JP3683250B2 - 強誘電体容量素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容量絶縁膜として、ビスマス層状構造を有する強誘電体膜を備えた強誘電体容量素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年デジタル技術の進展に伴って、大容量のデータを処理及び保存する傾向が推進される中で電子機器が一段と高度化しており、電子機器に使用される半導体集積回路装置の大集積化及び半導体素子の微細化が急速に進んできている。
【0003】
そして、ダイナミックRAM(Random Access Memory)の高集積化を実現するため、従来の珪素酸化物又は珪素窒化物に代えて、高誘電率を有する誘電体(以下、高誘電体と呼ぶ)を記憶容量素子の容量膜として用いる技術が広く研究開発されている。
【0004】
さらに、従来よりも低電圧で動作し且つ高速での書き込み及び読み出しが可能な不揮発性RAMの実用化を目指して、自発分極特性を有する強誘電体膜に関する研究開発が盛んに行われている。
【0005】
不揮発性RAMに用いられる強誘電体膜としては、書き換え耐性に優れ且つ低電圧動作が可能なビスマス層状構造を有する強誘電体膜が有望である。一般にビスマス層状構造は以下の化学式(a) で表される。
【0006】
(Bi22)(Am-1m3m+1)…………(a)
(但し、mは1以上の整数であり、Aは1価、2価又は3価の金属であり、Bは4価、5価又は6価の金属である。)
このビスマス層状構造においては、酸化ビスマス層(Bi22)と、擬ペロブスカイト層(Am-1m3m+1)とが交互に積層されている。
【0007】
ビスマス層状構造を有する一群の材料の中で、不揮発性メモリには、特にSBTと呼ばれる材料がよく用いられている。
【0008】
SBTは、(a) 式において、mが2であり、Aが2価のSrであり、Bが5価のTaである化合物であって、以下の化学式(b) で表される(以下、この化合物を通常型と呼ぶ)。
【0009】
(Bi22)(SrTa27)…………(b)
また、積層構造は、図15に示すように、酸化ビスマス層101とm=2の擬ペロブスカイト層102とが交互に積層された構造である。
【0010】
酸化ビスマス層101(化学式:Bi22)は、図16に示すように、四角錐が繋がりながら平面的に拡がった構造を有しており、四角錐の頂点にはビスマス111が存在していると共に四角錐の底面の各頂点には酸素112が存在している。
【0011】
また、m=2の擬ペロブスカイト層102(化学式:SrTa27)は、図17に示すように、酸素八面体が縦に2つ重なって2次元的に拡がる層状構造を有している。酸素八面体の中心であるBサイトにはタンタル113が存在していると共に、酸素八面体の各頂点に酸素112が存在している。また、酸素八面体で囲まれた空間であるAサイトにはストロンチウム114が存在している。
【0012】
SBTに求められる、第1の課題は自発分極量の向上であり、第2の課題はリーク電流の抑制及び耐圧の向上である。第1の課題の自発分極を向上させる方法としては、次の2つの結晶構造(混合積層化超格子型及びAサイトBi置換型)が提案されている。
【0013】
(1) 混合積層化超格子型層状構造(第1の従来例)
混合積層化超格子型層状構造は、Azuma らのUSP5,955,754に開示されている。該米国特許公報においては、層状構造の全体について幅広く記述されているが、ここでは層状構造を本願の趣旨に沿ってSBTに適用した場合について説明する。混合積層化超格子型層状構造(一般にはこのような呼称はないが、他と区別するために便宜上、この呼称を用いる。)は、図18に示すように、酸化ビスマス層101同士の間に、m=2の擬ペロブスカイト層102又はm=1の擬ペロブスカイト層103のいずれかが存在する。m=2の擬ペロブスカイト層102の存在確率をδ(0<δ<1)とすると、m=1の擬ペロブスカイト層103の存在確率は1−δとなる。
【0014】
m=1の擬ペロブスカイト層103はTaO4 で表され、図19に示すように、タンタル113を中心とする酸素八面体の単層が2次元的に拡がった層状構造である。酸素八面体の中心であるBサイトにはタンタル113が存在していると共に、酸素八面体の各頂点に酸素112が存在している。尚、厳密に価数計算すると化学式はTaO7/2 となり、図19に示す構造を形成するためには酸素の数が不足する。不足する酸素の部分は空孔になる。
【0015】
混合積層化超格子の特徴は、通常の構造に比べて低融点のビスマス量が多く存在するため、結晶粒を大きく成長させやすく、自発分極特性を向上させることができる。
【0016】
(2) AサイトBi置換型層状構造(第2の従来例)
AサイトBi置換型層状構造は、Atsugiらの特開平9-213905号公報に開示されており、以下の化学式(c) で表される。
【0017】
(Bi22)[(Sr1-xBix)Ta27]…………(c)
AサイトBi置換型層状構造は、図15に示すように、酸化ビスマス層101とm=2の擬ペロブスカイト層102とが交互に積層された構造である。
【0018】
酸化ビスマス層101は、化学式:Bi22で表され、通常型と同じように、図16に示す構造を有する。
【0019】
m=2の擬ペロブスカイト層102は、化学式(Sr1-xBix)Ta27で表され、図20に示す構造を有する。図20に示す構造は、図17に示す構造と類似しており、酸素八面体の中心であるBサイトにはタンタル113が存在していると共に、酸素八面体の各頂点に酸素112が存在している。一方、Aサイト115が、確率(1−x)でSrが占めると共に確率xでBiが占める点で図17に示す構造と異なる。通常型では、Aサイト115がすべてSrで占められているのに対し、AサイトBi置換型では、Aサイト115のSrが確率xでBiにより置換されていることになる。
【0020】
最近の研究では、Aサイト115において空孔が発生していることが確認されている。その理由は、2価のSrを3価のBiにより置換しているため、電荷中性則を満たすべく空孔が発生するのである。この場合、(b) 式は下記の(d) 式のようになる。
【0021】
(Bi22)[(Sr1-xBi2x/3)Ta27]…………(d)
AサイトBi置換型においては、m=2の擬ペロブスカイト層102は化学式(Sr1-xBi2x/3)Ta27で表され、図20におけるAサイトは、確率(1−x)でSrが占め、確率(2x/3)でBiが占め、確率(x/3)で空孔が占める。
【0022】
AサイトBi置換型の特徴は、Aサイト115を占めているSr2+が、イオン半径の小さいBi3+で置換されているため、格子の歪みが大きくなって自発分極量が大きくなることである。また、混合積層化超格子型と同様、通常型に比べて低融点のBiが多く存在するため、結晶粒を大きく成長させやすく、自発分極特性を向上させることができる。
【0023】
従って、前述の第1の従来例及び第2の従来例によると、SBTに求められる第1の課題である自発分極は解決される。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1の従来例及び第2の従来例では、SBTに求められる第2の課題である、リーク電流の低減及び耐圧の向上を達成することはできない。
【0025】
その理由は、第1及び第2の従来に係る構造では、結晶粒界及び電極界面に析出物が生じることである。すなわち、第1の従来例に係る混合積層化超格子型層状構造ではBiの析出が生じ、第2の従来例に係るAサイトBi置換型層状構造ではBiTaO4 の析出が生じる。これらの析出物が、結晶粒界においてリークパスになることによりリーク電流が増大したり、また、電極界面でのショットキー障壁の低減により耐圧の低下を招いたりしてしまう。
【0026】
このように、第1及び第2の従来例は、リーク電流の増加又は耐圧の劣化が生じやすい強誘電体膜を用いているため、実用化に必要な信頼性を有する容量素子を得ることができないという問題を有している。
【0027】
前記に鑑み、本発明は、容量絶縁膜として、ビスマス層状構造を有する強誘電体膜を備えた強誘電体容量素子において、リーク電流の増加及び耐圧の低下による不良の発生を防止することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は、混合積層化超格子型とAサイトBi置換型とが組み合わせた構造を採用することにより、析出物が生じないビスマス層状構造を有する強誘電体膜を実現するものである。
【0029】
具体的には、本発明に係る第1の強誘電体容量素子は、下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子を前提とし、強誘電体膜は、複数の酸化ビスマス層と複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、複数の酸化ビスマス層はBi22よりなり、複数の擬ペロブスカイト層は、Am-1m3m+α(但し、Aは1価、2価又は3価の金属であり、Bは4価、5価又は6価の金属であり、mは1以上の整数であり、mが2以上の整数の場合にはAのうちの少なくとも1つはBiであり、αは0≦α≦1を満たす。)よりなる一般式(1) で表され且つmの値が互いに異なる2種類以上の層からなることを特徴とする。
【0030】
第1の強誘電体容量素子によると、容量絶縁膜として、析出物が生じないビスマス層状構造を有する強誘電体膜を得ることができるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加又は耐圧の低下による不良を防止できる。
【0031】
本発明に係る第2の強誘電体容量素子は、下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子を前提とし、強誘電体膜は、複数の酸化ビスマス層と複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、複数の酸化ビスマス層はBi22よりなり、複数の擬ペロブスカイト層は、BO3+α (但し、Bは4価、5価又は6価の金属であり、αは0≦α≦1を満たす。)よりなる一般式(2) で表わされる少なくとも1つの第1の層と、Am-1m3m+1(但し、Aは1価、2価又は3価の金属であり、mは2以上の整数であり、Aのうちの少なくとも1つはBiである。)よりなる一般式(3) で表される少なくとも1つの第2の層とからなることを特徴とする。
【0032】
第2の強誘電体容量素子によると、容量絶縁膜として、析出物が生じないビスマス層状構造を有する強誘電体膜を得ることができるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加又は耐圧の低下による不良を防止できる。
【0033】
本発明に係る第3の強誘電体容量素子は、下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子を前提とし、強誘電体膜は、複数の酸化ビスマス層と複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、複数の酸化ビスマス層はBi22よりなり、複数の擬ペロブスカイト層は、BO7/2(但し、Bは5価の金属である。)よりなる一般式(4) で表わされる少なくとも1つの第1の層と、(A1-xBi2x/3)B27(但し、Aは2価の金属であり、Bは5価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)よりなる一般式(5) で表わされる少なくとも1つの第2の層とからなることを特徴とする。
【0034】
第3の強誘電体容量素子によると、容量絶縁膜として、析出物が生じないビスマス層状構造を有する強誘電体膜を得ることができるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加又は耐圧の低下による不良を防止できる。
【0035】
第3の強誘電体容量素子における一般式(4) 及び一般式(5) において、AはSrであり、BはTa1-yNby(但し、0≦y≦1)であることが好ましい。
【0036】
このようにすると、容量絶縁膜として、疲労特性に優れた強誘電体膜を用いることができるので、書き換え耐性に優れた強誘電体容量素子を実現できる。
【0037】
第3の強誘電体容量素子における複数の擬ペロブスカイト層において第1の層が占める割合は、0よりも大きく且つ0.3よりも小さく、一般式(5) において、xは0<x<0.3を満たすことが好ましい。
【0038】
このようにすると、析出物の発生をほぼ完全に抑制できるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加又は耐圧の低下による不良を確実に防止することができる。
【0039】
本発明に係る第4の強誘電体容量素子は、下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子を前提とし、強誘電体膜は、複数の酸化ビスマス層と複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、複数の酸化ビスマス層はBi22よりなり、複数の擬ペロブスカイト層は、B17/2(但し、B1 は5価の金属である。)よりなる一般式(6) で表わされる少なくとも1つの第1の層と、(A1-xBix)(B1 2-x2 x7 )(但し、Aは2価の金属であり、B1 は5価の金属であり、B2 は4価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)よりなる一般式(7) で表わされる少なくとも1つの第2の層とからなることを特徴とする。
【0040】
第4の強誘電体容量素子によると、容量絶縁膜として、析出物が生じないビスマス層状構造を有する強誘電体膜を得ることができるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加又は耐圧の低下による不良を防止できる。また、Aサイトにおける空孔の発生を抑制できるので、書き換え耐性等の信頼性の劣化を防止することができる。
【0041】
第4の強誘電体容量素子における一般式(6) 及び一般式(7) において、AはSrであり、B1 はTa1-yNby(但し、0≦y≦1)であり、B2 はTiであることが好ましい。
【0042】
このようにすると、疲労特性に優れた強誘電体膜を得ることができるため、書き換え耐性に優れた強誘電体容量素子を実現できる。
【0043】
第4の強誘電体容量素子における複数の擬ペロブスカイト層において第1の層が占める割合は、0よりも大きく且つ0.3よりも小さく、一般式(7) において、xは0<x<0.3を満たすことが好ましい。
【0044】
このようにすると、析出物の発生をほぼ完全に抑制できるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加や耐圧の低下による不良を防止できる。
【0045】
本発明に係る第5の強誘電体容量素子は、下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子を前提とし、強誘電体膜は、複数の酸化ビスマス層と複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、複数の酸化ビスマス層はBi22よりなり、複数の擬ペロブスカイト層は、BO3 (但し、Bは4価の金属である。)よりなる一般式(8) で表わされる少なくとも1つの第1の層と、(A1-xBix2310(但し、Aは3価の金属であり、Bは4価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)よりなる一般式(9) で表わされる少なくとも1つの第2の層とからなることを特徴とする。
【0046】
第5の強誘電体容量素子によると、容量絶縁膜として、析出物が生じないビスマス層状構造を有する強誘電体膜を得ることができるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加又は耐圧の低下による不良を防止できる。
【0047】
第5の強誘電体容量素子における一般式(8) 及び一般式(9) において、Aは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのランタノイドであり、BはTiであることが好ましい。
【0048】
このようにすると、疲労特性に優れた強誘電体膜を得ることができるため、書き換え耐性に優れた強誘電体容量素子を実現できる。
【0049】
第5の強誘電体容量素子における複数の擬ペロブスカイト層において第1の層が示す割合は、0よりも大きく且つ0.3よりも小さいことが好ましい。
【0050】
このようにすると、析出物の発生をほぼ完全に抑制できるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加や耐圧の低下による不良を防止できる。
【0051】
本発明に係る第6の強誘電体容量素子は、下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子を前提とし、強誘電体膜は、複数の酸化ビスマス層と複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、複数の酸化ビスマス層はBi22よりなり、複数の擬ペロブスカイト層は、(A1-xBix)B27(但し、Aは3価の金属であり、Bは4価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)の一般式(10)で表わされる少なくとも1つの第1の層と、(A1-xBix2310(但し、Aは3価の金属であり、Bは4価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)の一般式(11)で表わされる少なくとも1つの第2の層とからなることを特徴とする。
【0052】
第6の誘電体容量素子によると、容量絶縁膜として、析出物が生じないビスマス層状構造を有する強誘電体膜を得ることができるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加又は耐圧の低下による不良を防止できる。
【0053】
第6の強誘電体容量素子における一般式(10)及び一般式(11)において、Aは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのランタノイドであり、BはTiであることが好ましい。
【0054】
このようにすると、疲労特性に優れた強誘電体膜を得ることができるため、書き換え耐性に優れた強誘電体容量素子を実現できる。
【0055】
第6の強誘電体容量素子における複数の擬ペロブスカイト層において第1の層が示す割合は、0よりも大きく且つ0.3よりも小さいことが好ましい。
【0056】
このようにすると、析出物の発生をほぼ完全に抑制できるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加や耐圧の低下による不良を防止できる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態に係る強誘電体容量素子の断面構造について、図1を参照しながら説明する。
【0058】
図1に示すように、半導体基板10の表面部にソース領域又はドレイン領域となる不純物拡散層11が形成されていると共に、半導体基板10の上にゲート絶縁膜を介してゲート電極12が形成されており、これら不純物拡散層11及びゲート電極12によって電界効果型トランジスタ13が構成されている。
【0059】
半導体基板10の上には、電界効果型トランジスタ13を覆うように層間絶縁膜14が堆積されており、該層間絶縁膜14には、下端が不純物拡散層11に接続されたタングステンよりなるコンタクトプラグ15が埋め込まれている。
【0060】
層間絶縁膜14の上には、コンタクトプラグ15の上端と接続された下部電極16が形成されており、該下部電極16は、上側から順に形成されたPt層(膜厚:50nm)、IrO2 層(膜厚:50nm)、Ir層(膜厚:100nm)及びTiAlN層(膜厚:40nm)により構成されている。
【0061】
層間絶縁膜14の上における下部電極16が形成されていない領域はシリコン酸化膜よりなるスペーサ17により覆われている。
【0062】
下部電極16の全面及びスペーサー17における下部電極16の周縁部の上には100nmの膜厚を持つ強誘電体膜よりなる容量絶縁膜18が形成され、該容量絶縁膜18の上にはPtよりなる上部電極19が形成されており、下部電極16、容量絶縁膜18及び上部電極19により容量素子20が構成されている。
【0063】
そして、電界効果型トランジスタ13がアクセス・トランジスタとなると共に、容量素子20がデータ蓄積容量素子となることによって、不揮発性メモリが構成される。
【0064】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る強誘電体容量素子について説明するが、第1の実施形態は、容量絶縁膜18を構成する強誘電体膜に特徴を有するので、以下においては、強誘電体膜の構成についてのみ説明する。
【0065】
第1の実施形態に係る強誘電体容量素子の容量絶縁膜18を構成する強誘電体膜は、図2に示す積層構造を有しており、複数の酸化ビスマス層21と、少なくとも1つの第1の層22及び少なくとも1つの第2の層23よりなる複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有している。
【0066】
複数の酸化ビスマス層21は、Bi22よりなり、図3に示すように、四角錐が繋がりながら平面的に拡がった構造を有しており、四角錐の頂点にはビスマス31が存在していると共に四角錐の底面の各頂点には酸素32が存在している。この構造は図16に示す構造と同じである。
【0067】
複数の擬ペロブスカイト層は、BO7/2(但し、Bは5価の金属である)で表わされる少なくとも1つの第1の層22と、(A1-xBi2x/3)B27(但し、Aは2価の金属であり、Bは5価の金属であり、0<x<1)で表わされる少なくとも1つの第2の層23とからなる。
【0068】
すなわち、酸化ビスマス層21同士の間に、m=2の擬ペロブスカイト層である第2の層23又はm=1の擬ペロブスカイト層である第1の層22のいずれかが存在している。そして、m=2の擬ペロブスカイト層である第2の層23の存在確率をδ(0<δ<1)とすると、m=1の擬ペロブスカイト層である第1の層22の存在確率は1−δとなる。
【0069】
第1の層22であるm=1の擬ペロブスカイト層は、例えば化学式TaO4 で表され、図4に示すように、タンタル33を中心とする酸素八面体の単層が2次元的に拡がる層状構造を有している。酸素八面体の中心であるBサイトにはタンタル33が存在していると共に、酸素八面体の各頂点に酸素32が存在している。尚、厳密に価数計算すると化学式はTaO7/2 となり、図4に示す構造を形成するためには酸素の数が不足する。不足する酸素の部分は空孔になる。
【0070】
第2の層23であるm=2の擬ペロブスカイト層は、例えば化学式(Sr1-xBi2x/3)Ta27で表され、図5に示すように、酸素八面体が縦に2つ重なって2次元的に拡がる層状構造を有している。酸素八面体の中心であるBサイトにはタンタル33が存在すると共に、酸素八面体の各頂点には酸素32が存在する。一方、酸素八面体で囲まれた空間であるAサイト35は、確率(1−x)でSrが占め、確率(2x/3)でBiが占め、確率(x/3)で空孔が占める。
【0071】
以上説明したように、第1の実施形態と第1の従来例とは、第2の層23であるm=2の擬ペロブスカイト層におけるAサイトの構成が異なる。
【0072】
尚、第2の層23であるm=2の擬ペロブスカイト層においては、Aサイト35は、Srに代えて、Ca又はBaが占めてもよいと共に、Sr、Ca及びBaが任意の比率で混在してもよい。また、Bサイトは、Taに代えて、Nb又はVであってもよいと共に、Ta、Nb及びVが任意の比率で混在してもよい。Bサイトには、通常、Ta1-yNby(0≦y≦1)がよく用いられる。
【0073】
第1の実施形態の第1の特徴は、通常型に比べて、低融点であるBiの割合が多くなっていることである。このため、強誘電体膜を形成したときにグレインサイズが大きくなるので、自発分極量を増大させることができる。
【0074】
第1の実施形態の第2の特徴は、組成ずれに対する寛容性が大きくなるので、析出物が生じにくいことである。
【0075】
以下、第1の実施形態によると、組成ずれに対する寛容性が大きくなる理由について、図10(a) 〜(c) を参照しながら説明する。尚、図10(a) 〜(c) は第1の実施形態に係る強誘電体膜のビスマス層状結晶構造を層に対して平行な方向から見たときの断面模式図である。また、図10(a) 〜(c) においては、酸素八面体を四角形で表わし、ビスマス酸化層を棒線で表わしている。また、ビスマス31、タンタル33及びストロンチウム34の数の比を、組成比と同じに合わせている。酸素は簡単化のため省略している。
【0076】
以下、ビスマスが1個過剰になった場合について説明する。
【0077】
図10(a) に示すように、1個のビスマス31aが過剰に存在すると、図10(b) に示すように、第2の層23を構成するm=2の擬ペロブスカイト層において、Aサイトの1個のビスマス31bと、Bサイトの2個のタンタル33aとが分解すると共に、酸化ビスマス層21において、2個のビスマス31cが分解する。
【0078】
次に、図10(c) に示すように、2個のタンタル33aにより、第1層22を構成するm=1の擬ペロブスカイト層が形成されると共に、4個のビスマス31a、31b、31cにより、酸化ビスマス層21が新たに形成される。このようにして、過剰のビスマス31aが層状構造中に吸収される。
【0079】
一方、ビスマスが不足した場合には、図10(c) の状態から、図10(b) に示す状態を経て、図10(a) に示す状態(但し、1個の過剰なビスマス31aが存在しない状態)が形成されるので、Aサイトの1個のビスマス31bが放出される。このようにして、ビスマスの不足分が補償される。
【0080】
従って、ビスマスの過剰又は不足な状態が発生してビスマスの組成ずれが起こっても、ビスマスの吸収又は放出の作用が行なわれるため、ビスマスの析出を抑制することができる。
【0081】
尚、ストロンチウム34が過剰になった場合は、Aサイトのビスマス31bがストロンチウム34に置換された後、図10(a) の状態から、図10(b) の状態を経て、図10(c) の状態に変化して、過剰なストロンチウム34が層状構造中に吸収される。つまり、過剰なストロンチウム34と、置換により得られたストロンチウム34とが第1の層22を形成する。一方、ストロンチウム34が不足した場合には、図10(c) の状態から、図10(b) の状態を経て、図10(a) の状態に変化した後、発生したビスマス31bがストロンチウム34に置換される。このようにして、ストロンチウム34の不足分が補償される。
【0082】
ところで、図10(a) 〜(c) を参照しながら説明した作用は、第1の実施形態に係る強誘電体膜の結晶構造が、AサイトBi置換型層状構造と、混合積層超格子型層状構造との両方の特徴を有するからである。例えば、AサイトBi置換型層状構造のみの場合に、ビスマスが不足すると、BiTaO4 の析出が生じやすい。また、混合積層超格子型層状構造のみの場合に、ビスマスが過剰になると、ビスマスの析出が生じやすい。
【0083】
これに対して、第1の実施形態によると、強誘電体膜を構成する、ビスマス、ストロンチウム又はタンタルが過剰又は不足になっても、層状構造が変化して過剰又は不足を補償するため、析出物が生じないので、リーク電流の増大又は耐圧の劣化が起こらない。
【0084】
第1の実施形態の効果を確認するため、実際に強誘電体容量素子を試作して評価を行なった。強誘電体膜の成膜法としては、有機金属熱分解法を用いた。尚、組成振りは、溶液への構成金属の仕込み量を変化させることにより行なった。また、熱処理は、急速加熱法を用いて800℃の温度下で1分間行なった。このように熱処理時間を短くすることにより、ビスマスの蒸発による組成ずれをなくすることができる。
【0085】
図11は、ビスマスの量及びストロンチウムの量と、残留分極量2Pr(μC/cm2 )との関係を示している。尚、図11においては、タンタル比を2に固定して、ビスマスの量及びストロンチウムの量を変化させている。図11において、領域Aは2Prが6〜8(μC/cm2 )である領域を示し、領域Bは2Prが8〜10(μC/cm2 )である領域を示し、領域Cは2Prが10〜12(μC/cm2 )である領域を示し、領域Dは2Prが12〜14(μC/cm2 )である領域を示している。
【0086】
図11から、ストロンチウムに対するビスマスの比を増大していくと、2Prが大きくなることが分かる。その理由の1つは、ビスマスは、ストロンチウムに比べて、融点が低いと共にグレインサイズが大きくなるからである。また、ストロンチウムに対するビスマスの比をより一層増大していくと、2Prが小さくなることが分かる。これは、強誘電体膜がc軸配向した結果である。
【0087】
図12は、ビスマスの量及びストロンチウムの量と、析出物が発生しない領域との関係を示している。尚、図12においては、タンタル比を2に固定して、ビスマスの量及びストロンチウムの量を変化させている。
【0088】
図12において、直線aよりも上側の領域Xは、第1の従来例の領域、つまりBi23が析出する領域であり、直線bよりも下側の領域Yは、第2の従来例の領域、つまりBiTaO4 が析出する領域である。従って、領域X及び領域Yは析出物が生じてリーク電流が増大し、耐圧が劣化する領域である。
【0089】
これに対して、直線aと直線bとの間の領域、つまり第1の実施形態の領域は、析出物が発生せず、リーク電流を抑制できる領域である。
【0090】
以下、第1の実施形態において、0<x<0.3及び0<δ<0.3を満たすことがより好ましい理由について、図11及び図12を参照しながら説明する。
【0091】
図11に示す結果つまり2Prができるだけ大きくなる領域であり且つ図12に示す結果つまりリーク電流が発生しない領域、つまり図11から好ましいと考えられる領域と図12から好ましいと考えられる領域とが重複し且つマージンを考慮した領域、つまり一点鎖線で示す領域Eが最も好ましい領域であると言える。
【0092】
図12において直線aと直線bとの交点は、第1の従来例を示す化学式である(Bi22)[δ(TaO4)・(1−δ)(SrTa27)]においてδ=0であると共に、第2の従来例を示す化学式である(Bi22)[(Sr1-xBi2x/3)Ta27]においてx=0である場合を意味する。すなわち、Sr=1で且つBi=2である点を意味する。
【0093】
図12において直線aと直線dとの交点は、第1の従来例を示す化学式である(Bi22)[δ(TaO4)・(1−δ)(SrTa27)]においてδ≒0.3である場合、すなわち、Sr=0.82で且つBi=2.35である点を意味する。
【0094】
図12において直線bと直線cとの交点は、第2の従来例を示す化学式である(Bi22)[(Sr1-xBi2x/3)Ta27]においてx=0.3である場合、すなわち、Sr=0.7で且つBi=2.2である点を意味する。
【0095】
以上の結果から、第1の実施形態において、0<x<0.3及び0<δ<0.3を満たす領域Zは、最も好ましい領域Eを規定すると言える。
【0096】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る強誘電体容量素子について説明するが、第2の実施形態も、容量素子20の容量絶縁膜18を構成する強誘電体膜に特徴を有するので、以下においては、強誘電体膜の構成についてのみ説明する。
【0097】
第1の実施形態に係る強誘電体容量素子の容量絶縁膜18を構成する強誘電体膜は、図2に示す積層構造を有しており、複数の酸化ビスマス層21と、少なくとも1つの第1の層22及び少なくとも1つの第2の層23よりなる複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有している。
【0098】
複数の酸化ビスマス層21は、Bi22よりなり、図3に示すように、四角錐が繋がりながら平面的に拡がった構造を有しており、四角錐の頂点にはビスマス31が存在していると共に四角錐の底面の各頂点には酸素32が存在している。この構造は、図16に示す構造と同じである。
【0099】
複数の擬ペロブスカイト層は、B17/2(但し、B1 は5価の金属である)で表わされる少なくとも1つの第1の層22と、(A1-xBix)(B1 2-x2 x7 )(但し、Aは2価の金属であり、B1 は5価の金属であり、B2 は4価の金属であり、0<x<1)で表わされる少なくとも1つの第2の層23とからなる。
【0100】
すなわち、酸化ビスマス層21同士の間に、m=2の擬ペロブスカイト層である第2の層23又はm=1の擬ペロブスカイト層である第1の層22のいずれかが存在している。そして、m=2の擬ペロブスカイト層である第2の層23の存在確率をδ(0<δ<1)とすると、m=1の擬ペロブスカイト層である第1の層22の存在確率は1−δとなる。
【0101】
第1の層22であるm=1の擬ペロブスカイト層は、例えば化学式TaO4 で表され、図4に示すように、タンタル33を中心とする酸素八面体の単層が2次元的に拡がる層状構造を有している。酸素八面体の中心であるBサイトにはタンタル33が存在していると共に、酸素八面体の各頂点に酸素32が存在している。尚、厳密に価数計算すると化学式はTaO7/2 となり、図4に示す構造を形成するためには酸素の数が不足する。不足する酸素の部分は空孔になる。第1の層22の構造は図19に示す構造と同じである。
【0102】
第2の層23であるm=2の擬ペロブスカイト層は、例えば化学式(Sr1-xBix)(Ta2-xTix)O7で表わされ、図5に示すように、酸素八面体が縦に2つ重なって2次元的に拡がる層状構造を有している。酸素八面体の中心であるBサイトは、確率((2−x)/2)でTaが占め、確率(x/2)でTiが占める。酸素八面体の各頂点には酸素32が存在する。一方、酸素八面体で囲まれた空間であるAサイト35は、確率(1−x)でSrが占め、確率(x)でBiが占める。ここで重要なのは、AサイトのBiとBサイトのTiとは同じ量だけ存在することである。
【0103】
尚、第2の層23であるm=2の擬ペロブスカイト層においては、Aサイト35は、Srに代えて、Ca又はBaが占めてもよいと共に、Sr、Ca及びBaが任意の比率で混在してもよい。また、Bサイトは、Taに代えて、Nb又はVであってもよいと共に、Ta、Nb及びVが任意の比率で混在してもよい。Bサイトには、通常、Ta1-yNby(0≦y≦1)がよく用いられる。また、Tiに代えて、Zr又はHfを用いてもよい。
【0104】
第2の実施形態の第1の特徴は、第1の実施形態と同様、通常型に比べて、低融点であるBiの割合が多くなっていることである。このため、強誘電体膜を形成したときにグレインサイズが大きくなるので、自発分極量を増大させることができる。
【0105】
第2の実施形態の第2の特徴は、組成ずれに対する寛容性が大きくなるので、析出物が生じにくいことである。その原理は第1の実施形態と同様である。
【0106】
第2の実施形態の第3の特徴は、第1の実施形態と異なり、第2の層23であるm=2の擬ペロブスカイト層のAサイトに空孔が発生しないことである。その理由は、Aサイトにおいて2価のSrを3価のBiで置換するのと同じ量だけ、Bサイトにおいて5価のTaが4価のTiに置換されているため、電荷中性則が保たれるので、空孔が発生しない。Aサイトに存在する空孔は、エンデュランス又はインプリント等の膜の信頼性を劣化させる要因となっているので、空孔の発生を抑制することにより信頼性を向上することができる。
【0107】
従って、第2の実施形態によると、リーク電流の増大、耐圧の劣化及び信頼性の低下を生じることなく、自発分極量を大きくすることができる。
【0108】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係る強誘電体容量素子について説明するが、第3の実施形態は、容量絶縁膜18を構成する強誘電体膜に特徴を有するので、以下においては、強誘電体膜の構成についてのみ説明する。
【0109】
第3の実施形態に係る強誘電体容量素子の容量絶縁膜18を構成する強誘電体膜は、図2に示す積層構造を有しており、複数の酸化ビスマス層21と、少なくとも1つの第1の層22及び少なくとも1つの第2の層23よりなる複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有している。
【0110】
複数の酸化ビスマス層21は、Bi22よりなり、図3に示すように、四角錐が繋がりながら平面的に拡がった構造を有しており、四角錐の頂点にはビスマス31が存在していると共に四角錐の底面の各頂点には酸素32が存在している。この構造は図16に示す構造と同じである。
【0111】
複数の擬ペロブスカイト層は、BO3 (但し、Bは4価の金属である)で表される少なくとも1つの第1の層22と、(A1-xBix2310(但し、Aは3価の金属であり、Bは4価の金属であり、xは0<x<1を満たす)で表される少なくとも1つの第2の層23とからなる。
【0112】
すなわち、酸化ビスマス層21同士の間に、m=3の擬ペロブスカイト層である第2の層23又はm=1の擬ペロブスカイト層である第1の層22のいずれかが存在している。そして、m=3のペロブスカイト層である第2の層23の存在確率をδ(0<δ<1)とすると、m=1のペロブスカイト層22である第1の層22の存在確率は1−δとなる。
【0113】
第1の層22であるm=1の擬ペロブスカイト層は、例えば化学式TiO4 で表され、図6に示すように、チタン36を中心とする酸素八面体の単層が2次元的に拡がる層状構造を有している。酸素八面体の中心であるBサイトにはチタン36が存在していると共に、酸素八面体の各頂点には酸素32が存在している。尚、厳密に価数計算すると化学式はTiO3 となり、図6に示す構造を形成するためには酸素の数が不足する。不足する酸素の部分は空孔になる。
【0114】
第2の層23であるm=3の擬ペロブスカイト層は、例えば化学式(La1-xBix2Ti310で表され、図7に示すように、酸素八面体が縦に3つ重なって2次元的に拡がる層状構造を有している。酸素八面体の中心であるBサイトにはチタン36が存在すると共に、酸素八面体の各頂点には酸素32が存在する。一方、酸素八面体で囲まれた空間であるAサイト35は、確率(1−x)でLaが占め、確率xでBiが占める。
【0115】
ところで、BiとLaとの割合を示すxとしては、0.5<x<0.75の範囲にあると、2Pr値が他の範囲に比べて大きいため好ましく、x≒0.625であると、2Pr値が極大になるため特に好ましい。
【0116】
尚、第2の層23であるm=3の擬ペロブスカイト層においては、Aサイト35は、Laに代えて、Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb又はLuのランタノイドであってもよいと共に、これらのランタノイドが任意の比率で混在していてもよい。また、Bサイトは、Tiに代えて、Zr又はHfであってもよいと共に、Ti,Zi及びHfが任意の比率で混在していてもよい。
【0117】
以下、第3の実施形態によると、組成ずれに対する寛容性が大きくなる理由について、図13(a) 〜(c) を参照しながら説明する。尚、図13(a) 〜(c) は第3の実施形態に係る強誘電体膜のビスマス層状結晶構造を層に対して平行な方向から見たときの断面模式図である。また、図13(a) 〜(c) においては、酸素八面体を四角形で表わし、ビスマス酸化層を棒線で表わしている。また、ビスマス31、チタン36及びランタン37の数の比を、組成比と同じに合わせている。酸素は簡単化のため省略している。
【0118】
以下、ビスマスが2個過剰になった場合について説明する。
【0119】
図13(a) に示すように、2個のビスマス31aが過剰に存在すると、図13(b) に示すように、第2の層23を構成するm=2の擬ペロブスカイト層において、Aサイトの2個のビスマス31b及びBサイトの3個のチタン36aが分解すると共に、酸化ビスマス層21において、2個のビスマス31cが分解する。
【0120】
次に、図13(c) に示すように、3個のチタン36aにより、第1層22を構成するm=1の擬ペロブスカイト層が形成されると共に、6個のビスマス31a、31b、31cにより、酸化ビスマス層21が新たに形成される。このようにして、2個の過剰のビスマス31aが層状構造中に吸収される。
【0121】
一方、ビスマスが不足した場合には、図13(c) の状態から、図13(b) に示す状態を経て、図13(a) に示す状態(但し、2個の過剰なビスマス31aが存在しない状態)が形成されるので、Aサイトの2個のビスマス31bが放出される。このようにして、ビスマスの不足分が補償される。
【0122】
従って、ビスマスの過剰又は不足な状態が発生してビスマスの組成ずれが起こっても、ビスマスの吸収又は放出の作用が行なわれるため、ビスマスの析出を抑制することができる。
【0123】
尚、ランタン37が過剰になった場合は、Aサイトのビスマス31bがランタン37に置換された後、図13(a) の状態から、図13(b) の状態を経て、図13(c) の状態に変化して、過剰なランタン37が層状構造中に吸収される。つまり、過剰なランタン37と、置換により得られたランタン37とが第1の層22を形成する。一方、ランタン37が不足した場合には、図13(c) の状態から、図13(b) の状態を経て、図13(a) の状態に変化した後、発生したビスマス31bがランタン37に置換される。このようにして、ランタン37の不足分が補償される。
【0124】
また、チタン36が過剰になるということは、ビスマス31又はランタン37の不足を意味し、チタン36が不足になるということは、ビスマス31又はランタン37の過剰を意味するので、前述の変化が起きて、チタン36の過剰又は不足が補償される。
【0125】
(第4の実施形態)
以下、第4の実施形態に係る強誘電体容量素子について説明するが、第4の実施形態は、容量絶縁膜18を構成する強誘電体膜に特徴を有するので、以下においては、強誘電体膜の構成についてのみ説明する。
【0126】
第4の実施形態に係る強誘電体容量素子の容量絶縁膜18を構成する強誘電体膜は、図2に示す積層構造を有しており、複数の酸化ビスマス層21と、少なくとも1つの第1の層22及び少なくとも1つの第2の層23よりなる複数の擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有している。
【0127】
複数の酸化ビスマス層21は、Bi22よりなり、図3に示すように、四角錐が繋がりながら平面的に拡がった構造を有しており、四角錐の頂点にはビスマス31が存在していると共に四角錐の底面の各頂点には酸素32が存在している。この構造は図16に示す構造と同じである。
【0128】
複数の擬ペロブスカイト層は(A1-xBix)B27(但し、Aは3価の金属であり、Bは4価の金属であり、xは0<x<1を満たす)で表される少なくとも1つの第1の層22と、(A1-xBix2310(但し、Aは3価の金属であり、Bは4価の金属であり、xは0<x<1を満たす)で表される少なくとも1つの第2の層23とからなる。
【0129】
すなわち、酸化ビスマス層21同士の間に、m=3の擬ペロブスカイト層である第2の層23又はm=2の擬ペロブスカイト層である第1の層22のいずれかが存在している。そして、m=3のペロブスカイト層である第2の層23の存在確率をδ(0<δ<1)とすると、m=2のペロブスカイト層である第1の層22の存在確率は1−δとなる。
【0130】
第1の層22であるm=2の擬ペロブスカイト層は、例えば化学式(La1-xBix)Ti27 で表され、図8に示すように、チタン36を中心とする酸素八面体が縦に2つ重なって2次元的に拡がる層状構造を有している。酸素八面体の中心であるBサイトにはチタン36が存在すると共に、酸素八面体の各頂点には酸素32が存在する。一方、酸素八面体で囲まれた空間であるAサイト35には、確率(1−x)でLaが占め、確率xでBiが占める。
【0131】
第2の層23であるm=3の擬ペロブスカイト層は、例えば化学式(La1-xBix2Ti310 で表され、図9に示すように、チタン36を中心とする酸素八面体が縦に3つ重なって2次元的に拡がる層状構造を有している。酸素八面体の中心であるBサイトにはチタン36が存在すると共に、酸素八面体の各頂点には酸素32が存在する。一方、酸素八面体で囲まれた空間であるAサイト35には、確率(1−x)でLaが占め、確率xでBiが占める。
【0132】
ところで、BiとLaとの割合を示すxとしては、0.5<x<0.75の範囲にあると、2Pr値が他の範囲と比べて大きくなるため好ましく、x≒0.625であると、2Pr値が極大になるため特に好ましい。
【0133】
尚、第2の層23であるm=3の擬ペロブスカイト層においては、Aサイト35は、Laに代えて、Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb又はLuのランタノイドであってもよいと共に、これらのランタノイドが任意の比率で混在していてもよい。また、Bサイトは、Tiに代えて、Zr又はHfであってもよいと共に、Ti,Zi及びHfが任意の比率で混在していてもよい。
【0134】
以下、第4の実施形態によると、組成ずれに対する寛容性が大きくなる理由について、図14(a) 〜(c) を参照しながら説明する。尚、図14(a) 〜(c) は第4の実施形態に係る強誘電体膜のビスマス層状結晶構造を層に対して平行な方向から見たときの断面模式図である。また、図14(a) 〜(c) においては、酸素八面体を四角形で表わし、ビスマス酸化層を棒線で表わしている。また、ビスマス31、チタン36及びランタン37の数の比を、組成比と同じに合わせている。酸素は簡単化のため省略している。
【0135】
以下、ビスマスが1個過剰になった場合について説明する。
【0136】
図14(a) に示すように、1個のビスマス31aが過剰に存在すると、図14(b) に示すように、第2の層23を構成するm=2の擬ペロブスカイト層において、Aサイトの3個のビスマス31b及び1個のランタン37aと、Bサイトの6個のチタン36aとが分解すると共に、酸化ビスマス層21において、4個のビスマス31cが分解する。
【0137】
次に、図14(c) に示すように、6個のチタン36a、2個のビスマス31b及び1個のランタン37aにより、第1層22を構成するm=2の擬ペロブスカイト層が形成されると共に、6個のビスマス31a、31b、31cにより、酸化ビスマス層21が新たに形成される。このようにして、1個の過剰のビスマス31aが層状構造中に吸収される。
【0138】
一方、ビスマスが不足した場合には、図14(c) の状態から、図14(b) に示す状態を経て、図14(a) に示す状態(但し、1個の過剰なビスマス31aが存在しない状態)が形成されるので、Aサイトの2個のビスマス31bが放出される。このようにして、ビスマスの不足分が補償される。
【0139】
従って、ビスマスの過剰又は不足な状態が発生してビスマスの組成ずれが起こっても、ビスマスの吸収又は放出の作用が行なわれるため、ビスマスの析出を抑制することができる。
【0140】
尚、ランタン37が過剰になった場合は、Aサイトのビスマス31bがランタン37に置換された後、図14(a) の状態から、図14(b) の状態を経て、図14(c) の状態に変化して、過剰なランタン37が層状構造中に吸収される。つまり、過剰なランタン37と、置換により得られたランタン37とが第1の層22を形成する。一方、ランタン37が不足した場合には、図14(c) の状態から、図14(b) の状態を経て、図14(a) の状態に変化した後、発生したビスマス31bがランタン37に置換される。このようにして、ランタン37の不足分が補償される。
【0141】
また、チタン36が過剰になるということは、ビスマス31又はランタン37の不足を意味し、チタン36が不足になるということは、ビスマス31又はランタン37の過剰を意味するので、前述の変化が起きて、チタン36の過剰又は不足が補償される。
【0142】
【発明の効果】
本発明に係る第1〜第6の強誘電体容量素子によると、容量絶縁膜として、析出物が生じないビスマス層状構造を有する強誘電体膜を得ることができるので、強誘電体容量素子のリーク電流の増加又は耐圧の低下による不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態に係る強誘電体容量素子の断面図である。
【図2】本発明の各実施形態に係る強誘電体容量素子を構成する強誘電体膜の積層構造を示す断面図である。
【図3】第1〜第4の実施形態に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成する酸化ビスマス層の結晶構造を示す模式図である。
【図4】第1又は第2の実施形態に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成する擬ペロブスカイト層の第1の層の結晶構造を示す模式図である。
【図5】第1又は第2の実施形態に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成する擬ペロブスカイト層の第2の層の結晶構造を示す模式図である。
【図6】第3の実施形態に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成する擬ペロブスカイト層の第1の層の結晶構造を示す模式図である。
【図7】第3の実施形態に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成する擬ペロブスカイト層の第2の層の結晶構造を示す模式図である。
【図8】第4の実施形態に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成する擬ペロブスカイト層の第1の層の結晶構造を示す模式図である。
【図9】第4の実施形態に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成する擬ペロブスカイト層の第2の層の結晶構造を示す模式図である。
【図10】 (a) 〜(c) は第1の実施形態に係る強誘電体容量素子が、組成ずれに対する寛容性が大きくなる理由を説明する模式図である。
【図11】第1の実施形態に係る強誘電体容量素子における、ビスマスの量及びストロンチウムの量と、残留分極量との関係を示す図である。
【図12】第1の実施形態に係る強誘電体容量素子におけるビスマスの量及びストロンチウムの量と、析出物が発生しない領域との関係を示す図である。
【図13】 (a) 〜(c) は第3の実施形態に係る強誘電体容量素子が、組成ずれに対する寛容性が大きくなる理由を説明する模式図である。
【図14】 (a) 〜(c) は第4の実施形態に係る強誘電体容量素子が、組成ずれに対する寛容性が大きくなる理由を説明する模式図である。
【図15】第1及び第2の従来例に係る強誘電体容量素子を構成する強誘電体膜の前提となるビスマス層状構造を示す断面図である。
【図16】第1及び第2の従来例に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成する酸化ビスマス層の結晶構造を示す模式図である。
【図17】第1の従来例に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成するm=2の擬ペロブスカイト層の結晶構造を示す模式図である。
【図18】第1の従来例に係る強誘電体容量素子を構成する強誘電体膜の積層構造を示す断面図である。
【図19】第1の従来例に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成するm=1の擬ペロブスカイト層の結晶構造を示す模式図である。
【図20】第2の従来例に係る強誘電体容量素子の強誘電体膜を構成するm=2の擬ペロブスカイト層の結晶構造を示す模式図である。
【符号の説明】
10 半導体基板
11 不純物拡散層
12 ゲート電極
13 電界効果型トランジスタ
14 層間絶縁膜
15 コンタクトプラグ
16 下部電極
17 スペーサー
18 容量絶縁膜
19 上部電極
20 容量素子
21 酸化ビスマス層
22 第1の層
23 第2の層
31、31a、31b、31c ビスマス
32 酸素
33、33a タンタル
34 ストロンチウム
35 Aサイト
36、36a チタン
37 ランタン

Claims (14)

  1. 下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子において、
    前記強誘電体膜は、酸化ビスマス層と擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、
    前記酸化ビスマス層は、Bi22よりなり、
    前記擬ペロブスカイト層は、Am-1m3m+α(但し、Aは1価、2価又は3価の金属であり、Bは4価、5価又は6価の金属であり、mは1以上の整数であり、mが2以上の整数の場合にはAのうちの少なくとも1つはBiであり、αは0≦α≦1を満たす。)よりなる一般式(1) で表され
    前記ビスマス層状構造は、mの値が異なる2種類以上の前記擬ぺロブスカイトを備え、前記酸化ビスマス層の間には、前記2種類以上の前記擬ぺロブスカイト層のうちのいずれか1つが存在することを特徴とする強誘電体容量素子。
  2. 下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子において、
    前記強誘電体膜は、酸化ビスマス層と擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、
    前記酸化ビスマス層は、Bi22よりなり、
    前記擬ペロブスカイト層は、BO3+α (但し、Bは4価、5価又は6価の金属であり、αは0≦α≦1を満たす。)よりなる一般式(2) で表わされる第1の層又はm-1m3m+1(但し、Aは1価、2価又は3価の金属であり、mは2以上の整数であり、Aのうちの少なくとも1つはBiである。)よりなる一般式(3) で表される第2の層からなり、
    前記ビスマス層状構造は、少なくとも1つの前記第1の層及び前記第2の層を備え、前記酸化ビスマス層の間には、前記第1の層及び前記第2の層のいずれか一方が存在することを特徴とする強誘電体容量素子。
  3. 下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子において、
    前記強誘電体膜は、酸化ビスマス層と擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、
    前記酸化ビスマス層は、Bi22よりなり、
    前記擬ペロブスカイト層は、BO7/2(但し、Bは5価の金属である。)よりなる一般式(4) で表わされる第1の層又は(A1-xBi2x/3)B27(但し、Aは2価の金属であり、Bは5価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)よりなる一般式(5) で表わされる第2の層からなり、
    前記ビスマス層状構造は、少なくとも1つの前記第1の層及び前記第2の層を備え、前記酸化ビスマス層の間には、前記第1の層及び前記第2の層のいずれか一方が存在することを特徴とする強誘電体容量素子。
  4. 前記一般式(4) 及び前記一般式(5) において、AはSrであり、BはTa1-yby(但し、0≦y≦1)であることを特徴とする請求項3に記載の強誘電体容量素子。
  5. 複数の前記擬ペロブスカイト層において前記第1の層が占める割合は、0よりも大きく且つ0.3よりも小さく、
    前記一般式(5) において、xは0<x<0.3を満たすことを特徴とする請求項3に記載の強誘電体容量素子。
  6. 下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子において、
    前記強誘電体膜は、酸化ビスマス層と擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、
    前記酸化ビスマス層は、Bi22よりなり、
    前記擬ペロブスカイト層は、B17/2(但し、B1 は5価の金属である。)よりなる一般式(6) で表わされる第1の層又は(A1-xBix)(B1 2-x2 x7 )(但し、Aは2価の金属であり、B1 は5価の金属であり、B2 は4価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)よりなる一般式(7) で表わされる第2の層からなり、
    前記ビスマス層状構造は、少なくとも1つの前記第1の層及び前記第2の層を備え、前記酸化ビスマス層の間には、前記第1の層及び前記第2の層のいずれか一方が存在することを特徴とする強誘電体容量素子。
  7. 前記一般式(6) 及び前記一般式(7) において、AはSrであり、B1 はTa1-yNby(但し、0≦y≦1)であり、B2 はTiであることを特徴とする請求項6に記載の強誘電体容量素子。
  8. 複数の前記擬ペロブスカイト層において前記第1の層が占める割合は、0よりも大きく且つ0.3よりも小さく、
    前記一般式(7) において、xは0<x<0.3を満たすことを特徴とする請求項6に記載の強誘電体容量素子。
  9. 下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子において、
    前記強誘電体膜は、酸化ビスマス層と擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、
    前記酸化ビスマス層は、Bi22よりなり、
    前記擬ペロブスカイト層は、BO3 (但し、Bは4価の金属である。)よりなる一般式(8) で表わされる第1の層又は(A1-xBix2310(但し、Aは3価の金属であり、Bは4価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)よりなる一般式(9) で表わされる2の層からなり、
    前記ビスマス層状構造は、少なくとも1つの前記第1の層及び前記第2の層を備え、前記酸化ビスマス層の間には、前記第1の層及び前記第2の層のいずれか一方が存在することを特徴とする強誘電体容量素子。
  10. 前記一般式(8) 及び前記一般式(9) において、Aは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのランタノイドであり、BはTiであることを特徴とする請求項9に記載の強誘電体容量素子。
  11. 複数の前記擬ペロブスカイト層において前記第1の層が占める割合は、0よりも大きく且つ0.3よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の強誘電体容量素子。
  12. 下部電極、強誘電体膜よりなる容量絶縁膜及び上部電極を備えた強誘電体容量素子において、
    前記強誘電体膜は、酸化ビスマス層と擬ペロブスカイト層とが交互に積層されたビスマス層状構造を有し、
    前記酸化ビスマス層は、Bi22よりなり、
    前記擬ペロブスカイト層は、(A1-xBix)B27(但し、Aは3価の金属であり、Bは4価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)の一般式(10)で表わされる第1の層又は(A1-xBix2310(但し、Aは3価の金属であり、Bは4価の金属であり、xは0<x<1を満たす。)の一般式(11)で表わされる第2の層からなり、
    前記ビスマス層状構造は、少なくとも1つの前記第1の層及び前記第2の層を備え、前記酸化ビスマス層の間には、前記第1の層及び前記第2の層のいずれか一方が存在することを特徴とする強誘電体容量素子。
  13. 前記一般式(10)及び前記一般式(11)において、Aは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのランタノイドであり、BはTiであることを特徴とする請求項12に記載の強誘電体容量素子。
  14. 複数の前記擬ペロブスカイト層において前記第1の層が占める割合は、0よりも大きく且つ0.3よりも小さいことを特徴とする請求項12に記載の強誘電体容量素子。
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