブソーバ15の減衰係数が随時変更制御される。
【0026】
上述のように、上記実施形態においては、マイクロコンピュータ23が、ステップ108にて、車輪12及びロアアーム13に対する車体11の変位に対して付与すべき減衰力を目標減衰力Fdとして計算し、ステップ110にて、前記車体11の変位、すなわちシリンダ15aに対するピストン15bの変位に対して減衰力可変ショックアブソーバ15が実際に付与している減衰力を実減衰力Frとして計算する。そして、ステップ114〜120の処理により、可変絞り機構15cにおける上下室R1,R2間の連通路の開度を、実減衰力Frから所定範囲内の減衰力であって、かつ目標減衰力Fdに最も近い減衰力Fxに対応した段数に設定する。したがって、大きな異音が発生する可能性が高くなる減衰力の変更制御のみが禁止されて、ピストン15bの変位に対して実際に付与されている減衰力を急激に大きく変化させない範囲、すなわち大きな異音が発生する可能性が低い範囲内で同減衰力の変更制御が許容されることになるため、同減衰力の変更制御を不必要に制限することなく、車両の操縦安定性及び走行安定性を極力良好に確保した上で、大きな異音の発生を防止することができる。
【0027】
また、前記ステップ110にて計算された実減衰力Frの大きさ|Fr|が所定減衰力F0以上であった場合、前記ステップ114〜120の処理が回避されて前記連通路の開度の変更が禁止されるようになっている。したがって、大きな異音が発生する可能性が高い場合における減衰力の変更制御のみが禁止され、大きな異音が発生する可能性が低い場合における同減衰力の変更制御が許容されることになるため、これによっても、同減衰力の変更制御を不必要に制限することなく、車両の操縦安定性及び走行安定性を極力良好に確保した上で、大きな異音の発生を防止することができる。
【0028】
なお、上記実施形態においては、可変絞り機構15cにおける連通路の開度の変更を、ピストン15bの変位に対して実際に付与されている実減衰力Frを急激に大きく変化させない範囲内でのみ許容するとともに、同実減衰力Frの大きさが所定減衰力F0以上であった場合に禁止するようにした。しかし、簡単のため、前記実減衰力Frを急激に大きく変化させない範囲内で連通路の開度を変更する条件と、前記実減衰力Frの大きさが所定減衰力F0以上のとき連通路の開度の変更を禁止する条件とのうちの一方の条件を省略しても、本発明による効果を相応に期待することができる。例えば、前者の条件のみを採用して後者の条件を省略する場合、図2におけるステップ112の処理を省略して、ピストン15bの変位に対して実際に付与されている実減衰力Frの大きさにかかわらず、同実減衰力Frを急激に大きく変化させない範囲内で前記連通路の開度の変更を許容するようにするとよい。
【0029】
また、前者の条件を省略して後者の条件のみを採用する場合、ステップ116の処理を省略して、ステップ117にて前記ステップ114の処理により計算した減衰力F1〜Fnのうちから前記ステップ108の処理により計算した目標減衰力Fdに最も近い減衰力Fxを選択するようにして、ピストン15bの変位に対して実際に付与されている実減衰力Frの大きさが所定減衰力F0より小さいことを条件に、前記連通路の開度の変更を任意量だけ許容するようにするとよい。
【0030】
また、上記実施形態の図2のフローチャートを図4のように変形してもよい。この変形例によれば、図2のステップ112,117の処理がステップ112a,117aの処理に変更されるとともに、図2のステップ116の処理が省略されている。
【0031】
ステップ112aにおいては、前記ステップ108の処理により計算された目標減衰力Fdと前記ステップ110の処理により計算された実減衰力Frとの差Fd−Frの絶対値|Fd−Fr|が所定値ΔF0未満であるか否かを判定する。前記絶対値|Fd−Fr|が所定値ΔF0以上であれば、ステップ112aにて「NO」と判定して、前記ステップ114による減衰力F1〜Fnの計算後、プログラムをステップ117aに進める。ステップ117aにおいては、前記計算した減衰力F1〜Fnのうちから前記ステップ108の処理により計算した目標減衰力Fdに最も近い減衰力Fxを選択する。そして、前記したステップ118,120の処理により、減衰力可変ショックアブソーバ15の可変絞り機構15cにおける上下室R1,R2間の連通路の開度を、前記選択した減衰力Fxに対応した段数に更新設定する。したがって、目標減衰力Fdと実減衰力Frの差の大きさ|Fd−Fr|が所定値ΔF0以上であれば、前記連通路の開度が、前記目標減衰力Fdに最も近い減衰力に対応した開度に設定される。
【0032】
一方、前記絶対値|Fd−Fr|が所定値ΔF0未満であれば、ステップ112aにて「YES」と判定し、前記ステップ114〜120の処理を実行しないで、ステップ122にてプログラムの実行を終了する。したがって、目標減衰力Fdと実減衰力Frの差の大きさ|Fd−Fr|が所定値ΔF0未満であれば、前記連通路の開度の変更が禁止される。
【0033】
その結果、この変形例によれば、連通路の開度の変更による減衰力の変化が少ないために同開度を変更する必要性が少ない場合には、減衰力の変更が行われなくなるので、減衰力の変更が不必要に行われなくなって可変絞り機構15c及びステップモータ15dの切り換え頻度が減少し、同可変絞り機構15c及びステップモータ15dの耐久性が向上するとともに、同切り換え頻度の減少により異音の発生確率も少なくなる。そして、目標減衰力Fdと実減衰力Frの差の大きさ|Fd−Fr|が大きくて減衰力の変更が必要な場合には、減衰力は目標減衰力Fdに変更されるので、減衰力の変更が不必要に制限されることなく、車両の操縦安定性及び走行安定性の悪化を避けることができる。
【0034】
また、この変形例においても、上記実施形態と同様に、図4のステップ112aにて「NO」と判定された場合には、上述した図2のステップ114〜120の処理を実行するようにしてもよい。これによれば、前記減衰力を変更する場合でも、可変絞り機構15cにおける上下室R1,R2間の連通路の開度を、実減衰力Frから所定範囲内の減衰力であって、目標減衰力Fdに近い減衰力Fxに対応した段数に設定するので、ピストン15bの変位に対して実際に付与されている実減衰力Frを急激に大きく変化させない範囲で減衰力が変更されることになる。
【0035】
また、上記実施形態及び変形例ににおいては、車輪12及びロアアーム13に対する車体11の変位に対して付与すべき減衰力としての目標減衰力Fdをスカイフック理論に従い計算するようにしたが、この目標減衰力Fdは、例えば最適レギュレータ(LQ)制御、エッチ∞制御など他の制御則に従い計算するようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施形態においては、加速度センサ21及び変位量センサ22により検出した加速度Zb”及び変位量Zsをそれそれプログラム処理によって積分及び微分して絶対速度Zb’及び相対速度Zs’を計算するようにしたが、前記積分及び微分演算をハード回路により行ったり、前記絶対速度Zb’及び相対速度Zs’を直接センサにより検出するようにしてもよい。
【0037】
また、前記絶対速度Zb’及び相対速度Zs’のうちの一方に関係した物理量を検出し、前記検出した物理量に基づいてカルマンフィルタなどの現代制御理論を用いて前記絶対速度Zb’及び相対速度Zs’のうちの他方を推定することにより、前記両速度Zb’,Zs’を検出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置の全体ブロック図である。
【図2】図1のマイクロコンピュータにて実行されるプログラムのフローチャートである。
【図3】図1のマイクロコンピュータ内に設けたZs’−Fマップの特性を示すものであり、可変絞り機構における上下室間の連通路の開度の各段数毎の相対速度Zs’と減衰力Fとの関係を示すグラフである。
【図4】前記実施形態の変形例に係り、図1のマイクロコンピュータにて実行されるプログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
11…車体、12…車輪、13…ロアアーム、14…スプリング、15…減衰カ可変ショックアブソーバ、15a…シリンダ、15b…ピストン、15c…可変絞り機構、15d…ステップモータ、23…マイクロコンピュータ、R1…上室、R2…下室。
Claims (3)
- 作動液が封入されたシリンダの内周面上に液密的かつ軸線方向に摺動可能に組み込まれて同シリンダ内を上下室に区画するピストンに組み付けられるとともに、アクチュエータにより駆動されて前記上下室間の連通路の開度を変更する可変絞り機構を備え、前記シリンダに対する前記ピストンの変位に対して前記連通路の開度に応じた減衰力を付与する減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置において、
前記減衰力可変ショックアブソーバにて前記ピストンの変位に対して付与されるべき目標減衰力を計算する目標減衰力計算手段と、
前記減衰力可変ショックアブソーバにて前記ピストンの変位に対して実際に付与されている実減衰力を計算する実減衰力計算手段と、
前記計算された実減衰力と予め決められた所定減衰力とから設定され、実減衰力を急激に大きく変化させない範囲内の減衰力であって、前記計算された目標減衰力に最も近い減衰力に対応した前記連通路の開度を計算する開度計算手段と、
前記アクチュエータを制御して前記連通路を前記計算された開度に設定するアクチュエータ制御手段とを設けたことを特徴とする減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置。 - 請求項1に記載した減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置において、さらに、
前記計算された実減衰力の大きさが所定減衰力未満であるとき前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御を許容し、前記計算された実減衰力の大きさが所定減衰力以上であるとき前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御を禁止する禁止手段とを設けたことを特徴とする減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置。 - 請求項1に記載した減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置において、さらに、
前記計算された目標減衰力と前記計算された実減衰力との差が所定値以上であるとき前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御を許容し、前記計算された目標減衰力と前記計算された実減衰力との差が所定値未満であるとき前記アクチュエータ制御手段によるアクチュエータの制御を禁止する禁止手段とを設けたことを特徴とする減衰力可変ショックアブソーバのための電気制御装置。
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JP2000225822A (ja) | 2000-08-15 |
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