JP3683974B2 - 塗工液、インクジェット用記録媒体、インクジェット用記録媒体の製造方法及びインクジェット記録方法 - Google Patents

塗工液、インクジェット用記録媒体、インクジェット用記録媒体の製造方法及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に塗工するための塗工液、同塗工液を用いたインクジェット用記録媒体に関し、詳しくは画像の耐水性、特に水分を部分的に接触させたときの耐水性に優れたインクジェット用記録媒体に関する。又、該記録媒体の製造方法及び該記録媒体を用いて記録するインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行なうものであり、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が高い、現像−定着が不要等の特徴があり、文字を含めた各種図形及びカラー画像などの記録に、またその他の種々の用途において急速に普及している。
【0003】
該記録方式に用いる記録媒体についても、インクの高速吸収性、高吸収容量、高濃度印字、画質の向上の他に、印字物の耐水性を要求されるようになってきている。
【0004】
このような要請に対して、特開昭55−51583号公報には非晶質シリカと高分子バインダーからなる被覆層が水性インクによる印字においてインク吸収性を有し優れていて高濃度印字に向いているとの開示があり、耐水性が高いインクジェット記録媒体としては、シリル基含有変性ポリビニルアルコールを用いることが特開昭61−134290号公報に、またポリカチオン高分子電解質が用いられることが特開昭56−84992号公報に、多価金属塩を用いる方法が特開昭56−86789号公報に、2価以上のイオン価を有する水溶性金属塩の1種以上とカチオン性有機物質を使用する方法が特開昭60−67190号公報に、シラノール基を含むポリビニルアルコールとジルコニウム化合物を使用する方法が特開平6−32046号公報に開示されている。また特開平7−1833号公報には耐水化剤としてモノアンモニウム化合物を使用する方法が開示されている。
【0005】
これら公知の化合物、方法はそれぞれの目的において満足するものではあっても、未だ改善の必要性がある。例えば耐水性改善の観点からは、カチオン性物質の添加がアニオン性染料とのイオン結合により耐水性を向上できることが知られている。しかし、いずれも印字物を全面水中に浸漬し、印字物の水への再溶出を観察し、光学濃度を評価したものにすぎない。実用面では、印字物全面が水中に浸漬する場合よりも、むしろ印字物の一部に水分が付着する場合の方が多く、この場合は水分が接触した部分と接触していない部分での境界にじみが問題となる。特に印字物を全面水中に浸漬し再溶出が見られなくても、水分を部分的に接触させ乾燥するとにじみが見られることがある。これは、水を部分的に接触させたほうが、水中に浸漬するよりも、水分の支持体への浸透が長時間にわたって進行するため印字物のにじみがより顕著に現われるものと思われる。
【0006】
また非晶質シリカと高分子バインダーからなる被覆層を紙の表面に形成する場合には、紙面が非晶質シリカによって覆われてしまうために、紙の自然な風合が損なわれて媒体表面が粉っぽくなり、折り曲げや搬送等による粉落ちが発生するなど問題が多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような現状に鑑み、本発明は、インクジェット方式プリンターにおいて、良好な印字品位を保ち、しかも耐水性、特に前記従来技術の欠点である水分を部分的に接触させたときの耐水性に優れ、また基紙の自然の風合をそのまま保ったインクジェット用記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0008】
又、本発明は、このような記録媒体に塗工するための塗工液、かかる記録媒体の製造方法及びかかる記録媒体を用いて記録するインクジェット記録方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、インクジェット用記録媒体について、種々の検討を重ねた結果、以下にのべる手段によって得られる塗工液、同塗工液を用いたインクジェット用記録媒体、同記録媒体の製造方法及び同記録媒体を用いて記録するインクジェット記録方法が上記課題を解決するものであることを見いだし本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明の第一の発明は、インクジェット用記録媒体にインク受容性被覆層を設けるための塗工液であって、 少なくとも、有効成分濃度で0.5〜11.0重量%のアルミナ水和物(アルミナ水和物のBET比表面積は37〜300m2/g、BET細孔容積は0.2〜0.9ml/gである)、1.0〜8.0重量%の下記一般式(I):
【0011】
【化5】
Figure 0003683974
(式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に置換、未置換のアルキル基であり、直鎖もしくは分岐構造であってもよく、前記置換基は、ハロゲン原子、アミン基、カルボン酸基、アミド基、アンモニウム塩、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基、アシル基、アシルアミド基、エ−テル基、エステル基、シリル基、アルデヒド基、ケトン基、アセチル基、アセチルアミノ基、アセトアミド基、アセトニル基からなる群から選ばれるものである。又、Xーはフッ化物、塩化物、臭化物、沃化物、アスタタイド、硫酸塩、アルコ硫酸塩、亜硫酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過沃素酸塩、塩素酸塩の陰イオンを表す。)で表される構造を有するアンモニウム化合物、0.5〜7.0重量%の下記一般式(II):
【0012】
【化6】
Figure 0003683974
(式中R5、R6、R7、R8の少なくともひとつは置換、未置換のアリ−ル基、アリ−ルアルキル基であり、それ以外は直鎖もしくは枝状のアルキル基、置換アルキル基である。又、Xーはフッ化物、塩化物、臭化物、沃化物、アスタタイド、硫酸塩、アルコ硫酸塩、亜硫酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過沃素酸塩、塩素酸塩の陰イオンを表す。)で表される構造を有するアンモニウム化合物を含有する水分散液からなる塗工液である。
【0013】
第二の発明は、上記塗工液を用いて、ケナフパルプと木材パルプより成りその重量比が50:50〜100:0である支持体の少なくとも一方の面に、全塗料固形分の20〜60重量%のアルミナ水和物と、12〜55重量%の前記一般式(I)で表される構造式を有するアンモニウム化合物と、8〜45重量%の前記一般式(II)で表される構造式を有するアンモニウム化合物を主成分とするインク受容性被覆層を固形分1〜15g/m2 の割合で設けたことを特徴とするインクジェット用記録媒体である。
【0014】
第三の発明は、インクジェット用記録媒体にインク受容性被覆層を設けるための塗工液であって、 少なくとも、有効成分濃度で3〜11重量%のアルミナ水和物(アルミナ水和物のBET比表面積は37〜300m 2 /g、BET細孔容積は0.2〜0.9ml/gである)、1〜8重量%の下記一般式(III):
【0015】
【化7】
Figure 0003683974
(式中XーはBr-、Cl-、I-、HOSO3 -、CH3OSO3 -、C25OSO3 -を表し、nは5ないし10,000である。)で表される構造を構成単位とするポリアリルアミン誘導体、1〜7重量%の塩化ベンゼトニウムを含有する水分散液からなる塗工液である。
【0016】
第四の発明は、上記塗工液を用いて、ケナフパルプと木材パルプより成りその重量比が50:50〜100:0である支持体の少なくとも一方の面に、全塗料固形分の30〜60重量%のアルミナ水和物と、12〜45重量%の前記ポリアリルアミン誘導体と、10〜45重量%の塩化ベンゼトニウムを主成分とするインク受容性被覆層を固形分1〜15g/m2 の割合で設けたことを特徴とするインクジェット用記録媒体である。
【0017】
第五の発明は、インクジェット用記録媒体にインク受容性被覆層を設けるための塗工液であって、 少なくとも、有効成分濃度で0.5〜11.0重量%のアルミナ水和物(アルミナ水和物のBET比表面積は37〜300m 2 /g、BET細孔容積は0.2〜0.9ml/gである)、1〜6重量%の下記一般式(IV):
【0018】
【化8】
Figure 0003683974
(式中nは10ないし30,000である。)で表される構造有する4級アンモニウム塩型水溶性樹脂、0.5〜5.0重量%の塩化ベンゼトニウムを含有する水分散液からなる塗工液である。
【0019】
第六の発明は、上記塗工液を用いて、ケナフパルプと木材パルプより成りその重量比が50:50〜100:0である支持体の少なくとも一方の面に、全塗料固形分の20〜55重量%のアルミナ水和物と、15〜55重量%の前記4級アンモニウム塩型水溶性樹脂と、8〜40重量%の塩化ベンゼトニウムを主成分とするインク受容性被覆層を固形分1〜15g/m2 の割合で設けたことを特徴とするインクジェット用記録媒体である。
【0020】
第七の発明は、第一の発明及び/又は第三の発明及び/又は第五の発明の塗工液を支持体上に塗工後、熱風により乾燥させることを特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法である。
【0021】
第八の発明は、第二の発明、第四の発明又は第六の発明の記録媒体を用いて記録を行なうことを特徴とするインクジェット記録方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
一般式(I)で表される構造式のアンモニウム化合物において、その未置換のアルキル基としては、たとえばメチル、エチル、プロピル、オクチル、ノル、ベヘニル、イソプロピル、t−ブチル、イソブチル、ペンチルなどがあり、その置換基の例としては、ハロゲン原子、アミン基、カルボン酸基、アミド基、アンモニウム塩、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基、アシル基、アシルアミド基、エ−テル基、エステル基、シリル基、アルデヒド基、ケトン基、アセチル基、アセチルアミノ基、アセトアミド基、アセトニル基、などがある。
【0023】
一般式(II)で表される構造式のアンモニウム化合物において、その未置換のアリール基としては、たとえばフェニル、ナフチル、アントリル、トリル、キシリル、などがあり、その置換基の例としては、ハロゲン原子、アミン基、カルボン酸基、アミド基、アンモニウム塩、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基、アシル基、アシルアミド基、エーテル基、エステル基、シリル基、アルデヒド基、ケトン基、アセチル基、アセチルアミノ基、アセトアミド基、アセトニル基、アニリノ基、イソフタロイル基、サリチル基、サリチロイル基、などがある。アリールアルキル基の例としては、ベンジル基、フェネチル基、フェノキシ基、フェニルスルホニル基、フェニルスルフィニル基、フェニルアセチル基、フェニルアゾ基、フェニルアゾキシ基、フェニルイミノ基、フェニルカルバモイル基、フェニルスルファモイル基、フェニルスルホニルアミノ基、フェニルチオ基、フェニルプロピル基、フェニルビスアゾ基、フェネチジノ基、フタリジリデン基、フタリジル基、フタルイミド基、フタロイル基、ベンジリデン基、ベンジリジン基、ベンジルオキシ基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジルチオ基、ベンズアミド基、ベンズイミドイル基、ベンジズヒドリリデン基、ベンズヒドリル基(フェニルメチル基)、ベンゼンアゾ基、ベンゼンスルフィニル基、ベンゼンスルホニル基、ベンゼンスルホンアミド基、ベンゾイル基、ベンゾイルアミノ基、ベンゾイルイミノ基、ベンゾイルオキシ基、ベンゾキノニル基、ベンゾフラニル基などがある。
【0024】
一般式(II)においてR5 、R6 、R7 、R8 の少なくとも1つは置換、未置換のアリール基、アリールアルキル基であり、それ以外はそれが直鎖もしくは枝状のアルキル基、置換アルキル基であり、アルキル基としては、たとえば、メチル、エチル、、プロピル、オクチル、ノリル、ベヘニル、イソプロピル、t−ブチル、イソブチル、ペンチルなどがある。置換アルキル基は、上記アルキル基に付随して、ハロゲン原子、アミン基、アルボン酸基、アミド基、アンモニウム塩、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基、アシル基、アシルアミド基、エーテル基、エステル基、シリル基、アルデヒド基、ケトン基、アセチル基、アセチルアミノ基、アセトアミド基、アセトニル基、などの置換基を有する。
【0025】
第一ないし第六の各発明において、塗工液に添加されるアルミナ水和物としては、X線的に非晶質のいわゆる無定形アルミナ水和物より得られるものが好ましい。なかでも本各発明により好適に用いられる無定形アルミナ水和物は、初期的には粒子の大きさは20〜30オングストローム、その組成はAl23 ・3H2 Oの化学的に不安定で、酸・アルカリに容易に溶解するCα無定形ゲルが発生し、中性または弱アルカリ水溶液中および/または加熱によりCβゲルへと変化し、ベーマイトゲルと呼ばれ、その組成はAl23 ・1.0〜2.0H2 Oと考えられており、結晶性ベーマイトとは明らかに異なる。X線回折図は結晶性ベーマイトより半値幅が大きく、擬ベーマイトと呼ばれている。また、擬ベーマイトは結晶性の低い化合物で、Rocekら(Collect.Czech.Chem.Commun.,56巻、1253〜1262、1991年)によれば、組成はAl23 ・xH2 O(1.0<x<2.0)であると考えられる。
【0026】
この擬ベーマイトが高いインク受容性を有する理由は、その細孔半径と細孔径分布がインク受容に非常に適した範囲にあるという事実にあると考えられる。擬ベーマイトの細孔径分布は2つ以上の極大を有する。比較的大きい細孔でインク中の溶媒成分を吸収し、比較的小さい細孔でインク中の染料を吸着する。擬ベーマイトの細孔径分布の極大の一つは細孔半径100オングストローム以下が好ましく、より好ましくは10〜60オングストロームである。他の極大は細孔半径100〜200オングストロームの範囲が好ましい。
【0027】
これらのアルミナ水和物を用いた被記録媒体は、アルミナ水和物が正電荷を持っているため、負電荷をもつインク染料の定着が良く、発色の良い画像が得られること、従来、シリカ化合物を用いることで発生していた黒色インクの茶変、耐光性などの問題点がないこと、更に、画質特にフルカラー画像における画質の点で従来の記録媒体に比べ好ましいなどの長所がある。
【0028】
これに対し一般の複写機で用いられているいわゆるプレーンペーパーや従来のインクジェット用コート紙には、無機充填料としてクレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリンなどが含まれており、これらはアルミナ水和物(擬ベーマイト)のようなインク受容に適した細孔半径、細孔径分布をもたないためにインク受容性が低い。また、これらの填料は正電荷をもたないか、あるいは負電荷をもっていることから、負電荷をもつインク染料の定着が悪く、発色の悪い画像しか得られない。
【0029】
前記アルミナ水和物のBET比表面積、該アルミナ水和物及びインク受容層の細孔径分布、細孔容積、等温窒素吸脱着曲線は窒素吸着脱離方法によって同時に求めることができ、ここでは、アルミナ水和物、またはPETフィルム上に受容層を形成した被記録媒体を十分加熱・脱気してからカンタクローム社製、オートソーブ1をもちいて測定した。BET比表面積の計算はBrunauerらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.、60巻、309、1938年)。また、細孔径、細孔容積の計算はBarrettらの方法を用いた(J.Am.Chem.Soc.、73巻、373、1951年)。
【0030】
本各発明に於いて用いるアルミナ水和物のBET比表面積は37〜300m2 /gの範囲が好ましい。BET比表面積が上記範囲よりも大きい場合には細孔径分布が大きい方に片寄ってインク中の染料を十分に吸着・固定することができなくなり、小さい場合には顔料を分散良く塗工できなくなって細孔径分布の制御が難しくなる。また、アルミナ水和物のBET細孔容積は0.2〜0.9ml/gの範囲が好ましい。BET細孔容積が上記範囲より小さい場合はインクの吸収性が悪化し、上記範囲より大きい場合は粉落ちが発生する傾向がある。
【0031】
また、本発明で用いられるアルミナ水和物としては、金属酸化物、例えば二酸化チタンを含有したものを用いても良く、従来困難であった分散性とインク中の染料の吸着性の両特性を、従来のアルミナ水和物より更に改良することができる。
【0032】
二酸化チタンの含有比率はアルミナ水和物の0.01〜1.00重量%が好ましく、より好ましくは0.13〜1.00重量%である。さらに前記二酸化チタンはチタンの価数が+4価であることが好ましい。
【0033】
かかるアルミナ水和物が本発明の塗工液に必要かつ十分とされる含有量は以下のとおりである。すなわち、有効成分濃度で、第一の発明では0.5〜11.0重量%であり、耐水化剤としてポリアリルアミン誘導体を用いた第三の発明では3〜11重量%であり、耐水化剤として4級アンモニウム塩型水溶性樹脂を用いた第五の発明では0.5〜11.0重量%の範囲が好ましい。各発明でアルミナ水和物の量が上記範囲より少ないと、塗工した記録媒体のインク吸収が不十分で、発色が悪くなり、上記範囲より多いと、塗工液の粘度が上昇して微小量の均一塗工ができなくなる傾向がある。
【0034】
また用紙のインクジェット適性(発色性、解像度、耐水性、耐光性等)に応じて他の白色顔料を併用しても構わない。これらの白色顔料としてはシリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、ケイソウ土、カオリンクレー、焼成クレー、タルク、水酸化アルミニウム、コロイダルアルミナ、アルミナ、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、有機顔料(プラスチックピグメント)等、一般に紙塗工に使用されている顔料が挙げられる。またこれら顔料を塗料とするには水中に均一に分散させる必要があるが、そのためには、例えば、ポリアクリル酸ソーダ、燐酸塩、界面活性剤、などのような通常の分散剤を添加するのが好適である。
【0035】
第三および第四の発明においては、インク受容性被覆層を構成する成分の一つである耐水化剤として、ポリアリルアミン誘導体と塩化ベンゼトニウムを用いる。本発明で云う一般式(III )で表されるポリアリルアミン誘導体は、たとえば下記の工程を経て塩酸塩の形で得られるものの他に、中和された形で得られるものやモノアリルアミンとジアリルアミンとの共重合体などがある。具体的には日東紡績(株)からPAA−15,PAA−15B,PAA−10C,PAA−HCl−3L,PAA−HCl−10L,PAA−HCl−3S,PAA−HCl−10S,PAA−11D−HCl等の商品名で市販されている。
【0036】
【化9】
Figure 0003683974
第五および第六の発明においては、インク受容性被覆層を構成する成分の一つである耐水化剤として、一般式(IV)で表される4級アンモニウム塩型水溶性樹脂と塩化ベンゼトニウムを用いる。一般式(IV)で表される4級アンモニウム塩型水溶性樹脂としては、ナガセ化成工業(株)よりワイステックスの商品名で市販されている。
【0037】
本各発明において、アンモニウム化合物、ポリアリルアミン誘導体又は4級アンモニウム塩型水溶性樹脂がもたらすインクジェット用記録媒体の画像耐水性は、以下に述べる作用により発現するものと推定される。
【0038】
即ち、水を記録面に滴下した場合、水滴は徐々に支持体内部に浸透又は表面を拡散していく。このときの水分の移動速度は、支持体上の塗工液の種類、支持体の種類、ステキヒトサイズ度、平滑性等によって決まるが、滴下直後は概ね1mm/sec〜30mm/secと比較的速いが、やがて1mm/sec以下のゆっくりした速度となり移動時間も実質的に水分の乾燥が始まるまで長時間を要する。この水分の移動時間が長くなればなるほど、支持体中又はインク受理層中のインク染料は滴下水の浸透圧により溶出し、にじみとなって現われる。
前記化合物の組み合わせでインク受理層中に添加することにより、滴下水による耐水性が向上した理由は定かではないが、化合物のアルキル基部分が支持体又は顔料に吸着する力と、アンモニア部分が強く染料分子とクーロン力によって結び付く力が、滴下水の浸透圧に勝り、染料のにじみが生じなくなったと思われる。また、滴下水の移動速度を速める効果も現われるためこの効果も耐水性向上に寄与していると推測される。また、場合によって塗工液に併用することのあるシリカ、バインダー等の物性も耐水性能に影響することは言うまでもない。
【0039】
第一の発明では、塗工液中の有効成分濃度で、一般式(I)のアンモニウム化合物の含有量が1重量%より低いと耐水効果があらわれず、8重量%を越えると逆に耐水性が低下したり、塗工液の粘度が上昇し易い。第三の発明では、ポリアリルアミン誘導体の含有量が1重量%より低いと耐水効果があらわれず、8重量%を越えると逆に耐水性が低下したり、塗工液の粘度が上昇し易い。第五の発明では、4級アンモニウム塩型水溶性樹脂の含有量が1重量%より低いと耐水効果があらわれず、6重量%を越えると逆に耐水性が低下したり、塗工液の粘度が上昇し易い。
【0040】
第三および第五の発明の塗工液には耐水化剤として塩化ベンゼトニウムを組み合わせて用いる。塩化ベンゼトニウムは、下記式(V)で表される。
【0041】
【化10】
Figure 0003683974
市販品として、Hyamine1622(三共化成工業(株)製)、Rhemerol(Parke Davis Co.製)等が知られている。
【0042】
耐水化剤に塩化ベンゼトニウムを組み合わせる理由は、塩化ベンゼトニウム自体に4級アンモニウム基を有しているため上記と同様に染料のにじみを抑える効果を補強すること以外に、界面活性効果を利用することにある。すなわち塩化ベンゼトニウムが塗工液の表面エネルギーを低下させ支持体であるケナフ紙表面に対する均一付着を容易にし、アルミナ水和物をパルプ繊維の間に沈み込ませることができる。
【0043】
塩化ベンゼトニウムは第三の発明では、有効成分濃度で、塗工液における含有量が1重量%より低いと耐水効果があらわれず、7重量%を越えると逆に耐水性が低下したり、塗工液の粘度が上昇し易い。また第五の発明では、塗工液における含有量が0.5重量%より低いと耐水効果があらわれず、5.0重量%を越えると逆に耐水性が低下し易い。
【0044】
第一の発明の塗工液には耐水化剤として一般式(II)で表されるアンモニウム化合物を組み合わせて用いる。耐水化剤に一般式(II)のアンモニウム化合物を組み合わせる理由は一般式(I)のアンモニウム化合物は、主に、記録面を水中に浸漬してしまった場合に、その耐水効果が発揮されるが、記録面に水を滴下した場合の耐水効果については不充分であるため、これを補う目的で一般式(II)のアンモニウム化合物を併用するためである。
【0045】
一般式(II)で表されるアンモニウム化合物は、有効成分濃度で、塗工液における含有量が0.5重量%より低いと耐水効果があらわれず、7.0重量%を越えると逆に耐水性が低下したり、塗工液の粘度が上昇し易い。
【0046】
本発明における第二、第四および第六の各発明のインクジェット用記録媒体は、顔料が基紙の表面に容易に沈み込むアルミナ水和物であるために、基紙の自然な風合がそのまま保持され、通常の使用では媒体表面の粉落ちなどの問題は生じない。
【0047】
しかしアルミナ水和物以外の顔料を混合した場合や、表面の平滑性や滑らかな筆記性がさらに要求される場合などでは、塗工液にバインダーを加えてもよい。好ましいバインダーとしては、例えばポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体、又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、或はこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの、熱硬化合成樹脂等の水性バインダー、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダーが挙げられる。これらは1種でもよいし2種以上混合して使用してもよい。これらのうち、本各発明においては、水溶性高分子バインダーが好ましく用いられる。
【0048】
本発明に用いられる支持体は、通常の天然パルプからなる紙、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等のプラスチックフィルムシート、合成繊維、合成パルプ、合成樹脂フィルムを擬紙化したいわゆる合成紙、などのいずれでもよい。
【0049】
中でも特に本発明で用いる支持体としてはケナフ紙が好ましい。
【0050】
ケナフはタイ、中国、オーストラリア等で栽培される1年生草木であり、製紙用パルプの材料として、木材に替わるものとして注目を集めている。ケナフの利用については1950年代にアメリカ農務省がその研究に先鞭を付けて以来、基礎研究、産業レベルの研究がなされており、数多くの提案がなされている。
【0051】
例えば、特公平2−42952号公報には、ケナフ木質部化学パルプを厚壁繊維パルプと併用し、厚壁繊維の有する平滑不良性を改良することを目的とする提案がなされている。また、特開平2−91297号公報にはケナフパルプをメカニカルパルプと併用することで、メカニカルパルプの性能を向上させることを目的とした提案がなされている。また、特開平2−88286号公報、特開平2−92576号公報にはケナフパルプを通常パルプと併用することで、感熱記録紙、感圧複写紙用原紙を得ることを目的とした提案がなされている。また特開平6−262868号公報には熱転写受容紙を得ることを目的とした提案がなされている。しかし、いずれの公報にも本発明における第二、第四および第六の発明のインクジェット用記録媒体については記載されていない。
【0052】
支持体の厚みは10〜200μm、坪量は10〜200g/m2 の範囲が好適である。また耐水性の良好なインク受容性被覆層を形成するには、支持体のステキヒトサイズ度にも適性範囲がある。即ちステキヒトサイズ度は、坪量127g/m2 基準で50秒以上200秒以下が好ましい。50秒より低いとインクが支持体に深く浸透して、裏抜けやコックリング等の問題を生じ易い。
【0053】
またケナフ紙を用いる場合そのケナフパルプと木材パルプの含有率は重量比において50:50〜100:0が好ましい。ケナフパルプの含有率が10%以下だとケナフ紙独特の風合いが損なわれ好ましくない。
【0054】
本発明のインク受容性被覆層には、界面活性剤を用いることもできる。例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、芳香族4級アンモニウム塩、複素環4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等のエーテル型、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエステル型、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型といったノニオン界面活性剤、ベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0055】
本発明のインク受容性被覆層には、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、モノマー、ポリマー、インクセット剤、キレート化剤等を適宜配合することができる。
【0056】
かくして得られる本発明の塗工液組成物は、インク受容性被覆層として支持体上に固形分1〜15g/m2 の割合で設けられる。1g/m2 より少ないと印字濃度、印字品位、耐水性能の低下がみられ、15g/m2 より多いとインク受容性被覆層の剥離がおこり易い。
【0057】
本発明の塗工液は、前記の構成成分を通常の方法で均一に水中に分散、溶解して成る。分散方法としては、ボールミル、アトライター、サンドミル、ホモミキサー、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイデックス社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)等の分散機を用いるのが好ましい。
【0058】
塗工液の粘度は、塗工方式、塗工装置、塗工量、支持体により変えることが可能であるが、一般的には80cps〜1000cpsが好ましい。80cpsより低いと塗工液を所定量塗工することが困難となり、1000cpsより高いと塗工面が不均一となり好ましくない。
【0059】
本発明の第七の発明であるインクジェット用記録媒体の製造方法としては、前記支持体を得た後、前記の塗工液を塗工装置やサイズプレス装置を用いて、まず少なくとも一層以上のインク受容性被覆層を設ける。塗工方法としては、オンマシンコーター、オフマシンコーターのどちらでもよく、従来公知のエアーナイフコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、等が使用できる。塗工後は熱風を吹き付けることにより塗工液を乾燥させる。熱風は使用する支持体、塗工液により、温度、風量が変わるが70℃から160℃が好ましい。70℃より低いと乾燥に時間がかかり、160℃より高いと支持体、塗工液に変性がおこり好ましくない。
【0060】
さらに塗工後、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、等のカレンダー処理を行なって仕上げてもよい。
【0061】
本発明において、基材のインク受容性被覆層の塗工面とは反対の面にバックコート層を設けてもよい。バックコート層の配合は、インク受容性被覆層の配合と同一であっても又別の配合であってもよく、その塗工量、塗工方法等何等制限されるものではない。
【0062】
本各発明でいうインクとは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録媒体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、あるいは食品用色素等の水溶性染料が挙げられる。液媒体としては、水、及び水溶性の各種有機溶剤を用いることができる。
【0063】
本発明のインクジェット用記録媒体は、インクジェット記録方法に使用することができる。そのような記録方式としては、例えば、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化し、飛翔させて記録する固体インクジェット記録方式、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット記録方式などが挙げられる。これらの記録方式の共通点は、記録時にインクが液状である点にある。液状インクは、硬化、固化、または定着までに記録媒体のインク受理層の深さ方向または水平方向に対して浸透又は拡散する。これら各種記録方式用の記録媒体は、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット用記録媒体をこれらの記録媒体として使用しても何等問題はない。
【0065】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は勿論これらの実施例のみに限定されるものではない。
【0066】
支持体の作成例
下記の通り作成又は用意した。なお支持体のステキヒトサイズ度の測定は、JIS P8122に示される方法によって行なった。
【0067】
支持体A
坪量127g/m2 のケナフ紙(三島製紙(株)製ケナフGAフィールド、ケナフパルプ含有率70%)。ステキヒトサイズ度は50秒であった。
【0068】
支持体B
坪量127g/m2 のケナフ紙(三島製紙(株)製ケナフ100、ケナフパルプ含有率100%)。ステキヒトサイズ度は190秒であった。
【0069】
実施例1(塗工液Aの製造)
アルミナ水和物(特開平7−89221号公報実施例A記載品、BET比表面積76m2 /g BET細孔容積0.57ml/g)60gをイオン交換水240gに投入し、スターラーで30分攪拌した後、ホモミキサーで毎分8000回転で30分間分散しアルミナスラリーを得た。このスラリーを90g計り取り、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(日本油脂(株)社製カチオンBB−300)80g、塩化ベンザルコニウム(モーリン化学(株)社製カチオン08B)18g、イオン交換水130gを加えて、スリーワンモーターで30分間攪拌した。作成した塗工液の粘度は960cps(B型回転粘度計 HM−2 30rpm 25℃)であった。
【0070】
実施例2(塗工液Bの製造)
アルミナ水和物(特開平7−89221号公報実施例A記載品、BET比表面積76m2 /g BET細孔容積0.57ml/g)60gをイオン交換水240gに投入し、スターラーで30分攪拌した後、ホモミキサーで毎分8000回転で30分間分散しアルミナスラリーを得た。このスラリーを90g計り取り、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(日本油脂(株)社製カチオンVB)70g、塩化ベンザルコニウム(モーリン化学(株)社製カチオン24B−P)22g、イオン交換水130gを加えて、スリーワンモーターで30分間攪拌した。作成した塗工液の粘度は1120cps(B型回転粘度計 HM−2 30rpm 25℃)であった。
【0071】
実施例3(塗工液Cの製造)
アルミナ水和物(特開平7−89221号公報実施例A記載品 BET比表面積76m2 /g BET細孔容積0.57ml/g)を60gをイオン交換水240gに投入し、スターラーで30分間攪拌した後、ホモミキサーで毎分8000回転で30分間分散しアルミナスラリーを得た。このスラリーを90g計り取り、ポリアリルアミン誘導体(日東紡績(株)製PAA−15B 有効成分濃度15%)80g、塩化ベンゼトニウム(三共化成工業(株)製ハイアミン1622 有効成分濃度100%)9g、イオン交換水121gを加えて、スリーワンモーターで30分間攪拌した。作成した塗工液の粘度は1450cps(B型回転粘度計 HM−3 30rpm 25℃)であった。
【0072】
実施例4(塗工液Dの製造)
塗工液Aにおいて作成したアルミナスラリー90gを計り取り、ポリアリルアミン誘導体(日東紡績(株)製PAA−10C 有効成分濃度10%)120g、塩化ベンゼトニウム(三共化成工業(株)製ハイアミン1622 有効成分濃度100%)12g、イオン交換水78gを加えて、スリーワンモーターで30分間攪拌した。作成した塗工液の粘度は670cps(B型回転粘度計 HM−3 30rpm 25℃)であった。
【0073】
実施例5(塗工液Eの製造)
塗工液Aにおいて作成したアルミナスラリー45gを計り取り、4級アンモニウム塩型水溶性樹脂(ナガセ化成工業(株)製ワイステックスH−90 有効成分濃度100%)20g、塩化ベンゼトニウム(三共化成工業(株)製ハイアミン1622 有効成分濃度100%)6g、シリコン系消泡剤(ダウコーニング社製FSアンチフォーム91 有効成分濃度16%)1.5g、イオン交換水229gを加えて、スリーワンモーターで30分間攪拌した。作成した塗工液の粘度は330cps(B型回転粘度計 HM−2 30rpm 25℃)であった。
【0074】
実施例6(塗工液Fの製造)
アルミナ水和物(BET比表面積45m2 /g BET細孔容積0.48ml/g)を60gをイオン交換水240gに投入し、スターラーで30分間攪拌した後、ホモミキサーで毎分8000回転で30分間分散しアルミナスラリーを得た。このスラリーを90g計り取り、以下塗工液Aの場合と同様にして塗工液を作成した。
【0075】
作成した塗工液の粘度は790cps(B型回転粘度計 HM−2 30rpm 25℃)であった。
【0076】
実施例7(塗工液Gの製造)
アルミナ水和物(BET比表面積284m2 /g BET細孔容積0.24ml/g)を60gをイオン交換水240gに投入し、スターラーで30分間攪拌した後、ホモミキサーで毎分8000回転で30分間分散しアルミナスラリーを得た。このスラリーを90g計り取り、以下塗工液Aの場合と同様にして塗工液を作成した。
【0077】
作成した塗工液の粘度は370cps(B型回転粘度計 HM−2 30rpm 25℃)であった。
【0078】
実施例8(塗工液Hの製造)
アルミナ水和物(BET比表面積184m2 /g BET細孔容積0.87ml/g)を60gをイオン交換水240gに投入し、スターラーで30分間攪拌した後、ホモミキサーで毎分8000回転で30分間分散しアルミナスラリーを得た。このスラリーを90g計り取り、以下塗工液Aの場合と同様にして塗工液を作成した。
【0079】
作成した塗工液の粘度は1100cps(B型回転粘度計 HM−2 30rpm 25℃)であった。
【0080】
比較例1(比較用塗工液Iの製造)
アルミナ水和物としてBET比表面積328m2 /g BET細孔容積0.24ml/gのものを用いた以外は実施例1と同様にして、塗工液を作成した。
【0081】
作成した塗工液の粘度は1780cps(B型回転粘度計 HM−3 30rpm 25℃)であった。
【0082】
比較例2(比較用塗工液Jの製造)
アルミナ水和物としてBET比表面積32m2 /g BET細孔容積0.79ml/gのものを用いた以外は実施例1と同様にして、塗工液を作成した。
【0083】
作成した塗工液の粘度は1780cps(B型回転粘度計 HM−3 30rpm 25℃)であった。
【0084】
比較例3(比較用塗工液Kの製造)
アルミナ水和物としてBET比表面積123m2 /g BET細孔容積0.18ml/gのものを用いた以外は実施例1と同様にして塗工液を作成した。
【0085】
作成した塗工液の粘度は1420cps(B型回転粘度計 HM−3 30rpm 25℃)であった。
【0086】
比較例4(比較用塗工液Lの製造)
アルミナ水和物としてBET比表面積169m2 /g BET細孔容積0.95ml/gのものを用いた以外は実施例1と同様にして塗工液を作成した。
【0087】
作成した塗工液の粘度は1700cps(B型回転粘度計 HM−3 30rpm 25℃)であった。
【0088】
比較例5(比較用塗工液Mの製造)
アルミナ水和物に換えて非晶質シリカ(BET比表面積55m2 /g BET細孔容積0.08ml/gのもの)を用いた以外は実施例1と同様にして塗工液を作成した。
【0089】
作成した塗工液の粘度は1300cps(B型回転粘度計 HM−3 30rpm 25℃)であった。
【0094】
実施例9−20及び比較例15(記録媒体の製造)
上記支持体の片面に上記の塗工液を表1及び表2の組み合わせで塗工し本発明の記録媒体及び比較のための記録媒体を製造した。
【0095】
塗工方式:エアーナイフコーター 塗工量:表1
乾燥温度:100℃熱風 乾燥時間:5分
製造した記録媒体を以下の通り評価した。
【0096】
記録評価
評価用記録は、インクジェットプリンター(キヤノン(株)製、BJカラープリンターBJC−600S)を用いて行なった。
【0097】
画像濃度
イエロ、マゼンタ、シアン、ブラックのベタ印字部分の光学濃度をマクベス反射濃度計RD−1255で測定した。
【0098】
印字品位
ヘッドの走査方向と平行に幅1ドットの直線を印字し、25cm離れた距離からの目視による評価を行なった。鮮明な直線として視覚できるものをAとし、より不鮮明になるにしたがって、B、Cとした。
【0099】
耐水性
浸漬耐水・・・ベタ印字部分を3秒間水道水中に浸漬した後引き上げ、自然乾燥させた。乾燥後にインク流れが発生したかどうかを目視で確認した。インク流れがまったくみられないものをAとし、流れるにしたがって、B、Cとした。
【0100】
滴下耐水・・・2cm四方の枠内に2mm間隔で9本の線を碁盤目状にプリンターで印字し、中心部に水道水をスポイトで1滴滴下した。自然乾燥させた後、碁盤目状のラインにゆがみ、にじみが発生したかどうかを目視で確認した。ゆがみ、にじみがまったく見られないものをAとし、流れるにしたがって、B、Cとした。
【0101】
評価結果を表1及び表2に示す。
【0102】
【表1】
Figure 0003683974
【0103】
【表2】
Figure 0003683974
以上の結果から、本発明において特定の化学構造式で限定された耐水化剤の組み合わせと特定されたBET比表面積及びBET細孔容積のアルミナ水和物を含有した塗工液を塗工した記録媒体が、インクジェットの記録特性、耐水性に優れていることがわかる。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、印字品位が高く耐水性、特に滴下耐水に優れ、尚且つ紙の自然な風合を保ったインクジェット用記録媒体を提供できる。

Claims (8)

  1. インクジェット用記録媒体にインク受容性被覆層を設けるための塗工液であって、 少なくとも、有効成分濃度で0.5〜11.0重量%のアルミナ水和物(アルミナ水和物のBET比表面積は37〜300m2/g、BET細孔容積は0.2〜0.9ml/gである)、1.0〜8.0重量%の下記一般式(I):
    Figure 0003683974
    (式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に置換、未置換のアルキル基であり、直鎖もしくは分岐構造であってもよく、前記置換基は、ハロゲン原子、アミン基、カルボン酸基、アミド基、アンモニウム塩、水酸基、ニトロ基、アルコキシ基、シアノ基、アシル基、アシルアミド基、エ−テル基、エステル基、シリル基、アルデヒド基、ケトン基、アセチル基、アセチルアミノ基、アセトアミド基、アセトニル基からなる群から選ばれるものである。又、Xーはフッ化物、塩化物、臭化物、沃化物、アスタタイド、硫酸塩、アルコ硫酸塩、亜硫酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過沃素酸塩、塩素酸塩の陰イオンを表す。)で表される構造を有するアンモニウム化合物、0.5〜7.0重量%の下記一般式(II):
    Figure 0003683974
    (式中R5、R6、R7、R8の少なくともひとつは置換、未置換のアリ−ル基、アリ−ルアルキル基であり、それ以外は直鎖もしくは枝状のアルキル基、置換アルキル基である。又、Xーはフッ化物、塩化物、臭化物、沃化物、アスタタイド、硫酸塩、アルコ硫酸塩、亜硫酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、過塩素酸塩、過臭素酸塩、過沃素酸塩、塩素酸塩の陰イオンを表す。)で表される構造を有するアンモニウム化合物を含有する水分散液からなる塗工液。
  2. 請求項1記載の塗工液を用いて、ケナフパルプと木材パルプより成りその重量比が50:50〜100:0である支持体の少なくとも一方の面に、全塗料固形分の20〜60重量%のアルミナ水和物と、12〜55重量%の前記一般式(I)で表される構造を有するアンモニウム化合物と、8〜45重量%の前記一般式(II)で表される構造を有するアンモニウム化合物を主成分とするインク受容性被覆層を固形分1〜15g/m2の割合で設けたことを特徴とするインクジェット用記録媒体。
  3. インクジェット用記録媒体にインク受容性被覆層を設けるための塗工液であって、 少なくとも、有効成分濃度で3〜11重量%のアルミナ水和物(アルミナ水和物のBET比表面積は37〜300m 2 /g、BET細孔容積は0.2〜0.9ml/gである)、1〜8重量%の下記一般式(III):
    Figure 0003683974
    (式中XーはBr-、Cl-、I-、HOSO3 -、CH3OSO3 -、C25OSO3 -を表し、nは5ないし10,000である。)で表される構造を構成単位とするポリアリルアミン誘導体、1〜7重量%の塩化ベンゼトニウムを含有する水分散液からなる塗工液。
  4. 請求項3記載の塗工液を用いて、ケナフパルプと木材パルプより成りその重量比が50:50〜100:0である支持体の少なくとも一方の面に、全塗料固形分の30〜60重量%のアルミナ水和物と、12〜45重量%の前記ポリアリルアミン誘導体と、10〜45重量%の塩化ベンゼトニウムを主成分とするインク受容性被覆層を固形分1〜15g/m2の割合で設けたことを特徴とするインクジェット用記録媒体。
  5. インクジェット用記録媒体にインク受容性被覆層を設けるための塗工液であって、 少なくとも、有効成分濃度で0.5〜11.0重量%のアルミナ水和物(アルミナ水和物のBET比表面積は37〜300m 2 /g、BET細孔容積は0.2〜0.9ml/gである)、1〜6重量%の下記一般式(IV):
    Figure 0003683974
    (式中nは10ないし30,000である。)で表される構造有する4級アンモニウム塩型水溶性樹脂、0.5〜5.0重量%の塩化ベンゼトニウムを含有する水分散液からなる塗工液。
  6. 請求項5記載の塗工液を用いて、ケナフパルプと木材パルプより成りその重量比が50:50〜100:0である支持体の少なくとも一方の面に、全塗料固形分の20〜55重量%のアルミナ水和物と、15〜55重量%の前記4級アンモニウム塩型水溶性樹脂と、8〜40重量%の塩化ベンゼトニウムを主成分とするインク受容性被覆層を固形分1〜15g/m2の割合で設けたことを特徴とするインクジェット用記録媒体。
  7. 請求項1及び/または3及び/または5記載の塗工液を支持体上に塗工後、熱風により乾燥させることを特徴とするインクジェット用記録媒体の製造方法。
  8. 請求項2、4又は6記載のインクジェット用記録媒体を用いて記録を行なうことを特徴とするインクジェット記録方法。
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