JP3687170B2 - 照光式操作子装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、照光式操作子装置に関し、例えば電子楽器における各種機能の選択スイッチや楽音パラメータや効果の制御等に使用される電子ドローバ(電子ボリュームの操作子)などに適した照光式操作子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
照光式操作子装置は、キーを押して接点をオンにすると、そのキーの内部あるいは近傍に設けられた照光用素子(ランプ,LED等)が点灯してオンになったことを表示するものであり、キーの変位量が少なくても、あるいはキーが復帰しても接点のオン/オフ状態が明確に表示されるで、各種電子機器における機能選択スイッチに使用されたり、多数箇列設して電子ドローバとして電子ボリュームの操作に使用されるなど、多用されている。
【0003】
電子オルガン等の電子楽器においても、各種効果等の機能選択スイッチや、音量,音色,音高の楽音パラメータあるいはビブラート等の効果制御用の電子ドローバなどに使用されている。
【0004】
このような照光式操作子装置の従来例としては、例えば図7に示すように、パネル100の開口100aから突出するようにキートップ101を嵌装し、このキートップ101を押下すると、基板102上に設けられたラバースイッチ103が押圧されて内部の接点がオンになり、それによって照光用のLED104が点灯し、その光をライトガイド105によってパネル100の上面まで導いて外部から視認できるようにしたものがある。LED104を接点オンの時のみ点灯させるか、接点がオフした後再びオンする時まで点灯させるようにするかは、図示しない制御回路のあるなしによるものであり、いずれのものもある。
【0005】
また、パネル上にキートップが突出しないフラット状のものとしては、図8に示すように、保持用板110上に2枚のフイルム基板111,112をスペーサ113を挟んで配設し、そのスペーサ113の窓孔113a内で対向するフイルム基板111と112の内面に導電材により接点a〜cを形成し、これに近接する窓孔113b内に照光用のチップ状LED114を配設し、上側のフイルム基板112上に操作子部115aを若干膨出させた可撓性シート115を重ねて設け、そのシート115及びフイルム基板112の少なくともLED114と対向する部分を透明又は半透明にしたものがある。
【0006】
この照光式操作子装置は、操作子部115a押すとフイルム基板112が押し下げられてフイルム基板111と接触し、互いの内面に形成された接点a,bとcが接触してオンになり、それによってLED114が点灯され、その発光による表示をフイルム基板112及びシート115を通して外部から視認できる。
【0007】
また、図9に示すように、パネル120上に半透明の可撓性シート121を貼着し、その裏面に筒状のキートップ122の透明キャップ123を貼着して、シート121上からこの透明キャップ123を押すとキートップ122が下降して、その側面に突設したアクチュエータ部122aによって、基板124上に配設されたスイッチ125オンにするようにしたものもある。
スイッチ125がオンになると、基板124上にキートップ122の中心部に入り込むように設けた照光用のLED126が点灯され、その発光による表示を透明キャップ123及びシート121を通して外部から視認できる。
【0008】
さらに簡単な構造のものとして、図10に示すように透明パネル130の下方の基板134上にフォトリフレクタ131を配設したものもある。この照光式操作子装置は、その透明パネル130のフォトリフレクタ131と対向する部位に指132を置くと、フォトリフレクタ131の発光素子131aから発せられる光が指132の下面で反射されて受光素子131bに入射して検出され、フォトリフレクタ131の出力がオンになる。それによって、図示しない照光用の発光素子が点灯する。
【0009】
これらのを照光式操作子装置は、いずれも多数個列設して電子ボリュームの抵抗値を可変させる電子ドローバを構成することもできる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の照光式操作子装置にはそれぞれ問題がある。図7乃至図9に示したものは、いずれもスイッチあるいは接点をオンにするには確実に押す必要があり、特に電子スライドボリュームを構成した場合に、多数列設された個々の操作子を確実に押していく操作に時間がかかり、迅速に所望の状態に変化させることができないという問題がある。また、いずれも可動部と離接する接点を有するため、耐久性の点でも懸念がある。
さらに、図7及び図9に示したものは、キートップを成形するために特別な金型が必要になり、コスト高になるという問題もある。
【0011】
また、図10に示したものは、上記のような問題は解決されるが、指の色やその置き方によって反射光量が大きく左右されるため、指を置いてもフォトリフレクタが反応しないこともあるという問題がある。また、外乱光に弱いという問題点もある。さらに、電子スライドボリュームを構成する場合には、発光素子と受光素子を備えたフォトリフレクタを多数列設する必要があるため、コスト高になるという問題もある。
【0012】
この発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、可動部がなく操作子部の上面に軽く触れるだけで、指の色などに左右されることなく確実にスイッチ動作するを照光式操作子装置を、安価に提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明による照光式操作子装置は、上記の目的を達成するため、パネルと、該パネルに設けた操作子用透明パネル部と、その透明パネル部の上方に該透明パネル部の上面を照射するように配設した光源と、その透明パネル部の下面側に設けた操作子部とからなる。
【0014】
そして、その操作子部は、隔壁によって形成された凹部を有し、該凹部の中央に光検出用素子を、その周囲に選択されたことを表示する照光用素子をそれぞれ配設し、その光検出用素子と照光用素子との間に上記凹部の底面から透明パネルの下面付近まで延びる遮光用筒状体を突設してなる。
その操作子部の光検出用素子は、常時上方の光源からの照射光を受光してオン状態になっており、透明パネル上に指が置かれて上記遮光用筒状体の上部が覆われて上記照射光が遮られたときにオフ状態になる光スイッチを構成している。
なお、上記照光用素子は、上記凹部の周囲に1〜4個程度設けるのが望ましい。
【0015】
また、上記透明パネル部を細長く設け、その透明パネル部の下面側に上記操作子部を複数個ライン状に連設して設け、全体として1つの電子ドローバを構成した照光式操作子装置も提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1はこの発明の一実施形態を示す照光式操作子装置の断面図である。
この照光式操作子装置は、パネル1と、そのパネル1とほぼ面一に設けた透明アクリル板による操作子用透明パネル部2と、その透明パネル部2の上方に透明パネル部2の上面を照射するように配設した光源である赤外発光ダイオード(赤外LED)3と、その透明パネル部2の下面側に設けた操作子部10とからなる。この透明パネル部2は、パネル1と別体の透明パネルを貼着する場合の例を示したが、パネル1の一部を透明に形成して、この透明パネル部2としてもよい。
【0017】
そして、その操作子部10は、隔壁11によって形成された図2にも示すような凹部12を有し、その凹部12の中央に光検出用素子であるフォトトランジスタ13を、その周囲に選択されたことを表示する照光用素子である複数のLED14をそれぞれ配設し、そのフォトトランジスタ13とLED14との間に、凹部12の底面を形成する基板15の上面からから透明パネル部2の下面付近まで延びる遮光用筒状体16を突設している。
なお、隔壁11はパネル1又は基板15と一体に形成することができる。あるいは、パネル1又は基板15に接着するか嵌合して一体にすることもできる。
【0018】
この照光式操作子装置は、常時は上方に設けた赤外LED3から照射される赤外光を操作子部10のフォトトランジスタ13が受光してオン状態になっている。そして、図1に仮想線で示すように指5を透明パネル部2の上に軽く触れて、遮光用筒状体16の上部を覆うようにすると、赤外LED3からフォトトランジスタ13に入射する赤外光が遮られ、フォトトランジスタ13がオフ状態になる。
このオフ状態を図10に示したフォトリフレクタ131のオン状態と同様に扱えばよい。
【0019】
例えば図3に示すように、電源ライン(+5V)とアース間に抵抗値の大きい抵抗17(10KΩ〜120KΩ)と直列にフォトトランジスタ13を接続し、その抵抗17とフォトトランジスタ13との接続点aの電圧を出力OUTとすれば、常時はフォトトランジスタ13が赤外LED3からの赤外光を受光してオン状態になっているので、出力OUTはローレベル“L”であり、指でその赤外光が遮られるとフォトトランジスタ13がオフ状態になり、出力OUTがハイレベル“H”になる。
【0020】
この出力OUTをS−R型フリップフロップ回路(以下「FF」と略称する)18のセット端子Sに入力させると、そのQ出力がハイレベル“H”になり、各LED14に電流が流れて発光(点灯)する。したがって、操作子部10の隔壁11と遮光用筒状体16との間の部分が照光し、スイッチが作動したことを明瞭に表示し続ける。
【0021】
図3に示す例では、各種禁止条件信号をOR回路19を介してFF18のリセット端子Rに入力させて、出力OUTによってセットされたFF18をリセットさせるようにしている。
この禁止条件信号について説明すると、例えば、この照光式操作子装置が電子楽器のビブラートの付加を選択するスイッチに使用された場合、別スイッチである「ピアノ」の音色スイッチが選択されたらこの禁止条件信号を“H”にし、FF18(ビブラート付加用)をリセットして出力OUTをキャンセルし、LED14を消灯させる。すなわち、ピアノの音色ではビブラートがかからないようにすることができ、かつその表示も、このビブラートスイッチのLEDを強制的にオフさせるような制御がなされる。
【0022】
あるいは、この照光式操作子装置によって後述する電子ドローバを構成した場合、列設された各操作子部10の一端側からその上の透明パネル部2′を順次操作してその各LED14を順次点灯させた後、その点灯済の操作子部10のいずれかが再度操作される(指が触れられる)と、この禁止条件信号を“H”にして、一旦全ての操作子部10のFF18をリセットして各LED14を消灯させ、再度操作された操作子部10のFF18のみを出力OUTによって再セットして、そのLED14のみを再点灯させる。または、一端から再度操作された操作子部10までの各FF18を再セットして、その各LED14を再点灯するようにしてもよい。
【0023】
この照光式操作子装置には可動部が全くないので耐久性に優れ、透明パネル部2の操作子部10に対応する上面に軽く触れる程度で、確実にフォトトランジスタ13の状態が反転してスイッチ動作する。
操作子用透明パネル部2は、操作子部10のフォトトランジスタ13及びLED14を保護する役目も果している。
【0024】
なお、図10に示したフォトリフレクタ131のように、受光素子が光を受光することによってスイッチングするようにすると、その光の強弱の状況は様々であり、そのスレッショルドレベルが極めてあいまいで設定しにくい。それに対して、この実施例のように受光素子であるフォトトランジスタ13が遮光されることによってスイッチングするようにすると、スレッショルドレベルを決め易い。そのため誤動作が少なくなり、操作意志に極めて忠実に動作する。
【0025】
次に、この発明の照光式操作子装置を電子楽器の電子ドローバに適用した実施形態を、図4乃至図6によって説明する。
図4は、この発明による電子ドローバを設けた電子楽器のパネル部付近の斜視図、図5は同じくその電子ドローバの長手方向に沿う断面斜視図である。
【0026】
これらの図において、20は屋根板であり、電子オルガン等の鍵盤電子楽器のケースの上部に設けられる。この屋根板20に垂直な支持板21を介してパネル板22が略水平に支持されている。このパネル板22の手前側下部に、図5に示すように多数の白鍵と黒鍵を備えた鍵盤23が配設されている。
【0027】
そして、このパネル板22に、鍵の長手方向(演奏者から見て前後方向)に沿って図5に明示するように多数(この例では8個)の操作子部10をライン状に連設して構成した電子ドローバ25を、鍵配列方向(演奏者から見て左右方向)に間隔を置いて多数配設している。その各操作子部10の構成は図1によって説明したものと同様である。そして、各電子ドローバを構成する一連の操作子部10上にその全体を覆うように、操作子用透明パネル部2′を細長く設けている。
【0028】
一方、屋根板20の下面に、複数の電子ドローバ25に共通の光源として赤外LED3を、その発光する赤外光によって各電子ドローバの透明パネル部2′の上面を照射するように配設している。この赤外LED3は、鍵盤23の鍵並び方向に適宜間隔を置いて複数個配設するのが望ましい。
【0029】
このような電子ドローバ25を操作する際には、図5に示すように演奏者が指を透明パネル部2′上に軽く触れながら矢示のように移動するだけでよく、指を止めた位置の操作子部10のドローバ値を設定できる。
例えば、図6に示すように、No.1〜8まで8個の操作子部10をライン状に連設した電子ドローバ25Aにおいて、そのNo.5の操作子部に指を触れると、No.1〜5までの操作子部が照光し(図6では斜線を施して示す)、そのまま指を手前にすべらせると、No.6→7→8と照光していく。指を右隣の電子ドローバ25B上にすべらせると、その電子ドローバの操作子部10も、No.1から指が触れたところまで照光する。
【0030】
逆に、照光している操作子部10に指を触れながら、後方(No.1側)へすべらせていくと、指を止めた位置の操作子部まで消灯するようにすることもできる。この各操作子部10の照光/消灯状態に応じて電子ボリュームの出力値を変化させ、それによって音量,音色,音高の各楽音パラメータやビブラート等の各種効果の深さや速さ等を任意に制御することが可能である。
【0031】
なお、各操作子部10には遮光用筒状体16が設けられ、その中にフォトトランジスタ13が配置されているので、指で遮光用筒状体16の開口部が略完全に覆われて、赤外LED3からの赤外光が略完全に遮られたときにのみフォトトランジスタ13がオフになって、前述した図3の出力OUTが“H”になり、それ以外の手のかげになった程度ではオフ(出力OUTが“H”)にはならず、誤動作しない。
【0032】
また、多数のそれぞれフォトトランジスタ13を有する操作子部10に対して、図4に示すように共通の赤外LEDを少数設ければよいので、このような電子ドローバを多数使用する場合に、赤外LEDの数がわずかで済み、かなりのコストダウンを計ることができる。
さらに、キートップが不要であるから、その成形のための特殊な金型なども不要である。
なお、この発明による照光式操作子装置は、電子楽器に限らず、各種電子機器における選択スイッチや電子ドローバとして使用し得ることは勿論である。
【0033】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、可動部がなく操作子部の上面に軽く触れるだけで、指の色などに左右されることなく確実にスイッチ動作するを照光式操作子装置を、安価に提供することができる。
また、操作性がよく、誤動作のない電子ドローバも安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示す照光式操作子装置の断面図である。
【図2】同じくその凹部を斜め上方から見た斜視図である。
【図3】同じくその回路構成例を示す回路図である。
【図4】この発明による照光式操作子装置を電子楽器の電子ドローバに適用した実施形態を示す電子楽器のパネル部付近の斜視図である。
【図5】同じくその電子ドローバの長手方向に沿う断面斜視図である。
【図6】同じくその電子ドローバの各操作子部の点灯状況の例を示す斜視図である。
【図7】従来の照光式操作子装置の一例を示す断面図である。
【図8】従来のフラットタイプの照光式操作子装置の一例を示す断面図である。
【図9】同じくその他の例を示す断面図である。
【図10】同じくそのさらに他の例を示す概略図である。
【符号の説明】
1…パネル、2,2′…操作子用透明パネル部、3…赤外LED、10…操作子部、11…隔壁、12…凹部、13…フォトトランジスタ、14…LED、15…基板、16…遮光用筒状体、17…抵抗、18…フリップフロップ回路(FF)、19…OR回路、20…屋根板、21…支持板、22…パネル板、23…鍵盤、25…電子ドローバ
Claims (2)
- パネルと、該パネルに設けた操作子用透明パネル部と、その透明パネル部の上方に該透明パネル部の上面を照射するように配設した光源と、前記透明パネル部の下面側に設けた操作子部とからなり、
その操作子部は、隔壁によって形成された凹部を有し、該凹部の中央に光検出用素子を、その周囲に選択されたことを表示する照光用素子をそれぞれ配設し、その光検出用素子と照光用素子との間に前記凹部の底面から前記透明パネルの下面付近まで延びる遮光用筒状体を突設してなり、
前記操作子部の光検出用素子は、常時上方の前記光源からの照射光を受光してオン状態になっており、前記透明パネル上に指が置かれて前記遮光用筒状体の上部が覆われて前記照射光が遮られたときにオフ状態になる光スイッチを構成していることを特徴とする照光式操作子装置。 - 請求項1記載の照光式操作子装置であって、前記操作子用透明パネル部を細長く設け、その透明パネル部の下面側に前記操作子部を複数個ライン状に連設して設け、全体として1つの電子ドローバを構成したことを特徴とする照光式操作子装置。
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