JP3754837B2 - 被記録媒体および印字物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクを用いた記録に好適な被記録媒体に関し、特にインクジェット記録に適用した際に、画像の光学濃度が高く、色調が鮮明で、しかも白色部の黄変、着色のない印字物が得られるインクジェット用被記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて、紙などの被記録媒体に付着させ、画像、文字などの記録を行なうものであるが、高速低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像・定着が不要などの特徴があり、各種画像の記録装置として情報機器をはじめ各種の用途において急速に普及している。さらに多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷や、カラー写真方式による印画と比較して遜色のない記録を得ることも可能であり、作成部数が少ない場合には通常の多色印刷や因果によるよりも安価であることからフルカラー画像記録の分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
インクジェット記録方式において、記録の高速化、高精細化、フルカラー化などの記録特性の向上に伴って記録装置、記録方法の改良が行われてきたが、被記録媒体に対しても高度な特性が要求されるようになってきた。即ち、被記録媒体に求められる特性としては、印字ドットの濃度が高く色調が明るく鮮やかであること、インク吸収が早く、かつインク吸収量が大きくて印字ドットが重なった場合でもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくならないこと、印字ドットの形状が真円に近く、かつ周辺がなめらかでぼやけないこと、被記録媒体の白色度が高く、印字ドットとのコントラストが高いことなどがある。
【0004】
従来、これらの条件を満足させるために種々の無機顔料を必要によりバインダー樹脂と共に基材表面に塗工し、あるいは基材中に内添することが提案されてきた。例えば、特開昭55−5830号公報では支持体表面にインク吸収性の塗工層を設けたインクジェット記録用紙が提案され、特開昭55−51583号公報、同62−158084号公報では非晶質シリカまたはその塩、混合物を塗工または内添した記録シートが提案されている。その他には特開昭56−144172号公報ではゼオライトなどのインク吸着性無機顔料を用いた塗布層が、同56−148583号公報では微粉珪酸と水溶性樹脂からなる塗布層が、同60−232990号公報ではカチオン性アルミナ水和物を含有する塗工層が特開平2−276670号公報では擬ベーマイトを含有する記録シートが提案されている。しかしながらこのような無機顔料を含有する被記録媒体は条件によっては未印字部や白地が黄色く着色したり、オゾン、光によって記録された画像の退色が発生する場合がある。比表面積の大きな無機顔料を用いると発色は格段に改善されるが白地の着色や画像の退色も起こり易くなる傾向がある。
【0005】
これらの着色や退色を防止する手段としては以下の方法が提案されている。
【0006】
特開平09−309265号公報では、第2族金属成分を含有し、X線回折学的に非晶質または微細層状結晶のシリカを用いた被記録媒体が提案されている。また、特開昭57−87987号公報では、リンタングステン酸、リンモリブデン酸などの特定金属酸化物や塩化第2クロムなどの特定金属塩化物を含有させた被記録媒体が提案されている。この方法は、無機顔料の酸点などの反応活性点に金属成分をつけることでその点の反応性を抑える思想に基づくものであるが、金属化合物の添加によって記録された画像の色調が変化したり、ブロンズ化したりする場合がある上にオゾン暴露での退色防止の効果はあまりない。
【0007】
特開平05−221115号公報では澱粉粒子とエチレン酢酸共重合体、カチオン性染料定着剤を含有する被記録媒体が、同06−183133号公報では澱粉粒子とカチオン性アルミニウム酸化物を含有させた被記録媒体が提案されている。これらは澱粉粒子の添加によって黄変を防止する思想に基づくものであるが、澱粉粒子の添加によってはインク吸収性が低下する場合があったり、印字された染料のマイグレーションを防止しにくくなる場合がある。
【0008】
特開平01−18684号公報では特定構造のアンデカン系化合物を含有させた被記録媒体が、同01−36479号公報では特定構造のチオエーテル系化合物を含有させた被記録媒体が、同01−36480号公報では特定構造のフェノール系化合物を含有した被記録媒体が提案されている。また、特開平01−115677号公報ではBET比表面積100m2/g以上の合成シリカとチオエーテルを含有する記録シートが提案されている。
【0009】
特開平06−286297号公報では鎖式多価カルボン酸を含有した被記録媒体が、同06−316145号公報では芳香核を持つ有機酸を含有した被記録媒体がそれぞれ提案されている。
【0010】
特開平07−68919号公報では紫外線吸収剤、酸化防止剤、消光剤などを含有させた被記録媒体が提案されている。同07−314881号公報では尿素誘導体、セミカルバジド誘導体、カルボヒドラジド誘導体などを含有させた被記録媒体が提案されている。同07−314882号公報ではジチオカルバミン酸、チウラム塩、チオシアン酸エステル類、チオシアン酸塩、ヒンダードアミンなどを含有させた被記録媒体が提案されている。同07−314883号公報ではチオ尿素誘導体、チオセミカルバジド誘導体、チオカルボヒドラジド誘導体などを含有させた被記録媒体が提案されている。同08−25796号公報ではチオ尿素誘導体、チオセミカルバジド誘導体、チオカルボヒドラジド誘導体から1種類とヨウ素、ヨウ化物、ジチオカルバミン酸、チオシアン酸塩、チオシアン酸エステルから1種類をそれぞれ含有させた被記録媒体が提案されている。
【0011】
特開平08−118791号公報ではBET比表面積100m2/g以上の無機顔料と接着剤からなるインク受理層にリン系酸化防止剤を含有させた被記録媒体が、同08−150773号公報ではBET比表面積100m2/g以上の無機顔料と接着剤からなるインク受理層にアスコルビン酸またはエリソルビン酸、その誘導体を含有させた被記録媒体が、同08−164664号公報ではBET比表面積100m2/g以上の無機顔料と接着剤からなるインク受理層にシクロアミロースを無機顔料の比表面積の20%以上を固定化された被記録媒体が提案されている。
【0012】
いづれの方法も酸化防止剤を被記録媒体に添加することによって印字された画像の色材成分の酸化劣化を防止する思想に基づくものであるが、添加した酸化防止剤自身が着色してしまったり、退色防止効果が現れる程度の量を添加するインクをはじくようになったりすることがある。また、経時変化で被記録媒体表面に酸化防止剤が析出したり、酸化防止剤が昇華するなどして被記録媒体からなくなってしまう場合もある。酸化防止剤の反応性を高くすると退色防止効果が持続しにくくなる場合もある。さらに酸化防止剤の添加によって被記録媒体に臭気が発生する場合もある。酸化防止剤の中には溶媒に対する溶解性が悪い材料もあり、必要量を被記録媒体に添加するのは難しい場合もある。
【0013】
特開平08−169172号公報、同08−174988号公報、同08−174991号公報では、填料として炭酸カルシウム、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーまたはアルケニルコハク酸無水物を含有する中性紙に4級アンモニウム塩基を結合した重合性ビニル化合物と紫外線吸収能を有する構造単位を結合した重合性ビニル化合物との共重合体を含有させた被記録媒体が提案されている。
【0014】
特開平06−93597号公報では特定構造式を持つ蛍光増白剤とノナノール系浸透剤またはノニルフェノール系浸透剤を含有させた被記録媒体が、特開平10−217600号公報では特定構造式のカチオン性化合物を含有させた被記録媒体がそれぞれ提案されている。
【0015】
これらの方法は紙媒体に必須成分の4級アンモニウム塩に紫外線防止効果のある構造単位を付加する思想、あるいは特定の物質を添加して退色などの防止を行う思想に基づくものであるが、これらの材料の添加によって色材の固定化能力が低下したりする場合や、退色防止と白地の着色防止が両立しない場合がある。
【0016】
その他の方法としては例えば、特開平06−240154号公報ではポリアミンとリンの酸素酸、オキシ酸、その誘導体を含む組成物からなる被記録媒体が、特開平09−254526号公報ではインク受理層が無機ゾルとバインダー樹脂からなり、バインダー樹脂が金属アルコレート、オルガノシロキサン、オルガノポリシロキサンポリマーを必須成分とするポリシロキサンポリマーを含有する被記録媒体が、さらに特開平10−264501号公報ではインク受理層が顔料と密度1.1g/cm3以上で疎水性の熱可塑性樹脂からなる被記録媒体が提案されている。
【0017】
上記のいづれの方法でも被記録媒体の着色と退色をさらにより多くの環境で効果的に防止するには限界がある場合が多い。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決する目的でなされたものであり、各種温湿度環境で画像の退色と着色がなく、かつインク吸収性が良く、かつ印字部の光学濃度が高い被記録媒体を提供することにある。
【0019】
本発明者は、各種環境での未印字部または白地の着色(黄変)、印字画像の変色や退色を調べた結果、高温で乾燥した条件(例えば35℃ドライ環境)、屋外暴露のように温度が繰り返し変化する環境では未印字部または白地の着色(黄変)、印字画像の変色や退色がかなり速く進行すること。および、風が被記録媒体に直接あたっている環境では退色が速くなることを見出した。これらの着色や退色を防止するためには被記録媒体にベンゾチアゾール化合物を添加することが有効であることを見出して本発明に至った。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明のインクジェット用被記録媒体は、下記一般式(1)で表わされるベンゾチアゾール化合物を含有していることを特徴とする。
一般式(1):
【0021】
【化2】
Figure 0003754837
(式中、R炭素数1ないし3の無置換アルキル基、または炭素数1ないし3の無置換アルキルチオ基を表わし、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、チオシアノ基または1価の有機残基である置換基を表わす。)
【0022】
更に本発明は、インクの小滴を微細孔から吐出させ、被記録媒体に付与して印字を行なう画像形成方法において、被記録媒体として上記記載の被記録媒体を用いることを特徴とする画像形成方法であり、インクに熱エネルギーを作用させてインク滴を吐出させることを含む。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の被記録媒体を用いることで、各種温湿度環境で画像の退色と着色がなく、かつインク吸収性が良く、印字部の光学濃度が高い被記録媒体を得ることができる。以下、本発明の被記録媒体について詳細に説明する。
【0024】
本発明の被記録媒体は一般式(1)で示されるベンゾチアゾール化合物を含有している。被記録媒体の構成には、紙のように繊維状物質からなる構成、コート紙やコートフィルムのように基材上にインク受容層を設けた構成、さらに、基材または繊維状物質の表面近傍に無機顔料や樹脂などを含有する塗工材料を微量または超微量塗工してはっきりとしたインク受容層を形成しない構成、また、基材の表面付近が塗工材料で覆われた構成も含まれる。本発明において、記録媒体が基材と該基材上に設けられたインク受容層を有する構成を持つ場合は、一般式(1)で示されるベンゾチアゾール化合物は基材及びインク受容層の少なくとも一方に含有される。
【0025】
本発明の一般式(1)で示されるベンゾチアゾール化合物は無機顔料とともに用いられる場合に変色、退色、着色の防止効果がより大きい。特に、比表面積が100m2/gを超える超微粒子を含有する被記録媒体では効果がより顕著に現れる。
【0026】
参考までに、上記一般式(1)で表される化合物としては、R 1 が、水素原子、置換または無置換アルキル基(好ましくは炭素数1ないし18、より好ましくは炭素数1ないし10)、置換または無置換アリール基(好ましくは炭素数6ないし20、より好ましくは炭素数6ないし10)、置換または無置換アルキルチオ基(好ましくは炭素数1ないし15、より好ましくは炭素数1ないし10)、または置換または無置換アリールチオ基(好ましくは炭素数6ないし15、より好ましくは炭素数6ないし10)であるものを挙げることができる。なお、アルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基が更に置換される場合における各置換基は、一般式(1)の化合物が本発明の効果を発揮できる範囲内で選択することができる。
【0027】
無置換アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンチル基、イソプロピル基及びt−ブチル基などを挙げることができる。置換アルキル基におけるアルキル基に置換される基の好ましい例としては、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリールオキシ基、アシロキシ基、アリール基、アシル基などを挙げることができる。アリール基の好ましい例としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−トルイル基、m−クロロフェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
【0028】
無置換アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基などを挙げることができる。置換アルキルチオ基におけるアルキルチオ基に置換される基の好ましい例としては、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリールオキシ基、アシロキシ基、アリール基、アシル基などを挙げることができる。
【0029】
本発明のインクジェット用被記録媒体では、R 1 が、炭素数1ないし3の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル)および炭素数1ないし3の無置換アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ基)である一般式(1)の化合物が用いられ、1がこれらの内の1つである場合に高温で乾燥した条件(例えば35℃ドライ)でも白地の着色(黄変)や画像の変色や退色を防止することが出来る。
【0030】
1として最も好ましいのはメチル基またはメチルチオ基であり、R1がメチル基またはメチルチオ基である場合に、例えば屋外暴露のように温度の変化の大きい環境、あるいは風のあたっているような環境でも退色、変色を防止することができる。
【0031】
2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、チオシアノ基または1価の有機残基を表わす。
【0032】
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、好ましくは、臭素原子及び塩素原子を挙げることができる。
【0033】
1価の有機残基としては、例えば、置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基及びアルキルアミノカルボニル基を挙げることができる。
【0034】
置換または無置換アルキル基としては、好ましくは炭素数1ないし18、より好ましくは炭素数1ないし10のものを挙げることができ、具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、t−ブチル基などを挙げることができる。置換アルキル基におけるアルキル置に置換される基の例としては、例えばハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリール基、アシル基などを挙げることができる。
【0035】
アルケニル基としては、好ましくは炭素数2ないし10、より好ましくは炭素数2ないし6のものを挙げることができ、具体例としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などを挙げることができる。
【0036】
アルキニル基としては、好ましくは炭素数2ないし8、より好ましくは炭素数2ないし5のものを挙げることができ、具体例としては、例えば、エチニル基及び1−プロピニル基などを挙げることができる。
【0037】
アリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基などを挙げることができる。
【0038】
アシル基としては、好ましくは炭素数1ないし8のものを挙げることができ、具体例としては、例えば、アセチル基及びベンゾイル基などを挙げることができる。
【0039】
置換または無置換アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1ないし10、より好ましくは炭素数1ないし6のものを挙げることができ、具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジロキシ基などを挙げることができる。
【0040】
2、R3、R4及びR5の組合せとして好ましいものは、R2とR5がそれぞれ独立して水素原子、メトキシ基、エトキシ基、炭素数1ないし3の無置換アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基)またはハロゲン原子であり、R3とR4がそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基またはエトキシ基である。この組合せにおいて、高温で保存を行ってもベンゾチアゾール化合物の退色、変色防止効果が長時間持続する上に、インク吸収性や発色性も変化しないという効果を得ることができる。
【0041】
2、R3、R4及びR5の組合せとして最も好ましいものは、R2とR5がそれぞれ独立して水素原子、メトキシ基またはメチル基であり、R3とR4がそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子またはメトキシ基である。この組み合わせにおいて、ハジキの発生を防止するこができる上に、長時間の高温保存での印字画像のブロンズ化を防止することができる。なお、ここで本発明で言うハジキとは、ベタ印字部に着色されない部分が生じることをいう。
【0042】
最も好ましいベンゾチアゾール化合物としては、例えば、2−メチルベンゾチアゾール、2−メチル−5−クロルベンゾチアゾール、2−メチル−5−ブロムベンゾチアゾール、2−メチル−5−メトキシベンゾチアゾール、2−メチルベンゾチアゾール、2−メチル−6−クロルベンゾチアゾール、2−メチル−6−ブロムベンゾチアゾール、2−メチル−6−メトキシベンゾチアゾール、2−メチルチオ−ベンゾチアゾール、2−メチルチオ−5−クロルベンゾチアゾール、2−メチルチオ−5−ブロムベンゾチアゾール、2−メチルチオ−5−メトキシベンゾチアゾール、2−メチルチオ−ベンゾチアゾール、2−メチルチオ−6−クロルベンゾチアゾール、2−メチルチオ−6−ブロムベンゾチアゾール、2−メチルチオ−6−メトキシベンゾチアゾールなどを挙げることができる。
【0043】
本発明において用いるベンゾチアゾール化合物には、2量体、3量体以上の会合状態になったもの、あるいは重合体、縮合体の形態のものが含まれ、同一形態のものを使用しても、異なる形態の混合状態のものを使用してもよい。さらに、ベンゾチアゾール化合物は、必要に応じて併用される無機顔料などの構成物質と結合した状態で被記録媒体中に含有されるものであってもよい。これらの会合状態や結合状態になったベンゾチアゾール化合物の形態は、昇華しにくくなるので加熱されても臭気が発生しにくくなる上に、高温環境下でも着色防止や退色防止の効果が長時間にわたって持続するという利点もあり好ましい形態の一つである。
【0044】
特開昭61−177279号公報、特開平7−251562号公報、同7−257018号公報及び同7−257024号公報には、ベンゾチアゾール系化合物として2−メルカプト系化合物、2−チオシアノメチル系化合物及び2−アミノ系化合物が記載されている。これらの化合物は殺菌剤として用いた場合はその効果が期待できるが、本発明のような着色防止、退色防止効果は期待できない上に、加熱処理等を行うとかえって着色を招く可能性がある。
【0045】
被記録材の構成に無機顔料を用いる場合の無機顔料としては、紙への内添用として、あるいは紙やフィルム等の基材への塗工用として用いられている材料であればいづれの材料でも用いることができる。無機顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、チサンホワイト、シリカ、シリカアルミナ、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイトなどを挙げることができ、これらの中から必要に応じて1種類または2種類上の無機顔料を選択して用いることができる。
【0046】
無機顔料としてはBET比表面積が50m2/g以上の無機顔料が好ましい。この範囲では印字された画像の発色が良くなり、光学濃度が高くなるのでより好ましい。さらに好ましいのはBET比表面積は100m2/g以上の無機顔料である。この範囲内であればさらに彩度が上がって画像の鮮やかさを更に向上させることができる。
【0047】
より好ましい無機顔料はコロイダルシリカ、合成シリカ、カチオン性シリカなどの各種シリカ、擬ベーマイトなどのアルミニウム酸化物、アルミニウム水酸化物などがあげられる。これらの無機顔料を用いた場合は印字された画像の彩度が高くなるためにより鮮やかな画像を得ることができる。
【0048】
本発明で用いる無機顔料には添加物を加えて用いることができる。添加物としては、各種金属酸化物、2価以上の金属の塩及びカチオン性有機物質の中から必要に応じて自由に選択して用いることができる。金属酸化物としては、シリカ、シリカアルミナ、ボリア、シリカボリア、マグネシア、シリカマグネシア、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛などの酸化物及び水酸化物などを挙げることができる。また、2価以上の金属の塩としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの塩、塩化マグネシウム、臭化カルシウム、硝酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化物塩、カオリン及びタルクなどが好ましい。カチオン性有機物質としては4級アンモニウム塩、ポリアミン及びアルキルアミンなどが好ましい。添加物の添加量としては、無機顔料の20重量%以下であることが好ましい。
【0049】
本発明の実施形態には(1)繊維状物質からなる構成(第1の構成)と、(2)基材上にインク受容層を形成する構成(第2の構成)等が含まれる。
【0050】
上記第1の構成において用い得るセルロースパルプとしては被記録材の構成材料としての特性を満たすものであれば特に制限はない。例えば、広葉樹材および針葉樹材から得られるサルファイトパルプ(SP)、アルカリパルプ(AP)、クラフトパルプ(KP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ、セミメカニカルパルプ、機械パルプ等、脱墨された二次繊維である故紙パルプが使用可能である。また、パルプは未漂白パルプ、漂白パルプの区別及び叩解、未叩解の区別なく使用可能である。また、セルロースパルプとしては、非木材パルプである草、葉、靭皮、種毛等の繊維、例えば、わら、竹、麻、バガス、ケナフ、みつまた、コットンリンター等のパルプも使用できる。更に、親水性繊維であれば、レーヨン等の再生繊維、セルロース誘導体繊維やポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の親水性含成高分子繊維も使用可能である。無機顔料をセルロース繊維に内添するには、セルロースパルプ分散液と無機顔料を混合して抄紙する方法等を用いることが出来る。さらに必要に応じてさらに一般的な填料を加えることも可能である。
【0051】
抄紙には、一般的に用いられている抄紙の方法を用いることができる。抄紙装置としては従来から用いられている長網抄紙機、丸網抄紙機、円胴、ツインワイヤーなどを用いることが出来る。抄き合わせを用いる多層抄紙を行うことも可能である。その場合は多層紙抄紙用単一ヘッドボックスを使用して各層を構成する紙料をストックインレットから平行に流出させて層状の紙層を形成する方法は各紙層の境界面で紙料が適度に混合されて乙方向の強度が大きくなるのでさらに好ましい。
【0052】
本発明においては必要に応じて紙力向上剤や歩留まり向上剤、着色剤を添加して用いることができる。歩留まり向上剤としては、カチオン化澱粉、ジシアンジアミドホルマリン縮合物などのカチオン性歩留まり向上剤やアニオン性ポリアクリルアマイドなどのアニオン性歩留まり向上剤の中で選択または使用して用いることができる。さらに必要に応じて澱粉などをサイズプレスをすることやカレンダーロールなどを用いて表面の平滑性を良くすることも可能である。
【0053】
無機顔料の添加量は、本発明の効果が得られる範囲内であれば特に制限はない。例えば、被記録媒体の乾燥固形分換算の割合で0.1〜50重量%の範囲がインク吸収性と発色が良くなるので好ましい。さらに好ましい範囲は1〜20重量%であり、得えられた被記録媒体の表面を繰り返し擦っても粉落ちが発生することが少なくなる。
【0054】
被記録媒体全体の坪量としては、被記録媒体が極端に薄くなったり極端に厚くなったりしない限り特に制限はないが、40〜300g/m2の範囲がプリンターなどで印字する場合の搬送性の点で好ましい。さらに好ましい範囲は60〜200g/m2の範囲であり、紙の折り曲げ強度が高くならずに不透明度を高くすることができる。さらに多数枚印字サンプルを重ねた時に貼り付きが発生しにくくなる。
【0055】
本発明の第2の構成は基材上に無機顔料を含むインク受容層を形成した構成である。基材としては、被記録媒体の基材としての特性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、適度のサイジングを施した紙、無サイズ紙、塗工紙、ポリエチレン等を用いたレジンコート紙などの紙類からなるもの、熱可塑性フィルムからなるシート状物質、更には布帛、硝子または金属などからなるシート等が使用できる。熱可塑性フィルムの場合は、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、酢酸セルロール、ポリエチレン及びポリカーボネートなどの透明フィルムや、無機物の充填または微細な発泡による不透明化したシートを用いることもできる。
【0056】
基材上に設けるインク受容層としても各種の構造のものを用いることができ、無機顔料を含むインク受容層の場合は、例えば、少なくとも無機顔料とバインダーを用いてインク受容層を形成することができる。バインダーは、例えば水溶性高分子などの中から自由に選択することができ、その具体例としては、例えば、ポリビニルアルコールまたはその変性体(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性)、澱粉またはその変性体(酸化、エーテル化)、ゼラチンまたはその変性体、カゼインまたはその変性体、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸またはその共重合体及びアクリル酸エステル共重合体などが好ましい。これらのバインダーは、単独であるいは複数種混合して用いることができる。無機顔料とバインダーの混合比は好ましくは1:1〜30:1、より好ましくは5:1〜25:1の範囲である。バインダーの量がこれらの範囲内であれば、インク吸収性が良い上にインク受容層のひび割れや粉落ちがより発生しにくくなる。
【0057】
インク受容層を形成する方法としては、上記の無機顔料とバインダーを含む分散溶液を塗工機を用いて基材上に塗布、乾燥する方法を用いることができる。塗工方法としては、一般的に用いられているブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、カーテンコーター、バーコーター、グラビアコーター、スプレー装置等による塗工技術を採用することができる。分散液の塗布量は乾燥固形分換算で0.5〜60g/m2、より好ましくは5〜45g/m2である。必要に応じて塗工後にカレンダーロールなどを用いてインク受容層の表面平滑性を良くすることも可能である。
【0058】
以上説明した第1と第2の構成の被記録媒体に、一般式(1)で表わされるベンゾチアゾール化合物を添加する方法としては、抄紙材料やインク受容層形成用塗工液にベンゾチアゾール化合物を添加する方法、ベンゾチアゾール化合物をあらかじめ無機顔料に添加してから被記録媒体を製造する方法、抄紙された、またはインク受容層が形成された被記録媒体にベンゾチアゾール化合物を添加する方法などがあり、いづれの方法でも用いることができる。好ましい方法は被記録媒体に溶剤に分散したベンゾチアゾール化合物の溶液を添加する方法である。
【0059】
ベンゾチアゾール化合物の被記録媒体への添加量は、無機顔料に対して0.01〜10重量%が、インク吸収性と退色防止効果の点で好ましい。さらに好ましい範囲は無機顔料の0.1〜10重量%であり、ニジミやビーディングの発生をさらに効果的に防止することができる。
【0060】
ここで本発明で言うニジミとは、一定の面積にベタ印字したとき、染料などの色材により着色される部分が印字した面積よりも広く(大きく)なることであり、ビーディングとは、べた印字部で発生するインク滴同士の凝集による粒状の濃度ムラが現れる現象をいう。
【0061】
本発明の画像形成方法に使用されるインクとしても、種々の構成のものを使用することができるが、主として色材(染料もしくは顔料)、水溶性有機溶剤および水を含むインクを好適に利用できる。染料としては、例えば、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料及び食用色素などに代表される水溶性染料が好ましく、上記の被記録媒体との組み合わせで定着性、発色性、鮮明性、安定性、耐光性その他の要求される性能を満たす画像を与えられるものであればいずれでも良い。顔料としてはカーボンブラックなどが好ましい。顔料と分散剤を併用する方法、自己分散型顔料を用いる方法、マイクロカプセル化する方法などを利用することも可能である。
【0062】
水溶性染料は、一般に水または水と水溶性有機溶剤からなる溶媒中に溶解して使用するものであり、これらの溶媒成分としては、好ましくは水と水溶性の各種有機溶剤などとの混合物が使用されるが、インク中の水分含有量が、20〜90重量%の範囲内となるように調整するのが好ましい。
【0063】
上記水溶性有機溶剤としては、例えばメチルアルコールなどの炭素数が1〜4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、アセトンなどのケトンまたはケトンアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、エチレングリコールなどのアルキレン基が2〜6個の炭素数を含むアルキレングリコール類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、などの多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコールなどの多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどの多価アルコールの低級アルキルエーテル類が好ましい。多価アルコール類は、インク中の水が蒸発し、水溶性染料が析出することに基づくノズルの目詰まり減少を防止するための潤滑材としての効果が大きいため、特に好ましい。
【0064】
インクには加溶化剤を加えることもできる。代表的な可溶化剤は、含窒素複素環式ケトン類であり、その目的とする作用は、水溶性染料の溶媒に対する溶解性を飛躍的に向上させることにある。例えばN−メチル−2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましく用いられる。さらに特性の改善のために、粘土調整剤、界面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗調整剤などの添加剤を加えて用いることもできる。
【0065】
前記被記録媒体に上記インクを付与して画像形成を行う方法としては、インクジェット記録方法が特に好適であり、このインクジェット記録方法としてはインクをノズルより効果的に離脱させて、被記録媒体にインクを付与し得る方法であればいかなる方法でも良い。特に特開昭54−59936号公報等に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受けたインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による作用力によって、インクをノズルから吐出させるインクジェット方式は有効に使用することができる、
【0066】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
本発明で使用した諸物性の測定は下記の要領で行った。
1.インクの吸収性
インクジェット記録装置(BJC430J、キヤノン社製)を用いて単色から4色までのベタ印字を行った。印字後の被記録媒体表面のインクの乾燥状態を記録部に指で触れてインク吸収性を調べた。単色ベタ印字でのインク量を100%とした。インク量300%(3色混合)でインクが指に付着しないものを◎、インク量200%(2色混合)でインクが指に付着しないものを○、インク量100%でインクが指に付着しないものを△、同100%でインクが指に付着すれば×とした。
【0067】
2.画像濃度
前記インクジェット記録装置を用いてY、M、C、Bkインクで単色でインク量100%でベタ印字した画像の画像濃度を、マクベス反射濃度計RD−918を用いて評価した。
【0068】
3.べた均一性、ニジミ、ビーディング、ハジキ
前記インクジェット記録装置で単色または多色でベタ印字した後の被記録媒体表面のべた均一性、ニジミ、ビーディング、ハジキを目視で評価した。べた部の濃度が均一であれば○、白抜けや濃度ムラがあれば×とした。ベタ印字部から色材のにじみがなければ○、色材のにじみが見えれば×とした。同様にべた印字部にビーディングやハジキがなければ○、発生していれば×とした。
【0069】
4.BHTによる白地部の黄変化
BHT2量体(4、4’−メチレンビス−2、6−ジ−tert−ブチルフェノール)のイソプピルアルコール1%溶解液を、被記録媒体に固形分量として0.5g/m2となるようにスポットして自然乾燥させた。20℃、65%RHの条件下とオーブン(DN400、ヤマト科学社製)で35℃ドライの環境でそれぞれ7日間放置して放置前後の白地の違いを目視評価した。それぞれの環境で白地の色変化がなければ○、白地に着色が認められたら×とした。ここでドライというのはオーブン中での湿度を加えない加熱保存を意味する。
【0070】
5.ファイル保存による白地の黄変化
市販のファイル(クリアーポケットCL305、ライオン社製)の上部の片側を上から60mmのところで切断して除去した。このファイルに被記録媒体を入れて記録面の上部を除去した部分から露出させた。なお、インク受容層を有するタイプの場合は、インク受容層形成面の一部が露出するようにし、繊維状物質からなるタイプの場合はその一方の面の一部を露出させた。20℃、65%RHの条件と35℃ドライ、50℃ドライの環境でそれぞれ30日間放置して放置前後の白地の違いを目視評価した。それぞれの環境で白地の色変化がなければ○、白地に着色が認められたら×とした。
【0071】
6.オゾン暴露による退色、変色
前記インクジェット記録装置を用いてY、M、C、Bkインクで単色でインク量100%でベタ印字した被記録媒体をオゾン暴露試験機(スガ試験機社製、特注品)に入れて、40℃、55%RHの条件下で濃度3ppmのオゾンに2時間暴露した。保存前後で印字部の色味変化を目視評価した。各色で色味に差異が認められない場合は○、1色でも色味に差異が認められた場合は×とした。
【0072】
7.風暴露試験による退色、変色
前記インクジェット記録装置を用いてY、M、C、Bkインクで単色でインク量100%でベタ印字した被記録媒体を20℃、65%RHの環境下で市販のエアコン(CY−25Y、松下電器社製)の吹き出し口直下1mの位置に設置した。エアコンを送風運転にして被記録媒体の画像形成部に風があたるようにして14日間放置した。保存前後で印字部の色味変化を目視評価した。各色で色味に差異が認められない場合は○、1色でも色味に差異が認められた場合は×とした。
【0073】
8.高温条件での保存
前記インクジェット記録装置を用いてY、M、C、Bkインクで単色でインク量100%でベタ印字した被記録媒体を50℃、50%RHの条件と35℃ドライの環境でそれぞれ14日間保存した。保存前後で印字部の色味変化を目視評価した。各色で色味に差異が認められない場合は○、1色でも色味に差異が認められた場合は×とした。
【0074】
9.切断粉落ち
被記録媒体を1辺が10mmの正方形に切断して周辺部の粉落ちを調べた。粉落ちがなければ○、粉落ちが発生していれば×とした。
【0075】
10.折り曲げ粉落ち
被記録媒体を中央部で半分に折り曲げて戻して粉落ちの発生を調べた。5回折り曲げて戻しても粉落ちのないものを○、3回まで粉落ちのないものを△、粉落ちのあるものを×とした。
【0076】
11.カール
被記録媒体を297×210mmの大きさに切断して、30℃/80%RH、20℃/45%RH、5℃/10%/RHの3環境に24時間放置してからその環境で平らな台の上に静置してハイトゲージで反り量を測定した。反りが1mm以下を○、同3mm以下を△、同3mm以上を×とした。
【0077】
12.タック
30℃/80%RH、20℃/45%RH、5℃/10%RHの3環境に24時間放置してからその環境の中で測定した。被記録媒体の表面を指で触って付着しなければ○、付着すれば×とした。
【0078】
(実施例1)
BET比表面積が270m2/gのシリカ(ファインシールX−37、徳山曹達社製)とポリビニルアルコール(NH−18、日本合成化学社製)を乾燥固形分換算で5:1で混合して市販の白色ポリエチレンテレフタレートシートの上に塗布、乾燥して乾燥固形分量20g/m2のインク受容層を形成した。2−メチルベンゾチアゾールの1重量%アセトン溶液をインク受容層に乾燥塗工量が0.4g/m2となるように塗工して添加した。被記録媒体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0079】
(実施例2)
実施例1と同じ組成のインク受容層を実施例1と同じ基材上に形成した後、2−メチル−5−クロルベンゾチアゾールを実施例1と同じ方法で同じ添加量で加えた。得られた被記録媒体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0080】
(実施例3)
実施例1と同じ組成のインク受容層を実施例1と同じ基材上に形成した後、2−メチル−5−ブロムベンゾチアゾールを実施例1と同じ方法で同じ添加量で加えた。被記録媒体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0081】
(実施例4)
実施例1と同じ組成のインク受容層を実施例1と同じ基材上に形成した後、2−メチル−5−メトキシベンゾチアゾールを実施例1と同じ方法で同じ添加量で加えた。被記録媒体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0082】
(実施例5)
実施例1と同じ組成のインク受容層を実施例1と同じ基材上に形成した後、2−メチルチオベンゾチアゾールを実施例1と同じ方法で同じ添加量で加えた。被記録媒体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0083】
(実施例6)
特開平7−232475号公報の実施例3に記載のアルミナ水和物(BET比表面積135m2/g)と実施例1と同じポリビニルアルコールを実施例1と同じ比率で混合して実施例1と同じ量のインク受容層を実施例1と同じ基材上に形成した。その後、実施例1と同じ2−メチルベンゾチアゾールを実施例1と同じ方法で同じ添加量で加えた。被記録媒体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0084】
(実施例7)
原料パルプとしてフリーネス(C.S.F.)370mlの広葉樹さらしクラフトパルプ(LBKP)80部および針葉樹クラフトパルプ410mlの(NBKP)20部を使用し、これに填材として実施例1と同じシリカをパルプ固形分に対して10重量%、歩留まり向上剤としてカチオン化澱粉(王子ナショナル社製、CATOF)を同じくパルプ固形分に対して0.3重量%内添させ、さらに抄紙直前にポリアクリルアマイド系歩留まり向上剤(星光化学工業社製、パールフロックFR−X)を0.05重量%添加し、TAPPI標準シートフォーマーを用いて坪量75g/m2に抄紙した。次ぎに、濃度2%の酸化澱粉(日本食品社製、MS3800)溶液をサイズプレス装置にて付着させた。実施例1と同じ2−メチルベンゾチアゾールを実施例1と同じ方法で0.2g/m2加えた。被記録媒体の物性値をそれぞれ上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0085】
(実施例8)
実施例7で用いたシリカを実施例6で用いたアルミナ水和物に代えた以外は実施例7と同じ方法で被記録媒体を形成した。被記録媒体の物性値はそれぞれ上記の方法で測定した。その結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
Figure 0003754837
【0087】
【表2】
Figure 0003754837
【0088】
【発明の効果】
本発明は、以下に示す顕著な効果を有する。
1.被記録媒体の白地または未印字部の着色(黄変)を防止することができる。特に高温で乾燥した条件でも着色発生を防止できる。
2.印字された画像の退色や変色を防止することが出来る。特に、高温での長期間保存でも画像の退色や変色、ブロンズ化を防止できる。さらに風があたっている状態での画像の退色や変色も防止することが出来る。
3.インク吸収性と発色が良く、ニジミやハジキ、ビーディングのない被記録媒体を得ることが出来る。
4.温湿度の変化によるカールや表面のタック、切断時や折り曲げた時の粉落ちを防止することができる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表わされるベンゾチアゾール化合物を含有していることを特徴とするインクジェット用被記録媒体。
    一般式(1):
    Figure 0003754837
    (式中、R1炭素数1ないし3の無置換アルキル基、または炭素数1ないし3の無置換アルキルチオ基を表わし、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、チオシアノ基または1価の有機残基である置換基を表わす。)
  2. 無機顔料を更に含む請求項1の被記録媒体。
  3. 基材と該基材上に設けられたインク受容層とを有し、これら基材及びインク受容層の少なくとも一方に前記一般式(1)で表わされる化合物を含む請求項1または2に記載の被記録媒体。
  4. 前記一般式(1)の化合物において、R炭素数1ないし3の無置換アルキル基、または炭素数1ないし3の無置換アルキルチオ基を表わし、R2、R3、R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、置換もしくは未置換のアルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、アミノカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アルキルアミノカルボニル基、またはチオシアノ基を表わす請求項1〜3のいずれかに記載の被記録媒体。
  5. 前記一般式(1)の化合物において、R 2 とR 5 がそれぞれ独立して水素原子、メトキシ基、エトキシ基、炭素数1ないし3の無置換アルキル基または、ハロゲン原子であり、R 3 とR 4 がそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、メトキシ基またはエトキシ基である請求項1〜4のいずれかに記載の被記録媒体。
  6. 前記一般式(1)の化合物において、R 1 はメチル基またはメチルチオ基である請求項1〜5のいずれかに記載の被記録媒体。
  7. 基材上に、無機顔料とバインダーを含むインク受容層を設けた構成を有する請求項1〜6のいずれかに記載の被記録媒体。
  8. インクの小滴を微細孔から吐出させ、被記録媒体に付与して印字を行なう画像形成方法において、被記録媒体として請求項1〜7のいずれかに記載の被記録媒体を用いることを特徴とする画像形成方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載された被記録媒体に画像が形成されてなる印字物。
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