JP4054565B2 - 被記録媒体 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は被記録媒体に関し、詳しくは、インクジェット記録装置における静電吸着方式の搬送機構によって搬送される被記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙などの被記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行なうものであり、高速かつ低騒音であること、多色化が容易であること、記録パターンの融通性が大きいこと、現像・定着機が不要など種々の利点を有するものである。そして、このような利点を有することから、各種画像情報の出力、記録装置として、情報機器をはじめ各種の用途において急速に普及している。さらに多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷や、カラー写真方式による印画と比較して遜色のないものであり、作成部数が少ない場合には通常の多色印刷や印画によるよりも安価であることから、この記録方式はフルカラー画像記録の分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
このインクジェト記録方式の中でも、高速記録に関して有利な方式として、被記録媒体とほぼ同じ幅の長さの、いわゆるフルマルチヘッドを用いた記録方式が従来知られている。この記録装置では、被記録媒体の搬送に静電吸着ベルトを用いる方式が提案されている。このベルトに吸着されて搬送される被記録媒体に対して記録ヘッドからインクを吐出して記録を行う。
【0004】
しかしながら、このように被記録媒体の搬送に静電吸着方式を採用した場合、いくつかの課題があることも従来知られていることである。その一つは、被記録媒体の平坦性を良好に保ちながら搬送し、かつ速やかに静電吸着ベルトから離して排紙することである。その一方で、静電吸着された被記録媒体の表面電位の影響によって、記録ヘッドからのインク吐出に伴なって発生するインクミストが被記録媒体の表面に付着したり、あるいは吐出されたインク滴の飛翔方向がずれ、画像に悪影響を及ぼすという問題もある。
【0005】
このような静電吸着に伴う技術課題もしくはその解決は、その吸着の対象である被記録媒体の特性にも依存していることが本発明者等によって検討されているが、この被記録媒体の特性は、従来、記録画質やインク吸収性等の観点から検討され、また改良が重ねられてきていることがほとんどである。
【0006】
例えば、インクジェット記録方式において、記録の高速化、高精細化、フルカラー化などの記録特性の向上に伴って、被記録媒体に対しても高度な特性が要求されるようになってきている。かかる問題点を解決するために、従来から多種多様の被記録媒体の形態が提案されてきた。それらのいくつかを示すと以下の通りである。
【0007】
たとえば特開昭55−5830号公報には、支持体表面にインク吸収性の塗工層を設けたインクジェット記録用紙が提案され、特開昭55−51583号公報には被覆層中の顔料として非晶質シリカを用いた例が提案されている。
【0008】
これらの被記録媒体は基材の上にアルミナやシリカなどの顔料を含むインク受容層を形成する形態である。インク受容層が形成されているために、紙基材を用いていても普通紙の風合いが得られていない。普通紙風の被記録媒体を得るために、例えば特開平6−312572号公報、同7−25131号公報、同7−25132号公報では紙基材の上に超微粒子を微量塗工した記録面がパルプの繊維形状を残し、かつ超微粒子顔料の被覆率が70%以上の媒体を提案している。別な形態では、例えば特開平1―141783号公報では無定形シリカおよびアルミナ水和物をオンマシンコーティングしたインクジェット記録用紙が、同11−174718号公報にはピグメントサイズ塗工された情報記録用紙が提案されている。
【0009】
それに対して紙に填料などを内添した媒体も提案されている。例えば特開昭53−49113号公報では尿素ホルマリン樹脂粉末を内添したシート上に水溶性高分子を塗布・含浸した記録紙が提案されている。特開昭58−8685号公報には合成珪酸塩、硝子繊維を内添したシートに水溶性高分子を塗布・含浸した記録紙が提案されている。これらは無サイズ紙に特定の微粉末を内添することでインク吸収性を向上させたものである。
【0010】
内添紙の別な形態としては多層構成の紙が提案されている。例えば特開昭63−118287号公報とUSP4734336号ではパルプ繊維からなる支持体層とシリカなどの填料と繊維からなる表層を重ね合わせた無塗工紙が提案されている。特開平1−78877号、同2−243381号、同2−243382号、同5−106197号の各公報には抄き合わせによる多層紙で基層または基層と表面層の合わせ面にサイズ処理がなされた記録紙が提案されている。さらに特開平6−219043号公報には表面層に難溶性または水不溶性の無機物を担持した多層紙が提案されている。また、特開平6−287886号および同7−5430号、同8−258400号の各公報には嵩高セルロース、マーセル化パルプ、広葉樹漂白サルファイトパルプなどの特定のパルプを用いた多層紙が提案されている。特開平9−170190号公報には表層に親水性繊維と疎水性繊維を主成分として基層が主としてセルロース繊維からなる多層紙が提案されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、被記録媒体は記録画質や高速記録などの記録特性を向上させる上で重要な要因であり、この点から、被記録媒体は専らこのような記録特性上の要求を満たすことに主眼がおかれることがほとんどである。従って、上記の記録特性の要求を満たし、かつ上述した静電吸着の技術課題を有効に解決できる特性を有した被記録媒体もしくはこれを用いたインクジェット記録装置を得ることは困難である。
【0012】
本発明は、この問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、静電吸着方式で被記録媒体を吸着、搬送するインクジェット記録装置において、被記録媒体の表面電位が記録画像に及ぼす影響を少なくし、かつ種々の記録特性上の要求を満たすことができる被記録媒体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明では、静電吸着方式によって被記録媒体を吸着し、該被記録媒体に対して記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に用いられる被記録媒体において、該被記録媒体は、 サイズ剤および填料を含まない繊維状物質からなる単層構造の基材に、アルミナ水和物とカチオン樹脂と無機塩とを塗工することによって、当該繊維状物質の各繊維の表面にベーマイト構造を有するアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩とが存在し、また、当該繊維状物質の各繊維間の隙間にはアルミナ水和物、カチオン性樹脂、無機塩が存在しない単層構造の被記録媒体であって、かつ、前記被記録媒体の表面抵抗は1×10の11乗Ω/□以下であることを特徴とする。
【0015】
以上の構成によれば、被記録媒体の表面抵抗値を1×10の11乗Ω/□以下とするので、この被記録媒体を静電吸着により搬送する場合、静電吸着によって生じる被記録媒体の表面電位は速やかに0Vに収束する。これにより、上記表面電位によって形成される電界が吐出インク滴を偏向したり、インクミストを被記録媒体に付着させることを防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0017】
本発明の一実施形態は、静電吸着ベルトによって被記録媒体である記録用紙を搬送するインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」ともいう)に関するものであり、まず、その全体構成および静電吸着の構成について、図1〜図7を参照して説明する。
【0018】
図1は本実施形態にかかるインクジェット記録装置の全体構成を示す断面図、図2はその搬送部の拡大構成図、図3はその搬送ベルトの平面図、図4は静電吸着力発生機構を説明する図3のa−a断面図、図5は搬送ベルトへの給電を示す正面図、図6は吸着力発生手段の回路構成を説明する図、図7は記録ヘッドの接地を説明する図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る記録装置1は自動給送装置を有し、給送部2、搬送部3、記録部5、排出部4から構成されている。
【0020】
(給送部)
給送部2は、被記録媒体である記録用紙Pを積載する圧板7と記録用紙Pを給送する給送ローラ10がベース6に取り付けられる構成となっている。圧板7はベース6に結合された回転軸7bを中心に回転可能で、圧板バネ8により給送ローラ10に付勢される。給送ローラ10と対向する圧板7の部位には、記録用紙Pの重送を防止する人工皮等の摩擦係数の大きい材質からなる分離パット7aが設けられている。
【0021】
更にベース6には、記録用紙Pの一方向の角部を覆い、該記録用紙Pを一枚ずつ分離するための分離爪9、圧板7と給送ローラ10の当接を解除するための図示しないリリースカムが設けられている。
【0022】
上記構成において、待機状態ではリリースカムが圧板7を所定位置まで押し下げて、圧板7と給送ローラ10の当接を解除している。そして搬送ローラ18の有する駆動力がギア等により給送ローラ10及びリリースカムに伝達されると、リリースカムが圧板7から離れて圧板7が上昇し、記録用紙Pが給送ローラ10に当接する。記録用紙Pは給送ローラ10の回転に伴ってピックアップされ、分離爪9によって一枚ずつ分離されて搬送部3に給送される。給送ローラ10は記録用紙Pを搬送部3に送り込むまで回転し、再び記録用紙Pと給送ローラ10との当接を解除した待機状態となって搬送ローラ18からの駆動力が切断される。
【0023】
また、記録装置1側方には手差しトレイ11が備えられている。この手差しトレイ11上に積載された記録用紙Pは、コンピュータ等の記録命令信号に従って回転する手差し給送用の給送ローラ12によって給送され、下ガイド13及び上ガイド14に案内されて搬送部3へ給送される。
【0024】
(搬送部)
搬送部3は記録用紙Pを吸着しながら搬送するベルト部材である搬送ベルト16と、図示しないシート端センサを有している。搬送ベルト16は下流側搬送ローラである駆動ローラ17、上流側搬送ローラである搬送ローラ18、及び圧力ローラ19によって巻架されている。駆動ローラ17には後述する駆動モータ27より駆動力が伝達され、これにより搬送ベルト16が回転される。
【0025】
なお、駆動ローラ17、搬送ローラ18はプラテン20に回転可能に取り付けられ、圧力ローラ19は一端がプラテン20に揺動可能に取り付けられたアーム21の他端に回動可能に取り付けられており、アーム21がバネ22によって押圧されることで搬送ベルト16に張力を架している。また、プラテン20は搬送ベルト16の下方に位置し、搬送ベルト16を支持する役目を有している。
【0026】
搬送ローラ18と対向する位置にはピンチローラ23が設けられており、搬送ベルト16に当接してこれに従動するよう構成されている。ピンチローラ23は図示しないバネによって搬送ベルト16に圧接されることで、記録用紙Pを記録部へと挟持搬送する。また給送部2から記録用紙Pが案内される上ガイド14には、記録用紙Pの先端、後端を検出してシート端センサに伝えるセンサーレバー15が設けられており、記録用紙Pの記録位置を検出することができる。
【0027】
さらに、搬送ローラ18の記録シート搬送方向に於ける下流側には、画像情報に基づいて画像を形成する記録部5の記録ヘッド40が設けられている。
【0028】
(記録部)
本実施形態に係る記録部5は、記録用紙Pの搬送方向と直交する方向の全幅に複数のノズルが配列されたフルラインタイプのインクジェット記録ヘッド40が用いられている。記録ヘッド40は、記録用紙Pの搬送方向上流側から40K(黒)、40C(シアン)、40M(マゼンタ)、40Y(イエロー)の順に所定の間隔で配置され、ヘッドホルダ41に取り付けられている。この記録ヘッド40はヒータ等の電気熱エネルギー変換体を有して液体インクであるインク52に熱を与えることが可能となっており、この熱によってインク52を膜沸騰させ、この膜沸騰による気泡の成長または収縮によって生じる圧力変化によって記録ヘッド40のノズルからインク52を吐出し、記録用紙P上に画像を形成する。
【0029】
ヘッドホルダ41は一端が軸42によって回動可能に固定されており、他端に形成された突出部41aとレール43とが係合し、これにより各記録ヘッド40のノズル面と記録用紙Pとの距離(紙間ともいう)が規定される。
【0030】
(排出部)
排出部4は排出ローラ44と拍車45とによって構成されており、記録部で画像形成された記録用紙Pはこれら排出ローラ44と拍車45とによって挟持搬送され、排出トレイ46に排出される。
【0031】
次に、記録部に於いて吸着して搬送する為の構成、動作、及び吸着力発生機構の構成を図1乃至図6を用いて説明する。まず、吸着搬送の構成について図1及び図2を用いて説明する。
【0032】
図1および図2において、搬送ベルト16は0.1mm〜0.2mm程度の厚みのポリエチレン、ポリカーボネート等の合成樹脂から形成されており、無端ベルト形状を成している。搬送ベルト16には後述する吸着力発生機構31が設けられており、搬送ベルト16と接合する給電部材34に約0.5KV 〜10KVの電圧を印加させることにより記録ヘッド40下方の記録領域で搬送ベルト16に吸着力を発生させるものである。
【0033】
搬送ベルト16は駆動ローラ17、搬送ローラ18、圧力ローラ19によって適度な張力を与えられて支持され、駆動ローラ17は駆動モータ27に連結されている。また記録用紙Pを搬送ベルト側に押さえ付ける押圧機構としてシート押圧部材25がピンチローラ23の回転軸を回転中心として取り付けられ、図示しない付勢手段により搬送ベルト16側に付勢されている。
【0034】
また、搬送ベルト16を挟圧するようにクリーニングローラ対28が設けられている。クリーニングローラ対28は搬送ベルト16に付着したインク等の汚れを除するためにインク52を吸収し、かつ耐久において劣化を防止するために気孔径の小さい(10μm〜30μmが好ましい)連胞のスポンジで形成されている。搬送ベルト16はクリーニングローラ対28で清掃された後、除電手段である除電ブラシ29によって除電される。
【0035】
次に、吸着力発生機構31について図3乃至図5を用いて説明する。
【0036】
図3に示すように、搬送ベルト16の内部には導電性の金属にて形成された一組の電極板32、33からなる吸着力発生機構31が設けられている。電極板32、33はそれぞれおのおのの歯が独立した櫛歯形状に構成され、同図に示すように搬送ベルト16の搬送方向と直交する方向で向かい合って互いの凹部に互いの凸部が入り込む形で搬送ベルト16の内部に設置されている。
【0037】
搬送ベルト16の移動方向両側において、電極板32、33はそれぞれ給電部(パターンを露出した部分)32a、33aを有している。これらの給電部32a、33aは電極板32、33の幅よりも長い距離を有して設けられており、図5に示すようにそれぞれに所定の圧力で給電部材34の給電ブラシ36、37が接触している。電極板32の給電部32aに接続された給電ブラシ36には高圧電源である正負電源50の正の電圧が印加され、電極板33の給電部33aに接続された給電ブラシ37には負の電圧が印加される。
【0038】
図5に示すように、給電部材34の給電ブラシ36、37は支持部材35によって支持され、これら支持部材35と給電ブラシ36、37の全周を取り囲むようにカバー38及び封止部材39が設けられて保護されている。カバー38は外側をプラテン20に取り付けられ、内側の側端全周に低硬度のエラストマからなる封止部材39を設けて搬送ベルト16に所定の圧力で接触させている。このようにカバー38と封止部材39によって給電部材34は周囲に所定の空間を有して外部と隔離するよう構成、設置されている。
【0039】
また、図4に示すように搬送ベルト16は、導電金属からなる電極板32、33で構成される吸着力発生機構31を、ベース層16aと表面層16bとで挟む形で保護している。これらベース層16a及び表面層16bは、ポリエチレン、ポリカーボネート等の合成樹脂にて構成されている。
【0040】
電極板32、33に電圧が印加されると、表面層16bと記録用紙Pに図4に示すような分極がおこり、静電気力により記録用紙Pは吸着力発生機構31に吸着される。すなわち、正の電圧を印加された電極板32近傍において、表面層16bの電極板32側は負に帯電し、表面層16bの表面は正に帯電する。同様に電極板33近傍において表面層16bの表面は負に帯電するため、これらの電位差によって電界が生じ、静電気力によって記録用紙Pを吸着することができる。またこのとき、記録用紙Pの表面も電極板32、33の極性に準じて帯電する。
【0041】
図6に示すように、記録用紙Pが吸着力発生機構31に吸着した場合、正負電源50は接地端子によりグランドに接地されており、+1kVが給電ブラシ36を介して電極板32に供給され、−1kVが給電ブラシ37を介して電極板33に供給される。
【0042】
また、図7に示すように、記録ヘッド40は接地端子48によってグランドに接地されている。すなわち、図7において、記録ヘッド40のインク継ぎ手部47はステンレス鋼にて形成されており、そこに設けた接地端子48を電線51により記録装置1本体のフレームに接地する。インク52は水性であるため、オリフィス部40bも0Vに接地される。なお、記録ヘッド40のベース40aが金属である場合は、直接ベース40aを0Vに接地し、インク52を介さずに直接オリフィス部40bを接地することもできる。
【0043】
以上説明した装置構成において、記録を行なう際、記録用紙Pは搬送ベルト16に吸着されてその移動と共に、矢印F(図6)の方向へと搬送される。そして、その搬送される記録用紙Pに対して記録ヘッド40からインクが吐出され、記録が行なわれる。
【0044】
図8は、この搬送される記録用紙Pの表面電位の実測値を示す図であり、横軸は、搬送ベルト16の電極板32、33に関連して示される記録用紙Pの位置を示し、縦軸は記録ヘッド40の電位(接地)を基準とした記録用紙Pの表面電位を示す。
【0045】
図8に示すように、記録用紙Pの表面電位は、電極板32と電極板33の中点Xcに対応する位置に関して対称な電位となる。また、正の最大電位は電極板32の中点X32に対応する位置に現われ、負の最大電位は電極板33の中点X33に対応する位置に現れる。記録用紙Pは図6の矢印Fの向きに移動するから、記録ヘッド40に対向する位置の記録用紙Pの表面電位は変化する。そして、同図に示す正負それぞれの最大電位約0.6KVは、記録用紙Pのある時間のものである。これらの電圧値は吸着力発生機構31の寸法、ベース層16aや表面層16bの厚さ、材質、さらに湿度などによって変化する。
【0046】
このように被記録媒体に比較的高い表面電位があると、記録ヘッドから吐出されたインク滴の飛翔方向がずれたり、インクのミストが被被記録媒体の表面に付着し、記録画像に悪影響を及ぼす場合がある。
【0047】
ところが、本願発明者等による検討の結果、被記録媒体がベルトに吸着してからの時間が経過するにつれて、被記録媒体の表面における正負それぞれの最大電位は、図9に示すように、時間tの経過とともにほぼ電極の電位に等しい値から、隣合う電極の電位の中間値、すなわち0Vに収束していくことが分かった。なお、図9に示す実験結果は、電極への印加電圧を±1.1.5KVとしたものである。
【0048】
さらに、本願発明者らによる検討の結果、被記録媒体の表面抵抗が1×10の11乗Ω/□以下であれば、速やかに0KVになることも確認された。これは、上記の範囲の表面抵抗であれば、図4で説明した記録用紙Pの表面に発生する電荷が、極めて短時間で中和し、表面電荷が消失するからと考えられる。また、記録媒体の表面抵抗は、1×10の8乗Ω/□以上が好ましい。
【0049】
このように被記録媒体の表面電位が瞬時に0KVに収束すれば、吐出インク滴やこの吐出に伴って発生するインクミストに対する表面電位の影響は実質上無いに等しくなり、記録画像上の不具合の発生を防止することができる。
【0050】
この結果、静電吸着方式で吸着しつつ、インクジェット記録ヘッドで記録できることから、記録ヘッドと被記録媒体の距離が安定に保たれたまま、かつ、被記録媒体の表面電荷が飛翔しているインクに電界による悪影響を及ぼさないようにすることができるため、高品位な画像を形成することが可能となる。
【0051】
[他の実施形態]
上記実施形態においては搬送ベルト16の内部に吸着力発生機構31を一体に形成して示したが、本発明はこれに限定するものではなく、通常のベルト部材の下方に、表面に電極を設けた電極板を固定的に設けることでもよい。この場合ベルト部材のみを回転駆動させ、それと共に被記録媒体を搬送することができる。このときベルト部材と吸着機構との摩擦が課題となるが、一方ベルト部材の構造を簡略なものとする事ができる。
【0052】
また、ベルト部材でなく、ドラム部材の表面に櫛歯状の電極を設け、この表面に被記録媒体を吸着させて搬送させることでもよい。この場合装置全体のレイアウト上小型化が難しくなるが、搬送速度や搬送方向の安定性を容易に得ることができる。
【0053】
上記説明した、表面抵抗が1×10の11乗Ω/□以下である被記録媒体の一実施形態を以下に説明する。
【0054】
本実施形態の被記録媒体は、上記の表面抵抗にかかる特性の他、その表面が通常用いられる普通紙と同様の風合いを残している上に、インク溶媒の吸収性が良く、記録部の光学濃度が高く、粉落ちやカールが少なく、耐水性に優れ、また、静電吸着方式による、搬送、排紙性に優れ、吐出に伴う画像への影響が少ないという特性も有するものである。以下この点を特に説明する。
【0055】
被記録媒体として、本願発明者らは特許第2714350号〜同第2714352号の各公報、特開平9−99627号公報、同2000−211250号公報でアルミナ水和物を繊維状物質に内添した被記録媒体を提案した。特許第2714350号〜同第2714352号、特開平9−99627号の各公報に開示されている被記録媒体は特定物性値を示すアルミナ水和物を内添した被記録媒体であり、アルミナ水和物は繊維状物質全体に内添されている。この発明では非塗工紙でも良好な発色が得られることを見出した。さらに特開2000−211250号公報に開示されている被記録媒体は表面層と基層からなる多層構成の紙媒体であり、表面層のみにベーマイト構造を示すアルミナ水和物が内添された被記録媒体である。同発明ではアルミナ水和物を内添した記録用紙を多層構成にして、表面層のみにアルミナ水和物を内添することと、基層を液体吸収性の良い材料で構成することで、高速印字の発色、解像度が優れていることを見出した。
【0056】
本実施形態の被記録媒体は、それらの発明の改良であり、アルミナ水和物を内添した被記録媒体の構成を改良して、単層構成の被記録媒体であっても填料を含まない繊維状物質を用いて無サイズ紙を抄紙し、さらにアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩を少なくとも繊維状物質の表面付近に存在させることで良好なインク吸収性と発色性、ドット再現性及び静電吸着方式による、搬送、排紙性に優れ、吐出に伴う画像への影響が少ない被記録媒体を得られることを見出した。フルラインヘッドなどを用いた超高速機で記録を行なう時に特に有効である。さらに好ましい形態は上記無サイズ紙にアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩をオンマシン塗工する形態である。本実施形態の被記録媒体は上記単層構成であり、アルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩をオンマシン塗工しているため通常の抄紙機で容易に製造することができ、生産性が著しく改善されていることも利点である。特に両面塗工を容易に行うことができると言う利点もある。本実施形態において繊維状物質は紙に限定される必要はなく、合成パルプなどを用いた合成紙、布、不織布など繊維状の材料を使用した形態すべてに当てはまるものである。ここで無サイズ紙とはステキヒトサイズ度の測定で0秒であることを指している。ステキヒトサイズ度の測定はJIS P−8122の方法で行うことができる。
【0057】
つまり、本発明にかかる被記録媒体は、填料を含まない繊維を主体とした単層構成からなり、かつ無サイズの繊維状物質の少なくとも表面近傍にアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩を存在させた被記録媒体である。本発明の被記録媒体では印字されたインク中の色材は被記録媒体のインク受容面の表面近傍で吸着され、インク中の溶媒成分は被記録媒体内部に浸透して吸収されるものである。繊維状物質の各繊維間の隙間にはアルミナ水和物、カチオン性樹脂、無機塩などの添加材料が存在しないことが好ましい。繊維状物質の各繊維間の隙間に填料が存在していないことの確認方法は、例えば特開平6−312572号公報、同7−25131号公報、同7−25132号公報に記載されているように被記録媒体表面を走査型電子顕微鏡で観察する方法を用いることができる。好ましい観察倍率は200〜500倍の範囲内である。本発明においては繊維状物質の隙間をなるべく残してインクジェットで印字した時のインク吸収を最大限に良くすることが好ましい。そのために各繊維間の隙間に填料が存在していないことが重要である。さらに本発明では通常の紙や布で用いられている表面サイズプレスなどの樹脂材料の塗工は行なわない。本発明の被記録媒体では、繊維状物質の各繊維110の表面に図10に示すように、アルミナ水和物300、カチオン性樹脂及び無機塩が付着して各繊維110の表面を被覆するように存在している。ここでアルミナ水和物、カチオン性樹脂及び無機塩は繊維状物質の各繊維間にある隙間200を埋めないように存在することが好ましい。
【0058】
本発明においては繊維状物質を主体とする単層繊維質構造により形成されるインク受容面の少なくとも表面近傍にアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩を存在させる。アルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩の添加方法としては繊維状物質を主体とする単層繊維質構造からなる被記録媒体基材に内添する方法と、同基材の所定面にこれらの材料を塗工または含浸する方法を用いることができる。被記録媒体基材にアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩を塗工または含浸する方法が好ましい。アルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩を塗工する方法は被記録媒体の表面近傍により多くのアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩を存在させることができて、発色などが良くなる。さらに好ましい方法は、アルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩をオンマシン塗工する方法である。その理由は定かでないが、オンマシン塗工の場合は紙などが抄紙後直ぐのため繊維状物質の化学的・物理的な活性が高く、接触したアルミナ水和物やカチオン性樹脂、無機塩の活性が高くなる、あるいはアルミナ水和物やカチオン性樹脂、無機塩を繊維状物質に付与してから繊維状物質に付着するまでの時間が短いために、基材の中心方向へ塗工液が浸透しにくくなるためである、と推測している。
【0059】
被記録媒体をシート状に成形した場合における好ましい塗工量はそれぞれ片面あたり1〜5g/m2である。オンマシン塗工の場合は、両面同時に塗工される。その場合のアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩のそれぞれの好ましい塗工量は両面合せて2〜10g/m2である。この範囲内であれば繊維状物質の各繊維間の隙間をより好適に確保できる。更に、オンマシン塗工することで少ない塗工量で、かつ普通紙の風合いを残したままでも良好な発色を得ることができる。
【0060】
ここで普通紙の「風合い」とは、表面に繊維状物質の繊維形状が露出していて、手触りに微粒子などを塗工したような感じがないものを言う。ここで、オンマシン塗工とは、特開平1−141783号公報および特開平11−174718号公報に記載されているように、抄紙工程で通常行われる繊維状物質上に澱粉などの樹脂材料をサイズプレス工程で付与する代わりにアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩を含む塗工液を抄紙工程でオンマシンで連続的に塗工するものである。従って、本発明にかかる被記録媒体では、被記録媒体の表面にサイズプレス層は存在していない。
【0061】
特開平1−141783号公報には支持体上に無定形シリカと平均粒子径5〜200nmのアルミナ水和物を重量比で100:5〜100:35の割合で含む塗工液をオンマシンコーティングして得られたインクジェット用記録紙が開示されている。この発明では抄紙機上でのオンマシンコーティングでの生産性の向上を目的として塗工する無定形シリカのバインダーとしてアルミナゾルを用いている。本実施形態の被記録媒体とはオンマシンコーティングを行う点は一致しているが、本実施形態のような填料を含まない無サイズ紙にアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩をオンマシン塗工する構成とは異なるものである。
【0062】
また、特開平11−174718号公報には基紙の片面あたりに3〜8g/m2のピグメントサイズ塗工が施された用紙で、仕上げ密度が0.75〜0.90g/cm3の範囲、繊維配向比が1.05〜1.25の範囲、平滑度が50〜120秒の範囲、及び地合指数が20以上である情報用紙が開示されている。この発明ではフルカラー複写機のカラー画像を良好に保ちながら剛度を維持し、坪量を低減するために用紙の密度を低くしたときに定着されたトナーが紙の隙間に入り込むのを防止するためにピグメントサイズ塗工を行っている。本実施形態の被記録媒体とは特定範囲の紙にピグメントサイズ塗工を行う点では一致しているが、本実施形態のようにインクジェットでのインク吸収性や発色、普通紙の風合いなどの特性を満足できるような特性である填料無添加の紙にアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩をオンマシン塗工する思想は記載されていない。
【0063】
アルミナ水和物は正電荷を持っているためインク中の染料などの色材の定着が良く、発色性に優れた画像が得られ、しかも黒色インクの茶変、耐光性などの問題点を生じないため、インクジェット用被記録媒体に用いる材料としては好ましい。
【0064】
本実施形態の被記録媒体中に存在するアルミナ水和物としては、X線回折法でベーマイト構造を示すアルミナ水和物が、インク吸収性と及び色材の吸着性、発色性が良いので最も好ましい。
【0065】
アルミナ水和物は下記の一般式により定義される。
Al23-n(OH)2n・mH2
式中、nは0〜3の整数の一つを表し、mは0ないし10、好ましくは0ないし5の値を示す。mH2 Oの表現は、多くの場合に結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであり、そのために、mはまた整数でない値をとることもできる。ただし、mとnは同時にゼロにならない。
【0066】
一般にベーマイト構造を示すアルミナ水和物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを示す。ベーマイト構造としては、完全ベーマイトの他に擬ベーマイトと称する、過剰な水を(020)面の層間に含んだ構造を取ることもできる。この擬ベーマイトのX線回折図形は完全ベーマイトよりもブロードな回折ピークを示す。完全ベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別できるものではないので、本実施形態では特に断らない限り、両者を含めてベーマイト構造を示すアルミナ水和物という(以下、アルミナ水和物という)。
【0067】
本実施形態で用いられるベーマイト構造のアルミナ水和物としては、X線回折法でベーマイト構造を示すものが色濃度や解像度、インク吸収性が良いため好ましい。さらにベーマイト構造を示すアルミナ水和物であれば二酸化チタンやシリカなどの金属化合物を含有したアルミナ水和物を用いることもできる。
【0068】
本実施形態で用いるアルミナ水和物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、ベーマイト構造のアルミナ水和物を製造できる方法であれば、例えば、アルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミン酸ナトリウムの加水分解などの公知の方法で製造することができる。また特開昭56−120508号公報に開示されているように、X線回折的に無定形のアルミナ水和物を、水の存在下で50℃以上で加熱処理することによって、ベーマイト構造に変えて用いることができる。
【0069】
本実施形態の無サイズ紙セルロースパルプとしては特に制限はない。例えば、広葉樹材および針葉樹材から得られるサルファイトパルプ(SP)、アルカリパルプ(AP)、クラフトパルプ(KP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ、セミメカニカルパルプ、機械パルプ等、脱墨された二次繊維である故紙パルプが使用可能である。また、パルプは未漂白パルプ、漂白パルプの区別及び叩解、未叩解の区別なく使用可能である。また、セルロースパルプとしては、非木材パルプである草、葉、靱皮、種毛等の繊維、例えば、わら、竹、麻、バガス、ケナフ、みつまた、コットンリンター等のパルプも使用できる。本実施形態では填料を含まないことが必要である。さらにポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の吸水性樹脂を含まないことが必要である。填料と吸水性樹脂を含まないことで印字ドットの良好な再現性を得ることができる。
【0070】
被記録媒体全体の坪量としては、坪量が少なくて被記録媒体が極端に薄くなければ特に制限はないが、40〜300g/m2の範囲がプリンターなどで印字する場合の搬送性の点で好ましい。さらに好ましい範囲は45〜200g/m2の範囲であり、紙の折り曲げ強度が高くならずに不透明度を高くすることができる。さらに多数枚印字サンプルを重ねた時に貼り付きが発生しにくくなる。
【0071】
本実施形態の被記録媒体では上記セルロースパルプに加えて微細フィブリル化セルロース、結晶化セルロース、広葉樹または針葉樹を原料とする硫酸塩パルプ、亜硫酸塩パルプ、ソーダパルプ、ヘミセルラーゼ処理パルプ、酵素処理化学パルプを加えることが好ましい。これらのパルプの添加によって被記録媒体表面の平滑性が向上したり、地合いがよくなる効果がある上に、印字直後の被記録媒体表面のタックや膨潤変形がなくなる効果もある。
【0072】
本実施形態では上記セルロースパルプに加えて嵩高性セルロース繊維、マーセル化されたセルロース、フラッフ化セルロース、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプなどを添加して用いることができる。これらのパルプの添加によって被記録媒体のインク吸収速度、インク吸収量を向上させることができる。
【0073】
本実施形態では被記録媒体のインク吸収速度は公知の動的走査吸液計によって測定することができる。本実施形態の被記録媒体は液体に対して接触時間が25ミリ秒で50ml/m2以上の吸収量であることが好ましい。この範囲内であればインク組成によらずにビーディングの発生が防止できるという効果がある。さらに接触時間が100ミリ秒で100ml/m2以上の吸収量であることが好ましい。この範囲であれば高速で多重印字する場合でもにじみやはじき、ビーディングの発生を防止することができる。
【0074】
液体の吸収速度、吸収量は用いるセルロースパルプの種類、叩解度によって目的の値に制御することが可能である。本実施形態の被記録媒体では前記嵩高性セルロース、マーセル化セルロース、フラッフ化セルロース、機械パルプの添加で特に吸収性を向上させることができる。さらにフィブリル化セルロース、結晶化セルロース、硫酸塩パルプ、亜硫酸塩パルプ、ソーダパルプ、ヘミセルラーゼ処理パルプ、酵素処理された化学パルプを加えることで被記録媒体の表面性を改善することができる。
【0075】
本実施形態の被記録媒体の製造方法は一般的に用いられている紙の製造方法を用いることができる。抄紙装置としては従来から用いられている長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどから選択して用いることが出来る。
【0076】
本実施形態の被記録媒体では通常の紙の製造方法で行われるサイズプレス工程でのデンプンなどの塗工は行わない。その代わりにアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩をオンマシン塗設する。オンマシン塗工の方法としては一般的な塗工方法を選択して用いることができる。例えばゲートロールコーター、サイズプレス、バーコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレー装置等による塗工技術を採用することができる。アルミナ水和物とカチオン性樹脂は混合して塗工する方法、それぞれ独立してオンマシン塗工する方法の中から自由に選択して行うことができる。
【0077】
本実施形態ではオンマシン塗工された被記録媒体に必要に応じてカレンダー処理やスーパーカレンダー処理を行って表面を平滑にすることができる。
【0078】
本実施形態で用いられるアルミナ水和物はベーマイト構造のアルミナ水和物であるが、X線回折法でベーマイト構造を示すものであれば、二酸化チタンやシリカなどの金属酸化物を含有したアルミナ水和物を用いることもできる。二酸化チタンを含有するベーマイト構造のアルミナ水和物としては例えば特許第2714351号に記載されたものを用いることができる。シリカを含有したベーマイト構造のアルミナ水和物としては例えば特開2000−79755号に記載されたものを用いることができる。別な形態としては二酸化チタンやシリカの代わりにマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、硼素、シリコン、ゲルマニウム、錫、鉛、ジルコニウム、インジウム、燐、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウムなどの酸化物や化合物を含有させて用いることもできる。
【0079】
アルミナ水和物の形状(粒子形、粒子径、アスペクト比)は、アルミナ水和物をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴下して測定用試料を作り、この試料を透過型電子顕微鏡で観察することによって測定することができる。アルミナ水和物の中で擬ベーマイトには、前記文献(Rocek J.、et al、Applied Catalysis、74巻、29〜36頁、1991年)に記載されたように、繊毛状とそれ以外の形状が有ることが一般に知られている。本実施形態においては繊毛状または平板形状のどちらの形状のアルミナ水和物でも用いることができる。
【0080】
平板形状の粒子のアスペクト比は、特公平5−16015号公報に定義されている方法で求めることができる。アスペクト比は粒子の厚さに対する直径の比を示す。ここで直径とは、アルミナ水和物を顕微鏡または電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を示すものとする。縦横比はアスペクト比と同じように観察して、平板面の最小値を示す直径と最大値を示す直径の比である。また毛状束形状の場合には、アスペクト比を求める方法は、毛状束を形成するアルミナ水和物の個々の針状粒子を円柱として上下の円の直径と長さをそれぞれ求めて、直径に対する長さの比をとって求めることができる。最も好ましいアルミナ水和物の形状は、平板状では平均アスペクト比が3〜10の範囲で、平均粒子直径が1〜50nmの範囲が好ましく、毛状束では平均アスペクト比が3〜10の範囲で、平均粒子長さが1〜50nmの範囲が好ましい。平均アスペクト比が上記範囲であれば、インク受容層を形成した時や繊維状物質に内添した時に粒子間に隙間が形成されるため、細孔半径分布の幅広い多孔質構造を容易に形成することができる。平均粒子直径または平均粒子長さが上記範囲内であれば、同様に細孔容積の大きな多孔質構造を作ることができる。
【0081】
本実施形態のアルミナ水和物のBET比表面積は70〜300m2/gの範囲が好ましい。BET比表面積が上記範囲よりも小さい場合には、印字された白濁したり、画像の耐水性が不十分になる。BET比表面積が上記範囲よりも大きい場合には、粉落ちが発生し易くなる。アルミナ水和物のBET比表面積、細孔半径分布、細孔容積は窒素吸着脱離方法によって求めることができる。
【0082】
被記録媒体中のアルミナ水和物の結晶構造は一般的なX線回折法によって測定することができる。アルミナ水和物を内添した被記録媒体を測定セルに取り付けて回折角度2θが14〜15°に現れる(020)面のピークを測定して、ピークの回折角度2θと半値幅Bから、(020)面の面間隔はブラッグ(Bragg)の式、(010)面に垂直方向の結晶厚さはシェラー(Scherrer)の式を用いて求めることができる。
【0083】
本実施形態における被記録媒体中のアルミナ水和物の(020)面の面間隔は0.617nmを越え0.620nm以下である範囲が好ましい。この範囲では使用する染料などの色材の選択幅が広くなり、疎水性、親水性のどちらの色材を用いて印字しても、印字部の光学濃度が高くなり、かつニジミやビーディング、ハジキの発生が少なくなる。また疎水性、親水性の色材を併用して印字しても、光学濃度や印字ドット径が色材の種類によらず均一になる。またインク中に親水性または疎水性の材料を含んでいても印字部の光学濃度やドット径の変化がなく、ニジミやビーディング、ハジキの発生が少なくなる。(010)面に垂直方向の結晶厚さは6.0〜10.0nmの範囲が好ましい。この範囲では被記録媒体のインク吸収性及び色材の吸着性が良く、粉落ちが少なくなる。被記録媒体中のアルミナ水和物の(020)面の面間隔と(010)面に垂直方向の結晶厚さを上記範囲内にする方法は例えば特開平9−99627号に記載された方法を用いることができる。
【0084】
被記録媒体中のアルミナ水和物の結晶化度は同様にX線回折法によって求めることができる。アルミナ水和物を内添した被記録媒体を粉末化して測定セルに取り付けて回折角度2θが10°における強度と2θが14〜15°に現れる(020)面のピークを測定して、2θ=10°のピーク強度に対する(020)面のピーク強度から結晶化度を求めることができる。被記録媒体中のアルミナ水和物の結晶化度は15〜80の範囲が好ましい。この範囲内であればインク吸収性が良くなる上に印字された画像の耐水性が良くなる。被記録媒体中のアルミナ水和物の結晶化度を上記範囲内にする方法は例えば特開平8−132731号に記載された方法を用いることができる。
【0085】
用いるアルミナ水和物の好ましい細孔構造は以下の3種類あり、必要に応じて1種類以上選択して用いることができる。
【0086】
本実施形態における第1の細孔構造は、前記アルミナ水和物の平均細孔半径は2.0〜20.0nmで、細孔半径分布の半値幅は2.0〜15.0nmのものである。ここで平均細孔半径は特開昭51−38298号公報、特開平4−202011号公報に示されるものである。また細孔半径分布の半値幅とは、細孔径分布の測定結果において平均細孔半径の頻度の半分の頻度である細孔半径の幅を示すものである。
【0087】
上記範囲の平均細孔半径と半値幅であれば、使用できる色材の選択幅が広くなって疎水性や親水性の色材を用いてもニジミやビーディング、ハジキがほとんど発生せず、光学濃度やドット径が均一になる。上記細孔構造を持つアルミナ水和物は例えば特許第2714352号に記載された方法で作ることができる。
【0088】
本実施形態における第2の細孔構造は前記アルミナ水和物が細孔半径分布において半径10.0nm以下と半径10.0〜20.0nmの範囲にそれぞれ極大を持っているものである。半径10.0〜20.0nmの比較的大きい細孔でインク中の溶媒成分を吸収し、半径10.0nm以下の比較的小さい細孔でインク中の色材などの色材成分を吸着する。そのため色材の吸着と溶媒の吸収の両方とも早くなる。半径10.0nm以下の極大は半径1.0〜6.0nmにあるものがより好ましく、この範囲内では色材の吸着が早くなる。細孔半径10.0nm以下の極大部分の細孔容積比(極大2の容積比)は、全細孔容積の0.1〜10%であることがインク吸収性と色材定着性の両者を満足するため好ましく、より好ましくは1〜5%の範囲であり、この範囲ではインク吸収速度と色材の吸着速度が早くなる。上記細孔構造を持つアルミナ水和物は例えば特許第2714350号に記載された方法で作ることができる。それ以外の方法として半径10.0nmにピークを持つアルミナ水和物と半径10.0と20.0の間にピークを持つアルミナ水和物を併用する方法を用いることができる。
【0089】
本実施形態における第3の細孔構造は前記アルミナ水和物が細孔半径分布において半径2.0〜20.0nmの範囲に最大ピークを持つものである。この範囲にピークを持つとインク吸収性と色材吸着の両方を満足してかつアルミナ水和物の透明性が良くなり、画像の白濁を防止することができる。最大ピークのさらに好ましい範囲6.0〜20.0nmで、この範囲内であれば色材として顔料を用いたインク、染料を用いたインク、染料インクと顔料インクの併用インク、混合インクのどちらのインクで印字を行ってもにじみ、はじき、色むらの発生を防ぐことができる。最も好ましい範囲は半径6.0〜16.0nmの範囲である。この範囲内であれば色材濃度の異なる3種類以上のインクを用いた場合でも濃度による色味の差異がなくなる。上記細孔構造を持つアルミナ水和物は例えば特開平9−6664号公報に記載された方法で作ることができる。
【0090】
アルミナ水和物の全細孔容積は0.4〜1.0cm3/gの範囲が好ましい。この範囲内であればインク吸収性が良い上に多色印字を行っても色味が損なわれることがない。さらに好ましい範囲は0.4〜0.6cm3/gの範囲であることが粉落ちや画像のにじみが発生しにくくなるため好ましい。さらにアルミナ水和物の半径2.0〜20.0nmの範囲の細孔容積が全細孔容積の80%以上であると印字された画像に白濁が発生しないのでさらに好ましい。別な形態としてアルミナ水和物を凝集させて用いることも可能である。粒子径が0.5〜50μmでBET比表面積/細孔容積の値が50〜500m2/mlである範囲が好ましい。この範囲内であればアルミナ粒子の吸着点が数多く露出しているために印字環境(温度、湿度)によらずビーディングの発生を防ぐことができる。上記細孔構造を持つ凝集粒子は、例えば特開平8−174993号に記載された方法を用いることができる。
【0091】
また、本実施形態において、カップリング剤処理されたアルミナ水和物を用いることができる。用いるカップリング剤としてはシラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系カップリング剤の中から1種類以上選択して用いることができる。カップリング剤によってアルミナ水和物が疎水化されていると画像の色濃度が高く、鮮明な画像が得られるので好ましい。アルミナ水和物全体の表面積換算で0.1〜30%の範囲でカップリング剤処理されていると、インクの吸収性を損なうことなく、発色性を高めることができる。上記カップリング剤処理方法は例えば特開平9−76628号に記載された方法で行うことができる。
【0092】
さらに本実施形態ではアルミナ水和物に金属アルコキシド、水酸基を架橋することができる物質を添加して用いることも可能である。金属アルコキシドとしては例えばテトラエトキシシラン、テトラメトキシシランのように一般に用いられている材料の中から自由に選択して用いることができる。水酸基を架橋することができる材料としては例えば硼酸または硼酸化合物、ホルマリン化合物などの中から自由に選択して用いることができる。処理方法は例えば特開平9−86035号に記載された方法でおこなうことができる。これらの材料を添加することで界面活性剤を多く添加した浸透性の良いインクを用いて印字した場合でもにじみやビーディングの発生を防止することができる。
【0093】
本実施形態で用いるカチオン性樹脂としては4級アンモニウム塩、ポリアミン、アルキルアミン、ハロゲン化第4級アンモニウム塩、カチオン性ウレタン樹脂、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物などの材料の中から自由に選択して用いることができる。
【0094】
本実施形態で用いる無機塩としては特に水溶性セリウム化合物が好ましいものである。
【0095】
本発明に用いる水溶性セリウム化合物は、本発明の目的を達成できるものであれば特に限定されない。本実施形態の被記録媒体に水性インクで印字を行った場合には、インク液滴が被記録媒体に到達すると水溶性セリウム化合物が溶解してインク液滴と混じり合う。そしてインク液滴中の顔料色材またはインク中に存在している水溶性高分子やエマルジョン、あるいはマイクロカプセル化された色材に、水溶性セリウム化合物が溶解して形成された成分が作用して色材を被記録媒体に定着させる。水溶性セリウム化合物の作用による色材などの被記録媒体への定着速度は非常に早く、最近の高速印字のプリンターやフルラインヘッドを持ったプリンターにも十分に対応でき、高速定着を可能とすることができる。更に、定着速度が速いので、文字などの細線の解像度も高い上に、べた印字部のむらが発生しにくいという利点がある。この定着速度における改善効果は、従来のカチオン性樹脂の添加や他の金属塩の添加では得られなかった効果である。特に全色顔料インクを用いたプリンターで印字した場合にその効果が顕著に現れる。白地に文字を印字した場合と、べた部印字に文字を印字した場合には一般的な被記録媒体では、べた印字部上では文字の輪郭に鮮明性が得られないのに対して、本発明の被記録媒体では、べた印字部上でも文字などの細線でも白地と同等の鮮明性が得られる。また海の波や肌色などの色調や濃度が微妙に変化するような画像でも忠実性の良い画像を得ることができる。
【0096】
本発明において用い得る水溶性セリウム化合物の中では塩化セリウムなどのセリウムハロゲン化物がより好ましい。セリウムのハロゲン化物は印字された時のインク液中への溶解速度および拡散速度が速いのと、被記録媒体を保存する時にべた付きや着色が発生しにくい、という効果がある。さらに好ましい水溶性セリウム化合物は粗塩化希土である。粗塩化希土は鉱物資源として取り出される希土類の鉱物から目的の希土類を取り出した残さである。主成分は塩化セリウムである。粗塩化希土は天然物であるために経口毒性が低いなどの安全性が高い上に、材料自体が安価であるという効果がある。さらに染料インクを用いて印字した画像の光安定性が良くなるという効果もある。
【0097】
水溶性セリウム化合物の被記録媒体への添加量には特に制限はない。高濃度の発色を得る上で好ましい添加量は、0.01g/m2以上10.0g/m2以下の範囲から選択することができる。べた印字部の均一性と細線のにじみの防止とい観点からの更に好ましい範囲は、0.1g/m2以上7.0g/m2以下である。
【0098】
本実施形態の画像形成方法に使用されるインクは、主として色剤(染料もしくは顔料)、水溶性有機溶剤および水を含むものである。染料としては、例えば直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素などに代表される水溶性染料が好ましく、上記の被記録媒体との組み合わせで定着性、発色性、鮮明性、安定性、耐光性その他の要求される性能を満たす画像を与えるものであればいずれでも良い。顔料としてはカーボンブラックなどが好ましい。顔料と分散剤を併用する方法も自己分散型顔料を用いる方法、マイクロカプセル化する方法も可能である。
【0099】
水溶性染料は、一般に水または水と水溶性有機溶剤からなる溶媒中に溶解して使用するものであり、これらの溶媒成分としては、好ましくは水と水溶性の各種有機溶剤などとの混合物が使用されるが、インク中の水分含有量が、20〜90重量%の範囲内となるように調整するのが好ましい。上記水溶性有機溶剤としては、例えばメチルアルコールなどの炭素数が1〜4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、アセトンなどのケトンまたはケトンアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、エチレングリコールなどのアルキレン基が2〜6個の炭素数を含むアルキレングリコール類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、などの多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類が好ましい。多価アルコール類は、インク中の水が蒸発し、水溶性染料が析出することに基づくノズルの目詰まり減少を防止するための潤滑剤としての効果が大きいため、特に好ましい。
【0100】
インクには可溶化剤を加えることもできる。代表的な可溶化剤は、含窒素複素環式ケトン類であり、その目的とする作用は、水溶性染料の溶媒に対する溶解性を飛躍的に向上させることにある。例えばN−メチル−2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。さらに特性の改善のために、粘度調整剤、界面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗調整剤などの添加剤を加えて用いることもできる。
【0101】
上記被記録媒体に上記インクを付与して画像形成を行う方法は、インクジェット記録方法であり、該記録方法はインクをノズルより効果的に離脱させて、被記録媒体にインクを付与し得る方法であればいかなる方法でも良い。特に特開昭54−59936号公報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット方式は有効に使用することができる。
【0102】
【実施例】
以下、本発明の具体的な一実施例について説明する。
【0103】
(記録特性)
本実施例で使用した特に被記録媒体について、以下の特性の評価を下記の要領で行なった。
【0104】
既に、図1等で上述したフルラインタイプのインクジェット記録ヘッドを用いた超高速印字を行うプリンターを用いて記録を行った。ヘッドの解像度は600DPIで、全ての色で600DPIの1画素には8plのインク滴を2発打ち込むことで画像形成を行った。
【0105】
1)インク吸収性
上記プリンターを用いて単色から4色までのベタ記録を行った。記録直後の被記録媒体表面のインク乾燥状態を記録部に指で触れてインク吸収性を調べた。単色べた記録でのインク量を100%としたとき、インク量300%(3色混合)でインクが指に付着しないものを◎、インク量200%(2色混合)でインクが指に付着しないものを○、インク量100%でインクが指に付着しないものを△、同100%でインクが指に付着すれば×とした。
【0106】
2)画像濃度
上記プリンターを用いてY、M、C、Bkインク単色で、インク量100%でベタ印字した画像の画像濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を用いて評価した。
【0107】
3)べた均一性、滲み、ビーディング、はじき、裏抜け
上記プリンターで10mm×10mmの正方形のパターンを単色または多色でベタ印字した記録部のべた均一性、滲み、ビーディング、はじきを目視で評価した。べた部の濃度が均一であれば○、白抜けや濃度むら、すじ状むらがあれば×とした。記録部から色材のにじみがなければ○、色材のにじみが見えれば×とした。同様にべた記録部にビーディングやはじきがなければ○、発生していれば×とした。被記録媒体の裏面を観察して色材の裏抜けを目視で調べた。裏抜けが観察されなければ○、観察されたら×とした。
【0108】
4)記録後カール
上記プリンターで50mm×50mmの正方形のパターンを被記録媒体の中央部に単色100%でべた印字を行った。平らな台の上に静置してハイトゲージで反り量を測定した。反りが1mm以下を○、同3mm以下を△、同3mm以上を×とした。
【0109】
5)記録後のタック
上記プリンターで10mm×10mmの正方形のパターンを単色100%でべた印字を行った。被記録媒体の表面を指で触って付着しなければ○、付着すれば×とした。
【0110】
6)記録後の粉落ち
被記録媒体を10枚重ねて上記プリンターで搬送して10枚それぞれの粉落ちを目視で観察した。粉落ちがなければ○、粉落ちが発生していれば×とした。
【0111】
7)記録後の貼り付き
上記プリンターで50mm×50mmの正方形のパターンを被記録媒体の中央部に単色100%でべた印字を行った。10枚連続して印字して印字サンプルを重ね合わせた。各試料とも貼り付きがなければ○、貼り付きが発生していれば×とした。
【0112】
8)記録後の表面変化(膨潤、コックリング、しわ、変形)
上記プリンターで50mm×50mmの正方形のパターンを被記録媒体の中央部に単色100%でべた記録を行った。印字直後の被記録媒体表面を目視で観察した。記録面に変化または変形がなければ○、記録面に膨潤、しわや変形、コックリングなどの変化が観察されたら×とした。
【0113】
9)被記録媒体の表面抵抗
25℃、50%RHの環境で、表面抵抗測定装置で被記録媒体の表面抵抗を測定した。
【0114】
10)インク滴の着弾精度
隣接したノズルから同時にインク滴を吐出させたときの理想着弾位置が10μm以上ずれた場合は×、3μm以内であれば◎、その間であれば○とした。
【0115】
11)被記録媒体へのインクミストの付着
インクのミストが発生しやすいべた画像を印字し、べた画像の周辺に付着したミストが視覚されるかどうかで判断した。出ていれば×、若干出ていれば△、出ていなければ○とした。
【0116】
(インク)
実施例のインクとしては下記組成の水性インクを用いた。
ブラック(Bk)インク
顔料分散液 25部
フードブラック2 2部
グリセリン 6部
トリエチレングリコール 5部
アセチレノール EH 0. 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
【0117】
上記顔料分散液は次のものである。
[顔料分散液]
水5. 3gに濃塩酸5gを溶かした溶液に、5℃においてアントラニル酸1.58gを加えた。この溶液を、アイスバスで攪拌することにより常に10℃以下に保ち、5℃の水8.7gに亜硝酸アントリウム1.78gを加えた溶液を加えた。さらに、15分攪拌した後、表面積が320m2 /gでDBP吸油量が120ml/100gのカーボンブラック20gを混合した状態のまま加えた。その後、さらに15分攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No. 2(アドバンティス社製)で濾過し、顔料粒子を充分に水洗し、110℃のオーブンで乾燥させた後、この顔料に水をたして顔料濃度10重量%の顔料水溶液を作製した。以上の方法により、表面にフェニル基を介して親水性基が結合したアニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックが分散した顔料分散液を得た。
イエロー(Y)インク
C.I.ダイレクトイエロー86 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノール EH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
マゼンタ(M)インク
C.I.アシッドレッド289 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノール EH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
シアン(C)インク
C.I.ダイレクトブルー199 3部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
アセチレノール EH 1部
(川研ファインケミカル製)
水 残部
【0118】
(被記録媒体の実施例1)
原料パルプとして市販のLBKPをダブルディスクリファイナーによって叩解してカナディアンスタンダードフリーネス(C.S.F.)300mlの叩解原料(A)を得た。同様に市販のLBKPを基層と同じ装置で叩解して同450mlの叩解原料(B)を得た。叩解原料(A)と叩解原料(B)を乾燥重量比換算で9:1の割合で混合して抄紙原料を調整した。
【0119】
特開平9−99627号公報の実施例1に記載されているベーマイト構造のアルミナ水和物をイオン交換水に分散して固形分濃度10重量%のアルミナ水和物分散液を調整した。カチオン性樹脂としてワイステックスH−90(商品名、ナガセ化成工業社製、有効成分45%)をイオン交換水と混合して有効成分量10重量%のカチオン性樹脂分散液を調整した。このアルミナ水和物分散液とカチオン性樹脂分散液を1:1の割合で混合して混合塗工液を調整した。
【0120】
市販の粗塩化希土をイオン交換水に分散して固形分濃度3重量%の水分散液を作成した。
【0121】
上記抄紙原料を用いて長網抄紙機で坪量80g/m2に調節して抄紙し、2ロールサイズプレス装置で前記アルミナ水和物とカチオン性樹脂の混合塗工液を乾燥固形分換算で片面あたり4g/m2(アルミナ水和物2g/m2、カチオン性樹脂2g/m2)の量で塗工し、次に2段目のサイズプレス装置で前記粗塩化希土分散液を乾燥固形分換算で片面あたり0.2g/m2塗工した。さらにスーパーカレンダーで表面を平滑化して被記録媒体を得た。
【0122】
(被記録媒体の実施例2)
上記実施例1の粗塩化希土分散液を乾燥固形分換算で片面あたり0.5g/m2塗工した物として被記録媒体を形成した。
【0123】
(被記録媒体の実施例3)
上記実施例1の粗塩化希土分散液を乾燥固形分換算で片面あたり0.8g/m2塗工した物として被記録媒体を形成した。
【0124】
(被記録媒体の参考例)
上記実施例1の粗塩化希土分散液を塗工していない物として被記録媒体を形成した。
【0125】
以上の各実施例について、以下の評価を得た。
【0126】
【表1】
Figure 0004054565
【0127】
この表に示されるように、上述した表面抵抗が1×10の11乗Ω/□以下を示す被記録媒体は、種種の記録特性をも満足するものであり、これにより、静電吸着ベルトによる搬送に伴う前述の課題を解決できるとともに、高品位の記録が可能となる。
【0128】
また、以下のような種々の効果を得ることができる。
(1) 静電吸着方式で吸着しつつ、インクジェット記録ヘッドで記録できることから、ヘッドと被記録媒体の距離が安定に保たれたまま、かつ、被記録媒体の表面電荷が飛翔しているインクに電界による悪影響を及ぼさないようにすることができるため、高品位な画像を形成することが可能となる。
被記録媒体としては、
(2) フルラインヘッドなどを用いた超高速機で記録した場合でも貼りつきや裏移りがない良好なインク吸収性が得られる。
(3) 高速記録を行っても色材が被記録媒体表面で高速に分離されるために良好な発色性とドット再現性が得られる上に裏抜けが発生しない。
(4) 本発明の被記録媒体は単層構成のため製造が簡単で生産性が良好である。
(5) アルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩をオンマシン塗工しているため通常の抄紙機械で簡単に生産することができる。一度巻き取って塗工を行う従来の製造方法よりも生産性が良好である。特に無機塩の効果により、被記録媒体の表面抵抗を一定の値以下にすることで、上記(1)の効果を最大限に発揮でき、かつ、オンマシン塗工で、両面で表面抵抗が制御して製造されるため、静電搬送ベルトからの分離も容易に行うことができる。
【0129】
なお、上記の実施形態および実施例では、静電吸着による搬送ベルトの例について説明したが、本発明の適用はこの例に限られないことはもちろんであり、被記録媒体を単に静電吸着によって保持固定し、これに対して記録ヘッドを移動させて記録を行なう構成も本発明の範囲に含まれる。
【0130】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、被記録媒体の表面抵抗値を1×10の11乗Ω/□以下とするので、この被記録媒体を静電吸着により搬送する場合、静電吸着によって生じる被記録媒体の表面電位は速やかに0Vに収束する。これにより、上記表面電位によって形成される電界が吐出インク滴を偏向したり、インクミストを被記録媒体に付着させることを防止できる。
【0131】
この結果、静電吸着方式で被記録媒体を吸着、搬送するインクジェット記録ヘッ装置において、被記録媒体の表面電位が記録画像に及ぼす影響を少なくし、また、この表面抵抗特性を有する被記録媒体は、種々の記録特性上の要求を満たすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録装置の全体構成を示す断面図である。
【図2】上記記録装置における搬送部の拡大構成図である。
【図3】上記搬送部における搬送ベルトの平面図である。
【図4】搬送ベルトにおける吸着力発生機構を説明する図3のa−a断面図である。
【図5】上記搬送ベルトへの給電を示す正面図である。
【図6】上記吸着力発生機構の回路構成を説明する図である。
【図7】上記記録装置における記録ヘッドの接地を説明する図である。
【図8】吸着搬送ベルトで搬送される被記録媒体の表面電位を説明する図である。
【図9】上記被記録媒体の表面電位の時間変化を説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる被記録媒体を構成する繊維にアルミナ等が付着した状態を説明する図である。
【符号の説明】
P 記録用紙(被記録媒体)
1 インクジェット記録装置
2 給送部
3 搬送部
4 排出部
5 記録部
6 ベース
7 圧板
7a 分離パット
7b 回転軸
8 圧板バネ
9 分離爪
10 給送ローラ
11 手差しトレイ
12 給送ローラ
13 下ガイド
14 ガイド
15 センサーレバー
16 搬送ベルト
16a ベース層
16b 表面層
17 駆動ローラ
18 搬送ローラ
19 圧力ローラ
20 プラテン
21 アーム
22 バネ
23 ピンチローラ
25 シート押圧部材
27 駆動モータ
28 クリーニングローラ対
29 除電ブラシ
31 吸着力発生手段
32 電極板
32a 給電部
33 電極板
33a 給電部
34 給電部材
35 支持部材
36 給電ブラシ
37 給電ブラシ
38 カバー
39 封止部材
40 記録ヘッド
40a ベース
40b オリフィス部
41 ヘッドホルダ
41a 突出部
42 軸
43 レール
44 排出ローラ
45 拍車
46 排出トレイ
47 インク継ぎ手部
48 接地端子
49 インク滴
50 正負電源
51 電線
52 インク
100 記録ヘッド
101 ノズル
102 インク滴
103 高圧電源

Claims (7)

  1. 静電吸着方式によって被記録媒体を吸着し、該被記録媒体に対して記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に用いられる被記録媒体において、
    該被記録媒体は、 サイズ剤および填料を含まない繊維状物質からなる単層構造の基材に、アルミナ水和物とカチオン樹脂と無機塩とを塗工することによって、当該繊維状物質の各繊維の表面にベーマイト構造を有するアルミナ水和物とカチオン性樹脂と無機塩とが存在し、また、当該繊維状物質の各繊維間の隙間にはアルミナ水和物、カチオン性樹脂、無機塩が存在しない単層構造の被記録媒体であって、かつ、前記被記録媒体の表面抵抗は1×10の11乗Ω/□以下であることを特徴とする被記録媒体。
  2. 前記表面抵抗が1×10の8乗Ω/□以上であることを特徴とする請求項1に記載の被記録媒体。
  3. 前記被記録媒体において、前記アルミナ水和物、前記カチオン性樹脂および前記無機塩は、前記被記録媒体の表面および裏面の近傍にのみ存在していることを特徴とする請求項1または2に記載の被記録媒体。
  4. 前記アルミナ水和物とカチオン性樹脂の付与量がそれぞれ、前記表面および裏面の片面あたり1〜5g/m2であることを特徴とする請求項に記載の被記録媒体。
  5. 前記繊維状物質は微細フィブリル化セルロース、広葉樹または針葉樹を原料とする硫酸塩パルプ、亜硫酸塩パルプ塩パルプ、ソーダパルプ、ヘミセルラーゼ処理パルプ、酵素処理化学パルプの中から1種類以上を含有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の被記録媒体。
  6. 前記無機塩は、水溶性セリウム化合物であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の被記録媒体。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の被記録媒体の製造方法であって、サイズ剤および填料を含まない繊維状物質からなる単層構造の基材に、アルミナ水和物とカチオン性樹脂および無機塩をオンマシン塗工することを特徴とする被記録媒体の製造方法。
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