JP4436560B2 - ウエハ支持部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハや液晶基板等のウエハを支持し、ウエハの均熱化を図るために使用するウエハ支持部材に関するものであり、特にCVD、PVD、スパッタリング、SOD、SOG等の成膜装置用や光エッチングやプラズマエッチング等を用いたエッチング装置用として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体デバイスの製造工程のうち、CVD、PVD、スパッタリング、SOD、SOG等を用いた成膜工程や、光エッチングやプラズマエッチング等を用いたエッチング工程では、半導体ウエハ(以下、単にウエハという)に均一な膜を付けたり、均一なエッチングを施すにあたり、ウエハを精度良く支持するとともに、ウエハの加工表面における温度を均一化するためにウエハ支持部材が用いられている。
【0003】
ところで、近年、成膜材料として銅が用いられるようになり、0℃〜−30℃といった低温域で成膜することが求められており、ウエハを支持するウエハ支持部材も上記使用温度で効率良く冷却できるものが要求されている。
【0004】
例えば、特開平10−32239号公報には、図2に示すように、板状セラミック体22の一方の主面を、ウエハWを載せる設置面23とし、上記板状セラミック体22の他方の主面にメタライズ層25を備え、該メタライズ層25にロウ材層26を介したロウ付けにより冷却機構を備えた基台27を接合してなり、上記板状セラミック体22中には静電吸着用としての内部電極24を備えたウエハ支持部材21が開示されており、上記設置面23にウエハWを載せ、該ウエハWと内部電極24との間に通電して静電吸着力を発生させることによりウエハWを設置面23上に強制的に吸着固定させるとともに、上記基台27の冷却機構によって設置面23上に固定されたウエハWの加工表面が均一な温度となるように調整するようになっていた。
【0005】
また、特開平3−3249号公報には、図3に示すように、板状セラミック体32の一方の主面を、ウエハWを載せる設置面33とし、上記板状セラミック体32の他方の主面に形成した金属層35を介して金属ボンディングにより冷却機構を備えた基台39を接合してなり、上記板状セラミック体22中には静電吸着用としての一対の内部電極34を備えたウエハ支持部材31が開示されており、上記設置面33にウエハWを載せ、一対の内部電極34,34間に通電してウエハWとの間に静電吸着力を発生させることによりウエハWを設置面33上に強制的に吸着固定させるとともに、上記基台39の冷却機構によって設置面33上に固定されたウエハWの加工表面が均一な温度となるように調整するようになっていた。そして、上記板状セラミック体32の他方の主面に形成する金属層35は、板状セラミック体32側から順にクロム(Cr)からなる第一金属層36と、銅(Cu)からなる第二金属層37を順次積層して形成されており、インジウム(In)からなる接合層38を介して基台39と金属ボンディングするようになっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ウエハ支持部材21,31の設置面23,33における温度分布をできるだけ均一化するには、板状セラミック体22,32と基台27,39との間をできるだけ薄くする必要がある。
【0007】
しかしながら、特開平10−32239号公報に開示された図2のウエハ支持部材21では、基台27を板状セラミック体22にロウ付けするために形成するメタライズ層25の平均層厚みが30μm程度と厚く、これ以上薄くすることは難しいものであった。
【0008】
即ち、メタライズ層25は、一般的に印刷、焼き付けという工程をへて形成されるのであるが、印刷工程におけるばらつきを無くすためには印刷厚みをある程度厚くしなければならず、その結果、メタライズ層25の平均層厚みを30μm未満とすることは難しいものであった。
【0009】
また、焼き付けによって形成されたメタライズ層25は、その表面粗さが粗いため、メタライズ層25の表面全体にロウ材層26を形成する場合、ロウ材層26の層厚みを厚くせざるを得ず、メタライズ層25及びロウ材層26の合計層厚みを薄くするには限界があるため、両者間の熱伝達効率を高めることができないといった課題があった。
【0010】
しかも、メタライズ層25やロウ材層26を形成する材質は、それぞれ合金や複合材であるため、メタライズ層25及びロウ材層26そのものの熱伝達率も悪く、その結果、設置面23における温度分布を近年要求されている10℃未満とすることが難しく、また、設置面23を所定の温度に加熱したり、冷却するのにも時間がかかり、一枚のウエハWに各種処理を施すのに要する時間が長く、スループットが悪いといった課題があった。
【0011】
一方、特開平3−3249号公報に開示された図3に示すウエハ支持部材31では、板状セラミック体32と基台39とを金属ボンディングする接合層38に単一金属からなるインジウム(In)が用いられているのであるが、インジウム(In)の融点は156.4℃であるため、160℃以上の温度ではインジウム(In)が溶融してしまうため使用できないといった課題があった。
【0012】
即ち、成膜材料として銅が用いられるような場合、成膜温度は0℃〜−30℃と低温域で行われるものの、成膜を繰り返すと、ウエハ支持部材31を収容する真空処理室内に、一酸化炭素ガス(COガス)や二酸化炭素ガス(CO2ガス)あるいは塩素ガス(Cl2ガス)等のガスが溜まり、成膜に悪影響を与えることから真空処理室内を定期的に200℃以上の温度に加熱して上記ガスを飛ばすベーキング処理が行われるのであるが、このベーキング処理時にインジウム(In)が溶融していた。また、このベーキング処理は成膜工程以外にエッチング工程でも行われるため、エッチング工程においても同様の問題があった。
【0013】
また、このウエハ支持部材31では、金属層35を形成する第ニ金属層37としてCuが用いられているために、特にベーキング処理時に酸化され易く、この酸化が進行すると熱伝達率が大きく低下するとともに、接合強度も大きく低下し、ベーキング処理時に作用する熱応力によって第二金属層37の剥離が発生して第一金属層36や接合層38との間に隙間ができるため、隙間のある部分と隙間のない部分で熱伝達特性に差ができ、設置面33における温度を均一にすることができなくなるといった課題もあった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、ウエハ支持部材を構成する板状セラミック体と基台とを接合するにあたり、板状セラミック体の他方の主面に、融点が700℃以上の単一金属からなる第一金属層を形成し、この第一金属層を覆うように上記第一金属層上に、Ti、Ni、Au、及びPtのいずれか一種の単一金属からなる第二金属層を形成し、さらに上記第二金属層と基台とをロウ材層を介して接合するとともに、上記第一金属層及び第ニ金属層の各層厚みをそれぞれ0.1μm以上とし、かつ上記第一金属層及び第ニ金属層の合計層厚みを0.2〜20μmとしたことを特徴とする。
【0015】
なお、上記ロウ材層としては金ロウを用いることが好ましく、また、第二金属層の層厚みは第一金属層の層厚みより厚くすることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
図1は本発明のウエハ支持部材を示す断面図である。
【0018】
このウエハ支持部材1は、板状セラミック体2の一方の主面を、ウエハWを載せる設置面3とするとともに、上記板状セラミック体2中の設置面3近傍には静電吸着用として一対の内部電極4a,4aを、他方の主面近傍にはヒータ電極としての内部電極4bをそれぞれ埋設してなり、上記板状セラミック体2の他方の主面には金属層5とロウ材層8を介して冷却機構を備えた基台9を接合してある。
【0019】
また、上記金属層5は二層からなり、板状セラミック体2の他方の主面には、融点が700℃以上の単一金属からなる第一金属層6を形成するとともに、この第一金属層6上には、第一金属層6を覆うように、Ti、Ni、Au、及びPtのいずれか一種の単一金属からなる第二金属層7を形成し、この第二金属層7がロウ材層8と接合されるようになっている。
【0020】
そして、このウエハ支持部材1を用いてウエハWを保持し、ウエハWの加工表面における均熱化を図るには、設置面3上にウエハWを載せ、静電吸着用電極としての一対の内部電極4a,4a間に通電してウエハWとの間に静電吸着力を発生させることによりウエハWを設置面3上に強制的に吸着固定させるとともに、ヒータ電極としての内部電極4bに通電して発熱させることで設置面3上に固定されたウエハWを加熱したり、あるいは上記基台9に備える冷却機構によって設置面3上に固定されたウエハWを冷却するのであるが、本発明のウエハ支持部材1は、金属層5を構成する第一金属層6と第二金属層7がそれぞれ単一金属からなるため、此処の熱伝達率が高く、また、PVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、メッキ法等の薄膜形成手段にて形成することにより極めて薄肉でかつ表面が平滑な金属層6,7をそれぞれ形成することができる。
【0021】
その為、金属層5の層厚みTを、メタライズ層の層厚みよりも薄くすることができるとともに、第二金属層7の表面が平滑であることから、その上に形成するロウ材層8の層厚みT3をメタライズ層上に形成する場合と比較して薄くすることができ、結果として板状セラミック体2と基台9との間隔を狭め、熱伝達効率を大幅に向上させることができるとともに、各金属層6,7における熱伝達特性との相乗効果により設置面3の均熱化を図ることができ、その温度分布を10℃未満とすることができる。しかも、設置面3を所定の温度に加熱したり、冷却するのに要する時間も大幅に短縮することができるため、一枚のウエハWに各種処理を施すのに要する時間を大幅に短縮することができ、スループットを向上させることができる。
【0022】
また、第一金属層6は、融点が700℃以上の単一金属からなり、また、第二金属層7を形成するTi、Ni、Au、及びPtから選ばれる単一金属も融点が700℃以上であることから、例えば、成膜工程やエッチング工程におけるベーキング処理時に200℃以上の高温に加熱されたとしても溶融するようなことがなく使用することができる。
【0023】
また、本発明は金属層5を二層の単一金属からなる金属層6,7により形成したことを特徴とする。
【0024】
即ち、金属層5が一層の単一金属のみでは、板状セラミック体2との熱膨張差によって作用する熱応力により部分的にクラックが発生し、板状セラミック体2やロウ材層8との強固な密着力が得られないのである。この原因は、板状セラミック体2を形成するセラミックスと、金属層5を形成する金属との熱膨張差にあり、熱膨張係数の異なるセラミックスと金属を高温で接合し常温にもどすと、一般的にセラミックスの熱膨張係数は接合される金属の熱膨張係数に比べて小さいため、セラミックス側には引っ張り応力が発生し、金属側には圧縮応力が発生する。接合される金属とセラミックスの厚みがほぼ等しい場合には、セラミックス側が凸に変形し、逆に金属側が凹に変形するが、接合される金属がセラミックスに比べて十分薄い場合には、この変形は発生せず、金属の表面にヒビのようなクラックが発生し、この金属表面にできたクラックによって第一金属層6の剥離を招き、十分な接合強度が得られなかった。
【0025】
これに対し、本発明は、第一金属層6上に、この第一金属層6を覆うように、第二金属層7を被着し、この第二金属層7の成分によって第一金属層6にできたクラックを埋めるようにしてあることから、第一金属層6と板状セラミック体2との接合を強固なものとすることができるとともに、第二金属層7はその一部が第一金属層6のクラックに入り込んでいるため、アンカー効果によって第一金属層6と強固な密着力を得ることができる。さらに、第二金属層7の表面は平滑面とすることができるため、ロウ材層8の層厚みT3を薄くすることができる。しかも、金属層5を2層で構成することにより、板状セラミック体2やロウ材層8との熱膨張差によって発生する熱応力を第一金属層6と第二金属層7との接合界面ですべりを発生させて逃がすことができるため、金属層5を一層の単一金属により形成する場合と比較して格段に優れた接合強度を達成することができる。
【0026】
さらに、第二金属層7を形成するTi、Ni、Au、及びPtは、耐酸化性に優れることから、大気雰囲気中で高温に曝されたとしても酸化し難いため、熱伝達特性の劣化が少なく、また、第一金属層6を覆うことにより第一金属層6が外部雰囲気に曝され、その熱伝達特性が劣化することを防ぐことができるため、設置面3の均熱化と昇温、降温速度の向上を達成することができる。なお、第一金属層6を形成する材質としては、特に限定するものではないが、例えば、Ni、Ti、W、Mo、Au、等の少なくとも融点が700℃以上を有する単一金属により形成すれば良く、板状セラミック体2を形成する材質との密着性を考慮して適宜選択して用いれば良い。
【0027】
ところで、上述したような効果を奏するためには、第一金属層6及び第ニ金属層7の各層厚みT1,T2をそれぞれ0.1μm以上とするとともに、第一金属層6と第ニ金属層7の合計層厚みTを0.2〜20μmとすることが重要である。
【0028】
なぜなら、第一金属層6の層厚みT1が0.1μm未満では、板状セラミック体2との十分な接合強度が得られず、また、第二金属層7の層厚みT2が0.1μm未満であると、第一金属層6にできたクラックを埋めることができず、密着力を向上させる効果が小さいからであり、それ故、第一金属層6と第ニ金属層7の合計層厚みTは0.2μm以上とすることが良く、逆に、第一金属層6と第ニ金属層7の合計層厚みTが20μmを超えると、金属層5の熱伝達効率が悪くなるからである。
【0029】
なお、第二金属層7の層厚みT2は、第一金属層6の層厚みT1と同等あるいは厚くすることが好ましく、このような構造とすることで第一金属層6に形成されたクラックを第二金属層7の成分によって埋め尽くすことが可能となるため、より強固なアンカー効果が得られ、第一金属層6と第二金属層7との密着力を高めることができるとともに、金属層5と板状セラミック体2との接合強度を高めることができる。
【0030】
金属層5を構成する第一金属層6及び第二金属層7の形成にあたっては、前述したように、PVD法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、メッキ法等の薄膜形成手段を用いることができ、これらの薄膜形成手段を用いれば、単一金属からなる薄肉の金属層6,7を容易に形成することができるとともに、金属層6,7の表面における表面粗さを平滑に仕上げることができる。
【0031】
さらに、金属層5と基台9とを接合するロウ材層8としては、耐酸化性に優れるとともに、ヤング率が比較的小さく、かつ高い熱伝導率を有するAl系ロウ材やAu系ロウ材により形成することが好ましく、具体的には、Al−Si系ロウ材、Au−Sn系ロウ材、Au−Ge系ロウ材、Au−Si系ロウ材、Au−Sb系ロウ材、Au−Ga系ロウ材、Au−In系ロウ材等を用いることができる。これらの中でもAu系ロウ材は200W/m・k以上の熱伝導率を有することから特に好ましい。
【0032】
また、ロウ材層8の層厚みT3は、30〜100μm、好ましくは30〜60μmとすることが良い。なぜなら、ロウ材層8の層厚みT3が100μmを超えると、熱伝達効率が悪くなるため、設置面3の均熱化が阻害されるからであり、逆に層厚みT3が30μm未満になると、薄すぎるために部分的にロウ材層8が形成されていない部分ができ、その部分は金属層5や基台9と接触していないことになるため、熱伝導特性が悪くなり、設置面3の均熱化が阻害されるからである。なお、ロウ材層8の形成にあたっては、上記ロウ材を第二金属層7及び/又は基台9に塗布し、板状セラミック体2と基台9とを貼り合わせ、不活性雰囲気中、還元雰囲気中、あるいは真空中にて300〜500℃程度の温度で焼き付けることにより行うことができる。
【0033】
ところで、板状セラミック体2を形成する材質としては、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウムのいずれか一種を主成分とするセラミックスを用いることができるが、これらの中でも優れた熱伝導率を有するとともに、ハロゲンガスに対する耐蝕性やプラズマに対する耐プラズマ性に優れた窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスにより形成することが好ましい。
【0034】
また、板状セラミック体2内に埋設する内部電極4の材質としては、板状セラミック体2と一体的に形成するため、板状セラミック体2を形成するセラミックスに近似した熱膨張係数を有する金属により形成することが好ましく、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タングステンカーバイト(WC)、チタニウムナイトライド(TiN)を用いることができる。
【0035】
以上、図1ではウエハ支持部材1として板状セラミック体2中に埋設する内部電極4aを静電吸着用電極として用いた例を示したが、プラズマ発生用電極として用いることもできる。また、図1に示すウエハ支持部材1では、板状セラミック体2が一つのセラミックスからなるものを示したが、2つ以上のセラミックスから構成されていても良く、その間の接合手段としては焼結、接着、あるいはロウ付け等にて接合されたものでも良く、このように本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、改良や変更できることは言うまでもない。
【0036】
【実施例】
ここで、図1に示す本発明のウエハ支持部材1と、図2及び図3に示す従来のウエハ支持部材21,31をそれぞれ試作し、各ウエハ支持部材1,21,31の設置面3,23,33における温度分布と、所定の温度に冷却するまでの時間、及び熱サイクル試験を行った時の破損の有無について調べる実験を行った。
【0037】
以下、本実験で使用するウエハ支持部材1、21、31について説明する。なお、公平な評価を行うため、各板状セラミック体2,22,32の材質及び構造は全て同じとした。
【0038】
各板状セラミック体2,22,32は、AlN粉末に対し、焼結助剤として、Y2O3、Yb2O3、Al2O3を合計で10重量%添加し、さらにウレタンボール、IPAを加えボールミルにて混合し、得られた窒化アルミニウムスラリーを乾燥させて窒化アルミニウム粉末を形成した後、この窒化アルミニウム粉末に、バインダーと溶媒を混ぜてボールミルにて混合し、窒化アルミニウムのスリップを得た。そして、得られた窒化アルミニウムのスリップを用い、ドクターブレード法にて複数枚の窒化アルミニウムグリーンシートを製作した。
【0039】
次に、一枚の窒化アルミニウムグリーンシートには、導体ペーストにより静電吸着用電極としての電極パターンをスクリーン印刷法にて形成するとともに、もう一枚の窒化アルミニウムグリーンシートには、導体ペーストによりヒータ電極としての電極パターンをスクリーン印刷法にて形成し、残りの窒化アルミニウムグリーンシートを積み重ね、50〜100℃の温度でバインダーを溶かしながら、100MPaの圧力で熱圧着することによりグリーンシート積層体を製作した。なお、静電吸着用電極及びヒータ電極を形成する導体ペーストには、タングステンとバインダーを混合したものを用いた。
【0040】
しかる後、得られたグリーンシート積層体を、550℃の温度で4時間、窒素気流中にて脱脂を行い、続いて2000℃の温度で4時間、窒素中にて焼成することにより、窒化アルミニウムの含有量が99.8重量%以上である高純度窒化アルミニウム質焼結体からなり、その内部に静電吸着用電極としての一対の内部電極4a,4aと、ヒータ電極としての内部電極4bをそれぞれ埋設したセラミック体を製作し、次いでこのセラミック体の一方の主面に研磨加工を施してウエハWを載せる設置面3,23,33を形成することにより板状セラミック体2,22,32を製作した。
【0041】
そして、図1に示す本発明のウエハ支持部材1は、板状セラミック体2の設置面3と反対側の主面に樹脂テープにてマスキングを施し、真空チャンバーの中に入れ、イオンプレーティング法により、層厚みT1が10μmのNiからなる第一金属層6を被着し、さらに第一金属層6を覆うようにその表面上に、層厚みT2が10μmのAuからなる第二金属層7を被着して金属層5を形成し、この第二金属層5の表面にロウ材を塗布し、Fe−Co−Ni合金製の基台9をロウ付けすることにより製作した。
【0042】
なお、ロウ付けにはAu80%−Sn20%のロウ材を用い、真空中にて310℃の温度で10分間加熱することにより行った。
【0043】
また、図2に示す従来例のウエハ支持部材21は、板状セラミック体22の設置面23と反対側の主面に、Ag−Cuペーストを塗布し、950℃で焼き付けることによりメタライズ層25を形成した後、このメタライズ層25の表面にロウ材を塗布し、Fe−Co−Ni合金製の基台27をロウ付けすることにより製作した。なお、ロウ付けにあたっては、本発明品と同じロウ材を用い、同じ条件にてロウ付けした。
【0044】
さらに、図3に示す従来例のウエハ支持部材31は、板状セラミック体32の設置面33と反対側の主面に樹脂テープにてマスキングを施し、真空チャンバーの中に入れ、イオンプレーティング法により、層厚みT1が10μmのCrからなる第一金属層36を被着し、さらに第一金属層36上に、層厚みT2が10μmのCuからなる第二金属層37を被着して金属層35を形成し、この第二金属層37の表面にInのペーストを塗布し、Fe−Co−Ni合金製の基台39を金属ボンディングすることにより製作した。
【0045】
なお、各金属層6,7,36,37やメタライズ層25、あるいは接合層の層厚みは、同様の条件にて製作した別のウエハ支持部材1,21,31を切断し、その断面をSEMにて観察し、測定対象物である各層の厚みを任意に10点測定し、その平均値をその層の層厚みとした。
【0046】
そして、各ウエハ支持部材1,21,31のヒータ用電極に通電して設置面3,23,33が200℃となるまで加熱した後、その温度を一時間程度保持し、設置面3,23,33の温度分布を測定した。測定にあたっては、設置面3,23,33における任意の9点の温度をIRカメラにて測定し、最高温度と最低温度との差を温度分布とした。
【0047】
次に、ヒータ用電極への通電を止め、基台9,27,39の冷却機構によって板状セラミック体2,22,32を冷却し、設置面3,23,33が−30℃になるまでの冷却時間を測定した。
【0048】
さらに、各ウエハ支持部材1,21,31を、200℃の恒温槽に1分保持した後、−30℃の恒温槽に移してさらに30分保持するという熱サイクル試験を繰り返し行い、50サイクルごとに板状セラミック体2,23,32と基台9,27,39との接合部に破損がないかを10倍の双眼顕微鏡にて観察した。
【0049】
結果は表1に示す通りである。
【0050】
【表1】
【0051】
この結果、図2に示す従来のウエハ支持部材21は、メタライズ層25とロウ材層26の合計厚みが厚く、またメタライズ層25とロウ材層26が複合材料からなるために板状セラミック体22と基台27との間の熱伝達効率が悪く、200℃から−30℃に冷却するのに15秒も要した。
【0052】
また、図3に示す従来のウエハ支持部材31は、金属ボンディングの材質が融点の低いInからなるため、200℃の温度に加熱すると溶融し、板状セラミック体32と基台39とを接合することができず、測定できなかった。
【0053】
これに対し、図1に示す本発明のウエハ支持部材1は、200℃における設置面3の温度分布が6℃と10℃未満とすることができ、また200℃から−30℃に冷却するのに7秒と10秒以内に直ちに冷却することができ、さらには1000サイクル以上の熱サイクル試験を繰り返しても異常は観られず、優れた耐久性を有していた。
【0054】
(実施例2)
そこで、本発明のウエハ支持部材1において、第一金属層6と第二金属層7の材質、及び第一金属層6の層厚みT1と第二金属層7の層厚みT2をそれぞれ異ならせて実施例1と同様の実験を行った。
【0055】
結果は表2に示す通りである。
【0056】
【表2】
【0057】
この結果、試料No.18のように、第一金属層6及び第二金属層7の層厚みT1,T2がそれぞれ0.1μm未満であるものは、均一な金属層5を形成することができず、部分的にセラミックスが露出しているためにロウ材が流れず、基台9を接合することができなかった。
【0058】
一方、試料No.19のように、第一金属層6と第二金属層7の合計層厚みTが20μmを超えるものでは、板状セラミック体2と基台9との間の熱伝達効率が悪いため、200℃から−30℃に冷却するのに25秒も要した。
【0059】
また、試料No.20のように、第一金属層6をAlで形成したものでは、250サイクル程度の熱サイクル試験で板状セラミック体2と第一金属層6との接合界面にクラックが発生した。この理由は、第一金属層6に融点が700℃より低いアルミニウムを使用したため、加熱時にAlの軟化が起こり、板状セラミック体2を形成する窒化アルミニウム質焼結体との間にクラックが発生したものと考えられる。
【0060】
さらに、試料No.21のように、第二金属層7をAlで形成したものでは、50サイクル程度の熱サイクル試験で第二金属層7とロウ材層8との接合界面にクラックが発生した。この理由は、熱サイクル試験の繰り返しによりAlが酸化されて硬くなり、ロウ材層8との強固な結合が無くなり、クラックが入ったものと考えられる。
【0061】
これに対し、試料No.1〜17,22〜29のように、第一金属層6を融点が700℃以上の単一金属により形成し、第二金属層7を、Ti、Ni、Au、及びPtのいずれか一種の単一金属により形成するとともに、第一金属層6及び第ニ金属層7の各層厚みT1,T2をそれぞれ0.1μm以上、上記第一金属層6及び第ニ金属層7の合計層厚みTを0.2〜20μmとしたものは、設置面3の温度分布を10℃未満に均熱化することができるとともに、設置面3を200℃から−30℃まで冷却するのに10秒以内で冷却することができ、さらには200℃から−30℃の間での熱サイクル試験において1000サイクル以上繰り返したとしても何ら異常は観られず耐久性に優れていた。
【0062】
この結果、第一金属層6を融点が700℃以上の単一金属により形成し、第二金属層7を、Ti、Ni、Au、及びPtのいずれか一種の単一金属により形成するとともに、第一金属層及び第ニ金属層の各層厚みをそれぞれ0.1μm以上、上記第一金属層及び第ニ金属層の合計層厚みを0.2〜20μmとすれば良いことが判る。また、試料No.23,25,27,29のように、第二金属層7の層厚みT2を第一金属層6の層厚みT1より厚くすることで双方の接合力を高めることができ、熱サイクル試験における耐久性をより一層向上させることができた。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ウエハ支持部材を構成する板状セラミック体と基台とを接合するにあたり、板状セラミック体の他方の主面に、融点が700℃以上の単一金属からなる第一金属層を形成し、この第一金属層を覆うように上記第一金属層上に、Ti、Ni、Au、及びPtのいずれか一種の単一金属からなる第二金属層を形成し、さらに上記第二金属層と基台とをロウ材層を介して接合するとともに、上記第一金属層及び第ニ金属層の各層厚みをそれぞれ0.1μm以上とし、かつ上記第一金属層及び第ニ金属層の合計層厚みを0.2〜20μmとしたことによって、設置面の温度分布を±5℃以下にまで均熱化することができるとともに、200℃から−30℃まで10秒以内で冷却することができ、さらには200℃から−30℃の温度範囲において熱サイクルを繰り返したとしても耐久性に優れた信頼性の高いウエハ支持部材を提供することができる。
【0064】
また、上記ロウ材層として金ロウを用いることにより、熱伝達効率を向上させることができるため、設置面における温度分布をより均一にすることができるとともに、昇温、降温時間を短縮することができる。
【0065】
さらに、第二金属層の層厚みを第一金属層の層厚みより厚くすることにより第一金属層と第に金属層との密着力を高めることができ、より強固に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウエハ支持部材を示す断面図である。
【図2】従来のウエハ支持部材の一例を示す断面図である。
【図3】従来のウエハ支持部材の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,21,31:ウエハ支持部材 2,22,32:板状セラミック体
3,23,33:設置面 4,24,34:内部電極
5,35:金属層 6,36:第一金属層 7、37:第二金属層
8,26:ロウ材層 9,27,39:基台 25:メタライズ層
W:ウエハ
Claims (1)
- 板状セラミック体の一方の主面を、ウエハを載せる設置面とするとともに、上記板状セラミック体の他方の主面側にロウ材層を介して基台を接合したウエハ支持部材において、上記板状セラミック体は、該板状セラミック体の他方の主面に被着した、融点が700℃以上の単一金属からなる第一金属層と、該第一金属層を覆うように上記第一金属層上に被着した、Ti、Ni、Au、及びPtのいずれか一種の単一金属からなる第二金属層よりなる金属層を介して上記ロウ材層と接合してなり、上記第一金属層及び第ニ金属層の各層厚みがそれぞれ0.1μm以上で、かつ上記第一金属層及び第ニ金属層の合計層厚みが0.2〜20μmの範囲にあることを特徴とするウエハ支持部材。
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