JP3682208B2 - スピンバルブトランジスター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスピンバルブトランジスターに関し、特に高密度磁気記録読み出し用磁気ヘッド、および磁性RAM(MRAM)、磁性ROM(MROM)などの高密度記憶素子に使用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録の高密度化および高速化は、磁気記録媒体の改良と並んで、磁気記録装置の進歩、なかでも磁気記録の書き込みおよび読み出しに用いられる磁気ヘッドの進歩に負うところが多い。例えば、磁気記録媒体の小型、大容量化に伴って、磁気記録媒体と読み出し用磁気ヘッドとの相対速度は小さくなるが、その場合でも大きな出力が取り出せる新しいタイプの読み出し用磁気ヘッドとして、巨大磁気抵抗効果ヘッド(GMRヘッド)の開発が進められている。GMRヘッドは従来のMRヘッドに比較して磁気抵抗比(MR比)が大きく優れた特性を持っている。最近、より優れた特性が期待されるトンネル接合型のGMRヘッドが急速に注目を集めている。
【0003】
従来の磁気記録媒体は磁気ディスクすなわちファイルメモリーとして機能し、その情報はいったんコンピューター本体の半導体メモリー(DRAM、SRAM)に読み込まれた後に利用される。半導体メモリーは多くの優れた特性を持っているが、記憶保持のために大量の電力を消費するという大きな欠点がある。近年、記憶保持のための電力が不要なフラッシュメモリーやFRAMなどの開発が進められているが、いずれも書き換え回数が限定されるという大きな欠点がある。一方、実質的に無限回の書き換えが可能な磁気メモリー(MRAM)の開発も始められている。MRAMの実現のためには、大きなMR比を示す材料またはデバイスの開発が要望されている。
【0004】
そこで、従来のスピンバルブ膜に比べてより大きなMR比を示す素子として磁性体トンネル接合素子が注目され、磁性体トンネル接合素子を用いて、または磁性体トンネル接合素子とMOSトランジスターとを組み合わせることによって磁気ヘッドや磁気メモリーを作製する試みが進められている。さらに、磁性体トンネル接合素子に比べ、より大きなMR比が得られるスピンバルブトランジスターの開発も始められている。
【0005】
図1(A)および(B)にスピンバルブトランジスターの例を示す。なお、これらの図においては、素子構造とバンド図とを合わせて図示している。
【0006】
図1(A)のスピンバルブトランジスターは、エミッターからベースにトンネル接合を介して電子が注入されるタイプのものである。このスピンバルブトランジスターは、Alからなるエミッター11、トンネル絶縁膜12、Fe/Au/Feからなるスピンバルブ膜を含むベース13、およびn−Siからなるコレクター14が積層された構造を有する。
【0007】
図1(B)のスピンバルブトランジスターは、エミッターからベースにショットキー接合を介して電子が注入されるタイプのものである。このスピンバルブトランジスターは、n−Siからなるエミッター21、Co/Cu/Coからなるスピンバルブ膜を含むベース22、およびn−Siからなるコレクター23が積層された構造を有する。
【0008】
これらのスピンバルブトランジスターは、数100%の極めて大きなMR比を示すことが知られている。しかし、従来のスピンバルブトランジスターは、コレクター電流がエミッター電流の10-4と極めて小さいという欠点を有している。コレクター電流/エミッター電流の比が小さいことは、消費電力、動作速度、ノイズなどの観点から好ましくない。
【0009】
従来のスピンバルブトランジスターにおいてコレクター電流が極めて小さい原因について説明する。たとえば図1(A)のようにエミッターからベースにトンネル接合を介して電子が注入されるスピンバルブトランジスターの場合、トンネル電流の角度依存性は次式で表される。
【0010】
θ∝exp[−β2sin2θ] (1)
ただし、β4=2ms2F 2/h2(Ev−E)
ここで、θは接合面の法線と電子の波数ベクトルとのなす角度、Jθはθ方向の電流密度、mは電子の密度、sはトンネルバリアーの幅、EFはフェルミエネルギー、hはプランク定数、Evはトンネルバリアーの高さ、Eはトンネル電子のエネルギーである。
【0011】
この式から、トンネル絶縁膜をトンネルする電子の進行方向が接合面にほぼ垂直な場合にトンネル電流が大きくなることがわかる。図1(B)のようにエミッターからベースにショットキー接合を介して電子が注入されるスピンバルブトランジスターでも、電子の進行方向が接合面にほぼ垂直な場合にトンネル電流が大きくなる。
【0012】
スピンバルブトランジスターは、ベースに含まれるスピンバルブ膜における2つの磁性膜のスピンが平行か反平行かに応じて電子の散乱の仕方が変化するスピン依存散乱を利用して動作する。しかし、従来のスピンバルブトランジスターでは、図2(A)に示したように、主として磁性層(F)中または磁性層(F)/非磁性層(N)界面で散漫散乱が起こっている。この場合、ベース/コレクター界面での強い回折効果により散乱された電子はコレクターに流れ込むことができないので、コレクター電流が減少する。したがって、コレクター電流を増大させるためには散漫散乱を低減させることが必要である。しかし、散漫散乱を低減させるとMR比も減少するという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、MR比が大きく、かつコレクター電流/エミッター電流の比が大きいスピンバルブトランジスターを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のスピンバルブトランジスターは、コレクター、ベースおよびエミッターを有し、前記ベースが非磁性層を挟んで2つの磁性層を積層したスピンバルブ膜を含むスピンバルブトランジスターであって、前記スピンバルブ膜がM/A/M’またはM/B/M’(ここで、MおよびM’はFe、Co、Niおよびこれらの合金からなる群より選択される元素[MとM’は同一でも異なっていてもよい]、AはAu、Ag、Pt、CuおよびAlからなる群より選択される元素、BはCrおよびMnからなる群より選択される元素)の積層膜であって(100)配向しており、前記(100)配向したスピンバルブ膜を含むベースの積層方向の一方の面にエミッターが、他方の面にコレクターがそれぞれ積層されていることを特徴とする。
【0015】
本発明のスピンバルブトランジスターにおいては、コレクターまたはエミッターが、III−V族半導体からなることが好ましい。III−V族半導体としては、GaAs、GaN、GaP、InAs、InSbなどが挙げられる。
【0016】
本発明のスピンバルブトランジスターにおいて、エミッターを半導体薄膜で構成し、コレクターを半導体薄膜または半導体と金属との積層膜で構成し、コレクターを構成する半導体としてエミッターを構成する半導体よりも禁制帯幅が小さいものを用いることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、スピンバルブトランジスターのベースに、(100)配向した磁性層/非磁性層の積層構造を有するスピンバルブ膜を用いることにより、大きなMR比を維持したままで、コレクター電流/エミッター電流の比を大きくできることを見出した。(100)配向したスピンバルブ膜を含むベースでは、図2(A)に示したような散漫散乱ではなく、図2(B)に示したように2つの磁性層のスピンが平行か反平行かに依存して磁性層(F)/非磁性層(N)界面で電子のバリスティック伝導と界面反射が生じる。すなわち、電子の平均自由行程に比べ十分薄い磁性層を用いかつ平坦な磁性層/非磁性層界面を形成し、電子をバリスティック伝導または界面反射させることにより、MR比が大きくかつコレクター電流/エミッター電流比の大きいトランジスターを形成することができる。以下、このような効果が得られる理由について説明する。
【0018】
磁性層/非磁性層界面での電子の界面反射の強さは磁性層および非磁性層のバンド構造に依存する。これまでに多くの磁性体および非磁性体について、実験的、理論的にバンド構造が調べられている。バンド構造は一般にブリルアンゾーンと呼ばれる波数空間の中で表現される。例えばFeやAuなどの結晶中を[100]方向に進む電子は、ブリルアンゾーンのΔ線上の点として表現される。その電子の状態は波動関数の対称性で区別され、通常、群論の規約表現を用いてΔ1、Δ2のような記号で記述される。また、ブリルアンゾーンの原点はΓ点と呼ばれ、そこでの電子の状態は群論を用いてΓ12、Γ25のように記述される。
【0019】
以下、具体例として、エピタキシャル成長が可能なFe(100)/Au(100)の組み合わせについて説明する。この組み合わせのスピンバルブ膜は、M/A/M’で表されるものである。図3にAuの[100]方向のバンドを示す。ここで、図の縦軸は電子のエネルギーであり、横軸はブリルアンゾーンのΔ線上に沿った電子の波数を示す。図3に示されるように、Auの[100]方向のバンドはフェルミ準位近くでΔ1対称性をもっている。一方、図4にFeの[100]方向のバンドを示す。図4に示されるように、Feのバンドは複雑であるが、アップスピンバンドはフェルミ準位の上方でΔ1の対称性を持ち、ダウンスピンバンドはΔ2、Δ2’、Δ5の対称性を持っている。電子は同じ対称性をもつバンド間を反射されずに進むことができるので、[100]方向に進むフェルミ準位より高いエネルギーのアップスピン電子はAu/Fe界面を透過できる。一方、電子は異なる対称性を持つバンド間を進むことができないので、ダウンスピン電子は強く反射される。すなわち、図2(B)に示したように強いスピン依存性を持つバリスティック伝導と界面反射が生じる。このため、高いMR比を維持しつつ、電子の散漫散乱が起こる場合よりもコレクター電流の大きな素子を得ることができる。なお、磁性層中での散漫散乱を減少させるために、磁性層の厚さは2nm以下であることが望ましい。また、図3と図4の関係は、非磁性層としてAuの代わりにAg、Pt、Cu、またはAlを用いても同様に得られる。
【0020】
次に、エピタキシャル成長が可能なFe(100)/Cr(100)の組み合わせについて考える。この組み合わせのスピンバルブ膜は、M/B/M’で表されるものである。図5にCrの[100]方向のバンドを示す。図5に示されるように、Crのバンド構造はフェルミ準位の上方でΔ2、Δ2’、Δ5の対称性を持ち、Feのダウンスピンバンドに類似している。したがって、ダウンスピン電子はCr/Fe界面を透過できるが、アップスピン電子は反射される。このようにアップスピン電子とダウンスピン電子の透過率がAu/Fe界面の場合と逆になるが、この場合にもスピンに強く依存したバリスティック伝導と界面反射が生じる。また、図4と図5の関係は、非磁性層としてCrの代わりに類似したバンド構造をもつMnを用いても同様に得られる。
【0021】
以上のように本発明では、ベースに含まれるスピンバルブ膜を構成する磁性層および非磁性層が(100)配向していることが重要である。しかし、Si、GeなどのIV族半導体上には金属の(100)配向膜を成長させることが困難である。一方、GaAs、InAsなどのIII−V族半導体上には金属の(100)配向膜を成長可能であることが知られている。したがって、本発明のスピンバルブトランジスターでは、エミッターまたはコレクターの少なくとも一方、すなわちベースの下地がIII−V族半導体であることが好ましい。III−V族半導体としては、GaAs、GaN、GaP、InAs、InSbなどが挙げられる。III−V族半導体基板上に金属の(100)配向膜を成長させるためには、基板の表面処理を行い、基板温度および金属膜の成長速度を適切に設定することが好ましい。
【0022】
本発明のスピンバルブトランジスターにおいてエミッターにIII−V族半導体を用いた場合、より大きなコレクター電流を得るためには、コレクターを半導体薄膜または半導体と金属の積層膜とし、コレクターを構成する半導体としてエミッターを構成する半導体よりも禁制帯幅が小さいものを用いることが望ましい。
【0023】
図6(A)および(B)にこのようなスピンバルブトランジスターを示す。図6(A)のスピンバルブトランジスターは、III−V族半導体薄膜からなるエミッター31、Fe/Au/Feからなるスピンバルブ膜を含むベース32、およびエミッターを構成する半導体よりも禁制帯幅が小さい半導体薄膜からなるコレクター33が積層された構造を有する。図6(B)のスピンバルブトランジスターは、III−V族半導体薄膜からなるエミッター31、Fe/Au/Feからなるスピンバルブ膜を含むベース32、および金属薄膜331とエミッターを構成する半導体よりも禁制帯幅が小さい半導体薄膜332からなるコレクター33が積層された構造を有する。
【0024】
【実施例】
実施例1:n−GaAs(100)コレクター、Fe/Au/Fe/Al(100)ベース、Al23トンネルバリアー、Alエミッターからなるスピンバルブトランジスター
図7に示すスピンバルブトランジスターを製造した例を説明する。GaAs(100)基板上にFe/Au/Fe/Al積層膜を配向成長させるためには、基板表面の酸化膜を除去する必要がある。そのため、まずマルチチャンバーのMBE装置にn−GaAs(100)基板51を装入し、2×10-10torrまで減圧した後、第1チャンバー内でGaAs(100)基板51表面に厚さ1μmのn+−GaAs層52をホモエピタキシャル成長させてコレクターを形成した。n+−GaAs層52の表面をSTM(トンネル顕微鏡)およびRHEED(高速電子線回折)で観察したところ、GaAs表面がAsダイマーにより終端された2×4構造となっていることが確認された。また、表面のテラスの幅は約0.5μmであった。
【0025】
なお、ホモエピタキシャル成長を行わない場合には、基板表面を塩酸10%エタノール溶液中でエッチング処理した後、基板を真空チャンバー内に入れ、10-9torr以下の真空度において350〜500℃の温度範囲で加熱処理して表面の酸化膜を除去する。
【0026】
次に、基板を第2チャンバーに移し、クヌードセンセルを用い、ベース53を構成する薄膜として、2nmのFe膜531,10nmのAu膜532,1nmのFe膜533,および5nmのAl膜534を順次形成した。このとき成膜速度を0.01〜0.1nm/secに設定することにより良好な(100)配向膜が得られた。続いて、基板を第3チャンバーに移し、Alソースを用い、O2分圧10-5torrの雰囲気下で厚さ1.5nmのAl23を成膜してトンネル絶縁膜54を形成した。再び基板を第2チャンバーに戻し、エミッター55を構成する薄膜として、10nmのAl膜551および100nmのAu膜552を形成した。その後、フォトリソグラフィーとArイオンミリングにより、素子の接合面積を50μm×50μmとした。最後に、CaF2を堆積して層間絶縁膜56を形成した。
【0027】
このトランジスターの面内に磁場を印加してMR比の測定を行った。ベース−エミッター間に1.3Vの電圧を印加した状態で、MR比は260%であり、コレクター電流/エミッター電流の比は7×10-2という大きな値を示した。
【0028】
比較例1:nSi(100)コレクター、Au/Fe/Au/Al(111)ベース、Al23トンネルバリアー、Alエミッターからなるスピンバルブトランジスター
実施例1のGaAs(100)基板の代わりにSi(100)を用いた以外は実施例1と同様な構造のトランジスターを作製した。Si基板上のベースは(100)配向膜とならずに(111)配向膜となった。
【0029】
このトランジスターの面内に磁場を印加してMR比の測定を行った。ベース−エミッター間に1.3Vの電圧を印加した状態で、MR比は230%と大きな値を示したが、コレクター電流/エミッター電流の比は4×10-4と極めて小さな値であった。
【0030】
実施例2
フォトレジストとArイオンミリングを用いて接合面積を1μm×1μmとした以外は実施例1と同様な構造のトランジスターを作製した。
【0031】
このトランジスターの面内に磁場を印加してMR比の測定を行った。ベース−エミッター間に1.3Vの電圧を印加した状態で、MR比は250%であり、コレクター電流/エミッター電流の比は5×10-2という大きな値を示した。
【0032】
実施例3
ベースとしてFe/Cr/Fe/Alの積層膜を用いた以外は、実施例1と同様な構造のトランジスターを作製した。
【0033】
このトランジスターの面内に磁場を印加してMR比を測定した。ベース−エミッター間に1.3Vの電圧を印加した状態で、MR比は300%であり、コレクター電流/エミッター電流の比は2×10-2という大きな値を示した。
【0034】
実施例4
コレクターとしてInAsを用いた以外は、実施例1と同様な構造のトランジスターを作製した。
【0035】
このトランジスターの面内に磁場を印加してMR比を測定した。ベース−エミッター間に1.3Vの電圧を印加した状態で、MR比は260%であり、コレクター電流/エミッター電流の比は2×10-1という大きな値を示した。
【0036】
実施例5:nGaAs(100)エミッター、Fe/Au/Fe/Au(100)ベース、Geコレクターからなるスピンバルブトランジスター
実施例1と同様な方法で上記構造のトランジスターを作製した。このトランジスターでは、基板がエミッターとなっており、エミッター/ベース間はショットキー接合となっている。コレクターは厚さ10nmのGe薄膜と厚さ100nmのAu薄膜との積層構造となっている。コレクターを構成するGeは、エミッターを構成するGaAsよりも禁制帯幅が小さい。
【0037】
このトランジスターの面内に磁場を印加してMR比の測定を行った。ベース−エミッター間に0.8Vの電圧を印加した状態で、MR比は260%であり、コレクター電流/エミッター電流の比は3×10-1という大きな値を示した。
【0038】
実施例6
ベースとしてCo/Au/パーマロイ/Au(100)の積層膜を用いた以外は、実施例5と同様な構造のトランジスターを作製した。
【0039】
このトランジスターの面内に磁場を印加してMR比の測定を行った。ベース−エミッター間に0.8Vの電圧を印加した状態で、MR比は300%であり、コレクター電流/エミッター電流の比は1×10-1という大きな値を示した。
【0040】
以上の説明から明らかなように、本発明の原理が適用されるのは実施例に記載した材料の組み合わせに限定されるものではない。すなわち、配向した磁性層/非磁性層界面において非磁性層中の伝導バンドの対称性が磁性膜中のアップスピンバンドまたはダウンスピンバンド対称性と異なる、より一般的な材料の組み合わせに適用することができる。前者の材料の組み合わせではアップスピン電子が強い界面反射を受け、後者の材料の組み合わせではダウンスピン電子が強い界面反射を受けるため、いずれの材料の組み合わせを用いてもMR比が大きく、かつコレクター電流/エミッター電流比の大きいスピンバルブトランジスターを形成することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、ベースを構成する磁性層/非磁性層の積層膜からなるスピンバルブ膜として、顕著なスピン依存性の界面反射が起こる(100)配向膜を用いることにより、MR比が大きく、かつコレクター電流/エミッター電流比が大きいスピンバルブトランジスターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のスピンバルブトランジスターの構造およびエネルギーバンドを示す図。
【図2】磁性層/非磁性層界面での電子の散漫散乱および界面反射を示す図。
【図3】Auの[100]方向のバンドを示す図。
【図4】Feの[100]方向のバンドを示す図。
【図5】Crの[100]方向のバンドを示す図。
【図6】本発明に係るスピンバルブトランジスターの構造およびエネルギーバンドを示す図。
【図7】本発明の実施例1におけるスピンバルブトランジスターを示す断面図。
【符号の説明】
11…エミッター
12…トンネル絶縁膜
13…ベース
14…コレクター
21…エミッター
22…ベース
23…コレクター
31…エミッター
32…ベース
33…コレクター
331…金属薄膜
332…半導体薄膜
51…n−GaAs(100)基板
52…n+−GaAs層
53…ベース
531…Fe膜
532…Au膜
533…Fe膜
534…Al膜
54…トンネル絶縁膜
55…エミッター
551…Al膜
552…Au膜
56…層間絶縁膜

Claims (4)

  1. エミッター、ベースおよびコレクターを有し、前記ベースが非磁性層を挟んで2つの磁性層を積層したスピンバルブ膜を含むスピンバルブトランジスターにおいて、前記スピンバルブ膜がM/A/M’またはM/B/M’(ここで、MおよびM’はFe、Co、Niおよびこれらの合金からなる群より選択される元素、AはAu、Ag、Pt、CuおよびAlからなる群より選択される元素、BはCrおよびMnからなる群より選択される元素)の積層膜であって(100)配向しており、前記(100)配向したスピンバルブ膜を含むベースの積層方向の一方の面にエミッターが、他方の面にコレクターがそれぞれ積層されていることを特徴とするスピンバルブトランジスター。
  2. 前記エミッターおよび前記コレクターの少なくとも一方がIII−V族半導体からなることを特徴とする請求項1に記載のスピンバルブトランジスター。
  3. 前記III−V族半導体が、GaAs、GaN、GaP、InAs、およびInSbからなる群より選択されることを特徴とする請求項2に記載のスピンバルブトランジスター。
  4. 前記エミッターが半導体薄膜からなり、前記コレクターが半導体薄膜または半導体と金属との積層膜からなり、前記コレクターを構成する半導体は前記エミッターを構成する半導体よりも禁制帯幅が小さいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスピンバルブトランジスター。
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