JP3661585B2 - インクジェット式記録ヘッドの駆動方法、及び、インクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッドの駆動方法、及び、インクジェット式記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3661585B2
JP3661585B2 JP2000308050A JP2000308050A JP3661585B2 JP 3661585 B2 JP3661585 B2 JP 3661585B2 JP 2000308050 A JP2000308050 A JP 2000308050A JP 2000308050 A JP2000308050 A JP 2000308050A JP 3661585 B2 JP3661585 B2 JP 3661585B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
pressure
pressure chamber
ink droplet
satellite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000308050A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002113860A5 (ja
JP2002113860A (ja
Inventor
智明 高橋
浩文 寺前
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2000308050A priority Critical patent/JP3661585B2/ja
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to EP01123290A priority patent/EP1195249B1/en
Priority to AT04026949T priority patent/ATE380662T1/de
Priority to DE60131910T priority patent/DE60131910T2/de
Priority to DE60116022T priority patent/DE60116022T2/de
Priority to EP04026949A priority patent/EP1504901B1/en
Priority to US09/970,926 priority patent/US6540338B2/en
Publication of JP2002113860A publication Critical patent/JP2002113860A/ja
Publication of JP2002113860A5 publication Critical patent/JP2002113860A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3661585B2 publication Critical patent/JP3661585B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出可能なインクジェット式記録ヘッドの駆動方法、及び、このインクジェット式記録ヘッドによって画像や文字等を記録媒体上に記録するインクジェット式記録装置に関し、特に、マイクロドットを形成し得る極く少量のマイクロドットインク滴を吐出させるようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的なインクジェット式記録装置(以下、単に記録装置と称する。)として、プリンタやプロッタがよく知られている。この記録装置では、インクジェット式記録ヘッドから吐出させるインク滴の量により記録紙上のドット径、つまり解像度が決まるので、吐出されるインク滴の量が重要である。このため、同一のノズル開口から異なる量のインク滴を吐出させる記録ヘッドを備えた記録装置が提案されている。この記録ヘッドは、圧力室内のインクに圧力変動を生じさせるための圧力発生素子を有しており、電位の変化パターンが異なる複数種類の駆動パルスを圧力発生素子に供給することで、異なる量のインク滴を吐出させる。
【0003】
そして、従来例のマイクロドット駆動パルス、つまり、マイクロドットに対応する極く少量のマイクロドットインク滴を吐出させるための駆動パルスには、圧力室内を大きく減圧する減圧要素と、減圧要素による圧力室の減圧状態を保持する減圧ホールド要素と、インク滴を吐出させるために圧力室を加圧する押出し要素とを備えたものがある。このマイクロドット駆動パルスでは、減圧要素及び減圧ホールド要素の供給により、メニスカス(ノズル開口で露出しているインクの自由表面)の中心部分を柱状に成長させ、押出し要素の供給により柱状部分を押し出してインク滴として吐出させる。
【0004】
このようなマイクロドット駆動パルスで駆動すると、インク滴は、インク柱の先端部分から分離して飛翔するメインインク滴と、このメインインク滴に付随して飛翔するサテライトインク滴とに分かれる。そして、このサテライトインク滴は、メインインク滴よりも飛翔速度が遅く、インク量も少ない。例えば、飛翔速度についてはメインインク滴が約7m/sであったとすると、サテライトインク滴は約4m/s程度である。また、サテライトインク滴の量は、メインインク滴の2/3程度である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の記録装置には画質の一層の向上が求められており、この要求に応えるためにはさらなるインク滴の少量化が必要である。しかしながら、従来例のマイクロドット駆動パルスでインク滴を吐出させるとサテライトインク滴の量が極めて少なくなってしまう。例えば1.5pL程度のインク滴を吐出させたとすると、サテライトインク滴の量が0.5pLになってしまう。
【0006】
これにより、サテライトインク滴は、空気の粘性抵抗の影響を大きく受け、記録紙上に着弾するまでに飛翔速度が大きく低下してしまう。一方、メインインク滴は、一般に、そのインク量がサテライトインク滴よりも多いので、速度の低下度合いはサテライトインク滴よりも小さい。このため、記録紙への着弾時点では、メインインク滴とサテライトインク滴の飛翔速度の差が一層拡がってしまう。そして、インク滴の吐出は記録ヘッドを移動させながら行っているので、飛翔速度の差に起因してメインインク滴とサテライトインク滴の着弾位置がずれてしまい、逆に画質を低下させてしまうという問題が生じる。
【0007】
さらに、サテライトインク滴が記録紙まで到達できなかった場合には、インクミストとして浮遊してしまう虞もある。このインクミストが筐体内や記録ヘッドのノズルプレート等に付着すると、インク滴の飛行曲がりの原因となったり、装置内の汚染の原因となるので、装置の信頼性が損なわれてしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、マイクロドットインク滴におけるメインインク滴とサテライトインク滴との着弾位置を揃えることができ、画質の向上を図ることにある。また、本発明の他の目的は、サテライトインク滴のミスト化を防止することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ノズル開口に連通した圧力室内の圧力を変動させ、圧力室内における圧力変動によってノズル開口からメインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法であって、
メニスカスの中心部分を局所的に引き込むように圧力室内を減圧し、この局所的に引き込まれたメニスカスの中心部分が表面張力に起因する復元力により移動方向を吐出方向に反転した後の慣性力によって吐出方向に柱状に伸長している最中に圧力室内を加圧することで、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴のインク量よりも多い量のサテライトインク滴が含まれるように圧力室内の圧力を変動させることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法である。
【0010】
ここで、「サテライトインク滴が含まれる」とは、サテライトインク滴が複数存在した場合において、これらのサテライトインク滴の中の少なくとも1つのサテライトインク滴のインク量がメインインク滴よりも多い場合も含むことを意味する概念である。なお、1つのメインインク滴と1つのサテライトインク滴とからマイクロドットインク滴が構成されている場合も勿論この概念に含まれる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、ノズル開口に連通した圧力室内の圧力を変動させ、圧力室内における圧力変動によってノズル開口からメインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法であって、
サテライトインク滴の分離タイミングにおける圧力室の加圧力を、メインインク滴の分離タイミングにおける圧力室の加圧力よりも強くすることで、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴よりも飛翔速度が高いサテライトインク滴が含まれるように圧力室内の圧力を変動させることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法である。
【0012】
請求項3に記載の発明は、ノズル開口に連通した圧力室及びこの圧力室内のインクを加減圧する圧力発生素子を有する記録ヘッドと、駆動パルスを有する一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを備え、駆動パルスの供給により圧力発生素子を作動させてノズル開口からインク滴を吐出させるようにしたインクジェット式記録装置において、
前記駆動信号発生手段は、メインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットのインク滴を吐出させるマイクロドット駆動パルスを生成し、
該マイクロドット駆動パルスを、圧力室内の減圧によってメニスカスの中心部分を局所的に引き込む引き込み要素と、該引き込み要素によって引き込まれたメニスカスの中心部分が表面張力に起因する復元力により移動方向を吐出方向に反転した後の慣性力によって吐出方向に柱状に伸長しているタイミングで圧力室内を加圧する押出し要素とを含む構成とすることにより、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴のインク量よりも多い量のサテライトインク滴が含まれるようにしたことを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0013】
請求項4に記載の発明は、ノズル開口に連通した圧力室及びこの圧力室内のイ ンクを加減圧する圧力発生素子を有する記録ヘッドと、駆動パルスを有する一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを備え、駆動パルスの供給により圧力発生素子を作動させてノズル開口からインク滴を吐出させるようにしたインクジェット式記録装置において、
前記駆動信号発生手段は、メインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットインク滴を吐出させるマイクロドット駆動パルスを生成し、
該マイクロドット駆動パルスは、メインインク滴の分離タイミングで供給されて圧力室内を加圧する第1加圧要素と、サテライトインク滴の分離タイミングで供給されて圧力室内を加圧する第2加圧要素とを含み、
第2加圧要素による圧力室の加圧力を、第1加圧要素による圧力室の加圧力よりも強く設定することにより、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴のインク量よりも多い量のサテライトインク滴が含まれるように設定したことを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、ノズル開口に連通した圧力室及びこの圧力室内のインクを加減圧する圧力発生素子を有する記録ヘッドと、駆動パルスを有する一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを備え、駆動パルスの供給により圧力発生素子を作動させてノズル開口からインク滴を吐出させるようにしたインクジェット式記録装置において、
前記駆動信号発生手段は、メインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットインク滴を吐出させるマイクロドット駆動パルスを生成し、
該マイクロドット駆動パルスは、メインインク滴の分離タイミングで供給されて圧力室内を加圧する第1加圧要素と、サテライトインク滴の分離タイミングで供給されて圧力室内を加圧する第2加圧要素とを含み、
第2加圧要素による圧力室の加圧力を、第1加圧要素による圧力室の加圧力よりも強く設定することにより、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴よりも飛翔速度が高いサテライトインク滴が含まれるように設定したことを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0015】
請求項6に記載の発明は、前記第2加圧要素の電位勾配を、第1加圧要素の電位勾配よりも急峻にしたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のインクジェット式記録装置である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここで、図1は代表的なインクジェット式記録装置であるインクジェットプリンタ1の斜視図、図2はインクジェット式記録ヘッド2を示す断面図、図3はノズル開口3の断面図、図4はインクジェットプリンタ1の電気的構成を説明するブロック図である。
【0017】
このインクジェットプリンタ1(以下、プリンタ1と称する。)は、キャリッジ4がガイド部材5に移動可能に取り付けられており、キャリッジ4は駆動プーリ6と遊転プーリ7との間に掛け渡したタイミングベルト8に接続されている。駆動プーリ6はパルスモータ9の回転軸に接合されており、キャリッジ4はパルスモータ9の駆動によって記録紙10の幅方向(主走査方向)に移動する。
【0018】
キャリッジ4の記録紙10と対向する面(下面)には、インクジェット式記録ヘッド2(以下、記録ヘッド2という)が取り付けられている。この記録ヘッド2は、インクカートリッジ11から供給されたインクを、ノズル開口3(図3参照)からインク滴として吐出させる。従って、記録時においてプリンタ1は、キャリッジ4の主走査方向への移動に同期させて記録ヘッド2からインク滴を吐出させ、キャリッジ4の往復移動に連動させて紙送りローラ12を回転し、記録紙10を紙送り方向に移動させる。その結果、記録紙10には、印刷データに基づく画像や文字等が記録される。
【0019】
記録ヘッド2は、図2に示すように、ケース14と流路ユニット15と振動子ユニット16とを備え、ケース14の先端面に流路ユニット15を接合し、ケース14内に振動子ユニット16を収容固定することで構成される。
【0020】
ケース14は、振動子ユニット16を収容固定するための収容空部17が内部に形成された箱体状であり、例えば樹脂によって成型される。そして、この収容空部17は、流路ユニット15との接合面側の開口から反対面まで一連に形成されている。
【0021】
流路ユニット15は、流路形成基板18の一方の面にノズルプレート19を、流路形成基板18の他方の面に振動板20をそれぞれ接合した構成とされる。流路形成基板18は、共通インク室21、インク供給口22、及び圧力室23からなるインク流路が形成された板状部材である。圧力室23は、ノズル開口3…の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室として形成され、インク供給口22は、圧力室23と共通インク室21との間を連通する流路幅の狭い狭窄部として形成されている。また、共通インク室21は、インクカートリッジ11に貯留されたインクを各圧力室23…に供給するための室である。
【0022】
ノズルプレート19には、ドット形成密度に対応したピッチで複数(例えば96個)のノズル開口3…が列状に開設されている。ノズル開口3は、図3に示すように、ノズルプレート19を板厚方向に貫通する略漏斗状の空部である。即ち、ノズル開口3は、ノズルプレート19の板厚の途中に位置する小径部から圧力室23側に拡径した円錐台状のテーパー空部(拡径空部)24と、該テーパー空部24の小径部に連続して設けられた円筒状のストレート空部(同径空部)25とからなる一連の空部である。そして、テーパー空部24は圧力室23側である内側に設けられ、ストレート空部25はインク吐出側である外側に設けられている。
【0023】
振動板20は、ステンレス製の支持板26上にPPS(ポリフェニレンサルファイド)膜等の樹脂製の弾性体膜27を積層した二重構造を採り、各圧力室23に対応する部分はステンレス板の部分が環状にエッチング加工されて、環内にアイランド部28が形成されている。そして、このアイランド部28とアイランド部周辺の弾性体膜27とがダイヤフラム部を構成する。このダイヤフラム部は、振動子ユニット16の圧電振動子31の作動によって変形し、圧力室23の容積を可変する。
【0024】
振動子ユニット16は、複数の圧電振動子31…を列設した圧電振動子群と、この圧電振動子31を支持する固定板32などから構成されている。圧電振動子群は、圧電体33と電極34とを交互に積層した振動子基板を櫛歯状に加工することで作製される。また、固定板32は、この櫛歯状振動子の基端部分に接着等によって接合される。この振動子ユニット16は、圧電振動子31の先端が開口から臨む姿勢で収容空部17内に挿入されて、固定板32を収容空部17の内壁へ接着することにより収容固定される。この収容状態において、圧電振動子31の各先端面は、振動板20の対応するアイランド部28に当接固定される。従って、圧電振動子31が伸長すると、ダイヤフラム部が圧力室23側に押されて圧力室23が収縮する。一方、圧電振動子31が収縮するとダイヤフラム部が圧力室23とは反対側に引っ張られて圧力室23が膨張する。
【0025】
圧電振動子31は、本発明の圧力発生素子の一種であり、電気機械変換素子の一種でもある。例示した圧電振動子31は、電極34,34同士の間に電位差を与えることにより、積層方向と直交する素子長手方向に伸縮する縦振動モードの圧電振動子31である。即ち、上記の電極34は、基準電位に設定された共通電極34aと、後述する駆動信号の電位に設定される駆動電極34bとからなり、共通電極34aと駆動電極34bとの電位差に応じて両電極34a,34bに挟まれた圧電体33が変形し、圧電振動子31が伸縮する。上記の基準電位は、任意の電位に設定できるが、本実施形態ではGND電位に設定されている。このため、圧電振動子31は、駆動電位がGND電位に近いほど伸長し、駆動電位がGND電位よりも高くなるほど収縮する。従って、圧力室23の容積は、駆動電位がGND電位に近いほど収縮し、駆動電位がGND電位よりも高くなるほど膨張する。
【0026】
このように、例示した記録ヘッド2では、圧電振動子31の伸縮を制御することによって圧力室23の容積を可変できる。つまり、圧力室23内のインク圧力を変動させることができる。例えば、圧力室23を膨張させることでインク圧力を低くすることができ、反対に、圧力室23を収縮させることでインク圧力を高めることができる。また、駆動電位を急激に変化させることでインク圧力を大きく変化させることができ、駆動電位を緩やかに変化させることでインク圧力の変動を抑えつつ圧力室23の容積を変化させることもできる。そして、圧力室23内のインクの圧力変動を制御することによって、ノズル開口3からインク滴を吐出させることができる。
【0027】
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。図4に示すように、このプリンタ1は、プリンタコントローラ37と、プリントエンジン38とを備えている。
【0028】
プリンタコントローラ37は、図示しないホストコンピュータ等からの印刷データ等を受信するインターフェース39(以下、外部I/F39という)と、各種データの記憶等を行うRAM40と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM41と、CPU等からなる制御部42と、クロック信号(CK)を発生する発振回路43と、記録ヘッド2へ供給する駆動信号(COM)を発生する駆動信号発生回路44と、ドットパターンデータに展開された印字データ(SI)及び駆動信号等をプリントエンジン38に送信するためのインターフェース45(以下、内部I/F45という)とを備えている。
【0029】
外部I/F39は、例えばキャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータのいずれか1つのデータ又は複数のデータからなる印刷データをホストコンピュータ等から受信する。また、外部I/F39は、ホストコンピュータに対してビジー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)等を出力する。
【0030】
RAM40は、受信バッファ、中間バッファ、出力バッファ及びワークメモリ(図示せず)等として利用されるものである。受信バッファには、外部I/F39が受信したホストコンピュータからの印刷データが一時的に記憶される。中間バッファには、制御部42によって中間コードに変換された中間コードデータが記憶される。出力バッファには、ドット毎の印字データ(ドットパターンデータ)が展開される。ROM41は、制御部42によって実行される各種制御ルーチン、フォントデータ及びグラフィック関数、各種手続き等を記憶している。
【0031】
制御部42は、受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードに変換し、この中間コードデータを中間バッファに記憶する。また、制御部42は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM41内のフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して中間コードデータを上記の印字データに展開する。この印字データは、例えば2ビットの階調情報で構成される。この展開された印字データは出力バッファに記憶されて、記録ヘッド2の1行分に相当する印字データが得られると、この1行分の印字データ(SI)は、内部I/F45を介して記録ヘッド2にシリアル伝送される。出力バッファから1行分の印字データが送信されると、中間バッファの内容が消去されて、次の中間コードに対する変換が行われる。また、制御部42は、内部I/F45を通じて記録ヘッド2にラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)を供給する。これらのラッチ信号やチャンネル信号は、後述する駆動信号を構成する各パルス信号の供給開始タイミングを規定する。
【0032】
駆動信号発生回路44は、本発明における駆動信号発生手段の一種であり、複数の波形要素によって構成された駆動パルスを含んだ一連の駆動信号を発生する。この駆動信号発生回路44は、CPUを搭載する等によって所望形状の波形信号を発生する構成でもよく、アナログ回路によって所望形状の波形信号を発生する構成でもよい。なお、この駆動信号については、後で詳しく説明する。
【0033】
プリントエンジン38は、記録ヘッド2の電気駆動系と、キャリッジ4を移動させるパルスモータ9と、紙送りローラ12を回転させる紙送りモータ46等から構成される。
【0034】
記録ヘッド2の電気駆動系は、第1シフトレジスタ50及び第2シフトレジスタ51からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路52と第2ラッチ回路53とからなるラッチ回路と、デコーダ54と、制御ロジック55と、レベルシフタ56と、スイッチ回路57と、圧電振動子31とを備えている。そして、各シフトレジスタ50,51、各ラッチ回路52,53、デコーダ54、スイッチ回路57、及び、圧電振動子31は、それぞれ記録ヘッド2の各ノズル開口3…に対応して複数設けられる。そして、記録ヘッド2は、プリンタコントローラ37からの印字データ(階調情報)に基づいてインク滴を吐出する。
【0035】
即ち、プリンタコントローラ37からの印字データ(SI)は、発振回路43からのクロック信号(CK)に同期して、内部I/F45から第1シフトレジスタ50及び第2シフトレジスタ51にシリアル伝送される。プリンタコントローラ37からの印字データは、上記したように2ビットのデータであり、非記録、マイクロドット、ミドルドット、ラージドットからなる4階調を表す。なお、本実施形態では、非記録が階調情報(00)であり、マイクロドットが階調情報(01)であり、ミドルドットが階調情報(10)であり、ラージドットが階調情報(11)である。
【0036】
この印字データは、各ドット毎、即ち、各ノズル開口3毎に設定される。そして、全てのノズル開口3…に関する下位ビット(ビット0)のデータが第1シフトレジスタ50に入力され、全てのノズル開口3…に関する上位ビット(ビット1)のデータが第2シフトレジスタ51に入力される。第1シフトレジスタ50には第1ラッチ回路52が電気的に接続され、第2シフトレジスタ51には第2ラッチ回路53が電気的に接続されている。そして、プリンタコントローラ37からのラッチ信号(LAT)が各ラッチ回路52,53に入力されると、第1ラッチ回路52は印字データの下位ビットのデータをラッチし、第2ラッチ回路53は印字データの上位ビットをラッチする。
【0037】
各ラッチ回路52,53でラッチされた印字データは、デコーダ54に入力される。このデコーダ54は、2ビットの印字データ(階調情報)を翻訳してパルス選択データを生成する。このパルス選択データは複数ビットで構成されており、各ビットは駆動信号(COM)を構成する各パルス信号に対応している。そして、各ビットの内容〔例えば、(0),(1)〕に応じて圧電振動子31に対するパルス信号の供給或いは非供給が選択される。
【0038】
また、デコーダ54には、制御ロジック55からのタイミング信号も入力されている。そして、制御ロジック55は、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)を受信する毎にタイミング信号を発生する。デコーダ54によって翻訳されたパルス選択データは、上位ビット側から順に、タイミング信号によって規定されるタイミングが到来する毎にレベルシフタ56に入力される。
【0039】
レベルシフタ56は電圧増幅器として機能し、パルス選択データが「1」の場合には、スイッチ回路57を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。そして、レベルシフタ56で昇圧された「1」のパルス選択データはスイッチ回路57に供給される。
【0040】
このスイッチ回路57は、印字データの翻訳により生成されたパルス選択データに基づき、駆動信号に含まれる駆動パルスを選択的に圧電振動子31に供給する。即ち、このスイッチ回路57の入力側には駆動信号発生回路44からの駆動信号が供給されており、出力側には圧電振動子31が接続されている。そして、スイッチ回路57に加わるパルス選択データが「1」である期間中は、スイッチ回路57が接続状態になって駆動信号が圧電振動子31に供給され、この駆動信号に応じて圧電振動子31の電位レベル(つまり、駆動電極34bの電位レベル)が変化する。一方、スイッチ回路57に加わるパルス選択データが「0」の期間中は、レベルシフタ56からはスイッチ回路57を作動させる電気信号が出力されない。このため、スイッチ回路57が切断状態になって圧電振動子31へは駆動信号が供給されない。なお、このパルス選択データが「0」の期間において圧電振動子31の電位レベルは、パルス選択データが「0」に切り換わる直前の電位レベルを維持する。
【0041】
次に、上記の駆動信号発生回路44が発生する駆動信号COM、及び、駆動信号COMを構成する各駆動パルスの供給について説明する。
【0042】
駆動信号発生回路44が発生する駆動信号COMは、インク量の異なる複数種類の駆動パルスを一連に接続した信号である。例えば、図5に示すように、駆動信号COMは、メニスカスを微振動させる微振動パルスDP1と、この微振動パルスDP1の後に発生され、マイクロドットのインク滴をノズル開口3から吐出させるマイクロドット駆動パルスDP2と、ミドルドットのインク滴をノズル開口3から吐出させるミドルドット駆動パルスDP3とを含んでいる。そして、駆動信号発生回路44は、これらの駆動パルスDP1,DP2,DP3を印刷周期T毎に繰り返し発生する。
【0043】
この駆動信号COMでは、インク滴を吐出させない場合に微振動パルスDP1のみを選択して圧電振動子31に供給し、マイクロドットを記録する場合にマイクロドット駆動パルスDP2のみを圧電振動子31に供給する。また、ミドルドットを記録する場合にミドルドット駆動パルスDP3のみを圧電振動子31に供給し、ラージドットを記録する場合にマイクロドット駆動パルスDP2とミドルドット駆動パルスDP3とを圧電振動子31に供給する。
【0044】
即ち、デコーダ54は、非記録の階調情報(00)を翻訳することでパルス選択データ(100)を生成し、マイクロドットの階調情報(01)を翻訳することでパルス選択データ(010)を生成する。また、ミドルドットの階調情報(10)を翻訳することでパルス選択データ(001)を生成し、ラージドットの階調情報(11)を翻訳することでパルス選択データ(011)を生成する。そして、デコーダ54は、各駆動パルスDP1〜DP3の供給開始タイミングに同期させてパルス選択データの各ビットをレベルシフタ56に入力する。
【0045】
次に、図6を参照してマイクロドット駆動パルスDP2について詳しく説明する。このマイクロドット駆動パルスDP2で記録ヘッド2を駆動すると、図7に示すように、メニスカスMの中心部分M1が柱状に盛り上がり、このインク柱の先端部分からメインインク滴が分離して飛翔し、その後、インク柱の残りの部分からサテライトインク滴が分離して後を追うようにして飛翔する。つまり、サテライトインク滴は、メインインク滴に付随して飛翔する。そして、このマイクロドット駆動パルスDP2の波形形状は、サテライトインク滴のインク量がメインインク滴のインク量よりも多くなるように設定されている。
【0046】
即ち、このマイクロドット駆動パルスDP2は、第1引き込み要素として機能する第1充電要素P1と、第2引き込み要素として機能する第2充電要素P2と、引き込みホールド要素として機能する第1ホールド要素P3と、押し出し要素として機能する第1放電要素P4と、押し出しホールド要素として機能する第2ホールド要素P5と、加圧要素として機能する第2放電要素P6とを順に接続した一連の信号として構成されている。
【0047】
第1充電要素P1は、最低電位VLから比較的緩やかな上昇勾配θ1で中間電位VMまで電位を上昇させる要素である。この第1充電要素P1が圧電振動子31に供給されると、圧力室23の容積は最低電位VLで規定される最小容積から中間電位VMで規定される中間容積まで比較的ゆっくりと膨張し、圧力室23内のインク圧力が緩やかに減圧される。
【0048】
この緩やかな減圧に伴ってメニスカスは、図7(a)に示す定常状態から図7(b)に示す第1減圧状態になる。ここで、定常状態とは、圧力室23内の圧力変動が極く少ない状態であって、メニスカスMがノズル面(ノズルプレート19における外側表面)の近傍に位置している状態である。この定常状態において、メニスカスMは、緩やかな曲率で圧力室23側に少し窪んでいる。また、第1減圧状態とは、メニスカスMをノズル開口3の途中まで圧力室23側に引き込んだ状態である。なお、この実施形態では、メニスカスMをテーパー空部24の途中まで引き込んでいる。
【0049】
そして、第1充電要素P1の勾配θ1、つまり、第1充電要素P1の供給に伴う圧力室23の膨張速度は、定常状態におけるメニスカスMの湾曲形状を保持可能な程度の勾配(膨張速度)に設定している。これは、定常状態から第1減圧状態に遷移する過程において、湾曲形状を保ったままメニスカスMを引き込むためである。このように、テーパー空部24の途中までメニスカスMを引き込むと、ノズル開口3の内径が拡大され、ノズル開口3内を満たしているインクの量も少なくなる。その結果、ノズル開口3側のイナータンスを下げることができる。このため、圧力室23内のインクの圧力変動に対するメニスカスMの応答性を高めることができる。
【0050】
第2充電要素P2は、上昇勾配θ2で中間電位VMから最大電位VHまで電位を上昇させる要素である。この第2充電要素P2が圧電振動子31に供給されると、圧力室23の容積は中間電位VMで規定される中間容積から最大電位VHで規定される最大容積まで急激に膨張し、圧力室23内のインク圧力も急激に減圧される。
【0051】
この急激な減圧に伴ってメニスカスMは、図7(b)に示す第1減圧状態から、図7(c)に示す第2減圧状態になる。ここで、第2減圧状態とは、第1減圧工程で圧力室23側に引き込んだメニスカスMをさらに引き込んだ状態である。
【0052】
ここで、第2充電要素P2の勾配θ2、つまり、第2充電要素P2の供給に伴う圧力室23の膨張速度は、第1充電要素P1の勾配(速度)よりも急峻に設定する。好ましくは、制御し得る最大勾配(速度)に設定する。これは、メニスカスMの中心部分M1を局所的に圧力室23側に引き込むためである。
【0053】
即ち、この第2充電要素P2が圧電振動子31に供給されると、圧力室23内のインク圧力は急激に低下する。このとき、第1減圧工程によって圧力室23内の圧力変動に対するメニスカスMの応答性が高められているので、図7(c)に示すように、メニスカスMの中心部分M1が局所的に引き込まれた状態となる。つまり、メニスカスMの中心部分M1には、周縁部分よりも湾曲率が大きい局所凹部が生成される。
【0054】
第1ホールド要素P3は、直前の電位、つまり、第2充電要素の終端電位である最大電位VHを所定時間に亘って維持する要素である。この第1ホールド要素P3が圧電振動子31に供給されると圧電振動子31の収縮が停止され、圧力室23の膨張も止まる。つまり、圧力室23は最大容積が維持される。この第1ホールド要素P3の供給期間中において、第2減圧工程で圧力室23側に大きく引き込まれた局所凹部は、反動、つまり表面張力に起因する復元力によって移動方向をインク滴の吐出方向に反転させる。その後、図7(d)に示すように、メニスカスMの中心部分M1は、慣性力によって吐出方向に盛り上がった凸の状態になる。
【0055】
従って、この第1ホールド要素P3は、第2減圧工程で局所的に引き込まれたメニスカスMの中心部分M1を反動によって吐出方向に移動させるための待機時間を定めている。そして、この待機時間に亘ってメニスカスMの中心部分M1が自由振動する。
【0056】
第1放電要素P4は、急峻な下降勾配θ3で最大電位VHから中間電位VMまで電位を下降させて圧力室23を収縮させる要素である。この第1放電要素P4が圧電振動子31に供給されると、圧電振動子31は少し伸長し、圧力室23は最大容積から中間容積まで急激に収縮する。これにより、圧力室23内のインク圧力が上昇し、インク柱が加圧される。即ち、図7(e)に示すように、慣性力によって柱状に伸長したメニスカスMの中心部分M1を、圧力室23の収縮による加圧力でインク吐出方向に押し出している。このように、メニスカスMの中心部分M1が反動によって吐出方向に移動している最中に圧力室23内を加圧しているので、反動に圧力室23からのインク圧力が加わり、インク柱を強く押し出すことができる。
【0057】
そして、この第1放電要素P4の供給開始タイミングは、上記の第1ホールド要素P3の供給時間によって規定される。このため、第1ホールド要素P3の供給時間の設定の仕方次第で、インク柱の押し出しタイミングの最適化が図れる。
【0058】
なお、この第1放電要素P4の終端電位である中間電位VMに関し、本実施形態では第2充電要素P2の始端電位と同電位に設定しているが、これに限定されるものではない。第2充電要素P2の始端電位や第1放電要素P4の終端電位は、個々に設定することができる。
【0059】
第2ホールド要素P5は、第1放電要素P4の終端電位である中間電位VMを維持する要素である。この第2ホールド要素P5が圧電振動子31に供給されると、第1放電要素P4による圧電振動子31の伸長が止まり、圧力室23は中間容積を維持する。また、第2放電要素P6は、中間電位VMから最低電位VLまで一定の下降勾配θ4で電位を変化させる要素である。この第2放電要素P6が圧電振動子31に供給されると、圧電振動子31が伸長して圧力室23は中間容積から最小容積まで収縮する。これによって圧力室23が加圧される。
【0060】
これらの第2ホールド要素P5及び第2放電要素P6を供給している最中において、上記のインク柱は圧力室からのインク圧力や慣性力等によってインク滴の吐出方向に伸長している。このインク柱の伸長により、まず、インク柱の先端部分がちぎれてメインインク滴として飛翔する。続いて、残ったインク柱における先端側の部分が柱の途中からちぎれ、このちぎれた部分がサテライトインク滴として飛翔する。これにより、図7(f)に示すように、メインインク滴とサテライトインク滴とが連続して飛翔する。
なお、サテライトインク滴がちぎれた後は、ちぎれた反動によって、メニスカスMの中心部分M1が圧力室側に大きく凹もうとするが、第2放電要素P6の供給によって圧力室23内が加圧されるので、中心部分M1の過剰な凹みを防止することができる。これにより、インク滴吐出後におけるメニスカスMの振動を速やかに収束させることができる。
【0061】
そして、本実施形態におけるマイクロドット駆動パルスDP2では、第2充電要素P2の供給により圧力室23内を減圧してメニスカスMの中心部分M1を局所的に引き込み、この局所的に引き込まれたメニスカスMの中心部分M1が反動によって吐出方向に移動している最中に第1放電要素P4を供給して圧力室23内を加圧し、インク柱を押し出しているため、サテライトインク滴のインク量を、メインインク滴のインク量よりも増やすことができる。ここで、インク滴吐出直後におけるメインインク滴の飛翔速度(初速)とサテライトインク滴の飛翔速度(初速)とを比較すると、従来例のマイクロドット駆動パルスと同様に、メインインク滴の方がサテライトインク滴よりも速い。要するに、初速の速いメインインク滴のインク量が少なく、初速の遅いサテライトインク滴のインク量が多くなる。その結果、メインインク滴とサテライトインク滴の着弾位置を揃えることができる。
【0062】
即ち、メインインク滴は、初速は速いけれどもインク量が極めて少ないため、空気の粘性抵抗の影響をサテライトインク滴よりも大きく受けてしまい、飛翔距離に対する速度の低下率が大きい。一方、サテライトインク滴は、初速は遅いけれどもインク量が比較的多いため、空気の粘性抵抗の影響をメインインク滴よりも受け難く、飛翔距離に対する速度の低下率がメインインク滴よりも小さい。従って、記録紙10への着弾時点におけるメインインク滴とサテライトインク滴の速度差を小さくすることができ、メインインク滴の着弾位置とサテライトインク滴の着弾位置とを、従来例よりも近付けることができる。
【0063】
このことを図8に示す具体例に基づいて詳しく説明する。ここで、図8は、ノズルプレート19からのインク滴の飛翔距離とインク滴の飛翔速度との関係を説明する図である。この図において、実線は本実施形態のマイクロドット駆動パルスDP2によるメインインク滴の距離と速度の関係を示し、点線は本実施形態のマイクロドット駆動パルスDP2によるサテライトインク滴の距離と速度の関係を示す。また、一点鎖線は従来例のマイクロドット駆動パルスによるメインインク滴の距離と速度の関係を示し、二点鎖線は従来例のマイクロドット駆動パルスによるサテライトインク滴の距離と速度の関係を示す。なお、本実施形態におけるメインインク滴のインク量は0.5pLであり、サテライトインク滴のインク量は1pLである。一方、従来例におけるメインインク滴のインク量は1pLであり、サテライトインク滴のインク量は0.5pLである。
【0064】
まず、本実施形態のメインインク滴(実線)と従来例のメインインク滴(一点鎖線)とを比較する。従来例のメインインク滴では、初速(距離0mmでの速度)が約7m/sである。そして、飛翔距離が長くなるほど速度が低下するが、インク量が1pLであることから距離に対する速度の低下率は比較的低く、距離1mmでの速度が約5m/s、距離2mmでの速度が約3m/s、距離3mmでの速度が約1m/sである。一方、本実施形態のメインインク滴も初速は約7m/sであるが、インク量が0.5pLと極く少ないことから距離に対する速度の低下率は比較的大きい。即ち、距離1mmでの速度は約3.8m/s、距離2mmでの速度は約0.7m/sとなり、距離2.25mmでは速度が0m/sになっている。
【0065】
次に、本実施形態のサテライトインク滴(点線)と従来例のサテライトインク滴(二点鎖線)とを比較する。従来例のサテライトインク滴では、初速が約4m/sである。また、インク量が0.5pLと極く少ないので、距離に対する速度の低下率が比較的大きい。即ち、距離1mmで速度が約0.7m/sとなり、距離1.25mmでは速度が約0m/sになっている。一方、本実施形態のサテライトインク滴も初速は約4m/sであるが、インク量が1pLと従来例よりも多いことから距離に対する速度の低下率は従来例よりも小さい。即ち、距離1mmでの速度は約2m/sであり、距離2mmで速度が0m/sになっている。
【0066】
ここで、ノズルプレート19から記録紙10までの距離が1mmであったとすると、従来例では着弾時点でのメインインク滴の速度が約5m/sであるのに対し、サテライトインク滴の速度が約0.7m/sである。このように両インク滴の速度差が大きいため、メインインク滴が着弾してからサテライトインク滴が着弾するまでに比較的長い時間がかかる。そして、記録ヘッド2の移動中にインク滴を吐出させている関係から、両インク滴における着弾位置のずれが大きくなってしまう。一方、本実施形態では着弾時点でのメインインク滴の速度が約3.8m/s、サテライトインク滴の速度が約2m/sであり、速度差は従来例よりも少ない。このため、メインインク滴とサテライトインク滴とが続けて着弾し、着弾位置のずれを小さくすることができる。
【0067】
また、ノズルプレート19から記録紙10までの距離が1.5mmであったとすると、従来例では記録紙10に着弾する前にサテライトインク滴の速度が0m/sになってしまっているので、インク滴がミスト化して空中を浮遊してしまう虞がある。一方、本実施形態では、着弾時点でのメインインク滴の速度が約3.3m/s、サテライトインク滴の速度が約1m/sであるので、記録紙10に確実に着弾させることができ、ミスト化を防止することができる。
【0068】
以上のように、本実施形態のマイクロドット駆動パルスDP2では、サテライトインク滴のインク量がメインインク滴のインク量よりも多くなるように各要素の電位差や供給時間(つまり波形形状)が設定されているので、極く少量のマイクロドットインク滴を吐出させた場合でもメインインク滴とサテライトインク滴の着弾位置を揃えることができ、画質の向上が図れる。また、インク滴のミスト化を防止することもでき、装置の信頼性を向上させることができる。
【0069】
ところで、上記の第1実施形態は、サテライトインク滴のインク量をメインインク滴のインク量よりも多くすることにより、メインインク滴とサテライトインク滴の着弾位置を揃えたり、ミスト化を防止するものであったが、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、サテライトインク滴の飛翔速度を、がメインインク滴の飛翔速度よりも高く設定するようにしてもよい。以下、このように構成した第2実施形態について説明する。
【0070】
この第2実施形態における第1実施形態との相違は、マイクロドット駆動パルスの波形形状である。他の構成は第1実施形態と同じであるため、その説明は省略する。
【0071】
本実施形態のマイクロドット駆動パルスは、図9に示す波形形状を有している。このマイクロドット駆動パルスDP2´で記録ヘッド2を駆動すると、インク柱の先端部分からメインインク滴が分離して飛翔した後、インク柱の残りの部分からサテライトインク滴が分離して飛翔する。そして、このマイクロドット駆動パルスDP2´では、サテライトインク滴がインク柱からちぎれるタイミングで圧力室23の加圧力を高めることで、サテライトインク滴の飛翔速度をメインインク滴の飛翔速度よりも高くしている。
【0072】
即ち、このマイクロドット駆動パルスDP2´は、引き込み要素として機能する充電要素P11と、引き込みホールド要素として機能する第1ホールド要素P12と、押し出し要素として機能する第1放電要素P13と、押し出しホールド要素として機能する第2ホールド要素P14と、第1加圧要素として機能する第2放電要素P15と、第2加圧要素として機能する第3放電要素P16とを順に接続した一連の信号として構成されている。
【0073】
第1充電要素P11は、上昇勾配θ11で最低電位(基準電位)VLから最大電位VHまで電位を上昇させる。この第1充電要素P11が圧電振動子31に供給されると、圧力室23は最低電位VLで規定される最小容積から最大電位VHで規定される最大容積まで急速に膨張する。この膨張に伴って圧力室23内が急激に減圧され、メニスカスは定常状態から圧力室23側に引き込まれる。このとき、急激な減圧によってメニスカスの中心部分は周縁部分に比べて大きく引き込まれる。
【0074】
第1ホールド要素P12は、直前の電位である最大電位VHを所定時間に亘って維持する要素である。この第1ホールド要素P12が圧電振動子31に供給されている期間に亘って圧力室23は最大容積を維持する。このため、第1ホールド要素P12の供給期間中においては、反動によってメニスカスの中心部分がインク滴吐出方向に移動し、この中心部分が周縁部分よりも盛り上がった状態になる。
【0075】
第1放電要素P13は、急峻な下降勾配θ12で最大電位VHから第1放電電位VM1まで電位を下降させる。この第1放電要素P13が圧電振動子31に供給されると、圧力室23は最大電位VHで規定される容積から第1放電電位VM1で規定される容積まで収縮する。この収縮に伴って、圧力室23内が加圧され、インク滴吐出方向に盛り上がったメニスカスの中心部分がさらに加圧される。これにより、メニスカスの中心部分は柱状に伸長する。
【0076】
第2ホールド要素P14は、第1放電要素P13の終端電位である第1放電電位VM1を所定時間に亘って維持する要素である。この第2ホールド要素P14が圧電振動子31に供給されると、第1放電要素P13による圧力室23の収縮動作が停止される。このとき、慣性力によってメニスカスの中央部分は、インク吐出方向に向けて細長い柱状に伸長する。
【0077】
第2放電要素P15は、下降勾配θ13で第1放電電位VM1から第2放電電位VM2まで電位を下降させる。この第2放電要素P15が圧電振動子31に供給されると、圧力室23は、第1放電電位VM1で規定される第1中間容積から第2放電電位VM2で規定される第2中間容積まで収縮する。これに伴い、圧力室23内のインクも加圧される。そして、この第2放電要素P15の供給タイミングは、インク柱からメインインク滴が分離するタイミングに合わせられている。このため、第2放電要素P15の供給に伴って、インク柱の先端部分がちぎれ、このちぎれた部分がメインインク滴として飛翔する。
【0078】
第3放電要素P16は、下降勾配θ14で第2放電電位VM2から最低電位VLまで電位を下降させることで圧力室23を急速に収縮させる。この第3放電要素P16の下降勾配θ14は、第2放電要素P15の下降勾配θ13よりも急峻に設定されている。このため、第3放電要素P16が圧電振動子31に供給されると、圧力室23は、第2放電要素P15の供給時よりも高い度合いで収縮する。そして、この第3放電要素P16の供給タイミングは、インク柱からサテライトインク滴が分離するタイミングに合わせられている。従って、サテライトインク滴が分離するタイミングでの圧力室23の加圧力は、メインインク滴が分離するタイミングでの圧力室23の加圧力よりも強い。その結果、サテライトインク滴の飛翔速度を、メインインク滴の飛翔速度よりも高めることができる。
【0079】
これにより、メインインク滴とサテライトインク滴との着弾位置を揃えることができる。即ち、後に吐出されるサテライトインク滴の方が、先に吐出されるメインインク滴よりも速いので、記録紙上におけるメインインク滴の着弾位置とサテライトインク滴の着弾位置とを、従来例よりも近付けることができる。
【0080】
このことを図10に示す具体例に基づいて詳しく説明する。ここで、図10は、図8と同様に、ノズルプレート19からのインク滴の飛翔距離と、インク滴の飛翔速度との関係を説明する図である。この図において、実線は本実施形態のマイクロドット駆動パルスDP2´によるメインインク滴の距離と速度の関係を示し、点線は本実施形態のマイクロドット駆動パルスDP2´によるサテライトインク滴の距離と速度の関係を示す。また、一点鎖線は従来例のマイクロドット駆動パルスによるメインインク滴の距離と速度の関係を示し、二点鎖線は従来例のマイクロドット駆動パルスによるサテライトインク滴の距離と速度の関係を示す。なお、本実施形態及び従来例の何れも、メインインク滴のインク量は1pLであり、サテライトインク滴のインク量は0.5pLである。
【0081】
まず、本実施形態のメインインク滴(実線)と従来例のメインインク滴(一点鎖線)とを比較する。従来例のメインインク滴では、初速が約7m/sである。そして、飛翔距離が長くなるほど速度が低下し、距離1mmでの速度が約5m/s、距離2mmでの速度が約3m/s、距離3mmでの速度が約1m/sである。一方、本実施形態のメインインク滴は、初速が約5m/sである。そして、飛翔距離が長くなるほど速度が低下し、距離1mmでの速度が約3m/s、距離2mmでの速度が約1m/sとなり、距離2.5mmでは速度が0m/sになっている。
【0082】
次に、本実施形態のサテライトインク滴(点線)と従来例のサテライトインク滴(二点鎖線)とを比較する。従来例のサテライトインク滴では、初速が約4m/sと従来例のメインインク滴よりも低く、また、インク量が0.5pLと極く少ないことから距離に対する速度の低下率も比較的大きい。このため、距離1mmで速度が約0.7m/sまで低下し、距離1.5mmでは速度が約0m/sになっている。一方、本実施形態のサテライトインク滴の初速は約7m/sであり、本実施形態のメインインク滴よりも十分に速い。このため、インク量が0.5pLと極く少なくても比較的遠くまで飛翔できる。即ち、距離1mmでの速度は約3.8m/s、距離1mmで速度が約0.7m/sであり、距離2.2mmでは速度が0m/sになっている。
【0083】
ここで、ノズルプレート19から記録紙10までの距離が1mmであったとすると、従来例では着弾時点でのメインインク滴の速度が約5m/sであるのに対し、サテライトインク滴の速度が約0.7m/sであるため、メインインク滴が着弾してからサテライトインク滴が着弾するまでに比較的長い時間がかかり、着弾位置のずれが大きくなってしまう。一方、本実施形態では着弾時点でのメインインク滴の速度が約3m/s、サテライトインク滴の速度が約3.8m/sであり、サテライトインク滴の方が速い。このため、メインインク滴とサテライトインク滴とが続けて着弾し、着弾位置のずれを小さくすることができる。
【0084】
また、ノズルプレート19から記録紙10までの距離が1.5mmであったとすると、従来例ではサテライトインク滴がミスト化して空中を浮遊してしまう虞がある。一方、本実施形態では、着弾時点でのメインインク滴の速度が約2m/s、サテライトインク滴の速度が約2.2m/sであるので、インク滴を記録紙10へ確実に着弾させることができる。
【0085】
以上のように、本実施形態のマイクロドット駆動パルスDP2´では、サテライトインク滴の飛翔速度がメインインク滴の飛翔速度よりも高くなるように各要素の電位差や供給時間(つまり波形形状)が設定されているので、マイクロドットインクを吐出させた場合でもメインインク滴とサテライトインク滴の着弾位置を揃えることができ、画質の向上が図れる。
【0086】
なお、上記の実施形態に関し、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の追加、変更等が可能である。例えば、上記した各実施形態では、サテライトインク滴のインク量をメインインク滴のインク量よりも多くする制御(第1実施形態)と、サテライトインク滴の飛翔速度をメインインク滴の飛翔速度よりも高くする制御(第2実施形態)とを例示したが、両方の制御を組み合わせることも可能である。つまり、マイクロドット駆動パルスの波形形状を変更することで、サテライトインク滴のインク量をメインインク滴のインク量よりも多くしつつ、サテライトインク滴の飛翔速度をメインインク滴の飛翔速度よりも高くするように制御してもよい。
【0087】
この制御は、例えば、マイクロドット駆動パルスDP2´における第2放電要素P15と第3放電要素P16の電位差、供給時間、電位勾配等を適宜に設定することにより実現可能である。また、第1充電要素P1、第2充電要素P2、第1ホールド要素P3、第1放電要素P4、第2ホールド要素P14、第2放電要素P15、第3放電要素P16によって構成されたマイクロドット駆動パルスを用いても実現可能である。
【0088】
また、上記の各実施形態では、1つのメインインク滴と1つのサテライトインク滴とからマイクロドットインク滴が構成されている場合について説明したが、吐出されるマイクロドットインク滴の中に複数のサテライトインク滴が含まれるような駆動方法であっても本発明を適用することができる。例えば、サテライトインク滴がさらに複数に分かれて孫サテライトインク滴が生成されるような場合であっても本発明を適用することができる。この場合、マイクロドットインク滴を構成する複数のサテライトインク滴の中の少なくとも1つのサテライトインク滴がメインインク滴よりもインク量が多ければ、上記実施形態と同様の効果が得られる。同様に、1つのサテライトインク滴がメインインク滴よりも飛翔速度が高ければ、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
また、上記の実施形態では、圧電振動子31として、充電により収縮して圧力室23を膨張させ、放電により伸長して圧力室23を収縮させる圧電振動子31を例示したがこのタイプの圧電振動子31に限定されない。例えば、充電により伸長して圧力室23を収縮させ、放電により収縮して圧力室23を膨張させるタイプの圧電振動子31を用いても同様に構成することができる。また、撓み変形によって圧力室23の容積を可変するタイプの圧電振動子31であってもよい。
【0090】
また、圧力室23の容積を変化させる圧力発生素子は圧電振動子31に限定されない。要するに圧力室23内のインクに圧力変動を生じさせ得る素子であれば本発明を適用することができる。例えば、電気機械変換素子の一種である磁歪素子を用いた記録ヘッドにも適用できる。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば以下の効果を奏する。
即ち、メニスカスの中心部分を局所的に引き込むように圧力室内を減圧し、この局所的に引き込まれたメニスカスの中心部分が表面張力に起因する復元力により移動方向を吐出方向に反転した後の慣性力によって吐出方向に柱状に伸長している最中に圧力室内を加圧するので、この慣性力に圧力室からのインク圧力が加わり、メニスカスの中心部分に局所的に形成されたインク柱を強く押し出すことができる。このことにより、サテライトインク滴のインク量をメインインク滴のインク量よりも多くできるので、サテライトインク滴は、空気の粘性抵抗の影響をメインインク滴よりも受け難くなり、飛翔距離に対する速度の低下率がメインインク滴よりも小さくなる。このため、記録紙の着弾位置におけるメインインク滴とサテライトインク滴の速度差を小さくすることができ、着弾位置のずれを小さくできる。その結果、マイクロドットインク滴を吐出させた場合でもメインインク滴とサテライトインク滴の着弾位置を揃えることができ、画質の向上が図れる。また、飛翔速度が低くなりがちなサテライトインク滴の方が多い量であるので、記録紙まで確実に飛翔させることができる。これにより、インク滴のミスト化も防止することができる。
【0092】
また、サテライトインク滴の飛翔速度をメインインク滴の飛翔速度よりも高くしたので、後に吐出されるサテライトインク滴の方が先に吐出されるメインインク滴よりも高速で飛翔し、記録紙上におけるメインインク滴の着弾位置とサテライトインク滴の着弾位置とを近付けることができる。その結果、マイクロドットインク滴を吐出させた場合でもメインインク滴とサテライトインク滴の着弾位置を揃えることができ、画質の向上が図れる。また、インク量が少なくなりがちなサテライトインク滴の方が高速であるので、記録紙まで確実に飛翔させることができる。これにより、インク滴のミスト化も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット式記録装置であるインクジェットプリンタの斜視図である。
【図2】インクジェット式記録ヘッドを示す断面図である。
【図3】ノズル開口の形状を説明する断面図である。
【図4】インクジェットプリンタの電気的構成を説明するブロック図である。
【図5】駆動信号を説明する図である。
【図6】第1実施形態におけるマイクロドット駆動パルスを説明する図である。
【図7】(a)〜(f)はそれぞれ、インク滴の吐出過程を説明する図である。
【図8】第1実施形態におけるノズルプレートからのインク滴の飛翔距離とインク滴の飛翔速度との関係を説明する図である。
【図9】第2実施形態におけるマイクロドット駆動パルスを説明する図である。
【図10】第2実施形態におけるノズルプレートからのインク滴の飛翔距離とインク滴の飛翔速度との関係を説明する図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
2 インクジェット式記録ヘッド
3 ノズル開口
4 キャリッジ
5 ガイド部材
6 駆動プーリ
7 遊転プーリ
8 タイミングベルト
9 パルスモータ
10 記録紙
11 インクカートリッジ
12 紙送りローラ
14 ケース
15 流路ユニット
16 振動子ユニット
17 収容空部
18 流路形成基板
19 ノズルプレート
20 振動板
21 共通インク室
22 インク供給口
23 圧力室
24 テーパー空部
25 ストレート空部
26 支持基板
27 弾性体膜
28 アイランド部
31 圧電振動子
32 固定板
33 圧電体
34 電極
37 プリンタコントローラ
38 プリントエンジン
39 外部インターフェース
40 RAM
41 ROM
42 制御部
43 発振回路
44 駆動信号発生回路
45 内部インターフェース
46 紙送りモータ
50 第1シフトレジスタ
51 第2シフトレジスタ
52 第1ラッチ回路
53 第2ラッチ回路
54 デコーダ
55 制御ロジック
56 レベルシフタ
57 スイッチ回路

Claims (6)

  1. ノズル開口に連通した圧力室内の圧力を変動させ、圧力室内における圧力変動によってノズル開口からメインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法であって、
    メニスカスの中心部分を局所的に引き込むように圧力室内を減圧し、この局所的に引き込まれたメニスカスの中心部分が表面張力に起因する復元力により移動方向を吐出方向に反転した後の慣性力によって吐出方向に柱状に伸長している最中に圧力室内を加圧することで、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴のインク量よりも多い量のサテライトインク滴が含まれるように圧力室内の圧力を変動させることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法。
  2. ノズル開口に連通した圧力室内の圧力を変動させ、圧力室内における圧力変動によってノズル開口からメインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法であって、
    サテライトインク滴の分離タイミングにおける圧力室の加圧力を、メインインク滴の分離タイミングにおける圧力室の加圧力よりも強くすることで、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴よりも飛翔速度が高いサテライトインク滴が含まれるように圧力室内の圧力を変動させることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの駆動方法。
  3. ノズル開口に連通した圧力室及びこの圧力室内のインクを加減圧する圧力発生素子を有する記録ヘッドと、駆動パルスを有する一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを備え、駆動パルスの供給により圧力発生素子を作動させてノズル開口からインク滴を吐出させるようにしたインクジェット式記録装置において、
    前記駆動信号発生手段は、メインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットのインク滴を吐出させるマイクロドット駆動パルスを生成し、
    該マイクロドット駆動パルスを、圧力室内の減圧によってメニスカスの中心部分を局所的に引き込む引き込み要素と、該引き込み要素によって引き込まれたメニスカスの中心部分が表面張力に起因する復元力により移動方向を吐出方向に反転した後の慣性力によって吐出方向に柱状に伸長しているタイミングで圧力室内を加圧する押出し要素とを含む構成とすることにより、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴のインク量よりも多い量のサテライトインク滴が含まれるようにしたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
  4. ノズル開口に連通した圧力室及びこの圧力室内のインクを加減圧する圧力発生素子を有する記録ヘッドと、駆動パルスを有する一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを備え、駆動パルスの供給により圧力発生素子を作動させてノズル開口からインク滴を吐出させるようにしたインクジェット式記録装置において、
    前記駆動信号発生手段は、メインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットインク滴を吐出させるマイクロドット駆動パルスを生成し、
    該マイクロドット駆動パルスは、メインインク滴の分離タイミングで供給されて圧力室内を加圧する第1加圧要素と、サテライトインク滴の分離タイミングで供給されて圧力室内を加圧する第2加圧要素とを含み、
    第2加圧要素による圧力室の加圧力を、第1加圧要素による圧力室の加圧力よりも強く設定することにより、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴のインク量よりも多い量のサテライトインク滴が含まれるように設定したことを特徴とするインクジェット式記録装置。
  5. ノズル開口に連通した圧力室及びこの圧力室内のインクを加減圧する圧力発生素子を有する記録ヘッドと、駆動パルスを有する一連の駆動信号を発生する駆動信号発生手段とを備え、駆動パルスの供給により圧力発生素子を作動させてノズル開口からインク滴を吐出させるようにしたインクジェット式記録装置において、
    前記駆動信号発生手段は、メインインク滴とこのメインインク滴に付随して吐出されるサテライトインク滴とからなるマイクロドットインク滴を吐出させるマイクロドット駆動パルスを生成し、
    該マイクロドット駆動パルスは、メインインク滴の分離タイミングで供給されて圧力室内を加圧する第1加圧要素と、サテライトインク滴の分離タイミングで供給されて圧力室内を加圧する第2加圧要素とを含み、
    第2加圧要素による圧力室の加圧力を、第1加圧要素による圧力室の加圧力よりも強く設定することにより、吐出されるマイクロドットインク滴の中にメインインク滴よりも飛翔速度が高いサテライトインク滴が含まれるように設定したことを特徴とするインクジェット式記録装置。
  6. 前記第2加圧要素の電位勾配を、第1加圧要素の電位勾配よりも急峻にしたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のインクジェット式記録装置。
JP2000308050A 2000-10-06 2000-10-06 インクジェット式記録ヘッドの駆動方法、及び、インクジェット式記録装置 Expired - Fee Related JP3661585B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000308050A JP3661585B2 (ja) 2000-10-06 2000-10-06 インクジェット式記録ヘッドの駆動方法、及び、インクジェット式記録装置
AT04026949T ATE380662T1 (de) 2000-10-06 2001-10-05 Verfahren zum ansteuern eines tintenstrahlaufzeichnungskopfes und entsprechende tintenstrahlaufzeichnungsvorrichtung
DE60131910T DE60131910T2 (de) 2000-10-06 2001-10-05 Verfahren zum Ansteuern eines Tintenstrahlaufzeichnungskopfes und entsprechende Tintenstrahlaufzeichnungsvorrichtung
DE60116022T DE60116022T2 (de) 2000-10-06 2001-10-05 Verfahren zum Ansteuern eines Tintenstrahlaufzeichnungskopfes und entsprechende Tintenstrahlaufzeichnungsvorrichtung
EP01123290A EP1195249B1 (en) 2000-10-06 2001-10-05 Method of driving ink jet recording head and ink jet recording apparatus incorporating the same
EP04026949A EP1504901B1 (en) 2000-10-06 2001-10-05 Method of driving ink jet recording head and ink jet recording apparatus incorporating the same
US09/970,926 US6540338B2 (en) 2000-10-06 2001-10-05 Method of driving ink jet recording head and ink jet recording apparatus incorporating the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000308050A JP3661585B2 (ja) 2000-10-06 2000-10-06 インクジェット式記録ヘッドの駆動方法、及び、インクジェット式記録装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2002113860A JP2002113860A (ja) 2002-04-16
JP2002113860A5 JP2002113860A5 (ja) 2004-07-15
JP3661585B2 true JP3661585B2 (ja) 2005-06-15

Family

ID=18788442

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000308050A Expired - Fee Related JP3661585B2 (ja) 2000-10-06 2000-10-06 インクジェット式記録ヘッドの駆動方法、及び、インクジェット式記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3661585B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010110968A (ja) 2008-11-05 2010-05-20 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、及び、液体吐出方法
JP2011131518A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Seiko Epson Corp 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の制御方法
JP5534930B2 (ja) 2010-05-12 2014-07-02 大日本スクリーン製造株式会社 インクジェットプリンタおよび画像記録方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2002113860A (ja) 2002-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6290315B1 (en) Method of driving an ink jet recording head
US6450603B1 (en) Driver for ink jet recording head
US6779866B2 (en) Liquid jetting apparatus and method for driving the same
JP2000141642A (ja) インクジェット式記録ヘッドの駆動方法
JP2002113867A (ja) 液体噴射装置、及び、液体噴射装置の駆動方法
EP1515854B1 (en) Head control device and image recording apparatus
JP2001150672A (ja) インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法
KR100685765B1 (ko) 환경 온도 변화로 인한 화상 품질 저하를 방지하는 헤드컨트롤러, 잉크젯 기록 장치, 및 화상 기록 장치
EP1195249B1 (en) Method of driving ink jet recording head and ink jet recording apparatus incorporating the same
JP4389800B2 (ja) 液体噴射装置
US7384111B2 (en) Liquid ejection apparatus and method of controlling the same
JP2002103620A (ja) インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法
JP3912270B2 (ja) 液体噴射装置
JP5347537B2 (ja) 液体吐出装置、及び、液体吐出装置の制御方法
JP2002337333A (ja) インクジェット式記録装置およびそれに用いるインクジェット式記録ヘッドの駆動方法
JP3661585B2 (ja) インクジェット式記録ヘッドの駆動方法、及び、インクジェット式記録装置
JP2004090542A (ja) インクジェット記録装置
JP2008105265A (ja) 液体噴射ヘッドの駆動方法、及び、液体噴射装置
EP1319511B1 (en) Liquid jetting apparatus and method for driving the same
JP2002113860A5 (ja)
JP2004058428A (ja) インクジェット記録装置
JP2002113859A (ja) インクジェット式記録装置、及び、インクジェット式記録ヘッドの駆動方法
JP2010179539A (ja) 液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの駆動方法
JP2004001562A (ja) インクジェット式記録装置
JP3685160B2 (ja) インクジェット式記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20041214

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050127

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20050301

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20050314

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080401

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090401

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090401

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100401

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110401

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110401

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120401

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130401

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130401

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140401

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees