JP3683148B2 - コンバインの脱穀装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、扱室の一部を形成するとともに扱胴を支持する上部構造体が、扱室の他部を形成する構造体に上昇開き位置と下降閉じ位置とに上下揺動自在に連結しているコンバインの脱穀装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記脱穀装置は、扱室や扱胴を清掃するとか点検するなどの際、上部構造体を上昇揺動させることによって、扱室を開けられるものである。
この種の脱穀装置において、従来、たとえば特開平11−275934号公報に示されるように、上部構造体を開き操作する補助力を与えるガススプリングが備えられ、上部構造体を軽く上昇操作できるように配慮されたものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来、ガススプリングは補助力を発揮するものであることから、扱室を開閉するには、上部構造体を開閉するための人為操作力が必要になっていた。殊に大型機種の場合、扱室を十分に開けるには上部構造体を高く持ち上げる必要があり、開閉しにくくなっていた。
本発明の目的は、扱室を開けるときに扱胴が停止している状態を得やすくしながら扱室をより楽に開閉できるコンバインの脱穀装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0005】
〔構成〕
請求項1による発明は、扱室の一部を形成するとともに扱胴を支持する上部構造体が、扱室の他部を形成する構造体に上昇開き位置と下降閉じ位置とに上下揺動自在に連結しているコンバインの脱穀装置において、
前記上部構造体を下降閉じ位置でロックするロック機構とこのロック機構によるロックが解除された状態で前記上部構造体を開閉操作する駆動機構を備え、この駆動機構に前記上部構造体が下降閉じ位置に操作された状態において該下降閉じ位置から設定開き位置まで揺動可能な融通を設けてある。
【0006】
〔作用〕
ロック機構によるロックを解除した状態で駆動機構を作動させる操作を行うと、駆動機構が上部構造体を開閉操作して扱室を開閉する。
前記上部構造体は、下降閉じ位置でのロックを解除することにより、駆動機構を作動させなくても上部構造体を下降閉じ位置から設定開き位置まで上昇させることができる。
【0007】
〔効果〕
ロック機構によるロックを解除した状態で駆動機構を作動させる操作を行うだけで楽に上部構造体を揺動させて扱室を開閉できる。
【0008】
下降閉じ位置でロックされた上部構造体のロックを解除することで、駆動機構を作動させなくても上部構造体を下降閉じ位置から設定開き位置まで上昇させることができる。
【0009】
請求項2による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0010】
〔構成〕
請求項2による発明は、請求項1の発明の構成において、前記上部構造体を下降閉じ位置から上昇開き位置に向けて上昇付勢してある。
【0011】
〔作用〕
前記上部構造体は上昇開き位置に向けて上昇付勢されているとともに、駆動機構は上部構造体が下降閉じ位置から設定開き位置まで揺動できる融通を持って上部構造体に連動させてあるので、下降閉じ位置でロックされた上部構造体のロックを解除することにより、駆動機構を作動させなくても上部構造体を下降閉じ位置から設定開き位置まで上昇させることができる。
【0012】
〔効果〕
ロック機構によるロックを解除した状態で駆動機構を作動させる操作を行うだけで楽に上部構造体を揺動させて扱室を開閉できる。
【0013】
上部構造体は上昇開き位置に向けて上昇付勢された状態で、前記融通により下降閉じ位置から設定開き位置まで揺動させることができるので、下降閉じ位置でロックされた上部構造体のロックを解除することで、駆動機構を作動させなくても上部構造体を上昇開き位置に向けて上昇付勢さながら下降閉じ位置から設定開き位置まで上昇させることができる。
【0014】
請求項3による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0015】
〔構成〕
請求項3による発明は、請求項1または2の発明の構成において、前記駆動機構が、前記上部構造体を開閉操作する油圧シリンダと、この油圧シリンダを駆動する油圧ポンプと、この油圧ポンプを駆動する電動モータとで構成されている。
【0016】
〔作用〕
電動モータの回動力を油圧に変換して上部構造体を開閉操作するものだから、電動モータの回動力のみで開閉操作するに比し、大型の上部構造体の場合でも、小型のモータを採用しながら、かつ、減速機構を採用するよりも軽小化しながら上部構造体を開閉操作させられる。
【0017】
〔効果〕
電動モータを採用しながらも、モータおよび駆動機構全体の軽小化を図って安価に、コンパクトかつ軽量に得られる。
【0018】
請求項4による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0019】
〔構成〕
請求項4による発明は、請求項1〜3のいずれかの発明の構成において、前記扱胴に伝動するエンジンが停止状態にあれば前記駆動機構による上部構造体の開き操作を許容し、前記エンジンが回転状態にあれば前記駆動機構による上部構造体の開き操作を不能にする開き牽制手段を備えている。
【0020】
〔作用〕
上部構造体を開くべく操作しても、エンジンが回転しておれば牽制手段が駆動機構による開き操作を不能にして上部構造体が開かず、エンジンが停止しておれば牽制手段が駆動機構による開き操作を可能にして上部構造体が開き、上部構造体を開けられる場合にはエンジンが停止している。
【0021】
〔効果〕
扱室を開ける際、エンジンが停止しており、扱胴に伝動する脱穀クラッチが入りになっていても扱胴が停止した状態にして開けられる。
【0022】
請求項5による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0023】
〔構成〕
請求項5による発明は、請求項1〜3のいずれかの発明の構成において、前記扱胴に対する伝動を入り切りする脱穀クラッチが切り状態にあれば前記駆動機構による上部構造体の開き操作を許容し、前記脱穀クラッチが入り状態にあれば前記駆動機構による上部構造体の開き操作を不能にする開き牽制手段を備えている。
【0024】
〔作用〕
上部構造体を開くべく操作しても、脱穀クラッチが入りになっておれば牽制手段が駆動機構による開き操作を不能にして上部構造体が開かず、脱穀クラッチが切りになっておれば牽制手段が駆動機構による開き操作を可能にして上部構造体が開き、上部構造体を開けられる場合には脱穀クラッチが切りになっている。
【0025】
〔効果〕
扱室を開ける際、脱穀クラッチが切りになっており、エンジンが回転していても扱胴が停止した状態にして開けられる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1、図2に示すように、クローラ式走行装置1、運転座席2を有する運転部、運転座席2の下方に位置するエンジン3を備える走行機体の前部に、刈取り部4をシリンダ5によって昇降操作するように連結し、この刈取り部4において、稲、麦などの植立穀稈を引き起こし装置4aによって引き起こし処理するとともに刈り取り装置4bによって刈り取り、刈取り穀稈を搬送装置4cによって機体後方に搬送し、走行機体において、前記搬送装置4cからの刈取り穀稈を脱穀装置10の脱穀フィードチェーン11に受け入れて脱穀処理し、脱穀装置10からの脱穀粒を穀粒タンク6に搬送して貯溜するように、かつ、穀粒タンク6の後部に下端側が接続している縦スクリューコンベア7aと、この縦スクリューコンベア7aの上端部に基端側が接続している横スクリューコンベア7bとで成る穀粒搬出装置7によって穀粒タンク6から脱穀粒を搬出するように、コンバインを構成してある。
【0027】
図3、図4などに示すように、脱穀装置10の扱室12や扱胴13を備える脱穀部を構成する構造体は、扱室12の穀稈供給口12a、扱き口12b、排ワラ排出口12c、前側板の扱胴支軸13aが連結している部分に対して扱き口12bとは反対側に位置する分割線、後側板の扱胴支軸13aが連結している部分に対して扱き口12bとは反対側に位置する分割線L2、天板の横端部に位置する分割線L3で上部構造体10aとその他の主構造体10bとに分割して別々の構造体に作成したその上部構造体10aと、主構造体10bとを、上部構造体10aの前側板部14および後側板部15の扱き口側とは反対側の角部から延出するアーム形の連結部材16と、主構造体10bの前側板部14bと後側板部15bとによって扱胴支軸13aに平行な状態で支持されているとともに前記両連結部材16が回動自在に連結している支軸17とによって連結することによって作成してある。すなわち、扱室12の上部を形成するとともに扱胴13を回動自在に支持する上部構造体10aを、前記支軸17の軸芯であって、扱胴13の回動軸芯に平行な軸芯17aのまわりで主構造体10bに対して上下に揺動させることによって扱室12を開けたり閉じたりできる開閉自在な構造体に作成してある。
【0028】
上部構造体10aと主構造体10bの前側板部14a,14bどうしにわたって、かつ、上部構造体10aと主構造体10bの後側板部15a,15bどうしにわたってそれぞれガススプリング18を取り付け、主構造体10bの後側板部15bの外面側に油圧シリンダ21を備える駆動機構20を取り付けてある。
【0029】
前記前後側の両ガススプリング18は、上部構造体10aの前側板部14aや後側板部15aに連結しているシリンダチューブと、主構造体10bの前側板部14bや後側板部15bに連結しているシリンダロッドと、このシリンダロッドをシリンダチューブから突出する側に付勢することによってガススプリング18を伸長側に付勢するようにシリダチューブに充填してあるガスとを備えており、上部構造体10aを図5に示す上昇開き位置に上昇付勢している。
【0030】
図7などに示すように、前記駆動機構20は、前記支軸17の連結部材16、および後側板部15bから後方側に突出する端部に取付け孔によって回動自在に外嵌する板部材で成ることによって上部構造体10aが主構造体10bに対して上下揺動する軸芯17aと同一の軸芯まわりで主構造体10bに揺動自在に支持されている開閉操作体22と、この開閉操作体22の遊端側にシリンダロッドが連結し、主構造体10bの後側板部15bにシリンダチューブが連結している前記油圧シリンダ21と、この油圧シリンダ21のシリンダチューブに連結して支持されている油圧ポンプ23や電動モータ24、リリーフ弁などを備えている油圧ユニットとによって構成してあり、電動モータ24に電力供給されることによって作動して上部構造体10aを開閉操作する。
【0031】
すなわち、開閉操作体22が備える長孔22aに、前記連結部材16のピン体で成る受動部16aが摺動自在入り込んでいるとともに、上部構造体10aがこれと主構造体10bとの前側板部14a,14bどうしや後側板部15a,15bどうしが当たる作業用の下降閉じ位置にある際、長孔22aと受動部16aとが、図8(イ)に示す位置関係にある。これにより、電動モータ24を上昇側に駆動すると、この電動モータ24が油圧ポンプ23を上昇側に駆動し、この油圧ポンプ23によって圧油を供給されて駆動される油圧シリンダ21が伸長側に作動して開閉操作体22を上昇側に揺動操作する。すると、図8(ロ)に示すように、開閉操作体22が長孔22aの一端側で受動部16aを押し上げて連結部材16を上昇側に揺動操作することにより、油圧シリンダ21が上部構造体10aを上昇操作する。図8(ロ)に示す如く開閉操作体22が上昇限界に到達すると、上部構造体10aが上昇限界になって扱室12を図5の如く開く上昇開き位置になる。
この状態から電動モータ24を下降側に駆動すると、電動モータ24が油圧ポンプ23を下降側に駆動し、この油圧ポンプ23によって圧油供給されて駆動される油圧シリンダ21が短縮側に作動して開閉操作体22を下降側に揺動操作する。すると、図8(ハ)に示すように、開閉操作体22が長孔22aの他端側で受動部16aを引き下げて連結部材16を下降側に揺動操作することにより、油圧シリンダ21が上部構造体10aを下降操作する。図8(ニ)に示すように、油圧シリンダ21がストロークエンドまで短縮して開閉操作体22が下降ストロークエンドに到達しても、連結部材16は前後のガススプリング18によって支持されていて下降ストロークエンドには到達せず、上部構造体10aは前記下降閉じ位置の設定ストローク手前の図6の如き開き位置に在る。この後は、上部構造体10aを人為的にガススプリング18に抗して下降操作することにより、開閉操作部材22をストロークエンドに位置させたままにしながら連結部材16が下降して上部構造体10aが作業用の下降閉じ位置になることを長孔22aによって可能にしている。
【0032】
これにより、駆動機構20は、融通の一例としての前記長孔22aを持って上部構造体10aに連動しており、上部構造体10aを開き操作する際には、前後のガススプリング18が発揮する上昇付勢力を上昇操作の補助力としながら、作業用の下降閉じ位置から上昇限界の上昇開き位置まで開き操作し、閉じ操作する際には、長孔22aの作用により、上昇開き位置から下降閉じ位置の設定ストローク手前の開き位置まで閉じ操作し、この開き位置から下降閉じ位置まで人為操作によって閉じ操作するようにしている。前記設定ストロークとしては、扱室12の内部を外部から見ることができる程度に上部構造体10aが開く程度のものを設定してある。
【0033】
図7に示すように、前記駆動機構20の油圧シリンダ21は、シリンダロッドの端部の取り付け孔に入り込むように形成して開閉操作体22に備えさせた支持ピン25と、シリンダチューブの取り付け孔に入り込むように形成して主構造体10bの後側板15bに備えさせた支持ピン26と、各支持ピン25,26にシリンダロッドやシリンダチューブの抜け止めを行うように取り付けた着脱自在な抜け止めピン27とによって取り付けてある。すなわち、抜け止めピン27を取り外すだけで簡単に駆動機構20を取り外せる。
【0034】
図4などに示すように、上部構造体10aの前側板部14aと後側板部15aそれぞれの外面側に中間部が連結軸31aによって回動自在に連結していることによって、上部構造体10aに連結軸31aの軸芯まわりで揺動自在に支持されているロック杆31と、一方のロック杆31と上部構造体10aとにわたって取り付けてあるロックばね32と、主構造体10bの前側板部14bや後側板部15bの外面側に固設してあるロックピン33とにより、上部構造体10aを作業用の前記下降閉じ位置にロックするロック機構30を構成してある。
【0035】
すなわち、上部構造体10aを作業用の下降閉じ位置にすると、脱穀装置10の横外側で前後のロック杆31,31の遊端部どうしをハンドル杆34によって連結してあって前後のロック杆31が連動していることと、前記ロックばね32がロック杆31をロック側に揺動付勢していることにより、各ロック杆31の先端部に備えてあるフック部31bが前記ロックピン33に係合するとともにこの係合状態を維持し、上部構造体10aを下降閉じ位置から開かないように主構造体10bにロックする。前記ハンドル杆34によって両ロック杆31をロックばね32に抗して揺動操作することにより、各ロック杆31のフック部31bがロックピン33から外れ、上部構造体10aの閉じロックを解除できる。
【0036】
図9に示すように、駆動機構20の前記電動モータ24の駆動回路部に連係している制御機構40に、開閉スイッチ41、限界センサー42、エンジンセンサー43、穀粒搬出装置7の位置を検出する位置センサー44のそれぞれを連係させてある。
【0037】
開閉スイッチ41は、上昇操作部41aと下降操作部41bとを備えており、上昇操作部41aを押し操作すると、上部構造体10aを上昇させるべき指令としての電気信号を制御機構40に出力し、下降操作部41bを押し操作すると、上部構造体10aを下降させるべき指令としての電気信号を制御機構40に出力する。
【0038】
限界センサー42は、前記開閉操作体22が上部構造体10aに対して揺動すると、これに連動して操作部が回転するポテンショメータで成り、上部構造体10aが駆動機構20による上昇操作の限界に達したことや、駆動機構20による下降操作の限界に達したことを開閉操作体22の主構造体10bに対する揺動位置に基づいて検出し、この検出結果を電気信号にして制御機構40に出力する。
【0039】
エンジンセンサー43は、扱胴13に動力伝達する前記エンジン3が回転しているか否かをエンジン操作スイッチが駆動位置にあるか否によって、あるいは、エンジン出力軸が回動しているか否かによって検出し、この検出結果を電気信号にして制御機構40に出力する。
【0040】
位置センサー44は、穀粒搬出装置7の横スクリューコンベア7bが縦スクリューコンベア7aに対して旋回すると、これに連動して操作部が回転する旋回用のポテンショメータ44aと、横スクリューコンベア7bが縦スクリューコンベア7aに対して上下に起伏揺動すると、これに連動して操作部か回転する起伏用のポテンショメータ44bとで成り、旋回用のポテンショメータ44aによって横スクリューコンベア7bの旋回位置を検出し、起伏用のポテンショメータ44aによって横スクリューコンベア7bの起伏位置を検出し、これらの検出結果を基にして、横スクリューコンベア7bが上部構造体10aの上昇範囲に存在するか否かを判断させるべく旋回位置と起伏位置の検出結果を電気信号にして制御機構40に出力する。
【0041】
制御機構40は、マイクロコンピュータで成っていて、記憶部に予め記憶させた開閉プログラムで成る開閉制御手段45と、記憶部に予め記憶させた牽制プログラムで成る開き牽制手段46とを備えており、この開閉制御手段45および開き牽制手段46は、開閉スイッチ41、限界センサー42、エンジンセンサー43、位置センサー44からの情報に基づいて次の如く作動するように構成してある。
【0042】
すなわち、開閉スイッチ41が上昇指令を出力すると、開閉制御手段45は、モータ24の駆動回路部にモータ24を上昇側に駆動させるべき信号を出力することにより、上昇操作部41aが押し操作されている間だけ駆動機構20を開き側に駆動させる。これに伴って上部構造体10aが上昇限界の上昇開き位置になってこれを限界センサー42が検出すると、開閉制御手段45は、上昇操作部41aが押し操作されたままになっていても、開閉スイッチ41からの情報に優先して限界センサー42からの情報に基づいて開閉制御手段45によってモータ24の駆動回路部にモータ24を停止させるべき信号を出力し、駆動機構20の駆動を停止させる。
開閉スイッチ41が下降指令を出力すると、開閉制御手段45は、モータ24の駆動回路部にモータ24を下降側に駆動させるべき信号を出力することにより、下降操作部41bが押し操作されている間だけ駆動機構20を閉じ側に駆動させる。これに伴って上部構造体10aが駆動機構20による下降操作限界の前記開き位置に到達してこれを限界センサー42が検出すると、開閉制御手段45は、下降操作部41bが押し操作されたままになっていても、開閉スイッチ41からの情報に優先して限界センサー42からの情報に基づいて開閉制御手段45によってモータ24の駆動回路部にモータ24を停止させるべき信号を出力し、駆動機構20の駆動を停止させる。
【0043】
エンジンセンサー43からの情報によってエンジン3が回転状態にあると判断するか、位置センサー44からの情報によって横スクリューコンベア7bが上部構造体10aの上昇範囲に位置していると判断するかのいずれかの場合、開き牽制手段46は牽制作用し、開閉制御手段45によるモータ24の上昇側の駆動操作を停止させることにより、開閉スイッチ41から上昇指令を出力されても駆動機構20が上部構造体10aを開き操作することを不能する。エンジンセンサー43からの情報によってエンジン3が回転停止の状態にあると判断し、かつ、位置センサー44からの情報によって横スクリューコンベア7bが上部構造体10aの上昇範囲に位置していないと判断した場合、開き牽制手段46は牽制作用を解除し、開閉制御手段45によるモータ24の上昇側の駆動操作を可能にすることにより、開閉スイッチ41から上昇指令が出力されて駆動機構20が上部構造体10aを開き操作することを許容する。
【0044】
つまり、扱室12を清掃したり、点検や修理するとかの際、ロック機構30のハンドル杆34を揺動操作してロック機構30をロック解除側に操作し、開閉スイッチ41の上昇操作部41aを押し操作する。このとき、エンジン3が停止しており、かつ、穀粒搬出装置7の横スクリューコンベア7bが上部構造体10aの上昇範囲にはなくて上部構造体10aが上昇しても横スクリューコンベア7bに当たらない場合には、開き牽制手段46が牽制作用を解除して駆動機構20による上部構造体10aの上昇操作を許容し、駆動機構20が開閉制御手段45によって上昇側に駆動されて上部構造体10aを開き操作する。上昇操作部41aの押し操作を途中で止めると、その時点で駆動機構20が開閉制御手段45によって停止操作されて上部構造体10aが上昇限界の上昇開き位置までの途中の開き位置で停止し、扱室12が中間の開き状態になる。上昇操作部41aを最後まで押し続けるとか、再度押し操作して駆動機構20が自動的に停止すると、上部構造体10aが上昇限界の上昇開き位置まで開き操作され、扱室12が全開の開き状態になる。
【0045】
開閉スイッチ41の上昇操作部41aを押し操作しても、エンジン3が回転しているか、穀粒搬出装置7の横スクリューコンベア7bが上部構造体10aの上昇範囲に位置していて上部構造体10aが上昇すると横スクリューコンベア7bに当たるかのいずれかの状態にある場合、開き牽制手段46が牽制作用して駆動機構20による上部構造体10aの開き操作を不能にする。このため、上部構造体10aが開き操作されず、扱室12が開かない。
【0046】
清掃や修理などの作業が終了すると、開閉スイッチ41の下降操作部41bを押し操作する。すると、駆動機構20が開閉制御手段45によって下降側に駆動されて上部構造体10aを閉じ操作する。上部構造体10aが作業用の下降閉じ位置の手前の前記開き位置まで下降すると、駆動機構20が自動的に停止し、上部構造体10aが前記開き位置で停止する。この後は上部構造体10aを作業用の下降閉じ位置まで人為的に下降操作する。すると、扱室12が作業用の閉じ状態になるとともに、ロック機構30がロックばね33のために自動的にロック作用の状態になって上部構造体10aを閉じ位置にロックする。
【0047】
〔別実施形態〕
図10は、別の実施形態を備える制御機構40を示し、この制御機構40には、図9などに示すものと同様の開閉スイッチ41、限界センサー42、位置センサー44とが連係しているとともに、クラッチセンサー47が連係している。このクラッチセンサー47は、エンジン3からの回動力を扱胴12に伝達したり、この伝達を切ったりする脱穀クラッチ8が入りにあるかを脱穀クラッチ8の操作レバーの操作位置に基づいて検出するか、あるいは、脱穀クラッチ8のベルトを緊張状態と、緩み状態とに切り換えるテンションアームの操作位置に基づいて検出し、この検出結果を電気信号で制御機構40に出力する。
【0048】
クラッチセンサー47からの情報によって脱穀クラッチ8が入りにあると判断するか、位置センサー44からの情報によって横スクリューコンベア7bが上部構造体10aの上昇範囲に位置していると判断するかのいずれかの場合、開き牽制手段46は牽制作用し、開閉制御手段45よる駆動機構20の上昇側の駆動操作を停止させることにより、開閉スイッチ41から上昇指令を出力されても駆動機構20が上部構造体10aを開き操作することを不能する。クラッチセンサー47からの情報によって脱穀クラッチ8が切りの状態にあると判断し、かつ、位置センサー44からの情報によって横スクリューコンベア7bが上部構造体10aの上昇範囲に位置していないと判断した場合、開き牽制手段46は牽制作用を解除し、開閉制御手段45による駆動機構20の上昇側の駆動操作を可能にすることにより、開閉スイッチ41から上昇指令が出力されて駆動機構20が上部構造体10aを開き操作することを許容する。
【0049】
これにより、扱室12を清掃したり、点検や修理するとかの際、脱穀クラッチ8が切りになっており、かつ、穀粒搬出装置7の横スクリューコンベア7bが上部構造体10aの上昇範囲には存在しなくて上部構造体10aが上昇しても横スクリューコンベア7bに当たらない場合には、開き牽制手段46が牽制作用を解除して駆動機構20による上部構造体10aの上昇操作を許容するのであり、開閉スイッチ41の上昇操作部41aを押し操作すると、駆動機構20が開閉制御手段45によって上昇側に駆動されて上部構造体10aを開き操作する。脱穀クラッチ8が入りになっているか、穀粒搬出装置7の横スクリューコンベア7bが上部構造体10aの上昇範囲に位置していて上部構造体10aが上昇すると横スクリューコンベア7bに当たるかのいずれかの状態にある場合、開き牽制手段46が牽制作用して駆動機構20による上部構造体10aの開き操作を不能にするのであり、開閉スイッチ41の上昇操作部41aを押し操作しても、駆動機構20が駆動されないで上部構造体10aを開き操作せず、扱室12が開かない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンバイン全体の側面図
【図2】 コンバイン全体の平面図
【図3】 脱穀装置の概略側面図
【図4】 扱室の閉じ状態の説明図
【図5】 扱室の全開状態の説明図
【図6】 扱室の開き状態の説明図
【図7】 駆動機構の取り付け部の後面図
【図8】 駆動機構の作用説明図
【図9】 駆動機構制御のブロック図
【図10】 別の実施形態を備える駆動機構制御のブロック図
【符号の説明】
3 エンジン
8 脱穀クラッチ
10a 上部構造体
12 扱室
13 扱胴
20 駆動機構
21 油圧シリンダ
23 油圧ポンプ
24 電動モータ
46 開き牽制手段
Claims (5)
- 扱室(12)の一部を形成するとともに扱胴(13)を支持する上部構造体(10a)が、扱室(12)の他部を形成する構造体(10b)に上昇開き位置と下降閉じ位置とに上下揺動自在に連結しているコンバインの脱穀装置であって、
前記上部構造体(10a)を下降閉じ位置でロックするロック機構(30)とこのロック機構(30)によるロックが解除された状態で前記上部構造体(10a)を開閉操作する駆動機構(20)を備え、この駆動機構(20)に前記上部構造体(10a)が下降閉じ位置に操作された状態において該下降閉じ位置から設定開き位置まで揺動可能な融通を設けてあるコンバインの脱穀装置。 - 前記上部構造体(10a)を下降閉じ位置から上昇開き位置に向けて上昇付勢してある請求項1に記載のコンバインの脱穀装置。
- 前記駆動機構(20)が、前記上部構造体(10a)を開閉操作する油圧シリンダ(21)と、この油圧シリンダ(21)を駆動する油圧ポンプ(23)と、この油圧ポンプ(23)を駆動する電動モータ(24)とで構成されている請求項1または2に記載のコンバインの脱穀装置。
- 前記扱胴(13)に伝動するエンジン(3)が停止状態にあれば前記駆動機構(20)による上部構造体(10a)の開き操作を許容し、前記エンジン(3)が回転状態にあれば前記駆動機構(20)による上部構造体(10a)の開き操作を不能にする開き牽制手段を備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバインの脱穀装置。
- 前記扱胴(13)に対する伝動を入り切りする脱穀クラッチ(8)が切り状態にあれば前記駆動機構(20)による上部構造体(10a)の開き操作を許容し、前記脱穀クラッチ(8)が入り状態にあれば前記駆動機構(20)による上部構造体(10a)の開き操作を不能にする開き牽制手段を備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバインの脱穀装置。
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