JP3682076B2 - 合成樹脂製の一端開口型筒状容器の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば建物の補修に使用するコーキング剤(シール剤)を充填するコーキング管のように、一端を開口したストレート状筒状の胴部の他端に蓋状の肩部を連接し、この肩部に、雄ねじ付きの筒状の口部を連接して成る合成樹脂製の一端開口型筒状容器及びその製造用型装置並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コーキング管のような容器を合成樹脂の射出成形法で一体成形すると、製造コストを低減することができる。
この場合、前記コーキング管のように口部に雄ねじを造形した筒状容器を合成樹脂の射出成形法にて製造するための型装置は、口部の外面を成形するための第1金型と、胴部の外周面を成形するための第2金型と、容器の内面を成形するための中子状の第3金型とで構成されており、第1金型を、容器の半径方向に沿って密着・離反する2つのブロック体から成る割り型にしている。
【0003】
そして、三つの金型で囲われた部位に形成されたキャビティに溶融した合成樹脂を注入し、合成樹脂が固まってから、第1金型で口部を掴んだ状態で第3金型、第2金型の順で第1金型から引き離し、最後に、第1金型のブロック体を離反させることによって型抜きするようにしている。
この場合、コーキング管のように直径に対する長さの比率が大きいと、第3金型(中子型)を抜き取るに際して、第3金型と胴部との間の摩擦抵抗が大きいため、容器の口部に大きな引張力が作用して、肩部が大きく変形したり口部が破断したりする現象が生じることになり、このため、ストレート状に成形することが困難であると言う問題があった。
【0004】
この点について、先行技術としての特開昭53−8248号公報には、胴部の肩部に半径外向きに突出した鍔を形成し、この鍔を第1金型で掴持することにより、肩部に負担をかけることなく第3金型を引き抜きできるようにすることが開示されている。
また、他の先行技術としての実公平3−52651号公報には、胴部の外周面のうち肩部寄りの部位に溝を形成し、この溝に第1金型を係合することにより、肩部及び口部に負担をかけることなく第3金型を引き抜きできるようにすることが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これら両先行技術とも、胴部の肩部を第1金型で支持した状態で第3金型を抜き取りできるので、胴部の内径及び外径を殆ど抜き勾配のないストレート状に形成することができる。
しかし、前者の先行技術(特開昭53−8248号)では、成形後に鍔を除去せねばならないため製造コストが嵩むという問題があった。
【0006】
他方、後者の先行技術(実公平3−52651号)では、溝は製品として邪魔にはならないので製造コストが嵩むことはないが、溝の箇所で胴部が薄肉になるため強度が低下し、また、美感の点から溝の存在を好まないユーザーも存在すると言う問題があった。
本発明は、これらの問題を解消することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、一端を開口したストレート筒状の胴部の他端に、当該他端を塞ぐ蓋板状の肩部を連接し、該肩部に、外周面に雄ねじを造形した筒状の口部を一体的に連接して成る合成樹脂製容器を射出成形法によって製造する方法である。
【0008】
この方法では、前記容器における胴部のうち他端寄りの一部及び容器の口部並びに容器の肩部の外面を形成するための割り型である第1金型と、胴部のうち口部寄りの一部を除いた部分の外面を形成するための第2金型と、容器の内面を形成するための中子状の第3金型とを用いて、型締された各金型の間に形成されたキャビティに溶融樹脂を注入してから樹脂が固化後、型抜きに際しては、先ず第2金型に設けた段部で容器における胴部の一端部を支持した状態で第3金型を抜き、次いで、第2金型を後退させ、それからから第1金型を開く。
【0009】
そして、前記第1金型のうち胴部の外面を形成する部分にテーパ状の溝を形成しておくことにより、型抜き時には胴部の他端部に肩部に向けて外径が大きくなるテーパ部を存在せしめ、樹脂の収縮によって胴部をストレート状と成すものである。
【0010】
【発明の作用・効果】
本願発明では、成形後に第3金型を抜くに際して容器の一端が第2金型の段部で支持されているため、第3金型の抜きを容易に行える。
また、型抜きに際しては、胴部のテーパ部が第1金型におけるテーパ状溝に係合した状態になるため、成形後に第3金型(中子型)を抜き取るに際して肩部に作用する引っ張り力を低減することができる。
【0011】
【0012】
【0013】
ところで、合成樹脂は溶融状態から固まったのち徐々に収縮する性質があり、このため、成形された容器は金型内で僅かに収縮すると共に、型抜きした後にもある時間収縮を続け、一定時間経過して収縮し切った時点で寸法が固定されることになる。
【0014】
【0015】
そして、本願発明では、型抜きしてから一定時間が経過して樹脂が収縮し切ると胴部のテーパ部は消えてストレート状になるから、美感等の問題を生じることは全くないのである。
【0016】
【実施例】
次に、本発明をコーキング管に適用した場合の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜図2はコーキング管を示しており、両図において符号1で示すコーキング管は、高密度ポリエチレン等の合成樹脂による一体成形にて製造される。
【0017】
コーキング管1は一端を開口したストレート筒状の胴部2を備えており、この胴部2の他端に蓋板状の肩部3を一体的に連接し、該肩部3には、雄ねじ4aを有する小径の口部4を突設している。口部4の先端には、蓋板5が薄肉状の環状スコアー6を介して連接されており、蓋板5には、平面視十字状の折損用突起7を設け、突起7を押し倒して蓋板5をスコアー6の箇所で折損することによって開封される。
【0018】
口部2にはねじ式のキャップ8が着脱自在に嵌められる。また、コーキング管1の使用に際しては、図2に示すように、胴部2にプランジャ9を嵌挿し、このプランジャ9を押し込むことにより、キャップ8の先端に形成した切り欠き穴からコーキング剤(図示せず)を押し出すものである。
そして、前記胴部2の外周面のうち肩部3に近接した適宜範囲が、肩部3に向けて外径が拡大するテーパ部2aに形成されている。
【0019】
上記のコーキング管1は、図3〜図5に示す型装置10を使用して射出成形法によって一体成形される。この点を次に説明する。
型装置10は、コーキング管1のうち口部4の近傍部位の外面に嵌まる凹所を有する第1金型11と、胴部2の外周面のうちテーパ部2aを除いた部位に嵌まる断面円形の穴12aを開口した第2金型12と、コーキング管1の内面を成形するために第2金型12の穴12a内に嵌挿した中子状の第3金型13とを備えている。
【0020】
前記第1金型11は、コーキング管1の半径方向への移動にて互いに密着・離反する2個のブロック体11aから成っており、その凹所内には、前記胴部2のテーパ部2aを成形するためのテーパ状溝14を形成している。また、第2金型12はコーキング管1の軸線方向に沿っての移動にて第1金型11に密着・離反自在であり、更に、第3金型13も、コーキング管1の軸線方向に沿っての移動にて第1金型11に近接・離反自在である。
【0021】
なお、第2金型12及び第3金型13には極く僅かながら(例えば直径差で0.1mm程度)抜き勾配をつけている。また、図示しないが各金型11,12,13には冷却水の流路を穿設している。
この型装置10によるコーキング管10の製造は、次の手順で行われる。
すなわち、第1金型11と第2金型12とを密着させると共に、第3金型13を第1金型に接近させ、その状態で三つの金型11,12,13で囲われた部位に形成されたキャビティに、溶融した合成樹脂を例えば図3〜図4に矢印Aで示すように第1金型11から注入し、合成樹脂が固まった後、先ず第3金型13を後退させてから次いで第2金型12を後退させ、それから、第1金型11の両ブロック体11aを離反させると言う型抜きを行うものである。
【0022】
この場合、コーキング管1は樹脂の収縮によって内径が縮小する傾向を呈するため、型抜きに際して特に第3金型13と胴部2との摩擦抵抗が大きいが、本発明では、胴部2にテーパ部2aを形成したことにより、型抜きに際してテーパ部2aが第1金型11に支持された状態になるから、第3金型13の抜き取りに際しての引張力が口部4と肩部3に作用することが低減する。
そして、図10に示すように、第2金型12に、成形された胴部2の後端を支持する段部12bを形成し、この段部12bで胴部2を支持した状態で第3金型13を抜き取るようにしたもので、このため、第3金型13の抜き取りを容易にすることができる。
【0023】
なお、テーパ部2aは型抜きに際して胴部2を第1金型11で支持できる程度であれば良く、長さが220mm程度で外径が50mmの通常の規格のコーキング管1の場合、テーパ部2aは、軸方向に沿っての幅寸法Lが5〜10mm程度で、外径差が0.2mm程度であればその機能を果たすことができ、外見上テーパ部2aが目立つことはないから、テーパ部2aを形成したことに起因して押し出し用のガンへの装着に支障をきたしたり外観が悪化したりすることはないのであり、また、熱収縮性フイルムを使用してシュリンク包装するに際して、フイルムを胴部2の全体に密着した状態に包装することもできる。
【0024】
次に、他の形態を図6〜図8に基づいて説明する。
この形態では、図7に明示するように、テーパ部2aを、肩部3寄りに位置した第1テーパ部2a′と胴部2の一端寄りに位置した第2テーパ部2a″とで2段階状に形成し、第2テーパ2a″のテーパ角度θ2を第1テーパ部2a′のテーパ角度θ1よりも大きい角度に設定している。この場合、胴部2の軸方向に沿ったテーパ部2aの幅寸法Lが6mm程度の場合、θ1を2°程度でθ2を10°程度に設定すれば足りる。
【0025】
このように、テーパ部2aを二段階に形成して、第2テーパ部2a″の角度θ2を大きい角度にしたことにより、第3金型13及び第2金型12を抜き取るに際して、第1金型11に対するテーパ部2aの引っ掛かりが良くなる。
ところで、上記の図3〜図4,図6〜図7は、便宜上、成形されたコーキング管1の外面が第1金型11に密着した状態に図示したが、実際には、樹脂の収縮により、図8に示すように、第1金型11とコーキング管1との間に極く僅かながら隙間が生じるものである。
【0026】
その場合、図8(b)に示すように、テーパ部2aが第1金型11の開口縁から開始している、換言すると、第1金型1と第2金型12との合わせ面14をテーパ部2aの付け根の箇所に位置させると、第1金型11の開口縁11bが鋭いエッジになっているため、第2金型12を抜き取るに際して、コーキング管1がごく僅かながらずれ動いたときに、テーパ部2aの付け根の箇所が第1金型11の開口縁11bで傷付けられることがある。
【0027】
これに対して、図6〜図7及び図8(a)に記載しているように、第1金型11におけるテーパ状溝14の位置を、第1金型11の開口縁よりも内側に位置させる、換言すると、両金型11,12の合わせ面15をテーパ部2aの付け根よりも若干の寸法Sだけ胴部2の一端寄りに位置させると、第1金型11におけるテーパ状溝14の開口縁の箇所が鋭いエッジになることがないことと、第1金型11で胴部11のストレート部が部分的に掴持されていることとの相乗効果により、第2金型13の抜き取りに際してテーパ部2aの付け根に傷が付くことを確実に防止できるのである。
【0028】
図9では成形後の収縮状態を示している。
この図9において一点鎖線で示すのは、前記図3〜図8で示した型装置10を使用して製造するに際して型装置10内で樹脂が固まった状態におけるテーパ部2a周辺の断面形状を示すもので、このように成形直後にはテーパ部2aが存在している。
【0029】
そして、型抜きしてからも樹脂は徐々に収縮するもので、図8(a)に示す第1金型11におけるテーパ状溝14の最大深を寸法eを、肩部3の半径の収納寸法より小さく設定しておくと、ある程度の時間が経過して収縮し切った状態でテーパ部2aの周辺は実線で示すような断面形状になる。この場合、樹脂の体積が多いと収縮量も大きいことにより、肩部3の直径が大きく縮小する傾向を呈するため、実線で示すように、収縮し切った状態でテーパ部2aを先窄まり状にすることもできる。
【0030】
樹脂の収縮量は樹脂の素材等によって異なるもので、例えば図9に二点鎖線で示すように、予め収縮量を見越して、収縮し切った状態でテーパ部2aがストレート状となるように、第1金型11におけるテーパ状溝14の深さ寸法eを設定しておいても良い。
【0031】
図11に示す例では、第3金型13のうち段部3の内面を形成する部位に、ばね16にて後退方向に付勢された傘ピン17を抜け不能に嵌め込み装着し、傘ピン17の装着穴18に圧縮空気通路19を連通させている。このように構成すると、型抜きに際して傘ピン17の装着穴18に圧縮空気が噴出することにより、圧縮空気が傘ピン17を押し上げて第3金型13とコーキング管1の内面との間に噴出するので、第3金型13の抜き取りがより一層容易になる。
【0032】
本発明は、口部に開封用突起7を設けたコーキング管のみでなく、図12に示すような従来の形態のコーキング管1にも適用できることは言うまでもない。
また、本発明は、コーキング管のみでなく、雄ねじ付き口部を備えた一端開口型筒状容器に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係るコーキング管の斜視図である。
【図2】使用状態でのコーキング管の断面図である。
【図3】図1及び図2のコーキング管を製造する型装置を示す第2実施例の図である。
【図4】図3の要部拡大図である。
【図5】図4のV−V視断面図である。
【図6】第3実施例を示す断面図である。
【図7】図6の要部拡大図である。
【図8】(a)は図7に示した第3実施例の作用を示す図、(b)は比較のための示す図である。
【図9】第4実施例を示す図である。
【図10】第2金型の部分図である。
【図11】型抜きに際してコーキング管内に圧縮空気を噴出するようにした場合の図である。
【図12】本発明を適用できる他の形態のコーキング管の断面図である。
【符号の説明】
1 一端開口型筒状容器の一例としてのコーキング管
2 胴部
2a テーパ部
2a′ 第1テーパ部
2a″ 第2テーパ部
3 肩部
4 口部
10 肩装置
11 第1金型
12 第2金型
13 第3金型
14 テーパ状溝
15 合わせ面
Claims (1)
- 一端を開口したストレート筒状の胴部の他端に、当該他端を塞ぐ蓋板状の肩部を連接し、該肩部に、外周面に雄ねじを造形した筒状の口部を一体的に連接して成る合成樹脂製容器を射出成形法によって製造する方法であり、
前記容器における胴部のうち他端寄りの一部及び容器の口部並びに容器の肩部の外面を形成するための割り型である式の第1金型と、胴部のうち口部寄りの一部を除いた部分の外面を形成するための第2金型と、容器の内面を形成するための中子状の第3金型とを用いて、型締された各金型の間に形成されたキャビティに溶融樹脂を注入してから樹脂が固化後、型抜きに際しては、先ず第2金型に設けた段部で容器における胴部の一端部を支持した状態で第3金型を抜き、次いで、第2金型を後退させ、それからから第1金型を開く方法であって、
前記第1金型のうち胴部の外面を形成する部分にテーパ状の溝を形成しておくことにより、型抜き時には胴部の他端部に肩部に向けて外径が大きくなるテーパ部を存在せしめ、樹脂の収縮によって胴部をストレート状と成している、
合成樹脂製の一端開口型筒状容器の製造方法。
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JPH07329207A JPH07329207A (ja) | 1995-12-19 |
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- 1994-06-08 JP JP12660694A patent/JP3682076B2/ja not_active Expired - Lifetime
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