JP3685160B2 - インクジェット式記録装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式記録ヘッドにより画像や文字等を記録紙に記録するインクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法に関し、特に、マイクロドットを形成し得る極めて少量のインク滴を吐出させるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的なインクジェット式記録装置として、インクジェットプリンタは既によく知られている。このプリンタでは、記録ヘッドから吐出させるインク滴の量により記録紙上のドット径、つまり画質(解像度)が決まる。このため、吐出させるインク量についての制御が重要となる。
【0003】
ここで、ノズル開口の口径によってインク滴の吐出量を制御すると、口径を小さく絞った場合には解像度の向上は図れるが記録速度が遅くなってしまい、口径を大きくした場合には記録速度の向上は図れるが解像度の低い粗い画像となってしまう。
【0004】
そうした相反する要求を満たすために、その記録ヘッドの駆動方法とりわけ駆動信号の波形を工夫することで、同一のノズル開口から異なる量のインク滴を吐出させるようにしたプリンタがある。
【0005】
このプリンタによって極めて小さなドット(マイクロドット)を記録するときは、異なるインク量のインク滴を吐出させるために適切な駆動パルスを含んだ駆動信号により圧電振動子等の圧力発生素子を駆動する。
【0006】
そして、圧力室の膨張・収縮に伴う圧力室内のインク圧力の変化を利用してインク滴を吐出させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年のインクジェット式記録装置では、一層の画質の向上が求められている。上記した従来の駆動パルスでは、少量のインク滴を吐出させることができる。しかし、画質の向上の観点からすれば、更に少量のインク滴を吐出させることが求められている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、極めて少量のインク滴を吐出させることができるインクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、前記目的を達成するために提案されたものであり、本発明はノズル開口に連通した圧力室及びこの圧力室を膨張・収縮させる圧力発生素子を有する記録ヘッドと、駆動パルスを有する一連の駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備え、駆動パルスの供給により圧力発生素子を作動させてノズル開口からインク滴を吐出させるようにしたインクジェット式記録装置において、前記駆動信号生成手段は、最低電位から第1の最高電位まで電位を上昇させて、メニスカスを圧力室内側に引き込むべく圧力室内を膨張させる引き込み要素と、第1の最高電位から最低電位よりも電位の高い第2の最高電位まで電位を下降させて、前記引き込み要素によって膨張した圧力室を収縮させる第1吐出要素と、第2の最高電位から第1の最高電位よりも電位の低い第3の最高電位まで電位を上昇させて、第1吐出要素によって収縮した圧力室を再度膨張させる第2吐出要素と、を含んだ駆動パルスを生成し、前記駆動パルスを圧力発生素子に供給し、第1吐出要素の供給によって加圧された圧力室を第2吐出要素の供給によって再度減圧することでインク滴を吐出させることを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0010】
さらに好ましくは、前記駆動信号生成手段は、引き込み要素の終端と第1吐出要素の始端とを同電位で接続する引き込みホールド要素と、第1吐出要素の終端と第2吐出要素の始端とを同電位で接続する吐出ホールド要素とを含んだ駆動パルスを生成することを特徴とする。
【0013】
また、引き込み要素の供給時間を、圧力室の固有振動周期に揃えて設定したことを特徴とする。
【0014】
さらに、前記駆動信号生成手段は、第2吐出要素によって膨張した圧力室をインク滴を吐出させないように収縮させる収縮要素を含んだ駆動パルスを生成することを特徴とする。
【0015】
また、前記収縮要素は、複数の収縮部分要素と、先の収縮部分要素の終端と後の収縮部分要素の始端とを接続する一定電位の収縮ホールド要素とから構成されることを特徴とする。
【0016】
さらに、後の収縮部分要素の電位勾配を先の収縮部分要素の電位勾配よりも緩やかに設定したことを特徴とする。
【0017】
また、前記駆動信号生成手段は、引き込み要素の前に配置されて、中間電位から引き込み要素の始端電位まで電位を変化させて基準容積の圧力室を収縮させる予備収縮要素を含んだ駆動パルスを生成することを特徴とする。
【0018】
また、前記駆動信号生成手段は、収縮要素の後に配置されて、収縮要素の終端電位から中間電位まで電位を変化させ、圧力室を基準容積に膨張復帰させることでメニスカスの挙動を安定化させる制振要素を含んだ駆動パルスを生成することを特徴とする。
【0019】
さらに、前記駆動信号生成手段は、駆動信号の形状を規定するための出力電圧情報を保持する出力電圧情報保持手段と、変化量情報を保持する変化量情報保持手段と、出力電圧情報と変化量情報とを加算して加算電圧情報を取得する加算手段とを含み、変化量情報保持手段から加算手段に出力される変化量情報を切り換えつつ、更新タイミングが到来する毎に加算電圧情報を新たな出力電圧情報として出力電圧情報保持手段に保持させることで任意形状の駆動信号を生成することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェット式記録装置の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜7は、本発明にかかるインクジェット式記録装置の第1実施形態を示し、図1は代表的なインクジェット式記録装置であるインクジェットプリンタの斜視図、図2は記録ヘッドを示す断面図、図3は記録ヘッドの制御系の構成を示すブロック図、図4は駆動信号生成回路の構成を示すブロック図、図5は駆動信号生成回路において駆動信号となる波形を生成していく過程を示すタイミング図、図6は一連の駆動信号及び駆動パルスの供給を説明する図、図7はマイクロドット駆動パルスを示すタイムチャートである。
【0024】
このインクジェット式プリンタ1は、キャリッジ2がガイド部材11に移動自在に取り付けられており、このキャリッジ2は駆動プーリ12と遊転プーリ13との間に掛け渡したタイミングベルト14に接続されている。駆動プーリ12はパルスモータ15の回転軸に接合されており、キャリッジ2はパルスモータ15の駆動によって記録紙3の幅方向に移動(主走査)される。
【0025】
キャリッジ2の記録紙3と対向する面(下面)には、記録ヘッド4が取り付けられている。この記録ヘッド4は、インクカートリッジ5から供給されたインクを、ノズル開口51(図2参照)からインク滴として吐出させる。
【0026】
従って、記録時においてプリンタ1は、キャリッジ2の主走査に同期させて記録ヘッド4からインク滴を吐出させ、キャリッジ2の往復移動に連動させてプラテン16を回転し、記録紙3を紙送り方向に移動(副走査)させる。その結果、記録紙3には、印刷データに基づく画像や文字等が記録される。
【0027】
また、キャリッジ2の移動範囲内であって記録領域の外側にはホームポジションが設定され、このホームポジションには記録ヘッド4をクリーニングするクリーニング機構17と、キャッピングするキャッピング機構18とが並べて設けられている。
【0028】
この他に、ハウジングには、プリンタ1を構成する各部の動作を統括的に制御するプリンタコントローラ19が取り付けられている。
【0029】
記録ヘッド4は、図2に示すように、基台40の先端面に流路ユニット7を接合して構成される。そして、基台40に収容した圧電振動子6(圧力発生素子の一種)により圧力室71内のインクを加圧して、ノズルプレート50に開設したノズル開口51からインク滴を吐出させる。
【0030】
基台40は、振動子ユニット46を収容する収容室43が内部に形成された箱体状であり、例えば樹脂材によって構成される。この収容室43は、流路ユニット7との接合面側の開口から反対面まで連なっている。
【0031】
流路ユニット7は、流路形成板55の一方の面にノズルプレート50を、流路形成板55の他方の面に振動板60を接合した構成とされる。
【0032】
流路形成板55は、シリコンウエハー等から形成されており、これをエッチング加工することにより所定パターンに区画されていて、各ノズル開口51と連通する複数の圧力室71,共通インク室72,共通インク室72から各圧力室71へ繋がる複数のインク供給路73等をなす隔壁が適宜に形成されている。なお、共通インク室72には、インク供給管48と接続される接続口が設けられ、インクカートリッジ5に蓄えられたインクがこの接続口を通じて共通インク室72に供給される。
【0033】
ノズルプレート50には、ドット形成密度に対応したピッチで複数(例えば96個)のノズル開口51…が列状に開設されている。
【0034】
振動板60は、ステンレス板61にPPS膜等の弾性体膜62を積層した二重構造を採り、各圧力室71に対応する部分はステンレス板が環状にエッチング加工されて、環内にアイランド部70が形成されている。
【0035】
振動子ユニット46は、圧電振動子6(圧力発生素子の一種)と固定基板42とから構成されている。圧電振動子6は、圧電体と電極層とを交互に積層した一枚の圧電振動子板に、各圧力室71…に対応した所定ピッチでスリット部を形成することにより櫛歯状に構成される。また、固定基板42は、この櫛歯状振動子6の基端部分に固着される。
【0036】
この振動子ユニット46は、圧電振動子6の先端が開口41から臨む姿勢で基台40の収容室43内に挿入されて、固定基板42を収容室43の内壁へ固着させることにより収容される。この収容状態において、圧電振動子6の各先端は、振動板60の対応するアイランド部70に当接される。
【0037】
各圧電振動子6は、対向する電極間に電位差を与えることにより、積層方向と直交する素子長手方向に伸縮し、圧力室71を区画する弾性体膜62を変位させる。即ち、この記録ヘッド4では、圧電振動子6を素子長手方向に伸長させることにより、アイランド部70がノズルプレート50側へ押され、アイランド部70周辺の弾性体膜62が変形して圧力室71の容積が縮小する。また、圧電振動子6を素子長手方向に収縮させると、弾性体膜62の変位により圧力室71の容積が拡大する。この圧力室71の拡大・縮小に伴って圧力室71内に充填されたインクに圧力変動が生じ、流路ユニット7のノズル開口51からインク滴が吐出される。
【0038】
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図3に示すように、プリンタコントローラ19は、外部インタフェース191、各種データを一時的に記憶するRAM192、制御プログラム等を記憶させたROM193、CPU等からなる制御部194、クロック信号を発生する発振回路195、記録ヘッド4へ供給するための駆動信号COMを生成し、本発明の駆動信号生成手段として機能する駆動信号生成回路8、駆動信号や印刷データに基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)などの各種信号を記録ヘッド4等の駆動系側へ供給する内部インタフェース196等を備えて構成されている。
【0039】
外部インタフェース191は、例えばキャラクタコード,グラフィック関数,イメージデータ等の印刷データを、図示しないホストコンピュータ等から受信する。また、この外部インタフェース191を通じてビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、ホストコンピュータ等へ送り出される。
【0040】
RAM192は、ワークメモリであり、受信バッファRB,中間バッファMB,出力バッファOB等として機能する。つまり、受信バッファRBは外部インタフェース191を介して受信した印刷データを一時的に記憶し、中間バッファMBは制御部194が変換した中間コードデータを記憶し、出力バッファOBはドットパターンデータを記憶する。このドットパターンデータは、階調データをデコードすることにより得られる印字データとなっている。
【0041】
ROM193には、各種データ処理を行うための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ,グラフィック関数等が記憶されている。
【0042】
制御部194は、ROM193から読み込んだ制御プログラムに基づいて各種の制御を行っており、受信バッファRB内の印刷データを読み出し、この印刷データを変換して得た中間コードデータを中間バッファMBに記憶させる。また、中間バッファMBから読み出した中間コードデータを解析し、ROM193に記憶したフォントデータ及びグラフィック関数等を参照してドットパターンデータに展開し、必要な装飾処理を施した後に、このドットパターンデータを出力バッファOBに記憶させる。
【0043】
そして、記録ヘッド4の1回の主走査で記録可能な1行分のドットパターンデータが得られたならば、この1行分のドットパターンデータは、出力バッファOBから内部インタフェース196を通じて順次に記録ヘッド4に出力される。また、出力バッファOBから1行分のドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータは中間バッファMBから消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われる。
【0044】
記録ヘッド4の電気駆動系44は、シフトレジスタ94(94A〜94N),ラッチ回路95(95A〜95N)、電圧増幅器であるレベルシフタ96(96A〜96N)、スイッチ97(97A〜97N)、圧電振動子6(6A〜6N)を順に接続した構成とされており、これらは各ノズル開口51…毎に設けられている。
【0045】
記録ヘッド4におけるインク滴の吐出動作は、制御部194により制御される。この吐出制御では、まず、発振回路195のクロック信号(CK)に同期させて印字データ(SI)配列のうち最上位ビット列のデータを出力バッファOBからシリアル伝送して、順次シフトレジスタ素子94A〜94Nにセットさせる。全てのノズル開口51…について印字データがシフトレジスタ素子94A〜94Nにセットされたならば、所定のタイミングでラッチ素子95A〜95Nへラッチ信号(LAT)を出力し、シフトレジスタ素子94A〜94Nにセットされた印字データをラッチ素子95A〜95Nにラッチさせる。
【0046】
このラッチされた印字データは、レベルシフタ素子96A〜96Nに供給される。各レベルシフタ96A〜96Nは、印字データが例えば「1」の場合に、スイッチ97A〜97Nが駆動可能な電圧値、例えば数十ボルトまでこの印字データを昇圧するように構成されており、ここで昇圧された印字データはスイッチ97A〜97Nに印加され、これによりスイッチ97A〜97Nは、当該印字データによって接続状態になる。なお、印字データが例えば「0」の場合には、対応する各レベルシフタ素子96A〜96Nは昇圧を行わない。
【0047】
各スイッチ97A〜97Nには、駆動信号生成回路8からの駆動信号COMが印加されており、スイッチ97A〜97Nが接続状態になると、このスイッチ97A〜97Nと接続した圧電振動子6A〜6Nに駆動信号COMが供給される。
【0048】
最上位ビット列のデータに基づいて駆動信号を印加させたならば、制御部194では、続いて1ビット列下位のビット列データをシリアル伝送させてシフトレジスタ94…にセットさせる。そして、シフトレジスタ94…にデータをセットさせたならば、ラッチ信号を与えてデータをラッチさせ、駆動信号を圧電振動子6…に供給させる。以後は、1ビット列ずつ印字データを下位ビット列にシフトしながら最下位ビット列まで同様の動作を繰り返し行う。
【0049】
このように、例示したプリンタ1では、記録ヘッド4の圧電振動子6(6A〜6N)に駆動信号COMを供給するか否かを印字データによって制御するようになっており、印字データが「1」の期間において駆動信号COMは圧電振動子6へ供給され、印字データが「0」の場合には駆動信号COMは供給されない。
【0050】
次に駆動信号生成回路8について説明する。図4のブロック図に示すように、駆動信号生成回路8は、波形生成回路80と電流増幅回路89とを備えて構成され、波形生成回路80により駆動信号COMとなる波形信号を生成し、その波形信号を電流増幅回路89に取り込んで電流増幅して駆動信号COMとして出力するようになっている。
【0051】
波形生成回路80は、波形メモリ81と、第1波形ラッチ回路82と、第2波形ラッチ回路84と、加算器83と、デジタルアナログ変換器86(D/A変換器86)と、電圧増幅回路88とを備えている。
【0052】
波形メモリ81は、制御部49から出力された複数種類の電圧変化量データ(変化量情報)をアドレスに対応させて個別に記憶する変化量情報記憶手段として機能する。この波形メモリ81には、本発明の変化量情報保持手段として機能する第1波形ラッチ回路82が電気的に接続されている。この第1波形ラッチ回路82は、第1タイミング信号に同期して波形メモリ81の所定アドレスに記憶された電圧変化量のデータを保持する。加算器83は本発明の加算手段として機能する。この加算器83には第1波形ラッチ回路82の出力と第2波形ラッチ回路84の出力が入力され、加算器83の出力側には上記の第2波形ラッチ回路84が電気的に接続されている。そして、加算器83は、出力信号同士を加算して加算電圧情報を取得する。
【0053】
第2波形ラッチ回路84は、本発明の出力電圧情報保持手段として機能し、第2タイミング信号に同期して加算器83が取得したデータ(加算電圧情報)を、駆動信号COMの波形形状を規定するための出力電圧情報として保持する。D/A変換器86は、第2波形ラッチ回路84の出力側に電気的に接続されており、第2波形ラッチ回路84が保持するデータをアナログ信号に変換する。電圧増幅回路88は、D/A変換器86の出力側に電気的に接続されており、D/A変換器86で変換されたアナログ信号を駆動信号の電圧まで増幅する。
【0054】
電流増幅回路89は、電圧増幅回路88の出力側に電気的に接続されており、電圧増幅回路88で電圧が増幅された信号に対する電流増幅を行って駆動信号COMとして出力する。
【0055】
上記の構成を有する駆動信号生成回路8では、駆動信号の生成に先立って、電圧変化量を示す複数の変化量データを波形メモリ81の記憶領域に個別に記憶させる。例えば、制御部194は、変化量データとこの変化量データに対応するアドレスデータとを波形メモリ81に出力する。そして、波形メモリ81は、変化量データをアドレスデータで指定される記憶領域に記憶する。なお、本実施形態において、変化量データは正負の情報(増減情報)を含んだデータで構成され、アドレスデータは4ビットのアドレス信号で構成される。
【0056】
このようにして、複数種類の変化量データが波形メモリ81に記憶されると、駆動信号の生成が可能になる。
【0057】
駆動信号の生成は、第1波形ラッチ回路82から加算器83に出力される変化量データを切り換えつつ、所定の更新タイミングが到来する毎に加算器83が取得したデータを新たな出力電圧情報として第2波形ラッチ回路84に保持させることで行っており、これにより任意形状の駆動信号を生成する。
【0058】
本実施形態では、第1波形ラッチ回路82への変化量データのセットを、波形メモリ81に入力された4ビットのアドレス信号と、第1波形ラッチ回路82に入力される第1タイミング信号とによって行う。即ち、波形メモリ81は、アドレス信号に基づいて対象となる変化量データを選択する。そして、第1タイミング信号が入力されると第1波形ラッチ回路82は、選択された変化量データを波形メモリ81から読み出して保持する。
【0059】
第1波形ラッチ回路82に保持された変化量データは加算器83に入力される。この加算器83には、第2波形ラッチ回路84が保持している出力電圧情報も入力されているので、加算器83からの出力データは第1波形ラッチ回路82が保持する変化量データと第2波形ラッチ回路84が保持する出力電圧情報とが加算された電圧値となる。ここで、変化量データには正負の情報が含まれているので、変化量データが正の値の場合には、加算器83からの出力データは出力電圧情報よりも高い電圧値になる(増加する)。一方、変化量データが負の値の場合には、加算器83からの出力データは出力電圧情報よりも低い電圧値になる(減少する)。なお、変化量データが値「0」の場合には、加算器83からの出力データは出力電圧情報と同じ電圧値になる。
【0060】
そして、加算器83からの出力データは、第2タイミング信号に同期して第2波形ラッチ回路84に取り込まれて保持される。つまり、第2波形ラッチ回路84からの出力電圧情報は、第2タイミング信号に同期して更新される。
【0061】
ここで、駆動信号の生成動作を図5の具体例に基づいて説明する。この例において、波形メモリ81のアドレスAには「0」の変化量データが記憶され、アドレスBには+△V1の変化量データが記憶され、アドレスCには−△V2の変化量データがそれぞれ記憶されている。
【0062】
アドレスBを示すアドレス信号が波形メモリ81に入力された状態で第1タイミング信号が入力されると(t1)、第1波形ラッチ回路82は、アドレスBに記憶された+△V1の変化量データを波形メモリ81から読み出して保持する。その後、第2タイミング信号によって規定される更新タイミングで、例えば、第2タイミング信号の立ち上がりタイミングで、第2波形ラッチ回路84は、加算器83からの出力データを取り込んで保持する(t2)。ここで、第1タイミング信号の供給後における最初のタイミングでは、それまでの出力電圧であるGND電位に△V1を加算した△V1を新たな出力電圧として保持する。
【0063】
その後、周期△Tが経過して次の更新タイミングが到来すると、第2波形ラッチ回路84は、それまでの出力電圧である△V1に△V1を加算した2・△V1(△V1+△V1)を新たな出力電圧データとして保持する(t3)。
【0064】
周期△Tがさらに経過してその次の更新タイミングが到来すると、第2波形ラッチ回路84は、V(2・△V1+△V1)を新たな出力電圧データとして保持する(t4)。
【0065】
上記のアドレス信号に関し、アドレスBに対応する変化量データが第1波形ラッチ回路82に保持されると、その後、アドレス信号の内容がアドレスAに切り替わる。
【0066】
そして、このアドレスAを示すアドレス信号は、次の第1タイミング信号の入力によって参照される(t5)。即ち、第1波形ラッチ回路82は、この第1タイミング信号の入力に伴ってアドレスAに記憶された値「0」の変化量データを波形メモリ81から読み出して保持する。
【0067】
値「0」の変化量データが第1波形ラッチ回路82に保持されると、加算器83からの出力データは第2波形ラッチ回路84からの出力電圧と同じ電圧値となる。このため、値「0」の変化量データが第1波形ラッチ回路82に保持されている期間は、第2タイミング信号によって規定される更新タイミングが到来しても、第2波形ラッチ回路84からの出力電圧は前の電圧値であるVを維持する(t6,t7)。
【0068】
次の第1タイミング信号の入力に伴い、アドレスCに対応する変化量データである−△V2の変化量データが第1波形ラッチ回路82に保持される(t8)。
【0069】
そして、この変化量データが保持されると、更新タイミングが到来する毎に第2波形ラッチ回路84からの出力電圧が△V2ずつ下降する(t9〜t14)。
【0070】
このように、例示した駆動信号生成回路8では、制御部194からアドレス信号やクロック信号等のパラメータを出力するだけで、駆動信号COMの波形を自由な形状に設定することができる。
【0071】
なお、この駆動信号COMに関し、電圧値を増加させると記録ヘッド4の圧電振動子6が充電されて素子長手方向に収縮し、圧力室71の容積が拡大する。逆に、電圧値を減少させると圧電振動子6は電荷が放電して素子長手方向に伸長して圧力室71の容積が縮小する。
【0072】
次に、上記の駆動信号生成回路8が生成する駆動信号COM、及び、駆動信号COMを構成する各駆動パルスの供給について説明する。
【0073】
駆動信号生成回路8が生成する駆動信号COMは、インク量の異なる複数種類の駆動パルスを一連に接続した信号である。図6に示すように、この駆動信号COMは、マイクロドットを形成し得る極く小量のインク滴をノズル開口51から吐出させるマイクロドット駆動パルスDP1、ミドルドットを形成し得る中インク滴を吐出させるミドルドット駆動パルスDP2、及び、ラージドットを形成し得る大インク滴を吐出させるラージドット駆動パルスDP3を備えており、ラージドット駆動パルスDP3、マイクロドット駆動パルスDP1、ミドルドット駆動パルスDP2の順で一連に接続している。
【0074】
そして、印字データ(SI)は、各駆動パルスDP1〜DP3に対応した3ビットのデータにより構成され、この印字データの内容に応じて各駆動パルスDP1〜DP3が選択的に圧電振動子6に供給される。即ち、印字データの最上位ビットはラージドット駆動パルスDP3を選択するためのデータとされ、2番目のビットはマイクロドット駆動パルスDP1を選択するためのデータとされ、最下位ビットはミドルドット駆動パルスDP2を選択するためのデータとされる。
【0075】
マイクロドットを形成し得る極小インク滴を吐出させる場合には、印字データを(010)とし、期間T2の間スイッチ97を接続状態にすることで一連の駆動信号COMからマイクロドット駆動パルスDP1を選択的に圧電振動子6に供給する。同様に、ミドルドットに対応する中インク滴を吐出させる場合には、印字データを(001)として期間T3の間スイッチ97を接続状態にすることで駆動信号COMからミドルドット駆動パルスDP2を供給する。また、ラージドットに対応する大インク滴を吐出させる場合には、印字データを(100)として期間T1の間スイッチ97を接続状態にすることで駆動信号COMからラージドット駆動パルスDP3を供給する。
【0076】
このような動作時を行う制御部194、シフトレジスタ94、ラッチ回路95、レベルシフタ96、及び、スイッチ97は、駆動パルス供給手段として機能し、一連の駆動信号COMから必要な駆動パルスDP1〜DP3を選択的に圧電振動子6に供給する。
【0077】
次に、上記のマイクロドット駆動パルスDP1について詳しく説明する。
【0078】
図7に示すように、例示したマイクロドット駆動パルスDP1は、本発明の予備収縮要素として機能する第0放電要素Pwd0と、第0ホールド要素Pwh0と、本発明の引き込み要素として機能する第1充電要素Pwc1と、本発明の引き込みホールド要素として機能する第1ホールド要素Pwh1と、本発明の第1吐出要素として機能する第1放電要素Pwd1と、本発明の吐出ホールド要素として機能する第2ホールド要素Pwh2と、本発明の第2吐出要素として機能する第2充電要素Pwc2と、第3ホールド要素Pwh3と、本発明の収縮要素として機能する第2放電要素Pwd2、第4ホールド要素Pwh4、及び、第3放電要素Pwd3と、第5ホールド要素Pwh5と、本発明の制振要素として機能する第3充電要素Pwc3とを順に接続した信号とされている。
【0079】
第0放電要素Pwd0は、中間電位(バイアスレベル)Vmから比較的緩やかな下降勾配θ0でGND電位(零電位,最低電位)まで電位を下降する。この第0放電要素Pwd0が圧電振動子6に供給されると、圧力室71は中間電位Vmで規定される基準容積からGND電位で規定される最小容積まで比較的ゆっくりと収縮する。
【0080】
第0ホールド要素Pwh0は、直前の電位である零電位を所定時間に亘って維持する。
【0081】
第1充電要素Pwc1は、インク滴を吐出させない程度の上昇勾配θ1でGND電位から第1最大電位VHまで電位を上昇させる。この第1充電要素Pwc1が圧電振動子6に供給されると圧力室71は、第1最大電位VHで規定される最大容積まで急速に膨張する。この膨張に伴って圧力室71内が減圧され、メニスカス(ノズル開口51で露出するインクの自由表面)は、圧力室71内側に大きく引き込まれる。
【0082】
なお、本実施形態では、第1充電要素Pwc1を供給する前に第0放電要素Pwd0及び第0ホールド要素Pwh0を供給しており、圧力室71を基準容積から最小容積まで収縮させ、第0ホールド要素Pwh0で規定される時間の経過後に急速に膨張させている。このためメニスカスは、インク吐出方向に一旦押し出された後に圧力室71側に大きく引き込まれる。
【0083】
このようにすると、静止状態のメニスカスをいきなり圧力室71内側に引き込んだ場合よりもメニスカスの挙動を安定させることができる。これは、第0放電要素Pwd0の供給に伴うメニスカスの動きにあわせて、このメニスカスを圧力室71側に大きく引き込むことができるためと考えられる。
【0084】
ここで、上記の中間電位Vmは、圧力室71の基準容積を規定する電位であり、駆動電圧Vh、即ち、第1最大電位VH(最大電位)からGND電位(最低電位)までの電位差に基づいて定められる。そして、中間電位Vmは、GND電位からの電位差Vc0が駆動電圧Vhの5%〜30%となる範囲で設定可能であり、この電位差Vc0を駆動電圧Vhの15%にすると最適であることが実験で確認されている。
【0085】
また、第1充電要素Pwc1の供給時間(パルス幅)に関し、本実施形態ではこの供給時間を圧力室71の固有振動周期Tcにほぼ同じ値に揃えて設定してある。これは、圧力室7の収縮を適正に制御するためである。即ち、第1充電要素Pwc1の供給時間を固有振動周期Tcとほぼ同じ値に揃えて設定することにより、圧電振動子6の収縮に伴う圧力室71の残留振動を防止することができる。これにより、或る圧力室71の膨張・収縮が近隣の圧力室71に伝わってしまう所謂クロストーク現象を防止することができる。
【0086】
第1ホールド要素Pwh1は、直前の電位である第1最大電位VHを所定時間に亘って維持する要素であり、例えば、1μsecのパルス幅とされる。
【0087】
第1放電要素Pwd1は、急峻な下降勾配θ2で第1最大電位VHから第2最大電位VH2まで電位を下降させる要素である。この第1放電要素Pwd1が圧電振動子6に供給されると、圧力室71が少し収縮して圧力室内が少し加圧される。これにより、第1充電要素Pwc1によって大きく引き込まれたメニスカスは、インク吐出方向に少し押し戻される。
【0088】
この第1放電要素Pwd1の供給時間(パルス幅)は、例えば1〜3μsecの範囲で設定可能であるが、本実施形態では、1μsecに設定してある。これは、第1放電要素Pwd1の供給時間が短い程、インク滴の飛翔速度を高速にできるためである。
【0089】
また、第1放電要素Pwd1の終端電位である第2最大電位VH2は、駆動電圧Vhに基づいて規定される。この第2最大電位VH2は、GND電位からの電位差Vc1が駆動電圧Vhの55%〜75%となる範囲で設定可能であり、この電位差Vc1を駆動電圧Vhの70%とすると最適であることが実験で確認されている。即ち、この第2最大電位VH2を高い電位に設定すると、インク滴の量を少なくすることができるが、高すぎるとインク滴の量がばらついたり、飛翔時の軌道が不安定になったりする。
【0090】
また、この第1放電要素Pwd1に関し、インク滴の飛翔速度を高めるという観点からすれば、第1充電要素Pwc1に続けて供給することが好ましい。しかし、本実施形態では、第1充電要素Pwc1と第1放電要素Pwd1との間に第1ホールド要素Pwh1を配置し、第1充電要素Pwc1の終端と第1放電要素Pwd1の始端とを同電位で接続している。これは、記録ヘッド4の電気駆動系44を保護するためである。即ち、第1充電要素Pwc1と第1放電要素Pwd1とを続けて供給すると、電位勾配が急激に切り換わり上記のスイッチ97(97A〜97N)に貫通電流が流れ、吐出動作の安定性を損なってしまう。そして、この第1ホールド要素Pwh1によって一定時間同電位を維持すると、電位勾配の急激な切り換わりが緩和され、スイッチ97に貫通電流が流れてしまう不具合が防止できる。
【0091】
第2ホールド要素Pwh2は、直前の電位である第2最大電位VH2を所定時間に亘って維持する要素であり、例えば、1μsecのパルス幅とされる。
【0092】
この第2ホールド要素Pwh2が圧電振動子6に供給されると、第1放電要素Pwd1による圧力室71の収縮動作が停止される。このとき、慣性力によってメニスカスの中央部分は、インク吐出方向に向けて細い柱状に伸長すると考えられる。
【0093】
第2充電要素Pwc2は、急峻な上昇勾配θ3で第2最大電位VH2から第3最大電位VH3まで電位を上昇させる要素である。この第2充電要素Pwc2が圧電振動子6に供給されると圧力室71が再度膨張する。そして、この圧力室71の膨張に伴って、2pL程度の極く少量のインク滴がメニスカスの柱状部分から分離して飛翔する。
【0094】
これは、メニスカスの柱状部分がインクの吐出方向へ伸長している最中に圧力室71を膨張させると、圧力室71が減圧されて圧力室71側に引き戻される力が柱状部分に作用するためと考えられる。即ち、吐出方向に伸長中の柱状部分に対して圧力室71側に引き戻される力が作用すると、この引き戻される力によって、柱状部分が従来よりも先端側でちぎれることになるためと考えられる。
【0095】
この第2充電要素Pwc2の終端電位である第3最大電位VH3に関し、第3最大電位VH3は、GND電位からの電位差Vc2が駆動電圧Vhの70%〜120%となる範囲で設定可能である。そして、本実施形態では、第3最大電位VH3を、第2最大電位VH2よりも高く、第1最大電位VH以下の電位に設定してある。言い換えると、第2充電要素Pwc2始端電位から終端電位までの吐出膨張電圧を、第1放電要素Pwd1の始端電位から終端電位までの吐出収縮電圧以下に設定している。具体的には、電位差Vc2が駆動電圧Vhの80%となるように設定してある。また、第2充電要素Pwc2の供給時間(パルス幅)に関し、この供給時間は例えば1〜3μsecの範囲で設定可能であるが、本実施形態では、1μsecに設定してある。
【0096】
このように設定すると、インク滴の飛翔速度を高速に保ちつつ、インク量を安定化すること並びにインク滴の軌道を安定化することができる。
【0097】
また、第2充電要素Pwc2に関し、インク量を少なくするという観点からすれば、第1放電要素Pwd1に続けて供給することが好ましい。しかし、本実施形態では、第1放電要素Pwd1と第2充電要素Pwc2との間に第2ホールド要素Pwh2を配置して、第1放電要素Pwd1の終端と第2充電要素Pwc2の始端とを同電位で接続している。
【0098】
これは、記録ヘッド4の電気駆動系44を保護するためである。即ち、第1放電要素Pwd1の後に第2充電要素Pwc2を続けて供給すると、電位勾配が急激に切り換わりスイッチ97(97A〜97N)に貫通電流が流れ、吐出動作の安定性を損なってしまう。そして、この第2ホールド要素Pwh2によって一定時間電位を維持すると、電位勾配の急激な切り換わりが緩和され、スイッチ97に貫通電流が流れてしまう不具合が防止できる。
【0099】
第3ホールド要素Pwh3は、直前の電位である第3最大電位VH3を所定時間に亘って維持する要素であり、例えば、1μsecのパルス幅とされる。この第3ホールド要素Pwh3は、第1ホールド要素Pwh1と同様な機能を果たす要素であり、次の第2放電要素Pwd2による放電を安定に行わせるためのホールド期間を確保する。
【0100】
第2放電要素Pwd2は、本発明の収縮部分要素であり、インク滴を吐出させない程度の下降勾配θ4で第3最大電位VH3から収縮ホールド電位VH4まで電位を下降させる。
【0101】
第4ホールド要素Pwh4は、本発明の収縮ホールド要素であり、第2放電要素Pwd2(先の収縮部分要素)の終端と第3放電要素Pwd3(後の収縮部分要素)の始端とを収縮ホールド電位VH4で接続する。
【0102】
第3放電要素Pwd3は、本発明の収縮部分要素であり、インク滴を吐出させない程度の下降勾配θ5で収縮ホールド電位VH4からGND電位まで電位を下降させる。
【0103】
そして、本実施形態では、後の収縮部分要素の電位勾配である第3放電要素Pwd3の下降勾配θ5を、先の収縮部分要素の電位勾配である第2放電要素Pwd2の下降勾配θ4よりも緩やかな勾配に設定してある。
【0104】
このような第2放電要素Pwd2、第4ホールド要素Pwh4、及び、第3放電要素Pwd3を順に圧電振動子6に供給すると、第3ホールド要素Pwh3の供給に伴って膨張した圧力室71は、GND電位で規定される最小容積まで収縮する。ここで、本実施形態では、第2放電要素Pwd2と第3放電要素Pwd3との間に一定電位の第4ホールド要素Pwh4を配置しているので、第2放電要素Pwd2による圧力室71の収縮動作と第3放電要素Pwd3による圧力室71の収縮動作との間で極く短時間だけ圧力室71の収縮が停止する。
【0105】
このように、圧力室71を収縮させる動作の途中でこの収縮を一時的に停止させると、第3最大電位VH3で規定される容積から最小容積まで圧力室71を連続的に収縮させた場合よりもインク滴の吐出を安定させることができる。例えば、全てのノズル開口51からインク滴を吐出させた場合と数個のノズル開口51からインク滴を吐出させた場合とにおけるインク滴の量や飛翔速度の差を少なくすることができる。
【0106】
これは、段階的に圧力室71を収縮させることで、収縮時における圧力室71内の圧力変動が小さくなったためと考えられる。さらに、第3放電要素Pwd3の下降勾配θ5を第2放電要素Pwd2の下降勾配θ4よりも緩やかな勾配に設定することで、収縮時における圧力室71内の圧力変動を一層小さくできると考えられる。
【0107】
なお、第4ホールド要素Pwh4の供給時間は出来るだけ短くすることによりインク滴の吐出が安定して行えることが実験的に確認された。そこで、本実施形態では、電気駆動系44が制御可能な最小時間である1μsecのパルス幅に設定してある。
【0108】
また、収縮ホールド電位VH4は、駆動電圧Vhに基づいて規定される。この収縮ホールド電位VH4は、GND電位からの電位差Vc3が駆動電圧Vhの20%〜50%となる範囲で設定可能であり、本実施形態では電位差Vc3を駆動電圧Vhの40%とすると最適であることが実験で確認されている。
【0109】
そして、第2放電要素Pwd2の供給時間(パルス幅)は、2〜5μsecの範囲で設定可能であるが、収縮ホールド電位VH4との兼ね合いで本実施形態では3.5μsecとしてある。同様に、第3放電要素Pwd3の供給時間(パルス幅)は、5〜8μsecの範囲で設定可能であるが、本実施形態では6.5μsecとしてある。
【0110】
第5ホールド要素Pwh5は、直前のGND電位を所定時間そのままに保ち、第3充電要素Pwc3は、GND電位から上昇勾配θ6で中間電位Vmまで電位を上昇させる。
【0111】
第3充電要素Pwc3は、圧力室71をGND電位で規定される最小容積から中間電位Vmで規定される基準容積まで膨張復帰させることでメニスカスの振動を短時間で収束させる。なお、本実施形態における第3充電要素Pwc3の供給時間は、圧電振動子6の固有振動周期Taと揃えて設定してある。これにより、圧電振動子6の収縮に伴う圧電振動子6の残留振動を低く抑えることができ、圧力室71を円滑に膨張させることができる。
【0112】
上記の第5ホールド要素Pwh5は、第3充電要素Pwc3の供給開始タイミングを規定する。即ち、第5ホールド要素Pwh5の供給時間を設定することで、第3充電要素Pwc3による圧力室71の膨張を最適なタイミングで開始させることができる。
【0113】
以上説明したように、上記のマイクロドット駆動パルスDP1を圧電振動子6に供給すると、第1充電要素Pwc1によって圧力室71内が急速に減圧されてメニスカスが圧力室71内側に大きく引き込まれ、この減圧終了直後に第1放電要素Pwd1によって圧力室71が少し加圧され、この加圧終了直後に第2充電要素Pwc2によって圧力室71が再度減圧される。
【0114】
この一連の動作において、第1放電要素Pwd1による加圧で生成されたインク柱(メニスカスの中心部分が形成した柱状の部分)に対し、第2充電要素Pwc2による圧力室71の減圧で生じた圧力室71側への引き込み力が作用するので、インク柱の先端部分だけがインク柱から分離してインク滴として飛翔する。
【0115】
このため、従来よりもインク量の少ないインク滴、例えば、2pLのインク滴を吐出させることができる。さらに、この吐出制御では、細く成長させたインク柱の先端部分だけをインク滴として吐出させることができるので、吐出させたインク滴の尾引き(サテライト)が少ない。これにより、サテライトドット(ミスト)による画質劣化や装置の汚損が防止できる。
【0116】
ところで、本発明に係るマイクロドット駆動パルスは、上記の形状に限定されるものではない。図8は、本発明の第2実施形態を示し、他の形状のマイクロドット駆動パルスを示すタイムチャートである。
【0117】
この第2実施形態は、装置の構成等は前述した第1実施形態と同様であり、駆動信号生成回路8へ与えるパラメータの変更によりマイクロドット駆動パルスの波形を変更している。
【0118】
このマイクロドット駆動パルスDP1´は、本発明の引き込み要素として機能する第1充電要素Pwc1´と、本発明の引き込みホールド要素として機能する第1ホールド要素Pwh1と、本発明の第1吐出要素として機能する第1放電要素Pwd1と、本発明の吐出ホールド要素として機能する第2ホールド要素Pwh2と、本発明の第2吐出要素として機能する第2充電要素Pwc2と、第3ホールド要素Pwh3と、本発明の収縮要素として機能する第2放電要素Pwd2、第4ホールド要素Pwh4、及び、第3放電要素Pwd3´とを順に接続した信号とされている。
【0119】
このマイクロドット駆動パルスDP1´と第1実施形態のマイクロドット駆動パルスDP1との相違は、第0放電要素Pwd0及び第0ホールド要素Pwh0と、第5ホールド要素Pwh5及び第3充電要素Pwc3とがなく、第1充電要素Pwc1´の始端電位及び第3放電要素Pwd3´の終端電位が中間電位Vmとなっている点である。
【0120】
このマイクロドット駆動パルスDP1´を圧電振動子6に供給してもマイクロドット駆動パルスDP1と同様に、第1充電要素Pwc1´によって圧力室71内が急速に減圧されてメニスカスが圧力室71内側に大きく引き込まれ、この減圧終了直後に第1放電要素Pwd1によって圧力室71が少し加圧され、この加圧終了直後に第2充電要素Pwc2によって圧力室71が再度減圧されるので、極く少量のインク滴を吐出させることができる。そして、このマイクロドット駆動パルスDP1´では、必要なパルス幅(第1充電要素Pwc1´の始端から第3放電要素Pwd3´の終端までの時間)が駆動パルスDP1よりも短くできるので、高速記録を行わせるプリンタ1に適する。
【0121】
図9は、本発明の第3実施形態を示し、さらに他の形状のマイクロドット駆動パルスを示すタイムチャートである。この第3実施形態でも、装置の構成等は前述した第1実施形態と同様であり、駆動信号生成回路8へ与えるパラメータの変更によりマイクロドット駆動パルスDP1の波形を変更している。
【0122】
このマイクロドット駆動パルスDP1”は、本発明の引き込み要素として機能する第1充電要素Pwc1´と、本発明の引き込みホールド要素として機能する第1ホールド要素Pwh1と、本発明の第1吐出要素として機能する第1放電要素Pwd1と、本発明の吐出ホールド要素として機能する第2ホールド要素Pwh2と、本発明の第2吐出要素として機能する第2充電要素Pwc2と、第3ホールド要素Pwh3と、本発明の収縮要素として機能する第2放電要素Pwd2´とを順に接続した信号とされている。
【0123】
このマイクロドット駆動パルスDP1”と2実施形態のマイクロドット駆動パルスDP1´との相違は、第4ホールド要素Pwh4及び第3放電要素Pwd3´を削除して、第2放電要素Pwd2´の終端電位を中間電位Vmとした点である。
【0124】
このマイクロドット駆動パルスDP1”を圧電振動子6に供給してもマイクロドット駆動パルスDP1と同様に、第1充電要素Pwc1´によって圧力室71内が急速に減圧されてメニスカスが圧力室71内側に大きく引き込まれ、この減圧終了直後に第1放電要素Pwd1によって圧力室71が少し加圧され、この加圧終了直後に第2充電要素Pwc2によって圧力室71が再度減圧されるので、極く少量のインク滴を吐出させることができる。そして、このマイクロドット駆動パルスDP1”でも、必要なパルス幅(第1充電要素Pwc1´の始端から第2放電要素Pwd2´の終端までの時間)が駆動パルスDP1よりも短くできるので、高速記録を行わせるプリンタ1に適する。
【0125】
図10に本発明の第4実施形態を示す。本実施例では図6とは異なる駆動信号COMを採用した例を示す。例えば、図10に示す例では、印字データを3ビットのデータD1,D2,D3により構成してあり、印字データD1を印字内微振動パルス1013に、印字データD2をマイクロドットパルス1014に、印字データD3をミドルドット駆動パルス1015にそれぞれ対応させてある。そして、各データD1,D2,D3を適宜変更することにより、量が異なる複数種類のインク滴をノズル開口51から吐出させることができる。
【0126】
例えば、印字データを、D1=1,D2=1,D3=0に設定すると印字内微振動パルス1013とマイクロドット駆動パルス1014とが圧電振動子6に印加されて、ノズル開口51からはマイクロドットのインク滴が吐出する。また、各データをD1=1,D2=0,D3=1に設定すると、印字内微振動パルス1013とミドルドット駆動パルス1015とが圧電振動子6に印加され、ノズル開口51からはミドルドットのインク滴が吐出する。同様に、各データをD1=1,D2=1,D3=1に設定することで印字内微振動パルス1013とマイクロドット駆動パルス1014とミドルドット駆動パルス1015とが圧電振動子6に印加され、マイクロドット駆動パルス1014によるインク滴とミドルドット駆動パルス1015によるインク滴とが吐出し、ラージドットが形成される。また、各データをD1=1,D2=0,D3=0に設定することで印字内微振動パルス1013が圧電振動子6に印加され、ノズル開口51にてメニスカス、即ち、ノズル開口51にて露出したインクの自由表面が微振動する。これにより、ノズル開口51のインクが攪拌されて、インクの増粘が防止される。
【0127】
そして、本実施形態では、マイクロドット駆動パルス1014とミドルドット駆動パルス1015とを続けて圧電振動子6に印加、吐出させることによって、ラージドットを吐出させるようにしている。マイクロドット、及びミドルドットに関しては前述したようにそれぞれの駆動波形を圧電振動子6に印加させることで例えば4ng、11ngのインク滴をノズル開口51から吐出させる。
【0128】
また、図10の駆動信号COMには、インク滴を吐出させるためのそれぞれの駆動波形に先立って、印字内微振動パルス1013を設けている。このような印字内微振動パルス1013を圧電振動子6に印加することにより、圧電振動子6が僅かに収縮・伸長し、圧力室71が微小に膨張・収縮する。この微小な膨張・収縮に伴ってインクが吐出しない程度にメニスカスが微振動し、インクの増粘を防止できる。
【0129】
次に図11に図10におけるマイクロドット駆動パルス1014について詳細に述べる。図11に示すマイクロドット駆動パルス1014は、上に凸の波形の上昇勾配の部分が記録ヘッドの圧電振動子6を充電し、圧力室内にインクを引き込む引き込み要素P1となっていて、下降勾配の部分が圧電振動子6を放電させて圧力室を収縮させる第1収縮要素P2および第2収縮要素P4となっている。また、引き込み要素P1の終端と第1収縮要素P2の始端を一定電位で結ぶ第1ホールド要素Ph、第1収縮要素P2の終端と第2収縮要素P4との間を一定電位の第2ホールド要素P3で接続している。
【0130】
図11のマイクロドット駆動パルス1014によると圧電振動子6を伸張させる第1収縮要素P2および第2収縮要素P4の間に、その伸張を一度停止させる第2ホールド要素P3を印加させている。この場合、第1収縮要素P2によってインク柱が形成される途中で第2ホールド要素P3を印加することで、インク滴が切り離され、微小なインク滴が吐出される。インク滴が吐出されるとメニスカスはノズル開口51とは反対側方向に大きく引き込まれる。ここで第2ホールド要素P3を所定時間維持し、適当なタイミングで下限電位に向けて降下させる。第2収縮要素P4は圧電振動子6を伸張させるので、メニスカスをノズル開口に押し出す方向に作用する。
【0131】
従ってP3を維持する時間を適切に調整することによって、インク滴吐出後のメニスカスが圧力室方向に戻る力と、圧電振動子6が圧力発生室を収縮させる力とが相殺され、インク滴吐出後のメニスカスの引き込まれる量が減少する。したがって、インク滴吐出後のメニスカスの残留振動を低減させることができる。
【0132】
例えば、インク滴が吐出された瞬間からインク滴吐出後のメニスカスが引き込まれる最大の引き込み量までの時間は、3.5μsから5.5μs程度となる。この場合、P3を維持する時間は発明者が行った実験によると、0.8μsから1.2μsの範囲内が適当であった。
【0133】
さらに第1収縮要素P2の傾きを調整し、第1収縮要素P2と第2ホールド要素P3の信号の印加時間の和が、圧電振動子の固有振動周期の1/2に調整することによって圧電振動子の残留振動を低減させることができる。
【0134】
また、インク滴吐出後の圧力発生室のインクの残留振動を低減させるための第2収縮要素P4の傾きは、第1収縮要素P2の開始から、第2収縮要素P4の終端までの時間を圧力発生室の固有振動周期Tcとほぼ同等となるように設定する。すなわち、第2収縮要素P4のパルス幅=圧力発生室の固有振動周期Tc−(第1収縮要素P2のパルス幅+第2ホールド要素P3のパルス幅)とする。第1収縮要素P2、第2ホールド要素P3、第2収縮要素P4のパルス幅の和を圧力発生室の固有振動周期Tcとすることで、圧力発生室の残留振動を減衰させることが可能となる。
【0135】
また、発明者が行った実験結果によると、第2ホールド要素P3の電位を充電要素P1の電位Vhの45%から70%に設定することによって、適切な吐出スピードを有する非常に微小インク滴を安定して吐出させることができる駆動波形を実現できた。これは放電パルスP2の開始から第2収縮要素P4の終端までの時間が圧力発生室の固有振動周期Tcとほぼ同等となるように設定されているので、たとえば第2ホールド要素P3の電位が低い場合、放電パルスP2の傾きが大きくなり、第2収縮要素P4の傾きが小さくなるので、吐出エネルギに対して、十分な制振作用が得られずインク吐出が不安定になるからである。一方で第2ホールド要素P3の電位が高い場合、放電パルスP2の傾きが小さくなる。これはP2の傾きが小さくなり、第2収縮要素P4の傾きが大きくなるので適切なインク吐出スピードが得られなくなる。なお、ここで第2ホールド要素P3の印加時間は一定である。
【0136】
以上示されたマイクロドット駆動パルスは、含まれる駆動信号COMを限定しない。例えば図6に示された駆動信号COMに図11のマイクロドット駆動パルス1014を適用してもよいし、図10に示された駆動信号COMに図7〜図10に示されたマイクロドット駆動パルスDP1を含ませてもよい。
【0137】
上記の各実施形態では、充電により圧力室71を膨張させ放電により圧力室71を収縮させる圧電振動子6を例示したが、充電により圧力室71を収縮させ放電により圧力室71を膨張させる圧電振動子を用いても同様に構成することができる。
【0138】
また、圧力室71の容積を変化させる圧力発生素子は、圧電振動子に限定されない。例えば、磁歪素子であってもよい。さらに、以上説明したマイクロドットとは、例えばインク重量が1ng(ナノグラム)〜6ng、ミドルドットとはマイクロドットよりも重量の大きいドット、例えばインク重量が7ng〜11ng、同じくラージドットとは11ng以上のインク滴があるが、使用するインクの特性によって吐出されるインク重量は変化するものであるので、特にこの数値範囲に限定されるものではない。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は以下の効果を奏する。
【0140】
すなわち、圧力室を膨張させてメニスカスを引き込んだ後に圧力室を少し加圧し、この加圧後に再度圧力室を膨張させることでインク滴を吐出させているので、ノズル開口から極めて少量のインク滴を吐出させることができる。これにより、形成されるドットの大きさを従来よりも小さくすることができ、画質の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示し、インクジェット式記録装置の斜視図である。
【図2】 記録ヘッドを示す断面図である。
【図3】 制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】 駆動信号生成回路の構成を示すブロック図である。
【図5】 図4の駆動信号生成回路において駆動信号の波形を生成していく過程を示すタイミング図である。
【図6】 駆動信号と駆動パルスを説明する図である。
【図7】 マイクロドット駆動パルスを示すタイムチャートである。
【図8】 本発明の第2実施形態を示し、マイクロドット駆動パルスを示すタイムチャートである。
【図9】 本発明の第3実施形態を示し、マイクロドット駆動パルスを示すタイムチャートである。
【図10】 本発明の第4の実施例を示し、駆動信号と駆動パルスを説明する図である。
【図11】 本発明の第4の実施例を示し、マイクロドット駆動パルスを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 インクジェット式記録装置
2 キャリッジ
3 記録紙
4 記録ヘッド
5 インクカートリッジ
6 圧電振動子
7 流路ユニット
8 駆動信号生成回路
11 ガイド部材
12 駆動プーリ
13 遊転プーリ
14 タイミングベルト
15 駆動モータ
16 プラテン
17 クリーニング機構
18 キャッピング機構
19 コントローラ
40 基台
41 開口
42 ユニット基板
43 収容室
44 電気駆動系
46 振動子ユニット
48 インク供給管
50 ノズルプレート
51 ノズル開口
55 スペーサ
60 振動板
61 ステンレス板
62 弾性体膜
70 アイランド部
71 圧力室
72 共通インク室
73 インク供給路
80 波形成性回路
81 波形メモリ
82 第1波形ラッチ回路
83 加算器
84 第2波形ラッチ回路
86 デジタルアナログ変換器
88 電圧増幅回路
89 電流増幅回路
94 シフトレジスタ
95 ラッチ
96 レベルシフタ
97 スイッチ
191 外部インターフェース
192 RAM
193 ROM
194 制御部
195 発振回路
196 内部インターフェース
1013 微振動パルス
1014 マイクロドット駆動パルスの一例
1015 ラージドット駆動パルスの一例

Claims (9)

  1. ノズル開口に連通した圧力室及びこの圧力室を膨張・収縮させる圧力発生素子を有する記録ヘッドと、駆動パルスを有する一連の駆動信号を生成する駆動信号生成手段とを備え、駆動パルスの供給により圧力発生素子を作動させてノズル開口からインク滴を吐出させるようにしたインクジェット式記録装置において、
    前記駆動信号生成手段は、
    最低電位から第1の最高電位まで電位を上昇させて、メニスカスを圧力室内側に引き込むべく圧力室内を膨張させる引き込み要素と、
    第1の最高電位から最低電位よりも電位の高い第2の最高電位まで電位を下降させて、前記引き込み要素によって膨張した圧力室を収縮させる第1吐出要素と、
    第2の最高電位から第1の最高電位よりも電位の低い第3の最高電位まで電位を上昇させて、第1吐出要素によって収縮した圧力室を再度膨張させる第2吐出要素と、を含んだ駆動パルスを生成し、
    前記駆動パルスを圧力発生素子に供給し、第1吐出要素の供給によって加圧された圧力室を第2吐出要素の供給によって再度減圧することでインク滴を吐出させることを特徴とするインクジェット式記録装置。
  2. 前記駆動信号生成手段は、引き込み要素の終端と第1吐出要素の始端とを同電位で接続する引き込みホールド要素と、第1吐出要素の終端と第2吐出要素の始端とを同電位で接続する吐出ホールド要素とを含んだ駆動パルスを生成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
  3. 引き込み要素の供給時間を、圧力室の固有振動周期に揃えて設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット式記録装置。
  4. 前記駆動信号生成手段は、第2吐出要素によって膨張した圧力室をインク滴を吐出させないように収縮させる収縮要素を含んだ駆動パルスを生成することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のインクジェット式記録装置。
  5. 前記収縮要素は、複数の収縮部分要素と、先の収縮部分要素の終端と後の収縮部分要素の始端とを接続する一定電位の収縮ホールド要素とから構成されることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット式記録装置。
  6. 後の収縮部分要素の電位勾配を先の収縮部分要素の電位勾配よりも緩やかに設定したことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット式記録装置。
  7. 前記駆動信号生成手段は、引き込み要素の前に配置されて、中間電位から引き込み要素の始端電位まで電位を変化させて基準容積の圧力室を収縮させる予備収縮要素を含んだ駆動パルスを生成することを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のインクジェット式記録装置。
  8. 前記駆動信号生成手段は、収縮要素の後に配置されて、収縮要素の終端電位から中間電位まで電位を変化させ、圧力室を基準容積に膨張復帰させることでメニスカスの挙動を安定化させる制振要素を含んだ駆動パルスを生成することを特徴とする請求項4から7の何れかに記載のインクジェット式記録装置。
  9. 前記駆動信号生成手段は、駆動信号の形状を規定するための出力電圧情報を保持する出力電圧情報保持手段と、変化量情報を保持する変化量情報保持手段と、出力電圧情報と変化量情報とを加算して加算電圧情報を取得する加算手段とを含み、変化量情報保持手段から加算手段に出力される変化量情報を切り換えつつ、更新タイミングが到来する毎に加算電圧情報を新たな出力電圧情報として出力電圧情報保持手段に保持させることで任意形状の駆動信号を生成することを特徴とする請求項1から8の何れかに記載のインクジェット式記録装置。
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