JP3681521B2 - 炭化装置の温度制御方法 - Google Patents
炭化装置の温度制御方法Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば間伐材等の未利用材,木質系の建築解体材,木材加工時の端材等の廃木材、コーヒー豆滓、樹皮、松根、廃回路基板、鶏糞、もしくは、馬房ウッドチップ等を炭材(炭化原料)として用いて炭化処理することにより炭化物として再利用,有効利用を図る炭化装置における温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の炭化装置における加熱方法としては燃焼バーナによる燃焼ガスの炭化炉内への直接吹き込み等の外部加熱手段を用いる方法が知られ、このような外部加熱手段を用いた場合の温度制御方法としては、上記炭化炉に設けた炉内温度検出手段による検出温度に基づく方法が知られている(例えば、特開平8−218076号公報参照)。
【0003】
このものでは、円筒状炭化炉に対し炭材供給側の長手方向一端と、炭化物排出側の他端とのそれぞれに燃焼バーナを設けるととともに、上記炭化炉の炭材供給側と炭化物排出側とのそれぞれに炉内温度検出手段を設け、炭材供給側の検出温度に基づいて上記一端側燃焼バーナを、炭化物排出側の検出温度に基づいて上記他端側燃焼バーナをそれぞれ燃焼制御し、炭化炉内の炭材供給側と炭化物排出側との両炭化温度が同じになるように温度制御している。
【0004】
また、上記の燃焼バーナによる昇温制御の補助として外部の空気を導入し炭材の一部を自己燃焼させることも提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の如き炭材の炭化はその炭材を構成する成分の熱分解であり、この熱分解は比較的短時間に生じる発熱反応を伴うものである。このため、炭化炉内の温度制御はこの炭化に伴う発熱反応による発熱量を考慮して行う必要がある。
【0006】
ところが、上記発熱反応自体の制御は極めて困難であり、発熱反応が一旦始まるとこれを抑制することは極めて困難なものとなる。特に過昇温に対する降温制御は不可能に近いものとなる。つまり、外部加熱手段を用いて外部から熱供給する方式(外熱供給方式)では初期の昇温制御は行い得ても、発熱反応が始まった後の炭化炉内の温度制御、特に降温制御は行い得ないものとなる。このため、特に、炭材を連続して定量供給し連続して炭化物の生成を行うという連続式の炭化処理においては、一定温度の維持が困難となり安定した品質の炭化物を得るのが困難となる上に、炭材の材料損失の増大を招くことにもなる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安定した品質の炭化物を連続して得られる温度制御方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
ところで、上記の発熱反応の発熱量は炭材の量に比例し、その発熱量により加熱されて炭化が進行して炉内温度はある最高温度を示すことになる。この炉内温度は上記発熱量に比例して昇温することになるため、上記最高温度は廃木材等の炭材の量に応じた特定の値を示すことになる。本発明はこのような点に着目して完成されたものであり、炭材の量に応じた最大発熱量に相当する最高温度を目標炭化温度とし、この目標炭化温度に基づいて供給する炭材の量を増減調整することにより発熱反応を一定状態に維持し、これにより、一定の炭化処理温度となる温度制御を実現しようとするものである。
【0009】
具体的には、本発明は、炭材を加熱することにより炭化処理する炭化炉を有し、この炭化炉の長手方向一端から炭材を連続的に定量供給し、この供給された炭材を炭化炉の長手方向他端まで徐々に進行させる間に炭化目標温度下で炭化処理し、生成された炭化物を上記長手方向他端から排出するように構成された炭化装置の温度制御方法を前提とし、以下の制御を行うものである。
【0010】
請求項1記載の発明は、特に降温制御を意図したものであり、上記炭化炉内の温度を検出し、検出温度が炭化目標温度よりも高い場合には上記炭材の炭化炉への供給量を低減する構成とするものである。
【0011】
上記の構成の場合、炭化炉内の温度(炉内温度)が炭化目標温度よりも高い場合には定量供給されている炭材の供給量が低減され、この低減された供給量で定量供給が行われるようになる。これにより、発熱反応を起こす炭材を発熱源としてその発熱源自体の量が低減されるため、炉内の発熱量が抑制され炉内温度が炭化目標温度により近付くように降温されることになり、過昇温の抑制が図られて過昇温に伴う炭化品質の変動が抑制・防止される。
【0012】
請求項2記載の発明は、特に一定の炭化処理温度の維持を意図したものであり、上記炭化炉内の温度を検出し、検出温度が炭化目標温度になるように上記炭材の炭化炉への供給量を増減調整する構成とするものである。
【0013】
上記の構成の場合、炉内温度の検出温度が炭化目標温度になるように炭材の供給量が増減調整されるため、発熱反応を起こす炭材を発熱源としてその発熱源自体の量の増減調整により炉内の発熱量が増減され炉内温度が炭化目標温度に収束するようになる。これにより、炭化目標温度への収束傾向を維持した状態で連続して炭化処理を行うことが可能になり、安定した品質の炭化物の生成が可能になる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、炭化装置の運転を、起動時には外部加熱手段により炉内を設定温度まで昇温させて暖機し、暖機終了後に、上記外部加熱手段による加熱をほぼ停止するととともに炭材の供給を開始し、以後、供給された炭材の熱分解反応による発熱により炭化処理を行う構成とするものである。なお、暖機運転が終了して炭化炉内が炭化開始のための最低温度まで昇温すれば、以後、外部加熱手段による熱供給を完全に停止させてもよいが、外部加熱手段を例えば重油を燃焼させる燃焼バーナにより構成した場合には次回の着火が可能な程度の種火状態を維持させるのが好ましい。一方、上記外部加熱手段をLPG等の可燃ガスを燃焼させる燃焼バーナにより構成した場合には燃焼を完全しても着火が容易なため、暖機運転が終了したらその作動を完全に停止してもよい。
【0015】
上記の構成の場合、炭化装置の起動時には外部加熱手段を利用して炭化炉の暖機運転を行い、炭化処理自体は供給された炭材の熱分解反応による発熱を利用して行われることになる。このため、炭化処理時の炉内温度の温度制御が発熱源としての炭材の供給量によってのみ行われることになる。これにより、炭化処理時の温度制御がより的確に行われる上に、加熱のためのエネルギーの省力化も図られることになる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、定量供給される炭材の最大発熱量に相当する最高温度を炭化目標温度として定める一方、炉内温度の検出を炭材が炭化処理の進行に伴い発熱反応している部位において行う構成とするものである。なお、上記の炉内温度の検出は例えば炭化炉の外から内部に差し込んだ熱電対により行えばよい。
【0017】
上記の構成の場合、炉内の炭化目標温度が発熱源としての炭材の量に応じた最大発熱量に基づいて定められる一方、炉内温度の検出が炭材が発熱反応をしている部位において行われるため、炭化炉内の温度制御を具体的にかつ的確に行うことが可能になる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、炭材を炭化炉の長手方向一端から他端まで定速で進行するようにし、その進行に伴い炭化炉内での炭化処理を長手方向一端から他端にかけて炭材の乾燥工程、昇温炭化工程、及び、炭化精練工程を行なわせるようにし、炉内温度の検出を上記炭化精練工程の部位において行う構成とするものである。なお、上記の如く炭材を炭化炉の長手方向一端から他端まで定速で進行させるようにするには、炭化炉を円筒状のロータリ式の回転炉により構成し、この炭化炉を長手方向一端から他端にかけて僅かに下り勾配にして内部の炭材が炭化炉の回転に伴い徐々に前進するか、上記炭化炉を水平にして内部の撹拌羽根の配置等により炭材が炭化炉の回転に伴い徐々に前進するにすればよい。
【0019】
上記の構成の場合、炭化装置での具体的な炭化運転と、その場合の発熱反応をしている具体的な部位とが特定される。すなわち、炭化炉の長手方向一端側から供給された炭材が長手方向他端まで徐々に前進するに従い乾燥工程で乾燥され、昇温炭化工程で炭化が始まって徐々に進行し、炭化精練工程で最大に発熱して炭化が行われる。そして、この炭化精練工程で炉内温度の検出が行われる。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、炭材の乾燥工程の部位の炉内温度を検出し、この第2検出温度が乾燥工程における設定温度よりも低い場合には補助加熱手段により加熱する構成とするものである。なお、上記の補助加熱手段は炭化炉の炭材供給側である長手方向一端側に設ければよく、また、この補助加熱手段と外部加熱手段とを互いに共通にしてその外部加熱手段の作動制御により上記補助加熱手段の加熱作動を行うようにしてもよい。
【0021】
上記の構成の場合、炭化処理において、新たに供給された炭材により炭化炉の長手方向一端側の炉内温度が一時的に低下する事態が生じても、第2検出温度の検出によりその第2検出温度が乾燥工程での設定温度よりも低い場合には補助加熱手段により上記設定温度まで加熱されるため、以後の昇温炭化工程や炭化精練工程を所定の状態に維持することが可能になって安定品質の達成が図られる。その上に、新たに供給される炭材の水分乾燥のための熱量が補助加熱手段により供給されるため炭化処理の迅速化が図られる。
【0022】
また、請求項7記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、炭化装置として炭化炉の長手方向一端側に定量供給手段が付設されているものを用い、炭材の供給量の変更を上記定量供給手段の供給速度を変更することにより行う構成とするものである。なお、上記定量供給手段としては、無段階に連続供給するものの他に、一定時間間隔毎に一定量ずつ段階的に連続して供給するものであってもよい。また、供給速度の変更は、前者の無段階式の場合にはその送り速度を、後者の段階式の場合には時間間隔をそれぞれ変更すればよい。
【0023】
上記の構成の場合、定量供給手段の供給速度の変更により炭材供給量の変更が容易かつ確実に可能になり、その結果、炭化処理時の炭化炉内の温度制御も容易かつ確実になる。
【0024】
さらに、請求項8記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、炭化処理の間、設定量の外気を導入し、この導入外気により炭材もしくは炭化物を部分的に燃焼させる構成とするものである。なお、外気導入は、炭化炉に対し外気を積極的に吹き込む手段を設けてもよいし、炭化処理に伴い発生する排煙を吸引する吸引手段(例えばブロワ)で炭化炉内を負圧状態にすることにより炭化炉の摺動部分等のシール箇所の隙間から外気が入り込むようにしてもよい。
【0025】
ところで、熱分解に伴う発熱反応によりその炭化物が最高温度を示すようになっても、炭化炉内の雰囲気温度がその最高温度よりも低いと、熱分解炭化反応により発生した発熱量が周囲の雰囲気に放散してしまい炉内温度が上記の発熱反応による最高温度に到達するのが抑えられる結果になってしまうことになる。これに対し、上記構成の場合には、導入外気により炭材もしくは炭化物の一部が自己燃焼し、その燃焼熱により炭化炉内の雰囲気温度が昇温されるため、その雰囲気温度と発熱反応している炭化物との互いの温度差が小さくなる傾向となる。このため、発熱反応により炭化物が本来の最高温度に到達し易くなり、所定の炭化目標温度に合致した炭化処理が行われるようになる。これにより、より高品質でかつより安定した品質の炭化物が得られるようになる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る炭化装置の全体構成図である。
【0028】
−全体構成−
図1において、1は炭化処理を行うための円筒状の炭化炉、2は基台、3は上記炭化炉1に炭化原料を定量供給する定量供給手段、4は上記炭化炉1で生成された炭化物を排出する排出手段、5は上記炭化炉1を筒軸X回りに回転駆動する駆動手段、6は炭化処理に伴い発生した排煙を無公害化処理する排煙処理手段、7aは各部に常用冷却のための冷却水を供給する冷却水供給系、7bは各部に緊急冷却のための冷却水を供給する緊急冷却水供給系、8は燃焼用の燃料を供給する燃料供給系である。
【0029】
上記炭化炉1は、その筒軸Xが排出手段4の側に向けてわずかに下り勾配になるように配置され、上記炭化炉1を横断面方向の下部両側から挾むように基台2に設けた複数のローラ21,21…により上記筒軸Xの回りに回転可能に支持されている。そして、この炭化炉1に対し、上記定量供給手段3が上記炭化炉1の長手方向である筒軸X方向の一端側(図1の左端側;以下、左端側という)に、上記排出手段4が他端側(同図の右端側;以下、右端側という)にそれぞれ連結されている。
【0030】
以下、炭化炉1、各手段3,4,5,6、及び、各系7a,7b,8の構成について詳細に説明する。
【0031】
−炭化炉−
上記炭化炉1は、炭化炉本体11と、その筒軸X方向両端開口を閉止する一対の端部カバー12,13と、三者11,12,13の全体を覆う全体カバー14とを備えている。
【0032】
上記炭化炉本体11は、筒軸Xに対し同軸に配設された内筒体15(図2参照)と外筒体16とにより間に環状の隙間171を有する二重管形式で一体化されたものである。そして、上記内筒体15の内周面には、径方向内方に突出する多数の撹拌翼151,151,…が固定され、また、上記外筒体16の筒軸X方向左右両側各位置の外周面161には、上記の各ローラ21が当接して転動する帯板リング状のガイドレール162と、炭化炉1の供給側及び排出側位置の炉内温度を検出する一対の炉内温度検出手段91a,91bを構成する図示省略の熱電対からのリード線163とが設けられている。上記各炉内温度検出手段91a,91bは、上記の熱電対と、リード線163と、基台2側に設けられ上記リード線163と接触して検出電流を取り出す接触子911a,911bとから構成されており、炭化炉本体11の筒軸X方向を略3等分した各位置に配設されている。
【0033】
上記供給側端部カバー12は、図2に詳細を示すように、上記炭化炉本体11の左端側に外嵌された周壁部121と、この周壁部121の筒軸X方向外方端側を閉止する端壁部122と、上記周壁部121の筒軸X方向内方端側に固定されて上記炭化炉本体11の外周面(外筒体16の外周面)との間をシールする環状シール部材123とから基本構成されており、基台2に対し後述の回転止め124を介して回転変位しないように取付けられている。上記周壁部121の筒軸X方向外方端側は上記炭化炉本体11の左端より筒軸X方向外方に突出するよう配置されて、上記炭化炉本体11の左端と端壁部122との間に炭化炉本体11の熱膨脹量を許容できる幅の筒軸方向隙間125が形成されている。
【0034】
上記周壁部121の下部位置にはメンテナンス用の開閉扉126が設けられ、また、上記端壁部122には外部加熱手段及び補助加熱手段を構成する第1燃焼バーナ20aと、定量供給手段3の後述の送給筒体33と、エア環流管路用ダンパ921(図1参照)とが設けられている。上記第1燃焼バーナ20aは、燃料供給系8から供給された燃料を燃焼させることにより、その燃焼ガスを炭化炉1内に直接吹き込んで加熱するようになっている。また、上記ダンパ921はエア環流管路92の下流端側に設けられたものであり、このエア環流管路92の上流端は上記全体カバー14を貫通して全体カバー14と炭化炉本体11との間の空間と連通され、そのエア環流管路92の中間位置にはエア流量を調整するエアバルブ922が介装されている。さらに、上記回転止め124は、上記周壁部121の下端。位置から下方に突出した突片124aと、基台2側からその突片124aを周方向両側から挾み込むよう上方に突出させた一対の挾み込み片124bとを備えており、端部カバー12の基台2に対する相対回転変位を阻止するようになっている。
【0035】
そして、上記端部カバー12の筒軸Xに直交する水平方向両側には、基台2から支持部22(図1参照)がそれぞれ立ち上がり、この両支持部22に対し上記端部カバー12が支持されている。
【0036】
上記排出側端部カバー13は、上記供給側端部カバー12と略同様の構成を有し、炭化炉本体11の右端側に外嵌された周壁部と、この周壁部の筒軸X方向外方端側を閉止する端壁部と、上記周壁部の筒軸X方向内方端側に固定されて上記炭化炉本体11の外周面(外筒体16の外周面)との間をシールする環状シール部材とから基本構成されている。そして、上記排出側端部カバー13は、基台2の支持部23に対し上述の供給側端部カバー12と同様に回転変位しないように取付けられている。
【0037】
上記排出側端部カバー13には、炭化炉本体11内と連通する排煙処理手段6の煙導出管61と、外部加熱手段としての第2燃焼バーナ20bとが設けられており、また、上記端部カバー13の下部には排出用ホッパーが設けられこのホッパーはフレキシブルジョイントを介して排出手段4の後述の搬送筒体41と連通されている。なお、図1の140はアクチュエータであり、このアクチュエータ140により炭化炉本体11の内部と上記排出用ホッパーの内部空間と仕切る揺動ゲートが開閉作動されるようになっている。
【0038】
そして、上記炭化炉本体11を回転駆動する駆動手段5は、駆動モータ51と、この駆動モータ51により回転駆動されるスプロケット52と、このスプロケット52に噛み合わされたピン伝達体53とを備えている。上記駆動モータ51及びスプロケット52は基台2に取付けられている一方、上記ピン伝達体53は炭化炉本体11の外周面に取付けられており、駆動モータ51の作動により炭化炉本体11が筒軸X回りに所定速度で回転するようになっている。この回転と下り勾配とにより炭化炉本体11内に供給された炭材が端部カバー12の側から端部カバー13の側まで徐々に前進するようになっている。
【0039】
また、上記ピン伝達体53に隣接して炭化炉本体11の周面には位置規制用のガイドフランジ部材58が径方向外方に突出して固定されており、このガイドフランジ部材58が基台2に固定された両鍔付きガイドローラ59の両鍔間に嵌合されている。これにより、炭化炉本体11の右側下り勾配設定による位置ずれを防止するとともに、炭化炉本体11の筒軸X方向中央位置を熱膨脹,収縮の発生時においても基台2に対し筒軸X方向に相対変位しないように位置規制し、併せて、上記熱膨脹,収縮発生時にも上記ピン伝達体53とスプロケット52との噛み合い位置が限度以上にずれないように位置規制し得るようになっている。
【0040】
−定量供給手段−
定量供給手段3は、図2に詳細を示すように、上下方向に配置されたシュート筒体31と、このシュート筒体31に設けられた間欠定量供給部32と、上記シュート筒体31の下端に連通されて炭化炉1に向かって横向きに延ばされて先端が供給側端部カバー12を貫通して炭化炉本体11の内部底位置に位置付けられるよう基台2に支持された送給筒体33と、この送給筒体33内に配設された連続定量供給部であるスクリューコンベア34とを備えている。
【0041】
上記シュート筒体31は、上下方向に所定間隔を隔てて配設されシュート筒体31の内部空間を開閉可能に遮断する一対のシャッタ弁35a,35bによって、3つのシュート筒部311,312,313に区画されている。上記一対のシャッタ弁35a,35bによって炭化炉1の定量供給手段3側の密閉性が確保されるとともに、上記3つのシュート筒部311,312,313の各内部空間の断面積が上から順にA1 ,A2 ,A3 と段階的に大きくなるように形成されて、炭化原料のつまり防止が図られるようになっている。また、上記シュート筒体31の上端には、図示省略のホッパーもしくはコンベアが接続されて、炭化原料がシュート筒体31内に投入されるようになっている。
【0042】
上記間欠定量供給部32は、上記の一対のシャッタ弁35a,35bと、各シャッタ弁35a,35bの下側のシュート筒部312,313に設けられて内部の炭化原料の有無を検出する例えば光電管センサにより構成された一対のレベルセンサ36a,36bとから構成されている。この上側レベルセンサ36aはシュート筒部312の上端部位置に配設されてシュート筒部312内の炭化原料の高さを検出し、下側レベルセンサ36bはシュート筒部313の下端部位置に配設されてシュート筒部313内の炭化原料の高さを検出するようになっている。そして、上記間欠定量供給部32は、上側シャッタ弁35aを開状態、下側シャッタ弁35bを閉状態にして下側シャッタ弁35b上に炭化原料を溜めた後、上記上側シャッタ弁35aを逆に閉状態、下側シャッタ弁35bを開状態にして両シャッタ弁35a,35b間の炭化原料を上記スクリューコンベア34に送り、これを繰り返すことにより定量の炭化原料ずつを下方のスクリューコンベア34に供給するようになっている。この際、上記の下側シャッタ弁35bの開作動が下側レベルセンサ36bからの検出信号を受けて行われ、上側シャッタ弁35aの閉作動が上側レベルセンサ36aからの検出信号を受けて行われるようになっている。
【0043】
また、上記シュート筒部313には第1緊急冷却手段37が設けられており、この第1緊急冷却手段37は、上記シュート筒部313の最下端側の位置から内部に向かい冷却水を噴射する第1冷却水ノズル371と、緊急冷却水供給系7bからこの第1冷却水ノズル371への冷却水の供給を制御する制御弁71と、上記シュート筒部313の最下端側の位置に設けられて内部の雰囲気温度を検出する温度センサ372とを備えている。そして、上記第1緊急冷却手段37は、上記第1温度センサ372による検出温度が炭化原料の着火温度に対応する温度として予め設定された設定温度に達した時に上記制御弁71を開作動して、上記第1冷却水ノズル371からシュート筒部313の最下端側位置にある炭化原料に冷却水を噴射するようになっている。
【0044】
上記スクリューコンベア34は、端部に固定されたスプロケット340が図示省略の駆動モータとチェーンを介して接続され、その駆動モータの回転作動により回転駆動されるようになっている。そして、上記スクリューコンベア34の羽根341,341,…は、そのスクリューコンベア34の軸方向に対するピッチが上記シュート筒部313側から炭化炉1の側に向かい徐々に大きくなるように形成されており、これにより、スクリューコンベア34内での搬送物である炭化原料のつまりを防止するようになっている。
【0045】
なお、図2中314は炭材のつまりが万一発生した場合のメンテナンス用開閉扉であり、38は半月状の堤体である。この堤体38は上記搬送筒体33の炭化炉1側の先端に内筒体15の下半部を閉止するように取付けられて、その内筒体15内の炭化原料もしくは炭化物が供給側端部カバー12側にこぼれるのを防止するようになっている。
【0046】
−排出手段4−
排出手段4は、排出側端部カバー13の排出用ホッパーに密閉状態で連通し基端から先端に向けて上り勾配となるよう配設された搬送筒体41(図1参照)と、この搬送筒体41内に配設されて炭化物を上記他端まで搬送する図示省略のスクリューコンベアと、上記搬送筒体41の先端に連通されて下方に延びるシュート筒体43と、上記搬送筒体41内の炭化物を冷却する冷却手段44と、上記搬送筒体41内の炭化物に対する第2緊急冷却手段45とを備えている。
【0047】
上記シュート筒体43は、上下方向に所定間隔を隔てて配設されシュート筒体43の内部空間を開閉可能に遮断する一対のシャッタ弁46a,46bによって3つのシュート筒部に区画されている。上記一対のシャッタ弁46a,46bはレベルセンサ47による炭化物の有無の検出信号に基づいて開閉制御され、供給側と同様に、炭化炉1の排出手段4側の密閉性が確保された状態で炭化物を間欠的に定量ずつ落下排出し得るようになっている。
【0048】
また、上記冷却手段44は、上記の搬送筒体41の長手方向各位置から内部に向かい冷却水供給系7aからの冷却水を噴射する複数の冷却水ノズルと、これら各冷却水ノズルへ上記冷却水供給系7aから冷却水を供給する第1冷却水供給管70dとを備えている。そして、この第1冷却水供給管70dに介装された開閉バルブ72を開状態に切換ることにより搬送筒体41内の炭化処理直後の高熱の炭化物に上記各冷却水ノズルから冷却水を噴射してその炭化物を冷却するようになっている。
【0049】
さらに、上記第2緊急冷却手段45は、上記搬送筒体41の先端側のシュート筒体43に臨む位置から内部に向かい緊急冷却水供給系7bからの冷却水を噴射する冷却水ノズルと、この冷却水ノズルへ上記緊急冷却水供給系7bから冷却水の供給を制御する制御弁73と、上記搬送筒体41の先端側の位置に設けられて内部の雰囲気温度を検出する温度センサとを備えている。そして、上記第2緊急冷却手段45は、第1緊急冷却手段37と同様に、上記温度センサによる検出温度が炭化物の着火温度に対応する温度として予め設定された設定温度に達した時に上記制御弁73を開作動して、上記冷却水ノズルから内部の排出予定の炭化物に冷却水を噴射するようになっている。
【0050】
−排煙処理手段−
排煙処理手段6は、排出側端部カバー13の上部に連通された煙導出管61と、この煙導出管61により炭化炉1から導出された排煙に含まれる粉炭を分離回収するサイクロン62と、このサイクロン62で粉炭が除去された後の可燃ガスを含む煙を燃焼処理するアフタバーナ63と、上記煙導出管61の途中に介装されて上記炭化炉1内から煙を吸引して上記アフタバーナ63まで送給するブロワ64とを備えている。
【0051】
加えて、上記アフタバーナ63には、炭化炉本体11と全体カバー14との間の空間に連通された漏出煙導出管65が接続されており、この漏出煙導出管65に介装されたブロワ66により外筒体16とシール部材123との間から上記空間に漏出した煙が上記アフタバーナ63まで送給されるようになっている。
【0052】
上記サイクロン62には第3緊急冷却手段67が設けられており、この第3緊急冷却手段67は、上記サイクロン62の上流側位置の煙導出管61に設けられた温度センサ611と、上記サイクロン62に緊急冷却水供給系7bからの冷却水を供給する第3緊急冷却水供給管70cと、この第3緊急冷却水供給管70cに介装された制御弁74とで構成されている。そして、上記第3緊急冷却手段67は、上記温度センサ611による検出温度が粉炭の着火温度に対応する温度として予め設定された設定温度に達した時に上記制御弁74を開作動して、上記第3緊急冷却水供給管70cから冷却水を供給してサイクロン62を緊急に冷却するようになっている。
【0053】
上記のブロワ64はその吸引作動により炭化炉1の内部をわずかに負圧に保つように運転制御されるようになっており、この負圧設定により供給側及び排出側の両シール123の隙間から所定の設定量の外気を炭化炉本体11の内部に導入して内部の炭材もしくは炭化物の一部を自己燃焼させるようになっている。また、上記ブロワ64には、冷却水供給系7aからの冷却水を供給する第2冷却水供給管70eが開閉バルブ75を介して接続され、この第2冷却水供給管70eからの冷却水により上記ブロワ64の軸受けが常時冷却されるようになっている。
【0054】
さらに、上記アフタバーナ63は燃焼バーナ631を有しており、この燃焼バーナ631には燃料供給系8から後述のごとく重油(A重油),気化石油ガス及び燃焼用空気が供給されるようになっている。そして、上記アフタバーナ63は排煙中の可燃ガスを完全燃焼させて無公害化し、燃焼後の排気ガスを大気中に放出するようになっており、その上部に配設された温度センサ632による燃焼温度の検出値に基づいて上記の空気及び重油の各供給量が制御が行われるようになっている。
【0055】
−冷却水供給系7a及び緊急冷却水供給系7b−
冷却水供給系7aは、水タンク等の水源76と、この水源76からポンプ77を介して冷却水を排出手段4の冷却手段44に供給する第1冷却水供給管70dと、上記ポンプ77を介して上記冷却水を排煙処理手段6のブロワ64に供給する第2冷却水供給管70eとを備えている。そして、炭化炉1で炭化処理運転中においては、各冷却水供給管70d,70eに介装された開閉バルブ72,75が常時開状態にされて冷却水が上記冷却手段44及びブロワ64に常時供給状態にされるようになっており、これにより、排出手段4における炭化物と、ブロワ64の軸受けとを常時冷却するようになっている。
【0056】
また、緊急冷却水供給系7bは、上記の水源76と、この水源76からポンプ78を介して冷却水を定量供給手段3の第1緊急冷却手段37に供給する第1緊急冷却水供給管70aと、上記ポンプ78によって冷却水を排出手段4の第2緊急冷却水定量供給手段45に供給する第2緊急冷却水供給管70bと、上記ポンプ78によって冷却水を排煙処理手段6のサイクロン62に供給する第3緊急冷却水供給管70cとを備えている。そして、上記各緊急冷却水供給管70a,70b,70cに介装された各制御弁71,73,74が通常は閉状態に制御される一方、各温度センサ372,452,611の検出値が所定の設定温度を超えた異常事態発生時に上記各制御弁71,73,74が開状態にされて各緊急冷却水定量供給手段37,45及びサイクロン62に冷却水が供給されるようになっている。
【0057】
−燃料供給系8−
燃料供給系8は、重油,気化石油ガス及び燃焼用空気の3種類の供給系からなるものである。
【0058】
重油供給系は、重油タンク80と、この重油タンク80から重油を供給するオイルポンプ81と、このオイルポンプ81からの重油を第1制御弁82aを介して第1燃焼バーナ20aに供給する第1燃料供給管80aと、上記重油を第2制御弁82bを介して第2燃焼バーナ20bに供給する第2燃料供給管80bと、上記重油を第3制御弁82cを介してアフタバーナ63の燃焼バーナ631に供給する第3燃料供給管80cとを備えている。
【0059】
また、気化石油ガス供給系は、液化プロパンガス(LPG)ボンベ83と、このLPGボンベ83からの気化石油ガスを第1開閉バルブ84aを介して上記第1燃料供給管80aに供給する供給管83aと、上記気化石油ガスを第2開閉バルブ84bを介して上記第2燃料供給管80bに供給する供給管83bと、上記気化石油ガスを第3開閉バルブ84cを介して上記第3燃料供給管80cに供給する供給管83cとを備えている。
【0060】
さらに、空気供給系は、ブロワ85により取り入れた空気の上記第1燃料供給管80aへの供給エア流量を所定量に調整する第1エアバルブ86aと、上記空気の上記に燃料供給管80bへの供給エア流量を所定量に調整する第2エアバルブ86bと、ブロワ87により取り入れた空気の上記第3燃料供給管80cへの供給エア流量を所定量に調整する第3エアバルブ86cとを備えている。
【0061】
なお、上記重油,気化石油ガス及び空気についての第1〜第3燃料供給管80a,80b,80cは、便宜上、同一の管路として図示,説明しているが、実際には、重油,気化石油ガス及び空気が個別に各燃焼バーナ20a,20b,631に供給されるようになっている。
【0062】
この燃料供給系8において、気化石油ガス供給系における各開閉バルブ84a,84b,84cと、重油供給系における各制御弁82a,82b,82cとの開閉は、次のように行われるようになっている。すなわち、第1〜第3燃焼バーナ20a,20b,631の着火開始時には、上記各制御弁82a,82b,82cが閉状態にされる一方、各開閉バルブ84a,84b,84cが開状態にされて、気化石油ガスにより上記各燃焼バーナ20a,20b,631の着火,燃焼が行われる。そして、上記着火開始後、燃焼が安定したら、逆に、上記各制御弁82a,82b,82cが開状態にされる一方、各開閉バルブ84a,84b,84cが閉状態にされて、以後、重油により上記各燃焼バーナ20a,20b,631の燃焼制御が行われる。
【0063】
この燃焼制御は、上記の第1制御弁82a及び第1エアバルブ86aが炭化炉1の供給側炉内温度検出手段91aの検出温度に基づいて、上記の第2制御弁82b及び第2エアバルブ86bが排出側炉内温度検出手段91bの検出温度に基づいてそれぞれ開度調整され、第1及び第2燃焼バーナ20a,20bによって、起動時の暖機運転の際に炭化炉本体11内の炉内温度が暖機運転用の設定温度まで昇温するようになっている。この暖機運転用の設定温度として炭材が炭化し始める温度が設定され、定量供給手段3のスクリューコンベア34により供給される炭材の供給量(供給速度)に応じて定められる。例えば、供給量が0.04m3 /minであれば400℃、供給量が0.05m3 /minであれば450℃というように定められる。そして、暖機運転が終了すれば、炭化処理時には第1及び第2の両燃焼バーナ20a,20bは次回の着火が可能な程度の種火状態にされ、上記両燃焼バーナ20a,20bによる熱量供給は実質的に停止されることになる。
【0064】
また、暖機運転終了後の炭化処理時においては、供給側炉内温度検出手段91aの検出温度が後述の乾燥工程用の設定温度より低くなる場合に上記第1制御弁82a及び第1エアバルブ86aが開かれて第1燃焼バーナ20aにより炭化炉本体11の供給側部分が昇温されるようになっている。
【0065】
さらに、上記の第1燃焼バーナ20aによる炭化炉1の供給側に対する加熱において、エアバルブ922の開度調整が上記排出側炉内温度検出手段91bの検出温度に基づいて行われ、これにより、全体カバー14と炭化炉本体11との間の空間漏出した煙が炭化炉1内の供給側に環流されて可燃成分が燃焼されるようになっている。
【0066】
−炭化装置の運転及び温度制御−
炭化装置の起動するには、まず、暖機運転を開始する。この暖機運転は、第1及び第2の両燃焼バーナ20a,20bを燃焼させて燃焼ガスを炭化炉本体11内に直接吹き込むことにより炭化炉本体11内を暖機運転用の所定の設定温度まで昇温させる。この際、供給側炉内温度検出手段911aによる検出温度に基づいて供給側燃焼バーナ20aの燃焼制御を、排出側炉内温度検出手段911bによる検出温度に基づいて排出側燃焼バーナ20bの燃焼制御をそれぞれ上記の如く燃焼制御する。なお、この暖機運転時においては、炭化炉本体11を回転駆動させて空回りさせておいてもよい。
【0067】
炭化炉本体11内が上記設定温度まで昇温すれば、上記第1及び第2の両燃焼バーナ20a,20bを種火状態にして炭化炉本体11への熱供給を停止、すなわち、暖機運転を終了し、続いて定量供給手段3を作動させて当初設定の供給量値に基づいて炭化炉本体11への炭材(例えば廃木材)の連続供給を開始する。そして、炭化炉本体11内では、供給された炭材が炭化炉本体11内を左側の排出側に定速度で徐々に前進して排出側に到達するまでの時間(炭化炉1内の滞留時間;例えば45〜60分)の間に乾燥工程、昇温炭化工程、及び、炭化精練工程が炭材の炭化処理に伴う熱分解の発熱反応で生じる発熱によって順次行われることになる。この乾燥工程は炭化炉本体11の筒軸X方向に対し供給側のほぼ1/3の長さ部分で、昇温工程は中間のほぼ1/3の長さ部分で、及び、炭化精練工程は排出側のほぼ1/3の長さ部分でそれぞれ行われると考えられ、従って、供給側炉内温度検出手段911aは上記乾燥工程と昇温炭化工程との境界部位における炉内温度を、排出側炉内温度検出手段911bは昇温炭化工程と炭化精練工程との境界部位における炉内温度をそれぞれ検出している。
【0068】
上記の炭化処理時には、排出側炉内温度検出手段911aによる検出温度に基づいて上記の炭化精練工程での炉内温度(排出側炉内温度)が目標炭化温度になるように定量供給手段3による供給量が増減制御される。上記目標炭化温度は当初設定の炭材の供給量に基づいて定められる。すなわち、その供給量の炭材が熱分解時の発熱反応に発生させるであろう最大発熱量に対応する温度(最高温度)を目標炭化温度として設定する。そして、上記検出温度が目標炭化温度よりも高い時には上記定量供給手段3のスクリューコンベア34の回転速度を遅くして定量供給量を当初設定よりも減らす一方、上記検出温度が目標炭化温度よりも低い時には上記定量供給手段3のスクリューコンベア34の回転速度を速くして定量供給量を当初設定よりも増やすようにする。炭材の定量供給量が減らされることにより、炭化炉本体11内での炭化精練工程での熱分解による発熱量が低減し、その分、炉内温度が低くなる。逆に、炭材の定量供給量が増やされることにより、上記炭化精練工程での熱分解による発熱量が増大し、その分、炉内温度が高くなる。つまり、炭材の炭化(熱分解)に伴い発熱反応を起こし、その炭化処理過程の炭材自体が熱源となり、その熱源の熱量はその炭材の量に比例するという技術思想に基づくものである。このような炉内温度の温度制御により特に過昇温が防止されて炭化炉1の炉内温度がほぼ一定に維持されるため、予定の炭化度合いのもので安定した品質の炭化物(木炭)を排出側から連続して取り出すことができるようになる。
【0069】
上記の炉内温度の温度制御において、炭材の定量供給量を増やす場合には乾燥工程での乾燥を経て昇温炭化工程で熱分解を起こすまでに供給量を増やした分だけの熱量が必要になり、この熱量を消費した後に炭化精練工程で発熱量の増加により炉内温度が上昇するまでに時間遅れが生じることになる。このため、乾燥工程での炉内温度(供給側炉内温度)が予め設定した設定温度よりも低くならないように、供給側炉内温度検出手段911bによる検出温度が上記設定温度よりも低い時には第1燃焼バーナ20aを燃焼させて供給側炉内温度を上記設定温度を維持するようにし、上記の供給量の増加に伴う熱量補給を一時的に行うようにする。これにより、迅速に、かつ、より安定した品質の炭化物の生成を行い得るようになる。
【0070】
しかも、上記の炭化処理の間、排煙処理手段6のブロワ64の吸引作動により炭化炉1内が所定の負圧状態に維持されシール部材123等の隙間から僅かな量の外気が炭化炉1内に導入されているため、この導入外気により炭材もしくは炭化物の一部が自己燃焼され、この燃焼熱の分だけ炉内温度の上昇が見込まれる。これにより、上記昇温炭化工程や炭化精練工程での発熱と、炭化炉1内の雰囲気温度との温度差が小さくされ、炉内温度が熱分解による最高発熱温度へ到達することが抑制されることなく実現される。
【0071】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、定量供給手段3のシュート筒体31を上から段階的に内空断面積を拡大したシュート筒部311,312,313により構成しているが、これに限らず、各シュート筒部を上から徐々に連続的に拡大してつまり防止を図るようにしてもよい。また、上記シュート筒体31に配設するシャッタ弁の数を3以上にして、これにより区画されるシュート筒部の数を4以上にしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、連続定量搬送部としてスクリューコンベア34を示したが、これに限らず、例えば通常のコンベアを用いてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、冷却手段44等及び緊急冷却手段37等の冷却媒体として水を用いているが、これに限らず、水以外の液体もしくは気体等を冷却媒体として用いてもよい。
【0074】
【試験例】
暖機運転の後、燃焼バーナ20a,20bによる燃焼ガスの吹き込みを停止した状態で定量供給手段3により炭材を定量供給し、この供給された炭材の熱分解による発熱反応の発熱量により炭化処理を連続して行った場合の炉内温度の変化を、供給側及び排出側の2つの炉内温度検出手段911a,911bにより調べた。なお、炭材としては粗破砕した廃木材を用いた。
【0075】
試験は炭材の定量供給量として供給速度が0.04m3 /minと、0.05m3 /minとの2種類の場合について行った。
【0076】
0.04m3 /minの供給速度の場合には暖機運転により炭化炉1内を昇温させる設定温度として400℃を設定し、暖機運転終了後の炭化処理時の最大発熱量に基づく想定最高温度として上記供給側炉内温度検出手段911aの部位で400℃、排出側炉内温度検出手段911bの部位で550℃と想定した。
【0077】
一方、0.05m3 /minの供給速度の場合には暖機運転により炭化炉1内を昇温させる設定温度として450℃を設定し、暖機運転終了後の炭化処理時の想定炉内温度として上記供給側炉内温度検出手段911aの部位で500℃、排出側炉内温度検出手段911bの部位で650℃と想定した。
【0078】
炭化装置の具体的な運転は、起動時に供給側及び排出側の両燃焼バーナ20a,20bを作動させて設定温度に昇温するまで暖機運転を行い、暖機終了により、上記両燃焼バーナ20a,20bの開度を次回着火が可能な程度に絞り、定量供給手段3からの炭材の供給を開始して熱分解時の発熱反応による発熱量によって炭化処理を開始する。なお、炭化処理開始の直後は供給側燃焼バーナ20aを供給側炉内温度検出手段911aの検出温度に基づいて設定温度(400℃または450℃)を維持するように一時的に作動させた。そして、定量供給状態での炭材の供給と炭化物の排出とを所定時間連続して行った後、ある時間で炭材の供給を停止し、炭化炉1内の炭材の炭化処理の終了を待ってポストパージに移る。ポストパージは炭化炉1内の排煙を排煙処理手段6の側にほぼ全て排出すると同時に自然冷却を行うものであり、所定時間の後、このポストパージが終了すれば全ての運転を停止する。
【0079】
0.04m3 /minの供給速度の場合の試験結果を図3に、0.05m3 /minの供給速度の場合の試験結果を図4にそれぞれ示す。
【0080】
図3に基づいて0.04m3 /minの供給速度の場合の温度変化について考察するに、暖機運転開始から25分後に炭化炉1の供給側の炉内温度(同図の一点鎖線参照)が400℃に到達し、以後、供給側炉内温度は炭材の供給開始により低下したり供給側燃焼バーナ20aの作動により上昇したりして400℃を挟んで上下するものの、その後、ほぼ400℃で安定する。
【0081】
一方、排出側炉内温度(図3の実線参照)は、炭材の供給開始から20分位経過すると400℃付近から600℃付近まで急上昇する。これは、炭材の一部の自己燃焼による燃焼熱と、炭化が開始されてその発熱反応によるものと考えられる。そして、引き続いて炭材の供給が行われ熱分解による発熱反応が定常的に行われるようになると、排出側炉内温度はほぼ550℃で安定する。
【0082】
その後、210分時点で炭材の供給を停止し、それまでの供給された炭材の炭化処理を255分時点で終了させ、以後、ポストパージして自然冷却させる。炭材の供給を停止した後に、供給側及び排出側の両炉内温度が共に一時的に急上昇しているが、これは新たな炭材を乾燥させるための熱量が不要になるため、炭化物が加熱されて燃焼したためと考えられる。
【0083】
次に、図4に基づいて0.05m3 /minの供給速度の場合の温度変化について考察するに、この場合も上記の図3の0.05m3 /minの供給速度の場合とほぼ同様傾向を示し、定常運転状態になると供給側炉内温度はほぼ450℃で安定し、排出側炉内温度はほぼ650℃で安定している。
【0084】
以上の結果より、排出側炉内温度は炭材の供給量が一定であればほぼ一定の温度(550℃もしくは650℃)を示し、その温度はその供給量の炭材の最大発熱量に基づく想定最高温度と合致することが分かる。加えて、上記排出側炉内温度は炭材の供給量が変われば、その供給量に応じて変化する、例えば0.04m3 /minの供給速度では550℃であるのに対し0.05m3 /minの供給速度では650℃に変化する。これは、炭化処理が炭材の熱分解に伴う発熱反応で生じる発熱量により行われ、これが熱源となって炉内温度が支配されるためと考えられる。
【0085】
従って、炭化処理が行われている炉内温度は炭材の供給量を変更すれば、その増減量に比例して上昇もしくは低下し、炉内温度が目標炭化温度から変動する場合にはこのような炭材の供給量の増減調整を行うことにより炉内温度を目標炭化温度て一定に温度制御することが可能であることが分かる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における炭化装置の温度制御方法によれば、発熱反応を起こす炭材の炭化処理において炉内温度が炭化目標温度を超える過昇温の発生の抑制を図ることができ、過昇温に伴う炭化品質の変動を抑制・防止することができる。これにより、安定した品質の炭化物の生成を連続して行うことができるようになる。
【0087】
請求項2記載の発明によれば、発熱反応を起こす炭材の炭化処理において炉内温度を炭化目標温度で一定に維持させることができ、より安定した品質の炭化物の生成を連続して行うことができるようになる。
【0088】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明による効果に加え、炭化処理時の温度制御がより的確に行うことができる上に、炭化装置の運転全体における加熱のためのエネルギーの省力化をも図ることができるようになる。
【0089】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明による効果に加え、炭化炉内の温度制御を具体的にかつ的確に行うことができるようになる。
【0090】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加え、炭化装置での具体的な炭化運転と、その場合の発熱反応をしている具体的な部位とを特定することができる。
【0091】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明による効果に加え、炭化処理において、新たに供給された炭材により炭化炉の長手方向一端側の炉内温度が一時的に低下する事態が生じても、第2検出温度の検出に基づいて補助加熱手段により設定温度まで加熱されるため、以後の昇温炭化工程や炭化精練工程を所定の状態に維持することができ安定品質の達成を図ることができる。その上に、新たに供給される炭材の水分乾燥のための熱量が補助加熱手段により供給されるため炭化処理の迅速化をも図ることができる。
【0092】
また、請求項7記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明による効果に加え、定量供給手段の供給速度の変更により炭材供給量の変更が容易かつ確実になり、その結果、炭化処理時の炭化炉内の温度制御も容易かつ確実に行い得るようになる。
【0093】
さらに、請求項8記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明による効果に加え、炭化物の発熱反応により炉内温度が本来の最高温度に到達し易くなり、所定の炭化目標温度に合致した炭化処理を実現することができ、これにより、より高品質でかつより安定した品質の炭化物が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】定量供給手段側の拡大断面説明図である。
【図3】0.04m3 /minの供給速度で定量供給した場合の時間経過と炉内温度との関係図である。
【図4】0.05m3 /minの供給速度で定量供給した場合の時間経過と炉内温度との関係図である。
【符号の説明】
1 炭化炉
3 定量供給手段
20a 供給側燃焼バーナ(外部加熱手段,補助加熱手段)
20b 排出側燃焼バーナ(外部加熱手段)
34 スクリューコンベア
35a シャッタ弁
35b シャッタ弁
911a 供給側炉内温度検出手段
911b 排出側炉内温度検出手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば間伐材等の未利用材,木質系の建築解体材,木材加工時の端材等の廃木材、コーヒー豆滓、樹皮、松根、廃回路基板、鶏糞、もしくは、馬房ウッドチップ等を炭材(炭化原料)として用いて炭化処理することにより炭化物として再利用,有効利用を図る炭化装置における温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の炭化装置における加熱方法としては燃焼バーナによる燃焼ガスの炭化炉内への直接吹き込み等の外部加熱手段を用いる方法が知られ、このような外部加熱手段を用いた場合の温度制御方法としては、上記炭化炉に設けた炉内温度検出手段による検出温度に基づく方法が知られている(例えば、特開平8−218076号公報参照)。
【0003】
このものでは、円筒状炭化炉に対し炭材供給側の長手方向一端と、炭化物排出側の他端とのそれぞれに燃焼バーナを設けるととともに、上記炭化炉の炭材供給側と炭化物排出側とのそれぞれに炉内温度検出手段を設け、炭材供給側の検出温度に基づいて上記一端側燃焼バーナを、炭化物排出側の検出温度に基づいて上記他端側燃焼バーナをそれぞれ燃焼制御し、炭化炉内の炭材供給側と炭化物排出側との両炭化温度が同じになるように温度制御している。
【0004】
また、上記の燃焼バーナによる昇温制御の補助として外部の空気を導入し炭材の一部を自己燃焼させることも提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の如き炭材の炭化はその炭材を構成する成分の熱分解であり、この熱分解は比較的短時間に生じる発熱反応を伴うものである。このため、炭化炉内の温度制御はこの炭化に伴う発熱反応による発熱量を考慮して行う必要がある。
【0006】
ところが、上記発熱反応自体の制御は極めて困難であり、発熱反応が一旦始まるとこれを抑制することは極めて困難なものとなる。特に過昇温に対する降温制御は不可能に近いものとなる。つまり、外部加熱手段を用いて外部から熱供給する方式(外熱供給方式)では初期の昇温制御は行い得ても、発熱反応が始まった後の炭化炉内の温度制御、特に降温制御は行い得ないものとなる。このため、特に、炭材を連続して定量供給し連続して炭化物の生成を行うという連続式の炭化処理においては、一定温度の維持が困難となり安定した品質の炭化物を得るのが困難となる上に、炭材の材料損失の増大を招くことにもなる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安定した品質の炭化物を連続して得られる温度制御方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
ところで、上記の発熱反応の発熱量は炭材の量に比例し、その発熱量により加熱されて炭化が進行して炉内温度はある最高温度を示すことになる。この炉内温度は上記発熱量に比例して昇温することになるため、上記最高温度は廃木材等の炭材の量に応じた特定の値を示すことになる。本発明はこのような点に着目して完成されたものであり、炭材の量に応じた最大発熱量に相当する最高温度を目標炭化温度とし、この目標炭化温度に基づいて供給する炭材の量を増減調整することにより発熱反応を一定状態に維持し、これにより、一定の炭化処理温度となる温度制御を実現しようとするものである。
【0009】
具体的には、本発明は、炭材を加熱することにより炭化処理する炭化炉を有し、この炭化炉の長手方向一端から炭材を連続的に定量供給し、この供給された炭材を炭化炉の長手方向他端まで徐々に進行させる間に炭化目標温度下で炭化処理し、生成された炭化物を上記長手方向他端から排出するように構成された炭化装置の温度制御方法を前提とし、以下の制御を行うものである。
【0010】
請求項1記載の発明は、特に降温制御を意図したものであり、上記炭化炉内の温度を検出し、検出温度が炭化目標温度よりも高い場合には上記炭材の炭化炉への供給量を低減する構成とするものである。
【0011】
上記の構成の場合、炭化炉内の温度(炉内温度)が炭化目標温度よりも高い場合には定量供給されている炭材の供給量が低減され、この低減された供給量で定量供給が行われるようになる。これにより、発熱反応を起こす炭材を発熱源としてその発熱源自体の量が低減されるため、炉内の発熱量が抑制され炉内温度が炭化目標温度により近付くように降温されることになり、過昇温の抑制が図られて過昇温に伴う炭化品質の変動が抑制・防止される。
【0012】
請求項2記載の発明は、特に一定の炭化処理温度の維持を意図したものであり、上記炭化炉内の温度を検出し、検出温度が炭化目標温度になるように上記炭材の炭化炉への供給量を増減調整する構成とするものである。
【0013】
上記の構成の場合、炉内温度の検出温度が炭化目標温度になるように炭材の供給量が増減調整されるため、発熱反応を起こす炭材を発熱源としてその発熱源自体の量の増減調整により炉内の発熱量が増減され炉内温度が炭化目標温度に収束するようになる。これにより、炭化目標温度への収束傾向を維持した状態で連続して炭化処理を行うことが可能になり、安定した品質の炭化物の生成が可能になる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、炭化装置の運転を、起動時には外部加熱手段により炉内を設定温度まで昇温させて暖機し、暖機終了後に、上記外部加熱手段による加熱をほぼ停止するととともに炭材の供給を開始し、以後、供給された炭材の熱分解反応による発熱により炭化処理を行う構成とするものである。なお、暖機運転が終了して炭化炉内が炭化開始のための最低温度まで昇温すれば、以後、外部加熱手段による熱供給を完全に停止させてもよいが、外部加熱手段を例えば重油を燃焼させる燃焼バーナにより構成した場合には次回の着火が可能な程度の種火状態を維持させるのが好ましい。一方、上記外部加熱手段をLPG等の可燃ガスを燃焼させる燃焼バーナにより構成した場合には燃焼を完全しても着火が容易なため、暖機運転が終了したらその作動を完全に停止してもよい。
【0015】
上記の構成の場合、炭化装置の起動時には外部加熱手段を利用して炭化炉の暖機運転を行い、炭化処理自体は供給された炭材の熱分解反応による発熱を利用して行われることになる。このため、炭化処理時の炉内温度の温度制御が発熱源としての炭材の供給量によってのみ行われることになる。これにより、炭化処理時の温度制御がより的確に行われる上に、加熱のためのエネルギーの省力化も図られることになる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、定量供給される炭材の最大発熱量に相当する最高温度を炭化目標温度として定める一方、炉内温度の検出を炭材が炭化処理の進行に伴い発熱反応している部位において行う構成とするものである。なお、上記の炉内温度の検出は例えば炭化炉の外から内部に差し込んだ熱電対により行えばよい。
【0017】
上記の構成の場合、炉内の炭化目標温度が発熱源としての炭材の量に応じた最大発熱量に基づいて定められる一方、炉内温度の検出が炭材が発熱反応をしている部位において行われるため、炭化炉内の温度制御を具体的にかつ的確に行うことが可能になる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、炭材を炭化炉の長手方向一端から他端まで定速で進行するようにし、その進行に伴い炭化炉内での炭化処理を長手方向一端から他端にかけて炭材の乾燥工程、昇温炭化工程、及び、炭化精練工程を行なわせるようにし、炉内温度の検出を上記炭化精練工程の部位において行う構成とするものである。なお、上記の如く炭材を炭化炉の長手方向一端から他端まで定速で進行させるようにするには、炭化炉を円筒状のロータリ式の回転炉により構成し、この炭化炉を長手方向一端から他端にかけて僅かに下り勾配にして内部の炭材が炭化炉の回転に伴い徐々に前進するか、上記炭化炉を水平にして内部の撹拌羽根の配置等により炭材が炭化炉の回転に伴い徐々に前進するにすればよい。
【0019】
上記の構成の場合、炭化装置での具体的な炭化運転と、その場合の発熱反応をしている具体的な部位とが特定される。すなわち、炭化炉の長手方向一端側から供給された炭材が長手方向他端まで徐々に前進するに従い乾燥工程で乾燥され、昇温炭化工程で炭化が始まって徐々に進行し、炭化精練工程で最大に発熱して炭化が行われる。そして、この炭化精練工程で炉内温度の検出が行われる。
【0020】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、炭材の乾燥工程の部位の炉内温度を検出し、この第2検出温度が乾燥工程における設定温度よりも低い場合には補助加熱手段により加熱する構成とするものである。なお、上記の補助加熱手段は炭化炉の炭材供給側である長手方向一端側に設ければよく、また、この補助加熱手段と外部加熱手段とを互いに共通にしてその外部加熱手段の作動制御により上記補助加熱手段の加熱作動を行うようにしてもよい。
【0021】
上記の構成の場合、炭化処理において、新たに供給された炭材により炭化炉の長手方向一端側の炉内温度が一時的に低下する事態が生じても、第2検出温度の検出によりその第2検出温度が乾燥工程での設定温度よりも低い場合には補助加熱手段により上記設定温度まで加熱されるため、以後の昇温炭化工程や炭化精練工程を所定の状態に維持することが可能になって安定品質の達成が図られる。その上に、新たに供給される炭材の水分乾燥のための熱量が補助加熱手段により供給されるため炭化処理の迅速化が図られる。
【0022】
また、請求項7記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、炭化装置として炭化炉の長手方向一端側に定量供給手段が付設されているものを用い、炭材の供給量の変更を上記定量供給手段の供給速度を変更することにより行う構成とするものである。なお、上記定量供給手段としては、無段階に連続供給するものの他に、一定時間間隔毎に一定量ずつ段階的に連続して供給するものであってもよい。また、供給速度の変更は、前者の無段階式の場合にはその送り速度を、後者の段階式の場合には時間間隔をそれぞれ変更すればよい。
【0023】
上記の構成の場合、定量供給手段の供給速度の変更により炭材供給量の変更が容易かつ確実に可能になり、その結果、炭化処理時の炭化炉内の温度制御も容易かつ確実になる。
【0024】
さらに、請求項8記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、炭化処理の間、設定量の外気を導入し、この導入外気により炭材もしくは炭化物を部分的に燃焼させる構成とするものである。なお、外気導入は、炭化炉に対し外気を積極的に吹き込む手段を設けてもよいし、炭化処理に伴い発生する排煙を吸引する吸引手段(例えばブロワ)で炭化炉内を負圧状態にすることにより炭化炉の摺動部分等のシール箇所の隙間から外気が入り込むようにしてもよい。
【0025】
ところで、熱分解に伴う発熱反応によりその炭化物が最高温度を示すようになっても、炭化炉内の雰囲気温度がその最高温度よりも低いと、熱分解炭化反応により発生した発熱量が周囲の雰囲気に放散してしまい炉内温度が上記の発熱反応による最高温度に到達するのが抑えられる結果になってしまうことになる。これに対し、上記構成の場合には、導入外気により炭材もしくは炭化物の一部が自己燃焼し、その燃焼熱により炭化炉内の雰囲気温度が昇温されるため、その雰囲気温度と発熱反応している炭化物との互いの温度差が小さくなる傾向となる。このため、発熱反応により炭化物が本来の最高温度に到達し易くなり、所定の炭化目標温度に合致した炭化処理が行われるようになる。これにより、より高品質でかつより安定した品質の炭化物が得られるようになる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る炭化装置の全体構成図である。
【0028】
−全体構成−
図1において、1は炭化処理を行うための円筒状の炭化炉、2は基台、3は上記炭化炉1に炭化原料を定量供給する定量供給手段、4は上記炭化炉1で生成された炭化物を排出する排出手段、5は上記炭化炉1を筒軸X回りに回転駆動する駆動手段、6は炭化処理に伴い発生した排煙を無公害化処理する排煙処理手段、7aは各部に常用冷却のための冷却水を供給する冷却水供給系、7bは各部に緊急冷却のための冷却水を供給する緊急冷却水供給系、8は燃焼用の燃料を供給する燃料供給系である。
【0029】
上記炭化炉1は、その筒軸Xが排出手段4の側に向けてわずかに下り勾配になるように配置され、上記炭化炉1を横断面方向の下部両側から挾むように基台2に設けた複数のローラ21,21…により上記筒軸Xの回りに回転可能に支持されている。そして、この炭化炉1に対し、上記定量供給手段3が上記炭化炉1の長手方向である筒軸X方向の一端側(図1の左端側;以下、左端側という)に、上記排出手段4が他端側(同図の右端側;以下、右端側という)にそれぞれ連結されている。
【0030】
以下、炭化炉1、各手段3,4,5,6、及び、各系7a,7b,8の構成について詳細に説明する。
【0031】
−炭化炉−
上記炭化炉1は、炭化炉本体11と、その筒軸X方向両端開口を閉止する一対の端部カバー12,13と、三者11,12,13の全体を覆う全体カバー14とを備えている。
【0032】
上記炭化炉本体11は、筒軸Xに対し同軸に配設された内筒体15(図2参照)と外筒体16とにより間に環状の隙間171を有する二重管形式で一体化されたものである。そして、上記内筒体15の内周面には、径方向内方に突出する多数の撹拌翼151,151,…が固定され、また、上記外筒体16の筒軸X方向左右両側各位置の外周面161には、上記の各ローラ21が当接して転動する帯板リング状のガイドレール162と、炭化炉1の供給側及び排出側位置の炉内温度を検出する一対の炉内温度検出手段91a,91bを構成する図示省略の熱電対からのリード線163とが設けられている。上記各炉内温度検出手段91a,91bは、上記の熱電対と、リード線163と、基台2側に設けられ上記リード線163と接触して検出電流を取り出す接触子911a,911bとから構成されており、炭化炉本体11の筒軸X方向を略3等分した各位置に配設されている。
【0033】
上記供給側端部カバー12は、図2に詳細を示すように、上記炭化炉本体11の左端側に外嵌された周壁部121と、この周壁部121の筒軸X方向外方端側を閉止する端壁部122と、上記周壁部121の筒軸X方向内方端側に固定されて上記炭化炉本体11の外周面(外筒体16の外周面)との間をシールする環状シール部材123とから基本構成されており、基台2に対し後述の回転止め124を介して回転変位しないように取付けられている。上記周壁部121の筒軸X方向外方端側は上記炭化炉本体11の左端より筒軸X方向外方に突出するよう配置されて、上記炭化炉本体11の左端と端壁部122との間に炭化炉本体11の熱膨脹量を許容できる幅の筒軸方向隙間125が形成されている。
【0034】
上記周壁部121の下部位置にはメンテナンス用の開閉扉126が設けられ、また、上記端壁部122には外部加熱手段及び補助加熱手段を構成する第1燃焼バーナ20aと、定量供給手段3の後述の送給筒体33と、エア環流管路用ダンパ921(図1参照)とが設けられている。上記第1燃焼バーナ20aは、燃料供給系8から供給された燃料を燃焼させることにより、その燃焼ガスを炭化炉1内に直接吹き込んで加熱するようになっている。また、上記ダンパ921はエア環流管路92の下流端側に設けられたものであり、このエア環流管路92の上流端は上記全体カバー14を貫通して全体カバー14と炭化炉本体11との間の空間と連通され、そのエア環流管路92の中間位置にはエア流量を調整するエアバルブ922が介装されている。さらに、上記回転止め124は、上記周壁部121の下端。位置から下方に突出した突片124aと、基台2側からその突片124aを周方向両側から挾み込むよう上方に突出させた一対の挾み込み片124bとを備えており、端部カバー12の基台2に対する相対回転変位を阻止するようになっている。
【0035】
そして、上記端部カバー12の筒軸Xに直交する水平方向両側には、基台2から支持部22(図1参照)がそれぞれ立ち上がり、この両支持部22に対し上記端部カバー12が支持されている。
【0036】
上記排出側端部カバー13は、上記供給側端部カバー12と略同様の構成を有し、炭化炉本体11の右端側に外嵌された周壁部と、この周壁部の筒軸X方向外方端側を閉止する端壁部と、上記周壁部の筒軸X方向内方端側に固定されて上記炭化炉本体11の外周面(外筒体16の外周面)との間をシールする環状シール部材とから基本構成されている。そして、上記排出側端部カバー13は、基台2の支持部23に対し上述の供給側端部カバー12と同様に回転変位しないように取付けられている。
【0037】
上記排出側端部カバー13には、炭化炉本体11内と連通する排煙処理手段6の煙導出管61と、外部加熱手段としての第2燃焼バーナ20bとが設けられており、また、上記端部カバー13の下部には排出用ホッパーが設けられこのホッパーはフレキシブルジョイントを介して排出手段4の後述の搬送筒体41と連通されている。なお、図1の140はアクチュエータであり、このアクチュエータ140により炭化炉本体11の内部と上記排出用ホッパーの内部空間と仕切る揺動ゲートが開閉作動されるようになっている。
【0038】
そして、上記炭化炉本体11を回転駆動する駆動手段5は、駆動モータ51と、この駆動モータ51により回転駆動されるスプロケット52と、このスプロケット52に噛み合わされたピン伝達体53とを備えている。上記駆動モータ51及びスプロケット52は基台2に取付けられている一方、上記ピン伝達体53は炭化炉本体11の外周面に取付けられており、駆動モータ51の作動により炭化炉本体11が筒軸X回りに所定速度で回転するようになっている。この回転と下り勾配とにより炭化炉本体11内に供給された炭材が端部カバー12の側から端部カバー13の側まで徐々に前進するようになっている。
【0039】
また、上記ピン伝達体53に隣接して炭化炉本体11の周面には位置規制用のガイドフランジ部材58が径方向外方に突出して固定されており、このガイドフランジ部材58が基台2に固定された両鍔付きガイドローラ59の両鍔間に嵌合されている。これにより、炭化炉本体11の右側下り勾配設定による位置ずれを防止するとともに、炭化炉本体11の筒軸X方向中央位置を熱膨脹,収縮の発生時においても基台2に対し筒軸X方向に相対変位しないように位置規制し、併せて、上記熱膨脹,収縮発生時にも上記ピン伝達体53とスプロケット52との噛み合い位置が限度以上にずれないように位置規制し得るようになっている。
【0040】
−定量供給手段−
定量供給手段3は、図2に詳細を示すように、上下方向に配置されたシュート筒体31と、このシュート筒体31に設けられた間欠定量供給部32と、上記シュート筒体31の下端に連通されて炭化炉1に向かって横向きに延ばされて先端が供給側端部カバー12を貫通して炭化炉本体11の内部底位置に位置付けられるよう基台2に支持された送給筒体33と、この送給筒体33内に配設された連続定量供給部であるスクリューコンベア34とを備えている。
【0041】
上記シュート筒体31は、上下方向に所定間隔を隔てて配設されシュート筒体31の内部空間を開閉可能に遮断する一対のシャッタ弁35a,35bによって、3つのシュート筒部311,312,313に区画されている。上記一対のシャッタ弁35a,35bによって炭化炉1の定量供給手段3側の密閉性が確保されるとともに、上記3つのシュート筒部311,312,313の各内部空間の断面積が上から順にA1 ,A2 ,A3 と段階的に大きくなるように形成されて、炭化原料のつまり防止が図られるようになっている。また、上記シュート筒体31の上端には、図示省略のホッパーもしくはコンベアが接続されて、炭化原料がシュート筒体31内に投入されるようになっている。
【0042】
上記間欠定量供給部32は、上記の一対のシャッタ弁35a,35bと、各シャッタ弁35a,35bの下側のシュート筒部312,313に設けられて内部の炭化原料の有無を検出する例えば光電管センサにより構成された一対のレベルセンサ36a,36bとから構成されている。この上側レベルセンサ36aはシュート筒部312の上端部位置に配設されてシュート筒部312内の炭化原料の高さを検出し、下側レベルセンサ36bはシュート筒部313の下端部位置に配設されてシュート筒部313内の炭化原料の高さを検出するようになっている。そして、上記間欠定量供給部32は、上側シャッタ弁35aを開状態、下側シャッタ弁35bを閉状態にして下側シャッタ弁35b上に炭化原料を溜めた後、上記上側シャッタ弁35aを逆に閉状態、下側シャッタ弁35bを開状態にして両シャッタ弁35a,35b間の炭化原料を上記スクリューコンベア34に送り、これを繰り返すことにより定量の炭化原料ずつを下方のスクリューコンベア34に供給するようになっている。この際、上記の下側シャッタ弁35bの開作動が下側レベルセンサ36bからの検出信号を受けて行われ、上側シャッタ弁35aの閉作動が上側レベルセンサ36aからの検出信号を受けて行われるようになっている。
【0043】
また、上記シュート筒部313には第1緊急冷却手段37が設けられており、この第1緊急冷却手段37は、上記シュート筒部313の最下端側の位置から内部に向かい冷却水を噴射する第1冷却水ノズル371と、緊急冷却水供給系7bからこの第1冷却水ノズル371への冷却水の供給を制御する制御弁71と、上記シュート筒部313の最下端側の位置に設けられて内部の雰囲気温度を検出する温度センサ372とを備えている。そして、上記第1緊急冷却手段37は、上記第1温度センサ372による検出温度が炭化原料の着火温度に対応する温度として予め設定された設定温度に達した時に上記制御弁71を開作動して、上記第1冷却水ノズル371からシュート筒部313の最下端側位置にある炭化原料に冷却水を噴射するようになっている。
【0044】
上記スクリューコンベア34は、端部に固定されたスプロケット340が図示省略の駆動モータとチェーンを介して接続され、その駆動モータの回転作動により回転駆動されるようになっている。そして、上記スクリューコンベア34の羽根341,341,…は、そのスクリューコンベア34の軸方向に対するピッチが上記シュート筒部313側から炭化炉1の側に向かい徐々に大きくなるように形成されており、これにより、スクリューコンベア34内での搬送物である炭化原料のつまりを防止するようになっている。
【0045】
なお、図2中314は炭材のつまりが万一発生した場合のメンテナンス用開閉扉であり、38は半月状の堤体である。この堤体38は上記搬送筒体33の炭化炉1側の先端に内筒体15の下半部を閉止するように取付けられて、その内筒体15内の炭化原料もしくは炭化物が供給側端部カバー12側にこぼれるのを防止するようになっている。
【0046】
−排出手段4−
排出手段4は、排出側端部カバー13の排出用ホッパーに密閉状態で連通し基端から先端に向けて上り勾配となるよう配設された搬送筒体41(図1参照)と、この搬送筒体41内に配設されて炭化物を上記他端まで搬送する図示省略のスクリューコンベアと、上記搬送筒体41の先端に連通されて下方に延びるシュート筒体43と、上記搬送筒体41内の炭化物を冷却する冷却手段44と、上記搬送筒体41内の炭化物に対する第2緊急冷却手段45とを備えている。
【0047】
上記シュート筒体43は、上下方向に所定間隔を隔てて配設されシュート筒体43の内部空間を開閉可能に遮断する一対のシャッタ弁46a,46bによって3つのシュート筒部に区画されている。上記一対のシャッタ弁46a,46bはレベルセンサ47による炭化物の有無の検出信号に基づいて開閉制御され、供給側と同様に、炭化炉1の排出手段4側の密閉性が確保された状態で炭化物を間欠的に定量ずつ落下排出し得るようになっている。
【0048】
また、上記冷却手段44は、上記の搬送筒体41の長手方向各位置から内部に向かい冷却水供給系7aからの冷却水を噴射する複数の冷却水ノズルと、これら各冷却水ノズルへ上記冷却水供給系7aから冷却水を供給する第1冷却水供給管70dとを備えている。そして、この第1冷却水供給管70dに介装された開閉バルブ72を開状態に切換ることにより搬送筒体41内の炭化処理直後の高熱の炭化物に上記各冷却水ノズルから冷却水を噴射してその炭化物を冷却するようになっている。
【0049】
さらに、上記第2緊急冷却手段45は、上記搬送筒体41の先端側のシュート筒体43に臨む位置から内部に向かい緊急冷却水供給系7bからの冷却水を噴射する冷却水ノズルと、この冷却水ノズルへ上記緊急冷却水供給系7bから冷却水の供給を制御する制御弁73と、上記搬送筒体41の先端側の位置に設けられて内部の雰囲気温度を検出する温度センサとを備えている。そして、上記第2緊急冷却手段45は、第1緊急冷却手段37と同様に、上記温度センサによる検出温度が炭化物の着火温度に対応する温度として予め設定された設定温度に達した時に上記制御弁73を開作動して、上記冷却水ノズルから内部の排出予定の炭化物に冷却水を噴射するようになっている。
【0050】
−排煙処理手段−
排煙処理手段6は、排出側端部カバー13の上部に連通された煙導出管61と、この煙導出管61により炭化炉1から導出された排煙に含まれる粉炭を分離回収するサイクロン62と、このサイクロン62で粉炭が除去された後の可燃ガスを含む煙を燃焼処理するアフタバーナ63と、上記煙導出管61の途中に介装されて上記炭化炉1内から煙を吸引して上記アフタバーナ63まで送給するブロワ64とを備えている。
【0051】
加えて、上記アフタバーナ63には、炭化炉本体11と全体カバー14との間の空間に連通された漏出煙導出管65が接続されており、この漏出煙導出管65に介装されたブロワ66により外筒体16とシール部材123との間から上記空間に漏出した煙が上記アフタバーナ63まで送給されるようになっている。
【0052】
上記サイクロン62には第3緊急冷却手段67が設けられており、この第3緊急冷却手段67は、上記サイクロン62の上流側位置の煙導出管61に設けられた温度センサ611と、上記サイクロン62に緊急冷却水供給系7bからの冷却水を供給する第3緊急冷却水供給管70cと、この第3緊急冷却水供給管70cに介装された制御弁74とで構成されている。そして、上記第3緊急冷却手段67は、上記温度センサ611による検出温度が粉炭の着火温度に対応する温度として予め設定された設定温度に達した時に上記制御弁74を開作動して、上記第3緊急冷却水供給管70cから冷却水を供給してサイクロン62を緊急に冷却するようになっている。
【0053】
上記のブロワ64はその吸引作動により炭化炉1の内部をわずかに負圧に保つように運転制御されるようになっており、この負圧設定により供給側及び排出側の両シール123の隙間から所定の設定量の外気を炭化炉本体11の内部に導入して内部の炭材もしくは炭化物の一部を自己燃焼させるようになっている。また、上記ブロワ64には、冷却水供給系7aからの冷却水を供給する第2冷却水供給管70eが開閉バルブ75を介して接続され、この第2冷却水供給管70eからの冷却水により上記ブロワ64の軸受けが常時冷却されるようになっている。
【0054】
さらに、上記アフタバーナ63は燃焼バーナ631を有しており、この燃焼バーナ631には燃料供給系8から後述のごとく重油(A重油),気化石油ガス及び燃焼用空気が供給されるようになっている。そして、上記アフタバーナ63は排煙中の可燃ガスを完全燃焼させて無公害化し、燃焼後の排気ガスを大気中に放出するようになっており、その上部に配設された温度センサ632による燃焼温度の検出値に基づいて上記の空気及び重油の各供給量が制御が行われるようになっている。
【0055】
−冷却水供給系7a及び緊急冷却水供給系7b−
冷却水供給系7aは、水タンク等の水源76と、この水源76からポンプ77を介して冷却水を排出手段4の冷却手段44に供給する第1冷却水供給管70dと、上記ポンプ77を介して上記冷却水を排煙処理手段6のブロワ64に供給する第2冷却水供給管70eとを備えている。そして、炭化炉1で炭化処理運転中においては、各冷却水供給管70d,70eに介装された開閉バルブ72,75が常時開状態にされて冷却水が上記冷却手段44及びブロワ64に常時供給状態にされるようになっており、これにより、排出手段4における炭化物と、ブロワ64の軸受けとを常時冷却するようになっている。
【0056】
また、緊急冷却水供給系7bは、上記の水源76と、この水源76からポンプ78を介して冷却水を定量供給手段3の第1緊急冷却手段37に供給する第1緊急冷却水供給管70aと、上記ポンプ78によって冷却水を排出手段4の第2緊急冷却水定量供給手段45に供給する第2緊急冷却水供給管70bと、上記ポンプ78によって冷却水を排煙処理手段6のサイクロン62に供給する第3緊急冷却水供給管70cとを備えている。そして、上記各緊急冷却水供給管70a,70b,70cに介装された各制御弁71,73,74が通常は閉状態に制御される一方、各温度センサ372,452,611の検出値が所定の設定温度を超えた異常事態発生時に上記各制御弁71,73,74が開状態にされて各緊急冷却水定量供給手段37,45及びサイクロン62に冷却水が供給されるようになっている。
【0057】
−燃料供給系8−
燃料供給系8は、重油,気化石油ガス及び燃焼用空気の3種類の供給系からなるものである。
【0058】
重油供給系は、重油タンク80と、この重油タンク80から重油を供給するオイルポンプ81と、このオイルポンプ81からの重油を第1制御弁82aを介して第1燃焼バーナ20aに供給する第1燃料供給管80aと、上記重油を第2制御弁82bを介して第2燃焼バーナ20bに供給する第2燃料供給管80bと、上記重油を第3制御弁82cを介してアフタバーナ63の燃焼バーナ631に供給する第3燃料供給管80cとを備えている。
【0059】
また、気化石油ガス供給系は、液化プロパンガス(LPG)ボンベ83と、このLPGボンベ83からの気化石油ガスを第1開閉バルブ84aを介して上記第1燃料供給管80aに供給する供給管83aと、上記気化石油ガスを第2開閉バルブ84bを介して上記第2燃料供給管80bに供給する供給管83bと、上記気化石油ガスを第3開閉バルブ84cを介して上記第3燃料供給管80cに供給する供給管83cとを備えている。
【0060】
さらに、空気供給系は、ブロワ85により取り入れた空気の上記第1燃料供給管80aへの供給エア流量を所定量に調整する第1エアバルブ86aと、上記空気の上記に燃料供給管80bへの供給エア流量を所定量に調整する第2エアバルブ86bと、ブロワ87により取り入れた空気の上記第3燃料供給管80cへの供給エア流量を所定量に調整する第3エアバルブ86cとを備えている。
【0061】
なお、上記重油,気化石油ガス及び空気についての第1〜第3燃料供給管80a,80b,80cは、便宜上、同一の管路として図示,説明しているが、実際には、重油,気化石油ガス及び空気が個別に各燃焼バーナ20a,20b,631に供給されるようになっている。
【0062】
この燃料供給系8において、気化石油ガス供給系における各開閉バルブ84a,84b,84cと、重油供給系における各制御弁82a,82b,82cとの開閉は、次のように行われるようになっている。すなわち、第1〜第3燃焼バーナ20a,20b,631の着火開始時には、上記各制御弁82a,82b,82cが閉状態にされる一方、各開閉バルブ84a,84b,84cが開状態にされて、気化石油ガスにより上記各燃焼バーナ20a,20b,631の着火,燃焼が行われる。そして、上記着火開始後、燃焼が安定したら、逆に、上記各制御弁82a,82b,82cが開状態にされる一方、各開閉バルブ84a,84b,84cが閉状態にされて、以後、重油により上記各燃焼バーナ20a,20b,631の燃焼制御が行われる。
【0063】
この燃焼制御は、上記の第1制御弁82a及び第1エアバルブ86aが炭化炉1の供給側炉内温度検出手段91aの検出温度に基づいて、上記の第2制御弁82b及び第2エアバルブ86bが排出側炉内温度検出手段91bの検出温度に基づいてそれぞれ開度調整され、第1及び第2燃焼バーナ20a,20bによって、起動時の暖機運転の際に炭化炉本体11内の炉内温度が暖機運転用の設定温度まで昇温するようになっている。この暖機運転用の設定温度として炭材が炭化し始める温度が設定され、定量供給手段3のスクリューコンベア34により供給される炭材の供給量(供給速度)に応じて定められる。例えば、供給量が0.04m3 /minであれば400℃、供給量が0.05m3 /minであれば450℃というように定められる。そして、暖機運転が終了すれば、炭化処理時には第1及び第2の両燃焼バーナ20a,20bは次回の着火が可能な程度の種火状態にされ、上記両燃焼バーナ20a,20bによる熱量供給は実質的に停止されることになる。
【0064】
また、暖機運転終了後の炭化処理時においては、供給側炉内温度検出手段91aの検出温度が後述の乾燥工程用の設定温度より低くなる場合に上記第1制御弁82a及び第1エアバルブ86aが開かれて第1燃焼バーナ20aにより炭化炉本体11の供給側部分が昇温されるようになっている。
【0065】
さらに、上記の第1燃焼バーナ20aによる炭化炉1の供給側に対する加熱において、エアバルブ922の開度調整が上記排出側炉内温度検出手段91bの検出温度に基づいて行われ、これにより、全体カバー14と炭化炉本体11との間の空間漏出した煙が炭化炉1内の供給側に環流されて可燃成分が燃焼されるようになっている。
【0066】
−炭化装置の運転及び温度制御−
炭化装置の起動するには、まず、暖機運転を開始する。この暖機運転は、第1及び第2の両燃焼バーナ20a,20bを燃焼させて燃焼ガスを炭化炉本体11内に直接吹き込むことにより炭化炉本体11内を暖機運転用の所定の設定温度まで昇温させる。この際、供給側炉内温度検出手段911aによる検出温度に基づいて供給側燃焼バーナ20aの燃焼制御を、排出側炉内温度検出手段911bによる検出温度に基づいて排出側燃焼バーナ20bの燃焼制御をそれぞれ上記の如く燃焼制御する。なお、この暖機運転時においては、炭化炉本体11を回転駆動させて空回りさせておいてもよい。
【0067】
炭化炉本体11内が上記設定温度まで昇温すれば、上記第1及び第2の両燃焼バーナ20a,20bを種火状態にして炭化炉本体11への熱供給を停止、すなわち、暖機運転を終了し、続いて定量供給手段3を作動させて当初設定の供給量値に基づいて炭化炉本体11への炭材(例えば廃木材)の連続供給を開始する。そして、炭化炉本体11内では、供給された炭材が炭化炉本体11内を左側の排出側に定速度で徐々に前進して排出側に到達するまでの時間(炭化炉1内の滞留時間;例えば45〜60分)の間に乾燥工程、昇温炭化工程、及び、炭化精練工程が炭材の炭化処理に伴う熱分解の発熱反応で生じる発熱によって順次行われることになる。この乾燥工程は炭化炉本体11の筒軸X方向に対し供給側のほぼ1/3の長さ部分で、昇温工程は中間のほぼ1/3の長さ部分で、及び、炭化精練工程は排出側のほぼ1/3の長さ部分でそれぞれ行われると考えられ、従って、供給側炉内温度検出手段911aは上記乾燥工程と昇温炭化工程との境界部位における炉内温度を、排出側炉内温度検出手段911bは昇温炭化工程と炭化精練工程との境界部位における炉内温度をそれぞれ検出している。
【0068】
上記の炭化処理時には、排出側炉内温度検出手段911aによる検出温度に基づいて上記の炭化精練工程での炉内温度(排出側炉内温度)が目標炭化温度になるように定量供給手段3による供給量が増減制御される。上記目標炭化温度は当初設定の炭材の供給量に基づいて定められる。すなわち、その供給量の炭材が熱分解時の発熱反応に発生させるであろう最大発熱量に対応する温度(最高温度)を目標炭化温度として設定する。そして、上記検出温度が目標炭化温度よりも高い時には上記定量供給手段3のスクリューコンベア34の回転速度を遅くして定量供給量を当初設定よりも減らす一方、上記検出温度が目標炭化温度よりも低い時には上記定量供給手段3のスクリューコンベア34の回転速度を速くして定量供給量を当初設定よりも増やすようにする。炭材の定量供給量が減らされることにより、炭化炉本体11内での炭化精練工程での熱分解による発熱量が低減し、その分、炉内温度が低くなる。逆に、炭材の定量供給量が増やされることにより、上記炭化精練工程での熱分解による発熱量が増大し、その分、炉内温度が高くなる。つまり、炭材の炭化(熱分解)に伴い発熱反応を起こし、その炭化処理過程の炭材自体が熱源となり、その熱源の熱量はその炭材の量に比例するという技術思想に基づくものである。このような炉内温度の温度制御により特に過昇温が防止されて炭化炉1の炉内温度がほぼ一定に維持されるため、予定の炭化度合いのもので安定した品質の炭化物(木炭)を排出側から連続して取り出すことができるようになる。
【0069】
上記の炉内温度の温度制御において、炭材の定量供給量を増やす場合には乾燥工程での乾燥を経て昇温炭化工程で熱分解を起こすまでに供給量を増やした分だけの熱量が必要になり、この熱量を消費した後に炭化精練工程で発熱量の増加により炉内温度が上昇するまでに時間遅れが生じることになる。このため、乾燥工程での炉内温度(供給側炉内温度)が予め設定した設定温度よりも低くならないように、供給側炉内温度検出手段911bによる検出温度が上記設定温度よりも低い時には第1燃焼バーナ20aを燃焼させて供給側炉内温度を上記設定温度を維持するようにし、上記の供給量の増加に伴う熱量補給を一時的に行うようにする。これにより、迅速に、かつ、より安定した品質の炭化物の生成を行い得るようになる。
【0070】
しかも、上記の炭化処理の間、排煙処理手段6のブロワ64の吸引作動により炭化炉1内が所定の負圧状態に維持されシール部材123等の隙間から僅かな量の外気が炭化炉1内に導入されているため、この導入外気により炭材もしくは炭化物の一部が自己燃焼され、この燃焼熱の分だけ炉内温度の上昇が見込まれる。これにより、上記昇温炭化工程や炭化精練工程での発熱と、炭化炉1内の雰囲気温度との温度差が小さくされ、炉内温度が熱分解による最高発熱温度へ到達することが抑制されることなく実現される。
【0071】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、定量供給手段3のシュート筒体31を上から段階的に内空断面積を拡大したシュート筒部311,312,313により構成しているが、これに限らず、各シュート筒部を上から徐々に連続的に拡大してつまり防止を図るようにしてもよい。また、上記シュート筒体31に配設するシャッタ弁の数を3以上にして、これにより区画されるシュート筒部の数を4以上にしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、連続定量搬送部としてスクリューコンベア34を示したが、これに限らず、例えば通常のコンベアを用いてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、冷却手段44等及び緊急冷却手段37等の冷却媒体として水を用いているが、これに限らず、水以外の液体もしくは気体等を冷却媒体として用いてもよい。
【0074】
【試験例】
暖機運転の後、燃焼バーナ20a,20bによる燃焼ガスの吹き込みを停止した状態で定量供給手段3により炭材を定量供給し、この供給された炭材の熱分解による発熱反応の発熱量により炭化処理を連続して行った場合の炉内温度の変化を、供給側及び排出側の2つの炉内温度検出手段911a,911bにより調べた。なお、炭材としては粗破砕した廃木材を用いた。
【0075】
試験は炭材の定量供給量として供給速度が0.04m3 /minと、0.05m3 /minとの2種類の場合について行った。
【0076】
0.04m3 /minの供給速度の場合には暖機運転により炭化炉1内を昇温させる設定温度として400℃を設定し、暖機運転終了後の炭化処理時の最大発熱量に基づく想定最高温度として上記供給側炉内温度検出手段911aの部位で400℃、排出側炉内温度検出手段911bの部位で550℃と想定した。
【0077】
一方、0.05m3 /minの供給速度の場合には暖機運転により炭化炉1内を昇温させる設定温度として450℃を設定し、暖機運転終了後の炭化処理時の想定炉内温度として上記供給側炉内温度検出手段911aの部位で500℃、排出側炉内温度検出手段911bの部位で650℃と想定した。
【0078】
炭化装置の具体的な運転は、起動時に供給側及び排出側の両燃焼バーナ20a,20bを作動させて設定温度に昇温するまで暖機運転を行い、暖機終了により、上記両燃焼バーナ20a,20bの開度を次回着火が可能な程度に絞り、定量供給手段3からの炭材の供給を開始して熱分解時の発熱反応による発熱量によって炭化処理を開始する。なお、炭化処理開始の直後は供給側燃焼バーナ20aを供給側炉内温度検出手段911aの検出温度に基づいて設定温度(400℃または450℃)を維持するように一時的に作動させた。そして、定量供給状態での炭材の供給と炭化物の排出とを所定時間連続して行った後、ある時間で炭材の供給を停止し、炭化炉1内の炭材の炭化処理の終了を待ってポストパージに移る。ポストパージは炭化炉1内の排煙を排煙処理手段6の側にほぼ全て排出すると同時に自然冷却を行うものであり、所定時間の後、このポストパージが終了すれば全ての運転を停止する。
【0079】
0.04m3 /minの供給速度の場合の試験結果を図3に、0.05m3 /minの供給速度の場合の試験結果を図4にそれぞれ示す。
【0080】
図3に基づいて0.04m3 /minの供給速度の場合の温度変化について考察するに、暖機運転開始から25分後に炭化炉1の供給側の炉内温度(同図の一点鎖線参照)が400℃に到達し、以後、供給側炉内温度は炭材の供給開始により低下したり供給側燃焼バーナ20aの作動により上昇したりして400℃を挟んで上下するものの、その後、ほぼ400℃で安定する。
【0081】
一方、排出側炉内温度(図3の実線参照)は、炭材の供給開始から20分位経過すると400℃付近から600℃付近まで急上昇する。これは、炭材の一部の自己燃焼による燃焼熱と、炭化が開始されてその発熱反応によるものと考えられる。そして、引き続いて炭材の供給が行われ熱分解による発熱反応が定常的に行われるようになると、排出側炉内温度はほぼ550℃で安定する。
【0082】
その後、210分時点で炭材の供給を停止し、それまでの供給された炭材の炭化処理を255分時点で終了させ、以後、ポストパージして自然冷却させる。炭材の供給を停止した後に、供給側及び排出側の両炉内温度が共に一時的に急上昇しているが、これは新たな炭材を乾燥させるための熱量が不要になるため、炭化物が加熱されて燃焼したためと考えられる。
【0083】
次に、図4に基づいて0.05m3 /minの供給速度の場合の温度変化について考察するに、この場合も上記の図3の0.05m3 /minの供給速度の場合とほぼ同様傾向を示し、定常運転状態になると供給側炉内温度はほぼ450℃で安定し、排出側炉内温度はほぼ650℃で安定している。
【0084】
以上の結果より、排出側炉内温度は炭材の供給量が一定であればほぼ一定の温度(550℃もしくは650℃)を示し、その温度はその供給量の炭材の最大発熱量に基づく想定最高温度と合致することが分かる。加えて、上記排出側炉内温度は炭材の供給量が変われば、その供給量に応じて変化する、例えば0.04m3 /minの供給速度では550℃であるのに対し0.05m3 /minの供給速度では650℃に変化する。これは、炭化処理が炭材の熱分解に伴う発熱反応で生じる発熱量により行われ、これが熱源となって炉内温度が支配されるためと考えられる。
【0085】
従って、炭化処理が行われている炉内温度は炭材の供給量を変更すれば、その増減量に比例して上昇もしくは低下し、炉内温度が目標炭化温度から変動する場合にはこのような炭材の供給量の増減調整を行うことにより炉内温度を目標炭化温度て一定に温度制御することが可能であることが分かる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明における炭化装置の温度制御方法によれば、発熱反応を起こす炭材の炭化処理において炉内温度が炭化目標温度を超える過昇温の発生の抑制を図ることができ、過昇温に伴う炭化品質の変動を抑制・防止することができる。これにより、安定した品質の炭化物の生成を連続して行うことができるようになる。
【0087】
請求項2記載の発明によれば、発熱反応を起こす炭材の炭化処理において炉内温度を炭化目標温度で一定に維持させることができ、より安定した品質の炭化物の生成を連続して行うことができるようになる。
【0088】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明による効果に加え、炭化処理時の温度制御がより的確に行うことができる上に、炭化装置の運転全体における加熱のためのエネルギーの省力化をも図ることができるようになる。
【0089】
請求項4記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明による効果に加え、炭化炉内の温度制御を具体的にかつ的確に行うことができるようになる。
【0090】
請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加え、炭化装置での具体的な炭化運転と、その場合の発熱反応をしている具体的な部位とを特定することができる。
【0091】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明による効果に加え、炭化処理において、新たに供給された炭材により炭化炉の長手方向一端側の炉内温度が一時的に低下する事態が生じても、第2検出温度の検出に基づいて補助加熱手段により設定温度まで加熱されるため、以後の昇温炭化工程や炭化精練工程を所定の状態に維持することができ安定品質の達成を図ることができる。その上に、新たに供給される炭材の水分乾燥のための熱量が補助加熱手段により供給されるため炭化処理の迅速化をも図ることができる。
【0092】
また、請求項7記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明による効果に加え、定量供給手段の供給速度の変更により炭材供給量の変更が容易かつ確実になり、その結果、炭化処理時の炭化炉内の温度制御も容易かつ確実に行い得るようになる。
【0093】
さらに、請求項8記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明による効果に加え、炭化物の発熱反応により炉内温度が本来の最高温度に到達し易くなり、所定の炭化目標温度に合致した炭化処理を実現することができ、これにより、より高品質でかつより安定した品質の炭化物が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】定量供給手段側の拡大断面説明図である。
【図3】0.04m3 /minの供給速度で定量供給した場合の時間経過と炉内温度との関係図である。
【図4】0.05m3 /minの供給速度で定量供給した場合の時間経過と炉内温度との関係図である。
【符号の説明】
1 炭化炉
3 定量供給手段
20a 供給側燃焼バーナ(外部加熱手段,補助加熱手段)
20b 排出側燃焼バーナ(外部加熱手段)
34 スクリューコンベア
35a シャッタ弁
35b シャッタ弁
911a 供給側炉内温度検出手段
911b 排出側炉内温度検出手段
Claims (8)
- 炭材を加熱することにより炭化処理する炭化炉を有し、この炭化炉の長手方向一端から炭材を連続的に定量供給し、この供給された炭材を炭化炉の長手方向他端まで徐々に進行させる間に炭化目標温度下で炭化処理し、生成された炭化物を上記長手方向他端から排出するように構成された炭化装置の温度制御方法において、
上記炭化炉内の温度を検出し、検出温度が炭化目標温度よりも高い場合には上記炭材の炭化炉への供給量を低減するようにする
ことを特徴とする炭化装置の温度制御方法。 - 炭材を加熱することにより炭化処理する炭化炉を有し、この炭化炉の長手方向一端から炭材を連続的に定量供給し、この供給された炭材を炭化炉の長手方向他端まで徐々に進行させる間に炭化目標温度下で炭化処理し、生成された炭化物を上記長手方向他端から排出するように構成された炭化装置の温度制御方法において、
上記炭化炉内の温度を検出し、検出温度が炭化目標温度になるように上記炭材の炭化炉への供給量を増減調整するようにする
ことを特徴とする炭化装置の温度制御方法。 - 請求項1または請求項2において、
炭化装置の運転を、起動時には外部加熱手段により炉内を設定温度まで昇温させて暖機し、暖機終了後に、上記外部加熱手段による加熱をほぼ停止するととともに炭材の供給を開始し、以後、供給された炭材の熱分解反応による発熱により炭化処理を行うようにする
ことを特徴とする炭化装置の温度制御方法。 - 請求項1または請求項2において、
定量供給される炭材の最大発熱量に相当する最高温度を炭化目標温度として定める一方、炉内温度の検出を炭材が炭化処理の進行に伴い発熱反応している部位において行うようにする
ことを特徴とする炭化装置の温度制御方法。 - 請求項4において、
炭材を炭化炉の長手方向一端から他端まで定速で進行するようにし、その進行に伴い炭化炉内での炭化処理を長手方向一端から他端にかけて炭材の乾燥工程、昇温炭化工程、及び、炭化精練工程を行なわせるようにし、
炉内温度の検出を上記炭化精練工程の部位において行うようにする
ことを特徴とする炭化装置の温度制御方法。 - 請求項5において、
炭材の乾燥工程の部位の炉内温度を検出し、この第2検出温度が乾燥工程における設定温度よりも低い場合には補助加熱手段により加熱するようにする
ことを特徴とする炭化装置の温度制御方法。 - 請求項1または請求項2において、
炭化装置として炭化炉の長手方向一端側に定量供給手段が付設されているものを用い、
炭材の供給量の変更を上記定量供給手段の供給速度を変更することにより行うようにする
ことを特徴とする炭化装置の温度制御方法。 - 請求項1または請求項2において、
炭化処理の間、設定量の外気を導入し、この導入外気により炭材もしくは炭化物を部分的に燃焼させるようにする
ことを特徴とする炭化装置の温度制御方法。
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