JP3684081B2 - 排水処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体工場や液晶工場等から排出される有機物(特に生物分解性の悪い界面活性剤),リン,過酸化水素含有フッ素排水を、スラッジとしての廃棄物の量が少なく、しかも省エネルギーで且つ薬品を再利用して処理できる排水処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体工場や液晶工場等においては、生産装置で使用する各種薬品の中に界面活性剤を混合させて使用している。また、半導体工場等の生産装置において、リン酸,過酸化水素(以下、過水と略称する)及びフッ酸を使用することは一般的であり、とりわけフッ酸の使用量は多い傾向にある。以上のことから、半導体工場や液晶工場等からは、界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水が排出されている。
【0003】
ここで、上記「界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水」とは、「少量の界面活性剤,リンおよび過水を含有したフッ素がメインの酸排水」であり、さらに言うならば「フッ素をメインに含み、且つ、少量の界面活性剤,リンおよび過水を含有したフッ素排水」の意味である。
【0004】
また、半導体工場や液晶工場等において各種薬品の中に界面活性剤を混合させるのは、以下のような理由による。すなわち、半導体素子の微細化が急激に進展する状況下において、超純水による水洗浄のみでは水の表面張力のために微細な部分に対して十分洗浄できない。そこで、超純水に界面活性剤を混入させて表面張力を小さくして微細な部分を洗浄する方法や、各種洗浄薬品に界面活性剤(例えば、界面活性剤入りのバッファードフッ酸のような薬品)を混入させて表面張力を小さくして洗浄する方法が普及しつつある。その場合、薬品に混入させる各種の界面活性剤の種類は、薬品メーカーの重要なノウハウであり、常に新規に開発された界面活性剤が混入されている。
【0005】
ところで、新規に開発される界面活性剤の中には分子式,構造式,発泡性および殺菌性等から見て生物分解性の悪いものもあり、生物処理の代表としての従来の活性汚泥法や接触酸化法等では、微生物濃度が2000ppm〜5000ppm程度の低濃度であるため十分に対応できなくなってきている。
【0006】
尚、最近の報告において、界面活性剤の一部が環境ホルモンになるとの報告があり、その対応が求められている。一方においては、環境破壊の観点から、使用薬品の再利用、工場から発生する廃棄物の削減、各種設備に対する省エネルギー化を図って、原価低減を図ることは企業にとって取り組むべき重要な緊急課題となっている。
【0007】
従来より、未反応薬品を含む汚泥を再利用する排水処理方法として、特開平5−39830号公報、特開平8−197070号公報、特開平10−5769号公報に開示されたものがある。この3つの排水処理方法は、何れも沈殿槽で沈殿した汚泥を攪拌機が設置してある反応槽あるいは凝集槽に返送している。尚、特開平5−39830号公報においては、攪拌機による攪拌に加えて空気による攪拌を行うようになっている。
【0008】
ところで、フッ素排水処理の基本は、難溶性のフッ化カルシウムを形成させて処理することである。その場合に、排水処理設備から発生する廃棄物としてのスラッジを削減する目的で、従来の消石灰を使用する消石灰法に代わって炭酸カルシウム鉱物を使用する方法が採用されている。上述のように、フッ素排水処理においては難溶性のフッ化カルシウムが形成されるのであるが、このフッ化カルシウムは酸性およびアルカリの何れの条件下でも溶解しない。したがって、消石灰や炭酸カルシウム鉱物のカルシウム剤を循環等によって何度も再利用してフロックの核となるフッ化カルシウムを形成することができ、廃棄物の削減や薬品の使用量の削減を図って効率的な排水処理ができるのである。
【0009】
以下、簡単に説明する。先ず、第1ステップとして、消石灰や炭酸カルシウム鉱物のカルシウム剤を添加して難溶性のフッ化カルシウムを形成させ、排水中のフッ素を20ppm〜40ppm程度にまで処理する。次に、第2ステップとして、第1ステップ後の排水をポリ塩化アルミニウム等の無機凝集剤を添加し、続いて高分子凝集剤を添加して、目的濃度まで低下させる。ここで、上記第2ステップにおいては、排水中のフッ素量に対して多量のポリ塩化アルミニウム等の無機凝集剤や高分子凝集剤を添加しないとフッ素濃度を目的濃度まで下げることができない。その結果、未反応のアルミニウムや高分子凝集剤等が難溶性のフッ化カルシウムと共に沈殿して汚泥に含まれることになる。そこで、未反応のアルミニウムや高分子凝集剤等が含まれている汚泥を反応槽や凝集槽に返送して、未反応のアルミニウムや未反応の高分子凝集剤を再利用するようにしている。
【0010】
また、炭酸カルシウムを用いたフッ素含有水の処理方法として特開平7−136667号公報がある。この処理方法では、フッ素含有水を複数の炭酸カルシウム充填塔に直列に通水し、各炭酸カルシウム充填塔の流出水を曝気した後にその一部を再度直前の炭酸カルシウム充填塔に通水するようにしている。こうして、各炭酸カルシウム充填塔の流出水を曝気することによって上記流出水中のH2CO3をCO2ガスとして放出させ、その後再度同一の炭酸カルシウム充填塔に通水することによって当該炭酸カルシウム充填塔に流入するH2CO3量を極力低減することができる。したがって、H2CO3による炭酸カルシウム濾材崩壊防止のためのアンモニアやフッ化アンモニウム等のアルカリ剤の添加量を低減できるのである。
【0011】
また、フッ素含有有機性排水の処理方法として特開平5−4090号公報がある。この処理方法では、フッ素含有有機性排水に消石灰や塩化カルシウム等の水溶性カルシウム化合物を添加してフッ化カルシウムを凝集沈殿させ、上澄み液のpHを6.5〜7.0に調整した後、固定化微生物ペレットと接触させて曝気処理してBOD(生物学的酸素要求量)成分を除去する。次いで凝集剤を添加し、固定化微生物ペレットから漏出した微生物および残存フッ素化合物を共沈させる。こうして、フッ素含有有機性排水を凝集沈澱処理後に、液のpHを6.5〜7.0に調整して固定化微生物ペレットと接触させることによって、固定化微生物ペレットの細孔へのカルシウムの付着を防止し、結果としてフッ素およびBODに関して高い除去率を達成できるのである。
【0012】
また、有機物を含有したフッ素排水を処理する排水処理装置として、特開平9−174081号公報がある。この排水処理装置は、図14に示すように、上部1Aと下部1Bとを有する第1水槽1を有している。そして、上部1Aには、散気管2を配すると共に粒状の炭酸カルシウム鉱物3を充填している。この炭酸カルシウム鉱物3は、散気管2からの曝気によって強く流動させられ、下部1Bの下側から供給される排水中のフッ素が炭酸カルシウム鉱物3と化学的に反応してフッ化カルシウムとなって排水中のフッ素が処理される。一方、第1水槽1の上部1Aから下部1Bに沈降した炭酸カルシウム鉱物3の表面には微生物が繁殖して、排水中の有機物を生物学的に処理する。こうして、下部1Bの最下部に移動してきた炭酸カルシウム鉱物3は、エアーリフトポンプ4によって排水と混合されながら上部1Aに移動させられ、上部1Aで排水中のフッ素を化学的に処理する。そして、第1水槽1において発生したフッ化カルシウムを主体とした無機汚泥および生物汚泥は、第2水槽5において、無機凝集剤としてのポリ塩化アルミニウムが添加されて凝集処理される。その後、第3水槽6に移動して沈殿物としてのスラッジと上澄み液としての処理水とに固液分離されるのである。
【0013】
また、フッ素および界面活性剤を含む排水と排ガスとを同時に処理できる排水処理装置として、特開平8−57498号公報がある。この排水処理装置では、図15に示すように、第1反応調整槽11の下部に炭酸カルシウム鉱物12を充填する一方、上部には炭酸カルシウム鉱物12とプラスチック充填物13を充填している。フッ素および界面活性剤を含む排水は、先ず第1反応調整槽11の下部で曝気攪拌され、次に第1反応調整槽11の上部で散水処理され、次に第2反応調整槽14の下部で曝気攪拌され、次に第2反応調整槽14の上部で散水処理され、次に反応凝集槽15で凝集剤が添加されて凝集処理され、次に沈殿槽16で沈殿物としてのスラッジと上澄み液とに固液分離される。尚、沈殿槽16で沈殿したスラッジ(無機汚泥,有機汚泥および生物汚泥を含む混合汚泥)は、ポンプ17によって第1反応調整槽11の上部に返送されて散水され、排水と排ガスとの分離処理に役立てられるようになっている。
【0014】
また、図16は、炭酸カルシウム鉱物,消石灰および凝集剤(ポリ塩化アルミニウムおよび高分子凝集剤)を使用して、界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水を処理する排水処理装置を示す。この排水処理装置では、排水処理設備から発生する廃棄物の量を削減する目的で第2水槽22に炭酸カルシウム鉱物23を充填している。そして、炭酸カルシウム鉱物23と排水中のフッ素とを反応させるのであるが、排水中のフッ素の値が8ppm以下に安定していないために、凝集剤としての消石灰,ポリ塩化アルミニウム又は高分子凝集剤を、排水中のフッ素量と比較して過剰に添加している。消石灰は、特に排水中のリンの処理に有効である。尚、21は第1水槽、24はブロワー、25は消石灰反応槽としての第3水槽、26はポリ塩化アルミニウム凝集槽としての第4水槽、27は高分子凝集剤反応槽としての第5水槽、28は沈殿槽としての第6水槽、29は濃縮槽としての第7水槽である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の難溶性のフッ化カルシウムを形成させて酸排水中のフッ素を処理する方法においては、以下のような問題がある。すなわち、上記第2ステップにおいては、フッ素濃度を目的濃度まで下げるために排水中のフッ素量に対して多量のポリ塩化アルミニウム等の無機凝集剤や高分子凝集剤を添加しており、そのために生ずる未反応のアルミニウムや未反応の高分子凝集剤を再利用するために、未反応のアルミニウムや高分子凝集剤等が含まれている汚泥を反応槽や凝集槽に返送している。
【0016】
ところが、上記反応槽や凝集槽における一般の攪拌機による攪拌程度では汚泥を解す作用が少なく、且つ、滞留時間が短いので、汚泥から未反応の薬品を完全にカルシウムイオンやアルミニウムイオンとして再生できず、再生効率が悪いと言う問題がある。
【0017】
尚、上述したように、特開平5−39830号公報に開示された排水処理方法においても沈殿槽で沈殿した汚泥を反応槽に返送して攪拌機と空気による攪拌を行っている。しかしながら、反応槽での滞留時間が短いために、やはり汚泥を解す作用が少なく再生効率が悪いという問題がある。さらに、上述した特開平10−5769号公報に開示された排水処理方法においても同様に、反応槽ではないが滞留時間の短い凝集槽に汚泥を返送している。したがって、汚泥が十分に解れず再生効率が悪いという問題がある。
【0018】
また、上記特開平9−174081号公報における排水処理装置では、図14に示すように、凝集槽としての第2水槽5または沈殿槽としての第3水槽6において凝集または沈殿された汚泥を第1水槽に返送して再利用することは全く行われてはおらず、未反応薬品を含んだまま廃棄物として廃棄されている。したがって、使用薬品および廃棄物の削減を図ることは到底できない。
【0019】
また、上記特開平8−57498号公報に示す排水処理装置では、図15に示すように、炭酸カルシウム鉱物12は固定されている。そのために、長時間運転すると、炭酸カルシウム鉱物12から溶出されたカルシウムイオンとフッ素が反応したフッ化カルシウムが隙間にたまって目詰まりを起こし、排水の循環が悪くなるという問題がある。
【0020】
また、図16に示すような、炭酸カルシウム鉱物,消石灰および凝集剤(ポリ塩化アルミニウムおよび高分子凝集剤)を使用して、界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水を処理する排水処理装置の場合には、以下のような問題がある。
【0021】
すなわち、第2水槽22において、酸によって炭酸カルシウム鉱物23からカルシウムを溶出させて、上記界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水中のフッ素と効率よく反応させるために、1m3当たり120m3/日を目安として曝気攪拌用のブロワー24を2台設置している。ところが、ブロワー24を2台運転すると電気代が大きく、ランニングコストが上がるという問題がある。かといって、1m3当たり60m3/日の曝気空気量で運転すると、排水と炭酸カルシウム鉱物23との反応効率が悪く、結果として第2水槽22出口の分離室30でのフッ素濃度の値が目標とする値の半分以下(例えば、目標フッ素濃度の値を20ppmとすれば、分離室30でのフッ素濃度が40ppm以上)になるという問題がある。
【0022】
さらに、末反応の薬品を含む汚泥(すなわち、アルミニウムやカルシウムの水酸化物を含む汚泥)を脱水する必要があるために複数のフィルタープレス31,32を必要とし、その運転時間も長く、そのために電気代が大きくなってランニングコストが上がるという問題もある。
【0023】
さらに、排水中にある有機物としての界面活性剤は、第2水槽22において好気性の微生物によって多少は分解処理されるが、第2水槽22の微生物濃度が低く界面活性剤の微生物分解性も悪いために、充分に界面活性剤を分解除去できないという問題がある。具体的には、第2水槽22における界面活性剤の除去率は50%以上を目標としているが、50%を確保できないのが現状である。また、上記排水中の過水についても、第3水槽25から第6水槽28中に繁殖する嫌気性の微生物により多少は分解されるものの過水に関する除去率は、50%以下である。
【0024】
また、排水中のリンの除去率は、第3水槽25で消石灰が添加されるので90%以上を確保できるのではあるが、その除去率90%を確保するためには排水中のリン相当分以上の消石灰を過剰に添加する必要があるという問題がある。ここで、消石灰を過剰に添加するのは、消石灰は第3水槽25に添加されても比較的沈むことなく流れやすく、反応時間が1時間以内と短いために未反応の消石灰が第3水槽25から第4水槽26へ流出するためである。このことは、消石灰に限らず、第4水槽26で添加されるポリ塩化アルミニウムや第5水槽27で添加される高分子凝集剤についても言える。したがって、結果として、第6水槽28に沈殿する汚泥の中には、消石灰,ポリ塩化アルミニウムおよび高分子凝集剤に起因する未反応消石灰汚泥及び未反応凝集剤汚泥(すなわち、水酸化カルシウムや水酸化アルミニウム等の水酸化物汚泥)が存在し、汚泥の発生量を増加させることになる。
【0025】
すなわち、図16に示す排水処理装置においては、上記炭酸カルシウム鉱物23を使用せずに、消石灰と凝集剤とによって行う排水処理方法と比較すれば、発生スラッジ量(汚泥量)は減少しているのではあるが、未反応の消石灰や未反応の凝集剤が汚泥(スラッジ)中に残されており、今日の廃棄物削減の時代にあっては最適な排水処理方法とは言えない。したがって、未反応の消石灰や未反応の凝集剤を再利用することが大きな課題となる。
【0026】
そこで、この発明の目的は、未反応薬品の再生効率がよく、未反応薬品汚泥の発生量が少ない排水処理装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明の排水処理装置は、有機物,リン,過水含有フッ素排水が導入される第1水槽と、攪拌手段を有すると共に,炭酸カルシウム鉱物が充填され,且つ,返送汚泥が導入される第2水槽と、消石灰が添加される第3水槽と、ポリ塩化アルミニウムが添加される第4水槽と、高分子凝集剤が添加される第5水槽と、沈澱槽として機能する第6水槽と、濃縮槽として機能する第7水槽と、上記第6水槽で沈澱した汚泥を上記第2水槽の上部および上記第3水槽に返送する汚泥返送手段を備えたことを特徴としている。
【0028】
上記構成によれば、第2水槽に界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水が導入されると、第1ステップとして、上記第2水槽に充填されている炭酸カルシウム鉱物によって、上記排水中のフッ素が微細なフッ化カルシウムとして1次処理される。次に、第2ステップとして、返送汚泥中の未反応の消石灰,凝集剤等によって、上記排水中のフッ素が2次処理される。このように、第2水槽においてはフッ素が2段階に処理されるので、上記第1ステップでの1次処理は、従来の炭酸カルシウム鉱物のみによる処理ほど完璧でなくともよく、上記第2水槽の攪拌手段による攪拌の程度は従来の炭酸カルシウム鉱物のみによる処理の場合よりも低減される。そして更に、上記返送汚泥に含まれる生物汚泥によって、上記排水中の有機物と過酸化水素が処理される。
【0029】
次に、第3水槽において、添加された消石灰によって、上記排水中のリンが微細なリン酸カルシウムとして処理され。さらに、第4水槽において、添加されたポリ塩化アルミニウムによって、上記微細なフッ化カルシウムが凝集されてフッ化カルシウムのフロックがより強度を増す。ここで、上述の強度が増すとは、より形の整ったフロックとなって沈降し易いフロックとなることを意味する。さらに、第5水槽において、添加された高分子凝集剤によって、上記フッ化カルシウムのフロックはさらに大きなフロックとなる。
【0030】
さらに、未反応の薬品を含む汚泥や生物汚泥が第2水槽の上部および第3水槽の両方に返送される。したがって、上記第2水槽においては、返送汚泥中の未反応の消石灰,凝集剤等によるフッ素の処理と、上記返送汚泥中の生物汚泥による有機物と過水との処理が行われる。さらに、上記第3水槽において、返送汚泥中の未反応の消石灰によるリンの処理が行われる。こうして、上記第3水槽に添加される消石灰の量が削減される。
【0031】
また、請求項2に係る発明の排水処理装置は、有機物 , リン , 過水含有フッ素排水が導入される第1水槽と、攪拌手段を有すると共に , 炭酸カルシウム鉱物が充填され , 且つ , 返送汚泥が導入される第2水槽と、消石灰が添加される第3水槽と、ポリ塩化アルミニウムが添加される第4水槽と、高分子凝集剤が添加される第5水槽と、沈澱槽として機能する第6水槽と、濃縮槽として機能する第7水槽と、上記第7水槽で濃縮された汚泥を、上記第2水槽の上部および上記第3水槽に返送する汚泥返送手段を備えたことを特徴としている。
【0032】
上記構成によれば、濃縮槽としての上記第7水槽で濃縮された未反応の薬品を含む高濃度汚泥や高濃度生物汚泥が第2水槽の上部および第3水槽の両方に返送される。したがって、上記第2水槽における返送汚泥中の未反応の消石灰,凝集剤等によるフッ素の処理と、上記返送汚泥中の生物汚泥による有機物と過水との処理の反応効率が高められる。さらに、上記第3水槽における返送汚泥中の未反応の消石灰によるリンの処理の反応効率が高められる。
【0033】
また、請求項3に係る発明の排水処理装置は、有機物,リン,過水含有フッ素排水が導入される第1水槽と、攪拌手段を有すると共に,炭酸カルシウム鉱物が充填された第2水槽と、攪拌手段を有すると共に,返送汚泥が導入されて,この返送汚泥中の未反応薬品を用いた反応が行われる未反応薬品反応槽と、消石灰が添加される第3水槽と、ポリ塩化アルミニウムが添加される第4水槽と、高分子凝集剤が添加される第5水槽と沈澱槽として機能する第6水槽と、濃縮槽として機能する第7水槽で構成されたことを特徴としている。
【0034】
上記構成によれば、未反応薬品反応槽において、未反応の薬品が含まれた返送汚泥によって上記排水が新品の薬品無しで処理される。したがって、新規の薬品の使用量を少なくして処理コストが低減される。さらに、返送汚泥中の未反応の薬品が再利用されることによって、廃棄物としての発生汚泥(スラッジ)量が低減される。
【0035】
また、請求項4に係る発明の排水処理装置は、請求項3に係る発明の排水処理装置において、上記第6水槽で沈澱した汚泥あるいは上記第7水槽で濃縮された汚泥の少なくとも一方を、上記未反応薬品反応槽に返送する汚泥返送手段を備えたことを特徴としている。
【0036】
上記構成によれば、上記未反応薬品反応槽に、沈殿槽としての上記第6水槽または濃縮槽としての上記第7水槽の少なくとも一方から汚泥が返送されるので、上記第6水槽からの返送汚泥に含まれる未反応薬品による上記排水の処理、あるいは、記第7水槽からの高濃度の返送汚泥による上記排水処理の高効率化が図られる。さらに、上記返送汚泥は混合汚泥であるため、上記排水に対して化学的処理と生物学的処理との両方が行われて、上記排水中のフッ素やリン等の化学成分と界面活性剤等の有機物との両方が同時に処理される。
【0037】
また、請求項5に係る発明の排水処理装置は、請求項3に係る発明の排水処理装置において、上記第2水槽と未反応薬品反応槽とは直列に接続されており、上記排水を、上記第2水槽に続いて上記未反応薬品反応槽で処理することを特徴としている。
【0038】
上記構成によれば、上記炭酸カルシウム鉱物が充填された第2水槽において上記排水中のフッ素が処理される。引き続いて、上記返送汚泥が導入される未反応薬品反応槽において、新たな薬品を使用することなく、上記返送汚泥中の未反応の薬品(すなわち、未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウムおよび未反応の高分子凝集剤)によって、上記排水中のフッ素が高度処理され、上記排水中のリン及び有機物が処理される。こうして、結果として発生廃棄物が少なくなる。
【0039】
さらに、上記排水は、上記第2水槽と未反応薬品反応槽とによって2段処理されるため、比重の重い炭酸カルシウム鉱物(比重2.7)単独で処理する1段処理の場合に比較して、攪拌エネルギーの総量が削減される。すなわち、上記未反応薬品反応槽中の返送汚泥は比重が1に近いため、比重が2.7の炭酸力ルシウム鉱物を攪拌する場合よりも攪拌エネルギーを必要とはせず、炭酸カルシウム鉱物攪拌のための総エネルギーが約半分で十分となる。
【0040】
また、請求項6に係る発明の排水処理装置は、請求項5に係る発明の排水処理装置において、上記第6水槽で沈澱した汚泥あるいは上記第7水槽で濃縮された汚泥の少なくとも一方を、上記未反応薬品反応槽に返送する汚泥返送手段を備えたことを特徴としている。
【0041】
上記構成によれば、上記未反応薬品反応槽に、沈殿槽としての上記第6水槽または濃縮槽としての上記第7水槽の少なくとも一方から汚泥が返送されるので、上記第6水槽からの返送汚泥に含まれる未反応薬品による上記排水の処理、あるいは、記第7水槽からの高濃度の返送汚泥による上記排水処理の高効率化が図られる。さらに、上記返送汚泥は混合汚泥であるため、上記排水に対して化学的処理と生物学的処理との両方が行われて、上記排水中のフッ素やリン等の化学成分と界面活性剤等の有機物との両方が同時に処理される。
【0042】
また、請求項7に係る発明の排水処理装置は、請求項3に係る発明の排水処理装置において、上記未反応薬品反応槽で、上記返送汚泥中に含まれる未反応の薬品を再生して上記排水を処理することを特徴としている。
【0043】
上記構成によれば、上記排水を、上記返送汚泥中に含まれる未反応の薬品を再生して処理するので、薬品使用量が減少すると共に、未反応の薬品による例えば水酸化物(すなわち、消石灰の場合における水酸化カルシウムやポリ塩化アルミニウムの場合における水酸化アルミニウム)等の汚泥が減少して、廃棄物としての汚泥が削減される。
【0044】
また、請求項8に係る発明の排水処理装置は、請求項7に係る発明の排水処理装置において、上記未反応薬品の再生は、上記返送汚泥に酸排水を混合攪拌することによって行うことを特長としている。
【0045】
上記構成によれば、酸排水中の酸によって、上記薬品として反応に寄与するカルシウムイオンやアルミニウムイオンが上記返送汚泥から排水中に溶出されて、上記排水中のフッ素やリンの処理に再利用される。
【0046】
また、請求項9に係る発明の排水処理装置は、請求項8に係る発明の排水処理装置において、上記未反応薬品反応槽における攪拌手段は、空気を吹き出す空気攪拌手段であることを特徴としている。
【0047】
上記構成によれば、上記返送汚泥が空気攪拌(曝気)によって確実に解されて、上記カルシウムイオンやアルミニウムイオンが容易に溶出されると共に、上記排水中のフッ素やリンと上記溶出されたカルシウムイオンやアルミニウムイオンとの反応が促進される。さらに、上記曝気によって、攪拌と同時に好気性の微生物の培養繁殖が可能となる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
<第1実施の形態>
図1は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。この排水処理装置は、一般的に半導体工場や液晶工場の生産工程から排出される界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水の処理を、少ない廃物量で、しかも省エネルギーで、且つ未反応の消石灰や凝集剤を再生効率よく再利用して行うものである。
【0049】
本排水処理装置は、第1水槽41,第2水槽42,第3水槽43,第4水槽44,第5水槽45,第6水槽46,第7水槽47およびフィルタープレス48で概略構成される。第1水槽41には、排水配管から界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水が供給される。そして、第1水槽41に供給された排水は、第1水槽ポンプ49によって、第2水槽42の底部に配設された下部流入管50から第2水槽42の下部42bに導入される。
【0050】
上記第2水槽42は、上部42aと、下部42bと、上部42aに隣接した分離室51を有している。尚、上部42aと下部42bとの境界位置は、排水量を約半分に分ける位置である。下部42bには、粒径が略0.5mmの粒状炭酸カルシウム鉱物52が、下部42b容量の約40%〜80%分だけ流動状態で充填されている。そして、底には複数の散気管53が配置されており、空気配管によってブロワー54に接続されている。つまり、ブロワー54,上記空気配管および散気管53によって上記曝気手段を構成して、散気管53から吹き出される空気によって炭酸カルシウム鉱物52を流動状態に維持するようになっている。
【0051】
ここで、上記炭酸カルシウム鉱物52は多量に充填されているため、比重が2.7であることから、散気管5から吐出する曝気空気量を少なめに調整することによって弱い流動状態を維持できる。そして、炭酸カルシウム鉱物52からは、第1水槽41を経由して導入された界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水が含むフッ酸,硫酸,硝酸およびリン酸等の酸によって、カルシウムが溶出される。
【0052】
上記第2水槽42の上部42aには、沈殿槽としての第6水槽において沈殿した汚泥が沈殿槽汚泥返送ポンプ55によって返送され、この返送された汚泥の層によって未反応薬品汚泥ゾーン56が形成される。そして、未反応薬品汚泥ゾーン56の汚泥量が一定量以上になると、未反応薬品汚泥ゾーン56の高さが上昇して分離室51から汚泥が第3水槽43に流出するようになっている。尚、この未反応薬品汚泥ゾーン56は、上部24aの曝気が弱いことと、返送汚泥が沈降性の良い汚泥であることと、上部24aが分離室51を有していることによって形成される。ここで、上記返送汚泥の沈降性が良い理由は、凝集剤によって生成された汚泥であるためである。
【0053】
上記未反応薬品汚泥ゾーン56にはpH計57の検知部が挿入されており、その検出信号がブロワー54の駆動制御部(図示せず)に入力されている。そして、流入水のpH値が低くなって上部42aのpHの値が4以下になると、上記検出信号に基づいてブロワー54の回転数がインバーター制御されて増加し、ブロワー54の吐出空気量が増加されて上部24aのpH値が5付近に維持されるようになっている。
【0054】
沈澱槽としての上記第6水槽46において沈澱する汚泥(つまり、未反応薬品汚泥ゾーン56を構成する汚泥)は、下記のような集合体である。
(イ) 排水中のフッ素が炭酸カルシウム鉱物52と反応して発生したフッ化カルシウム5 8
(ロ) 上記フッ素が第3水槽43において添加された消石灰と反応して生じたフッ化カル シウム58および未反応の消石灰
(ハ) 上記フッ素が第4水槽44において添加されたポリ塩化アルミニウムと反応して発 生したフッ化アルミニウムと、未反応のポリ塩化アルミニウムと、多 量のポリ塩化 アルミニウムの水酸化物(水酸化アルミニウム)
(ニ) 第5水槽45において添加された高分子凝集剤によるフロックおよび未反応の高分 子凝集剤
(ホ) 第2水槽42から第6水槽46までの工程間において発生する微生物汚泥59
【0055】
上記第2水槽42内における排水の水位は、上部42aの未反応薬品汚泥ゾーン56が必ず埋没するように調整される。そのためには、炭酸カルシウム鉱物52の粒径が0.5mmの場合には、第2水槽42の容積1m3当たりのブロワー54の吹き出し空気量を30〜60m3/日に設定すればよい。この空気量は、図16に示す従来の排水処理装置のように未反応薬品汚泥ゾーンを形成しない場合の約半分である。
【0056】
このようにして、上記散気管53から吹き出される弱い空気によって、第2水槽42の上部42aの未反応薬品汚泥ゾーン56と下部42bの炭酸カルシウム鉱物52とは弱い流動状態となる。そして、下部流入管50から下部42bに導入された排水中のフッ素と炭酸カルシウム鉱物52とが反応して、フロック状のフッ化カルシウム58が生成されてフッ素の1次処理が行われる。次に、排水は未反応薬品汚泥ゾーン56に導入されて、下記の反応によって処理される。
(1) 返送汚泥中の未反応消石灰や未反応凝集剤から、炭酸カルシウム鉱物処理後の弱酸 性排水と曝気とによって、カルシウムイオンやアルミニウムイオンが溶出される。
(2) 排水中における未処理のフッ素は、(1)で溶出されたカルシウムイオンと反応して フロック状のフッ化カルシウム58となる(フッ素の2次処理)。
(3) (2)で生成されたフロック状のフッ化カルシウム58は、(1)で溶出されたアルミ ニウムイオンや未反応の高分子凝集剤の作用によって、大きな形の整った沈降性の 良いフロックとなる。
(4) 排水中における界面活性剤等の有機物は、高濃度微生物汚泥59中の微生物によっ て生物学的に処理される。
(5) 排水中におけるリンは、未反応の消石灰と反応してリン酸カルシウムとなり、未反 応の凝集剤の作用によって大きなフロックとなる。
(6) 排水中における過水は、微生物汚泥59中の嫌気性微生物が有する還元性によって 処理される。
【0057】
尚、上記第2水槽42の上部42aにおける未反応薬品汚泥ゾーン56が曝気されているにも拘わらず嫌気性微生物が生息するのは、上述した如く曝気は弱い曝気であり、微生物汚泥59の濃度が高いために曝気による酸素が直ちに消費され、溶存酸素が場所によっては在ったり無かったりするためである。そして、溶存酸素が無い場所に生息する嫌気性微生物と、溶存酸素が在る場所に生息する好気性微生物とが出現し、両者は未反応薬品汚泥ゾーン56で共存することになるのである。
【0058】
上記嫌気性微生物は、生息環境が好気性に変化しても直ちに死滅するものではなく、逆に、好気性微生物も、生息環境が嫌気性に変化して直ちに死滅するものではない。すなわち、嫌気性微生物と好気性微生物とは、溶存酸素が在るか無いかの状態(すなわち、溶存酸素が0ppm〜1ppmの状態)が長く続くならば共存状態で生息し、繁殖して、過水の処理や界面活性剤の処理を行うのである。
【0059】
上述のようにして上記第2水槽42で処理された排水が分離室51の出口において中性になるように、第2水槽42を設計しておくことが望ましい。具体的には、排水のpHが3以下である時には、返送汚泥中の未反応の薬品量によっても異なるが、第2水槽42における排水の滞留時間が4時間以上になるように設計することが望ましい。
【0060】
また、上記第2水槽42の容積1m3当たり1日に付き50m3程度の曝気空気量を確保した場合には、下部24b内において上記排水を十分に攪拌できないために、曝気空気量を第2水槽42の容積1m3当たり1日に付き100m3以上にした場合に比して排水中のフッ素濃度が高くなる(十分フッ素が処理されていない)。しかしながら、下部42bにおけるフッ素の処理は1次処理であり、後に上部42aの未反応薬品汚泥ゾーン56において未反応の消石灰や未反応の凝集剤による2次処理がおこなわれる。したがって、第2水槽42全体として、排水中のフッ素を十分に処理でき、所定のフッ素除去率を確保できるのである。
【0061】
すなわち、本実施の形態によれば、図16に示す従来の排水処理装置の半分の曝気空気量である第2水槽42の容積1m3当たり1日に付き50m3程度の曝気空気量で、所定のフッ素除去率を確保できるので、電気エネルギーに関して省エネを計ることができるのである。
【0062】
また、上記分離室51の底面60は、下向きに傾斜して下部42bの側壁に至っており、何も配置されてはいない。したがって、分離室51内の比重が大きい炭酸カルシウム鉱物52は傾斜した底面60に沿って下降して行くことになり、分離室51から炭酸カルシウム鉱物52が第3水槽43に流出することを防止できる。こうして、比重が小さいフロック状のフッ化カルシウム58や微生物汚泥59は、最終的には分離室51から流出するのであるが、フッ素処理材料としての炭酸カルシウム鉱物52は、第2水槽42の分離室51から外に流出できないようになっている。
【0063】
上述したように、上記第2水槽42の下部42bに排水が導入されると、下部42bの炭酸カルシウムゾーンにおいて、弱く流動している炭酸カルシウム鉱物52が排水中のフッ素と反応して排水中のフッ素が処理され、フッ素濃度が30ppm程度(強く流動している場合は20ppm以下)になる。また、排水のpHが4(強く流動してい場合は7)に近付く。こうして、フッ素の1次処理が実施されるのである。
【0064】
さらに、上記第2水槽42の上部42aの未反応薬品汚泥ゾーン56に導入された排水は、未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウム,未反応の高分子凝集剤および微生物を含む返送汚泥と混合攪拌されて、次の諸反応が行われる。
(a) 排水中における1次処理後の30ppmのフッ素は、上記返送汚泥中の未反応消石灰と 反応してフッ化カルシウム58となり、さらに未反応の凝集剤によって排水中のフ ッ素濃度が15ppm以下まで低減される。そして、排水のpHも中性に近付く。
(b) 排水中の界面活性剤は、返送汚泥中の高濃度微生物によって生物学的に処理される 。
(c) 排水中のリンは、返送汚泥中の未反応の消石灰と反応してリン酸カルシウムとなっ て処理される(リンの1次処理)。
(d) 排水中の過水は、返送汚泥中の嫌気性微生物が有する還元性によって処理される。
【0065】
次に、上記フッ素,界面活性剤,リンおよび過水が処理された排水(つまり被処理水)は、消石灰反応槽である第3水槽43に導入される。具体的には、第2水槽42で処理された排水は、第2水槽42の分離室51の上方に設けられたオーバーフロー管(図示せず)を経由して、第3水槽43へ移送される。
【0066】
上記第3水槽43には消石灰が添加され、急速撹拌機61によって排水と消石灰が急速に攪拌される。こうして、排水中のリンがリン酸カルシウムとしてさらに処理される(リンの2次処理)。尚、リンの1次処理は、第2水槽42の上部42aでの未反応消石灰との反応処理で行われている。また、排水中のリン酸カルシウムは、沈澱槽としての第6水槽46内で沈澱することによって処理される。また、消石灰が添加されているので、排水中のフッ素が更に高度処理される(フッ素の3次処理)。尚、排水中のリンは、実装置での運転結果からすれば、炭酸カルシウム鉱物52から溶出するカルシウムとは反応しない。したがって、第2水槽42の下部42bにおいては、リンの処理は殆どできない。
【0067】
次に、排水は、ポリ塩化アルミニウム槽としての第4水槽44に導入される。第4水槽44には、フロックの核を作るための凝集剤としてのアルミ剤(ポリ塩化アルミニウム)が添加され、急速攪拌機62によって排水とポリ塩化アルミニウムが急速に攪拌されて微細なフロックができる。
【0068】
上記第5水槽45には、上記フロックを大きくするために高分子凝集剤が添加される。上記凝集剤は、排水が中性に近いほど凝集効果が大きく、排水からフッ素およびリンを効率的に除去することができる。
【0069】
上記第5水槽45における処理を終えた排水は、次に、第6水槽46に移動される。この第6水槽46は、一般の沈殿槽と同じ処理を行う。そして、一般の汚泥濃縮槽として機能する第7水槽47は、第6水槽46からの汚泥を濃縮する。そして、この濃縮された汚泥は、脱水機としてのフィルタープレス48に移送されて脱水される。
【0070】
本実施の形態においては、第2水槽42での排水の滞留時間を4時間以上としたが、第3水槽43,第4水槽44あるいは第5水槽45の反応時間は30分程度でよい。また、本実施の形態における炭酸カルシウム鉱物58の粒径を略0.5mmとしたが、この粒径は0.1mmから2mmの範囲で設定すればよい。
【0071】
ここで、図16に示した従来の排水処理方法においては、第2水槽22に第6水槽28からの汚泥を返送してはいない。したがって、第2水槽22には未反応薬品汚泥ゾーンが形成されない。また、第2水槽22の上部22aにおけるpH値を7付近に維持するために、2台のブロワー24,24を設置している。
【0072】
したがって、本実施の形態と図16に示す排水処理装置との比較において、本実施の形態におけるブロワー数が半分であり電気代も約半分となる。すなわち、本実施の形態における排水処理装置は、省エネルギー型の排水処理装置といえるのである。
【0073】
また、上述したように、図16に示す排水処理装置においては第6水槽28や第7水槽29から第2水槽22の上部22aへの返送汚泥設備がないので、未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウムおよび未反応の高分子凝集剤は、そのまま再利用されることなく2台のフィルタープレス31,32によって脱水処理されることになる。したがって、汚泥中に上記未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウムおよび未反応の高分子凝集剤が含まれることになり、廃棄物としての汚泥量は多いことになる。
【0074】
これに対して、本実施の形態においては、第2水槽42の上部42aへ、未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウムおよび未反応の高分子凝集剤を返送して再利用するようにしている。したがって、フィルタープレス48によって脱水した後の廃棄物としての汚泥量は格段に減少する。その結果、フィルタープレス48の台数は1台で十分対処できるのである。
【0075】
本実施の形態において、汚泥量が減少する理由は、上述の他に、第2水槽42において返送汚泥が存在する条件で曝気され、しかも排水の滞留時間が4時間以上に設定されているために、汚泥中の成分が排水に溶解(具体的には、カルシウムイオン等のイオンとして溶解)するためである。具体的に言えば、例えば沈殿物あるいは汚泥として硫酸カルシウムが存在していたとすると、曝気によって硫酸イオンとカルシウムイオンとになり、排水中に溶け込んで固形物が減少する。但し、フッ素処理の際に生成するフッ化カルシウム58は難溶性であるために、曝気では全く溶解することはない。つまり、曝気の目的は、難溶性のフッ化カルシウム58のみを残してその他の成分は夫々の成分が持つ溶解度まで溶解することによって汚泥量を削減することと、第2水槽42内を攪拌することと、好気性微生物を維持することである。
【0076】
尚、図2に、第2水槽42〜第7水槽47の各水槽における処理のタイミング(経過時間)の一例を示す。但し、図2(a)は上記排水の濃度が通常濃度の場合であり、図2(b)は上記排水の濃度が低濃度の場合である。
【0077】
上述のように、本実施の形態においては、上記第6水槽46から汚泥を第2水槽42の上部42aに返送すると共に、ブロワー54および散気管50によって弱い曝気を行っている。したがって、第2水槽42の下部42bには炭酸カルシウム鉱物52のゾーンが形成される一方、上記上部42aには未反応薬品汚泥ゾーン56が形成されている。
【0078】
したがって、第2水槽42においては、
・弱酸性排水中での曝気攪拌による未反応消石灰や未反応凝集剤からのカルシウムイオン やアルミニウムイオンの溶出
・上記炭酸カルシウム鉱物52による上記排水中のフッ素の1次処理
・上記未反応薬品汚泥ゾーン56中の未反応の薬品(消石灰および凝集剤)による上記フッ 素の2次処理
・上記未反応薬品汚泥ゾーン56中の未反応の消石灰による上記排水中のリンの1次処理
・上記未反応薬品汚泥ゾーン56中の微生物による上記排水中の界面活性剤の処理
・上記未反応薬品汚泥ゾーン56中の嫌気性微生物による上記排水中の過水の還元処理
を行うことができる。
【0079】
また、上記第3水槽43においては、添加された消石灰によって、上記排水中のフッ素の3次処理を行うことができる。さらに、上記排水中のリンの2次処理を行うことができる。また、濃縮槽としての第7水槽47においては完全に嫌気状態を維持できるので、微量の有機物をべースに嫌気性の微生物を培養することができる。したがって、第7水槽47中の濃縮汚泥を第2水槽42の未反応薬品汚泥ゾーン56に返送することによって、上記界面活性剤や過水の処理をより効果的に行うことができる。
【0080】
また、上述のように、返送汚泥を第2水槽42に導入しているので、第2水槽42〜第5水槽45での使用薬品の削減を図ることができ、加えて第7水槽47から排出される未反応薬品汚泥量を減少できる。したがって、フィルタープレス48の台数や運転時間を低減でき、発生廃棄物としての脱水後の汚泥を減少させることができる。
【0081】
すなわち、本実施の形態によれば、未反応薬品の再生効率が良く、未反応薬品汚泥の発生量が少ない排水処理装置を実現できる。特に、環境ホルモンとなる界面活性剤を高効率で処理することが可能となり、時代のニーズに即応した排水処理を行うことができる。加えて、ランニングコストおよび消費エネルギーの削減を図ることができるのである。
【0082】
<第2の実施の形態>
図3は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽71,第2水槽72,第3水槽73,第4水槽74,第5水槽75,第6水槽76,第7水槽77およびフィルタープレス78は、第1実施の形態における第1水槽41,第2水槽42,第3水槽43,第4水槽44,第5水槽45,第6水槽46,第7水槽47およびフィルタープレス48と同じ構造を有し、同じように機能する。また、第1実施の形態の場合と同様に、第6水槽76で沈澱した汚泥を、第2水槽72の上部72aに返送している。
【0083】
本実施の形態においては、上記第7水槽77で濃縮されて嫌気性微生物が高濃度で生息する汚泥を、濃縮槽汚泥返送ポンプ80によって、第2水槽72の上部72aに返送するようにしている。こうすることによって、第6水槽76からの返送汚泥によって第2水槽72の上部72aに形成されている未反応薬品汚泥ゾーン79の汚泥濃度がさらに上昇し、処理対象物質に対する排水処理効率が上がるのである。特に、汚泥濃度が上昇することによって、排水中の酸素が消費されて嫌気性の微生物が繁殖し、排水中の過水の処理が顕著になる。また、その他の処理対象物である界面活性剤についても、微生物濃度の上昇によって、処理がより確実となるのである。
【0084】
<第3実施の形態>
図4は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽81,第2水槽82,第3水槽83,第4水槽84,第5水槽85,第6水槽86,第7水槽87およびフィルタープレス88は、第1実施の形態における第1水槽41,第2水槽42,第3水槽43,第4水槽44,第5水槽45,第6水槽46,第7水槽47およびフィルタープレス48と同様の構成を有して同様に機能する。
【0085】
本実施の形態においては、
(a) 上記第6水槽86で沈澱した汚泥を、第2水槽82の上部82aに返送しない。
(b) 濃縮槽汚泥返送ポンプ89によって、第7水槽87で濃縮された汚泥を第2水槽8 2の上部82aに返送して、上部82aに未反応薬品汚泥ゾーン90を形成する。
【0086】
このように、第7水槽87で濃縮された汚泥のみを第2水槽82の上部82aに返送しているので、上部82aの未反応薬品汚泥ゾーン90の汚泥濃度は、第1実施の形能および第2実施の形態における未反応薬品汚泥ゾーン56,79よりも上昇している。したがって、処理対象物質に対する排水処理効率があがる。特に、汚泥濃度が上昇することによって、排水中の酸素が消費されて嫌気性の微生物が繁殖し、排水中の過水の処理が顕著となる。また、その他の処理対象物質である排水中の界面活性剤についても、微生物濃度の上昇によって処理がより確実になる。
【0087】
<第4実施の形態>
図5は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽91,第2水槽92,第3水槽93,第4水槽94,第5水槽95,第6水槽96,第7水槽97及びフィルタープレス98は、第1実施の形態における第1水槽41,第2水槽42,第3水槽43,第4水槽44,第5水槽45,第6水槽46,第7水槽47及びフィルタープレス48と同様の構成を有して同様に機能する。また、第1実施の形態の場合と同様に、第6水槽96で沈澱した汚泥を、沈澱槽汚泥返送ポンプ99によって、第2水槽92の上部92aに返送している。
【0088】
本実施の形態においては、上記第6水槽96で沈澱した汚泥を、第2水槽92の上部92aのみならず第3水槽93にも返送している。この場合、第3水槽93に返送される汚泥中は未反応の消石灰が含まれているため、第3水槽93における消石灰の添加量量を削減することができるのである。すなわち、本実施の形態によれば、消石灰の添加量削減によってランニングコストの低減を図ることができるのである。
【0089】
<第5実施の形態>
図6は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽101,第2水槽102,第3水槽103,第4水槽104,第5水槽105,第6水槽106,第7水槽107及びフィルタープレス108は、第1実施の形態における第1水槽41,第2水槽42,第3水槽43,第4水槽44,第5水槽45,第6水槽46,第7水槽47及びフィルタープレス48と同様の構成を有して同様に機能する。また、第1実施の形態の場合と同様に、第6水槽106で沈澱した汚泥を、沈澱槽汚泥返送ポンプ109によって、第2水槽92の上部92aに返送している。
【0090】
本実施の形態においては、
(a) 上記第6水槽106で沈澱した汚泥を、第2水槽102の上部102aのみならず第 3水槽103にも返送している。
(b) 上記第7水槽107で濃縮された汚泥を、濃縮槽汚泥返送ポンプ110によって、 第2水槽102の上部102aと第3水槽103に返送している。
【0091】
このように、上記沈濃槽である第6水槽106で沈澱された汚泥と、濃縮槽である第7水槽107で濃縮された汚泥とを、第3水槽103に返送することによって、多量の未反応の消石灰が第3水槽103に返送されることになり、第4実施の形態の場合よりも、第3水槽103に添加する消石灰の量を削減することができる。すなわち、本実施の形態によれが、第4実施の形態の場合よりも消石灰の添加量削減によるランニングコストの低減が図られる。
【0092】
<第6実施の形態>
図7は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽111,第2水槽112,第3水槽113,第4水槽114,第5水槽115,第6水槽116,第7水槽117およびフィルタープレス118は、第1実施の形態における第1水槽41,第2水槽42,第3水槽43,第4水槽44,第5水槽45,第6水槽46,第7水槽47およびフィルタープレス48と同様の構成を有して同様に機能する。また、第3実施の形態の場合と同様に、第6水槽116で沈澱した汚泥は第2水槽112の上部112aに返送されない。そして、濃縮槽汚泥返送ポンプ119によって、第7水槽117で濃縮された汚泥を第2水槽112の上部112aに返送して、未反応薬品汚泥ゾーン120を形成している。
【0093】
本実施の形態においては、上記第7水槽117で濃縮された汚泥を、第2水槽112の上部112aのみならず第3水槽113にも返送している。こうして、濃縮槽である第7水槽117で濃縮された嫌気性の微生物を含む汚泥を第2水槽112および第3水槽113に返送することによって、第2水槽112の上部112aから第7水槽117まで高濃度嫌気性敏生物が循環される。
【0094】
したがって、本実施の形態によれば、高濃度嫌気性微生物の持つ還元性によって、排水中の過水を確実に処理することができる。また、比較的生物分解性の悪い界面活性剤も効率的に処理することができるのである。
【0095】
<第7実施の形態>
図8は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽121,第3水槽123,第4水槽124,第5水槽125,第6水槽126,第7水槽127およびフィルタープレス128は、第1実施の形態における第1水槽41,第3水槽43,第4水槽44,第5水槽45,第6水槽46,第7水槽47およびフィルタープレス48と同様の構成を有して同様に機能する。
【0096】
本実施の形態においては、
(a) 第2水槽122を、第1実施の形態における第2水槽42と同様の構造を有するが 、容量は第2水槽42の半分とする。この第2水槽122には、炭酸カルシウム鉱 物130が充填されている。
(b) 第1実施の形態における第2水槽42と同様の構造を有するが、容量は第2水槽4 2の半分の未反応薬品反応槽129を設ける。尚、ここでいう薬品とは消石灰と凝 集剤(ポリ塩化アルミニウムと高分子凝集剤)である。
(c) 第2水槽122および未反応薬品反応槽129共、ブロワー132,133によって 下部を曝気している。
(d) 第1水槽ポンプ131によって、排水を上記第2水槽122と未反応薬品反応槽1 29との両方に導入する。
(e) 第6水槽126において沈澱した汚泥を、沈澱槽汚泥返送ポンプ134によって、 未反応薬品反応槽129に返送する。
【0097】
すなわち、本実施の形態においては、上記未反応薬品反応槽129において、第6水槽126からの返送汚泥中の未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウムおよび未反応の高分子凝集剤によって排水を処理し、薬品をリサイクルすることができるのである。
【0098】
また、比重が2.7の炭酸カルシウム鉱物が充填された第2水槽122と、比重が1に近い返送汚泥が導入された未反応薬品反応槽129とで、上記排水を処理することによって、比重の重い炭酸カルシウム鉱物単独で処理する場合に比して、ブロワー132,133の駆動エネルギーの総計を略半分にできる。
【0099】
<第8実施の形態>
図9は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽141,第2水槽142,未反応薬品反応槽143,第3水槽144,第4水槽145,第5水槽146,第6水槽147,第7水槽148及びフィルタープレス149は、第7実施の形態における第1水槽121,第2水槽122,未反応薬品反応槽129,第3水槽123,第4水槽124,第5水槽125,第6水槽126,第7水槽127及びフィルタープレス128と同様の構成を有して同様に機能する。さらに、第7実施の形態の場合と同様に、第6水槽147において沈澱した汚泥を未反応薬品反応槽143に返送している。
【0100】
本実施の形態においては、第7水槽148において濃縮された汚泥を、濃縮槽汚泥返送ポンプ150によって未反応薬品反応槽143に返送している。したがって、未反応薬品反応槽143においては、多量の返送汚泥中に在る未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウムおよび未反応の高分子凝集剤によって、新品の炭酸カルシウム鉱物を全く使用しないで排水中のフッ素とリンを処理し、第7水槽148において特に繁殖した嫌気性微生物の還元性によって過水を処理できるのである。さらに、排水中の界面活性剤を未反応薬品反応槽143中の微生物によって処理できる。
【0101】
ところが、図3に示した第2実施の形態の場合と比較して、第2水槽142および未反応薬品反応槽143で構成される排水処理システムが並列式であり、第2水槽142においては返送汚泥を利用していないので、省エネルギーの点、廃棄物減量の点、処理水の水質の点において劣るといえる。
【0102】
<第9実施の形態>
図10は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽151,第2水槽152,未反応薬品反応槽153,第3水槽154,第4水槽155,第5水槽156,第6水槽157,第7水槽158およびフィルタープレス159は、第7実施の形態における第1水槽121,第2水槽122,未反応薬品反応槽129,第3水槽123,第4水槽124,第5水槽125,第6水槽126,第7水槽127及びフィルタープレス128と同様の構成を有して同様に機能する。
【0103】
但し、本実施の形態においては、第7実施の形態の場合とは異なり、未反応薬品反応槽153には、第6水槽157で沈澱した汚泥ではなく、第7水槽158において濃縮された汚泥を濃縮槽汚泥返送ポンプ160によって返送している。したがって、未反応薬品反応槽153においては、新品の炭酸カルシウム鉱物を全く使用することなく、高濃度返送汚泥中の未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウムおよび未反応の高分子凝集剤によって排水中のフッ素とリンとを処理できる。また、第7水槽158において特に繁殖した高濃度嫌気性微生物の還元性によって、第7,第8実施の形態の場合よりも効率的に上記排水中の過水を処理できる。さらに、排水中の界面活性剤を、未反応薬品反応槽153中の高濃度微生物によって処理できる。
【0104】
しかしながら、図4に示す第3実施の形態の場合と比較して、第2水槽152および未反応薬品反応槽153で構成される排水処理システムが並列式であり、第2水槽152においては返送汚泥を利用していないので、省エネルギーの点、廃棄物減量の点、処理水の水質の点において劣るといえる。
【0105】
<第10実施の形態>
図11は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽161,第2水槽162,未反応薬品反応槽163,第3水槽164,第4水槽165,第5水槽166,第6水槽167,第7水槽168およびフィルタープレス169は、第7実施の形態における第1水槽121,第2水槽122,未反応薬品反応槽129,第3水槽123,第4水槽124,第5水槽125,第6水槽126,第7水槽127及びフィルタープレス128と同様の構成を有して同様に機能する。さらに、第6水槽167において沈澱した汚泥を未反応薬品反応槽163に返送している。
【0106】
本実施の形態においては、上記第2水槽162と未反応薬品反応槽163とは直列に配置されており、排水は第2水槽162にのみ導入され、その処理後の排水を未反応薬品反応槽163に導入するようになっている。すなわち、本実施の形態においては、第2水槽162を第1実施の形態における第2水槽42の下部42bとして機能させる一方、未反応薬品反応槽163を第1実施の形態における第2水槽42の上部42aとして機能させるのである。
【0107】
したがって、上記未反応薬品反応槽163において、新品の炭酸カルシウム鉱物を全く使用しないで、返送汚泥中の未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウムおよび未反応の高分子凝集剤によって排水中のフッ素とリンを処理することによって、薬品をリサイクルすることができるのである。また、排水中の過水を未反応薬品反応槽163中の嫌気性の微生物によって処理することができる。さらに、排水中の界面活性剤を未反応薬品反応槽163中の微生物によって処理することができる。
【0108】
また、比重が2.7の炭酸カルシウム鉱物が充填された第2水槽162と、比重が1に近い返送汚泥が導入された未反応薬品反応槽163とで、上記排水を処理することによって、比重の重い炭酸カルシウム鉱物単独で処理する場合に比して、ブロワーの駆動エネルギーの総計を略半分にできる。
【0109】
また、本実施の形態においては、上述のごとく、第2水槽162を第1実施の形態における第2水槽42の下部42bとして機能させる一方、未反応薬品反応槽163を第1実施の形態における第2水槽42の上部42aとして機能させているため、第1実施の形態の場合と略同等の効果が期待できる。しかしながら、第2水槽162と未反応薬品反応槽163の2つの槽を準備し、夫々の槽に分離室170,171を設置する必要があるので、第1実施の形態の場合に比較してイニシャルコストが掛かってしまう。
【0110】
<第11実施の形態>
図12は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽181,第2水槽182,未反応薬品反応槽183,第3水槽184,第4水槽185,第5水槽186,第6水槽187,第7水槽188およびフィルタープレス189は、第9実施の形態における第1水槽151,第2水槽152,未反応薬品反応槽153,第3水槽154,第4水槽155,第5水槽156,第6水槽157,第7水槽158及びフィルタープレス159と同様の構成を有して同様に機能する。さらに、第7水槽188において濃縮した汚泥を未反応薬品反応槽183に返送している。
【0111】
本実施の形態においては、上記第2水槽182と未反応薬品反応槽183とは直列に配置されており、排水は第2水槽182にのみ導入され、その処理後の排水を未反応薬品反応槽183に導入するようになっている。すなわち、本実施の形態においては、第2水槽182を第3実施の形態における第2水槽82の下部82bとして機能させる一方、未反応薬品反応槽183を第3実施の形態における第2水槽82の上部82aとして機能させるのである。
【0112】
したがって、上記未反応薬品反応槽183において、新品の炭酸カルシウム鉱物を全く使用しないで、返送汚泥中の未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウム及び未反応の高分子凝集剤によって排水中のフッ素とリンを処理することによって、薬品をリサイクルすることができるのである。また、排水中の過水を未反応薬品反応槽183中の嫌気性の微生物によって処理することができ、図11に示す第10実施の形態の場合よりも過水の処理効率はよい。さらに、排水中の界面活性剤を未反応薬品反応槽183中の高濃度微生物によって処理できる。
【0113】
また、図4に示す第3実施の形態の場合に比較して、上述のごとく、上記第2水槽182を第3実施の形態における第2水槽82の下部82bとして機能させる一方、未反応薬品反応槽183を第3実施の形態における第2水槽82の上部82aとして機能させているために、第3実施の形態の場合と略同等の効果が期待できる。しかしながら、第2水槽182と未反応薬品反応槽183の2つの槽を準備し、夫々の槽に分離室190,191を設置する必要があり、第3実施の形態の場合に比較してイニシャルコストが掛かってしまう。
【0114】
<第12実施の形態>
図13は、本実施の形態の排水処理装置における構成図である。第1水槽201,第2水槽202,未反応薬品反応槽203,第3水槽204,第4水槽205,第5水槽206,第6水槽207,第7水槽208およびフィルタープレス209は、第10実施の形態における第1水槽161,第2水槽162,未反応薬品反応槽163,第3水槽164,第4水槽165,第5水槽166,第6水槽167,第7水槽168およびフィルタープレス169と同様の構成を有して同様に機能する。さらに、第6水槽207において沈殿した汚泥と第7水槽208において濃縮した汚泥とを未反応薬品反応槽203に返送している。
【0115】
本実施の形態においては、上記第2水槽202と未反応薬品反応槽203とは直列に配置されており、排水は第2水槽202にのみ導入され、その処理後の排水を未反応薬品反応槽203に導入するようになっている。また、第7水槽208において濃縮した汚泥を未反応薬品反応槽203に返送するようにしている。
【0116】
したがって、上記未反応薬品反応槽203において、新品の炭酸カルシウム鉱物を全く使用しないで、返送汚泥中の未反応の消石灰,未反応のポリ塩化アルミニウム及び未反応の高分子凝集剤によって排水中のフッ素とリンを処理できる。また、排水中の過水を未反応薬品反応槽203中の高濃度の嫌気性微生物によって処理することができる。さらに、排水中の界面活性剤を未反応薬品反応槽203中の高濃度微生物によって処理することができる。尚、本実施の形態においては、第10実施の形態の場合よりも未反応薬品反応槽203の微生物濃度が高い分だけ排水中の処理対象物質の処理を確実に行うことができる。
【0117】
また、図3に示す第2実施の形態の場合に比較して、上述したごとく、第2水槽202を第2実施の形態における第2水槽72の下部72bとして機能させる一方、未反応薬品反応槽203を第2実施の形態における第2水槽72の上部72aとして機能させているために、第2実施の形態の場合と略同等の効果が期待できる。しかしながら、第2水槽202と未反応薬品反応槽203の2つの槽を準備し、夫々の槽に分離室210,211を設置する必要があり、第2実施の形態の場合に比較してイニシャルコストが掛かってしまう。
【0118】
[第1実験例]
次に、具体的な実験例として、図1に示す第1実施の形態における排水処理装置を用いた排水処理実験例について説明する。この実験例では、第1水槽41の容量を約1m3とし、第2水槽42の容量を約4m3とし、第3水槽43〜第5水槽45の容量を約0.5m3とし、第6水槽46の容量を約3m3とし、第7水槽47の容量を約1m3とした。
【0119】
また、処理対象とする界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水のpHは2.3であり、フッ素濃度は163ppmであり、カチオン界面活性剤の濃度は0.10ppmであり、アニオン界面活性剤の濃度は0.12ppmであり、ノニオン界面活性剤の濃度は0.10ppmであり、リン濃度は11.6ppmであり、過水濃度は86ppmである。
【0120】
そして、上述のような構成の排水処理装置によって、界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水を処理したところ、処理後の排水のpHは7.4となり、フッ素濃度は6ppmとなり、カチオン界面活性剤の濃度は0.04ppmとなり、アニオン界面活性剤の濃度は0.03ppmとなり、ノニオン界面活性剤の濃度は0.04ppmとなり、リン濃度は0.3ppmとなり、過水濃度は1ppmとなった。
【0121】
[第2実験例]
また、図8に示す第7実施の形態における排水処理装置を用いた排水処理実験例について説明する。この実験例では、上記第1水槽121の容量を約75m3とし、第2水槽122の容量を約300m3とし、未反応薬品反応槽129の容量を約300m3とし、第3水槽123の容量を約40m3とし、第4水槽124の容量を約40m3とし、第5水槽125の容量を約40m3とし、第6水槽126の容量を約230m3とし、第7水槽127の容量を約100m3とした。
【0122】
また、処理対象とする界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水のpHは2.1であり、フッ素濃度は186ppmであり、カチオン界面活性剤の濃度は0.11ppmであり、アニオン界面活性剤の濃度は0.13ppmであり、ノニオン界面活性剤の濃度が0.11ppmであり、リン濃度は12.3ppmであり、過水濃度は92ppmである。
【0123】
そして、上述のような構成の排水処理装置によって、界面活性剤,リン,過水含有フッ素排水を処理したところ、処理後の排水のpHは7.6となり、フッ素濃度は6ppmとなり、カチオン界面活性剤の濃度は0.03ppmとなり、アニオン界面活性剤の濃度は0.03ppmとなり、ノニオン界面活性剤の濃度は0.03ppmとなり、リン濃度は0.2ppmとなり、過水濃度は1ppmとなった。また、上記ブロワー132,133の電力消費量は、図16に示す従来の排水処方法と比較して約50%削減できた。また、上記薬品としての炭酸カルシウム鉱物も約50%削減でき、結果として排水処理装置から発生する廃棄物も全体で約30%削減することができた。
【0124】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1に係る発明の排水処理装置は、有機物,リン,過水含有フッ素排水が導入される第1水槽と、攪拌手段を有して炭酸カルシウム鉱物が充填されると共に返送汚泥が導入される第2水槽と、消石灰が添加される第3水槽と、ポリ塩化アルミニウムが添加される第4水槽と、高分子凝集剤が添加される第5水槽と、沈澱槽として機能する第6水槽と、濃縮槽として機能する第7水槽を有するので、上記第2水槽においては、
・上記炭酸カルシウム鉱物による上記排水中のフッ素の1次処理
・上記返送汚泥中の未反応の薬品(消石灰および凝集剤)による上記フッ素の2次処理
・上記返送汚泥中の未反応の消石灰による上記排水中のリンの1次処理
・上記返送汚泥中の微生物による上記排水中の界面活性剤の処理
・上記返送汚泥中の嫌気性微生物による上記排水中の過水の還元処理
ができる。
【0125】
さらに、上記第3水槽においては、添加された消石灰によって、上記排水中のフッ素の3次処理ができ、上記フッ素をより高度に処理できる。さらに、上記排水中のリンの2次処理ができる。さらに、濃縮槽としての上記第7水槽においては完全に嫌気状態を維持できるので、微量の有機物をべースに嫌気性の微生物を培養することができる。したがって、上記第7水槽中の濃縮汚泥を上記返送汚泥として利用することによって、上記界面活性剤や過水の処理をより効果的に行うことができる。
【0126】
さらに、上述のように、返送汚泥を上記第2水槽に導入しているので、上記第2水槽で返送汚泥中の未反応薬品が再利用されて使用薬品の削減を図ることができる。また、上記第7水槽から排出される未反応薬品汚泥量を減少できる。したがって、後段に設置される脱水用のフィルタープレスの台数や運転時間を低減でき、発生廃棄物としての脱水後の汚泥を減少させることができる。
【0127】
さらに、上記第6水槽で沈澱した汚泥を、汚泥返送手段によって上記第2水槽の上部および第3水槽に返送するので、上記第2,第3の2つの水槽によって上記返送汚泥による排水処理を2段階に行うことができる。したがって、上記返送汚泥中の未反応薬品の更なる再利用を図ることができる。さらに、上記返送汚泥中には未反応の消石炭や未反応の凝集剤等が存在するので、上記第3水槽で添加する消石灰の量、上記第4水槽で添加するポリ塩化アルミニウムの量、上記第5水槽で添加する高分子凝集剤の量を削減することができる。
【0128】
また、請求項2に係る発明の排水処理装置は、有機物 , リン , 過水含有フッ素排水が導入される第1水槽と、攪拌手段を有して炭酸カルシウム鉱物が充填されると共に返送汚泥が導入される第2水槽と、消石灰が添加される第3水槽と、ポリ塩化アルミニウムが添加される第4水槽と、高分子凝集剤が添加される第5水槽と、沈澱槽として機能する第6水槽と、濃縮槽として機能する第7水槽を有すると共に、汚泥返送手段によって、上記濃縮槽としての第7水槽において濃縮した高濃度汚泥を上記第2水槽の上部および上記第3水槽に返送するので、上記第2,第3の2つの水槽によって2段階に行われる上記返送汚泥による排水処理を効率良く行うことができる。さらに、上記高濃度返送汚泥中には未反応の消石炭や未反応の凝集剤等が存在するので、上記第3水槽で添加する消石灰の量、上記第4水槽で添加するポリ塩化アルミニウムの量、上記第5水槽で添加する高分子凝集剤の量を大幅に削減できる。
【0129】
また、請求項3に係るの発明の排水処理装置は、有機物,リン,過酸化水素含有フッ素排水が導入される第1水槽と、攪拌手段を有して炭酸カルシウム鉱物が充填された第2水槽と、攪拌手段を有して返送汚泥が導入される未反応薬品反応槽と、消石灰が添加される第3水槽と、ポリ塩化アルミニウムが添加される第4水槽と、高分子凝集剤が添加される第5水槽と、沈澱槽として機能する第6水槽と、濃縮槽として機能する第7水槽を有するので、新品の薬品の使用量を少なくして排水処理コストを削減できる。さらに、上記返送汚泥中の未反応の薬品をリサイクルできるので、ランニングコストおよび発生汚泥(スラッジ)の発生を低減できる。
【0130】
また、請求項4に係る発明の排水処理装置は、汚泥返送手段によって、上記沈澱槽としての第6水槽からの汚泥あるいは上記濃縮槽としての第7水槽からの汚泥の少なくとも一方を上記未反応薬品反応槽に返送するので、上記第6水槽からの返送汚泥に含まれる未処理薬品や微生物による上記排水の処理、あるいは、上記第7水槽からの高濃度な返送汚泥による上記排水処理の高効率化を行うことができる。さらに、上記返送汚泥は混合汚泥であるために、上記排水に対して化学的処理と生物学的処理との両方を行って、上記排水中のフッ素やリン等の化学成分と界面活性剤等の有機物との両方を同時に処理できる。
【0131】
また、請求項5に係る発明の排水処理装置は、上記第2水槽と上記未反応薬品反応槽とを直列に接続しているので、上記排水を、炭酸カルシウム鉱物が充填された上記第2水槽に続いて、返送汚泥が導入される上記未反応薬品反応槽で処理でき、上記第2水槽でのフッ素処理やリン処理が不完全であっても、又は、上記第2水槽での有機物処理や過水処理ができなくても、上記未反応薬品反応槽において、上記返送汚泥中の未反応薬品や微生物によって、上記フッ素やリンの高度処理や上記有機物や過水の処理を行うことができる。したがって、ランニングコストおよび発生汚泥(スラッジ)の発生を低減できる。
【0132】
さらに、比重が2.7の炭酸カルシウム鉱物が充填された上記第2水槽と、比重が1に近い返送汚泥が導入された上記未反応薬品反応槽とで、上記排水を処理するので、比重の重い炭酸カルシウム鉱物単独で処理する場合に比して、上記攪拌手段による攪拌エネルギーの総計を略半分にできる。
【0133】
また、請求項6に係る発明の排水処理装置は、汚泥返送手段によって、上記沈澱槽としての第6水槽からの汚泥あるいは上記濃縮槽としての第7水槽からの汚泥の少なくとも一方を上記未反応薬品反応槽に返送するので、上記第6水槽からの返送汚泥に含まれる未処理薬品や微生物による上記排水の処理、あるいは、上記第7水槽からの高濃度な返送汚泥による上記排水処理の高効率化を行うことができる。さらに、上記返送汚泥は混合汚泥であるために、上記排水に対して化学的処理と生物学的処理との両方を行って、上記排水中のフッ素やリン等の化学成分と界面活性剤等の有機物との両方を同時に処理できる。
【0134】
また、請求項7に係る発明の排水処理装置は、上記未反応薬品反応槽で、上記返送汚泥中に含まれる未反応の薬品を再生して上記排水を処理するので、上記薬品をリサイクルして薬品の使用量を削減できる。さらに、上記未反応薬品に起因する汚泥を減少させて、結果的に発生汚泥を削減できる。すなわち、この発明によれば、本排水処理装置全体のランニングコストの低減と資源の有効利用とを計ることができる。
【0135】
また、請求項8に係る発明の排水処理装置は、上記返送汚泥に酸排水を混合攪拌することによって上記未反応薬品の再生を行うので、上記フッ素やリンの処理に利用されるカルシウムイオンやアルミニウムイオンを上記返送汚泥から容易に溶出再利用できる。したがって、新たな薬品を必要とはせず、資源の有効利用とランニングコストの低減を図ることができる。
【0136】
また、請求項9に係る発明の排水処理装置は、上記未反応薬品反応槽における攪拌手段を空気を吹き出す空気攪拌手段で構成したので、上記返送汚泥からの上記カルシウムイオンやアルミニウムイオンの溶出を促進できる。さらに、上記未反応薬品反応槽内で好気性微生物を培養繁殖できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の排水処理装置における構成の一例を示す図である。
【図2】 図1に示す排水処理装置による処理タイミングを示す図である。
【図3】 図1とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図4】 図1および図3とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図5】 図1,図3および図4とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図6】 図1,図3〜図5とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図7】 図1,図3〜図6とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図8】 図1,図3〜図7とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図9】 図1,図3〜図8とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図10】 図1,図3〜図9とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図11】 図1,図3〜図10とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図12】 図1,図3〜図11とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図13】 図1,図3〜図12とは異なる排水処理装置の構成を示す図である。
【図14】 従来の排水処理装置を示す図である。
【図15】 図14とは異なる従来の排水処理装置を示す図である。
【図16】 従来の炭酸カルシウム鉱物を用いた排水処理装置を示す図である。
【符号の説明】
41,71,81,91,101,111,121,141,
151,161,181,201…第1水槽、
42,72,82,92,102,112,122,142,
152,162,182,202…第2水槽、
42a,72a,82a,92a,102a,112a…上部、
42b,72b,82b,92b,102b,112b…下部、
43,73,83,93,103,113,123,144,
154,164,184,204…第3水槽、
44,74,84,94,104,114,124,145,
155,165,185,205…第4水槽、
45,75,85,95,105,115,125,146,
156,166,186,206…第5水槽、
46,76,86,96,106,116,126,147,
157,167,187,207…第6水槽、
47,77,87,97,107,117,127,148,
158,168,188,208…第7水槽、
48,78,88,98,108,118,128,149,
159,169,189,209…フィルタープレス、
50…下部流入管、
51,170,171,190,191,210,211…分離室、
52,130…炭酸カルシウム鉱物、
53…散気管、 54,132,133…ブロワー、
55,99,109,134…沈澱槽汚泥返送ポンプ、
56,79,90,120…未反応薬品汚泥ゾーン、
57…pH計、 58…フッ化カルシウム、
59…微生物汚泥、 61,62…撹伴機
80,89,110,119,150,160…濃縮槽汚泥返送ポンプ、
129,143,153,163,183,203…未反応薬品反応槽。
Claims (9)
- 有機物,リン,過酸化水素含有フッ素排水が導入される第1水槽と、
攪拌手段を有すると共に、炭酸カルシウム鉱物が充填され、且つ、返送汚泥が導入される第2水槽と、
消石灰が添加される第3水槽と、
ポリ塩化アルミニウムが添加される第4水槽と、
高分子凝集剤が添加される第5水槽と、
沈澱槽として機能する第6水槽と、
濃縮槽として機能する第7水槽と、
上記第6水槽で沈澱した汚泥を上記第2水槽の上部および上記第3水槽に返送する汚泥返送手段
を備えたことを特徴とする排水処理装置。 - 有機物 , リン , 過酸化水素含有フッ素排水が導入される第1水槽と、
攪拌手段を有すると共に、炭酸カルシウム鉱物が充填され、且つ、返送汚泥が導入される第2水槽と、
消石灰が添加される第3水槽と、
ポリ塩化アルミニウムが添加される第4水槽と、
高分子凝集剤が添加される第5水槽と、
沈澱槽として機能する第6水槽と、
濃縮槽として機能する第7水槽と、
上記第7水槽で濃縮された汚泥を上記第2水槽の上部および上記第3水槽に返送する汚泥返送手段
を備えたことを特徴とする排水処理装置。 - 有機物 , リン , 過酸化水素含有フッ素排水が導入される第1水槽と、
攪拌手段を有すると共に、炭酸カルシウム鉱物が充填された第2水槽と、
攪拌手段を有すると共に、返送汚泥が導入されて、この返送汚泥中の未反応薬品を用いた反応が行われる未反応薬品反応槽と、
消石灰が添加される第3水槽と、
ポリ塩化アルミニウムが添加される第4水槽と、
高分子凝集剤が添加される第5水槽と
沈澱槽として機能する第6水槽と、
濃縮槽として機能する第7水槽で構成されたことを特徴とする排水処理装置。 - 請求項3に記載の排水処理装置において、
上記第6水槽で沈澱した汚泥あるいは上記第7水槽で濃縮された汚泥の少なくとも一方を、上記未反応薬品反応槽に返送する汚泥返送手段を備えたことを特徴とする排水処理装置。 - 請求項3に記載の排水処理装置において、
上記第2水槽と未反応薬品反応槽とは直列に接続されており、上記排水を、上記第2水槽に続いて上記未反応薬品反応槽で処理することを特徴とする排水処理装置。 - 請求項5に記載の排水処理装置において、
上記第6水槽で沈澱した汚泥あるいは上記第7水槽で濃縮された汚泥の少なくとも一方を、上記未反応薬品反応槽に返送する汚泥返送手段を備えたことを特徴とする排水処理装置。 - 請求項3に記載の排水処理装置において、
上記未反応薬品反応槽で、上記返送汚泥中に含まれる未反応の薬品を再生して上記排水を処理することを特徴とする排水処理装置。 - 請求項7に記載の排水処理装置において、
上記未反応薬品の再生は、上記返送汚泥に酸排水を混合攪拌することによって行うことを特長とする排水処理装置。 - 請求項8に記載の排水処理装置において、
上記未反応薬品反応槽における攪拌手段は、空気を吹き出す空気攪拌手段であることを特徴とする排水処理装置。
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