JP3679971B2 - ショーケースの排水装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵ショーケースからドレン水を排出するためのショーケースの排水装置、特にドレントラップ、排水網等の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵用のショーケースにおいては、天部、背部及び底部を有するケース本体が備わっており、ケース本体には断熱性が付与されている。そして、ケース本体内を冷凍機によって冷却し、ここに複数段の棚を設けるなどして商品を陳列している。このようなケース本体内には、蒸発器の除霜水、結露水等のドレン水が発生し、かかるドレン水を外部に排出するため、ケース本体底部に排水穴を設けると共に、底部上面に排水穴を最下位とする傾斜を設け、底部上面に落下したドレン水を排水穴から排水経路を介して外部に排出するようにしている。
【0003】
また、ドレン水と共に、商品の包装材の切れ端、毛髪その他のゴミが排出穴に入り込むと、排水経路が詰まるため、排水穴の上端開口を被うように排水網が載置される。更に、排水経路を介して外部の臭気がケース本体内に流入したり、あるいはケース本体内の冷気が外部に流出しないように、従来は、ケース本体底部の下方に、排水穴と連通するS字型の排水ホース(S字ホース)をドレントラップとして設け、このS字ホースにドレン水の一部をトラップするようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記S字ホースをケース本体底部と床面との間に設けるためには、該底部を高くする必要があり、これによりケース本体のフロントが高くなり、その分、ケース本体前方の開口部の寸法が狭まり、設置面積当たりの有効内容積が減少した。また、ドレントラップを清掃する場合、まず、キックプレート(図1の符号17参照)を取り外し、更にケース本体下の狭いスペースにてS字ホースを取り外したり、清掃後再び取り付ける必要があり、トラップ清掃作業が非常に面倒であった。更に、S字ホースは断熱性を有するケース本体底部外下方にあるため、冷水がトラップに溜まると、S字ホースの外表面に結露が生じ、これが床面に落下して溜まる。これを防ぐため、S字ホースの外表面に断熱材を張って対処しており、また、S字ホースを支持するための金具が必要であり、これらに相当のコストがかかった。
【0005】
また、従来の排水網は、排水穴に載置された状態において、排水穴周りの底部上面に対し網を成す細長い桟材が点々と非連続的に接触するものであるため、排水網を持ち上げた際、排水網の側方に溜まったゴミが持ち上がらずに、排水穴に落下してしまう場合があった。更に、従来の排水網では、排水穴に対する位置ずれを防ぐため、別個の金具を付設しており、この金具を取り付ける手間及びコストがかかった。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ショーケースの有効内容積を拡大し、ドレントラップの清掃作業を容易化し、コスト的にも有利なショーケースの排水装置を提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、排水網の持ち上げ時にゴミが排水穴に落ちるようなことがなく、別個の部材を付設することなく排水網の位置ずれ防止することができるショーケースの排水装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る本発明では、ショーケース本体の断熱性を有する底部に設けられた排水穴と、排水穴に着脱自在で該排水穴の上端開口を被うように載置し、ゴミの排水穴への侵入を防止する排水網とを備えたショーケースの排水装置において、前記排水網は排水穴内へ突出するドレントラップ部を有し、このドレントラップ部はドレン水の一部を滞留可能なドレン水滞留部と、ドレン水滞留部と一体成形され、該ドレン水滞留部をドレン水の流入側と流出側とに仕切る仕切部とを有し、ドレン水滞留部の滞留水が流入側−流出側間の気体流連通を遮断することを特徴としている。
【0009】
本発明に係るショーケースの排水装置によれば、ドレントラップが排水網の一部として形成されると共に、このドレントラップ部は断熱性を有するショーケース本体底部内、即ち排水穴内に収まる。そのため次のような諸効果が得られる。
(イ)ケース本体底部の下方にS字ホースを設ける必要がないため、該底部を低くしてショーケースのフロント高さを下げることにより、ショーケースの有効内容積を拡大することができる。
(ロ)ドレントラップ部の清掃は敷板(図1の符号12c参照)を外して排水網を洗浄するだけで済み、従来に比べドレントラップの清掃作業が格段に容易なものとなる。
(ハ)ドレントラップ部が断熱性を有するケース本体底部内の排水穴内に存在するため、従来のS字ホースのように断熱材を張る必要はなく、また、支持金具も不要である。
【0010】
請求項2に係る本発明では、ショーケース本体の断熱性を有する底部に設けられた排水穴と、排水穴に着脱自在で該排水穴の上端開口を被うように載置し、ゴミの排水穴への侵入を防止する排水網と、排水穴にはめ込む排水パイプとを備えたショーケースの排水装置において、前記排水網は排水穴内へ突出する仕切部と、前記ショーケース本体底部の上面における前記排水穴上端開口の全周囲部分に接する鍔部と、当該上面から上方に突出する網部とを有すると共に、該仕切部と鍔部と網部とを一体成形し、前記排水パイプはドレン水の一部を滞留可能なドレン水滞留部を有し、これら仕切部及びドレン水滞留部は、仕切部がドレン水滞留部をドレン水の流入側と流出側とに仕切り且つドレン水滞留部の滞留水が流入側−流出側間の気体流連通を遮断するドレントラップを構成するドレントラップを構成することを特徴としている。
【0011】
本発明に係るショーケースの排水装置によれば、ドレントラップが排水網の一部と排水パイプの一部とによってショーケース本体底部内に形成される。そのため、上記(イ)及び(ハ)の効果が得られる。
。
【0012】
請求項3に係る本発明では、請求項1に係る本発明において、前記排水網は、前記ショーケース本体底部の上面における排水穴上端開口の全周囲部分に接する鍔部と、当該上面から上方に突出する網部とを有することを特徴としている。本発明に係るショーケースの排水装置によれば、排水網の鍔部が、ケース本体底部上面における排水口上端開口の全周囲部分に対し面接触し、ゴミが鍔部上に溜まるため、排水網を持ち上げた際、ゴミが排水穴に落下するようなことはない。
【0013】
請求項4に係る本発明では、請求項1乃至請求項3の何れか一項に係る本発明において、前記排水網は、前記排水穴に若干入り込み且つ排水穴の内面の一部に合致して、排水網の水平方向へのずれを防止する突出部を一体に有することを特徴としている。本発明に係るショーケースの排水装置によれば、ずれ防止用の突出部が排水網と一体に形成されるため、別個の部材を付設する手間及びコストを削減することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を適用する冷蔵用のショーケースを概略的に示す縦断面説明図である。図2〜図6は本発明に係る第一実施形態の要部を示すもので、図2は排水装置の平面図、図3は図2のA−A線断面図、図4〜図6は排水網の斜視図、側面図及び背面図、図7は排水パイプの斜視図である。
【0015】
ショーケース1は、天部10a、背部10b及び底部20を有する縦断面コの字状のケース本体10を備えており、ケース本体10は内箱−外箱間に断熱材を充填して成る。ケース本体10内には、商品を陳列するための複数段の棚11が設けられ、ケース本体10の左右両側には側板(図示せず)が設けられている。ケース本体10内にはまた、天部10a、背部10b及び底部20の各内側面とほぼ平行で且つ若干距離をおいて天板12a、背板12b及び敷板12cが設けられ、これら天板12a、背板12b及び敷板12cとケース本体10の各内側面との間に冷気を流通・循環させるためのダクト12が形成されている。即ち、背部10b側のダクト12内には冷却器13が、底部20側のダクト12内には送風機14がそれぞれ設置され、送風機14は冷却器13からの冷気がダクト12内を上方に向かうよう送風する。この冷気は天部10a側のダクト12内を前方に進んだ後、吐出口15から下方に向けて吹き出されると共に、下方の吸込口16から再びダクト12内へ取り込まれる。この吐出口15から吸込口16への空気流はケース本体10前方の開口部にエアーカーテンを形成し、これによってケース本体10内の冷気を前方外部に逃がさないようにしている。
【0016】
ケース本体10の底部20における左右方向中央の前側には水平断面長円形状の排水穴21が設けられており、この底部20上面はここに落下したドレン水が排水穴21に集まるよう排水穴21上端を最下位として所要に傾斜付けらている。更に、底部20上面には排水穴21上端を通って左右方向に延びる排水溝22が設けられており、この排水溝22は、底部20上面を前方の急斜面22aと後方の緩斜面22bとによって縦断面三角形状に切り欠いたようにして形成されている。
【0017】
排水穴21には排水パイプ30がはめ込まれている。この排水パイプ30は、図7にも示されるように、排水穴21に合致する水平断面長円形状の大径部31と、大径部31から段状に縮径し、排水穴21から下方に突出する水平断面円形状の小径部32とを有している。排水パイプ30には更に、大径部31の上端部からフランジ状に外側に突出し且つ排水溝22の急斜面22a及び緩斜面22bを形成している内箱に接しており、後述する排水網40の鍔部42を受ける鍔受け部33が設けられている。排水パイプ30の小径部32にはドレン水の排水先に通じる図示されない排水経路(排水管)が接続される。
【0018】
排水穴21にはまた、その上端開口を被うように硬質樹脂製の排水網40が載置される。排水網40は排水穴21内に突出するドレントラップ部41と、排水パイプ30の鍔受け部33と接するフランジ状の鍔部42と、ケース本体10の底部20上面から上方に方形状に突出する網部43と、網部43の左右方向中央に設けられ、網部43より更に上方に突出する板状の取手部44と、緩斜面22bに対応する鍔部42の裏側から排水パイプ30内に若干入り込む水平断面半長円形状の突出部45とを備えている。
【0019】
ドレントラップ部41はドレン水の一部を滞留させるための水平断面長円形状のドレン水滞留部41aと、ドレン水滞留部41aにドレン水を流入させるドレン水流入部41cと、ドレン水滞留部41aからドレン水を流出させるドレン水流出部41dと、ドレン水流入部41c−ドレン水流出部41d間をこれらがほぼU字を成すように仕切る仕切部41bとを有している。そして、排水口21に入りドレン水滞留部41aにトラップされたドレン水の水位が仕切部41bの下端を上回ると(通常上回るように設計されている。)、ドレン水流入部41c−ドレン水流出部41d間、即ち、ケース本体10内−排水先間における気体流の連通は遮断される。これにより排水先の臭気が排水経路及び排水穴21を介してケース本体10内に侵入したり、ケース本体10内の冷気が排水穴21から外部に逃げるようなことはなくなる。
【0020】
また、排水網40の鍔部42は、ケース本体10の底部20上面、更に詳しくは排水溝22の急斜面22a及び緩斜面22bを形成する内箱上面における排水穴21の上端開口全周に亘って面接触している。このように排水網40の鍔部42と底部20上面とが面接触しているため、ドレン水は鍔部42−底部20上面間を通過できず、ドレン水は鍔部42の上方から必ず網部43を通過するため、ゴミの排水穴21内への侵入を確実に防止することができる。更に、取手部44から排水網40を持ち上げた際、網部43の側方に溜まったゴミは鍔部42によって持ち上げられるため、従来の排水網のように、ゴミの塊が排水穴に落ちてしまうようなことはない。更にまた、突出部45は排水パイプ30の内面に部分的に合致し、これにより排水網40の水平方向への位置ずれを防止する。この突出部45は排水網40と一体成形されるものであるため、従来の排水網のように位置ずれ防止のために別個の部材を付設する必要はない。
【0021】
図8〜図14は本発明に係る第二実施形態の要部を示すもので、図8は水装置の平面図、図9は図8のB−B線断面図、図10及び図11は排水網の側面図及び背面図、図12〜図14は排水パイプの平面図、側面図及び背面図である。尚、本実施形態において、ショーケースに関する部分は第一実施形態と共通するため、同じ符号を用いる。
【0022】
ケース本体10の底部20に設けられた排水穴21には排水パイプ50がはめ込まれると共に、排水穴21上には排水網60が載置され、これら排水パイプ50及び排水網60は後述するドレントラップを構成する。排水パイプ50は、排水穴21に合致する水平断面長円形状の大径部51と、大径部51から段状に縮径し、排水穴21から下方に突出する水平断面円形状の小径部52と、大径部51の上端部からフランジ状に外側に突出し且つ排水溝22の急斜面22a及び緩斜面22bと接している鍔受け部53とを有している。排水パイプ50の小径部52にはドレン水の排水先に通じる図示されない排水管が接続される。
【0023】
排水パイプ50の大径部51内には、ドレン水の一部を滞留させるためのドレン水滞留部54が設けられている。このドレン水滞留部54は大径部51の水平断面領域のほぼ2/3を占めている。大径部51内にはまた、後述する排水網60の仕切部61のずれを防止する突出板55が設けられている。
【0024】
一方、排水網60には排水穴21内へ突出する仕切部61が設けられており、この仕切部61は排水パイプ50のドレン水滞留部54と共にドレントラップを成す。即ち、仕切部61はドレン水滞留部54を、ドレン水が流入するドレン水流入部54aとドレン水が流出するドレン水流出部54bとに仕切る。そして、排水口21に入りドレン水滞留部54にトラップされたドレン水の水位が仕切部61の下端を上回ると、ドレン水流入部54a−ドレン水流出部54b間、即ち、ケース本体10内−排水先間における気体流の連通は遮断される。これにより排水先の臭気が排水経路及び排水穴21を介してケース本体10内に侵入したり、ケース本体10内の冷気が排水穴21から外部に逃げるようなことはなくなる。
【0025】
排水網60には更に、第一実施形態における排水網40と同様の鍔部62、網部63、取手部64及び突出部65が備わっている。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に係る本発明によれば、ドレントラップが排水網の一部として形成されると共に、このドレントラップ部は断熱性を有するショーケース本体底部内に収まるため、次のような諸効果が得られる。
(イ)ケース本体底部の下方にS字ホースを設ける必要がないため、該底部を低くしてショーケースのフロント高さを下げることにより、設置面積当たりのショーケースの有効内容積を拡大することができる。
(ロ)ドレントラップ部を排水網共々洗浄することができ、従来のように排水網とは独立に狭い空間でS字ホースを取り外すなどした作業に比べ、ドレントラップの清掃作業が格段に容易なものとなる。
(ハ)ドレントラップ部が断熱性を有するケース本体底部内の排水穴内に存在するため、従来のS字ホースのように断熱材を張る必要はなく、また、支持金具も不要であり、コストを下がることができる。
【0027】
請求項2に係る本発明によれば、ドレントラップが排水網の一部と排水パイプの一部とによってショーケース本体底部内に形成されるため、上記(イ)及び(ハ)の効果を得ることができる。
【0028】
請求項3に係る本発明によれば、排水網の鍔部が、ケース本体底部上面における排水口上端開口の全周囲部分に対し面接触し、ゴミが鍔部上に溜まるため、排水網を持ち上げた際、ゴミが排水穴に落下するようなことはない。
【0029】
請求項4に係る本発明によれば、ずれ防止用の突出部が排水網と一体に形成されるため、位置ずれ防止用の別個の部材を付設する手間及びコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するショーケースの縦断面説明図
【図2】排水穴に載置した排水網を示す平面図
【図3】図2のA−A線断面図
【図4】排水網の斜視図
【図5】排水網の側面図
【図6】排水網の背面図
【図7】排水パイプの斜視図
【図8】排水穴に載置した別の排水網を示す平面図
【図9】図8のB−B線断面図
【図10】排水網の側面図
【図11】排水網の背面図
【図12】別の排水パイプの平面図
【図13】排水パイプの側面図
【図14】排水パイプの背面図
【符号の説明】
1…ショーケース、10…ケース本体、20…底部、21…排水穴、30、50…排水パイプ、40、60…排水網、41…トラップ部、41a、54…ドレン水滞留部、41b、61…仕切部、41c、54a…ドレン水流入部、41d、54b…ドレン水流出部、42、62…鍔部、43、63…網部、44、64…取手部、45、65…突出部
Claims (4)
- ショーケース本体の断熱性を有する底部に設けられた排水穴と、排水穴に着脱自在で該排水穴の上端開口を被うように載置し、ゴミの排水穴への侵入を防止する排水網とを備えたショーケースの排水装置において、
前記排水網は排水穴内へ突出するドレントラップ部を有し、このドレントラップ部はドレン水の一部を滞留可能なドレン水滞留部と、ドレン水滞留部と一体成形され、該ドレン水滞留部をドレン水の流入側と流出側とに仕切る仕切部とを有し、ドレン水滞留部の滞留水が流入側−流出側間の気体流連通を遮断する
ことを特徴とするショーケースの排水装置。 - ショーケース本体の断熱性を有する底部に設けられた排水穴と、排水穴に着脱自在で該排水穴の上端開口を被うように載置し、ゴミの排水穴への侵入を防止する排水網と、排水穴にはめ込む排水パイプとを備えたショーケースの排水装置において、
前記排水網は排水穴内へ突出する仕切部と、前記ショーケース本体底部の上面における前記排水穴上端開口の全周囲部分に接する鍔部と、当該上面から上方に突出する網部とを有すると共に、該仕切部と鍔部と網部とを一体成形し、前記排水パイプはドレン水の一部を滞留可能なドレン水滞留部を有し、これら仕切部及びドレン水滞留部は、仕切部がドレン水滞留部をドレン水の流入側と流出側とに仕切り且つドレン水滞留部の滞留水が流入側−流出側間の気体流連通を遮断するドレントラップを構成する
ことを特徴とするショーケースの排水装置。 - 前記排水網は、前記ショーケース本体底部の上面における排水穴上端開口の全周囲部分に接する鍔部と、当該上面から上方に突出する網部とを有する
ことを特徴とする請求項1記載のショーケースの排水装置。 - 前記排水網は、前記排水穴に若干入り込み且つ排水穴の内面の一部に合致して、排水網の水平方向へのずれを防止する突出部を一体に有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のショーケースの排水装置。
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