JP3678581B2 - 希ガス放電灯 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は希ガス放電灯に関し、特にガラスバルブの内面にアパ−チャ部を有する発光層を形成すると共に、ガラスバルブの外周面に一対の外部電極を配置してなる希ガス放電灯の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先に、図13〜図15に示す希ガス放電灯を提案した。同図において、1は例えばガラスバルブにて密閉状に構成された直管状の外囲器であって、その内面には希土類蛍光体,ハロリン酸塩蛍光体などの1種又は2種以上の蛍光体を含む発光層2が形成されている。特に、この発光層2には所定の開口角を有するアパ−チャ部2aがほぼ全長に亘って形成されている。そして、外囲器1の封着構造はガラスバルブの端部にディスク状の封着ガラス板を封着して構成されているが、例えば単にガラスバルブを加熱しながら縮径加工し溶断するいわゆるトップシ−ルによって構成することもできる。尚、この外囲器1の密閉空間には水銀などの金属蒸気を含まないキセノンガスを主成分とする希ガスが所定量封入されている。
【0003】
この外囲器1の外周面にはシ−ト構体3が密着するように巻回されている。このシ−ト構体3は、例えば外囲器1の全長とほぼ同程度の長さを有し、かつ厚さが20〜100μmの範囲に設定された絶縁性の透光性シ−ト4と、この透光性シ−ト4の一方の面に互いに所定の間隔だけ離隔配置して接着された不透光性の金属部材よりなる帯状の一対の外部電極5,6と、この外部電極5,6の端部から、それと電気的な接続関係を有し、かつ導出端が透光性シ−ト4の端縁部分より突出するように導出された端子51,61と、透光性シ−ト4の一方の面に付与された粘着ないし接着機能を有する接着層9とから構成されている。尚、シ−ト構体3の外囲器1への装着状態において、外部電極5,6の一端5a,6aの間には第1の開口部7が、外部電極5,6の他端5b,6bの間には第2の開口部8がそれぞれ形成されており、発光層2からの光は主としてアパ−チャ部2aから第1の開口部7を介して外部に放出される。又、シ−ト構体3において、透光性シ−ト4としては、例えばポリエチレンテレフタレ−ト(PET)樹脂が好適するが、ポリエステル樹脂など他の樹脂も利用できる。
【0004】
この希ガス放電灯は、例えば次のように製造される。まず、例えば青色領域,緑色領域,赤色領域にそれぞれ発光スペクトルを有する蛍光体を含む水溶性の蛍光体塗布液をガラスバルブよりなる外囲器1の内面に塗布・乾燥し、焼成することにより発光層2が形成される。次に、図示しないスクレ−パを利用して発光層2の一部を強制的に所定の開口角を以て剥離・除去することにより、アパ−チャ部2aが形成される。次に、この外囲器1を密閉状に構成し、かつ内部空間にキセノンなどの希ガスを所定量封入する。
【0005】
次に、図14〜図15に示すように、透光性シ−ト4の所定部分に一対の外部電極5,6を互いに離隔して配置すると共に、外部電極5,6の端部から端子51,61を導出し、かつ透光性シ−ト4及び外部電極5,6に接着層9を形成してシ−ト構体3を構成する。次に、図16に示すように、シ−ト構体3を展開した状態で例えば組み立てステ−ジ10に載置する。引き続き、外囲器1をシ−ト構体3の透光性シ−ト4の一端4aに、外囲器1の長手方向が外部電極5,6の長手方向に沿うように(平行となるように)位置させる。この状態で、外囲器1に従動ロ−ラ11,11を、外囲器1が透光性シ−ト4に若干押しつけるように配置する。この状態で、ステ−ジ10を若干M方向に移動させた後、N方向に移動させる。これによって、シ−ト構体3は、図13に示すように、外囲器1の外周面に巻回される上、透光性シ−ト4の一端4aに他端4bが重ね合わされ、接着層9によって接着されて希ガス放電灯が完成する。
【0006】
この希ガス放電灯は、例えば図17に示すように、インバ−タ回路(点灯装置)12から外部電極5,6に、周波数が30KHz,電圧が2500VO-P 程度の高周波高電圧が印加されることによって点灯するものであり、光はアパ−チャ部2aから第1の開口部7を介して外部に放出される。特に、この希ガス放電灯には水銀が用いられていないために、点灯後における光量の立ち上がりが急峻であり、点灯と同時に光量がほぼ100%近くまで達する上に、光量や放電電圧が周囲温度の影響を殆んど受けないという特徴を有している。このために、ファクシミリ,イメ−ジスキャナ,複写機などのOA機器の原稿読取用光源として好適するものである。
【0007】
又、製造過程において、透光性シ−ト4の一方の面には、接着層9が形成されているために、外囲器1をシ−ト構体3の上で転動させるだけの単純動作によって、シ−ト構体3を外囲器1の外周面に巻回し密着させることができ、その上、外部電極5,6は透光性シ−ト4に予め所定の間隔で配列されているために、貼り付けの際に外部電極5,6の間隔を所定の間隔となるように調整する必要が全くない。従って、作業能率を飛躍的に改善できるのみならず、機械化が可能となり、一層の量産効果が期待できるなどの優れた効果が期待できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この希ガス放電灯は、上述のように外部電極5,6に高周波高電圧を印加することによってガラスバルブを介して外部電極間に放電が生起されて点灯されるのであるが、この際に、ガラスバルブにも電流が流れ、この電流によってガラスバルブが自己発熱して温度上昇し、ガラスバルブの抵抗値が低下する。抵抗値の低下によってさらに過大な電流が流れるようになり、発熱が異常に進行して発光効率が低下したり、点灯装置が焼損したりする。
【0009】
例えば外囲器を構成するガラス部材にソ−ダガラスを適用すると、ソ−ダガラスの150°Cにおける体積抵抗率が、図18において実線Cで示すように、1×108 Ωcmのように小さいために、希ガス放電灯の点灯時に、ガラスバルブに流れる電流によってガラスバルブが異常発熱し、発光効率が低下するのみならず、過大な電流によって点灯装置が焼損したりするようになる。
【0010】
しかしながら、外囲器を構成するガラス部材に鉛ガラスを適用すると、上述の問題を効果的に解決できる。これは、鉛ガラスの150°Cにおける体積抵抗率が、図18において実線Bで示すように、1×1011Ωcmであり、ソ−ダガラスに比較すると格段に大きくなっていることから、点灯時に、鉛ガラスの自己発熱に基づく異常発熱への発展を抑えることができるものである。
【0011】
尚、本発明者は、ガラスバルブの異常発熱,発光効率の低下,点灯装置の焼損などの防止にはガラス部材の150°Cにおける体積抵抗率が1×109 Ωcm以上あればよいことを別の実験によって確認している。
【0012】
このような事実に基づいて、上述の希ガス放電灯の外囲器には鉛ガラスが適用されている関係で、ガラスバルブの異常発熱,発光効率の低下,点灯装置の焼損などのトラブルは最小限に止めることが可能になるものの、次のような問題を有している。
【0013】
即ち、鉛ガラスはソ−ダガラスに比較して軟化点が70〜80°C程度低いために、焼成工程において、外囲器内面に形成された蛍光体塗布膜に含まれるバインダを十分に焼散させるべく焼成温度を高くすると、発光層2を構成する蛍光体が鉛ガラスに融着され易くなって発光効率が例えば10%程度も低下するようになるのみならず、外囲器1が変形し易くなり、排気ヘッドへの装着性(密着性)が損なわれたり、装着時に破損し易くなる。かといって、蛍光体の融着や外囲器1の変形が生じない程度にまで焼成温度を下げると、バインダの焼散が不十分になり、希ガス放電灯の始動特性,発光特性が損なわれるようになる。
【0014】
又、この鉛ガラスは、その製造の際に、有害物質などの排出により環境の汚染が懸念されていることから、近時、その使用を自粛する傾向にある。従って、希ガス放電灯においても、鉛ガラスに代わるガラス部材が求められている。
【0015】
一方、上述の希ガス放電灯は、熱陰極や冷陰極を用いた放電灯のように外囲器の長手方向に沿った1つの放電路によって点灯するものとは異なり、外部電極5,6の間(外囲器1の長手方向に対してほぼ直角方向)に無数の放電路が形成されることによって縞状の状態で点灯するものであり、正常な点灯状態では縞状の放電状態は目視することはできない。
【0016】
しかしながら、電源ラインの電圧変動などによってインバ−タ回路12の出力電圧が定格電圧(例えば2500VO-P )より10%程度も低下したりすると、縞状の放電状態が目視できるようになるのみならず、放電位置(放電点)が一定化せず、絶えず外囲器の長手方向に移動したりしてアパ−チャ部2aから放出される光にチラツキが生ずるようになる。
【0017】
特に、この希ガス放電灯がファクシミリ,イメ−ジスキャナなどのOA機器における原稿照射装置に適用される場合には、アパ−チャ部2aの長手方向におけるそれぞれの位置の輝度が絶えず変動することによって、原稿の読み取り精度が著しく損なわれ、再生品位が低下するという問題が生ずることがある。
【0018】
それ故に、本発明の目的は、焼成に起因する始動特性,発光特性の低下を抑制できる上、チラツキの抑制された安定した放電状態が得られ、しかも、環境への影響をも緩和できる希ガス放電灯を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、上述の目的を達成するために、軟化点が鉛ガラスより高く、150°Cにおける体積抵抗率が1×109Ωcm以上で、かつ鉛を含まないガラス部材よりなる直管状の外囲器と、外囲器の内面に形成した発光層と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って第1,第2の開口部が形成されるように互いに離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極とを具備し、前記発光層からの放射光を、主として第1の開口部から外部に放出するように構成すると共に、第2の開口部を形成する一対の外部電極のうち、少なくとも一方の外部電極の側縁部に異形部を周期性を有するように前記側縁部のほぼ全長に亘って形成したことを特徴とする。
【0020】
又、本発明の第2の発明は、軟化点が鉛ガラスより高く、150°Cにおける体積抵抗率が1×109Ωcm以上で、かつ鉛を含まないガラス部材よりなる直管状の外囲器と、外囲器の内面に形成した発光層と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って第1,第2の開口部が形成されるように互いに離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極とを具備し、前記発光層からの放射光を、主として第1の開口部から外部に放出するように構成すると共に、第2の開口部を形成する一対の外部電極のうち、一方の外部電極の側縁部にのみ異形部を周期性を有するように前記側縁部のほぼ全長に亘って形成すると共に、他方の外部電極の側縁部をストレ−ト状に形成したことを特徴とする。
【0021】
又、本発明の第3の発明は、軟化点が鉛ガラスより高く、150°Cにおける体積抵抗率が1×109 Ωcm以上で、かつ鉛を含まないガラス部材よりなる直管状の外囲器と、外囲器の内面に形成した発光層と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って第1,第2の開口部が形成されるように互いに離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極と、外部電極が被覆されるように装着した透光性の絶縁部材とを具備し、前記発光層からの放射光を、主として第1の開口部から外部に放出するように構成すると共に、第2の開口部を形成する一対の外部電極のうち、一方の外部電極の側縁部にのみ異形部を周期性を有するように前記側縁部のほぼ全長に亘って形成すると共に、他方の外部電極の側縁部をストレ−ト状に形成したことを特徴とし、第4の発明は、前記絶縁部材を、透光性シ−ト又は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブにて構成したことを特徴とする。
【0022】
又、本発明の第5の発明は、軟化点が鉛ガラスより高く、150°Cにおける体積抵抗率が1×109Ωcm以上で、かつ鉛を含まないガラス部材よりなる直管状の外囲器と、外囲器の内面に形成した発光層と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面に金属部材よりなる帯状の一対の外部電極を、第1,第2の開口部が形成されるように互いに離隔して配置し、かつ外部電極の位置する側の透光性シ−ト面に接着層を形成してなるシ−ト構体とを具備し、前記発光層からの放射光を、主として第1の開口部から外部に放出するように構成し、第2の開口部を形成する一対の外部電極のうち、一方の外部電極の側縁部にのみ異形部を周期性を有するように前記側縁部のほぼ全長に亘って形成すると共に、他方の外部電極の側縁部をストレ−ト状に形成し、かつ外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回したことを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明の第6の発明は、前記異形部を、三角状、台形を含む矩形状、波形を含むほぼ半円状、角孔、丸孔のいずれかにて構成したことを特徴とし、第7の発明は、前記第1の開口部にほぼ対応する外囲器の内面部分に、発光層の形成されないアパ−チャ部を形成したことを特徴とし、第8の発明は、前記外囲器に希ガスを、好ましくはキセノンを主成分とする希ガスを、さらに好ましくはキセノンガスを83〜200トルの圧力範囲で封入したことを特徴とし、さらに、第9の発明は、前記外囲器の肉厚を0.2〜0.7mmの範囲に、好ましくは0.4〜0.7mmの範囲に設定したことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる希ガス放電灯の第1の実施例について図1〜図2及び図18を参照して説明する。尚、図13〜図16に示す先行技術と同一部分には同一参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。同図において、この実施例の特徴部分は、外囲器1Aを、軟化点が鉛ガラスより高く、図18において直線Aで示すように150°Cにおける体積抵抗率が1×109 Ωcm以上で、かつ鉛を含まないガラス部材にて構成したことと、第2の開口部8を形成する外部電極5,6の内、外部電極5の側縁部5bに三角状の異形部5Aを周期性を有するように形成すると共に、それ以外の外部電極5,6の側縁部5a,6a,6bをストレ−ト状に形成したことである。
【0025】
この外囲器1Aの構成部材としては、上述のように150°Cにおける体積抵抗率が1×109 Ωcm以上であり、鉛を含まず軟化点が鉛ガラスより十分に高く、誘電率が大きい透光性のガラス部材であれば一応適用が可能であるが、例えばバリウムガラスなどが好適するものである。尚、このバリウムガラスは例えば珪酸、アルミナ、硼酸、カリウム,バリウム,カルシウムの酸化物などから構成されており、それの軟化点は鉛ガラスの軟化点より40〜50°C程度高いほぼ665°C、1MHz時の誘電率はほぼ8.6、150°Cにおける体積抵抗率はほぼ1×1011Ωcmである。
【0026】
特に、この外囲器1Aの肉厚は0.2〜0.7mmの範囲(好ましくは0.4〜0.7mmの範囲)に設定されており、この範囲では望ましい生産性,発光特性が得られる。しかしながら、肉厚が0.4mm未満、特に0.2mm未満になると、外囲器1Aの機械的な強度が極端に低下するために、量産設備による生産工程でのガラス破損に伴う不良率が増加するようになるし、逆に、肉厚が0.7mmを超えると、縞状の放電状態が目視され、アパ−チャ部2aから放出される光にチラツキが生ずるようになる。従って、外囲器1Aの肉厚は上記範囲内に設定することが望ましい。
【0027】
又、外囲器1Aの外周面に配置された外部電極5の側縁部5bには異形部5Aが周期性を有するように形成されている。この異形部5Aは、例えば外囲器1Aの外径が8mmの場合には異形部5Aを含めた幅が8mm,異形部5Aのピッチが4mm,異形部5A(三角部分の頂点)の高さが1.5mm程度の寸法に設定することが望ましいが、希ガス放電灯,点灯装置の仕様によっては適宜に変更できる。尚、外部電極5の側縁部5bに形成された異形部5Aのそれぞれの頂点部と、これに対向するストレ−ト状の外部電極6の側縁部6bとの間隔は全長に亘ってほぼ同一となるように設定されている。又、第1の開口部7の開口角θ1 も全長に亘ってほぼ同一となるように設定されている。
【0028】
又、この外囲器1Aの内部空間にはキセノン(Xe),クリプトン(Kr),ネオン(Ne),ヘリウム(He)などの希ガスが、好ましくはキセノンを主成分とする希ガスが、さらに好ましくはキセノンガスが封入されており、その封入圧力は例えば83〜200トルの範囲に設定されている。この範囲では始動特性,光出力(原稿面照度),チラツキに関する改善効果が得られる。しかしながら、封入圧力が83トル未満になると、光出力に対する改善効果が不十分になるし、逆に、封入圧力が200トルを超えると、始動特性が損なわれるのみならず、縞状の放電状態が目視され、アパ−チャ部2aから放出される光にチラツキが生ずるようになる。従って、希ガスの封入圧力は上記範囲内に設定することが望ましい。
【0029】
又、発光層2は、希ガス放電灯の用途によって、使用する蛍光体が1種のみにて構成したり、2種以上を混合して構成されたりする。例えば三波長域発光形の場合には、例えば青色領域に発光スペクトルを有するユ−ロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体,緑色領域に発光スペクトルを有するセリウム・テルビウム付活リン酸ランタン蛍光体,赤色領域に発光スペクトルを有するユ−ロピウム付活硼酸イットリウム・ガドリウム蛍光体を混合してなる混合蛍光体にて形成され、その付着量は1cm2 当たり5〜30mgの範囲に設定されている。この範囲では十分の光量(光出力)が得られるものの、その付着量が5mg未満になると、光量不足によって原稿面照度が不十分になるし、逆に、付着量が30mgを超えると、均質な発光層の形成が困難になる。従って、発光層2の付着量は上記範囲内に設定することが望ましい。
【0030】
さらに、外部電極5,6のそれぞれの離隔部分には第1,第2の開口部7,8が形成されており、それぞれの開口角θ1 ,θ2 はθ1 >θ2 の関係に設定されている。第1の開口部7の開口角θ1 は60〜120°の範囲が、第2の開口部8の開口角θ2 は55°程度がそれぞれ望ましい。しかしながら、第1の開口部7の開口角θ1 は用途によっては上記範囲外に設定することも可能であり、第2の開口部8は絶縁破壊しない程度に狭いことが望ましく、例えば最低2mm程度の離隔距離を確保することが推奨される。尚、上述のアパ−チャ部2aの開口角は第1の開口部7の開口角θ1 とほぼ同程度に設定されている。
【0031】
この実施例によれば、外囲器1Aを構成するガラス部材には鉛が全く含まれていないために、それの製造の際に、鉛などを含む有害物質の排出に起因する環境の汚染を防止できる。
【0032】
又、外囲器1Aの軟化点は鉛ガラスの軟化点より40〜50°C程度高いために、焼成工程において、外囲器内面に形成された蛍光体塗布膜に含まれるバインダを十分に焼散させるべく焼成温度を高く設定しても、発光層2を構成する蛍光体が外囲器1Aを構成するガラス部材に融着されることがなく、発光効率を例えば10%程度も改善できるのみならず、焼成工程で外囲器1Aが殆んど変形しないために、排気ヘッドへの装着性を向上でき、それへの装着時の破損を軽減できる。
【0033】
しかも、外囲器1Aの150°Cにおける体積抵抗率が1×109 Ωcm以上に設定されているために、鉛ガラスを用いた先行技術と同様に点灯時における自己発熱に基づく異常発熱への発展を抑えることができ、異常発熱に起因する発光効率の低下も抑えることができる。
【0034】
特に、第2の開口部8を形成する外部電極5,6の内、外部電極5の側縁部5bには三角状の異形部5Aが周期性を有するように形成されており、外部電極6の側縁部6bはストレ−ト状に形成されているために、外部電極5,6に高周波高電圧を印加した場合、異形部5Aにおける三角部分の頂点部分に電界が集中し、異形部5Aとストレ−ト状の側縁部6bとの間で容易に放電する。従って、電源変動によって外部電極5,6への印加電圧が少々低くなっても確実に点灯させることができる。
【0035】
仮に、外部電極5,6の側縁部5b,6bに異形部を形成した場合には、対向するそれぞれの異形部の頂点位置がほぼ一致していないと、安定した放電が生起されにくくなるものである。従って、それぞれの異形部の頂点部が合致するように配置しなければならず、製造面でのマイナス要素が考えられる。しかしながら、この実施例では外部電極6の側縁部6bがストレ−ト状に形成されていることから、異形部5Aの位置合わせの必要がなく、製造性を改善できる。
【0036】
又、外囲器1Aの肉厚は0.2〜0.7mmの範囲に設定されており、外部電極5,6に高周波高電圧を印加した場合、肉厚の厚い範囲では抵抗成分の増加に伴う外囲器自身への電圧分配の増加に関連してチラツキが発生し易くなるものの、上述のように外部電極5の側縁部5bにのみ異形部5Aが形成されていることと相俟って肉厚の厚い領域においてもチラツキの発生を効果的に抑制できるし、アパ−チャ部2aを介して第1の開口部7から放出される光出力も効果的に改善できる。
【0037】
その上、第2の開口部8を形成する外部電極5,6の内、外部電極5の側縁部5bには三角状の異形部5Aが形成されているものの、第1の開口部7を形成する外部電極5,6の側縁部5a,6aは光の放出に影響を与えないストレ−ト状に構成されているために、例えば原稿照射装置に適用した場合、補正手段を用いることなく、原稿面の照度分布をほぼ均一化できる。従って、簡単な構成で原稿の読み取り精度を高めることができる。
【0038】
特に、希ガスの封入圧力を高くすると、光出力は増加する反面、始動特性は損なわれるようになるが、外部電極5の側縁部5bに三角状の異形部5Aを形成することによって、希ガスの封入圧力の上限を200トルにまで拡大しても、実用に供し得る始動特性が確保でき、移動縞(チラツキ)の発生も効果的に抑制でき、その上、光出力を有効に改善できる。従って、原稿照射装置に適用した場合には、安定した放電状態が得られる上に、原稿面照度を高めることができることから、読み取り品位の向上が期待できる。
【0039】
又、発光層2の付着量が1cm2 当たり5〜30mgの範囲に設定されれば、外囲器1Aの肉厚を0.2〜0.7mmの範囲に設定すること及び希ガスの封入圧力を83〜200トルに設定することと相俟ってアパ−チャ部2aを介して第1の開口部7から放出される光出力を効果的に増加できる。
【0040】
特に、発光層2の付着量は通常の照明用蛍光ランプに比較すると2〜10倍程度に設定されており、通常の照明用蛍光ランプでは特性的に好ましいものではないと考えられている量であるにも拘らず、希ガス放電灯では光出力が有効に増加している。この原因については明らかではないが、外部電極5,6の間(外囲器1Aの長手方向に対してほぼ直角方向)に無数の放電路が形成されることによって縞状の状態で点灯する希ガス放電灯に特有の現象と考えられる。
【0041】
さらには、外囲器1Aの肉厚及び外部電極の構造を、好ましくは発光層2の付着量,希ガスの封入圧力をも上述の範囲に設定した上で、第1の開口部7の開口角θ1 を60〜120°の範囲、好ましくは60〜90°の範囲に設定すれば、第1の開口部7から放出される光出力を一層に増加させることができる。この際に、第2の開口部8の離隔長さ(異形部5Aの先端部と側縁部6bとの間隔)を2mm程度に設定すれば、第2の開口部8からの光の漏洩が抑制され、第1の開口部7から放出される光出力の一層の改善効果が期待できる。
【0042】
図3は本発明の第2の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、第1の開口部7に対応する外囲器1Aの内面部分に形成されているアパ−チャ部2aの開口角θ3 を第1の開口部7の開口角θ1 より大きく設定したことである。このアパ−チャ部2aの開口角θ3 は例えば70〜110度の範囲に設定されているが、用途,目的などに応じて適宜に変更できる。尚、開口角θ1 と開口角θ2 はθ1 >θ2 の関係に設定することが望ましい。
【0043】
この実施例によれば、外囲器1Aの外周面にシ−ト構体3を巻回する際に、第1の開口部7とアパ−チャ部2aとのセンタ−が若干ずれても、第1の開口部7から放出される光の光軸のずれを緩和できる。このために、例えば原稿照射装置に適用しても、十分に高い読み取り精度を得ることができる。
【0044】
図4は本発明の第3の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、透光性シ−ト4のそれぞれの端部4a,4bを外部電極5の上において重ね合わせ、この重ね合わせ部分を超音波溶着したことである。
【0045】
この実施例によれば、重ね合わせ部分4a,4bの超音波溶着が外部電極5の外側面において行われるために、外囲器内面の発光層2に作用する超音波振動が緩和される。従って、第1,第2の実施例に比較すると、発光層2の外囲器内面からの剥離を抑制でき、光出力の改善が可能となる。
【0046】
図5は本発明の第4の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、外囲器1Aの外周面に一対の外部電極5,6を接着層を利用して貼着した後に、外囲器1Aの外周面にPET樹脂などの透光性シ−ト4Aを、外部電極5,6が被覆されるように巻回して接着したことである。
【0047】
この実施例によれば、外囲器1Aの外周面に透光性シ−ト4Aを巻回するに先立って、外囲器1Aの外周面にシリコ−ンワニスなどの透光性の絶縁被膜を形成しておけば、外部電極間の絶縁耐力を改善できる。
【0048】
図6は本発明の第5の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、外囲器1Aの外周面に一対の外部電極5,6を接着層を利用して貼着した後に、外囲器1Aの外周面にPET樹脂などの熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブ13を、外部電極5,6が被覆されるように装着し、熱収縮させたことである。尚、この保護チュ−ブ13は外囲器1Aに装着した後、例えば150〜200°C程度に加熱し、収縮させることにより外囲器1Aの外周面に密着される。
【0049】
この実施例によれば、上述の各実施例に比較すると、機械化,作業能率の点で劣るものの、保護チュ−ブ13に接着層を使用しないために、端子の構成部材と接着剤成分との反応による腐食がなく、長期間に亘って安定した動作状態を維持できる上、保護チュ−ブ13に継目がないために、上述の実施例のように透光性シ−ト4の端部の重ね合わせ部分の剥がれを完全に防止できる。
【0050】
特に、外囲器1Aの外周面に保護チュ−ブ13を装着するに先立って、外囲器1Aの外周面にシリコ−ンワニスなどの透光性の絶縁被膜を形成しておけば、外部電極間の絶縁耐力を一層高めることができる。
【0051】
図7は本発明の第6の実施例を示すものであって、基本的な構成は図1に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、シ−ト構体3の外周面にPET樹脂などの熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブ13を装着した後に、熱収縮させたことである。尚、この保護チュ−ブ13はシ−ト構体3に装着した後、例えば150〜200°C程度に加熱し、収縮させることにより透光性シ−ト4の外周面に密着される。
【0052】
この実施例によれば、希ガス放電灯の適用部所における環境条件が厳しい,安全基準が高いなどの場合には、例えば耐熱性などに優れ、かつ透光性を有する保護チュ−ブ13にてシ−ト構体3を被覆することによって、より高品位の製品を提供できる。
【0053】
特に、この実施例の構造は、図3,図4,図5,図6に示す実施例にも適用することができる。
【0054】
図8は本発明の第7の実施例を示すものであって、特に、外囲器1Aを展開した状態を示しており、基本的な構成は図1に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、第2の開口部8を形成する外部電極5,6の内、一方の外部電極5の側縁部5bにのみ周期性を有する波形を含むほぼ半円状の異形部5Bを形成し、対向する他方の外部電極6の側縁部6bはストレ−ト状に形成したことである。尚、外部電極5の側縁部5bを除くすべての側縁部がストレ−ト状に形成されていることになる。
【0055】
この実施例によれば、外部電極5,6に高周波高電圧が印加された場合、側縁部5bの異形部5Bとストレ−ト状の側縁部6bとの間で放電が生ずるのであるが、一方の側縁部(6b)がストレ−ト状に構成されているために、両者のピッチ合わせ(位置合わせ)の必要がなく、組立性を改善できる。
【0056】
図9は本発明の第8の実施例を示すものであって、特に、外囲器1Aを展開した状態を示しており、基本的な構成は図2に示す希ガス放電灯と同じである。異なる点は、第2の開口部8を形成する外部電極5,6の内、一方の外部電極5の側縁部5bにのみ周期性を有する台形を含むほぼ矩形状の異形部5Cを形成し、対向する他方の外部電極6の側縁部6bはストレ−ト状に形成したことである。尚、外部電極5の側縁部5bを除くすべての側縁部がストレ−ト状に形成されていることになる。
【0057】
特に、図8〜図9に示すそれぞれ異なった異形部を有する外部電極構造は、図1〜図7に示すそれぞれの希ガス放電灯に適宜に組み合わせて適用することができる。
【0058】
尚、本発明は、何ら上記実施例にのみ制約されることなく、例えば外囲器の構成部材としては体積抵抗率が1×109 Ωcm以上であり、軟化点が鉛ガラスより高く、誘電率が鉛ガラスと同程度であり、鉛が含まれていなければ、バリウムガラス以外のガラス部材も適用可能である。又、発光層を構成する蛍光体としては、セリウム・テルビウム付活リン酸ランタン蛍光体(LaPO4 :Ce,Tb),ユ−ロピウム付活硼酸イットリウム・ガドリウム蛍光体などの他に、錫付活リン酸ストロンチウム・マグネシウム蛍光体((SrMg)3 (PO4 )2 :Sn),ユ−ロピウム付活リンバナジン酸イットリウム蛍光体(Y(PV)O4 :Eu),ユ−ロピウム付活硼リン酸ストロンチウム蛍光体(2SrO・(P2 O7 ・B2 O3 ):Eu)などのリン酸塩蛍光体,硼酸塩蛍光体の他、例えばセリウム・テルビウム付活アルミン酸マグネシウム蛍光体(MgAl11O19:Ce,Tb),セリウム・テルビウム付活イットリウム・シリケ−ト蛍光体(Y2 SiO5 :Ce,Tb),ユ−ロピウム付活アルミン酸バリウム・マグネシウム蛍光体(BaMg2 Al16O27:Eu),ユ−ロピウム付活酸化イットリウム蛍光体(Y2 O3 :Eu)なども使用できる。又、発光層におけるアパ−チャ部を省略し、シ−ト構体の外囲器への巻回作業性を改善することもできる。又、透光性シ−トの端部の重ね合わせ部分は単に接着の他に、熱溶着したり,超音波溶着したり,接着と溶着を併用したりすることもできるし、透光性シ−ト,保護チュ−ブなどの絶縁部材は省略することもできる。又、異形部は開口部に対向するそれぞれの外部電極の側縁部に形成することもできるし、その形態も三角状,矩形状などの他に、外部電極の側縁部に三角状,四角状などの角孔や丸孔などを形成して構成することもできる。さらには、外部電極の形態において、帯状とは全体としての形態が帯状であることを意味し、側縁部や側縁部でない部分に異形部,孔などが存在したりするものも含まれるものとする。
【0059】
【実施例】
次に、第1の実験例について説明する。まず、イエロ−グリ−ンの発光色を有するセリウム・テルビウム付活イットリウム・シリケ−ト蛍光体(Y2 SiO5 :Ce,Tb)を含む水溶性の蛍光体塗布液を外径が8mm,肉厚が0.5mm,長さが360mmのバリウムガラスよりなる外囲器の内面に塗布し発光層を形成する。次に、スクレ−パを用いて発光層の一部を強制的に剥がすことによって開口角75°のアパ−チャ部を形成する。尚、発光層の付着量は15mg/cm2 である。次に、外囲器を封止し、内部空間にキセノンガスを70〜230トルの封入圧力で封入する。然る後、この外囲器の外周面にシ−ト構体を図14〜図16に示す先行技術と同様の方法にて希ガス放電灯を製造した。尚、一対の外部電極には幅が8mmのアルミニウム箔を用い、第2の開口部を形成する外部電極の一方の側縁部にのみピッチが4mmで頂点の高さが1.5mmの三角状の異形部を形成し、対向する他方の側縁部はストレ−ト状に形成した(図2参照)。
【0060】
これらの希ガス放電灯を図17に示す点灯装置に組み込み、インバ−タ回路12の出力電圧(周波数が30KHzで、電圧が2500V0-P )を徐々に上昇させ、移動縞(チラツキ)が目視されない状態での放電開始電圧(始動電圧)を測定したところ、図10に示す結果が得られた。
【0061】
同図から明らかなように、キセノンガスの封入圧力が200トルまでの範囲では定格電圧の90%電圧でもチラツキのない状態で点灯し、点灯後も安定した放電状態が得られており、外部電極に異形部を形成しない以外は同仕様の希ガス放電灯(先行技術)に比較すると、始動電圧を300〜600V程度改善できた。又、先行技術では封入圧力が83トルを超えるとチラツキが認められ、100トルにもなると実用上支障を生ずるようになる。しかしながら、封入圧力が200トルを超え、210,230トルでは2500V0-P で点灯するものの、電源電圧が低下するような変動が生じた場合には確実な始動が保証できなくなる。
【0062】
又、焼成温度(作業温度)を700°Cに設定し、焼成工程における蛍光体のガラス部材への融着による発光効率及び外囲器の形態への影響について観察したところ、発光効率の低下は殆んど認められなかったし、外囲器の変形もなく、排気ヘッドへの装着に伴う破損不良の発生率も0.5%以下に抑えることができた。その上、発光層を十分に焼成でき、バインダの残渣は認められなかった。尚、同一仕様で外囲器のガラス部材を鉛ガラスとした従来例では蛍光体の鉛ガラスへの融着によって発光効率がほぼ10%程度低下し、変形に伴う不良発生率も3〜5%であった。
【0063】
次に、上述の希ガス放電灯を定格電圧の90%電圧で点灯させた状態において、外囲器から8mm離隔した原稿照射面の照度及び移動縞(チラツキ)の発生の有無について評価したところ、図11に示す結果が得られた。尚、同図のチラツキの評価項目において、○はチラツキが発生していないことを、△は若干のチラツキは認められるものの、実用上支障がないことを、×はチラツキの発生が顕著であり、実用上問題になることを示している。
【0064】
同図から明らかなように、キセノンガスの封入圧力が150トルまでの範囲ではチラツキのない安定した放電状態が得られているが、200トルでは若干のチラツキが認められるものの、実用的には問題ないものである。しかしながら、封入圧力が200トルを超え、210,230トルではチラツキの発生が顕著となり、原稿照射装置への適用は読み取り品位の観点から難しい。
【0065】
又、原稿面照度はキセノンガスの封入圧力が高くなるほど増加しているものの、チラツキのない安定した照度はキセノンガスの封入圧力が200トルまでの範囲で得られることがわかる。従って、希ガスの封入圧力は、上述の各種評価結果によれば、83〜200トルの範囲に設定することが望ましい。
【0066】
次に、第2の実験例について説明する。第1の実験例(図11)において、キセノンガスの封入圧力を120トルに固定し、外囲器の肉厚を0.18〜0.8mmの範囲で変化させた希ガス放電灯を製造した。
【0067】
これらの希ガス放電灯を図17に示す点灯装置に組み込み、インバ−タ回路12の出力電圧を定格電圧の90%電圧に設定し、移動縞(チラツキ)の発生の有無及び生産工程での破損の有無(強度)を観察したところ、図12に示す結果が得られた。尚、同図において、チラツキの評価項目では、○はチラツキが発生していないことを、△は若干のチラツキは認められるものの、実用上支障がないことを、×はチラツキの発生が顕著であり、実用上問題になることを示している。又、外囲器の強度の評価項目では、○は外囲器の破損がなく十分の強度であることを、△は生産工程で若干の破損事故が発生しているものの、一応実用に供し得ることを、×は強度不足により破損事故が多く実用に供し得ないことを示している。
【0068】
同図から明らかなように、外囲器の肉厚が0.18〜0.6mmの範囲では外部電極への印加電圧が低いにも拘らず、チラツキの発生は観測されなかったが、肉厚が0.7mmでは若干のチラツキが認められたものの、実用上は問題ないものである。しかしながら、肉厚が0.8mmではチラツキの発生が顕著となり、異形部によるチラツキ抑制効果の希釈が認められた。又、肉厚が0.4mm以上では生産工程での破損は認められなかったが、0.4mm未満の0.25mm,0.2mmでは生産工程での破損が認められるようになり、特に、0.18mmでは機械的強度の低下によってクラックなどの破損事故が急激に増加し、量産に不向きであることがわかる。従って、外囲器の肉厚は、それぞれの評価項目の評価結果に基づいて、0.2〜0.7mmの範囲(好ましくは0.4〜0.7mmの範囲)に設定することが望ましい。
【0069】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、外囲器を構成するガラス部材には鉛が全く含まれていないために、それの製造の際に、鉛などを含む有害物質の排出に起因する環境の汚染を防止できる。
【0070】
又、外囲器の軟化点は鉛ガラスの軟化点よりも高く設定されているために、焼成工程において、外囲器内面に形成された蛍光体塗布膜に含まれるバインダを十分に焼散させるべく焼成温度を高く設定しても、発光層を構成する蛍光体が外囲器を構成するガラス部材に融着されることがなく、発光効率を効果的に改善できるのみならず、焼成工程で外囲器が殆んど変形しないために、製造作業が容易になり、製造過程での破損を軽減でき、不良率も減少できる。
【0071】
しかも、外囲器の150°Cにおける体積抵抗率は1×109 Ωcm以上に設定されているために、鉛ガラスを用いた先行技術と同様に自己発熱に基づく異常発熱への発展を抑えることができ、異常発熱に起因する発光効率の低下も抑えることができる。
【0072】
さらには、外囲器の外周面に配置された一対の外部電極のうち、少なくとも一方の外部電極の側縁部に異形部が周期性を有するように側縁部のほぼ全長に亘って形成されているために、外部電極に高周波高電圧を印加した場合、異形部に電界が集中し、チラツキの抑制された安定した放電を容易に生起させることができる。従って、例えばこの希ガス放電灯を原稿照射装置に適用した場合には、安定した放電状態が得られる上に、再生品位の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す縦断面図。
【図2】図1に示す外囲器及び外部電極の展開図。
【図3】本発明の第2の実施例を示す縦断面図。
【図4】本発明の第3の実施例を示す縦断面図。
【図5】本発明の第4の実施例を示す縦断面図。
【図6】本発明の第5の実施例を示す縦断面図。
【図7】本発明の第6の実施例を示す縦断面図。
【図8】本発明の第7の実施例を示す外囲器及び外部電極の展開図。
【図9】本発明の第8の実施例を示す外囲器及び外部電極の展開図。
【図10】キセノンガスの封入圧力に対する始動特性の関係を示す図。
【図11】キセノンガスの封入圧力に対するチラツキの発生の有無及び原稿面照度の関係を示す図。
【図12】外囲器の肉厚に対するチラツキの発生の有無及び強度の関係を示す図。
【図13】先行技術にかかる希ガス放電灯の縦断面図。
【図14】先行技術にかかるシ−ト構体の展開図。
【図15】図14のX−X断面図。
【図16】先行技術にかかる希ガス放電灯の製造方法を説明するための縦断面図。
【図17】先行技術にかかる希ガス放電灯の点灯回路図。
【図18】各種ガラス部材の温度に対する体積抵抗率との関係を示す図。
【符号の説明】
1A 外囲器
2 発光層
2a アパ−チャ部
3 シ−ト構体
4,4A 透光性シ−ト(絶縁部材)
4a,4b 端部
5,6 外部電極
5a,5b,6a,6b 側縁部
5A,5B,5C 異形部
7 第1の開口部
8 第2の開口部
9 接着層
12 点灯装置(インバ−タ回路)
13 保護チュ−ブ(絶縁部材)
Claims (9)
- 軟化点が鉛ガラスより高く、150°Cにおける体積抵抗率が1×109Ωcm以上で、かつ鉛を含まないガラス部材よりなる直管状の外囲器と、外囲器の内面に形成した発光層と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って第1,第2の開口部が形成されるように互いに離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極とを具備し、前記発光層からの放射光を、主として第1の開口部から外部に放出するように構成すると共に、第2の開口部を形成する一対の外部電極のうち、少なくとも一方の外部電極の側縁部に異形部を周期性を有するように前記側縁部のほぼ全長に亘って形成したことを特徴とする希ガス放電灯。
- 軟化点が鉛ガラスより高く、150°Cにおける体積抵抗率が1×109Ωcm以上で、かつ鉛を含まないガラス部材よりなる直管状の外囲器と、外囲器の内面に形成した発光層と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って第1,第2の開口部が形成されるように互いに離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極とを具備し、前記発光層からの放射光を、主として第1の開口部から外部に放出するように構成すると共に、第2の開口部を形成する一対の外部電極のうち、一方の外部電極の側縁部にのみ異形部を周期性を有するように前記側縁部のほぼ全長に亘って形成すると共に、他方の外部電極の側縁部をストレ−ト状に形成したことを特徴とする希ガス放電灯。
- 軟化点が鉛ガラスより高く、150°Cにおける体積抵抗率が1×109Ωcm以上で、かつ鉛を含まないガラス部材よりなる直管状の外囲器と、外囲器の内面に形成した発光層と、外囲器の外周面に、それのほぼ全長に亘って第1,第2の開口部が形成されるように互いに離隔して配置した金属部材よりなる帯状の一対の外部電極と、外部電極が被覆されるように装着した透光性の絶縁部材とを具備し、前記発光層からの放射光を、主として第1の開口部から外部に放出するように構成すると共に、第2の開口部を形成する一対の外部電極のうち、一方の外部電極の側縁部にのみ異形部を周期性を有するように前記側縁部のほぼ全長に亘って形成すると共に、他方の外部電極の側縁部をストレ−ト状に形成したことを特徴とする希ガス放電灯。
- 前記絶縁部材を、透光性シ−ト又は熱収縮性樹脂よりなる保護チュ−ブにて構成したことを特徴とする請求項3記載の希ガス放電灯。
- 軟化点が鉛ガラスより高く、150°Cにおける体積抵抗率が1×109Ωcm以上で、かつ鉛を含まないガラス部材よりなる直管状の外囲器と、外囲器の内面に形成した発光層と、外囲器の全長とほぼ同程度の長さを有する透光性シ−トの一方の面に金属部材よりなる帯状の一対の外部電極を、第1,第2の開口部が形成されるように互いに離隔して配置し、かつ外部電極の位置する側の透光性シ−ト面に接着層を形成してなるシ−ト構体とを具備し、前記発光層からの放射光を、主として第1の開口部から外部に放出するように構成し、第2の開口部を形成する一対の外部電極のうち、一方の外部電極の側縁部にのみ異形部を周期性を有するように前記側縁部のほぼ全長に亘って形成すると共に、他方の外部電極の側縁部をストレ−ト状に形成し、かつ外囲器の外周面にシ−ト構体を、外囲器と透光性シ−トとの間に外部電極が位置するように巻回したことを特徴とする希ガス放電灯。
- 前記異形部を、三角状、台形を含む矩形状、波形を含む半円状、角孔、丸孔のいずれかにて構成したことを特徴とする請求項1,2,3,5のいずれかに記載の希ガス放電灯。
- 前記第1の開口部にほぼ対応する外囲器の内面部分に、発光層の形成されないアパ−チャ部を形成したことを特徴とする請求項1,2,3,5のいずれかに記載の希ガス放電灯。
- 前記外囲器に希ガスを、好ましくはキセノンを主成分とする希ガスを、さらに好ましくはキセノンガスを83〜200トルの圧力範囲で封入したことを特徴とする請求項1,3,5のいずれかに記載の希ガス放電灯。
- 前記外囲器の肉厚を0.2〜0.7mmの範囲に設定したことを特徴とする請求項1,2,3,5のいずれかに記載の希ガス放電灯。
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