JP3680411B2 - 自動車用空気調和装置のヒータユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車室内を暖房する自動車用空気調和装置のヒータユニットに関し、特にトラック車両に用いられて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、トラック車両用のヒータユニットを用いて説明する。トラック車両用のヒータユニットは、加熱手段としてエンジンの冷却水(温水)を熱源とするヒータコアを用いており、長距離走行により、エンジン内の鋳砂等がヒータコア内の温水流路を詰まらせたり、温風通路のヒータコアにほこり等がつまり、ヒータ能力が低下する場合がある。このような場合は、ヒータコアをヒータユニットから脱着してメンテナンスを施す必要がある。
【0003】
ヒータコアをヒータユニットから容易に脱着する技術として、実公昭59−18886号公報に開示された技術が知られている。この技術は、図9に示すように、室内と室外とを区画する隔壁101にヒータコア脱着用の開口102を設け、室外からヒータコア103を脱着できるようにしたものである。
【0004】
一方、トラック車両用のヒータユニットは、仕向地によっては、生産台数が極少となる場合があり、その場合はヒータユニットを構成するヒータケースの型費がコストに占める割合が大きくなる。
そこで、右ハンドル車専用、あるいは左ハンドル車専用のヒータユニットをやめ、左右ハンドル共用のヒータユニットとする技術として、実開昭49−73137号公報に開示された技術が知られている。この技術は、図10に示すように、ヒータケース104に対する送風機105と内外気切替手段106との組付け方向を相互に替える縦置き型のヒータユニットである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記で示した実公昭59−18886号公報に開示された技術では、隔壁にヒータコアを挿通可能な開口を設ける必要があるため、空調装置の設計とは別に、車両ボディ側の強度を検討する必要が生じる不具合が生じる。
また、実開昭49−73137号公報に開示された技術は、通風抵抗が小さく、且つ空気流の混合性に優れた横置き型のヒータユニットには適用できない不具合が生じる。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ヒータコアを車室内側に抜き出すことができ、かつ横置き型の右ハンドル車用ヒータユニットにも、横置き型の左ハンドル車用ヒータユニットにも同一のヒータケースにて対応できる自動車用空気調和装置のヒータユニットの提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1の手段〕
ヒータケースは、車両の進行方向に対して右または左方向に、空気取入口が設けられたことにより、ヒータユニットは横置き型となる。
また、ヒータケースは、車両の前後方向のそれぞれに加熱手段の挿入口が設けられたことにより、ヒータケースから車室内側に加熱手段を抜き出すことができる。
【0008】
さらに、ヒータケースは、フェイス開口およびデフロスタ開口が、車両の進行方向に対して前後対称位置に設けられたことにより、ヒータケースを前後逆転しても、車両前方が常にフェイス開口あるいはデフロスタ開口の一方として利用でき、車両後方が常にフェイス開口あるいはデフロスタ開口の他方として利用できる。つまり、横置き型の右ハンドル車用ヒータユニットにも、横置き型の左ハンドル車用ヒータユニットにも同一のヒータケースにて対応できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の自動車用空気調和装置のヒータユニットを、図に示す実施例に基づき説明する。
〔実施例の構成〕
図1ないし図8は本発明を採用した実施例を示すもので、図1は右ハンドル車に搭載される状態のヒータユニットの展開図を示し、図1の(a)はヒータユニットの上視図、図1の(b)はヒータユニットの正面図、図1の(c)はヒータユニットの右側面図である。また、図2および図3はヒータコアが装着されたヒータケースの斜視図である。
【0010】
(空気調和装置の概略構成)
自動車用空気調和装置は、例えばトラック車両等における室内前部のフロントパネル内に配置されるもので、フロントパネル内の助手席側から中央部分に亘って横置き配置される。自動車用空気調和装置は、助手席側に配置された送風機ユニット(図示しない)と、車両のほぼ中央付近に配置されたヒータユニット1とを、中間のクーリングユニット(図示しない)で連結した構成を採用する。
【0011】
(ヒータユニット1の概略構成)
ヒータユニット1は、空気を加熱して各部に供給するもので、クーリングユニットに連結されるヒータケース2と、このヒータケース2内に配置されるヒータコア3(加熱手段に相当する)と、ヒータコア3の各部に設けられた開口(後述する)を開閉する開閉装置とから構成され、以下、順次説明する。
【0012】
(ヒータケース2の説明)
ヒータケース2は、樹脂成形技術によって形成された略矩形形状を呈し、図1の(a)、(c)に示す中心線AおよびBに対して対称形状に設けられたもので、クーリングユニットを通過した空気が供給される空気取入口4と、乗員の上半身に空気を導くフェイス吹出口に繋がるフェイス開口5と、車両の窓ガラスに空気を導くデフロスタ吹出口に繋がるデフロスタ開口6と、乗員の足元に空気を導くフット吹出口に繋がるフット開口7とが開口して設けられている。
【0013】
空気取入口4は、本実施例のように右ハンドル車用の場合、車両の進行方向に対して、ヒータケース2の左方向に向けられるものであるが、左ハンドル車用に用いられる場合は、車両の進行方向に対して、ヒータケース2の右方向に向けられるものである。
【0014】
フェイス開口5およびデフロスタ開口6は、ともにヒータケース2の上面に設けられたもので、中心線Aの前側が(隔壁8側)がデフロスタ開口6となり、中心線Aの後側が(乗員側)がフェイス開口5となる。フェイス開口5とデフロスタ開口6とは、中心線Aに対して対称の矩形形状を呈しており、フェイス開口5とデフロスタ開口6とは、ともに同一の開口面積に設けられている。なお、中型、大型のトラック車両では、フロントガラスの面積が大きいため、デフロスタモード時、大風量(例えば370mm3 /h)が必要とされる。このため、デフロスタ開口6がフェイス開口5と同一の開口面積に設けられることによって、フロントガラスに大風量を供給できる。
フット開口7は、ヒータケース2の下面に設けられたもので、中心線Aの前後対称の矩形形状に設けられている。
【0015】
ヒータケース2の前面(隔壁8側)および後面(乗員側)のそれぞれには、ヒータコア3を出し入れ可能な挿入口9が設けられており、図4の(a)に示すように、ヒータコア3の後面側の挿入口9はカバー10によって塞がれる。そして、前後の挿入口9は、同一のカバー10で塞ぐことが可能なものである。なお、図4の(b)のように、従来のヒータコア3Aの乗員側は、ヒータケース2Aと一体に設けられた袋状の壁2Bで塞がれていたが、本実施例では、カバー10を外すことにより、室内側の挿入口9からヒータコア3を室内側へ抜き出すことができる。
【0016】
ヒータケース2は、その下側位置にヒータコア3を収納するように設けられており、ヒータコア3の上側には、ヒータコア3をバイパスするバイパス流路11が設けられている。そして、ヒータコア3を通過する空気割合と、バイパス流路11を流れる空気割合は、エアミックスドア12によって調節される。ヒータケース2内におけるヒータコア3の下流部分には、ヒータコア3を通過した温風を、上方に導き、バイパス流路11を通過した冷風との混合割合を高めるガイド13が形成されている。なお、このガイド13は、着脱可能あるいは入替可能に設けて、ヒータ特性を変更できるように設けても良い。
【0017】
(ヒータコア3の説明)
ヒータコア3は、エンジンの冷却水(温水)と、ヒータケース2内を流れる空気とを熱交換することによって、空気を加熱する周知の温水式の加熱手段であって、エンジンルーム側から室内に隔壁8を貫通して配置される冷却水配管14を用いてエンジン冷却水がヒータコア3を循環するように設けている。
【0018】
(開閉装置の説明)
フェイス開口5、デフロスタ開口6およびフット開口7のそれぞれには、図1、図5および図6に示すように、フェイス開口5を開閉するフェイスドア15、デフロスタ開口6を開閉するデフロスタドア16、フット開口7を開閉するフットドア17が設けられている。上記エアミックスドア12を含む各ドアは、それぞれ回動によって開口を開閉するもので、各ドアは、図5および図6に示すように、レバーやロッド等を組み合わせたリンク機構18、19、20によって回動操作される。
【0019】
なお、フェイスドア15とデフロスタドア16とを回動操作するリンク機構18、フットドア17を回動操作するリンク機構19、エアミックスドア12を回動操作するリンク機構20は、左ハンドル車用に用いられる場合、図7および図8に示すように、それぞれ本実施例(右ハンドル車用)とは前後異なった側に、且つ反転して取り付けられて、各ドアを回動操作するように設けられる。
【0020】
〔実施例の作動〕
次に、上記実施例の作動を説明する。
空気調和装置が作動すると、送風機ユニットの発生した空気流が、クーリングユニットを介してヒータユニット1に供給される。ヒータユニット1に供給される空気流は、まずヒータケース2の左側の空気取入口4から内部に進入し、エアミックスドア12の開度に応じて、ヒータコア3あるいはバイパス流路11、あるいはその両方に流れる。
【0021】
ヒータコア3とバイパス流路11の両方に空気が流れる場合、ヒータコア3を通過した温風は、その下流でバイパス流路11を通過した冷風と混合し、開閉装置によって開かれたフェイス開口5、デフロスタ開口6、あるいはフット開口7からヒータケース2の外部に流れ、フェイス吹出口、デフロスタ吹出口、あるいはフット吹出口から車室内に吹き出される。
【0022】
〔実施例の効果〕
本実施例の自動車用空気調和装置のヒータユニット1は、ヒータケース2の前後のそれぞれの面に、ヒータコア3を出し入れする挿入口9を備えているため、長距離走行などにより、ヒータコア3内にエンジン内の鋳砂等が詰まった場合や、ヒータコア3にほこり等が詰まった場合など、ヒータ能力が低下した場合等のメンテナンス時に、カバー10を取り外して、ヒータコア3をヒータケース2から車室内側に抜き出すことができる。このため、隔壁8には、ヒータコア3を挿通可能な大きな開口を設ける必要がなく、隔壁8には冷却水配管14を通す小さな開口で済み、空調装置の設計とは別に、車両ボディ側の強度を検討する必要がなく、車両搭載性に優れる。
【0023】
また、フェイス開口5およびデフロスタ開口6が、ヒータケース2の上面で、かつ車両の進行方向に対して前後対称位置に対称形状で設けられたことにより、右ハンドル車用のヒータユニット1として用いる場合も、左ハンドル車用のヒータユニット1として用いる場合も、車両前方を常にデフロスタ開口6として利用でき、車両後方を常にフェイス開口5として利用できる。つまり、右ハンドル車用ヒータユニット1にも、左ハンドル車用ヒータユニット1にも同一のヒータケース2にて対応できる。このため、少量生産車種におけるヒータケース2の型費が低減でき、ヒータユニット1を低コスト化することが可能になる。
【0024】
さらに、右ハンドル車用ヒータユニット1にも、左ハンドル車用ヒータユニット1にも、同一のヒータケース2で対応できるが、送風機ユニット、クーリングユニットおよびヒータユニット1が横方向に延びる横置き型であるため、通風抵抗が小さく、且つ空気流の混合性に優れたヒータユニット1とすることができる。
【0025】
〔変形例〕
上記の実施例では、フェイス開口5およびデフロスタ開口6がヒータケース2の上面に設けられる例を示したが、ヒータケース2の下面など、前後に対称であれば他の位置に設けても良い。なお、フット開口7も、前後に対称形状であれば下面以外の他の位置に設けても良い。
上記の実施例では、加熱手段の一例として温水式のヒータコア3を例に示したが、冷凍サイクルの冷媒凝縮器の凝縮熱を利用した加熱手段など、他の加熱手段にも適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒータユニットの展開図である(右ハンドル車用)。
【図2】ヒータコアが装着されたヒータケースの斜視図である。
【図3】ヒータコアが装着されたヒータケースの斜視図である。
【図4】ヒータユニットの要部断面図である。
【図5】リンク機構を示すヒータユニットの正面図である(右ハンドル車用)。
【図6】リンク機構を示すヒータユニットの右側面図である(右ハンドル車用)。
【図7】リンク機構を示すヒータユニットの正面図である(左ハンドル車用)。
【図8】リンク機構を示すヒータユニットの右側面図である(左ハンドル車用)。
【図9】従来技術を示すヒータユニットの概略断面図である。
【図10】従来技術を示すヒータユニットの概略断面図である。
【符号の説明】
1 ヒータユニット
2 ヒータケース
3 ヒータコア(加熱手段)
4 空気取入口
5 フェイス開口
6 デフロスタ開口
7 フット開口
8 隔壁
9 挿入口
Claims (2)
- 空気が供給される空気取入口、乗員の上半身に空気を導くフェイス吹出口に繋がるフェイス開口、車両の窓ガラスに空気を導くデフロスタ吹出口に繋がるデフロスタ開口を備えるヒータケースと、
このヒータケース内に配置され、内部を通過する空気を加熱する加熱手段と
を備える自動車用空気調和装置のヒータユニットにおいて、
前記ヒータケースは、
車両の進行方向に対して右または左方向に、前記空気取入口が設けられ、
車両の進行方向に対して前後方向のそれぞれに、前記加熱手段を内部に挿入する挿入口が設けられ、
前記フェイス開口および前記デフロスタ開口が、車両の進行方向に対して前後対称位置に設けられた
ことを特徴とする自動車用空気調和装置のヒータユニット。 - 請求項1の自動車用空気調和装置のヒータユニットにおいて、
前記フェイス開口と前記デフロスタ開口とは、ともに同一の開口面積に設けられた
ことを特徴とする自動車用空気調和装置のヒータユニット。
Priority Applications (1)
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JP07469996A JP3680411B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 自動車用空気調和装置のヒータユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP07469996A JP3680411B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 自動車用空気調和装置のヒータユニット |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09263117A JPH09263117A (ja) | 1997-10-07 |
JP3680411B2 true JP3680411B2 (ja) | 2005-08-10 |
Family
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Family Applications (1)
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JP07469996A Expired - Fee Related JP3680411B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 自動車用空気調和装置のヒータユニット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11124045B2 (en) * | 2019-06-18 | 2021-09-21 | Valeo North America, Inc. | Heater core and method for servicing a heater core |
-
1996
- 1996-03-28 JP JP07469996A patent/JP3680411B2/ja not_active Expired - Fee Related
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