JP3684190B2 - 旋盤用チャック装置、それに使用する把握生爪,ワーク挟持方法および把握生爪加工方法 - Google Patents
旋盤用チャック装置、それに使用する把握生爪,ワーク挟持方法および把握生爪加工方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、旋盤におけるワークの一端を挟持する旋盤用チャック装置、これに使用する把握生爪,ワーク把握方法および把握生爪加工請負い方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
旋盤に設けられ、ワークの一端を挟持する旋盤用チャック装置の一例として特開2000−326117号公報がある。この公報には、旋盤の主軸に固定されたチャックと、該チャックに設けられた案内溝に沿って半径方向に移動可能に支持され、ワークの外周面を挟持するチャック爪とからなる旋盤用チャック装置において、該チャック爪は、ワークの挟持側に当接面をV字状に設けたV字溝を有する親爪と、ワークの挟持側にワークとの挟持面を有し、非挟持側に該親爪のV字溝と嵌合する山形突起を有する子爪と、該子爪を該親爪に固定するための連結ボルトとを備え、該親爪の外側面から該当接面に向かって開口した挿通孔に、該連結ボルトを該外側面側から挿入して該子爪の山形突起に螺合させることにより該子爪を該親爪に固定した旋盤用チャック装置が記載されている。
【0003】
また、実開平2−66910号公報にはチャックにおける生爪取付装置が記載され、接合ピンが使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ワーク(加工物)を傷つけず、精度の高い商品価値を作るために生爪を成形する。またチャッキングに合った生爪を成形すれば、安全かつ安定した切削ができ、従って加工物の精度も上がる。
【0005】
従来の装置にあっては、親爪あるいは生爪本体を取付部材に固定するに当ってボルトが使用され、ボルトの頭部を利用してボルトを回転させるものである。ワークを設置する時に生爪本体を切削してワーク把持形状を形成することを行うが、このボルトの頭部を切削するわけには行かないから、生爪本体の切削した面の取付部材に対する厚さは厚くならざるを得ず、ワークの平行度を精度よく創出するのに限度があった。
また、ワークの大きさに対応するに当ってもボルトの頭部の存在のためにワークの大きさに一つの型の提供によっては対応することには困難があった。
【0006】
本発明は、かかる点鑑みて、チャックに対するワークの平行度の精度を向上し、かつワークの挟持力が大きく、製作が容易で安価な生爪を提供し、ワークの径による制限を小さくし、チャックの径を大きくすることなく径大のワークを挟持可能とする旋盤用チャック装置、これに使用する把握生爪を提供し、更にはワーク把握方法および把握生爪加工請負い方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、チャックに設けられた案内溝に沿って半径方向に移動可能に支持され、ワークの外周面を挟持する把握生爪であって、前記把握生爪を、ワークの外周面に当接する把持形状を備えた生爪本体と、該生爪本体の一片面に、把持形状方向に形成された案内溝に沿って摺動可能な摺動取付片と、および前記生爪本体と摺動取付片とに把持形状方向に向けて並設され、対向して形成された少なくとも2つのボルト孔をそれぞれ配設されて前記生爪本体と摺動取付片とを一体化するセットボルトからなり、少なくとも把持形状側のセットボルトを、生爪本体側の先端部の外周はネジ部として生爪本体側ボルト孔内面に設けたネジ部と螺合可能となし、摺動取付片側ボルト孔に段差部を設けてセットボルト他端部はボルト頭として該段差部で受けられ、生爪本体側挿入先端部にレンチ受け部を形成し、レンチで該レンチ受け部を介してセットボルトを回転することによって前記両ネジ部の螺合を行って前述した前記生爪本体と摺動取付片との一体化を行うものである旋盤用チャック装置用把握生爪を提供する。
【0008】
更に本発明は、チャックに設けられた案内溝に沿って半径方向に移動可能に支持され、ワークの外周面を挟持する複数の把握生爪によるワーク挟持方法であって、前記把握生爪は、ワークの外周面に当接する把持形状を備えた生爪本体と、該生爪本体の一片面に、把持形状方向に形成された案内溝に沿って摺動可能な摺動取付片と、および前記生爪本体と摺動取付片とに、把持形状方向に向けて並設され、対向して形成された少なくとも2つのボルト孔にそれぞれ配設されて前記生爪本体と、摺動取付片とを一体化するセットボルトから形成し、少なくとも把持形状側のセットボルトを、生爪本体側の先端部の外面のネジ部と、生爪本体側ボルト孔内面に設けたネジ部とを、生爪本体側挿入先端部に設けたレンチ受け部にレンチを挿入して該セットボルトを回転することによって螺合し、前記複数の把握生爪をチャックに取り付けた状態で、ワークの大きさに対応して前記生爪本体を2つのボルト孔方向に切削し、把持形状の形状面を1つのまたは2つのボルト孔を越えて形成してワークを挟持する把握生爪によるワーク挟持方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜図7は第1の実施例を示す図面であり、図8〜図13は第2の実施例を示す図面である。
(実施例1)図1は、把握生爪を取付ける前のチャックの構成を示す斜視図、図2は把握生爪を取付けた状態でのチャック装置の構成を示す斜視図、図3は、把握生爪にワークを取付けた状態でのチャック装置の構成を示す斜視図、図4は把握生爪の構成を示す斜視図である。
【0010】
これらの図において、旋盤(図示せず)の主軸に固定されてチャック1が設けられる。該チャック1に半径方向に設けられた溝2に爪台3が固着される。爪台3にはチャック1の面に沿って凹,凸面が形成され凹凸歯4(4a,4b)が設けられている。凹凸歯4a,4bの間に半径方向に案内溝5が形成される。この例の場合、爪台3はチャック1に図に示すように3個設けてある。
【0011】
図2に示すように、案内溝5に沿って移動可能にワークを挟持する複数の(本例の場合3個)把握生爪10(10a,10b,10c)が設けられ、支持される。この場合、把握生爪10の下面に設けた凸凹歯15と前述した凹凸歯4が噛み合わされる。
【0012】
図4に把握生爪の例を示す。この例の場合、把握生爪10は生爪本体11と摺動取付片12とで構成され、両者は2つのセットボルト13,14で一体化される。
【0013】
前述した凸凹歯15(15a,15b)は生爪本体11の下端に並列して2つ設けてある。摺動取付片12はT字状をなし、生爪本体11の一片面に設けた案内溝18にT字状の底部16が摺動案内され、T字状の横広がり頭部17が爪台3に設けた案内溝5に沿って半径方向に移動可能に案内される。
【0014】
生爪本体11の片側に形成した把持形状19(19a,19b,19c)はワーク(後述)の外周面に当接してワークを挟持することができる。
【0015】
従って、把持形状は挟持するワークの大きさ,形状によって定められる。把持形状は3つの把握生爪によって3つ形成される。
【0016】
把握生爪10をワークの大きさに対応して手動で行うが、生爪成形の加工プログラムに依存して案内溝5を半径方向に移動するようにしてもよい。この場合、移動量はコンピュータコントロールされる。
【0017】
図3は、前述した3つの把握形状19a,19b,19cによって点線で示すワーク21を把握,挟持した状態を示す。
【0018】
図5に、生爪本体11および摺動取付片12について断面を示す。生爪本体11および摺動取付片12には半径方向である挟持形状方向に2つのボルト穴31,32および33,34の形成してある。生爪本体11に設けたボルト穴31は下方内面にねじ面35が設けてあり、上方内面はほぼ同一径の通常の孔36とされる。ボルト穴32は上方内面に形成した孔37が下方内面に形成した孔38より大きくしてあり、両者間に段差部39が設けられる。
【0019】
摺動取付片12には2つのボルト穴33,34が設けられ、前述したボルト穴31,32にそれぞれ対向する。従って、ボルト穴33,34は半径方向に並列位置させるものであることが理解されよう。ボルト穴35は、図において、上方内面に形成した孔41は、下方内面に形成した孔42より小さくしてあり、両者間に段差部43が設けられる。ボルト孔34の内面はネジ部44とされる。
【0020】
図6は、摺動取付片12の製作組み立て方法および構造を示す。レンチ穴52を備えたホーローセットボルト51(イ)を(ロ)に示すように旋盤で先端部53に左ネジ切加工を行う。右ネジ切加工にしてもよいことはいうまでもない。このようにして形成したセットボルト部54を有するセットボルト13を摺動取付片本体55のボルト穴33に挿入し、他端側に製作したカラー56をはめ込み、銀ロー付(または銅ロー付)によってロー付合体させる(ニ)。これによって摺動取付片本体55にセットボルト部54を有するセットボルト13が挿入され、装着される。セットボルト13はボルト穴33内で摺動し、段差部43(図5)によってカラー56が受け止められる。他のボルト穴34に(ホ)で示すセットボルト14をねじ込み可能とする。このようにして摺動取付片12が作られる(ヘ)。この螺合は図5に示す生爪本体11との組み立て時になされる。以上の構成によれば、セットボルト13は摺動取付片12側にボルト頭が位置して、ネジ部が生爪本体11側に位置することになって従来のセットボルトとは逆配置となっていることが理解できよう。
【0021】
(ヘ)に示すように、セットボルトは先端部は左ネジ(または、右ネジ)切加工のネジ部とされ、頭部がなく、かつ内方部に上方に開口してレンチ孔52が設けられている。レンチ孔52はレンチ(図7)によってセットボルト13を回転させるためのものであり、力を伝達できればいかような形状も採用可能である。ここでは簡単説明のためにこれらをレンチ受け部と総称する。
【0022】
少なくとも把持形状側のセットボルト13を、先端部の外周はネジ部54として生爪本体11側ボルト孔内面に設けたネジ部35と螺合可能となし、摺動取付片12側ボルト孔13に段差部43を設けてセットボルト他端部はカラー56によるボルト頭として該段差部43で受けられ、他先端部である生爪本体側挿入先端部にレンチ受け部を形成し、レンチで該レンチ受け部を介してセットボルト13を回転することによって前記両ネジ部35,54の螺合を行って前述した前記生爪本体11と摺動取付片12との一体化を行う。ここで「少なくとも」としたのは、ワーク21をチャック1に近づけてセットするには、本件のように把持形状側のセットボルト13を上述した構成することは必須であるが、他側は(ホ)に示す通常のボルト頭57を有するセットボルト14を使用することが可能であることによる。しかしながら、両セットボルトを同一としてセットボルト13ように製作し、組み立てることが可能である。このようにすることによってワーク21の大きさにより以上に対応し、ワークをチャックにより以上に近づけてセットすることが可能になる。この例を第2の実施例で説明する。
(実施例2)図8は、把握生爪を取付けた状態でのチャック装置の構成を示す斜視図、図9は、把握生爪にワークを取付けた状態でのチャック装置の構成を示す斜視図、図10は把握生爪の構成を示す斜視図である。
【0023】
図11は、図8に示す構成を示し、そして図12はその側面断面図である。これらの図において、実施例1と同じ構成には同一の番号を付し、説明を繰り返さない。援用されるべきである。
【0024】
図8に示すように、案内溝5に沿って移動可能にワークを挟持する複数の(本例の場合3個)把握生爪10(10A,10B,10C)が設けられ、支持される。この場合、把握生爪10の下面に設けた凸凹歯と前述した凹凸歯4が図面には表示していないが噛み合わされる。
【0025】
図10に把握生爪の例を示す。この例の場合、把握生爪10は生爪本体11と摺動取付片12とで構成され、両者は2つのセットボルト13,14で一体化される。
【0026】
そして、摺動取付体12は、2つ割りにされた部分(後述)されたものからなる。
【0027】
前述した凸凹歯15(15a,15b)は生爪本体11の下端に並列して2つ設けてある。摺動取付片12はT字状をなし、生爪本体11の一片面に設けた案内溝18にT字状の底部16が摺動案内され、T字状の横広がり頭部17が爪台3に設けた案内溝5に沿って半径方向に移動可能に案内される。
【0028】
生爪本体11の片側に形成した把持形状19(19A,19B,19C)はワーク(後述)の外周面に当接してワークを挟持することができる。
【0029】
従って、把持形状は挟持するワークの大きさ,形状によって定められる。把持形状は3つの把握生爪によって3つ形成される。
【0030】
把握生爪10をワークの大きさに対応して手動させて移動するが、プログラムに依存して案内溝5を半径方向に移動する。移動量はコンピュータコントロールされるようにしてもよい。
【0031】
図9は、前述した3つの把握形状19A,19B,19Cによって点線で示すワーク21を把握,挟持した状態を示す。
【0032】
図10に把握生爪の例を示す。この例の場合、把握生爪10は生爪本体11と摺動取付片12とで構成され、両者は2つのセットボルト13,14で一体化される。
【0033】
前述のように凸凹歯15(15a,15b)は生爪本体11の下端に並列して2つ設けてある。摺動取付片12はT字状をなし、生爪本体11の一片面に設けた案内溝18にT字状の底部16が摺動案内され、T字状の横広がり頭部17が爪台3に設けた案内溝5に沿って半径方向に移動可能に案内される。
【0034】
生爪本体11の片側に形成した把持形状19(19A,19B,19C)はワーク21の外周面に当接してワークを挟持することができる。
【0035】
従って、把持形状は挟持するワーク21の大きさ,形状によって定められる。把持形状は3つの把握生爪によって3つ形成される。
【0036】
図11は、摺動取付体12の製作・組み立て方法および構造を示す。
【0037】
フライス盤で摺動取付片本体製作を行う。摺動取付片本体71,72の二体からなり、2つ割りした形状をなす。それぞれの摺動取付片本体71,72はそれらの合せ面73,74に2つのI型の溝75,76および77,78を有する。それぞれの溝には段差部79,80,81,82および83,84,85,86が形成される。そして、合せ面73,74の中央部に貫通する大小2つのピン孔と座付きネジ締め87,88および89,80が形成される。
【0038】
レンチ受け部となるホーロー(ボルト孔)92および左ネジ(右ネジ)切加工されたネジ部93を備えたセットボルト91を準備し(イ)、中央部を旋盤で切削加工してI型状のセットボルトとなす。(ハ)(ニ)に示すI型の溝75,76および77,78に組み込むものであり、組み込んだ時に中央部において、そして上下関係において間隙を備えて多少の移動を許容するルーズ的なものとなされる。
【0039】
このようにして摺動取付本体71,72およびセットボルト91ならびに大小2つのピンを準備し、(ハ)に示す摺動取付片本体71を前側にし、(ニ)に示す摺動取付片本体72を裏側にして合体させる。この合体にあたってI型の溝75,76および77,78にそれぞれセットボルト91を組み込む。セットボルト91を組み込んだ後に大小2つのピン94,95によって固着し、組立てを完成し、そして摺動取付片12を完成させる。
【0040】
このようにして完成した摺動取付片を、図10に示したようにして生爪本体11に摺動取付片12の組み込むことを行う。この場合に、セットボルト91のレンチ受け部を介してレンチ58(図7)によってセットボルト91の回転せしめ、把握生爪11内部のネジ部35,35Aとネジ部93,93Aとの螺合を行い、生爪本体11をしっかりと摺動取付片12に引き寄せる。このようにして把握生爪10(すなわち3本の把握生爪10A,10B,10C)がチャック1にワーク21の大きさに対応して位置付けされて固着される。(図12)
このような状態において、ワーク21の大きさに正確に対応し、これを挟持するために生爪本体11の切削を行う。この例の場合、生爪本体11内部にはセットボルト91の頭部は存在せず、生爪本体11を摺動取付片12によって、すなわち、生爪本体11の内部形成のネジ部35,93の螺合によって一体化しているため、切削幅を深く、すなわちネジ部93の先端まで、場合によってはネジ部93の先端部の一部をも切削する加工を行う。この一部切削によってもネジ螺合は残存する。これによって切削面96のチャック1の表面97に対する距離Tを著しく小さくならしめることが可能になる。距離Tを小さくすることはワーク21を把握生爪10の把持形状19によって挟持した時に、ワーク21は表面97に対して正確な平行度が創出されることになる。このことは、実施例1にもあてはまる。
【0041】
作用効果について図14および図15を使用して説明する。
【0042】
図14(イ)に従来型のワーク21の挟持方法を、そして図14(ロ)に本発明の実施例による挟持方法を示す。
【0043】
従来型のワーク挟持方法にあっては、生爪本体11Xを摺動取付片12Xに取付けるときに、セットボルト91Xの頭98Xは生爪本体11の内部に存在するために生爪本体11に対する切削加工は頭部の頭上までに限定され、切削表面、すなわちワーク表面99とチャック1の表面との距離Txはどうしても長くなる。頭部98Xの一部も切削したにしても全部を切削することは不可であるのでやはり距離Txを小さくすることに限界があった。Txという大きな距離が残された場合には、ワーク21に作用する力によってワーク21がチャック1の表面97に対し傾斜することになって平行度創出に限界があった。
【0044】
これに対して図14(ロ)に示すように、生爪本体11内部におけるネジ螺合によれば、ワーク21をネジ螺合部100の直上まで、場合にはその一部をも切削加工することが出来るのでワーク表面97とチャック1の表面97との間の距離Tを極めて小さくすることができる。このように距離Tが小さくなって、ワーク21がチャック1に対して接近するためにワーク21をチャック1に対して正確に平行度を創出して挟持することができるため、ワーク21が安定固着される。
【0045】
表1は、精度テスト結果を示す。このテストは10インチのチャックを使用し、ワーク外径260mm,長さ120mmのものを使用した。
【表1】
【0046】
この表から判るように従来型に比べて本実施例は、10倍以上の精度を出すことが可能である。その理由は、チャック表面97、すなわち旋盤の主軸にワークを近づけることが可能となることになる。これによってチャック1のオーバーハング(がたがあることによる発生分力による傾き作用)が少なくなり、ワーク21に対する加工精度を上げることができるようになる。
このように、チャック(すなわち旋盤の主軸)に対すワークの平行度の取り付け精度を向上せしめ、かつ製作が容易で安価な把握生爪が提供される。
【0047】
表2は、従来型の切削深さと本実施例切削深さとの比較を示す。図15に示すように、摺動取付片12についてA点は、チャック中央から第1のセットボルト孔(チャック中央に近い側)31付近に形成された把握形状B点は、第2のセットボルト孔32付近に形成された把持形状、C点は、第2のセットボルト孔32を越えて形成された把持形状の設けられた位置を示す。摺動取付片12の高さを40mmとした。
【表2】
【0048】
表2からワークの挟持力を従来例に比べて増大させることができることが理解されよう。また、従来型の取付方法で本実施例で示す取付方法による切削深さ27mmを達成するためには、図15において、A点をC点以上の外側に持って来なければならず、摺動取付片12の外径を256mm程にも大きくしなければならない。
本実施例にあっては、このように摺動取付片12を大径化する必要がない。
【0049】
次に従来型の取付方法で使用された使用済の把握生爪の再生方法および再生請負方法について説明する。
前述のように、切削深さが浅くして使用された従来型の把握生爪が多数存する。これらの把握生爪は使用済生爪として廃棄処理される。各メーカを統合するとその数は大きなものとなる。
【0050】
しかしながら、このような使用済生爪を本発明を採用することによって再使用が可能になる。図16(イ)は使用済生爪を示し、図16(ロ)は再使用のために加工された生爪本体を示す。
【0051】
図16(ロ)は、再使用済の生爪本体101に対して既存のセットボルト孔103、104を使用して、下方部において下方からタップ加工することによりネジ部105,106を設けることを示す。この場合、図16(イ)に示す仕様をコンピュータである処理装置の記憶媒体(図示せず)に記憶しておくことができる。このネジ部105,106に合わせた前述した構造のセットボルトを使用する。摺動取付片を上述したように製作することによって把握生爪を再生が可能になる。この時、記憶媒体に記憶した仕様を参照して囲う位置を決めることができる。
【0052】
この場合に、各メーカから再生加工を請負うことにして安価に再生を行うことができる。
【0053】
すなわち、この方法によれば、ワークの外周面に当接する把持形状を備えた生爪本体と、該生爪本体の一片面に、把持形状方向に形成された案内溝に沿って摺動可能な摺動取付片と、および前記生爪本体と摺動取付片とに、把持形状方向に向けて並設され、対向して形成された少なくとも2つのボルト孔にそれぞれ配設されて前記生爪本体と摺動取付片とを一体化するセットボルトとからなり、ワークを旋盤のチャックに固定して一度切削に使用した把握生爪の加工方法であり、把持形状側のセットボルトおよび把持形状反対側のセットボルトのそれぞれを、先端部の外面のネジ部と、生爪本体側ボルト孔内面であって、一度切削した把握生爪のボルト孔を利用して設けたネジ部とを、生爪本体側ボルト孔挿入先端部に設けたレンチ受け部にレンチを挿入して該セットボルトを回転することによって螺合するように加工する把握生爪再生方法あるいは業務を請負う把握生爪加工請負い方法が提案される。
【0054】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、生爪本体を深く切削加工することができ、これによってワークとチャックの主軸との距離を短くすることができ、すなわちワークをチャックの主軸に対して正確な平行度を創出して挟持して、ワークの切削加工を行うことができるようになる。
【0055】
また、本発明によれば、使用済の把握生爪を再生加工し、再使用することができ、これによって新たなビジネスを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における把握生爪をチャックに取り付ける前の状態を示す状態図。
【図2】把握生爪をチャックに取り付けた状態を示す状態図。
【図3】ワークを取り付けた状態を示す状態図。
【図4】把握生爪の構成を示す斜視図。
【図5】生爪本体と摺動取付片との組み立て前の状態を示す構成図。
【図6】摺動取付片の製作方法および構造を示す図。
【図7】レンチの構成図。
【図8】実施例2におけるチャックに把握生爪を取り付けた状態を示す状態図。
【図9】ワークを取り付けた状態を示す状態図。
【図10】その他の把握生爪の構成を示す構成図。
【図11】その他の摺動取付片の製作方法および構造を示す図。
【図12】把握生爪を取り付け、ワークを挟持する直前の状態を示す側面断面図。
【図13】図12の正面図。
【図14】作用効果を説明するための図。
【図15】把握形状の形成位置を示す図。
【図16】再生加工方法を示す図。
【符号の説明】
1…チャック、2…溝、3…爪台、4…凹凸歯、5…案内溝、10…把握生爪、11…生爪本体、12…摺動取付片、13,14…セットボルト、15…凸凹歯、16…底部、17…頭部、18…溝、19…把持形状、21…ワーク、54…セットボルト部(ネジ部)。
Claims (7)
- 旋盤の主軸に固定されたチャックと、該チャックに設けられた案内溝に沿って半径方向に移動可能に支持され、ワークの外周面を挟持する複数の把握生爪とを備えた旋盤用チャック装置において、
前記把握生爪が、ワークの外周面に当接する把持形状を備えた生爪本体と、該生爪本体の一片面に、把持形状方向に形成された案内溝に沿って摺動可能な摺動取付片と、および前記生爪本体と前記摺動取付片とに把持形状方向に向けて並設され、対向して形成された少なくとも2つのボルト孔にそれぞれ配設されて前記生爪本体と前記摺動取付片とを一体化するセットボルトとから構成され、
前記2つのボルト孔の一方である前記摺動取付片のボルト孔の両側に段差部を設け、
少なくとも把持形状側のセットボルトは、生爪本体側に位置する端部に外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部と、他端部に設けられたボルト頭を有し、前記外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部は前記摺動取付片のボルト孔の径よりも大きなものとされて前記段差部の一方で受けられ、前記ボルト頭は前記摺動取付片のボルト孔の径よりも大きなものとされて前記段差部の他方で受けられ、前記摺動取付片のボルト孔内で摺動可能とされて前記摺動取付片内に組み込まれ、かつ前記外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部は生爪本体側に設けた内面ネジ部と螺合可能とされ、
前記セットボルトの生爪本体側挿入先端部にレンチ受け部が形成され、レンチで該レンチ受け部を介して前記組み込まれたセットボルトが回転されることによって前記外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部と前記内面ネジ部の螺合が行われて前記生爪本体と前記摺動取付片との一体化が行われるものであること
を特徴とする旋盤用チャック装置。 - チャックに設けられた案内溝に沿って半径方向に移動可能に支持され、ワークの外周面を挟持する把握生爪であって、
前記把握生爪が、ワークの外周面に当接する把持形状を備えた生爪本体と、該生爪本体の一片面に、把持形状方向に形成された案内溝に沿って摺動可能な摺動取付片と、および前記生爪本体と摺動取付片とに把持形状方向に向けて並設され、対向して形成された少なくとも2つのボルト孔にそれぞれ配設されて前記生爪本体と前記摺動取付片とを一体化するセットボルトとから構成され、
前記2つのボルト孔の一方である前記摺動取付片のボルト孔の両側に段差部を設け、
少なくとも把持形状側のセットボルトは、生爪本体側に位置する端部に外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部と、他端部に設けられたボルト頭を有し、前記外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部は前記摺動取付片のボルト孔の径よりも大きなものとされて前記段差部の一方で受けられ、前記ボルト頭は前記摺動取付片のボルト孔の径よりも大きなものとされて前記段差部の他方で受けられ、前記摺動取付片のボルト孔内で摺動可能とされて前記摺動取付片内に組み込まれ、かつ前記外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部は生爪本体側に設けた内面ネジ部と螺合可能とされ、
前記セットボルトの生爪本体側挿入先端部にレンチ受け部が形成され、レンチで該レンチ受け部を介して前記組み込まれたセットボルトが回転されることによって前記外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部と前記内面ネジ部の螺合が行われて前述した前記生爪本体と前記摺動取付片との一体化が行われるものであること
を特徴とする旋盤用チャック装置用把握生爪。 - 請求項1において、把持形状側の反対側にセットされるセットボルトも把持形状側のセットボルトと実質的に同様構成としたことを特徴とする旋盤用チャック装置用把握生爪。
- 請求項2または3において、
ボルト頭をカラーで形成し、ボルトにロー付で合体せしめたことを特徴とする旋盤用チャック装置用把握生爪。 - 請求項2または3において、
前記摺動取付片を並設した2つのボルト孔に沿って2つ割となし、両者をピン手段で合体することを特徴とする旋盤用チャック装置用把握生爪。 - チャックに設けられた案内溝に沿って半径方向に移動可能に支持され、ワークの外周面を挟持する複数の把握生爪によるワーク挟持方法であって、
前記把握生爪を、ワークの外周面に当接する把持形状を備えた生爪本体と、該生爪本体の一片面に、把持形状方向に形成された案内溝に沿って摺動可能な摺動取付片と、および前記生爪本体と前記摺動取付片とに、把持形状方向に向けて並設され、対向して形成された少なくとも2つのボルト孔にそれぞれ配設されて前記生爪本体と、前記摺動取付片とを一体化するセットボルトとから形成し、
前記2つのボルト孔である前記摺動取付片のボルト孔の両側に段差部を形成し、
少なくとも把持形状側のセットボルトの端部に外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部を外径が前記摺動取付片のボルト孔の径よりも大きなものに形成して前記段差部の一方で受け、セットボルトの他端部にボルト頭を外径が前記摺動取付片のボルト孔の径よりも大きなものに形成して、前記段差部の他方で受けて該セットボルトを摺動取付片内に組み込み、
前記セットボルトの生爪本体側挿入先端部にレンチ受け部を形成し、レンチで該レンチ受け部を介して前記組み込まれたセットボルトを回転することによって前記外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部と内面ネジ部の螺合を行って前記生爪本体と前記摺動取付片との一体化を行い、
前記複数の把握生爪をチャックに取り付けた状態で、ワークの大きさに対応して前記生爪本体を2つのボルト孔方向に切削し、把持形状の形状面を1つのまたは2つのボルト孔を越えて形成してワークを挟持すること
を特徴とする把握生爪によるワーク挟持方法。 - ワークの外周面に当接する把持形状を備えた生爪本体と、該生爪本体の一片面に、把持形状方向に形成された案内溝に沿って摺動可能な摺動取付片と、および前記生爪本体と前記摺動取付片とに、把持形状方向に向けて並設され、対向して形成された少なくとも2つのボルト孔にそれぞれ配設されて前記生爪本体と前記摺動取付片とを一体化するセットボルトとからなり、ワークを旋盤のチャックに固定して一度切削に使用した把握生爪の加工方法であり、
前記2つのボルト孔である前記摺動取付片のボルト孔の両側に段差部を形成し、
少なくとも把持形状側のセットボルトの端部に外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部を外径が前記摺動取付片のボルト孔の径よりも大きなものに形成して前記段差部の一方で受け、セットボルトの他端部にボルト頭を外径が前記摺動取付片のボルト孔の径よりも大きなものに形成して、前記段差部の他方で受けて該セットボルトを摺動取付片内に組み込み、
前記セットボルトの生爪本体側挿入先端部にレンチ受け部を形成し、レンチで該レンチ受け部を介して前記組み込まれたセットボルトを回転することによって前記外周がネジ部とされて設けられた該ネジ部と内面ネジ部の螺合を行って前記生爪本体と前記摺動取付片との一体化を行うこと、
を特徴とする把握生爪加工方法。
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