JP3683458B2 - 基板処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理槽中にて半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、単に「基板」と称する)に浸漬処理を行っているときであって、装置に不具合が発生したときには、その処理槽に純水を供給して基板を純水中に浸漬させてオーバーエッチング等を防止する基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、上記のような基板処理装置は、予め定められた手順に従ってフッ酸等の薬液および純水(以下、薬液および純水を総称して処理液とする)へのロット(バッチ処理を行うときの一組の複数の基板)の浸漬処理を繰り返し、基板表面の汚染物質を除去したり、基板表面の酸化膜をエッチングしたり、レジスト膜を剥離したりする一連の基板処理を達成している。
【0003】
従来において、このような装置に何らかの不具合が発生した場合(例えば、搬送ロボットが故障した場合)は、処理中の基板は処理液中に浸漬され続けることとなる。このような場合、純水中に浸漬されている基板はあまり問題とならないが、薬液中に浸漬されている基板には必要以上に表面処理が行われることとなる。特に、フッ酸系の薬液への浸漬処理は、処理時間に対して敏感であり、必要以上にロットを浸漬させておくと、過度にエッチングされた状態(いわゆるオーバーエッチング)となり、そのロットは以後使用不能(以下、「ロットアウト」と称する)となってしまう。
【0004】
このような問題を解決するため、特開平10−150011号公報に開示されているような技術が提案されている。かかる技術においては、装置に不具合が発生したときに、基板の薬液浸漬処理を行っている処理槽に純水を供給することによって薬液を純水に置換し、基板を純水中に浸漬させることによってオーバーエッチングとなるのを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の技術においては、装置に不具合が発生したときに処理槽中の薬液を迅速に純水に置換すべく、大流量にて純水の供給を行っている。そして、処理槽中の薬液の大部分が純水に置換されてエッチングの進行が停止した状態となった後も大流量による純水供給を行っており、純水が無駄に浪費されることとなっていた。純水の製造にもその純度に応じて相当のコストを要し、純水の無駄な浪費は基板製造のコスト上昇させるという問題を生じさせる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、処理中の基板が不良品となるのを防止しつつも、純水の浪費を抑制することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、処理槽中にて基板の浸漬処理を行っているときであって、装置に不具合が発生したときには、前記処理槽に純水を供給して当該基板を純水中に浸漬させる基板処理装置であって、前記処理槽への単位時間当たりの純水供給量を、小流量とそれよりも大きい大流量とのいずれにも切り換え可能な純水供給量切換手段と、前記不具合が発生したときに前記処理槽に前記大流量の純水を現に供給中であるか否かにかかわらず前記処理槽に前記大流量にて純水を供給するとともに、前記不具合が発生した後前記処理槽中の純水の純度が所定値以上となったときに前記処理槽に前記小流量にて純水を供給するように前記純水供給量切換手段を制御する供給量制御手段と、を備えている。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記処理槽に前記大流量にて純水を供給し続けている大流量供給時間を計測する計時手段をさらに備え、前記供給量制御手段に、前記計時手段による計時に基づいて、前記大流量供給時間が所定時間以上となったことが前記不具合の発生後において判明したときに前記処理槽に前記小流量にて純水を供給するように前記純水供給量切換手段を制御させている。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記処理槽の純水の比抵抗値を計測する比抵抗計測手段をさらに備え、前記供給量制御手段に、前記比抵抗計測手段による計測に基づいて、前記処理槽の純水の比抵抗値が所定値以上となったことが前記不具合の発生後において判明したときに前記処理槽に前記小流量にて純水を供給するように前記純水供給量切換手段を制御させている。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る基板処理装置において、前記処理槽に前記大流量にて純水を供給し続けている大流量供給時間を計測する計時手段と、前記処理槽の液と前記比抵抗計測手段とが接触する状態または遮断された状態に切り換える比抵抗バルブと、をさらに備え、前記計時手段による計時に基づいて、前記処理槽内の純水の純度が前記比抵抗計測手段に影響しない所定値に高まるまでに要する時間以上に前記大流量供給時間が到達したことが前記不具合の発生後において判明したときに、前記比抵抗バルブを開いて前記比抵抗計測手段による前記処理槽の純水の比抵抗値の計測を行っている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
<1.基板処理装置の全体構成>
図1は、本発明に係る基板処理装置1の全体構成を示す斜視図である。図示のように、この基板処理装置1は、未処理基板を収納しているカセットCSが投入されるカセット搬入部2と、このカセット搬入部2からのカセットCSが載置され内部から複数の基板(ロット)が同時に取り出される基板取出部3と、カセットCSから取り出された未処理基板が順次浸漬処理される基板処理部5と、浸漬処理後の複数の処理済み基板が同時にカセットCS中に収納される基板収納部7と、処理済み基板を収納しているカセットCSが払い出されるカセット搬出部8とを備える。さらに、装置の前側には、基板取出部3から基板収納部7に亙って基板移載搬送機構9が配置されており、浸漬処理前、浸漬処理中及び浸漬処理後のロットを一箇所から別の箇所に搬送したり移載したりする。
【0012】
カセット搬入部2は、水平移動、昇降移動及び垂直軸回りの回転が可能なカセット移載ロボットCR1を備え、カセットステージ2a上の所定位置に載置された一対のカセットCSを基板取出部3に移載する。
【0013】
基板取出部3は、昇降移動する一対のホルダ3a、3bを備える。そして、各ホルダ3a、3bの上面にはガイド溝が刻設されており、カセットCS中の未処理基板を垂直かつ互いに平行に支持することを可能にする。したがって、ホルダ3a、3bが上昇すると、カセットCS中から基板が押し上げられる。カセットCS上方に押し上げられた基板は、基板移載搬送機構9に設けられた搬送ロボットTRに受け渡され、水平移動後に基板処理部5に投入される。
【0014】
基板処理部5は、フッ酸等の薬液を貯留して薬液処理を行う薬液槽CBを備える薬液処理部52と、純水を貯留して水洗処理を行う水洗槽WBを有する水洗処理部54と、薬液または純水を貯留して単一槽内で各種の薬液処理や水洗処理を行う多機能槽MBを有する多機能処理部56とを備える。なお、本明細書においては、基板に何らかの処理を行う薬液槽CB、水洗槽WB、多機能槽MBを総称して処理用槽とする。
【0015】
基板処理部5において、薬液処理部52および水洗処理部54の後方側には、第1基板浸漬機構55が配置されており、これに設けた上下動及び横行可能なリフターLH1によって、搬送ロボットTRから受け取った基板を薬液処理部52の薬液槽CBに浸漬したり、水洗処理部54の水洗槽WBに浸漬したりする。リフターLH1は、薬液槽CBと水洗槽WBとの間で基板を搬送することが可能であるとともに、それら処理用槽に対して基板を昇降させることによって当該基板を処理用槽に貯留された処理液中に浸漬しまたはその処理液から離脱させることができる。
【0016】
また、多機能処理部56の後方側には、第2基板浸漬機構57が配置されており、これに設けた上下動可能なリフターLH2によって、搬送ロボットTRから受け取った基板を多機能処理部56の多機能槽MB内に支持する。リフターLH2は、基板を保持して多機能槽MBに当該基板を搬入するとともに多機能槽MBから当該基板を搬出する役割を担っており、多機能槽MBに対して基板を昇降させることによって当該基板を多機能槽MBに貯留された処理液中に浸漬しまたはその処理液から離脱させることができる。なお、52a、56aはリフターLH1、LH2にそれぞれ設けられた基板を支持するための基板受部を示す。
【0017】
また、多機能処理部56には、蓋58が設けられている。蓋58は、その下部に駆動機構(図示省略)を有しており、当該駆動機構によって多機能槽MBの上端部を開閉する開閉動作を行うことができる。蓋58は、多機能槽MBの上端部を閉鎖することにより、多機能槽MBに貯留された処理液への汚染物質の流入を防止するとともに、多機能槽MB内の雰囲気が外部に漏洩するのを防ぐ役割を有している。
【0018】
基板収納部7は、基板取出部3と同様の構造を有し、昇降可能な一対のホルダ7a、7bによって、搬送ロボットTRに把持された処理済み基板を受け取ってカセットCS中に収納する。
【0019】
また、カセット搬出部8は、カセット搬入部2と同様の構造を有し、移動自在のカセット移載ロボットCR2を備え、基板収納部7上に載置された一対のカセットCSをカセットステージ8a上の所定位置に移載する。
【0020】
基板移載搬送機構9は、水平移動及び昇降移動が可能な搬送ロボットTRを備える。そして、この搬送ロボットTRに設けた一対の回転可能なハンド91、92よってロットを把持することにより、基板取出部3のホルダ3a、3bに支持された基板を基板処理部5の第1基板浸漬機構55に設けたリフターLH1側に移載したり、このリフターLH1側から隣りの第2基板浸漬機構57に設けたリフターLH2側に基板を移載したり、このリフターLH2側から基板収納部7のホルダ7a、7bに基板を移載したりする。
【0021】
<2.基板処理装置の制御機構>
次に、上記基板処理装置1の制御機構について説明する。図2は、図1の基板処理装置1の制御機構を説明するための機能ブロック図である。この基板処理装置1には、卓上型コンピュータ等からなる制御部30が組み込まれており、オペレータは制御部30を介して装置に指令を与えたり、処理パターンや処理条件の設定を行ったりできる。
【0022】
制御部30は、その本体部であるCPU31と、読み出し専用メモリーであるROM32と、読み書き自在のメモリーであるRAM33と、制御用ソフトウェアやレシピ(処理手順を既述したファイル)などを記憶しておく磁気ディスク34と、付随する入出力機器とのインターフェイスである入出力ポート35と、基板処理装置1を直接制御する装置とのインターフェイスであるネットワークポート36と、基板処理装置1外部に設けられているホストコンピュータなどと通信を行う通信ポート37とを備えている。また、制御部30には、入出力ポート35を介してディスプレイ38とキーボード39とが付随して設けられており、オペレータはディスプレイ38の表示を確認しつつ、キーボード39からコマンドやパラメータを入力することができる。
【0023】
制御部30に入力された指令は、処理用のソフトウェアに基づいて処理され、必要に応じて制御部30からネットワークポート36を介してマスターコントローラ40および槽コントローラ50などに伝達される。マスターコントローラ40は、搬送ロボットTR(図1参照)の動作を制御する。また、槽コントローラ50は、槽制御装置51に指令を伝達して、各処理用槽への注排液などを制御するとともに、タイマー52および比抵抗計70を管理する。また、槽制御装置51はレギュレータ65の動作を制御する。なお、制御部30による槽コントローラ50および槽制御装置51を介した槽への注排液の制御およびタイマー52、比抵抗計70の管理については後に詳述する。
【0024】
<3.処理用槽の構成>
次に、基板処理装置1に設けられている処理用槽の構成について説明する。ここでは、処理用槽の一例として多機能処理部56の多機能槽MBについて説明する。図3は、多機能槽MBの構成を示す図である。多機能槽MBは、主として処理槽61、バット62およびそれらに付随する注排液機構によって構成されている。
【0025】
処理槽61は、多機能槽MBの主要部であり、純水またはフッ酸等の薬液を貯留することが可能であり、その処理液中に基板Wを浸漬することによって基板Wの表面処理を進行させる槽である。処理槽61にはレギュレータ65を介して純水が供給され、バルブ68を開放することによって薬液が供給される。ここで、レギュレータ65は、槽制御装置51からの指示に基づいて、処理槽61への単位時間当たりの純水供給量を、小流量とそれよりも大きい大流量とのいずれにも切り換え可能である。
【0026】
処理槽61の下方より供給された処理液は、やがてその上方からあふれ出て回収部66によって回収された後、一旦比抵抗計測槽63に流入する。比抵抗計測槽63に流入した処理液は逐次バット62に流れ落ちる。バット62に流れ落ちた処理液は装置の外部へと排出される。
【0027】
また、比抵抗計測槽63は比抵抗バルブ64を介して比抵抗計70と接続されている。比抵抗バルブ64が開放されているときは比抵抗計測槽63に流入した処理液と比抵抗計70とが接触し、その処理液の比抵抗値を計測することができる。なお、比抵抗バルブ64が閉鎖されているときは処理液と比抵抗計70とが遮断された状態となっている。また、後述するように、比抵抗計70は薬液に対する耐食性が低いため、計測槽63に流入する処理液が純水であって、その純度がある程度高い場合のみ比抵抗バルブ64が開放されて当該純水の比抵抗値、すなわち処理槽61の純水の比抵抗値を計測する。
【0028】
ここで、レギュレータ65、比抵抗バルブ64およびバルブ68は槽制御装置51と電気的に接続されており、槽制御装置51を介して制御部30によってその動作を制御されている。また、本実施形態においては、レギュレータ65が純水供給量切換手段に、制御部30が供給量制御手段に、タイマー52が計時手段に、比抵抗計70が比抵抗計測手段にそれぞれ相当する。
【0029】
<4.処理手順>
次に、基板処理装置1における処理手順について説明する。装置全体としての通常の基板処理の手順は、概ね予め定められたレシピにしたがってカセット搬入部2からカセット搬出部8に向けてロットを順次搬送し、その搬送途中の基板処理部5において基板Wを浸漬によりエッチング等の薬液処理、純水による水洗処理を行うというものである(図1参照)。ここでは、そのような通常の処理が行われているときにおいて、装置に何らかの不具合(例えば、搬送ロボットTRの故障)が発生したときの処理手順について説明する。
【0030】
図4は、装置に何らかの不具合が発生したときの処理手順の一例を示す図である。ここでは、多機能槽MBにおける処理手順を示している。まず、基板処理装置1における通常の処理が行われているときにおいて、装置に不具合が発生したとする(ステップS1)。このときに、不具合発生を認識した制御部30がステップS2の判断を行う。すなわち、多機能槽MBにおける(厳密には処理槽61における)純水置換時間が比抵抗回復見込み時間以上となっているか否かを判断するのである。この内容については後述する。そして、純水置換時間が比抵抗回復見込み時間以上となっている場合には、ステップS4に進み、制御部30が槽制御装置51を介して純水スローリーク処理を行わせる。一方、純水置換時間が比抵抗回復見込み時間よりも少ない場合は、ステップS3に進み、制御部30が槽制御装置51を介して純水アップフロー処理を行わせる。なお、装置に不具合が発生していないときは、ステップS2以降の処理が行われず、上記通常の基板処理手順が実行されることは勿論である。
【0031】
多機能槽MBにおいては、基板Wに対して薬液処理が行われている場合もあれば、純水による水洗処理が行われている場合もある。いずれの処理が行われているときに装置に不具合が発生するかは当然に予測不能である。
【0032】
ここで、例えば、多機能槽MBにおいて基板Wに対して純水による水洗処理が行われていたとする。通常、純水による水洗処理が行われるのは薬液処理の後工程であり、薬液が貯留されている処理槽61にレギュレータ65から上述した大流量による純水供給が行われる。このような処理槽61への大流量による純水供給処理を純水アップフロー処理と称している。そして、通常の処理手順において、薬液処理が終了した後、薬液が貯留されている処理槽61への純水アップフロー処理が開始された時点からタイマー52が時間計測を開始し、その計測結果を逐次槽コントローラ50を介して制御部30に伝達する。このときのタイマー52が計測している時間が「純水置換時間」であり、処理槽61への大流量による純水供給が行われ続けている時間である。
【0033】
処理槽61に純水アップフロー処理が開始されると、それまで貯留されていた薬液は徐々に処理槽61から流れ出てバット62を経て外部に排出され、処理槽61内の薬液濃度が漸次低下する。すなわち、処理槽61内の純水の純度が徐々に高くなり、その比抵抗値が次第に高くなるのである。処理槽61内の純水の純度が徐々に高くなり、やがてその純度が所定の閾値以上となると(比抵抗値が所定の閾値以上となると)処理槽61内の残留薬液の基板Wに対する影響が無視できる程度になる。処理槽61に純水アップフロー処理を開始してからこのような状態に至るまでに要する時間が「比抵抗回復見込み時間」である。「比抵抗回復見込み時間」は、純水アップフロー処理の純水流量や処理槽61の容積によって規定される値であり、実験やシミュレーションによって予め求めておく値である。
【0034】
多機能槽MBにおいて通常の水洗処理が行われているときに不具合が発生した場合、不具合が発生する前から大流量による純水供給処理である純水アップフロー処理が行われていたこととなる。そして、図4のステップS2において、制御部30がタイマー52によって計測されている「純水置換時間」と磁気ディスク34等に格納されている「比抵抗回復見込み時間」とを比較する。換言すれば、不具合が発生する以前からの通常処理での純水アップフロー処理によって処理槽61内の残留薬液の基板Wに対する影響が無視できる程度に純水の純度が高くなっているか否かを判断しているのである。
【0035】
純水置換時間が比抵抗回復見込み時間以上となっている場合には、処理槽61内の薬液が十分に純水によって置換され、処理槽61内の残留薬液の基板Wに対する影響が無視できる程度に純水の純度が高くなっていると考えられるため、ステップS4に進み、処理槽61にレギュレータ65から上述した小流量による純水供給が行われる。このような処理槽61への小流量による純水供給処理を純水スローリーク処理と称している。
【0036】
一方、純水置換時間が比抵抗回復見込み時間よりも少ない場合は、処理槽61内の純水による置換が不十分であり、処理槽61内の残留薬液が基板Wに対して影響を与えると考えられるため、ステップS3に進み、純水アップフロー処理を継続する。そして、純水置換時間が比抵抗回復見込み時間以上となるまで純水アップフロー処理が続行され、当該条件を満たした後に純水スローリーク処理に切り換えられるのである。例えば、不具合が発生する前に純水アップフロー処理が500秒(つまり、不具合発生時の「純水置換時間」が500秒)行われていた場合であって、「比抵抗回復見込み時間」が600秒であるときには、さらに100秒の純水アップフロー処理が行われた後、純水スローリーク処理に切り換えられるのである。
【0037】
このようにすれば、処理槽61内の薬液が十分に純水によって置換され、処理槽61内の残留薬液の基板Wに対する影響が無視できる程度に純水の純度が高くなった後に小流量による純水供給処理である純水スローリーク処理に切り換えられるため、必要にして十分な量の純水が過不足無く供給されることとなり、処理中の基板が不良品となるのを防止しつつも、純水の浪費を抑制することができる。
【0038】
また、不具合が発生する以前の純水供給量についても考慮しているため、純水の浪費をより効率良く抑制することができる。
【0039】
次に、多機能槽MBにおいて基板Wに対して薬液処理が行われていた場合について説明する。多機能槽MBにおいて通常の薬液処理が行われているときに不具合が発生した場合、その時点においては処理槽61への大流量による純水供給が行われておらず、大流量による純水供給が行われている時間である「純水置換時間」は当然0秒である。従って、直ちにステップS3に進み、純水アップフロー処理が開始される。それと同時に、純水アップフロー処理が開始された時点からタイマー52が純水置換時間の計測を開始する。
【0040】
処理槽61に純水アップフロー処理が開始されると、それまで貯留されていた薬液は徐々に処理槽61から流れ出てバット62を経て外部に排出され、処理槽61内の薬液濃度が漸次低下し、処理槽61内の純水の純度が徐々に高くなる。そして、純水置換時間が比抵抗回復見込み時間以上となった時点において、処理槽61内の薬液が十分に純水によって置換され、処理槽61内の残留薬液の基板Wに対する影響が無視できる程度に純水の純度が高くなったものと考えられるため、ステップS4に進み、処理槽61にレギュレータ65から小流量による純水供給(純水スローリーク処理)が行われる。なお、「比抵抗回復見込み時間」の意味については上記と同じである。例えば、「比抵抗回復見込み時間」が600秒である場合、不具合発生後直ちに純水アップフロー処理を開始し、600秒継続した後に純水スローリーク処理に切り換えられる。
【0041】
このようにすれば、装置に不具合が発生した時点で直ちに処理槽61への大流量による純水供給処理である純水アップフロー処理が開始され、処理槽61内の残留薬液の基板Wに対する影響が無視できる程度に純水の純度が高くなった後に小流量による純水供給処理である純水スローリーク処理に切り換えられるため、上記と同様に、必要にして十分な量の純水が過不足無く供給されることとなり、処理中の基板が不良品となるのを防止しつつも、純水の浪費を抑制することができる。
【0042】
以上の内容を集約すると、装置に不具合が発生した時点において基板Wに薬液処理が行われているか純水による水洗処理が行われているかにかかわらず、すなわち装置に不具合が発生した時点において処理槽61に純水アップフロー処理を行っているか否かにかかわらず、薬液が貯留されている処理槽61への純水アップフロー処理が開始された時点からの実際の計測時間である「純水置換時間」が純水アップフロー処理を開始してから処理槽61内の純水の純度が基板Wに影響しない程度に十分に高くなるまでに要する「比抵抗回復見込み時間」に満たないときは純水アップフロー処理を実行し、それ以上となったことが判明したときは純水スローリーク処理に切り換えている。そして、このようにすることによって処理中の基板が不良品となるのを防止しつつも、純水の浪費を抑制しているのである。
【0043】
<5.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、時間によって純水アップフロー処理または純水スローリーク処理に切り換えていたが、これを以下のようにしても良い。
【0044】
図5は、装置に何らかの不具合が発生したときの処理手順の他の例を示す図である。まず、基板処理装置1における通常の処理が行われているときにおいて、装置に不具合が発生したとする(ステップS11)。このときに、不具合発生を認識した制御部30がステップS12の判断を行う。すなわち、多機能槽MBにおける純水置換時間が比抵抗バルブ開時間以上となっているか否かを判断する。「純水置換時間」の定義については上記と同様であり、薬液が貯留されている処理槽61への純水アップフロー処理が開始された時点からタイマー52が計測している時間である。また、「比抵抗バルブ開時間」とは、処理槽61への純水アップフロー処理を開始してから処理槽61内の純水の純度が比抵抗計70に影響しない程度の所定値に高まるまでに要する時間である。なお、「比抵抗バルブ開時間」も上記の「比抵抗回復見込み時間」と同様に、純水アップフロー処理の純水流量や処理槽61の容積によって規定される値であり、実験やシミュレーションによって予め求めておく値である。また、通常、「比抵抗バルブ開時間」は「比抵抗回復見込み時間」よりも短い。
【0045】
比抵抗計70は、薬液に対する耐食性が低く、薬液に直接接触すると腐食されて損傷を受けるため、処理槽61内の純水の純度がある程度高いときのみ比抵抗バルブ64を開放するようにしなければならない。ステップS12の判断は、このような比抵抗計70の保護のために行うものであり、基板Wへの影響を考慮したものではない。
【0046】
装置に不具合が発生した時点において基板Wに純水による水洗処理が行われており、純水置換時間が比抵抗バルブ開時間以上であるときは、ステップS14に進み、比抵抗バルブ64が開かれ、比抵抗計70による処理槽61の純水の比抵抗値の計測が行われる。一方、装置に不具合が発生した時点において基板Wに薬液処理が行われているか純水による水洗処理が行われているかにかかわらず、純水置換時間が比抵抗バルブ開時間未満であるときには、純水アップフロー処理が行われ続け(ステップS13)、処理槽61内の純水の純度が比抵抗計70に影響しない程度の所定値以上となった後に比抵抗バルブ64が開かれ、比抵抗計70による処理槽61の純水の比抵抗値の計測が行われる(ステップS14)。比抵抗計70による計測結果は、槽コントローラ50を介して制御部30に伝達される。
【0047】
次に、処理槽61内の純水の比抵抗値が残留薬液の基板Wに対する影響が無視できる程度の所定値以上となっているか否か、すなわち処理槽61内の純水の比抵抗値が回復して純度が所定の閾値以上となっているか否かが制御部30によって判断される(ステップS15)。処理槽61内の純水の比抵抗値が所定値以上となっている場合には、処理槽61内の薬液が十分に純水によって置換され、処理槽61内の残留薬液の基板Wに対する影響が無視できる程度に純水の純度が高くなっているため、ステップS17に進み、処理槽61にレギュレータ65から小流量による純水供給(純水スローリーク処理)が行われる。
【0048】
一方、処理槽61内の純水の比抵抗値が所定値よりも小さい場合には、処理槽61内の純水による置換が不十分であり、処理槽61内の残留薬液が基板Wに対して影響を与えると考えられるため、ステップS16に進み、純水アップフロー処理を継続する。そして、純水の比抵抗値が回復するまで純水アップフロー処理が続行され、当該条件を満たした後に純水スローリーク処理に切り換えられるのである。
【0049】
このようにすれば、装置に不具合が発生した時点において基板Wに薬液処理が行われているか純水による水洗処理が行われているかにかかわらず、まず処理槽61内の純水の純度が比抵抗計70に影響しない程度となるまで純水アップフロー処理が行われた後、処理槽61内の純水の比抵抗値が基板Wに影響しない程度に高くなっていないときは純水アップフロー処理を実行し、十分に高くなって所定値以上となっているときには純水スローリーク処理に切り換えている。そして、このようにすることによって処理中の基板が不良品となるのを防止しつつも、純水の浪費を抑制しているのである。
【0050】
図5に示した処理は、処理槽61内の純水の純度が十分に高い所定値以上となった後に純水アップフロー処理から純水スローリーク処理に切り換えるという本質的な点において図4に示した処理と共通しているが、純水の比抵抗値に基づいて制御を行っているため、より直接的に処理槽61内の純水の純度を計測し、その計測結果に基づいた制御を行っていると言える。一方、図4に示した処理は、時間に基づいて制御を行っているため、間接的に処理槽61内の純水の純度を計測し、その計測結果に基づいた制御を行うものであるが、比抵抗計70が必須でないため、装置構成を簡便にすることができる。
【0051】
また、上記実施形態においては、不具合発生時の多機能槽MBにおける処理について説明したが、これに限定されるものではなく、薬液槽CBにおいても不具合発生時に同様の処理を行うことができる。もっとも、薬液槽CBにおいては、通常処理時に純水供給を行うことはないため、不具合発生以前の純水供給量について考慮する必要はない。
【0052】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明によれば、不具合が発生したときに処理槽に大流量の純水を現に供給中であるか否かにかかわらず処理槽に大流量にて純水を供給するとともに、不具合が発生した後処理槽中の純水の純度が所定値以上となったときに処理槽に小流量にて純水を供給しているため、必要にして十分な量の純水が過不足無く供給されることとなり、処理中の基板が不良品となるのを防止しつつも、純水の浪費を抑制することができる。
【0053】
また、請求項2の発明によれば、処理槽に大流量にて純水を供給し続けている大流量供給時間を計測し、その計時に基づいて、大流量供給時間が所定時間以上となったことが不具合の発生後において判明したときに処理槽に小流量にて純水を供給しているため、簡易な装置構成にて請求項1の発明と同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、請求項3の発明によれば、処理槽の純水の比抵抗値を計測し、その計測に基づいて、処理槽の純水の比抵抗値が所定値以上となったことが不具合の発生後において判明したときに処理槽に小流量にて純水を供給しているため、より正確に処理槽中の純水の純度を計測しつつ、請求項1の発明と同様の効果を得ることができる。
また、請求項4の発明によれば、処理槽内の純水の純度が比抵抗計測手段に影響しない所定値に高まるまでに要する時間以上に大流量供給時間が到達したことが不具合の発生後において判明したときに、比抵抗バルブを開いて比抵抗計測手段による処理槽の純水の比抵抗値の計測を行っているため、比抵抗計測手段の保護を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板処理装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1の基板処理装置の制御機構を説明するための機能ブロック図である。
【図3】多機能槽の構成を示す図である。
【図4】装置に何らかの不具合が発生したときの処理手順の一例を示す図である。
【図5】装置に何らかの不具合が発生したときの処理手順の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 基板処理装置
30 制御部
52 タイマー
61 処理槽
65 レギュレータ
70 比抵抗計
MB 多機能槽
W 基板
Claims (4)
- 処理槽中にて基板の浸漬処理を行っているときであって、装置に不具合が発生したときには、前記処理槽に純水を供給して当該基板を純水中に浸漬させる基板処理装置であって、
前記処理槽への単位時間当たりの純水供給量を、小流量とそれよりも大きい大流量とのいずれにも切り換え可能な純水供給量切換手段と、
前記不具合が発生したときに前記処理槽に前記大流量の純水を現に供給中であるか否かにかかわらず前記処理槽に前記大流量にて純水を供給するとともに、前記不具合が発生した後前記処理槽中の純水の純度が所定値以上となったときに前記処理槽に前記小流量にて純水を供給するように前記純水供給量切換手段を制御する供給量制御手段と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1記載の基板処理装置において、
前記処理槽に前記大流量にて純水を供給し続けている大流量供給時間を計測する計時手段をさらに備え、
前記供給量制御手段は、前記計時手段による計時に基づいて、前記大流量供給時間が所定時間以上となったことが前記不具合の発生後において判明したときに前記処理槽に前記小流量にて純水を供給するように前記純水供給量切換手段を制御することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1記載の基板処理装置において、
前記処理槽の純水の比抵抗値を計測する比抵抗計測手段をさらに備え、
前記供給量制御手段は、前記比抵抗計測手段による計測に基づいて、前記処理槽の純水の比抵抗値が所定値以上となったことが前記不具合の発生後において判明したときに前記処理槽に前記小流量にて純水を供給するように前記純水供給量切換手段を制御することを特徴とする基板処理装置。 - 請求項3記載の基板処理装置において、
前記処理槽に前記大流量にて純水を供給し続けている大流量供給時間を計測する計時手段と、
前記処理槽の液と前記比抵抗計測手段とが接触する状態または遮断された状態に切り換える比抵抗バルブと、
をさらに備え、
前記計時手段による計時に基づいて、前記処理槽内の純水の純度が前記比抵抗計測手段に影響しない所定値に高まるまでに要する時間以上に前記大流量供給時間が到達したことが前記不具合の発生後において判明したときに、前記比抵抗バルブが開かれて前記比抵抗計測手段による前記処理槽の純水の比抵抗値の計測を行うことを特徴とする基板処理装置。
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