JP3684859B2 - サクションパイプを備えたエンジンの冷却装置 - Google Patents

サクションパイプを備えたエンジンの冷却装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は,エンジンを構成するシリンダボディに形成されている冷却水通路に冷却水をウォータポンプで強制的に循環させると共に,ウォータポンプへ冷却水を戻すサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,水冷の強制循環式エンジンにおいては,図5及び図6に示されるような冷却水通路を通じて冷却水が強制的に循環されている。図5はエンジンの冷却装置の概略を示しており,図6は図5示すエンジンの冷却装置についての冷却系統の概略を示している。エンジン20の冷却水は,エンジン20の端部に取付けられ且つエンジン20の出力軸の回転によって駆動されるウォータポンプ21によって送り出され,シリンダボディ22,オイルクーラ24及びヒータ25に供給される。シリンダボディ22に供給された冷却水は,シリンダボディ22内に設けられたウォータジャケット(図示せず)等の冷却水通路を通り,エンジン20の運転によって温度上昇したシリンダボディ22を冷却し,オイルクーラ24では高温になったエンジンオイルを冷却する。ヒータ25は,昇温した冷却水から熱エネルギを得て運転室等の室内の暖房を行うのに使用される。
【0003】
シリンダボディ22,及びオイルクーラ24にそれぞれ供給された冷却水は,シリンダヘッド23内に形成された冷却水通路(図示せず)を通ってシリンダヘッド23を冷却した後,サーモスタット26に至る。冷却水の水温が低い(例えば,90℃未満)暖機運転状態の場合には,冷却水は,サーモスタット26の作動によってラジエータ27に至らずにバイパス通路28を通ってサクションパイプ30に至る。冷却水の水温が高い温間時(例えば,90℃以上)の場合には,冷却水は,バイパス通路28を通らずにサーモスタット26から通路29を経てラジエータ27,通路31,及びサクションパイプ30に至り,エンジンを冷却することにより昇温した冷却水は,ラジエータ27で放熱して冷却される。ウォータポンプ21から通路32を通じてヒータ25に供給された冷却水は,通路33を通じてサクションパイプ30に戻る。ラジエータ27,バイパス通路28及びヒータ25からサクションパイプ30に戻った冷却水は,図7に示すように,シリンダボディ22内に形成されているボディ通路34を通じてウォータポンプ21に還流する。
【0004】
サクションパイプ30は,ラジエータ27から放熱し冷却されて戻る冷却水をエンジン側へ取り入れる機能と,冷間時(冷却水の温度が90°未満であり,暖機運転が行われている時)において冷却水を放熱することなくバイパス通路28を通じて戻し,更に,取り入れた冷却水及び戻された冷却水をウォータポンプに戻す機能を奏する。サクションパイプ30は,ヒータ25,ラジエータ27から戻る冷却水,及びバイパス通路28から戻る冷却水を,大きな圧力損失なくスムーズにウォータポンプ21へ導くことが求められている。
【0005】
図8には,従来のサクションパイプ30の断面斜視図が示されている。サクションパイプ30は,パイプ本体35の下方にラジエータ27からの通路31が接続される取入れ口36が開口している。パイプ本体35の上方には,バイパス通路28が下方に向かって開口するバイパス戻り口37が形成されている。パイプ本体35の中央部には,ヒータ25からの冷却水が戻る通路33が開口するヒータ戻り口38が形成されている。サクションパイプ30の内部には,特段の壁等の手段が形成されていないので,サクションパイプ30の内部の通路抵抗が小さい。したがってウォータポンプ21に戻る圧力損失が少なく,ウォータポンプ21の回転羽根に対するキャビテーションが良好である。エンジンで受熱した冷却水の水温が高いためにラジエータ27が作動する場合には,ラジエータ27で放熱して冷却された後に通路31から取入れ口36を通じて流入した冷却水は,ストレートにサクションパイプ30内を流れて,図の上方手前側に開口した送出口(図示せず)からウォータポンプ21に向かって流れ出る。冷却水の水温が低い場合には,サーモスタット26の作動によりラジエータ27からの冷却水の流れは停止されると共にバイパス通路28から冷却水が戻る。バイパス通路28から戻る冷却水は,点線で示すように,取入れ口36に滞留する冷却水に衝突した後,上昇して送出口からウォータポンプ21に向かって流れ出る。更に,ヒータ25を通り通路33から戻った冷却水は,一点鎖線で示すように図で上方に向かい,送出口からウォータポンプ21に向かって流れ出る。
【0006】
このサクションパイプ30においては,温間時には,ラジエータ27から取入れ口36を経て流入する冷却水がバイパス通路28からのバイパス戻り口37と干渉して損失が発生し,冷却水流量が低下するという問題がある。また,冷間時には,サーモスタット26が閉じており,ラジエータ27を巡る冷却水の流れはないので,ラジエータ27に繋がる取入れ口36付近及びラジエータ27内には最も冷たい冷却水が滞留している。バイパス通路28のバイパス戻り口37から戻る比較的高い温度の冷却水が取入れ口36付近及びラジエータ27内に滞留する冷たい冷却水に接して多量の熱を奪われるため,ウォータポンプ21に戻る冷却水の温度が低下することになり,暖機性能が悪化するという問題がある。
【0007】
このような不具合を解消するため,図9に示されているような内部に仕切り壁41が形成されたサクションパイプ40が考えられている。図9は,内部に仕切り壁41が形成されたサクションパイプの一部を破断して示す斜視図である。図8に示すサクションパイプ30と同等の部位には同じ符号を付して示してあるので,再度の説明を省略する。サクションパイプ40は,ラジエータ27から流入する冷却水と,バイパス通路28のバイパス戻り口37から流入する冷却水とが互いに干渉しないように仕切り壁41が形成されている点で,サクションパイプ30と異なる。
【0008】
冷間時においては,エンジン20内を巡りバイパス通路28のバイパス戻り口37からサクションパイプ40に戻る温度が高い冷却水は,仕切り壁41によって規制されて,図で上方手前側に開口する送出口に直接流れ出るので,取入れ口35付近に滞留する冷却水と混流することがない。バイパス通路28からの冷却水は,温度低下が大きくなることなくウォータポンプ21に戻って再びエンジンを巡るので,エンジンの暖機性が向上することになる。しかしながら,仕切り壁41自体の肉厚によって通路断面が減少しており,温間時においては,仕切り壁41はラジエータ27から取入れ口36を通じて流入する冷却水の通路抵抗を大きくしている。この抵抗により流れる冷却水の圧力損失が大きくなり,暖機終了後の温間時,即ち,エンジンが高温,高圧,高回転で運転されている状態では,ウォータポンプ21への入口圧力が低下し,そのために,ウォータポンプ21の回転羽根にキャビテーションが発生し易くなると共に,適正な冷却水流量の確保が困難になるという問題がある。更に,ヒータ25にも常に冷却水が送られており,ヒータ25からヒータ戻り口38を通じて流入する冷却水は,仕切り壁41に形成した開口42を通じて,バイパス通路28のバイパス戻り口37から流入する冷却水と合流するので,バイパス通路28から流入する冷却水の流量が低下するという問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
サクションパイプを備えたエンジンの冷却装置においては,ラジエータに接続されるサクションパイプの取入れ室からウォータポンプへ冷却水を送出する送出室への冷却水の流れが,仕切り壁のような手段を用いずとも,バイパス通路のバイパス戻り口から流入する冷却水と互いに干渉しないようにすると共に,冷却水の圧力損失を少なくし,ウォータポンプへ送る冷却水の流量を確保する点で解決すべき課題がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は,取入れ口を通じてラジエータから流入する冷却水が,送出室に形成されたバイパス通路の戻り口と干渉するのを防止すると共に,仕切り壁の存在に起因した通路抵抗の増大による流量の低下と圧力損失の増大によるキャビテーションの発生とを回避することができるサクションパイプを備えたエンジン冷却装置を提供することである。
【0011】
この発明によるサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置は、エンジンに形成される冷却水通路に冷却水を強制的に循環させるウォータポンプ、前記エンジンを冷却して昇温した冷却水を冷却するラジエータ、前記エンジンを冷却した冷却水の温度に応じて前記ラジエータへの通路と前記ラジエータを迂回するバイパス通路とのいずれか一方を前記冷却水通路の一部として選択するサーモスタット、及び前記ラジエータからの冷却水を取り入れる取入れ室と前記取入れ室に接続し且つ前記ウォータポンプへ冷却水を送る送出室とから成る中空部がパイプ本体に形成されていると共に前記送出室に前記バイパス通路を通じての冷却水が戻るバイパス戻り口が開口しているサクションパイプを具備し、前記パイプ本体の前記取入れ室と前記送出室との境界領域には、前記取入れ室から前記送出室への冷却水の取入れ流れが前記バイパス戻り口と干渉するのを防止するため冷却水の前記取入れ流れの向きを変える流れガイドが形成されているサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置において、前記パイプ本体の前記取入れ室と前記送出室との間の境界領域には、前記取入れ室内における冷却水との接触を防止するため前記バイパス戻り口から前記送出室に流入した冷却水のバイパス流れの向きを変えるサブガイドが形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
上記のように構成されたサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置は、温間時にラジエータから取入れ室に流入した冷却水は、仕切り壁がなくとも、流れガイドによって、バイパス通路を通じての冷却水が戻るバイパス戻り口と干渉しないように案内されて送出室に流入する。冷却水は、従来のサクションパイプの場合に仕切り壁に起因して生じていたような通路抵抗や圧力損失を生じることなくウォータポンプへと送り出されるので、ウォータポンプへ流出する充分な流量が確保され、したがって大型エンジンに対しても冷却効率が確保されると共に、ウォータポンプにキャビテーションを生じさせることがない。また、冷間時には、バイパス通路の戻り口を通じて送出室に流入する冷却水がサブガイドに案内されて、ラジエータに通じる取入れ口付近に滞留する冷却水と接触するのが極力防止される。その結果、バイパス通路から戻る昇温した冷却水から奪われる熱量が少なくなり、暖機性の低下が防止される。また、バイパス通路やヒータから戻る冷却水は従来の仕切り壁によって制限されることなく、充分な流量が確保される。
【0015】
前記サブガイドは前記バイパス通路からの冷却水の前記バイパス流れの方向に従って次第に高さを増すサブ傾斜面又は前記バイパス流れが衝突する段部であり,前記傾斜面と前記サブ傾斜面又は前記段部とは冷却水の前記取入れ流れ及び前記バイパス流れの方向に対して実質的に直交する稜線で交差している。流れガイドとサブガイドとは,パイプ本体の中空室の,取入れ室と送出室の境界領域に互いに隣接して形成される。流れガイドとサブガイドとによって,サクションパイプの内部は仕切り壁による2室に分離されることなく1室でありながら,ラジエータからの取入れ口側の取入れ室と,バイパス通路及びヒータからの戻り口側の送出室部とが事実上分離される。冷間時にバイパス通路が開口する戻り口から流入する冷却水は,サブガイドに向かって流れ,サブ傾斜面に沿って流れるか又は段部と衝突して取入れ室に滞留する冷却水と接触する機会が減少し,送出室からウォータポンプへと流れる。したがって,取入れ室内の冷たい冷却水によって多量の熱を奪われることがなく,暖機性が向上する。流れガイドとサブガイドとは,隣接して形成されるので,鋳造等による成形が簡単になる。
【0016】
前記ウォータポンプはヒータに冷却水を供給しており,前記サクションパイプの前記送出室には,前記サブガイドに隣接した領域において,前記ヒータからの冷却水を戻すヒータ戻り口が前記バイパス戻り口に正対することなく開口している。ウォータポンプは,冷間時と温間時とにかかわらず,冷却水を常にヒータに供給しており,ヒータから戻る冷却水は,ヒータ戻り口から,バイパス戻り口を外して送出室に流入するので,取入れ室からの冷却水の流れ,又はバイパス通路からバイパス戻り口を通じて戻る冷却水の流れとの干渉が回避される。
【0017】
前記ウォータポンプ及び前記サクションパイプはそれぞれシリンダボディの、互いに交差する取付け面に取付けられており、前記サクションパイプの前記送出室の送出口は前記シリンダボディ内に湾曲して形成され且つ前記ウォータポンプに繋がるボディ通路に接続されており、前記サクションパイプの前記パイプ本体には、前記取入れ室から前記送出室に流入した冷却水の流れを前記ボディ通路の湾曲方向に滑らかに連なる湾曲方向に沿って前記ボディ通路に送り込む湾曲ガイドが形成されている。取入れ室から送出室に流入した冷却水は、送出室に形成されている湾曲ガイドによってボディ通路の湾曲方向に滑らかに連なる湾曲方向に沿って流れて、スムーズにボディ通路に送り出されるので、冷却水の圧力損失が一層低減される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下,図面を参照して,この発明によるサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置の実施例について説明する。図1はこの発明によるサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置に適用されるサクションパイプの一実施例を示す一部断面正面図,図2は図1に示したサクションパイプの矢視Aの方向から見た底面図,図3は図1に示したサクションパイプの矢視B−Bについて見た側面部分断面図,図4は図1〜図3に示したサクションパイプの斜視図である。サクションパイプ自体の構造を除くエンジンの冷却装置については,図5及び図6に示したものをそのまま用いることができるので,同じ構成要素及び部位には同じ符号を用いると共に,再度の詳細な説明を省略する。
【0019】
図1〜図4に示すサクションパイプ1は,筒部3を備えたパイプ本体2を有しており,パイプ本体2の内部には中空部13が形成されている。筒部3の開口端は,ラジエータ27からの通路31が接続される取入れ口4となっている。中空部13には,筒部3の内部において取入れ口4に繋がる筒状の取入れ室5と,パイプ本体2の内部においては取入れ室5に繋がる送出室6とが形成されている。送出室6には,バイパス通路28が開口するバイパス戻り口7とヒータ25からの通路33が開口するヒータ戻り口8が開口している。サクションパイプ1をエンジン20のシリンダヘッド23に取り付けるため,パイプ本体2の一側には平坦に形成された取付け面9が形成されており,取付け面9には,ウォータポンプ21に接続する送出口10が大きく開口している。パイプ本体2には,取付けボルト(図示せず)を挿通するため,取付け面9に開口する取付け孔11が複数箇所(図示の例では3か所)において形成されている。また,シリンダボディ20には,図7に基づいて既に説明したように,側面から90°屈曲してエンジン20の前方に向かうように形成されたボディ通路34が形成されており,送出口10は,ボディ通路34のシリンダボディ20の側面に開口する開口部に液密状態に接続されている。なお,パイプ本体2には,バイパス通路28が接続されるボス2a,ヒータ25からの通路33が接続されるボス2b,取付け孔11が形成される取付けボス2c等が形成されている。
【0020】
ヒータ25からの通路33が開口するヒータ戻り口8は,バイパス通路28が開口するバイパス戻り口7に対して筒状の取入れ室5の軸線の延長方向に若干ずれて,即ち,正対せずに開口している。取入れ室5と送出室6との境界領域12には,通路33が開口するヒータ戻り口8の近傍においてガイド14が形成されている。ガイド14は,取入れ室5側において緩やかに傾斜した舌状の傾斜面15と送出室6側において緩やかに傾斜した舌状のサブ傾斜面16とから形成されている。傾斜面15は,この発明における流れガイドを構成しており,ラジエータ27からの冷却水の取入れ室5から送出室6への流れを案内している。また,ガイド14のサブ傾斜面16は,この発明におけるサブガイドを構成しており,バイパス通路28が開口するバイパス戻り口7と対向して配置されている。送出室6において,バイパス通路28が開口するバイパス戻り口7の近傍には,ラジエータ27からの冷却水が取入れ室から送出室6に向かって流れるときに送出口10に向かって案内する湾曲ガイド17が形成されている。湾曲ガイド17は,ラジエータ27からの冷却水にひねりを加えて,送出口10からシリンダボディ20に形成されたボディ通路34の屈曲方向に方向付けられた流れに変換する。
【0021】
以上のように構成されたサクションパイプ1において,温間時には,サーモスタット26の作動によって,バイパス通路28への冷却水の流れは停止しており,ラジエータ27からサーモスタット26を通過する冷却水は,サクションパイプ1を経てウォータポンプ21に流れている。ラジエータ27からの昇温した冷却水は,取入れ口4から筒部3の内部に形成されている筒状の取入れ室5に流入し,ガイド14の傾斜面15によって案内された後,送出室6に流れ込む。即ち,取入れ室5を流れる冷却水の流れは,一部がガイド14で流れの向きが変更され,残りの流れが直進して送出室6に流入する。ガイド14はバイパス通路28が開口するバイパス戻り口7に対向した位置に形成されているので,ガイド14によって取入れ室5の軸線方向から傾く流れは,バイパス戻り口7に干渉することがない。冷却水がバイパス戻り口7に干渉すると冷却水の流れは乱流となって圧力損失が大きくなるが,上記のように,冷却水のバイパス戻り口7との干渉が防止されるため,冷却水の流れは層流を維持して圧力損失が抑えられる。
【0022】
ガイド14で流れが傾いた冷却水の流れ及び直進した冷却水の流れは,送出室6の湾曲ガイド17に案内されて送出口10から流出する。また,サクションパイプ1の内部には仕切り壁等が存在しないので,大きな通路抵抗や圧力損失が生じることなく,冷却水の流れは送出室6から送出口10を通じてスムーズに流出する。湾曲ガイド17のひねり作用によって,冷却水には,シリンダボディ20に形成されたボディ通路34の湾曲方向に滑らかに連なる湾曲方向に沿う向きの速度成分が与えられ,ウォータポンプ21にスムーズに送り込まれる。したがって,サクションパイプ1からボディ通路34を経てウォータポンプ21に流入する間の冷却水には更に圧力損失が少なく,ウォータポンプ21の回転羽根にキャビテーションを発生させることが少ない。温間時にヒータ25から戻る冷却水は,ヒータ戻り口8から送出室6に流入するが,ヒータ25からの冷却水の流れ込み方向はラジエータ27からの冷却水の流れに沿う方向であり,ラジエータ27からの冷却水と干渉せず,いずれの冷却水もスムーズに流れる。
【0023】
冷間時には,サーモスタット26の作動によって,ラジエータ27からの冷却水の流れは停止しており,バイパス通路28を流れる冷却水の流れが存在している。バイパス通路28を流れる冷却水は,バイパス戻り口7から送出室6に流入する。バイパス戻り口7は,ガイド14のサブ傾斜面16に対向しているので,バイパス戻り口7から送出室6に流入した冷却水の一部は,そのままウォータポンプ21へ流れるが,一部は図4の矢印Dで示すように,ガイド14のサブ傾斜面16によって流れの向きを変え,取入れ室5に滞留する低温の冷却水に対して多量の熱を奪われるような接触を防止することができる。また,バイパス戻り口7から送出室6に流入する冷却水の流量は仕切り壁を有する従来のものよりも増加しているので,総合的には暖機性能の大きな低下を防止することができる。
【0024】
冷間時にヒータ25から通路33を通ってサクションパイプ1に戻る冷却水は,サクションパイプ1においてヒータ戻り口8から送出室6に戻る。ヒータ戻り口8は,バイパス戻り口7に対して向きが正対していないので,ヒータ25からヒータ戻り口8を通じて戻る冷却水とバイパス通路28からバイパス戻り口7を通じて戻る冷却水とは,互いに干渉することなく,送出口10からウォータポンプ21へと還流する。このとき,送出室6には従来のサクションパイプに用いられていたような仕切り壁が存在していないので,バイパス通路28及び通路33から送出室6内に流入する冷却水の流量は充分に確保することができるので,エンジン20の放熱性と暖機性能とが良くなる。
【0025】
上記の実施例では,サブガイドはサブ傾斜面16によって構成されているが,図4の想像線で示すように,傾斜面ではなく段部16aによって構成することもできる。段部16aによってサブガイドを構成した場合も,流れガイドである傾斜面15とは,図4に示されている取入れ流れCやバイパス流れDの方向に対して実質的に直交する稜線14aで交差している。冷間時に,バイパス通路28からバイパス戻り口7を通じて戻る冷却水は,サブ傾斜面16によってスムーズに案内されることはないが,サブ傾斜面16の場合と同様に,段部16aによって取入れ室5に滞留する低温の冷却水に対して多量の熱を奪われるような接触を防止することができる。
【0026】
【表1】
Figure 0003684859
表1は,図1〜図4に示すこの発明によるサクションパイプ1,図8に示すサクションパイプ30,及び図9に示すサクションパイプ40との特性を比較した表である。表1において,S1,S30,又はS40は,それぞれサクションパイプ1,サクションパイプ30及びサクションパイプ40の略である。先ず,冷却水流量について見ると,バイパス通路28を流れる冷却水の流量とヒータ25からの冷却水の流量とは,仕切り壁41が存在するサクションパイプ40が最も少なく,仕切り壁41が存在しないサクションパイプ1とサクションパイプ30とでは同程度に多い。ラジエータ27からの流量は,仕切り壁41が存在するサクションパイプ40が最も少なく,バイパス戻り口7と干渉する可能性があるサクションパイプ30が次に少なく,湾曲ガイド17で案内される本発明のサクションパイプ1が最も多い。次に,冷間時における冷却水の干渉性,即ち,取入れ室に滞留する冷却水とバイパス通路28からの冷却水の流れとの干渉は,バイパス通路28からの冷却水が取入れ室に滞留する冷却水とストレートに対向するサクションパイプ30が最も生じやすく,ガイド14があるサクションパイプ1が次に生じやすく,仕切り壁41が存在しているサクションパイプ40が最も干渉を防止することができる。更に,冷間時の暖機性については,バイパス通路28から戻る冷却水が取入れ室に滞留する冷却水と干渉するサクションパイプ30が最も低く,サクションパイプ1においては,取入れ室に滞留する冷却水とバイパス通路28からの冷却水の流れとの干渉があるものの,バイパス通路28からの冷却水の流量がサクションパイプ40よりも多いため,サクションパイプ1とサクションパイプ40とでは暖機性が同程度となる。
【0027】
【発明の効果】
この発明によるサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置においては、ラジエータに接続されるサクションパイプの取入れ室からバイパス通路に接続されるサクションパイプの送出室への冷却水の流れを変更する流れガイドを設けたので、温間時には、ラジエータから流入しサクションパイプの取入れ室から送出室へ流れる冷却水の流れは、バイパス通路及びヒータからの通路が開口する戻り口への干渉が生じず、通路抵抗や圧力損失の低下を少なくすることができる。したがって、従来のサクションパイプにおいて仕切り壁の存在に起因していた通路抵抗や圧力損失の増大とウォータポンプの回転羽根におけるキャビテーションの発生とを回避することができる。また、バイパス通路の戻り口を通じて送出室に流入する冷却水の流れを案内するサブガイドを設けているので、冷間時において、バイパス通路から送出室に流入しウォータポンプへ送られる冷却水の流量が増加すると共に、バイパス通路の戻り口を通じて送出室に流入する冷却水がラジエータに通じる取入れ口付近に滞留する冷却水に対して多量の熱を奪われるような接触をするのを回避することが可能となり、仕切り壁を設けたサクションパイプを備えるものと同等の暖機性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるエンジンの冷却装置に適用されるサクションパイプの一部断面正面図である。
【図2】図1に示したサクションパイプの矢視Aの方向から見た底面図である。
【図3】図1に示したサクションパイプの矢視B−Bで見た一部断面図である。
【図4】図1〜図3に示したサクションパイプの一部断面で示す斜視図である。
【図5】エンジンの冷却装置の概略図である。
【図6】図5に示すエンジンの冷却装置の系統図である。
【図7】サクションパイプとウォータポンプとを接続するボディ通路を示す概略図である。
【図8】従来のサクションパイプの一例を示す断面斜視図である。
【図9】従来のサクションパイプの別の例を示す一部断面斜視図である。
【符号の説明】
1 サクションパイプ
2 パイプ本体
3 筒部
4 取入れ口
5 取入れ室
6 送出室
7 バイパス戻り口
8 ヒータ戻り口
9 燃料噴射ノズル
10 送出口
12 境界領域
13 中空部
14 ガイド
15 傾斜面
16 サブ傾斜面
17 湾曲ガイド
20 エンジン
21 ウォータポンプ
22 シリンダボディ
23 シリンダヘッド
24 オイルクーラ
25 ヒータ
26 サーモスタット
27 ラジエータ
28 バイパス通路
34 ボディ通路

Claims (4)

  1. エンジンに形成される冷却水通路に冷却水を強制的に循環させるウォータポンプ、前記エンジンを冷却して昇温した冷却水を冷却するラジエータ、前記エンジンを冷却した冷却水の温度に応じて前記ラジエータへの通路と前記ラジエータを迂回するバイパス通路とのいずれか一方を前記冷却水通路の一部として選択するサーモスタット、及び前記ラジエータからの冷却水を取り入れる取入れ室と前記取入れ室に接続し且つ前記ウォータポンプへ冷却水を送る送出室とから成る中空部がパイプ本体に形成されていると共に前記送出室に前記バイパス通路を通じての冷却水が戻るバイパス戻り口が開口しているサクションパイプを具備し、前記パイプ本体の前記取入れ室と前記送出室との境界領域には、前記取入れ室から前記送出室への冷却水の取入れ流れが前記バイパス戻り口と干渉するのを防止するため冷却水の前記取入れ流れの向きを変える流れガイドが形成されているサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置において、
    前記パイプ本体の前記取入れ室と前記送出室との間の境界領域には、前記取入れ室内における冷却水との接触を防止するため前記バイパス戻り口から前記送出室に流入した冷却水のバイパス流れの向きを変えるサブガイドが形成されていることを特徴とするサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置。
  2. 前記サブガイドは前記バイパス通路からの冷却水の前記バイパス流れの方向に従って次第に高さを増すサブ傾斜面又は前記バイパス流れが衝突する段部であり、前記傾斜面と前記サブ傾斜面又は前記段部とは冷却水の前記取入れ流れ及び前記バイパス流れの方向に対して実質的に直交する稜線で交差していることを特徴とする請求項1に記載のサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置。
  3. 前記ウォータポンプはヒータに冷却水を供給しており、前記サクションパイプの前記送出室には、前記サブガイドに隣接した領域において、前記ヒータからの冷却水を戻すヒータ戻り口が前記バイパス戻り口に正対することなく開口していることを特徴とする請求項1又は2に記載のサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置。
  4. 前記ウォータポンプ及び前記サクションパイプはそれぞれシリンダボディの、互いに交差する取付け面に取付けられており、前記サクションパイプの前記送出室の送出口は前記シリンダボディ内に湾曲して形成され且つ前記ウォータポンプに繋がるボディ通路に接続されており、前記サクションパイプの前記パイプ本体には、前記取入れ室から前記送出室に流入した冷却水の流れを前記ボディ通路の湾曲方向に滑らかに連なる湾曲方向に沿って前記ボディ通路に送り込む湾曲ガイドが形成されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載のサクションパイプを備えたエンジンの冷却装置。
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