JP3680025B2 - レーザ加工装置のレーザ加工ヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光をワークに照射して切断や溶接を行うようにしたレーザ加工装置におけるレーザ加工ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のレーザ加工装置として特開平6−190581号公報に示すものが提案されている。このレーザ加工装置は、レーザ加工すべきワークを支持するワークテーブルを2軸制御により傾斜自在かつ回転自在に配設している。又、ワークのレーザ加工を行うレーザ加工ヘッドに、レーザ発振器からのレーザ光を導く光ファイバーケーブルを接続している。前記レーザ加工ヘッドを2軸制御により回転自在かつ傾斜自在に設け、レーザ発振器からのレーザ光を平行光線化するためのコリメータを前記レーザ加工ヘッドの上方の所定位置に収納している。そして、前記コリメータにおいて平行光線化したレーザ光を前記レーザ加工ヘッドの先端部に収納した集光レンズへ導くようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のレーザ加工ヘッドにおいては、コリメータがレーザ加工ヘッドの上方に設けられているため、コリメータからレーザ加工ヘッドの先端部に収納した集光レンズまでの光路長が長くなる。このため、レーザ光の拡散距離も長くなり、エネルギーのロスが多くなるという問題があった。特にYAGレーザは拡散角が大きいため、上述の問題が顕著に表れる。
【0004】
この発明の目的は上記従来の技術に存する問題点を解消して、加工ヘッドを小型化してコリメータを透過したレーザ光の集光レンズまでの光路長を短くしてエネルギーのロスを低減することができるレーザ加工装置におけるレーザ加工ヘッドを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ワークテーブルに支持されたワークに対し、2軸制御により回転制御自在かつ傾斜制御自在に設けたレーザ加工ヘッドの相対移動によりレーザ光を照射してレーザ加工を行うように構成したレーザ加工装置において、レーザ加工ヘッドの垂直軸線を中心に回転制御される回転支持筒の下端部にレーザ光を反射する第1反射ミラーを収納し、前記回転支持筒の下端外周部に対し水平軸線を中心に回転されて傾斜制御される加工ノズルを設け、この加工ノズルに前記第1反射ミラーからのレーザ光を集光レンズに入射する第2反射ミラーを収納し、前記回転支持筒の下端部寄りにおいて前記第1反射ミラーの直上に位置するようにコリメータを収納し、該コリメータに対しレーザ発振器からのレーザ光を導くための光ファイバーケーブルを接続し、前記コリメータを前記回転支持筒を支持するフレーム側に取付部材を介して取り付けたことを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記コリメータは前記フレーム側に垂下固定した取付部材の下端に連結した固定支持筒の内部に取り付けられ、該固定支持筒は前記回転支持筒の下端部に対しベアリングを介して相対回動可能に支持されていることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記回転支持筒の下端開口部には前記第1反射ミラーのホルダーを収納するミラーホルダー収納ケースを取り外し可能に装着し、前記ミラーホルダー収納ケースを前記加工ノズルとともに取り外した状態で一点指向型加工ノズルを装着可能に構成されていることを要旨とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記第1反射ミラーの背面には加工ノズルの先端の開口穴から第2反射ミラーを介してワークを撮像する撮像手段が設けられていることを要旨とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項において、前記回転支持筒は上下に分割可能に構成され、その分割された下部回転支持筒内にコリメータが収納されていることを要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したレーザ加工装置のレーザ加工ヘッドの一実施形態を図面に従って説明する。
【0011】
図2に示すように、このレーザ加工装置のベッド11にはワーク13を支持するワークテーブル12がX軸方向(図2の紙面の左右方向)に往復動可能に支持されている。
【0012】
前記ワークテーブル12の両側方には一対のコラム(図示略)が立設され、両コラムの上部にはY軸支持体(図示略)が架設されている。このY軸支持体にはY軸サドル(図示略)が図2のY軸(紙面と直交する)方向に往復動可能に支持されている。前記Y軸サドルにはZ軸支持体14がZ軸(上下)方向に往復動可能に支持されている。
【0013】
前記Z軸支持体14には取付筒15が上下方向に取り付けられ、該取付筒15には上部回転支持筒16が垂直軸線O1の周りで回動可能に装着されている。前記Z軸支持体14にはフレーム17が取り付けられ、該フレーム17には案内筒18が取り付けられている。前記上部回転支持筒16の上端部は、前記案内筒18に回転可能に嵌入されている。
【0014】
前記取付筒15の外周面には支持台21が一体に設けられ、該支持台21にはサーボモータ22が取り付けられている。このサーボモータ22の上端部に取り付けた駆動プーリ23と、前記上部回転支持筒16の上部外周面に嵌合固定した被動プーリ24との間にはベルト25が掛装されている。そして、前記サーボモータ22が起動されて駆動プーリ23が回転されると、ベルト25を介して被動プーリ24及び上部回転支持筒16が垂直軸線O1の周りで往復回動される。
【0015】
前記上部回転支持筒16の下端開口部には下部回転支持筒26が直列に連結されている。この下部回転支持筒26の下端内周面には図1に示すように上下一対のフランジ部26a,26bが一体に形成されている。両フランジ部26a,26bの取り付け穴26cにはアンギュラベアリング27を介して固定支持筒28が支持されている。この固定支持筒28の上端外周面には、前記アンギュラベアリング27に係止される段差部28aが設けられている。固定支持筒28の下端外周部にはネジ部28bが形成され、該ネジ部28bに螺合したナット29によってフランジ部26a,26bに対する固定支持筒28の上下方向の移動を規制している。前記固定支持筒28内にはレーザの屈折光を平行光線化するためのコリメータ30が上下方向に挿入され、該コリメータ30の上端部には光ファイバーケーブル31が接続されている。この光ファイバーケーブル31は前記上部回転支持筒16内を上方に向って導出され、レーザ発振器32に接続されている。
【0016】
前記固定支持筒28の上端外周部にはフランジ28cが溶接により固定され、該フランジ28cには取付部材33の下端外周部に溶接したフランジ部33aがボルトにより連結されている。前記取付部材33の上端部は、図2に示すように前記Z軸支持体14に取り付けられた取付板34に対しボルトにより連結されている。前記コリメータ30には該コリメータ30を冷却するための冷却パイプ35,35が接続され、図示しない冷却用の水を供給して循環するようになっている。前記光ファイバーケーブル31及び冷却パイプ35は保護パイプ36によって保護されている。
【0017】
前記下部回転支持筒26の下端部には図1に示すようにフランジ部26dが一体に形成されている。このフランジ部26dにはミラーホルダー収納ケース41のフランジ部41aが取り外し可能にボルトBにより連結されている。このミラーホルダー収納ケース41内には第1反射ミラー42を収納したミラーホルダー42aが図示しないブラケットを介して取り付けられている。前記ミラーホルダー収納ケース41の側壁には加工ノズル43が水平軸線O2の周りで傾斜可能に装着されている。前記ミラーホルダー収納ケース41には回転支持筒44がアンギュラベアリング45を介して水平軸線O2を中心に回転可能に支持されている。この回転支持筒44に前記加工ノズル43が取り付けられている。前記加工ノズル43の上部にはミラーカバー46が装着され、該ミラーカバー46には第2反射ミラー47が収納されている。
【0018】
図3に示すように、前記下部回転支持筒26の外周面にはサーボモータ48が取り付けられ、そのサーボモータ48の出力軸に嵌合したプーリ49と、前記回転支持筒44の外端外周部に一体に形成したプーリ50との間にはベルト51が掛装されている。従って、サーボモータ48が起動されプーリ49が回転されると、ベルト51を介してプーリ50が回転され、前記加工ノズル43が水平軸線O2の周りで往復回動され、加工ノズル43の傾斜角制御が行われる。前記加工ノズル43の内部には集光レンズ52が収納され、前記第1反射ミラー42及び第2反射ミラー47を経て下方に導かれたレーザ光を収束して前記ワーク13に照射し、例えば切断加工を行うようになっている。
【0019】
この実施形態では、前記サーボモータ22、駆動及び被動プーリ23,24及びベルト25により、前記上部及び下部回転支持筒16,26の回転制御機構を構成している。又、前記サーボモータ48、プーリ49,50、ベルト51により前記加工ノズル43の傾斜制御機構を構成している。前記回転制御機構及び傾斜制御機構には図示しない制御装置から制御信号が出力され、加工ノズル43を垂直軸線O1及び水平軸線O2の回りで2軸制御するようになっている。
【0020】
図1に示すように前記反射ミラー42の背面には撮像手段としてのCCDカメラ53が取り付けられている。このCCDカメラ53によって、ワーク13から反射された反射光を撮像し、ワーク13のレーザ加工状態を判断するためのデータを検出するようになっている。
【0021】
次に、前記のように構成したレーザ加工装置についてその動作を説明する。
図2において図示しない制御装置からの制御信号によりベッド11上のワークテーブル12がX軸方向にワーク13の移動制御を行うとともに、Z軸支持体14がY軸方向及びZ軸方向に移動制御される。ワークテーブル12及びZ軸支持体14のX,Y,Z軸方向の移動制御は図示しないサーボモータを備えた移動機構により数値制御される。又、前記上部及び下部回転支持筒16,26がサーボモータ22の回転制御により垂直軸線O1の周りで回転制御され、加工ノズル43がサーボモータ48の作動により水平軸線O2の周りで回動制御される。このようにして加工ノズル43のワーク13に対する数値制御動作が予め作成した加工プログラムに基づいて行われる。
【0022】
レーザ発振器32から出力されたレーザ光が光ファイバーケーブル31を通ってコリメータ30に導かれ、ここで屈折光が平行光線化されて前記第1反射ミラー42に入反射される。その後、第2反射ミラー47に入反射されたレーザ光が集光レンズ52に入射されて収束される。この収束されたレーザ光は加工ノズル43の先端部からワーク13に照射され、ワーク13が切断加工される。
【0023】
前記上部及び下部回転支持筒16,26の回転動作が行われても、前記コリメータ30は、前記第1反射ミラー42と非接触のため取付部材33によって取付板34に固定された状態に保持される。
【0024】
次に、前記のように構成したレーザ加工装置についてその効果を列記する。
(1)前記実施形態では、前記下部回転支持筒26の下端部にコリメータ30を収納し、該コリメータ30を前記第1反射ミラー42の直上近傍に配置するようにした。このため、コリメータ30から集光レンズ52までのレーザ光の光路長が短くなる。従って、レーザ光のエネルギーロスを低減することができ、ワークの加工を確実に行うことができる。
【0025】
(2)前記実施形態では、下部回転支持筒26の下端開口部に対し、第1反射ミラー42のミラーホルダー42aを収納したミラーホルダー収納ケース41を取り外し可能に構成した。このミラーホルダー収納ケース41を取り外した状態で下部回転支持筒26の下端開口部に対し1点指向型の加工ノズルを取り外し可能に装着するようにした。このため、使用目的に応じて加工ノズルを取り替えて使用することができる。
【0026】
(3)前記実施形態では、第1反射ミラー42のミラーホルダー42aの背面に対しCCDカメラ53を取り付けた。このため、ワーク13のレーザ加工動作途中において、例えば切断等の加工状態を撮像して制御装置に入力することができ、このため、加工状態を監視して適正なレーザ加工作業を行うデータを得ることができる。
【0027】
(4)前記実施形態では、上部回転支持筒16と下部回転支持筒26により回転支持筒を構成した。このため、取付板34に取付部材33を介してコリメータ30を取り付けた状態で、上部回転支持筒16に対し固定支持筒28を支持した下部回転支持筒26を取り付けることによりコリメータ30の装着や取り外しを容易に行うことができる。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜5記載の発明は、コリメータから集光レンズまでのレーザ光の光路長を短くしてレーザ光のエネルギーのロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明を具体化したレーザ加工ヘッドの要部拡大断面図。
【図2】 レーザ加工ヘッド全体を示す縦断面図。
【図3】 レーザ加工ヘッドの正面図。
【符号の説明】
14…Z軸支持体、15…取付筒、16…上部回転支持筒、26…下部回転支持筒、27…アンギュラベアリング、28…固定支持筒、30…コリメータ、31…光ファイバーケーブル、32…レーザ発振器、41…ミラーホルダー収納ケース、42…第1反射ミラー、42a…ミラーホルダー、43…加工ノズル、44…回転支持筒、47…第2反射ミラー、52…集光レンズ、53…撮像手段としてのCCDカメラ。

Claims (5)

  1. ワークテーブルに支持されたワークに対し、2軸制御により回転制御自在かつ傾斜制御自在に設けたレーザ加工ヘッドの相対移動によりレーザ光を照射してレーザ加工を行うように構成したレーザ加工装置において、
    レーザ加工ヘッドの垂直軸線を中心に回転制御される回転支持筒の下端部にレーザ光を反射する第1反射ミラーを収納し、前記回転支持筒の下端外周部に対し水平軸線を中心に回転されて傾斜制御される加工ノズルを設け、この加工ノズルに前記第1反射ミラーからのレーザ光を集光レンズに入射する第2反射ミラーを収納し、前記回転支持筒の下端部寄りにおいて前記第1反射ミラーの直上に位置するようにコリメータを収納し、該コリメータに対しレーザ発振器からのレーザ光を導くための光ファイバーケーブルを接続し、前記コリメータを前記回転支持筒を支持するフレーム側に取付部材を介して取り付けたことを特徴とするレーザ加工装置のレーザ加工ヘッド。
  2. 請求項1において、前記コリメータは前記フレーム側に垂下固定した取付部材の下端に連結した固定支持筒の内部に取り付けられ、該固定支持筒は前記回転支持筒の下端部に対しベアリングを介して相対回動可能に支持されているレーザ加工装置のレーザ加工ヘッド。
  3. 請求項1又は2において、前記回転支持筒の下端開口部には前記第1反射ミラーのホルダーを収納するミラーホルダー収納ケースを取り外し可能に装着し、前記ミラーホルダー収納ケースを前記加工ノズルとともに取り外した状態で一点指向型加工ノズルを装着可能に構成されているレーザ加工装置のレーザ加工ヘッド。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、前記第1反射ミラーの背面には加工ノズルの先端の開口穴から第2反射ミラーを介してワークを撮像する撮像手段が設けられているレーザ加工装置のレーザ加工ヘッド。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項において、前記回転支持筒は上下に分割可能に構成され、その分割された下部回転支持筒内にコリメータが収納されているレーザ加工装置のレーザ加工ヘッド。
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