JP3684082B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングホイール等の操作部材の操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータの動きを、転舵角が変化するように車輪に伝達可能な車両の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
ステアリングホイールの操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータの動きを、ステアリングギヤにより転舵角が変化するように車輪に伝達することで、その回転操作部材をステアリングギヤに機械的に連結することなく操舵することが可能な車両の操舵装置がある。
【0003】
その操舵装置は、そのステアリングホイールの操作角を検出する操作角センサと、車速を検出する速度センサと、車輪の転舵角を検出する転舵角センサと、それらセンサに接続される制御装置を有する。その制御装置は、その操作角と車速と目標転舵角との間の予め定められた相関関係を記憶し、その相関関係と検出操作角と検出車速とに基づき目標転舵角を演算し、その目標転舵角と検出転舵角との偏差をなくすように操舵用アクチュエータをフィードバック制御する。
【0004】
上記操舵装置では、カーブ走行時における速度超過やドライバーの運転ミス等により車両挙動が不安定になると、車両がスピンやドリフトを起こし、ドライバーの意図に沿って操舵することができなくなる。
【0005】
そのような不安定な車両挙動を防ぐため、車両の制動力や駆動力を制御する技術がある。しかし、その制動力や駆動力の制御は、タイヤのグリップ力が飽和する車両の運動限界近傍で行われる。そのようにタイヤのグリップ力に余裕がない場合、車両挙動の安定化を確実に図ることができない。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することのできる車両の操舵装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、操作部材の操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータの動きを、転舵角が変化するように車輪に伝達可能な車両の操舵装置において、車両の横加速度とヨーレートに相関する変量として、少なくとも操作部材の操作入力値と車速を検出する手段と、その車両の横加速度を検出する手段と、その車両のヨーレートを検出する手段と、その変量に応じて定められる目標横加速度から検出横加速度を差し引いた偏差と、その変量に応じて定められる目標ヨーレートから検出ヨーレートを差し引いた偏差を打ち消すように、その操舵用アクチュエータを制御するステアリング系制御装置とを備えることを特徴とする。
本発明の構成によれば、車両の横加速度とヨーレートに相関する変量として少なくとも操作部材の操作入力値と車速を検出することで、車両における挙動を安定化する上で規範となる目標横加速度と目標ヨーレートを定めることができる。その目標横加速度から実際の横加速度を差し引いた偏差と、目標ヨーレートから実際のヨーレートを差し引いた偏差を打ち消すように操舵用アクチュエータを制御することで、車両が運動限界近傍に達する前に車両挙動の安定化を図ることができる。その車両の横加速度とヨーレートに相関する変量に対する目標横加速度と目標ヨーレートの相関関係は予め定めておけばよい。
【0008】
前記操舵用アクチュエータの動きをステアリングギヤにより、そのステアリングギヤに前記操作部材を機械的に連結することなく、前記車輪に伝達可能であるのが好ましい。
これにより、操作部材とステアリングギヤを機械的に連結することなく操舵を行う車両に本発明を適用できる。
【0009】
その操舵用アクチュエータの出力値を検出する出力値センサを備え、前記ステアリング系制御装置により、操作入力値と車速と目標横加速度との間の予め定められた相関関係が記憶されると共に、その相関関係と検出操作入力値と検出車速とに基づき目標横加速度が演算され、その目標横加速度から検出横加速度を差し引いた偏差により横加速度に基づく目標出力値が演算され、その目標横加速度から検出ヨーレートと検出車速の積を差し引いた偏差または、その目標横加速度を検出車速で除した商から検出ヨーレートを差し引いた偏差に基づきヨーレートに基づく目標出力値が演算され、その横加速度に基づく目標出力値とヨーレートに基づく目標出力値の和に対応する目標出力値から操舵用アクチュエータの出力値を差し引いた偏差から操舵用アクチュエータの制御量が演算され、その制御量に応じて操舵用アクチュエータが駆動されるのが好ましい。
この構成によれば、目標横加速度から検出ヨーレートと検出車速の積を差し引いた偏差または、その目標横加速度を検出車速で除した商から検出ヨーレートを差し引いた偏差に基づき、ヨーレートに基づく目標出力値が求められる。車両における横加速度はヨーレートと車速の積に対応することから、その目標横加速度から検出ヨーレートと検出車速の積を差し引いた偏差または、その目標横加速度を検出車速で除した商から検出ヨーレートを差し引いた偏差は、目標ヨーレートから検出ヨーレートを差し引いた偏差と検出車速との積に対応する。これにより、その目標横加速度から検出横加速度を差し引いた偏差を打ち消すように横加速度に基づく目標出力値を求め、その目標ヨーレートから検出ヨーレートを差し引いた偏差を打ち消すようにヨーレートに基づく目標出力値を求め、両目標出力値の和から検出出力値を差し引いた偏差を打ち消すように操舵用アクチュエータの制御量を求めることができる。よって、より確実に車両挙動の安定化を図ることができる。
【0010】
前記操作入力値が操作部材の操作角度または操作部材の操作トルクに対応し、前記操舵用アクチュエータの出力値が車輪の転舵角に対応するのが好ましい。
これにより、操作部材の操作角度に応じて転舵角を変化させる場合、または、操作部材に作用させる操作トルクに応じて転舵角を変化させる場合に、本発明を適用して車両挙動の安定化を図ることができる。
【0011】
その検出横加速度、検出ヨーレート、操舵用アクチュエータの検出出力値の中の少なくとも一つが飽和状態か否かを判断する手段と、その検出横加速度、検出ヨーレート、操舵用アクチュエータの検出出力値の中の少なくとも一つが飽和状態である時に、操舵用アクチュエータの目標出力値を規制する手段とを有するのが好ましい。
これにより、走行路と車両との間の摩擦抵抗の低下等により、操舵により発生可能な横加速度やヨーレートの最大値が減少しても、転舵角が発散するのを防止して車両挙動の安定化を図ることができる。
【0012】
その目標横加速度から実際に車両に作用する横加速度を差し引いた偏差および、その目標ヨーレートから実際に車両に作用するヨーレートを差し引いた偏差の中の少なくとも一方を打ち消すように、その車両の制動力および駆動力の中の少なくとも一方を制御可能な走行系制御装置を有し、前記ステアリング系制御装置による制御の重みと、その走行系制御装置による制御の重みの割合が予め定められているのが好ましい。
これにより、走行路と車両との間の摩擦抵抗の低下等により、操舵により発生可能な横加速度やヨーレートの最大値が減少しても、制動力および駆動力の中の少なくとも一方の制御を操舵制御と干渉することなく行うことで、車両挙動が不安定になるのを防止できる。また、操舵制御のみであれば、車輪が実際に転舵するまで車両挙動の安定化を図ることができないため、車輪のタイヤの弾性による制御遅れがあるのに対して、制動力および駆動力の中の少なくとも一方の制御によれば車輪のタイヤの弾性による制御遅れはないので、迅速に車両挙動を安定化できる。
【0013】
その検出横加速度、検出ヨーレート、操舵用アクチュエータの検出出力値の中の少なくとも一つが飽和状態か否かを判断する手段と、その検出横加速度、検出ヨーレート、操舵用アクチュエータの検出出力値の中の少なくとも一つが飽和状態である時に、その目標横加速度から実際に車両に作用する横加速度を差し引いた偏差および、その目標ヨーレートから実際に車両に作用するヨーレートを差し引いた偏差の中の少なくとも一方を打ち消すように、その車両の制動力および駆動力の中の少なくとも一方を制御可能な走行系制御装置を有し、前記ステアリング系制御装置による制御の重みと、その走行系制御装置による制御の重みの割合が、検出横加速度、検出ヨーレート、操舵用アクチュエータの検出出力値の中の何れか一つと目標値との偏差に応じて可変とされているのが好ましい。
これにより、走行路と車両との間の摩擦抵抗の低下等により、操舵により発生可能な横加速度やヨーレートの最大値が減少しても、制動力および駆動力の中の少なくとも一方の制御を操舵制御と干渉することなく行なって車両挙動が不安定になるのを防止でき、また、車輪のタイヤの弾性に基づく制御遅れなしに迅速に車両挙動を安定化できる。さらに、車両挙動が不安定になるおそれが高い程に走行系制御装置による制御の重みを大きくすることで、より迅速に車両挙動を安定化できる。
【0014】
操作部材が自然状態であって車速が零の時に、操作入力値検出手段により検出された操作入力値と出力値センサにより検出された操舵用アクチュエータの出力値とが一致するように、操舵用アクチュエータが駆動可能とされ、その検出された操作入力値と検出された操舵用アクチュエータの出力値が一致した時点での操作入力値検出手段の出力値が基準出力値とされ、その操作入力値検出手段の出力値が基準出力値である時の操作入力値を零として、その操作部材の操作に応じて操舵用アクチュエータを制御する際に、車両走行中に時系列にサンプリングした操作入力値検出手段の出力値を統計的に処理することで、その操作入力値検出手段の出力値は直進走行時における値になる頻度が最大であることに基づき、直進走行時における操作入力値検出手段の出力値の近似値を求め、その求めた近似値を新たな基準出力値とするのが好ましい。
これにより、操作入力値検出手段の検出値が経時変化したり製造公差により一定でない場合でも、操作部材が直進操舵位置である時の検出操作入力値の零からのオフセットが増大することはない。よって、操作部材が直進操舵位置であれば操舵用アクチュエータが駆動されることはなく、直進走行を行うために操作部材が回転しないように保持する必要がなく、直進走行性の悪化を防止できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に示す車両の操舵装置は、ステアリングホイール(操作部材)1の回転操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータ2の動きを、ステアリングギヤ3により転舵角が変化するように前部左右車輪4に伝達することで、そのステアリングホイール1をステアリングギヤ3に機械的に連結することなく操舵する。
【0016】
その操舵用アクチュエータ2は、例えば公知のブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。そのステアリングギヤ3は、その操舵用アクチュエータ2の出力シャフトの回転運動をステアリングロッド7の直線運動に変換する運動変換機構を有する。そのステアリングロッド7の動きは、タイロッド8とナックルアーム9を介して車輪4に伝達される。このステアリングギヤ3は、公知のものを用いることができ、操舵用アクチュエータ2の動きを車輪4の転舵角に変換できれば構成は限定されない。なお、操舵用アクチュエータ2が駆動されていない状態では、車輪4がセルフアライニングトルクにより直進操舵位置に復帰できるようにホイールアラインメントが設定されている。
【0017】
そのステアリングホイール1は、車体側により回転可能に支持される回転シャフト10に連結されている。そのステアリングホイール1を操舵するのに要する操舵反力を作用させるため、その回転シャフト10にトルクを付加する反力アクチュエータ19が設けられている。その反力アクチュエータ19は、その回転シャフト10と一体の出力シャフトを有するブラシレスモータ等の電動モータにより構成できる。
【0018】
ステアリングホイール1を直進操舵位置に復帰させる方向の弾力を付与する弾性部材30が設けられている。この弾性部材30は、例えば、回転シャフト10に弾力を付与する渦巻きバネにより構成できる。上記反力アクチュエータ19が回転シャフト10にトルクを付加していない時、その弾力によりステアリングホイール1は直進操舵位置に復帰する。
【0019】
ステアリングホイール1の操作入力値として、その回転シャフト10の回転角に対応する操作角δhを検出する角度センサ11が設けられている。そのステアリングホイール1の操作トルクTとして、その回転シャフト10により伝達されるトルクを検出するトルクセンサ12が設けられている。
【0020】
その操舵用アクチュエータ2の出力値を検出する出力値センサとして、その操舵用アクチュエータ2によるステアリングロッド7の作動量に対応する車輪4の転舵角δを検出するポテンショメータにより構成される転舵角センサ13が設けられている。
【0021】
その角度センサ11とトルクセンサ12と転舵角センサ13は、コンピュータにより構成されるステアリング系制御装置20に接続される。その制御装置20に、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサ15と、車両のヨーレートγを検出するヨーレートセンサ16と、車速vを検出する速度センサ14が接続されている。なお、その横加速度Gyとヨーレートγに相関する変量として、操作角δhと車速v以外に、例えば車輪速を検出するセンサを制御装置20に接続してもよい。
【0022】
その制御装置20は、駆動回路22、23を介して上記操舵用アクチュエータ2と反力アクチュエータ19を制御する。図2は、車速が零でない場合における制御装置20の制御ブロック図を示す。
【0023】
その制御ブロック図において、Gyは横加速度の検出値、Gy* は横加速度の目標値、γはヨーレートの検出値、δは転舵角の検出値、δG * は横加速度に基づく転舵角の目標値、δγ* はヨーレートに基づく転舵角の目標値、δ* は転舵角の目標値、δhは操作角の検出値、vは車速の検出値、Tは操作トルクの検出値、T* は操作トルクの目標値、i* は操舵用アクチュエータ2の駆動電流の目標値、ih* は反力アクチュエータ19の駆動電流の目標値を示す。
【0024】
K1は検出操作角δhに対する目標横加速度Gy* のゲインであり、Gy* =K1・δhの関係より目標横加速度Gy* が求められる。このゲインK1は、最適な制御を行えるように調整される。発生可能な横加速度は車速が小さくなると小さくなることから、そのゲインK1は車速vの関数とされている。すなわち、その目標横加速度Gy* は車速vに応じて定められる。本実施形態では、図3に示すように、目標横加速度Gy* の最大値Gymax * は、一定車速va(例えば40km/時)未満までは車速vに応じて増加し、一定車速va以上では一定とされる。すなわち、制御装置20によって、操作角δhと車速vと目標横加速度Gy* との間の予め定められた相関関係が記憶されると共に、その相関関係と検出操作角δhと検出車速vとに基づき目標横加速度Gy* が演算される。
【0025】
K2は検出操作角δhに対する目標操作トルクT* のゲインであり、T* =K2・δhの関係より目標操作トルクT* が求められる。このゲインK2は最適な制御を行えるように調整される。
なお、検出操作角δhに代えて検出操作トルクTを用い、T* =K2・Tの関係より目標操作トルクT* を求めるようにしてもよい。
【0026】
G1は、目標横加速度Gy* から検出横加速度Gyを差し引いた偏差に対する横加速度に基づく目標転舵角δG * の伝達関数である。すなわち、δG * =G1・(Gy* −Gy)の関係より横加速度に基づく目標転舵角δG * が求められる。この伝達関数G1は、例えばPI制御を行う場合、ゲインをKa、ラプラス演算子をs、時定数をTaとして、G1=Ka〔1+1/(Ta・s)〕になる。そのゲインKa及び時定数Taは最適な制御を行えるように調整される。すなわち、制御装置20によって、目標横加速度Gy* から横加速度Gyを差し引いた偏差と横加速度Gyに基づく目標転舵角δG * との間の予め定められた相関関係が記憶されると共に、その相関関係と目標横加速度Gy* と検出横加速度Gyとに基づき横加速度に基づく目標転舵角δG * が演算される。
【0027】
G2は、目標横加速度Gy* から検出ヨーレートγと検出車速vの積γ・vを差し引いた偏差に対するヨーレートに基づく目標転舵角δγ* の伝達関数である。ここで、図4において矢印40で示す方向に車速vで旋回する車両100に、矢印41で示す方向に作用する目標横加速度Gy* と矢印42で示す方向に作用する目標ヨーレートγ* との関係は、Gy* =γ* ・vである。よって、目標横加速度Gy* が車速vに応じて定められることで、γ* =Gy* /vから目標ヨーレートγ* も車速vに応じて定められる。これにより、δγ* =G2・v・(γ* −γ)の関係より、その目標ヨーレートγ* と検出ヨーレートγの偏差を打ち消すようにヨーレートに基づく目標転舵角δγ* が求められる。この伝達関数G2は、例えばPI制御を行う場合、ゲインをKb、ラプラス演算子をs、時定数をTbとして、G2=Kb〔1+1/(Tb・s)〕になる。そのゲインKbおよび時定数Tbは最適な制御を行えるように調整される。すなわち、制御装置20によって、目標横加速度Gy* からヨーレートγと車速vの積を差し引いた偏差とヨーレートγに基づく目標転舵角δγ* との間の予め定められた相関関係が記憶されると共に、その相関関係と目標横加速度Gy* と検出ヨーレートγと検出車速vとに基づきヨーレートに基づく目標転舵角δγ* が演算される。
【0028】
G3は、目標転舵角δ* から検出転舵角δを差し引いた偏差に対する操舵用アクチュエータ2の目標駆動電流i* の伝達関数である。すなわち、i* =G3・(δ* −δ)の関係より操舵用アクチュエータ2の目標駆動電流i* が求められる。ここでは、その目標転舵角δ* は操舵用アクチュエータ2の目標出力値に対応し、上記横加速度に基づく目標転舵角δG * とヨーレートに基づく目標転舵角δγ* の和であり、δ* =δG * +δγ* より求められる。この伝達関数G3は、例えばPI制御を行う場合、ゲインをKc、ラプラス演算子をs、時定数をTcとして、G3=Kc〔1+1/(Tc・s)〕になる。そのゲインKcおよび時定数Tcは最適な制御を行えるように調整される。すなわち、制御装置20によって、横加速度に基づく目標転舵角δG * とヨーレートに基づく目標転舵角δγ* の和に対応する目標転舵角δ* から検出転舵角δを差し引いた偏差と操舵用アクチュエータ2の制御量である目標駆動電流i* との間の予め定められた相関関係が記憶されると共に、その相関関係と目標転舵角δ* と検出転舵角δとから目標駆動電流i* が演算され、その目標駆動電流i* に応じて操舵用アクチュエータ2が駆動される。これにより、車速vに応じて定められる目標横加速度Gy* から検出横加速度Gyを差し引いた偏差と、その車速vに応じて定められる目標ヨーレートγ* から検出ヨーレートγを差し引いた偏差を打ち消すように、その操舵用アクチュエータ2が制御される。
【0029】
G4は、目標操作トルクT* から検出操作トルクTを差し引いた偏差に対する反力アクチュエータ19の目標駆動電流ih* の伝達関数である。すなわち、ih* =G4・(T* −T)の関係より反力アクチュエータ19の目標駆動電流ih* が求められる。この伝達関数G4は、例えばPI制御を行う場合、ゲインをKd、ラプラス演算子をs、時定数をTdとして、G4=Kd〔1+1/(Td・s)〕になる。そのゲインKdおよび時定数Tdは最適な制御を行えるように調整される。
【0030】
図5は、車速が零の場合における制御装置20の制御ブロック図を示す。この場合、車両の横加速度とヨーレートは生じないので、K3を検出操作角δhに対する目標転舵角δ* のゲインとして、δ* =K3・δhの関係より目標転舵角δ* が求められる。このゲインK3は、最適な制御を行えるように調整される。
【0031】
図6のフローチャートを参照して上記制御装置20による制御手順を説明する。
【0032】
まず、各センサによる車速v、横加速度Gy、ヨーレートγ、転舵角δ、操作角δh、操作トルクTの検出データが読み込まれる(ステップ1)。
次に、検出操作角δhに応じて求められる目標操作トルクT* から検出操作トルクTを差し引いた偏差が零になるように、反力アクチュエータ19の目標駆動電流ih* が求められる(ステップ2)。その目標駆動電流ih* が印加されることで反力アクチュエータ19が駆動される。
【0033】
次に、車速vが零か否かが判断される(ステップ3)。
車速が零でない場合、検出操作角δhと車速vから目標横加速度Gy* が求められ、その目標横加速度Gy* から検出横加速度Gyを差し引いた偏差が零になるように横加速度に基づく目標転舵角δG * が求められ、その目標横加速度Gy* に対応する目標ヨーレートγ* と検出車速vの積から検出ヨーレートγと検出車速vの積を差し引いた偏差が零になるように、すなわち、目標ヨーレートγ* から検出ヨーレートγを差し引いた偏差が零になるようにヨーレートに基づく目標転舵角δγ* が求められ、その横加速度に基づく目標転舵角δG * とヨーレートに基づく目標転舵角δγ* の和により目標転舵角δ* が求められる(ステップ4)。
車速が零である場合、検出操作角δhから目標転舵角δ* が求められる(ステップ5)。
【0034】
次に、目標転舵角δ* から検出転舵角δを差し引いた偏差が零になるように、操舵用アクチュエータ2の目標駆動電流i* が求められる(ステップ6)。その目標駆動電流i* が印加されることで操舵用アクチュエータ2が駆動される。
次に、制御を終了するか否かを判断し(ステップ7)、終了しない場合はステップ1に戻る。その終了判断は、例えば車両の始動用キースイッチがオンか否かにより判断できる。
【0035】
上記実施形態によれば、ステアリングホイール1とステアリングギヤ3を機械的に連結することなく操舵を行う車両において、操作角δhと車速vに対する目標横加速度Gy* の相関関係と、操作角δhと車速vに対する目標ヨーレートγ* の相関関係は予め定められる。これにより、操作角δhと車速vを検出することで、目標横加速度Gy* と目標ヨーレートγ* を定めることができる。その目標横加速度Gy* から実際の横加速度Gyを差し引いた偏差と、目標ヨーレートγ* から実際のヨーレートγを差し引いた偏差を打ち消すように操舵用アクチュエータ2を制御することで、車両が運動限界近傍に達する前に車両挙動の安定化を図ることができる。
【0036】
また、その目標横加速度Gy* から検出ヨーレートγと検出車速vの積を差し引いた偏差に基づき、ヨーレートに基づく目標転舵角δγ* が求められる。車両における横加速度はヨーレートと車速の積に対応することから、その目標横加速度Gy* から検出ヨーレートγと検出車速vの積を差し引いた偏差は、目標ヨーレートγ* から検出ヨーレートγを差し引いた偏差と検出車速vとの積に対応する。これにより、その目標横加速度Gy* から検出横加速度Gyを差し引いた偏差を打ち消すように横加速度に基づく目標転舵角δG * を求め、その目標横加速度Gy* から検出ヨーレートγと検出車速vの積を差し引いた偏差、すなわち、目標ヨーレートγ* から検出ヨーレートγを差し引いた偏差を打ち消すようにヨーレートに基づく目標転舵角δγ* を求め、両目標転舵角δG * 、δγ* の和から検出転舵角δを差し引いた偏差を打ち消すように操舵用アクチュエータ2の制御量を求め、確実に車両挙動の安定化を図ることができる。
【0037】
図7は上記実施形態の第1変形例のフローチャートを示す。なお、上記実施形態との相違点を説明し、同様部分は同一符号で示して説明は省略する。
【0038】
路面凍結等による走行路と車両との間の摩擦抵抗の低下等により、操舵により発生可能な横加速度Gyやヨーレートγの最大値が減少すると、横加速度Gyやヨーレートγや転舵角δが目標横加速度Gy* や目標ヨーレートγ* や目標転舵角δ* に達することのない飽和状態になる。そのような飽和状態になると転舵角δが発散して車両挙動が不安定になる。
【0039】
そこで、この第1変形例では、ステップ4において目標転舵角δ* を求めたならば、検出横加速度Gy、検出ヨーレートγ、検出転舵角δの中の少なくとも一つが飽和状態か否かを判断する(ステップ4a)。例えば、予め定めた時間における積分値∫(Gy* −Gy)dt、∫(γ* −γ)dt、あるいは∫(δ* −δ)dtが、予め定めた一定値を超えた場合は飽和状態であると判定する。ステップ4aにおいて飽和状態でなければステップ6に進む。ステップ4aにおいて飽和状態であれば、ステップ4において求めた目標転舵角δ* を規制する(ステップ4b)。例えば、目標転舵角δ* の上限値を定め、ステップ4において求めた目標転舵角δ* が上限値を超える場合は上限値に置き換える。しかる後にステップ6に進む。これにより、転舵角δが発散するのを防止して車両挙動の安定化を図ることができる。他は上記実施形態と同様とされる。
【0040】
図8〜図11は上記実施形態の第2変形例を示す。なお、上記実施形態との相違点を説明し、同様部分は同一符号で示して説明は省略する。
【0041】
この第2変形例においては、図8に示すように、車両の前後左右車輪4を制動するための制動システムが操舵装置に接続される。すなわち、ブレーキペダル51の踏力に応じた制動圧をマスターシリンダ52により発生させる。その制動圧は、制動圧制御ユニット53により増幅されると共に各車輪4のブレーキ装置54に分配され、各ブレーキ装置54が各車輪4に制動力を作用させる。その制動圧制御ユニット53は、コンピューターにより構成される走行系制御装置60に接続される。この走行系制御装置60に、ステアリング系制御装置20と、各車輪4それぞれの制動力を個別に検出する制動力センサ61と、各車輪4それぞれの回転速度を個別に検出する車輪速センサ62が接続される。この走行系制御装置60は、その車輪速センサ62により検知される各車輪4の回転速度と制動力検知センサ61によるフィードバック値に応じて、制動圧を増幅すると共に分配することができるように制動圧制御ユニット53を制御する。これにより、各車輪の制動力を個別に制御することが可能とされている。なお、制動圧制御ユニット53は、ブレーキペダル51の操作がなされていない場合でも、内蔵するポンプにより制動圧を発生することが可能とされている。
【0042】
その走行系制御装置60は、図9に示すように、その走行系制御装置60に検出横加速度Gy、検出ヨーレートγ、検出車速v、転舵角δが入力され、また、ステアリング系制御装置20から目標横加速度Gy* 、横加速度に基づく目標転舵角δG * 、ヨーレートに基づく目標転舵角δγ* が入力される。なお、走行系制御装置60において、目標横加速度Gy* 、横加速度に基づく目標転舵角δG * 、ヨーレートに基づく目標転舵角δγ* を演算するようにしてもよい。
【0043】
この第2変形例では、目標横加速度Gy* から検出横加速度Gyを差し引いた偏差と、目標ヨーレートγ* から検出ヨーレートγを差し引いた偏差を打ち消すために、ステアリング系制御装置20により操舵用アクチュエータ2を制御するだけでなく、走行系制御装置60により制動圧制御ユニット53を制御する。この際、そのステアリング系制御装置20による制御の重みαと走行系制御装置60による制御の重みβの割合は予め定められる。
【0044】
これにより、ステアリング系制御装置20においては、図10のフローチャートに示すように、ステップ4において求めた目標転舵角δ* に、そのステアリング系制御装置20による制御の予め設定した重み割合α/(α+β)を掛けた値を新たな目標転舵角δ* とし(ステップ4a′)、その新たな目標転舵角δ* に基づきステップ6において操舵用アクチュエータ2の駆動電流の目標値を演算する。その重み割合α/(α+β)は、例えば0.5に設定される。この重み割合α/(α+β)の設定値は変更可能であってもよく、凍結路面や雪道を走行する場合は通常路面を走行する場合よりも小さく設定するのが好ましい。
【0045】
一方、走行系制御装置60においては、そのステップ4において求めた目標転舵角δ* に、その走行系制御装置60による制御の重み割合β/(α+β)を掛けた値を新たな目標転舵角δ* とし、その新たな目標転舵角δ* と検出転舵角δの偏差をなくすように制動圧制御ユニット53を制御する。例えば、各車輪4の制動力の変化による転舵角δの変化を、この転舵角δの変化に影響を及ぼす車速v、車輪速、転舵角δ、横加速度Gy、ヨーレートγ毎に実験により予め求めてテーブルとして記憶し、そのテーブルとセンサにより検出した車速v、車輪速、転舵角δ、横加速度Gy、ヨーレートγに基づき制動圧制御ユニット53を制御する。他は上記実施形態と同様とされる。
【0046】
この第2変形例によれば、路面凍結等による走行路と車両との間の摩擦抵抗の低下等により、操舵により発生可能な横加速度Gyやヨーレートγの最大値が減少しても、制動力の制御を操舵制御と干渉することなく行うことで、車両挙動が不安定になるのを防止できる。また、操舵制御のみであれば、車輪4が実際に転舵するまで車両挙動の安定化を図ることができないため、車輪4のタイヤの弾性による制御遅れがあるのに対して、制動力の制御によれば車輪4のタイヤの弾性による制御遅れはないので、迅速に車両挙動を安定化できる。例えば図11に示すように、操舵時において車両100の挙動が安定している場合は破線で示す経路を進行するのに対して、車両挙動が不安定になって矢印Aで示すモーメントにより2点鎖線で示すようにオーバーステア状態からスピンするおそれがある場合、外輪の制動力を内輪の制動力よりも大きくすることで矢印Bで示すモーメントを作用させて車両挙動を安定化させることができる。また、車両挙動が不安定になって矢印Bで示すモーメントにより1点鎖線で示すようにアンダーステア状態からドリフトするおそれがある場合、内輪の制動力を外輪の制動力よりも大きくすることで矢印Aで示すモーメントを作用させて車両挙動を安定化させることができる。
【0047】
なお、第2変形例において、制動力に代えて各車輪4の駆動力を制御するようにしてもよい。各車輪4の駆動力の減少により制動力の増加と同様の作用効果を奏することができる。また、各車輪4の制動力と駆動力の双方を制御するようにしてもよい。
【0048】
図12は本発明の第3変形例のフローチャートを示す。なお、上記実施形態および第1、第2変形例と同様部分は同一符号で示して説明は省略し、相違点を説明する。
【0049】
この第3変形例と上記第2変形例との相違は、第2変形例においては、目標転舵角δ* から検出転舵角δを差し引いた偏差をなくすためのステアリング系制御装置20による制御の重みと走行系制御装置60による制御の重みの割合を予め設定し、常に両者による車両挙動安定化制御を行うのに対して、この第3変形例においては、その偏差をなくすための制御を通常はステアリング系制御装置20によってのみ行い、検出横加速度Gy、検出ヨーレートγ、検出転舵角δの中の少なくとも一つが飽和状態になった時点で、ステアリング系制御装置20による制御の重みと走行系制御装置60による制御の重みの割合を定め、両制御装置20、60により車両挙動安定化制御を行う。
【0050】
すなわち、ステップ4において目標転舵角δ* を求めたならば、第1変形例と同様にして飽和状態か否かを判断する(ステップ4a″)。ステップ4a″において飽和状態でなければステップ6に進む。ステップ4a″において飽和状態であれば、ステップ4において求めた目標転舵角δ* に、そのステアリング系制御装置20による制御の重み割合α/(α+β)を掛けた値を新たな目標転舵角δ* とし(ステップ4b″)、その新たな目標転舵角δ* に基づきステップ6において操舵用アクチュエータ2の駆動電流の目標値を演算する。その重み割合α/(α+β)は、検出横加速度Gy、検出ヨーレートγ、検出転舵角δの中の何れか一つと目標値との偏差に応じて可変とされている。例えば、ステップ4a″において予め定めた時間における積分値∫(δ* −δ)dtが予め定めた一定値Dを超える場合は飽和状態であると判定する場合、ステアリング系制御装置20による制御の重みαを1として、走行系制御装置60による制御の重みβを、β=∫(δ* −δ)dt/Dにより求める。これにより、車両挙動が不安定になるおそれが高い程に走行系制御装置60による制御の重みβが大きくなる。
【0051】
一方、走行系制御装置60においては、そのステップ4において求めた目標転舵角δ* に、その走行系制御装置60による制御の重み割合β/(α+β)を掛けた値を新たな目標転舵角δ* とし、その新たな目標転舵角δ* と検出転舵角δの偏差をなくすように制動圧制御ユニット53を制御する。この制動圧制御ユニット53の制御は第2変形例と同様に行うことができる。他は上記実施形態と同様とされる。
【0052】
これにより、路面凍結等による走行路と車両との間の摩擦抵抗の低下等により、操舵により発生可能な横加速度Gyやヨーレートγの最大値が減少しても、制動力の制御を操舵制御と干渉することなく行なって車両挙動が不安定になるのを防止でき、また、車輪4のタイヤの弾性に基づく制御遅れなしに迅速に車両挙動を安定化できる。さらに、車両挙動が不安定になるおそれが高い程に走行系制御装置60による制御の重みβを大きくすることで、より迅速に車両挙動を安定化できる。
なお、この第3変形例において、制動力に代えて各車輪4の駆動力を制御するようにしてもよい。また、各車輪4の制動力と駆動力の双方を制御するようにしてもよい。
【0053】
上記実施形態や各変形例において、角度センサ11やトルクセンサ12の検出値は、経時変化や製造公差により変動するため、ステアリングホイール1が予め定められた直進操舵位置であっても、検出操作角δhや検出操作トルクTの零からのオフセットが増大する場合がある。この場合、ステアリングホイール1が直進操舵位置であっても操舵用アクチュエータ2や反力アクチュエータ19が駆動される。そのため、直進走行を行うにはステアリングホイール1が回転しないように保持する必要があり、直進走行性が悪化してしまう。
【0054】
そこで、上記実施形態や各変形例において、ステアリングホイール1の操作に応じて操舵制御を行う前に、車両の始動時に車速が零であってドライバーがステアリングホイール1から手を離した自然状態で、ステアリングホイール1の直進操舵位置と車輪4の直進操舵位置を一致させる。例えば、ステアリングホイール1に設けた感圧センサ等により、ドライバーがステアリングホイール1から手を離した自然状態か否かを検出し、自然状態でない場合はステアリングホイール1から手を離すように警告を発し、自然状態であれば検出操作角δhと検出転舵角δとが一致するように操舵用アクチュエータ2を駆動する。その検出操作角δhと検出転舵角δとが一致した状態における角度センサ11の出力値を角度基準出力値とし、トルクセンサ12の出力値をトルク基準出力値とする。その角度センサ11の出力値が角度基準出力値である時の検出操作角δhを零とし、そのトルクセンサ12の出力値がトルク基準出力値である時の検出操作トルクTを零とする。
【0055】
次に、車両の走行時における角度センサ11の出力値を時系列にサンプリングする。図13は、その角度センサ11の出力値Qと時間tとの関係を示す。その角度センサ11の出力値Qは、直進走行時すなわち実際の転舵角δが零の時の値q′になる頻度が最も大きい。よって、そのサンプリングした出力値の統計処理、例えば最小二乗法や平均化処理等により、直進走行時における角度センサ11の出力値q′の近似値を求めることができる。その求めた近似値が新たな角度基準出力値となるように角度基準出力値qを補正する。
【0056】
同様に、車両の走行時におけるトルクセンサ12の出力値を時系列にサンプリングし、そのサンプリングした出力値の統計処理により実際の直進走行時におけるトルクセンサ12の出力値の近似値を求め、その求めた近似値が新たなトルク基準出力値となるようにトルク基準出力値を補正する。
【0057】
これにより、角度センサ11やトルクセンサ12の検出値が経時変化したり製造公差により一定でない場合でも、スアリングホイール1が直進操舵位置である時の検出操作角δhや検出操作トルクTの零からのオフセットが増大することはない。よって、ステアリングホイール1が直進操舵位置であれば操舵用アクチュエータ2や反力アクチュエータ19が駆動されることはなく、直進走行を行うためにステアリングホイール1が回転しないように保持する必要がなく、直進走行性の悪化を防止できる。
【0058】
そのサンプリング対象の角度センサ11の出力値と角度基準出力値との偏差、およびサンプリング対象のトルクセンサ12の出力値とトルク基準出力値との偏差は、予め定めた一定範囲(例えば図13において出力値Qがq±δQの範囲)とするのが好ましい。その一定範囲は、明らかに操舵を行った時の出力値をサンプリング対象から除外できるように定める。これにより、統計処理に基づき新たに求められる角度基準出力値とトルク基準出力値を、実際の直進操舵状態での値により近似させることができる。
【0059】
なお、検出操作角δhと検出操作トルクTが零の時のみだけでなく、零からのオフセットが一定範囲内である時も、操舵用アクチュエータ2と反力アクチュエータ19が駆動されないようにするのが好ましい。これにより、ステアリングホイールとステアリングギヤとが機械的に連結されている場合と同様に、ステアリングホイール1の遊びを設けることができる。
【0060】
本発明は上記実施形態や各変形例に限定されない。例えば、検出操作角δhに代えて検出操作トルクTが操作入力値に対応するものとしてもよく、この場合、Gy* =K1・Tの関係より目標横加速度Gy* を求めるようにすればよい。
また、図14に示す操舵装置100は、ステアリングホイール101がユニバーサルジョイント102、103を介してピニオン104に機械的に連結され、そのピニオン104に噛み合うラック105の両端にタイロッド106とナックルアーム107を介して車輪108が連結され、そのラック105がハウジング109により車両の幅方向に移動可能に支持され、そのハウジング109が車体により弾性部材110を介して車両の幅方向に移動可能に支持され、その車体に固定されたモータシリンダ等により構成される操舵用アクチュエータ111の伸縮ロッド112がハウジング109に連結される。そのステアリングホイール101の回転操作によるピニオン104の回転によりラック105が車両の幅方向に移動することで操舵がなされる。その操舵用アクチュエータ111の伸縮ロッド112の動きが車輪108に伝達されることで転舵角が変化する。その操舵用アクチュエータ111を本発明のステアリング系制御装置を用いてステアリングホイール101の回転操作に応じて制御してもよい。
また、ステアリングホイールに機械的に連結された前輪用ステアリングギヤにより前輪を転舵させ、ステアリングホイールの回転操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータの動きを、ステアリングホイールに機械的に連結されていない後輪用ステアリングギヤにより後輪に転舵角が変化するように伝達する車両において、その操舵用アクチュエータを本発明のステアリング系制御装置を用いてステアリングホイールの回転操作に応じて制御してもよい。
また、操作部材は回転操作されるステアリングホイールに限定されず、例えば、操作入力値が操作トルクに対応する場合、回転しないように車体に取り付けられるハンドルを用いることができる。
また、車両のヨーレートを検出する手段は、ヨーレートセンサに限定されず、例えば、車両の横加速度を車速で除算してヨーレートを検出する手段を用いることができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、車両挙動を確実に安定化でき、走行路と車両との間の摩擦抵抗が低下した場合でも車両挙動が不安定になるのを防止し、さらに、直進走行性の悪化を防止できる車両の操舵装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の操舵装置の構成説明図
【図2】本発明の実施形態の操舵装置の車両走行時の制御ブロック図
【図3】本発明の実施形態の操舵装置における車速と目標横加速度の最大値との関係を示す図
【図4】本発明の実施形態の操舵装置の作用説明図
【図5】本発明の実施形態の操舵装置の車両停車時の制御ブロック図
【図6】本発明の実施形態の操舵装置の制御手順を示すフローチャート
【図7】本発明の実施形態の第1変形例の操舵装置の制御手順を示すフローチャート
【図8】本発明の実施形態の第2変形例の操舵装置の構成説明図
【図9】本発明の実施形態の第2変形例の操舵装置の車両走行時の制御ブロック図
【図10】本発明の実施形態の第2変形例の操舵装置の制御手順を示すフローチャート
【図11】本発明の実施形態の第2変形例の操舵装置の作用説明図
【図12】本発明の実施形態の第3変形例の操舵装置の制御手順を示すフローチャート
【図13】本発明の実施形態と各変形例の操舵装置における角度センサの出力値と時間との関係を示す図
【図14】本発明を適用可能な操舵装置の構成説明図
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2 操舵用アクチュエータ
3 ステアリングギヤ
4 車輪
11 角度センサ
12 トルクセンサ
13 転舵角センサ
14 速度センサ
15 横加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
20 ステアリング系制御装置
60 走行系制御装置
100 車両
Claims (4)
- 操作部材の操作に応じて駆動される操舵用アクチュエータの動きを、転舵角が変化するように車輪に伝達可能な車両の操舵装置において、
車両の横加速度とヨーレートに相関する変量として、少なくとも操作部材の操作入力値と車速を検出する手段と、
その車両の横加速度を検出する手段と、
その車両のヨーレートを検出する手段と、
その変量に応じて定められる目標横加速度から検出横加速度を差し引いた偏差と、その変量に応じて定められる目標ヨーレートから検出ヨーレートを差し引いた偏差を打ち消すように、その操舵用アクチュエータを制御するステアリング系制御装置とを備え、
その操舵用アクチュエータの出力値を検出する出力値センサを備え、
前記ステアリング系制御装置により、操作入力値と車速と目標横加速度との間の予め定められた相関関係が記憶されると共に、その相関関係と検出操作入力値と検出車速とに基づき目標横加速度が演算され、その目標横加速度から検出横加速度を差し引いた偏差により横加速度に基づく目標出力値が演算され、その目標横加速度から検出ヨーレートと検出車速の積を差し引いた偏差または、その目標横加速度を検出車速で除した商から検出ヨーレートを差し引いた偏差に基づきヨーレートに基づく目標出力値が演算され、その横加速度に基づく目標出力値とヨーレートに基づく目標出力値の和に対応する目標出力値から操舵用アクチュエータの出力値を差し引いた偏差から操舵用アクチュエータの制御量が演算され、その制御量に応じて操舵用アクチュエータが駆動され、
その検出横加速度、検出ヨーレート、操舵用アクチュエータの検出出力値の中の少なくとも一つが飽和状態か否かを判断する手段と、
その検出横加速度、検出ヨーレート、操舵用アクチュエータの検出出力値の中の少なくとも一つが飽和状態である時に、その目標横加速度から実際に車両に作用する横加速度を差し引いた偏差および、その目標ヨーレートから実際に車両に作用するヨーレートを差し引いた偏差の中の少なくとも一方を打ち消すように、その車両の制動力および駆動力の中の少なくとも一方を制御可能な走行系制御装置を有し、
前記ステアリング系制御装置による制御の重みと、その走行系制御装置による制御の重みの割合が、検出横加速度、検出ヨーレート、操舵用アクチュエータの検出出力値の中の何れか一つと目標値との偏差に応じて可変とされていることを特徴とする車両の操舵装置。 - 前記操舵用アクチュエータの動きをステアリングギヤにより、そのステアリングギヤに前記操作部材を機械的に連結することなく、前記車輪に伝達可能な請求項1に記載の車両の操舵装置。
- 前記操作入力値が操作部材の操作角度または操作部材の操作トルクに対応し、前記操舵用アクチュエータの出力値が車輪の転舵角に対応する請求項1または2に記載の車両の操舵装置。
- 操作部材が自然状態であって車速が零の時に、操作入力値検出手段により検出された操作入力値と出力値センサにより検出された操舵用アクチュエータの出力値とが一致するように、操舵用アクチュエータが駆動可能とされ、
その検出された操作入力値と検出された操舵用アクチュエータの出力値が一致した時点での操作入力値検出手段の出力値が基準出力値とされ、
その操作入力値検出手段の出力値が基準出力値である時の操作入力値を零として、その操作部材の操作に応じて操舵用アクチュエータを制御する際に、車両走行中に時系列にサンプリングした操作入力値検出手段の出力値を統計的に処理することで、その操作入力値検出手段の出力値は直進走行時における値になる頻度が最大であることに基づき、直進走行時における操作入力値検出手段の出力値の近似値を求め、
その求めた近似値を新たな基準出力値とする請求項1〜3の中の何れか1項に記載の車両の操舵装置。
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