JP3684724B2 - 圧力検出器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車のブレーキ圧や燃料圧やエンジン油圧等の圧力を検出する場合に好適する圧力検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばシールダイヤフラム形圧力検出器は、半導体圧力センサ素子を保持するセンサ保持体と、このセンサ保持体を収容固定するハウジングとから構成されている。上記センサ保持体は、素子収容室を有しており、この素子収容室内に半導体圧力センサ素子を固定してシリコン油を充填し、更に該素子収容室をシールダイヤフラムで封止するように構成されている。そして、このように構成されたセンサ保持体を、ハウジングに形成された収容部内に収容して固定している。
【0003】
このような構成の圧力検出器においては、センサ保持体に対して強い圧力が作用するので、この圧力に耐えるようにセンサ保持体をハウジングに強固に固定する必要がある。センサ保持体を固定する手段としては、従来より、ねじ締め、溶接、かしめ等が用いられていた。
【0004】
具体的には、ねじ締めを用いる構成として特開昭60−171429号公報に記載された構成があり、溶接を用いる構成として特開昭59−214268号公報に記載された構成があり、かしめを用いる構成として特願平5−183838号に記載された構成がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来構成には、次の通りの欠点があった。即ち、ねじ締めを用いる構成では、耐圧を大きくする場合、センサ保持体に形成するねじ部のねじ締め方向の長さ寸法を長くする必要がある。このため、センサ保持体が大形化すると共に、圧力検出器の全体構成が大形化するという問題点があった。また、組立時において、センサ保持体を締め付けるという比較的時間を要する作業を実行しなければならず、組立作業性に劣るという不具合もあった。
【0006】
また、溶接を用いる構成またはかしめを用いる構成においては、耐圧を十分大きくすることができないという問題点があった。というのは、溶接可能な部材、または、かしめ可能な部材としては、実用上S15C〜S20C程度の低炭素鋼を使用しなければならず、この低炭素鋼の強度がそれほど高くないためである。実際、上記低炭素鋼を使用して溶接またはかしめを行う構成の場合、耐圧は最大でも20MPa程度しか得ることができなかった。
【0007】
一方、圧力検出器により例えば自動車のブレーキ圧や燃料圧やエンジン油圧等の圧力を検出する場合、耐圧が最低でも30MPa程度あることが必要であるので、上記各圧力を検出する用途には、溶接またはかしめを行う構成を用いることはできなかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、耐圧を十分高くすることができると共に、組立作業性を向上させることができ、また、全体の構成を小形化し得る圧力検出器を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明によれば、ハウジングの収容部の内面におけるセンサ保持体のうちの収容部の開口部側の端部に対応する部位に溝部を形成し、この溝部に高強度を有する部材から形成された抜止め手段を嵌合することにより、該抜止め手段によりセンサ保持体が収容部内から抜けることを止めるように構成し、更に、収容部の開口部に嵌合されるプラグを備え、抜止め手段をプレートにより構成すると共に、前記プレートが前記収容部の溝部から外れる方向へ移動することを前記プラグにより規制するように構成した。この構成によれば、高強度を有するプレートによってセンサ保持体が収容部内から抜け出ることを防止したので、センサ保持体の固定強度を高くすることができる。この結果、耐圧を十分大きくすることができる。この構成の場合、プレートを収容部の溝部に嵌合すると共に、プレートの外れ方向への移動をプラグにより規制するだけであるから、組立作業性も向上する。そして、上記構成では、ねじ締めする構成とは異なり、ねじ部の長さ寸法を長くする必要もないので、全体の構成が大形化することもない。
【0010】
請求項2の発明においては、前記プレートを、高炭素鋼製の複数のプレートにより構成したので、複数のプレートの外れ防止を簡単な構成にて容易に実現することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をシールダイヤフラム形圧力検出器に適用した第1の実施例について、図1ないし図3を参照しながら説明する。まず、図1は圧力検出器の縦断面を示す図である。この図1において、圧力検出器のハウジング1は、例えば炭素鋼から形成されており、基部2と、この基部2の図1中下面中央部に下方へ向けて突設された凸部3とから構成されている。基部2には、上面が開口すると共に横断面形状が円形の収容部4が形成されている。この収容部4の内底部の中心部には、貫通孔5が下方へ向けて上記凸部3を貫通するように形成されており、この貫通孔5が圧力導入孔となっている。尚、上記凸部3の外周部には、圧力検出器を他の機器に取り付けるためのねじ部3aが形成されている。
【0012】
また、ハウジング1の収容部4内には、センサ保持体である例えばステム6が収容されている。このステム6は、例えばS15C程度の炭素鋼から形成されており、全体としてほぼ円盤状をなしている。上記ステム6の図1中下面側には、外周から中心に向けて3段に深くなる凹部状をなす素子収容室7が形成されている。この素子収容室7の最深部の凹部7a内には、圧力センサ素子として例えば半導体圧力センサ素子8が収容されて固定されている。
【0013】
この場合、半導体圧力センサ素子8は、例えばシリコンから形成されており、具体的には、シリコン基板にイオン注入法により4個のピエゾ抵抗素子を形成すると共に、これら4個のピエゾ抵抗素子をブリッジ接続して構成されている。そして、この半導体圧力センサ素子8を例えばガラス製の台座9に陽極接合した後、この台座9を上記ステム6の最深部の凹部7aの内底面に接着剤により固着している。
【0014】
また、ステム6の素子収容室7の中段部7b(最深部の凹部7aの周囲)には、複数例えば4個の貫通孔10が縦方向に形成されている。これら貫通孔10には、例えばアロイ等からなるピン形リード11が挿通されている。このピン形リード11と貫通孔10との間には、ハーメチックガラス12が充填固化されており、もって両者間が気密に封止されている。上記ピン形リード11と半導体圧力センサ素子8とは、例えばアルミ製等の細線13を介してワイヤボンディングされている。
【0015】
そして、ステム6の素子収容室7の開口部(即ち、素子収容室7の最浅の段部7cの開口部)は、例えばステンレス製のダイヤフラム14により閉塞されている。このダイヤフラム14は例えばステンレス製の固定リング15と上記素子収容室7の段部7cとの間に挟まれていると共に、これら3つの部材は例えばレーザ溶接することにより気密に接合されている。
【0016】
更に、ステム6の素子収容室7内には、絶縁オイル例えばシリコンオイル16が充填されている。この場合、シリコンオイル16は、ステム6の中段部7bに縦方向に貫通するように形成された注入孔17を通して素子収容室7内に注入されるように構成されている。上記注入孔17は、ステンレス製のエキスパンダ18により封止される構成となっている。そして、上述したステム6、半導体圧力センサ素子8、ダイヤフラム14、固定リング15及びシリコンオイル16等によりセンサコア部が構成されている。
【0017】
一方、ステム6の外周部には、環状の溝部19が形成されており、この溝部19内にOリング20が嵌合されている。このOリング20によりステム6の外周部とハウジング1の収容部4の内周面部との間がシールされている。また、ステム6の外周部の図1中上部には環状の凸部21が形成されており、この凸部21はハウジング1の収容部4の内面部に形成された環状の溝部22に嵌合するように構成されている。
【0018】
さて、ハウジング1の収容部4の内面部におけるステム6のうちの収容部4の開口部側の端部(図1中上端部)に対応する部位には、環状の溝部23が形成されている。この溝部23内に、高強度を有する部材である例えばS60C〜S80C程度の高炭素鋼からなるCリング24が嵌合されている。このCリング24によって、ステム6がハウジング1の収容部4内から抜け出ることを阻止するように構成されている。この場合、Cリング24が本発明の抜止め手段を構成している。
【0019】
ここで、上記Cリング24の装着方法について図2及び図3を参照して説明する。Cリング24の両端部には、図2に示すように、孔24a、24aが形成されている。この孔24a、24aに図示しない装着用工具に設けられたピン部を嵌合させてから、該装着用工具によりCリング24を図2中2点鎖線で示すように外径寸法を小さくさせるように弾性変形させ、この状態で上記Cリング24をハウジング1の収容部4内に挿入し、図3(a)に示すように、溝部23の位置まで入れる。続いて、装着工具のピン部をCリング24の孔24aから抜くと、Cリング24の外径寸法が図2中実線で示すように大きくなり、図3(b)に示すように、Cリング24が溝部23に嵌合する。
【0020】
この場合、溝部23の開口縁部は、図3中上側の開口縁部23aの方が下側の開口縁部23bよりも低くなるように構成されている。これにより、Cリング24を溝部23に嵌合させ易くしている。尚、本実施例の場合、上記開口縁部23a側の溝部23の深さ寸法は、約0.2〜0.3mm程度に設定されている。
【0021】
また、図1に示すように、ハウジング1の収容部4の開口部には、例えばPBT等のプラスチックから形成されたプラグ25が嵌合されて固定されている。具体的には、プラグ25の図1中下端部25aに形成された鍔状部25bを収容部4の開口部内に嵌合した後、ハウジング1の図1中上端部に突設された突片部26をかしめることにより、プラグ25をハウジング1に固定している。
【0022】
ここで、プラグ25の図1中下端部25aの外周部には、Oリング27が装着されている。このOリング27によりプラグ25の下端部25aの外周部と収容部4の内面部との間が気密にシールされている。また、プラグ25には、前記ピン形リード11に例えば溶接により接続されたリード端子28が貫通支持されている。これらリード端子28がプラグ25の接続用の端子となっている。尚、プラグ25には、外部の機器に接続するためのコネクタが着脱可能に嵌合接続されるように構成されている。
【0023】
さて、上述した構成の圧力検出器においては、圧力がハウジング1の圧力導入孔5を通してダイヤフラム14に加わると、ダイヤフラム14が変形することにより、上記圧力がシリコンオイル16へ伝わり、更に、半導体圧力センサ素子8へ伝わる。これにより、半導体圧力センサ素子8は上記伝わった圧力の大きさに対応する圧力検知信号を発生し、この圧力検知信号はピン形リード11及びリード端子28を介して外部へ出力されるように構成されている。
【0024】
このような構成の本実施例によれば、S60C〜S80C程度の高炭素鋼からなるCリング24によって、ステム6がハウジング1の収容部4内から抜け出ることを阻止する構成としたので、圧力検出器の耐圧を約60MPa程度にすることができる。これにより、本実施例の圧力検出器を、自動車のブレーキ圧や燃料圧やエンジン油圧等の圧力を検出する用途に十分使用することができる。そして、本実施例の場合、Cリング24を収容部4の溝部23に嵌合するだけであるから、ねじ締めする従来構成に比べて、組立作業性を向上することができる。また、上記実施例の構成では、ねじ締めする従来構成とは異なり、ねじ部の長さ寸法を長くする必要もないので、全体の構成を小形化することができる。
【0025】
図4及び図5は本発明の第2の実施例を示すものであり、第1の実施例と異なるところを説明する。尚、第1の実施例と同一部分には、同一符号を付している。上記第2の実施例においては、図4及び図5に示すように、Cリング24に代えて、Cリング24と同じ鋼板製の複数枚である例えば4枚のプレート29によりステム6の抜け止めを行っている。
【0026】
具体的には、ハウジング1の収容部4の内面に、環状の溝部23に代えて、各プレート29の幅寸法よりもやや長い溝部30をほぼ等間隔に4か所形成している。また、プラグ25の下端部25aを図5中下方へ少し延ばして規制部25cを形成している。
【0027】
この構成の場合、ハウジング1の収容部4内にステム6を収容した後、4枚のプレート29を収容部4の内面の溝部30に嵌合し、そして、プラグ25を収容部4の開口部に嵌合してから、ハウジング1の突片部26をかしめることにより、プラグ25をハウジング1に固定するように構成されている。このように組み立てた状態では、各プレート29の中心側の端部がプラグ25の規制部25cの外周面に当接することにより、各プレート29が収容部4の各溝部30から外れる方向へ移動することが規制される構成となっている。尚、上述した以外の第2の実施例の構成は、第1の実施例の構成と同じ構成となっている。
【0028】
従って、上記第2の実施例においても、第1の実施例と同じ作用効果を得ることができる。特に、第2の実施例では、Cリング24に代えて4枚のプレート29を使用する構成であるので、製造コストが一層安くなる。
【0029】
また、図6は本発明の第3の実施例を示すものであり、第2の実施例と異なるところを説明する。尚、第2の実施例と同一部分には、同一符号を付している。上記第3の実施例においては、図6に示すように、4枚のプレート29に代えて、同じ鋼板製の2枚のプレート31によりステム6の抜け止めを行っている。各プレート31は、ほぼ半円に近い扇形状に形成されている。そして、ハウジング1の収容部4の内周面には、各プレート31の外周部の長さ寸法よりもやや長い溝部32がほぼ対称に2か所形成されている。
【0030】
更に、各プレート31の中心側の端部は、プラグ25の規制部25cの外周面に当接することにより、各プレート31が収容部4の各溝部32から外れる方向へ移動することが規制される構成となっている。尚、上述した以外の第3の実施例の構成は、第2の実施例の構成と同じ構成となっている。従って、上記第3の実施例においても、第2の実施例と同じ作用効果を得ることができる。
【0031】
尚、上記第2または第3の実施例では、プレート29、31の枚数を4枚または2枚としたが、これに限られるものではなく、1枚、3枚或いは5枚以上としても良い。また、プレートの形状も適宜設計すれば良い。更に、上記各実施例では、圧力センサ素子として半導体圧力センサ素子8を用いる構成としたが、これに限られるものではなく、例えば圧電素子からなる圧力センサ素子や、半導体以外の材料から形成された圧力センサ素子を用いる構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す圧力検出器の縦断面図
【図2】Cリングの上面図
【図3】Cリングを装着する方法を示す部分縦断面図
【図4】本発明の第2の実施例を示すプレートの嵌合部分を示す横断面図
【図5】図1相当図
【図6】本発明の第3の実施例を示す図4相当図
【符号の説明】
1はハウジング、2は基部、3は凸部、4は収容部、5は圧力導入孔、6はステム(センサ保持体)、7は素子収容室、8は半導体圧力センサ素子、14はダイヤフラム、15は固定リング、16はシリコンオイル、23は溝部、24はCリング(抜止め手段)、25はプラグ、25aは下端部、25cは規制部、26は突片部、29はプレート(抜止め手段)、30は溝部、31はプレート(抜止め手段)、32は溝部を示す。
Claims (2)
- 圧力センサ素子と、
この圧力センサ素子を保持するセンサ保持体と、
このセンサ保持体を収容する収容部を有するハウジングと、
このハウジングの収容部の内面における前記センサ保持体のうちの前記収容部の開口部側の端部に対応する部位に形成された溝部と、
高強度を有する部材から形成され前記溝部に嵌合することにより前記センサ保持体が前記収容部内から抜けることを止める抜止め手段と、
前記収容部の開口部に嵌合されるプラグとを備え、
前記抜止め手段をプレートにより構成すると共に、
前記プレートが前記収容部の溝部から外れる方向へ移動することを前記プラグにより規制するように構成したことを特徴とする圧力検出器。 - 前記プレートを、高炭素鋼製の複数のプレートにより構成したことを特徴とする請求項1記載の圧力検出器。
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