JP3683656B2 - ドレン水蒸発装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として制御盤やOA機器などが収納されている密閉筐体用の冷却装置から排出されるドレン水(排水)を蒸発させて処理するドレン水蒸発装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその問題点】
従来より、圧縮機によって冷媒を冷媒蒸発器から導管を介して放熱器に圧送することで冷媒を循環させて冷媒蒸発器の周囲を冷却する冷却装置が知られている。この種の冷却装置では、冷媒蒸発器の周りの空気が結露するから、結露した水を排水する必要が生じる。しかし、制御盤などは通常、屋内に設置されているので、家庭用のクーラと異なり、排水管を配設して外部に排水する方法では配管工事が大がかりになる。
【0003】
そこで、小型の冷却装置では、冷媒蒸発器の廃熱を利用してドレン水を蒸発させる方法も採用されているが、かかる方法では、大型の冷却装置の排水処理を容量的に行うことができない。たとえば、大型の冷却装置では、1時間当たり1リットル以上の排水処理が必要になる。
【0004】
排水処理能力を向上させる方法として、本発明者は、以下に説明するような種々の方法を試みた。
まず、超音波でドレン水を霧状に飛散させる方法では、処理能力は大きいが、霧状に飛散した水滴が空気に解けておらず、そのため、排水処理装置の周囲の床や他の機器が霧で濡れ、環境を悪化させる。
したがって、本発明の主な目的は、ドレン水を蒸発させることで配管工事を不必要にすると共に、排気中の水滴を除去することである。
【0005】
一方、金属板を昇温させて、該金属板の熱により排水を蒸発させる方法では、処理能力と装置の小型化を考慮すると、前記金属板を 300℃〜 400℃程度の高温にする必要がある。このように機器が高温度になるのは好ましくない。
したがって、本発明の他の目的は、蒸発器の温度を低くし得るドレン水蒸発装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、第1発明は、導水管から導入したドレン水を蒸発器によって蒸発室内で蒸発させ、当該蒸発室内の水分を含んだ空気を送風機により排出するドレン水蒸発装置において、前記蒸発室の下流に水滴除去室を設け、前記蒸発室と前記水滴除去室との間および該水滴除去室からの空気の流出口には、それぞれ、互いに近接対向して配設され、かつ、対向位置が互いにずれる多数の空気通過孔を有する一対のステンレス板からなり、前記水分を含んだ空気を衝突させて水滴を除去する水滴除去板が設けられていることを特徴とする。
【0009】
発明によれば、蒸発室と前記水滴除去室との間および該水滴除去室からの空気の流出口各々の水滴除去板に空気が当るので、空気中の水滴を十分に除去できる。しかも、水滴除去室の流出口の水滴除去板は、比較的温度が低いので、空気中に解けている水分も除去することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、ドレン水蒸発装置は、一点鎖線で示す内ケース1と、二点鎖線で示す外ケース2とを備えている。前記内ケース1内には、ドレン水を昇温させて蒸発させるための第1および第2蒸発器3A,3Bが収容されている。一方、前記外ケース2内には内ケース1が収容されていると共に、図2に明示するように、2つのケース1,2の間には若干の断熱用空間Sが形成されて、外ケース2が高温になるのを防止している。なお、内ケース1はステンレス製で、一方、外ケース2は鋼板製である。
【0011】
前記内ケース1内は、第1蒸発室4A、第2蒸発室4Bおよび水滴除去室5に区画されている。前記第1蒸発室4Aには、空気を取り込む空気取入口40が連通しており、一方、前記水滴除去室5には、水分を含んだ空気を排出する空気排出口50が連通している。前記第1および第2蒸発室4A,4Bには、それぞれ、前記第1および第2蒸発器3A,3Bが収容されている。
【0012】
前記第1および第2蒸発器3A,3Bは、同一の構造のもので、図1に示すように、U字状に曲成された電熱棒30と、該電熱棒30のまわりに螺旋状に固着された放熱フィン31とを備えている。なお、放熱フィン31は若干波を打ったような形状になっている。また、前記電熱棒30には、電熱棒30の温度が 200℃程度になるように、定格値の約1/2程度の電力が供給されるようになっている。
【0013】
前記第1蒸発器3Aの上部には、導水管6の出口6a(図2)が臨んでおり、ドレン水Wが供給される。ドレン水Wの一部は、図3に明示する螺旋状の放熱フィン31の表面に沿って流下し、第1蒸発器3Aの熱により昇温して蒸発する。図1のドレン水Wの残部は、第1蒸発器3Aの下方の排水受け8に滴下する。前記排水受け8は、第1および第2蒸発室4A,4Bの下方に設けられ、第1および第2蒸発器3A,3Bにより蒸発しなかったドレン水Wを貯留するものである。なお、排水受け8内のドレン水Wは、第1および第2蒸発室4A,4Bの雰囲気温度により昇温することによっても蒸発する。
【0014】
前記第2蒸発器3Bの下方には、跳ね上げ機(排水供給機)9が設けてある。該跳ね上げ機9はモータ90(図2)の出力軸に羽車状の円盤91を取り付けてなるもので、排水受け8内の水を第2蒸発器3Bに向って斜め上方に跳ね上げる。該跳ね上げ機9により第2蒸発器3Bに跳ねかけられたドレン水Wの一部は、第2蒸発器3Bの放熱フィン31上を流下しながら蒸発し、ドレン水Wの残部は再び排水受け8上に滴下する。
【0015】
前記排水受け8には、下限および上限検出用のフロートスイッチ10A,10Bが設けられている。
下限検出用のフロートスイッチ10Aは、図2の排水受け8のドレン水Wの液位が所定の作動下限レベルL1よりも高くなったことを検出し、下限検出信号を制御器11に出力する。制御器11は該下限検出信号を受けると、モータ90を駆動させ、これにより、跳ね上げ機9を作動させる。
【0016】
一方、上限検出用のフロートスイッチ10Bは、排水受け8のドレン水Wの液位が高くなりすぎたことを検出し、これにより、図示しない警報手段が警報を鳴らす。なお、12は非常用の排水管である。
【0017】
前記空気取入口40には、送風機13が配設されている。該送風機13は、ドレン水蒸発装置の外部から空気取入口40を介して空気Aを取り込んで、該空気Aを空気排出口50からドレン水蒸発装置の外部へ送り出すためのものである。
【0018】
前記第1蒸発室4Aと第2蒸発室4Bとの間は、第1水滴除去板21によって区画されている。前記第2蒸発室4Bと水滴除去室5との間は、第2水滴除去板22によって区画されている。前記水滴除去室5の空気の流出口には、第3水滴除去板23が設けられている。各水滴除去板21〜23は、たとえば、多数の空気通過孔24を有する一対のステンレス板20からなり、前記空気通過孔24の位置を互いにずらした状態で一対のステンレス板20,20が互いに対向して配設されてなる。したがって、水分を含んだ空気Aは、図4に明示するように、各水滴除去板21〜23の一方の空気通過孔24を通過した後に、2枚のステンレス板20の間を通り、空気通過孔24を通過して流れる。この際、空気Aは、一対のステンレス板20に衝突するから、空気中の水滴が除去される。なお、図1において、内ケース1のうち、水滴除去板21〜23については実線で図示している。
【0019】
つぎに、本ドレン水蒸発装置のドレン水Wの処理方法について説明する。
まず、導水管6の入口6bに図示しない冷却装置の排水管を接続する。冷却装置が稼動し始めると、導水管6にドレン水Wが流れ込み、図2の導水管6の出口6aから第1蒸発器3Aにドレン水Wが供給される。ドレン水Wの一部は、第1蒸発器3Aの放熱フィン31に沿って螺旋状に流下しながら蒸発する一方で、ドレン水Wの残部は、排水受け8上に滴下して貯留される。前記排水受け8内のドレン水Wは、その一部が自然に蒸発する。他方、送風機13が空気取入口40から空気Aを取り込んで該空気Aを空気排出口50に向けて送風する。そのため、水分を含んだ空気Aが第1水滴除去板21から第2蒸発室4Bに向って流れる。この際、空気Aは第1水滴除去板21に衝突するから、空気Aに解け込んでいない水滴は第1水滴除去板21によって除去される。その後、空気Aは第2蒸発室4Bおよび水滴除去室5を通ってドレン水蒸発装置外に排気されるが、この際、空気Aは第2水滴除去板22および第3水滴除去板23によっても水滴が除去される。特に、第3水滴除去板23の温度は他の水滴除去板21,22よりも低いので、該第3水滴除去板23においては結露が生じるから、空気中に解けている水分の一部も除去される。したがって、ドレン水蒸発装置外に排出された空気Aが、結露するおそれがない。
【0020】
やがて、排水受け8にドレン水Wが溜まり始め、液位が作動下限レベルL1に達すると、これをフロートスイッチ10Aが検出して、跳ね上げ機9が作動し、排水受け8のドレン水Wを第2蒸発器3Bに向って跳ね上げる。跳ね上げられたドレン水Wの一部は、第2蒸発器3Bの放熱フィン31に沿って螺旋状に流下するうちに蒸発し、残部は再び排水受け8に滴下する。
【0021】
前記構成において、跳ね上げ機9を設けて排水受け8内のドレン水Wを蒸発させるようにしているが、常時、跳ね上げ機9が作動していると、排水処理能力が高くなると共に消費電力が大きくなる。一方、湿度が低い日などは、ドレン水Wの生じる量が少ないので、差程大きな排水処理能力を必要としないから、電力に無駄が生じる。これに対し、本実施形態では、排水受け8にドレン水Wが所定量以上溜まった後に、跳ね上げ機9を作動させる。したがって、必要に応じて排水処理能力を増大させることができると共に、消費電力の節減を図ることができる。
【0022】
また、本実施形態では、電熱棒30のまわりに螺旋状の放熱フィン31を設けているので、ドレン水Wが放熱フィン31に触れている時間が長い。したがって、第1および第2蒸発器3A,3Bの温度を差程高く設定しなくても、ドレン水Wを効率良く蒸発させることができる。
なお、前記第1および第2蒸発器3A,3Bは、蒸発器としてではなくヒータとして市販されているから、製造コストも安価になる。
【0023】
さらに、第1および第2蒸発器3A,3Bの温度を差程高くする必要がない上、外ケース2と内ケース1との間に断熱用空間Sを設けているから、外ケース2の表面温度を低くすることができる。
【0024】
ところで、前記実施形態では、図4のように2枚のステンレス板20で第1水滴除去板21(22,23)を構成したが、水滴除去板は、図5(a),(b)に示すように、複数枚のステンレス板30をブラインドのように設けて形成してもよい。また、水滴除去板は、1枚の板に多数の小さな孔を設けて形成することもできる。
【0025】
また、蒸発器は図6(a)のようにコ字状に曲成してもよく、あるいは、図6(b)のように、曲成してもよい。さらに、蒸発器の構造は、ドレン水Wを蒸発させ得るものであれば他の構造を採用することもできる。
【0026】
また、前記実施形態では、図1の外ケース2内を3つの室4A,4B,5に区画したが、必ずしもそうする必要はない。たとえば、跳ね上げ機9を第1蒸発室4Aに設け、第2蒸発室4Bを省いてもよい。また、水滴除去室5を省いて、第1蒸発室4A,4Bのみとしてもよく、この場合、第2蒸発室4Bが水滴除去室を構成する。さらに、第2蒸発室4B,水滴除去室5を設けずに第1蒸発室4Aのみとすることもできる。
【0027】
さらに、前記実施形態では、液位検出器としてフロートスイッチ10A,10Bを採用したが、液位検出器は光センサ、超音波センサの他、ドレン水の重量を検出するものであってもよい。また、前記実施形態では、排水供給機として、跳ね上げ式のものを採用したが、本発明では、モータ、ポンプおよびホースからなる排水供給機などを採用してもよい。また、前記実施形態では、送風機13を空気取入口40に設けたが、送風機13は空気排出口50に設けるなど他の場所に設けることもできる。さらに、前記実施形態では、ドレン水蒸発装置を冷却装置と別体としたが、ドレン水蒸発装置を冷却装置内に組み込んでもよい。また、導水管6を2叉に分岐させると共に、出口6aを一対設けて、2つの出口6aから蒸発器3A(3B)にドレン水を供給してもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ドレン水を蒸発させて処理するドレン水蒸発装置において、水分を含んだ空気を水滴除去板に衝突させるから、排気中の水滴を除去することができる。
また、蒸発室と前記水滴除去室との間および該水滴除去室からの空気の流出口に各々、水滴除去板を設けたので、水滴除去の確実性が向上する。
さらに、請求項の発明によれば、排水受けのドレン水の液位が高くなったときに、排水供給機によりドレン水を蒸発器に供給するから、必要に応じて処理能力を大きくすることができると共に、消費電力の節減を図り得る。
また、請求項の発明によれば、蒸発器を収容する内ケースを外ケースで収容したから、外ケースの表面温度が低くなる。
また、請求項の発明では、蒸発器が電極棒のまわりに螺旋状の放熱フィンを備えているので、ドレン水が放熱フィンに沿って螺旋状に流れるから、比較的低温の蒸発器でも、効率良く蒸発させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すドレン水蒸発装置の概略斜視図である。
【図2】同概略構成図である。
【図3】蒸発器の一部を示す拡大斜視図である。
【図4】水滴除去板における空気の流れを示す断面図である。
【図5】水滴除去板の他の例を示す断面図および斜視図である。
【図6】蒸発器の他の形状を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1:内ケース
2:外ケース
3A,3B:蒸発器
30:電熱棒
31:放熱フィン
4A,4B:蒸発室
5:水滴除去室
6:導水管
8:排水受け
9:排水供給機(跳ね上げ機)
10A:液位検出器
13:送風機
21〜23:水滴除去板
W:ドレン水

Claims (4)

  1. 導水管から導入したドレン水を蒸発器によって蒸発室内で蒸発させ、当該蒸発室内の水分を含んだ空気を送風機により排出するドレン水蒸発装置において、
    前記蒸発室の下流に水滴除去室を設け、
    前記蒸発室と前記水滴除去室との間には、互いに近接対向して配設され、かつ、対向位置が互いにずれた多数の空気通過孔を有する一対のステンレス板からなり、前記水分を含んだ空気を衝突させて水滴を除去する水滴除去板が設けられ、
    前記水滴除去室からの空気の流出口には、互いに近接対向して配設され、かつ、対向位置が互いにずれた多数の空気通過孔を有する一対のステンレス板からなり、前記水分を含んだ空気を衝突させて水滴を除去する別の水滴除去板が設けられていることを特徴とするドレン水蒸発装置。
  2. 請求項1において、
    前記ドレン水蒸発装置は、
    ドレン水を昇温させて蒸発させる前記蒸発器と、
    蒸発しなかったドレン水を前記蒸発器の下方で貯留する排水受けと、
    該排水受けのドレン水を前記蒸発器に供給する排水供給機と、
    前記排水受けの液位が所定の液位よりも高くなったことを検出する液位検出器とを備え、
    前記所定の液位よりも液位が高くなったときに、前記排水供給機を作動させることを特徴とするドレン水蒸発装置。
  3. 請求項1において、
    前記ドレン水蒸発装置は、前記蒸発器を収容する内ケースと、該内ケースを収容する外ケースとを備えているドレン水蒸発装置。
  4. 請求項1において、
    前記蒸発器は電熱棒のまわりに螺旋状の放熱フィンを備え、該蒸発器の上部に前記導水管からのドレン水を供給して、前記ドレン水が螺旋状の放熱フィンに沿って流れるようにしたドレン水蒸発装置。
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