JP3678543B2 - き電線補償用自励式インバータの制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流き電の鉄道のき電線に接続され、無効電力及び有効電力の融通を行うことにより、受電している三相の電力系統に与える悪影響を抑制する、き電線補償用自励式インバータの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、交流き電の鉄道においては、図1に示すように、三相電力系統をスコット変圧器1(又はウッドブリッジ変圧器等)で受電し、単相2回線のT座及びM座に変換してき電している。このT座及びM座き電線2T,2Mに補償用のT座及びM座インバータ3T及び3Mを接続し、インバータの直流側を共通としてインバータ3T,3Mを制御して負荷の無効電力補償、T座/M座の有効電力の融通を行なう方式が考案されている。
【0003】
この方式は、変圧器1は両座とも力率1で電力が平衡するように運転可能であり、受電側からみた利用率がよくなるだけでなく、変圧器の利用も改善できる等の理想的な運用状態とすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、き電線側にインバータを接続するため、三相受電側にインバータを接続する方式に比べ、負荷の影響を強く受ける。特に、車両のセクション通過時の突入電流の影響を受ける。即ち、定常負荷電流の数倍以上の突入電流が変圧器とインバータのインピーダンス比でインバータに分流するため、インバータの過電流耐量を大きくする必要があり、インバータが大形化する。
【0005】
また、突入電流によりインバータの受電点の電圧が低下し、更に、突入電流、即ち遅れ電流により等価的に電圧位相が進み、この影響をインバータが受け、制御回路が振られてしまい不安定となる要因を増やすことになってしまう。
【0006】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、負荷の突入時のインバータ電流耐量を少なくでき、制御の安定な動作を確保できるき電線補償用自励式インバータの制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、交流き電線に接続され無効電力補償と有効電力の融通を行う自励式インバータの、負荷突入による過大電流とき電線電圧の低下と位相の進みによる影響を抑制するインバータの制御方法であって、負荷突入の検出は、負荷電流を全波整流し、この整流出力をピークホールドし更にサンプルホールドした半周期前のピーク値と前記整流出力の現在のピーク値とを比較し、設定値以上の差のある場合、負荷突入検出とし、予め定めた補正量のインバータ電圧下げ信号及び位相進み信号によりインバータの電圧と位相を補正制御して、インバータの過電流の抑制と制御回路の安定を図り、前記負荷電流の正と負のピーク値を比較し、差の少ない場合、前記負荷突入検出を負荷急増によるものと見倣して、前記インバータの補正制御を停止させ負荷急増による不要動作を抑制することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明を図面を参照して説明する。図2は負荷突入検出回路、図3はそのタイミング図、図4は補正停止回路、図5はそのタイミング図、図6は図1のインバータ3T,3Mに補償信号を出力する補償信号発生回路、図7はそのタイミング図である。
【0010】
図2,図3について、11は負荷電流Aを整流する全波整流器、12はその全波整流出力Bのピーク値を保持し所定の時定数で減衰するピークホールド値Cを出力するピークホールド回路、13は負荷電流のゼロ点を検出するコンパレータ、14及び15はコンパレータ13からの0°及び180°の信号で動作するモノマルチバイブレータである。
【0011】
16はサンプルホールド回路で、モノマルチバイブレータ14及び15からの負荷電流の0点の立ち上がり及び立ち下がり信号により駆動され、半波前のピークホールド値Cをホルードする。17は整流出力Bとサンプルホールド値Dと設定電流値Isetとを比較して負荷突入を判定するコンパレータである。
【0012】
以上のように負荷突入検出回路は構成されているので、コンパレータ17は、整流出力B>(サンプルホールド値D+Iset)の場合に整流出力Bのピーク部分だけ負荷突入検出信号Eを出力する。
【0013】
図4,図5について、10は上記図2の負荷突入検出回路、21及び22は負荷電流Aの+側及び一側のピーク電流値をホールドし、+及び−のピークホールド値F及びGを出力するピークホールド回路、23は電流差設定値△Isetとピークホールド値F及びGを比較するウィンドコンパレータである。
【0014】
24は突入電流検出回路10からの負荷突入検出信号Eを半周期遅らせる半周期ディレイ回路、25はそのディレイ信号を整形する波形整形回路、26はウィンドコンパレータ23からの信号があることを条件に波形整形された半周期ディレイ信号を補正停止指令信号Hとして出力する論理積回路である。
【0015】
以上のように補正停止回路は構成されているので、図5(A)のように負荷電流Aが負荷急増による場合、ウィンドコンパレータ23は+,−のピークホールド値F,Gの差が電流差設定値△Iset以下となり“H”を出力するので、論理積回路26から波形整形回路25の出力の信号“H”を補正停止指令Hとして出力する。また、図5(B)のように負荷電流Aに突入電流が加わっている場合、+,−のピークホールド値F,Gの差が電流差設定値△Iset以上となり、ウィンドコンパレータ23が“H”を出力しないので、論理積回路26から補正停止指令Hは出力しない。
【0016】
図6,図7について、30A及び30Bはインバータ電圧下げ補償回路及びインバータ位相進み補償回路である。まず、インバータ電圧下げ補償回路30Aについて図7を用いて説明する。31Aは突入検出回路(図2)から負荷突入検出信号Eが入力すると予め設定された補正時間TW を出力する単安定マルチバイブレータ、32Aはこの出力信号Jを積分する積分回路、33Aは単安定マルチバイブレータの出力信号Jと積分回路の積分出力信号Kとの差を増幅するアンプ、34Aはアンプ33 A のゲイン設定器、SAは図4からの補正停止指令HがないときONしていてアンプ33 A の出力Lをインバータ電圧下げ補償指令として出力するスイッチである。補正停止指令HがあるとスイッチSAがOFFし、インバータ電圧下げ補正指令は停止する。
【0017】
インバータ位相進み補償回路30B(31B〜34B,SB)は上記回路30A(31A〜34A,SA)と同様に構成されている。しかして、負荷突入検出信号Eが入力すると、30Aと同様に、補正停止指令HがないときスイッチSBからアンプ33Bの出力Lをインバータ位相進み補償指令として出力する。
【0018】
したがって、負荷突入検出信号Eが入力し、かつ補正停止指令Hが入力しない限り、回路30A及び30Bから電圧下げ補償指令及び位相進み補償指令が出力されるので、インバータの電圧が下がると共に位相が進むので、インバータの過電流耐量が小さくて済むことになる。
【0019】
このインバータの電圧下げ補償及び位相進み補償中に補正停止回路(図4)が負荷突入検出信号Eを負荷電流の急増によるものと判断して補正停止指令Hを出力すると、回路30A,30Bの各スイッチS A ,S B がOFFとなり、各スイッチS A ,S B からのアンプ出力Lは図7のようスイッチ出力L’となり、電圧下げ補償及び位相進み補償は停止するので、負荷突入検出が負荷急増による場合、余計な補正を行わずにすむ。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。
【0021】
(1)負荷突入時のインバータの過電流耐量を少なくできるので、インバータを小形化できる。
【0022】
(2)負荷突入時のインバータの制御の不安定性を小さくでき安定な動作を確保できる。
【0023】
(3)負荷突入と負荷急増を区別でき余計な補正を行うことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】自励式インバータによるき電線電力補償回路構成図。
【図2】突入電流検出回路ブロック図。
【図3】同回路の動作を示すタイミング図。
【図4】補正停止指令回路ブロック図。
【図5】同回路の動作を説明するタイミング図。
【図6】補償信号発生回路ブロック図。
【図7】同回路の動作を説明するタイミング図。
【符号の説明】
1…スコット変圧器
2T,2M…き電線
3T,3M…自励式インバータ
10…突入電流検出回路
11…全波整流器
12…ピークホールド回路
13…ゼロ点検出用コンパレータ
14,15…モノマルチバイブレータ
16…サンプルホールド回路
17…コンパレータ
21,22…ピークホールド回路
23…ウィンドコンパレータ
24…半周期ディレイ回路
25…波形整形回路
26…論理積回路
31…モノマルチバイブレータ
32…積分回路
33…アンプ
34…アンプのゲイン設定器
S…スイッチ。
Claims (1)
- 交流き電線に接続され無効電力補償と有効電力の融通を行う自励式インバータの、負荷突入による過大電流とき電線電圧の低下と位相の進みによる影響を抑制するインバータの制御方法であって、
負荷突入の検出は、負荷電流を全波整流し、この整流出力をピークホールドし更にサンプルホールドした半周期前のピーク値と前記整流出力の現在のピーク値とを比較し、設定値以上の差のある場合、負荷突入検出とし、予め定めた補正量のインバータ電圧下げ信号及び位相進み信号によりインバータの電圧と位相を補正制御し、インバータの過電流の抑制と制御回路の安定を図り、
前記負荷電流の正と負のピーク値を比較し、差の少ない場合、前記負荷突入検出を負荷急増によるものと見倣して、前記インバータの補正制御を停止させることを特徴とするき電線補償用自励式インバータの制御方法。
Priority Applications (1)
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JP16361897A JP3678543B2 (ja) | 1997-06-20 | 1997-06-20 | き電線補償用自励式インバータの制御方法 |
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JP16361897A JP3678543B2 (ja) | 1997-06-20 | 1997-06-20 | き電線補償用自励式インバータの制御方法 |
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