JP3686476B2 - バッテリ駆動の作業機械 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搭載されたバッテリからの電力によって各種の作業を行うバッテリ駆動の作業機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば実開平4−53846号公報によって開示されているように、搭載されたバッテリからの電力を得て所定の土木作業等を行うバッテリ駆動方式の作業機械が知られている。この作業機械は、バッテリからの電力で電動機を駆動し、この電動機の駆動で油圧ポンプを運転し、油圧ポンプから吐出される作動油によって油圧モータを駆動させ、この油圧モータの駆動でショベル等の作業部材を動作させるように構成されている。
【0003】
このようなバッテリ駆動方式の作業機械は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関を駆動源として用いる内燃機関方式の作業機械よりも騒音が少く、かつ、排気ガスが排出されないため、建物が密集した市街地での作業に適している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実開平4−53846号公報によって開示され作業機械は、バッテリから電動機に供給される電力量が調節可能になっていないため、電動機には常に一定の電力が供給され、電動機のトルクは一定になっている。従って、作業部材にかかる負荷の変動に応じて油圧ポンプを介した電動機の回転数が変動すことになる。つまり負荷の変動に応じて作業部材の作動速度が変動するため、例えば作業部材で地面を掘削しているような場合、地質の硬軟によって作業途中で作業部材が速く動作したり、遅く動作したりすることになり、これによって作業のリズムが崩され、作業能率が低下するといった不都合が生じる。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、作業負荷が変動しても作業部材の作動速度が一定になるようにし、しかも、作動速度の調節に起因した無駄な電力消費を抑え、これによってバッテリの寿命を延ばし、長時間に亘る作業を可能にしたバッテリ駆動の作業機械を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のバッテリ駆動の作業機械は、搭載されたバッテリからの電力を得て駆動される電動機と、この電動機によって駆動され、その電動機の回転速度に対応した流量で作動油を吐出する定容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される作動油により駆動するアクチュエータと、このアクチュエータの駆動によって所定の作動を行う作業部材と、上記油圧ポンプから吐出される作動油の流通および遮断の切り換えを行うことによってアクチュエータを介して上記作業部材を運転操作する操作レバーとを備えてなるバッテリ駆動の作業機械において、上記操作レバーは、上記作業部材が作動を停止する中立位置と、作業部材が作動する作動位置との間で操作可能に構成され、操作レバーが作動位置に操作された状態で上記油圧ポンプから吐出された作動油の圧力を検出する圧力センサと、作業負荷の変動に拘らず上記電動機の回転速度が一定となるように上記圧力センサの検出値に応じてバッテリから電動機に供給される電力を変化させる制御手段とが設けられ、上記制御手段は、無負荷時に上記電動機に印加する電圧と、上記圧力センサにより検出される圧力と無負荷時に油圧ポンプから吐出される作動油の圧力との差とに基づいて、上記電動機に印加する電圧を決定するものである。
【0007】
このバッテリ駆動の作業機械によれば、作業負荷の変動に応じて油圧ポンプの作動油の圧力が変動するが、この圧力の変動が圧力センサによって検出され、この検出結果に応じた電力が制御手段による制御のもとに電動機に供給されるため、作業部材は作業負荷に拘らず、常に一定の作動速度で作業を行うようになる。
【0008】
従って、作業負荷に応じて作業部材の作動速度が変化し、これによって作業のリズムが狂い、作業能率が低下するという従来の不都合が解消され、作業能率は向上する。
【0009】
本発明の請求項2記載のバッテリ駆動の作業機械は、請求項1記載のバッテリ駆動の作業機械において、上記制御手段は、上記圧力センサの検出値に応じて電動機に供給する電力量を演算する電力供給制御部を有し、この電力供給制御部は、バッテリと電動機との間に介設されるスイッチ素子と、上記圧力センサの検出値に応じたデューティ比で上記スイッチ素子にオン・オフさせるデューティ比制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】
このバッテリ駆動の作業機械によれば、圧力センサによる検出結果に基づいてデューティ比制御手段を介して検出値に応じた電力が電動機に供給されるため、電動機は検出値に応じた回転速度で回転し、これによって作業部材は負荷の大小に拘らず常に一定の速度で作動する。
【0011】
そして、電動機には、スイッチ素子のオン・オフにより形成されるパルス電圧の印加によってバッテリからの電力が供給されるため、例えば可変抵抗器やトランスセットを介して電力が供給される場合に比べ、上記抵抗器等での電力消費によって電動機への電力供給が効率的に行われなくなるという不都合が生じない。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る作業機械の一実施形態を示す側面視の略図である。この図では、作業機械として小型のショベルカーを示している。ショベルカー1は、オペレータが搭乗して運転操作を行う搭乗部11と、この搭乗部11の底部に設けられた移動用のクローラ12と、搭乗部11の前部に屈折自在に設けられ、かつ、アクチュエータ14の駆動によって作動する作業部材13とを備えて形成されている。上記クローラ12は、それを支持する基台12aの両側部(図1の紙面に垂直な方向の両側部)に設けられ、上記搭乗部11はこの基台12aの中心部に立設された垂直軸12b回りに回動自在に軸支されている。
【0013】
上記基台12aには搭乗部11を垂直軸12b回りに回動させる方向変更用アクチュエータ11aが設けられ、このアクチュエータ11aの作動によって搭乗部11はクローラ12に対して水平方向の向きを変えることができるようになっている。また、上記クローラ12は、基台12aに設けられた油圧モータ12bによって周回駆動し、これによってショベルカー1は前進、後退および進路変更し得るようになっている。
【0014】
上記作業部材13は、搭乗部11の前端部の水平軸11b回りに回動自在に軸支された基端側アーム13aと、この基端側アーム13aの先端部に屈折自在に連設された先端側アーム13bと、この先端側アーム13bの先端部に屈折自在に連設されたショベル13cとからなっている。また、上記アクチュエータ14は、基端側アーム13aを水平軸11b回りに回動させる基端アクチュエータ14aと、先端側アーム13bを水平軸11c回りに回動させる中間アクチュエータ14bと、ショベル13cを水平軸11d回りに回動させる先端アクチュエータ14cとからなっている。
【0015】
一方、搭乗部11内には、バッテリ2が搭載されているとともに、このバッテリ2からの電力を得て駆動する電動機3およびこの電動機3によって駆動される油圧ポンプ4が内装されている。そして、搭乗部11および基台12a内には、各アクチュエータ14a,14b,14c,11aおよび油圧モータ12bに、油圧ポンプ4の駆動によって生じた油圧を送る複数の循環系路が設けられているとともに、各油圧系統の作動油の方向の切り換えおよび作動油の停止を行う複数の切換え弁が設けられている。
【0016】
そして、搭乗部11の後部(図1の右方)にはオペレータが着座してショベルカー1を運転する運転席15が設けられているとともに、搭乗部11の前部には運転席15に対向した操作台16が立設され、この操作台16に各アクチュエータ14a,14b,14c,11aおよび油圧モータ12bに対応した複数の操作手段5が設けられている。これらの操作手段5を操作することにより、対応した切換え弁を介して対象のアクチュエータ14a,14b,14c,11aや油圧モータ12bへの作動油の供給または供給停止が行われ、これによってアクチュエータ14a,14b,14c,11aや油圧モータ12bが駆動したり停止したりするようになっている。
【0017】
図2は、本発明に係る駆動系統の一実施形態を示す系統図である。図2においては、説明の簡素化のために複数ある油圧系統の内、油圧モータ12bに係る系統のみを抽出して示している。図2に示すように、駆動系統6は、油圧系統61と、電気系統62とを備えて形成されている。油圧系統61は、上記油圧ポンプ4と、この油圧ポンプ4と同軸で共回りするパイロットポンプ41と、上記操作手段5と、方向切換え弁55と、上記油圧モータ12bとを備えて形成されている。油圧ポンプ4はこれから吐出される作動油によって油圧モータ12bを回転させるためのものであり、パイロットポンプ41は吐出されたパイロットオイルによって方向切換え弁55に切り換え動作を行わせるためのものである。
【0018】
そして、油圧ポンプ4と方向切換え弁55との間には、第1油圧管路61aが配管されているとともに、方向切換え弁55を往復する第2油圧管路61bが設けられ、この第2油圧管路61bに油圧モータ12bが介設されている。油圧ポンプ4から吐出された作動油は、方向切換え弁55の開通状態で第1油圧管路61aおよび第2油圧管路61bを通って流通し、これによって第2油圧管路61bに介設された油圧モータ12bが所定の方向に回転し、方向切換え弁55の閉止状態で油圧モータ12bの回転が停止されるようになっている。
【0019】
また、パイロットポンプ41と操作手段5との間には、第1パイロット管路61cが配管されているとともに、操作手段5を往復する第2パイロット管路61dが設けられ、この第2パイロット管路61dに上記方向切換え弁55が介設されている。そして、パイロットポンプ41から吐出され、第1パイロット管路61cを介して操作手段5に到達したパイロットオイルの第2パイロット管路61dへの供給方向を、上記操作レバー51の操作によって設定することにより、操作レバー51の操作に応じて方向切換え弁55が位置設定され、これによって油圧モータ12bが所定の方向に回転し、また、操作レバー51を中立位置に設定することにより油圧モータ12bの回転は停止することになる。
【0020】
上記操作手段5は、上記操作台16(図1)に上方に向かって突設された操作レバー51を備えて形成されている。この操作レバー51は棒状を呈し、基端部に軸受部53が設けられ、この軸受部53に支持軸53aが嵌入されることによって操作レバー51は支持軸53a回りに回動自在に軸支された状態になっている。
【0021】
この軸受部53に左右方向に延びる横杆52が設けられ、この横杆52の両側部の下部には、それぞれコイルスプリングを介して一対の切換え弁54が設けられている。普段、操作手段5は、各コイルスプリングの付勢力によって直立した中立位置に位置設定されている。操作手段5が中立位置にある状態では、方向切換え弁55は、図2に示すように、作動油遮断位置に設定され、これによって油圧モータ12bは停止状態になっている。
【0022】
そして、操作レバー51を支持軸53a回りに例えば図2における右方に倒すことにより、パイロットポンプ41からのパイロットオイルが第1パイロット管路61c、右方の切換え弁54および第2パイロット管路61dに供給され、これによって方向切換え弁55が右方に移動して油圧ポンプ4からの作動油が油圧モータ12bの左方から供給され、油圧ポンプ4は順方向に回転する。この油圧ポンプ4の回転によってクローラ12(図1)が順方向に周回し、ショベルカー1は前進する。
【0023】
逆に、図2に示す状態において、操作レバー51を左方に倒すと、パイロットポンプ41からのパイロットオイルが第1パイロット管路61c、左方の切換え弁54および第2パイロット管路61dに供給され、これによって方向切換え弁55が左方に移動して油圧ポンプ4からの作動油が油圧モータ12bの右方から供給され、油圧ポンプ4は逆方向に回転する。この油圧ポンプ4の回転によってクローラ12(図1)が逆方向に周回し、ショベルカー1は後退する。
【0024】
上記電気系統62は、バッテリ2と電動機3とが直列に接続されたループ回路63と、ループ回路63の直流パルスを制御する制御回路64とを備えて形成されている。上記制御回路64には、第1油圧管路61a内の作動油の圧力を検出する圧力センサ65と、この圧力センサ65の検出結果を基に所定の制御信号をループ回路63に向けて出力する制御手段66と、ループ回路63に向けてパルス信号を出力するチョッパ回路67とが設けられている。
【0025】
上記ループ回路63には、キースイッチ63aが設けられているとともに、トランジスタ(スイッチ素子)63bが設けられている。このトランジスタ63bのベースは、チョッパ回路(デューティ比制御手段)67に接続されている。上記キースイッチ63aは、ショベルカー1の運転を行うときにオンされるものであり、このキースイッチ63aがオンされると、バッテリ2からの電力が電動機3に供給され、これによって電動機3が駆動する。
【0026】
上記圧力センサ65は、操作レバー51が作動位置に操作された状態で、油圧ポンプ4から吐出される作動油の圧力を検出するように構成された公知のセンサである。この圧力センサ65の検出結果は電流値によるアナログ信号として制御手段66に入力されるようにしている。
【0027】
上記制御手段66は、ショベルカー1の運転全般の制御を行うためのものであり、その中に上記圧力センサ65の検出値に応じて電動機3に供給する電力量を制御する電力供給制御部66aが備えられている。この電力供給制御部66aは、圧力センサ65の検出値に応じたデューティ比が得られるように、チョッパ回路67に向けて制御信号を出力するように構成されている。
【0028】
図3は、電動機3の軸トルク(kgf−m)と電動機3の回転数(rpm)と電動機3に対する印加電圧(V)との関係を示すグラフである。このグラフに示すように、印加電圧が任意のレベルに設定された状態で、軸トルクと回転数とは互いに負の比例関係が存在し、回転数が高くなればそれに伴って軸トルクは小さくなるとともに、回転数が低くなると、それに応じて軸トルクは大きくなる。また、回転数が一定(例えば、回転数N=N0)のときには、印加電圧値が大きくなる程、軸トルクは大きくなる。
【0029】
本発明においては、このような回転数と軸トルクと印加電圧との相互関係を利用し、予め電動機3の一定回転数N0(rpm)を設定して、油圧モータ12bの負荷変動に応じた軸トルクの変動を、印加電圧を増減させることによって抑えてN0(rpm)に制御するようにしている。そして、圧力センサ65によって第1油圧管路61a内の圧力が検出される都度、制御手段66内において、「数1」式による演算が行われ、その演算結果の電圧が電動機3に印加されるように電圧制御部66aからチョッパ回路67に向けて制御信号が出力される。
【0030】
【数1】
Figure 0003686476
【0031】
但し、「数1」式において、
0:無負荷時に電動機3から吐出される作動油の圧力
i:第i回目の圧力測定で検出された有負荷時に電動機3から吐出される作動油の圧力
0:無負荷時の電動機3の印加電圧
i:第i回目の圧力検出後の有負荷時の電動機3の印加電圧
P:比例ゲイン
I:積分ゲイン
n :第i回目の圧力検出より何回以前の圧力検出であるかを示す数。
【0032】
なお、上記無負荷時は、操作レバー51が作動位置に操作され、これによる油圧モータ12bの作動でショベルカー1が平坦な地面を走行している時を指し、有負荷時は、ショベルカー1がショベル13cで土を掻き分けながら走行して実作業を実行している時を指す。
【0033】
「数1」式で判るように、電動機3に印加される電圧は、油圧モータ12bに実作業の負荷がかかっていない状態で電動機3の回転数がN0になるV0が基準にされ、このV0にショベルカー1が実作業を行いながら走行したとき生じる圧力差(Pi−P0)に比例した値が加算されて決められるようになっている。上記「数1」式中の「数2」式、すなわち、
【0034】
【数2】
Figure 0003686476
【0035】
は、単純に第i回目の圧力検出値Piと、無負荷時の圧力P0との圧力差(Pi−P0)に比例した値(比例定数はKP)が採用されているが、「数1」式中の「数3」式、すなわち、
【0036】
【数3】
Figure 0003686476
【0037】
は、n回前の検出値(Pi-n)、(n−1)回前の検出値(Pi-n+1)、(n−2)回前の検出値(Pi-n+2)、・・・、前回の検出値(Pi-1)それぞれのP0からの低下分の合計に積分ゲインKIを乗じた値である。なお、積分ゲインKIは、比例ゲインKPの略n分の1の値が採用されている。
【0038】
このような「数3」式による計算値を「数2」式による計算値に加えるようにしているのは、「数2」式による計算値のみでは、油圧ポンプ4の吐出圧の突発的な変動である、いわゆるハンチングにより、安定した制御信号を得ることが困難になることがあり、その結果安定した制御を行い得なくなることがあるが、これを解消するため、および過去n回の圧力検出による経時的な圧力変化の動向を察知してこれを制御に反映させて応答性を向上させるためである。すなわち、「数3」式は、過去n回の圧力検出に係る圧力差(Pi−P0)の移動平均になっており、このような値を「数2」式に加えることによってより安定し、かつ応答性に優れた制御が実現するのである。
【0039】
上記チョッパ回路67は、入力された直流の電流を一定の周期で断続して出力するものであり、本実施形態においては、制御手段66からの制御信号に基づくパルス幅の電圧パルスが出力されるようになっている。
【0040】
すなわち、チョッパ回路67はトランジスタ63bのベースに向けて上記デューティ比が達成されるための信号を断続的に出力するように構成され、これによってトランジスタ63bは所定のタイミングのオン・オフ動作を行い、電動機3には上記デューティ比のパルス電圧が印加され、平均的に電動機3に圧力センサ65の検出値に応じた電力(上記「数1」式により算出された電圧)が供給された状態になっている
【0041】
図4は、電動機3に印加される電圧パルスの例を示す波形図であり、(イ)は無負荷時に電動機3に印加されるパルスの波形、(ロ)は無負荷時よりも略33%高レベルの電圧が電動機3に印加される場合のパルスの波形、(ハ)は無負荷時よりも略66%高レベルの電圧が電動機3に印加される場合の波形をそれぞれ示している。
【0042】
ショベルカー1が平坦な地面上を走行している状態では、圧力センサ65(図2)は、無負荷時の作動油の圧力P0を検出し、この検出信号が制御手段66に入力される。そして、制御手段66は上記「数1」式のPiにP0を代入してVi=V0を得る。
【0043】
これを受けて電力供給制御部66aは、チョッパ回路67に向けてこのV0を実現するためのデューティ比を出力する。例えば、バッテリ2の起電力が24(V)でV0が6(V)であるとすると、電圧制御部66aからチョッパ回路67には0.25(6÷24)が出力される。これによってチョッパ回路67からトランジスタ63bに向けてパルス幅d1が周期Dの0.25になるように断続信号が出力され、これによるトランジスタ63bのオン・オフで電動機3には図4の(イ)に示す波形のパルス電圧が印加される。このパルス電圧の経時的な平均値は一点鎖線で示すように例えば6(V)になっている。
【0044】
ついで、図4の(イ)に示す状態において、ショベルカー1が走行中に先端アクチュエータ14cによって土を掻き分ける等の実作業を実行すると、油圧ポンプ4は有負荷状態になり、これによって第1油圧管路61a内の圧力が上昇する。この圧力Piが圧力センサ65によって検出され、制御手段66に入力される。
【0045】
そして、制御手段66で上記Viが演算され、このViが例えば8(V)であったとすると、電圧制御部66aからチョッパ回路67に向けて、電動機3に印加される電圧を8(V)にする旨の制御信号が出力され、これを受けたチョッパ回路67からトランジスタ63bに電圧パルスのパルス幅d2と周期Dとの比が0.33(d1/D=0.33)になるように電流パルスが出力される。このときの電動機3に印加される電圧パルスは図4の(ロ)のようになり、印加電圧の経時的な平均値は8(V)になる。
【0046】
ついで、圧力センサ65の検出値が増加し、Viとして16(V)が要求されると、電圧パルスのパルス幅d2は、パルス電圧の周期Dに対して66%(d2/D=0.66)に設定され、図4の(ハ)に示すような波形の電圧パルスが電動機3に印加される。
【0047】
以上詳述したように、本発明に係るショベルカー1は、駆動源として内燃機関に代えて電動機3を用い、搭載したバッテリ2からの電力によって電動機3を駆動し、これによってショベルカー1の走行および作業部材13による作業を行うようにしているため、内燃機関を用いたものに比較し、大きな騒音が発生せず、また排気ガスも排出されないため、本発明に係るショベルカー1は市街地での土木工事に適している。
【0048】
また、操作レバー51が作動位置に操作された状態でバッテリ2から電動機3に供給される電力量は、油圧ポンプ4から吐出される作動油の圧力によって、すなわち油圧モータ12bの負荷量に応じて決められるようにしているため、負荷の大小に拘らず油圧モータ12bの回転速度を一定にすることが可能であり、作業性が向上する。
【0049】
さらに、電力供給制御部66aおよびチョッパ回路67の作用によって、圧力センサ65の検出値に応じたデューティ比でトランジスタ63bにオン・オフさせるようにした、いわゆるPWM制御(パルス幅変調制御)を採用しているため、可変抵抗器等で無駄な電力が消費されることはなく、その分バッテリ2の寿命を延ばすことが可能になり、より長時間ショベルカー1を運転することができるようになる。
【0050】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0051】
(1)上記の実施形態においては、作業機械としてクローラ式のショベルカー1を例に挙げて説明したが、本発明は作業機械がクローラ式のショベルカーであることに限定されるものではなく、ホイール式のショベルカーであってもよいし、クローラ式、ホイール式に拘らず、その他の作業機械、例えばクレーン車、ローダー車等であってもよい。
【0052】
(2)上記の実施形態においては、作業部材13の作動、搭乗部11の旋回、クローラ12の駆動は、いずれも油圧ポンプ4の駆動による各アクチュエータ11a,14a,14b,14c、およびクローラ12を駆動によって行われるようにしているが、こうする代りに、例えばクローラ12は、電動機3の回転力を油圧ポンプ4を介さずに直接クローラ12に伝達することによって駆動させるようにする等、油圧ポンプ4を介さないで駆動させるようにしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のバッテリ駆動の作業機械によれば、操作レバーが作動位置に操作された状態で油圧ポンプから吐出された作動油の圧力を検出する圧力センサを設け、制御手段の制御によってこの圧力センサの検出値に応じた量の電力をバッテリから電動機に供給するようにしているため、作業部材は作業負荷に拘らず、常に一定の作動速度で実作業を行うことができるようになり、これによって作業機械の作業性を向上させることが可能になる。
【0054】
本発明の請求項2記載のバッテリ駆動の作業機械によれば、制御手段には圧力センサの検出値に応じて電動機に供給する電力量を演算する電力供給制御部が設けられ、この電力供給制御部は、バッテリと電動機との間に介設されるスイッチ素子と、操作レバーの操作量に応じたデューティ比で上記スイッチ素子にオン・オフさせるデューティ比制御手段に制御信号を出力するようにしてあるため、圧力センサによる検出結果に基づいてデューティ比制御手段を介して検出値に応じた電力が電動機に供給され、電動機は検出値に応じた回転速度で回転し、これによって作業部材は負荷の大小に拘らず常に一定の速度で作動するようにすることができる。
【0055】
そして、電動機には、スイッチ素子のオン・オフにより形成されるパルス電圧の印加によってバッテリからの電力が供給されるため、例えば可変抵抗器やトランスセットを介して電力が供給される場合に比べ、上記抵抗器等での電力消費によって電動機への電力供給が効率的に行われなくなるという不都合が生じなくなり、その分バッテリの寿命を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る作業機械の一実施形態を示す側面視の略図である。
【図2】本発明に係る駆動系統の一実施形態を示す系統図である。
【図3】電動機の軸トルク(kgf−m)と電動機の回転数(rpm)と電動機に対する印加電圧(V)との関係を示すグラフである。
【図4】電動機に印加される電圧パルスの例を示す波形図であり、(イ)は無負荷時に電動機に印加されるパルスの波形、(ロ)は無負荷時よりも略33%高レベルの電圧が電動機に印加される場合のパルスの波形、(ハ)は無負荷時よりも略66%高レベルの電圧が電動機に印加される場合の波形をそれぞれ示している。
【符号の説明】
1 ショベルカー
11 搭乗部
11a 方向変更用アクチュエータ
11b 水平軸
11c 水平軸
12 クローラ
12a 基台
12b 油圧モータ
13 作業部材
13a 基端側アーム
13b 先端側アーム
13c ショベル
14 アクチュエータ
14a 基端アクチュエータ
14b 中間アクチュエータ
14c 先端アクチュエータ
2 バッテリ
3 電動機
4 油圧ポンプ
41 パイロットポンプ
5 操作手段
51 操作レバー
52 横杆
53 軸受部
53a 支持軸
54 切換え弁
6 駆動系統
61 油圧系統
61a 第1油圧管路
61b 第2油圧管路
61c 第1パイロット管路
61d 第2パイロット管路
62 電気系統
63 ループ回路
63a キースイッチ
63b トランジスタ
64 制御回路
65 圧力センサ
66 制御手段
66a 電力供給制御部

Claims (2)

  1. 搭載されたバッテリからの電力を得て駆動される電動機と、この電動機によって駆動され、その電動機の回転速度に対応した流量で作動油を吐出する定容量型の油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出される作動油により駆動するアクチュエータと、このアクチュエータの駆動によって所定の作動を行う作業部材と、上記油圧ポンプから吐出される作動油の流通および遮断の切り換えを行うことによってアクチュエータを介して上記作業部材を運転操作する操作レバーとを備えてなるバッテリ駆動の作業機械において、上記操作レバーは、上記作業部材が作動を停止する中立位置と、作業部材が作動する作動位置との間で操作可能に構成され、操作レバーが作動位置に操作された状態で上記油圧ポンプから吐出された作動油の圧力を検出する圧力センサと、作業負荷の変動に拘らず上記電動機の回転速度が一定となるように上記圧力センサの検出値に応じてバッテリから電動機に供給される電力を変化させる制御手段とが設けられ、上記制御手段は、無負荷時に上記電動機に印加する電圧と、上記圧力センサにより検出される圧力と無負荷時に油圧ポンプから吐出される作動油の圧力との差とに基づいて、上記電動機に印加する電圧を決定するものであることを特徴とするバッテリ駆動の作業機械。
  2. 上記制御手段は、上記圧力センサの検出値に応じて電動機に供給する電力量を演算する電力供給制御部を有し、この電力供給制御部は、バッテリと電動機との間に介設されるスイッチ素子と、上記圧力センサの検出値に応じたデューティ比で上記スイッチ素子にオン・オフさせるデューティ比制御手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載のバッテリ駆動の作業機械。
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