JP3678413B2 - 窒化アルミニウム質焼結体とFe−Ni−Co合金とのロウ付け接合体及びウエハ支持部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金とのロウ付け接合体及びこれを用いたウエハ支持部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金とをロウ材層を介してロウ付けした接合体は、半導体パッケージや半導体製造装置に用いられるウエハ支持部材に用いられている。
【0003】
例えば、図3に従来のウエハ支持部材を用いた半導体製造装置の概略断面図を示すように、この半導体製造装置50は、サセプターと呼ばれるウエハ支持部材51をチャンバー63内に設置したもので、上記ウエハ支持部材51は、窒化アルミニウム質焼結体からなるセラミック板状体52の一方の主面(最も広い面)を、半導体ウエハWを載せる載置面53とし、上記セラミック板状体52中に発熱抵抗体54を有するとともに、上記セラミック板状体52の他方の主面55に、Fe-Ni-Co合金からなる筒状体58の一方端側に備えるフランジ部59をロウ材層61を介して気密接合したもので、筒状体58の他方端側に備えるフランジ部60をOリング62を介してチャンバー63の底面に気密接合することにより、ウエハ支持部材51をチャンバー63内に設置するとともに、チャンバー63内の気密性を維持するようになっていた。なお、64はセラミック板状体52と同種のセラミックスからなる応力緩和リングで、筒状体58のフランジ部59の下面にロウ材層65を介して接合されている。
【0004】
また、セラミック板状体52の他方の主面55には、発熱抵抗体54への通電端子57や温度検出素子56を取着してあり、これらの導線が金属製筒状体58の内側を通ってチャンバー63の外側に導出されるようになっている(特開平9−213775号公報、特開平9−262734号公報参照)。
【0005】
そして、この半導体製造装置50を用いて、半導体ウエハWに成膜加工やエッチング加工を施すには、半導体ウエハWをウエハ支持部材51の載置面53に載せた後、チャンバー63内を例えば10-11Pa程度の真空とし、発熱抵抗体54に通電してセラミック板状体52を発熱させ、温度検出素子56により得られる温度を基に半導体ウエハWを各種加工温度に加熱した状態でチャンバー63内に成膜用ガスやエッチング用ガスを供給することにより、半導体ウエハWに各種加工を施すようになっていた。また、この時、ウエハ支持部材51は、チャンバー63と気密に接合してあるため、チャンバー63内の気密性が保たれるようになっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、成膜加工やエッチング加工を行う半導体製造装置50では、半導体ウエハWを100〜300℃、さらには600℃程度の高温に加熱することが多く、ウエハ支持部材51には、常温から上記加工温度の間での熱サイクルが加わることになる。
【0007】
そして、この熱サイクルによって加わる熱応力は、強度的に弱い筒状体58のフランジ部59とセラミック板状体52との接合部に集中して発生するため、筒状体58のフランジ部59をセラミック板状体52と応力緩和リング64で挟み込む構造とするとともに、筒状体58をセラミック板状体52を形成する窒化アルミニウム質焼結体に近似した熱膨張率を有するFe-Ni-Co合金により形成してあるものの、上記加工温度内で熱サイクルが繰り返し加わると、熱応力を十分に緩和することができず、セラミック板状体52にクラックが発生したり、筒状体58のフランジ部59にクラックが発生し、数十サイクルから100サイクル程度の使用で、チャンバー63内の成膜用ガスやエッチング用ガスが筒状体58内に侵入するガスリークが発生し、半導体製造装置に要求される高真空状態を維持できなくなるとともに、成膜用ガスやエッチング用ガス中に含まれている腐食性ガスによって通電端子57や温度検出素子56が腐食したり破損するといった課題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金とをロウ材層を介してロウ付けした接合体において、上記Fe-Ni-Co合金として、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなる組成を有し、結晶粒径が13μm〜150μmの範囲にある合金を用い、上記Fe-Ni-Co合金の接合部の厚みを0.1〜1mmとしたことを特徴とする。
【0009】
また、上記Fe-Ni-Co合金は、その破断伸び率が20%以上を有するものが好ましい。
【0010】
また、本発明は、窒化アルミニウム質焼結体からなるセラミック板状体の一方の主面を、ウエハを載せる載置面とするとともに、上記セラミック板状体の他方の主面にFe-Ni-Co合金からなる筒状体のフランジ部をロウ材層を介してロウ付けしたウエハ支持部材において、上記筒状体を形成するFe-Ni-Co合金として、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなる組成を有し、結晶粒径が13μm〜150μmの範囲にある合金を用い、上記筒状体のフランジ部の厚みを0.1〜1mmとしたことを特徴とする。
【0011】
また、上記筒状体を形成するFe-Ni-Co合金は、その破断伸び率が20%以上を有するものが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金とのロウ付け接合体の一例としてウエハ支持部材を例にとって説明する。
【0013】
図1は本発明に係るウエハ支持部材を用いた半導体製造装置の一例を示す概略断面図である。
【0014】
この半導体製造装置1は、サセプターと呼ばれるウエハ支持部材2をチャンバー21内に設置したもので、上記ウエハ支持部材2は、窒化アルミニウム質焼結体からなるセラミック板状体3の一方の主面を、半導体ウエハWを載せる載置面4とし、上記セラミック板状体3中に発熱抵抗体5を有するとともに、上記セラミック板状体3の他方の主面6に、Fe-Ni-Co合金からなる筒状体10の一方端側に備える厚み(t1)0.1〜1mmのフランジ部11をロウ材層13を介して気密接合したもので、筒状体10の他方端側に備えるフランジ部12をOリング22を介してチャンバー21の底面に気密接合することにより、ウエハ支持部材2をチャンバー21内に設置するとともに、チャンバー21内の気密性を維持するようにしてある。
【0015】
また、上記筒状体10のフランジ部11の下面には、窒化アルミニウム質焼結体からなる応力緩和リング14をロウ材層15を介して接合してあり、このように、筒状体10のフランジ部11を熱膨張係数が近似又は同一のセラミック板状体3と応力緩和リング14とで挟み込む構造とすることで、熱サイクルによってセラミック板状体3と筒状体10のフランジ部11との接合部に作用する熱応力を低減することができる。
【0016】
また、セラミック板状体3の中央には、載置面4から他方の主面6まで貫通するガス供給孔9を有し、セラミック板状体3の他方の主面中央には、Fe-Ni-Co合金からなるガス導入パイプ16の厚み(t2)0.1〜1mmのフランジ部17をロウ材層18を介して気密接合してあり、このガス導入パイプ16を介してガス供給孔9よりHe等のガスを半導体ウエハWと載置面4との微少隙間に供給することで、載置面4と半導体ウエハWとの間の熱伝達特性を高めるようになっている。
【0017】
そして、ガス導入パイプ16のフランジ部17の下面にも、窒化アルミニウム質焼結体からなる応力緩和リング19をロウ材層20を介して接合してあり、このように、ガス導入パイプ16のフランジ部17を熱膨張係数が近似又は同一のセラミック板状体3と応力緩和リング19とで挟み込む構造とすることで、熱サイクルによってセラミック板状体3とガス導入パイプ16のフランジ部17との接合部に作用する熱応力を低減することができる。
【0018】
さらに、セラミック板状体3の他方の主面6には、発熱抵抗体5への通電端子7や温度検出素子8を取着してあり、これらの導線は筒状体10の内側を通ってチャンバー21の外側に導出されるようになっている。
【0019】
そして、この半導体製造装置1を用いて、半導体ウエハWに成膜加工やエッチング加工を施すには、半導体ウエハWをウエハ支持部材2の載置面4に載せた後、チャンバー21内を例えば10-11Pa程度の真空とし、発熱抵抗体5に通電してセラミック板状体3を発熱させ、温度検出素子8により得られる温度を基に半導体ウエハWを各種加工温度に加熱した状態でチャンバー21内に成膜用ガスやエッチング用ガスを供給することにより、半導体ウエハWに各種加工を施すことができる。
【0020】
また、本発明のウエハ支持部材2によれば、筒状体10及びガス導入パイプ16を形成するFe-Ni-Co合金として、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなる組成を有し、結晶粒径が13μm〜150μmの範囲にあるFe-Ni-Co合金を用いたことを特徴とする。
【0021】
即ち、ウエハ支持部材2には、常温から約600℃程度の加工温度範囲で熱サイクルが加わり、この熱サイクルに伴ってセラミック板状体3と筒状体10のフランジ部11との接合部、及びセラミック板状体3とガス導入パイプ16のフランジ部17との接合部には熱応力が集中するのであるが、筒状体10及びガス導入パイプ16を形成するFe-Ni-Co合金として、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなる組成を有するFe-Ni-Co合金を用いることにより、セラミック板状体3と筒状体10のフランジ部11との接合部、及びセラミック板状体3とガス導入パイプ16のフランジ部17との接合部に作用する熱応力を緩和することができる。
【0022】
即ち、Niが28〜32重量%の範囲を外れるか、あるいはCoが15〜18重量%の範囲を外れると、セラミック板状体3を形成する窒化アルミニウム質焼結体との熱膨張差が大きくなり過ぎ、各接合部に作用する熱応力を緩和する効果が得られなくなるからで、上記組成のFe-Ni-Co合金であれば、セラミック板状体3と筒状体10やガス導入パイプ16との各接合部に作用する熱応力を小さくすることができる。特にNi29重量%、Co17重量%、残部がFeからなるFe-Ni-Co合金を用いれば、窒化アルミニウム質焼結体の熱膨張係数に最も近似させることができ好適である。
【0023】
なお、残部が実質的にFeからなるとは、Fe以外には不可避不純物を除いて他の成分を積極的に含んでいないことを指し、合金の熱膨張係数を窒化アルミニウム質焼結体の熱膨張係数に近似させる観点から、不可避的不純物の含有量は1.8重量%以内とすることが好ましい。
【0024】
また、気密性を高めるためには、筒状体10のフランジ部11及びガス導入パイプ16のフランジ部17の厚み(t1,t2)はそれぞれ0.1〜1mmとすることが重要である。
【0025】
即ち、各フランジ部11,17の厚み(t1,t2)が1mmを越えると、窒化アルミニウム質焼結体の膨張に合わせた変形が難くなり、熱サイクルをかけると接合部の応力を緩和しきれず、セラミック板状体3を形成する窒化アルミニウム質焼結体にクラックが入り、ガスリークが発生するからで、逆に、各フランジ部11,17の厚み(t1,t2)が0.1mm未満となると、Fe-Ni-Co合金からなるフランジ部11,17の強度が小さくなり過ぎ、ハンドリング等のわずかな外力でフランジ部11,17にクラックが入り、ガスリークを招くことになるからである。
【0026】
しかしながら、これらの対応だけでは、室温から600℃以上の加工温度範囲で熱サイクルが作用する場合、セラミック板状体3と筒状体10やガス導入パイプ16との接合部に発生するガスリークの問題は解消することができず、本件発明者は種々研究を重ねたところ、筒状体10やガス導入パイプ16を形成するFe-Ni-Co合金の破断伸び率が重要であることを知見し、この破断伸び率を20%以上とすれば、セラミック板状体3と筒状体10やガス導入パイプ16との接合部に作用する熱応力を緩和し、上記加工温度範囲で熱サイクルが加わっても長期間にわたってガスリークを防止できることを突き止めた。
【0027】
即ち、筒状体10を形成するFe-Ni-Co合金は、セラミック板状体3を形成する窒化アルミニウム質焼結体と比較して熱による膨張及び収縮が大きく、この間の差が大きい程、大きな熱応力が作用することになるため、膨張や収縮が大きいFe-Ni-Co合金の中でも破断伸び率の大きいものを用いれば、冷却時に縮もうとする力を小さくできるため、セラミック板状体3との間に作用する熱応力を緩和することができ、この破断伸び率を20%以上とすれば、室温から600℃以上の加工温度範囲内において、繰り返し熱サイクルを加えてもセラミック板状体3と筒状体10やガス導入パイプ16との接合部に作用する熱応力を緩和し、ガスリークの発生を長期間にわたって防止することができる。
【0028】
ところで、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなるFe-Ni-Co合金の破断伸び率を20%以上とするには、Fe-Ni-Co合金の結晶粒径を13〜150μmとする必要がある。
【0029】
即ち、Fe-Ni-Co合金の結晶粒径が150μmを超えると、破断伸び率を20%以上とすることができず、逆に結晶粒径を13μm未満とすることは製造上難しいからである。
【0030】
なお、Fe-Ni-Co合金のビッカース硬度と破断伸び率との間には一定の関係があり、ビッカース硬度が小さくなる程、破断伸び率を大きくすることができ、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなるFe-Ni-Co合金の破断伸び率を20%以上とするビッカース硬度は130〜170とすれば良い。
【0031】
ところで、このようなFe-Ni-Co合金を得るには、Fe-Ni-Co合金の原料となる金属を真空溶解炉で溶解し、金属鋳型に鋳込み、鋳塊を作製する。この時点で、結晶粒径は数mm〜30mmになるが、これを高温の軟らかい状態で、鍛造により変形し、さらに熱処理で再結晶を繰り返すことにより、結晶粒径を小さくすることができ、Fe-Ni-Co合金の結晶粒径を13μm〜150μmとすれば良い。
【0032】
一方、セラミック板状体3及び応力緩和リング14,19を形成する窒化アルミニウム質焼結体としては、窒化アルミニウムを主成分とし、周期律表2a族元素酸化物や3a族元素酸化物を0.5〜20重量%の範囲で含有した窒化アルミニウム質焼結体、あるいはAlN含有量が99重量%以上である高純度の窒化アルミニウム質焼結体を用いれば良い。
【0033】
また、各セラミック部材を接合するロウ材層13,15,18,20の材質としては、加工温度よりも融点が高く、反応し難いロウ材を用いることが好ましく、例えば、加工温度が600℃以内である場合、Ag−Cu系ロウ、Ag−Cu―Ti系ロウ、Au−Cu系ロウ、Au−Ni系ロウを用いることができ、加工温度が1000℃以内である場合、Au−Cu系ロウやAu−Ni系ロウ等の金を主体とするロウ材を用いれば良い。
【0034】
以上、実施例では、窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金とのロウ付け接合体の一例としてウエハ支持部材を例にとって説明したが、本発明はこの用途だけに限定されるものではなく、半導体パッケージや他の接合構造体にも用いることができることは言うまでもない。
【0035】
さらに、ウエハ支持部材においても図1に示した構造のものだけに限定されるものではなく、さまざまな形状を有するものに適用することができる。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
ここで、Fe-Ni-Co合金の結晶粒径を異ならせた筒状体を用意し、各筒状体を窒化アルミニウム質焼結体からなるセラミック板状体にロウ付けしてウエハ支持部材を製作し、セラミック板状体と筒状体の接合部における気密性について調べる実験を行った。
【0037】
本実験で使用するウエハ支持部材は、セラミック板状体を直径8インチ(約200mm)、厚み10mmの円板状体とし、AlN含有量99.8重量%の高純度窒化アルミニウム質焼結体により形成したものを用い、上記セラミック板状体中には、モリブデンコイルからなる発熱抵抗体を埋設したものを用いた。
【0038】
なお、セラミック板状体を形成する窒化アルミニウム質焼結体の比重は3.2、25℃〜750℃の熱膨張率は5×10-6/℃であった。また、熱膨張係数の測定にあたっては、セラミック板状体3と同じ窒化アルミニウム質焼結体からなるテストピース(直径5mm×15mmの円柱)を用意し、セイコー電子工業製TMA300型の熱分析装置を用いて測定した。
【0039】
セラミック板状体に接合する筒状体は、直径150mm、厚み0.5mmの円筒状体をなし、その両端部外周に厚みが0.5mm、幅が6mmのフランジ部を設けたものを用い、Fe:53.7重量%、Ni:28.9重量%、Co:16.9重量%、残部が不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径が45μm、110μm、150μm、210μm、250μm、300μmである6種類のFe-Ni-Co合金により形成した。
【0040】
なお、Fe-Ni-Co合金の25℃〜750℃の熱膨張係数を測定したところ、9.7×10-6/℃であった。
【0041】
また、Fe-Ni-Co合金の組成については、日本フィリップス社製PW−1480型装置を用い、蛍光X線法を用いて定量した。
【0042】
さらに、結晶粒径の大きさの測定方法は、以下のように行った。
【0043】
Fe-Ni-Co合金の試験片を鏡面研磨後腐食し、腐食した研磨を金属顕微鏡で観察し、その100倍の写真を撮りその写真をASTMの微少結晶粒度番号と比較し、結晶粒径を決定した。熱膨張係数の測定方法は、窒化アルミニウム質焼結体の測定と同様の装置及び同様の方法を用いて測定した。
【0044】
応力緩和リングは、セラミック板状体と同じ窒化アルミニウム質焼結体からなるもので、外径が150mm、幅が5mm、厚みが5mmのリング状体をしたものを用いた。
【0045】
そして、セラミック板状体と応力緩和リングの接合面にCu−Ag−Ti系ロウ材を用い、800℃の温度でメタライズ層を形成し、さらにNiメッキを施すとともに、筒状体のフランジ部における接合面にはNiメッキを施した。
【0046】
そして、セラミック板状体の接合面にAg−Cu系ロウ材を塗布し、筒状体のフランジ部を押し付けた後、筒状体のフランジ部にAg−Cu系ロウ材を塗布し、応力緩和リングを押し付け、しかる後、850℃の真空中でロウ付け処理を行った。
【0047】
そして、これらのウエハ支持部材をPVD装置のチャンバー内にセットし、発熱抵抗体に通電してウエハ支持部材を発熱、冷却させ、常温から600℃の熱サイクルを200回繰り返し、セラミック板状体と筒状体との間の接合部におけるガスリークの有無について調べる実験を行った。
【0048】
なお、ガスリークの測定は、Heリークディテクターを用いて実施した。ガスリークレートは1×10-12Pa・m3/sec未満で検出限界以下だったものはガスリーク無しと判断し、1×10-12Pa・m3/sec以上のリークレートとなったものをガスリーク有りとした。
【0049】
結果は表1に示す通りである。
【0050】
【表1】
【0051】
この結果、筒状体を形成するFe-Ni-Co合金の結晶粒径が150μmより大きいものでは、セラミック板状体と筒状体との間の接合部に作用する熱応力を十分に緩和する効果がなく、100サイクル以内の熱サイクルでガスリークの発生が見られた。
【0052】
そこで、これらのウエハ支持部材のFe-Ni-Co合金からなる筒状体とセラミックス板状体の接合部付近を切り出してガスリークが発生した部分を顕微鏡で観察したところ、いずれもFe-Ni-Co合金からなるフランジ部にクラックが発生していた。
【0053】
これに対し、筒状体を形成するFe-Ni-Co合金の結晶粒径が13〜150μmの範囲にあるものは、セラミック板状体と筒状体との間の接合部に作用する熱応力の緩和効果が得られ、熱サイクルを200回繰り返したとしてもガスリークの発生は見られなかった。
【0054】
この結果、筒状体を形成するFe-Ni-Co合金の結晶粒径は13〜150μmとすれば良いことが判る。また、各Fe-Ni-Co合金の破断伸び率を測定したところ、結晶粒子径が小さい程、破断伸び率が大きくなり、Fe-Ni-Co合金の結晶粒径が150μmの時の破断伸び率は20%であった。
【0055】
なお、各Fe-Ni-Co合金の破断伸び率の測定は、図2のような試験片を作製し、両端をチャックングし、引っ張り荷重を加え破断させる。そして破断面を合わし、引っ張り試験をする前から伸びた長さから、破断伸び率を導き出した。
(実施例2)
次に、筒状体を形成するFe-Ni-Co合金の結晶粒径は150μmとし、筒状体のフランジ部の厚みを異ならせ、実施例1と同様の実験を行った。
【0056】
結果は表2に示す通りである。
【0057】
【表2】
【0058】
この結果、筒状体のフランジ部の厚みを0.05mmとしたものは、チャンバー内に設置する際の取り扱い時に接合部に剥離が見られた。
【0059】
また、筒状体のフランジ部の厚みが1mmを超えるものにあっては、セラミック板状体と筒状体との間の接合部に作用する熱応力を十分に緩和する効果がなく、100サイクル以内の熱サイクルでガスリークの発生が見られた。
【0060】
これに対し、筒状体のフランジ部の厚みを0.1〜1mmの範囲で形成したものは、セラミック板状体と筒状体との間の接合部に作用する熱応力の緩和効果が得られ、熱サイクルを200回繰り返したとしてもガスリークの発生は見られなかった。
【0061】
この結果、筒状体のフランジ部の厚みは0.1〜1mmとすれば良いことが判る。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金とをロウ材層を介してロウ付けした接合体において、上記Fe-Ni-Co合金として、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなる組成を有し、結晶粒径が13μm〜150μmの範囲にある合金を用い、上記Fe-Ni-Co合金の接合部の厚みを0.1〜1mmとしたことによって、熱サイクルが加わったとしても、窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金の接合部に作用する熱応力を緩和し、窒化アルミニウム質焼結体やFe-Ni-Co合金にクラックが発生することを防止することができ、特に上記Fe-Ni-Co合金の破断伸び率を20%以上とすれば、より効果的である。
【0063】
また、本発明によれば、窒化アルミニウム質焼結体からなるセラミック板状体の一方の主面を、ウエハを載せる載置面とするとともに、上記セラミック板状体の他方の主面にFe-Ni-Co合金からなる筒状体のフランジ部をロウ材層を介してロウ付けしたウエハ支持部材において、上記筒状体を形成するFe-Ni-Co合金として、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなる組成を有し、結晶粒径が13μm〜150μmの範囲にある合金を用い、上記筒状体のフランジ部の厚みを0.1〜1mmとしたことによって、熱サイクルが加わったとしても、セラミック板状体と筒状体のフランジ部との接合部に作用する熱応力を緩和し、セラミック板状体や筒状体のフランジ部にクラックが発生することを防止することができるため、ガスリークの発生を長期間にわたり防ぐことができる。特に上記Fe-Ni-Co合金の破断伸び率を20%以上とすれば、より効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るウエハ支持部材を備えた半導体製造装置を示す概略断面図である。
【図2】Fe-Ni-Co合金の破断伸び率を測定する際のテストピースの形状を示す平面図である。
【図3】従来のウエハ支持部材を備えた半導体製造装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1,50:半導体製造装置
2,51:ウエハ支持部材
3,52:セラミック板状体
4,53:載置面
5,54:発熱抵抗体
6,55:セラミック板状体の他方の主面
7,57:通電端子
8,56:温度検出手段
9:ガス供給孔
10,58:筒状体
11,12,59,60:フランジ部
13,15,18,20,61,65:ロウ材層
14,19,64:応力緩和リング
16:ガス導入パイプ
17:フランジ部
21,63:チャンバー
22,62:Oリング
Claims (4)
- 窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金とをロウ材層を介してロウ付けした接合体において、上記Fe-Ni-Co合金の組成が、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなり、上記Fe-Ni-Co合金の結晶粒径が13μm〜150μmの範囲にあるとともに、上記Fe-Ni-Co合金の接合部の厚みが0.1〜1mmであることを特徴とする窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金とのロウ付け接合体。
- 上記Fe-Ni-Co合金の破断伸び率が20%以上であることを特徴とする請求項1に記載の窒化アルミニウム質焼結体とFe-Ni-Co合金とのロウ付け接合体。
- 窒化アルミニウム質焼結体からなるセラミック板状体の一方の主面を、ウエハを載せる載置面とするとともに、上記セラミック板状体の他方の主面に、Fe-Ni-Co合金からなる筒状体のフランジ部をロウ材層を介してロウ付けしたウエハ支持部材において、上記筒状体を形成するFe-Ni-Co合金の組成が、Ni28〜32重量%、Co15〜18重量%、残部が実質的にFeからなり、上記Fe-Ni-Co合金の結晶粒径が13μm〜150μmの範囲にあるとともに、上記筒状体のフランジ部の厚みが0.1〜1mmであることを特徴とするウエハ支持部材。
- 上記筒状体を形成するFe-Ni-Co合金の破断伸び率が20%以上であることを特徴とする請求項3に記載のウエハ支持部材。
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