JP3720606B2 - セラミック部材と金属部材の接合体及びこれを用いたウエハ支持部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック部材と金属部材とをロウ材からなる接合層でもって接合してなる接合体と、これを用いたウエハ支持部材に関するものであり、上記ウエハ支持部材としては、特にPVD、CVD、スパッタリング等の成膜処理やエッチング処理を施すための半導体製造装置用として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、セラミック部材と金属部材とを接合した接合体を得るにあたり、両部材をロウ材からなる接合層でもって接合することが行われている。
【0003】
例えば、半導体装置の製造工程において、半導体ウエハ(以下、ウエハと称す。)に薄膜を形成するPVD、CVD、スパッタリング等の成膜装置や、半導体ウエハに微細加工を施すドライエッチング装置等の半導体製造装置には、半導体ウエハを真空処理室内に保持するためにサセプターや静電チャックと呼ばれるウエハ支持部材が使用され、該ウエハ支持部材としては、図3に示すような板状セラミック体11の上面にウエハ30を載置する載置面11aを有し、その内部に内部電極12を備えるとともに、上記板状セラミック体11の下面に、筒状金属体13のフランジ部13aをロウ材からなる接合層14にて気密接合したもがあった。
【0004】
なお、このウエハ支持部材は、筒状金属体13の下端に備えるフランジ部13bをOリング17を介して真空処理室18の底面に気密接合してあり、板状セラミック体11の下面に備える内部電極12への通電端子21や、熱電対等の温度検出素子22あるいは測温用光ファイバー等のウエハ30の温度検出素子23と接続された導線を筒状金属体13の内側より外部へ導出するようになっていた。そして、このウエハ支持部材を使用するには、載置面11aにウエハ30を載置しておいて、真空処理室18の内部を真空とし、内部電極12を静電吸着用として用いる場合には、ウエハ30と内部電極12との間に直流電圧を印加して静電吸着力を発現させることによって載置面11a上のウエハ30を吸着固定して各種処理を行い、また、内部電極12をヒータ電極として用いる場合には、内部電極12に交流電圧を印加することで、載置面11a上のウエハ30を加熱しながら各種加工を行うようになっていた。
【0005】
この時、筒状金属体13の上下端はそれぞれ気密接合されているため、この筒状金属体13の内側は、真空処理室18内の雰囲気と遮断することができる。即ち、真空処理室18内は10-9torr/sec以下の高真空で、腐食性ガスが導入された高温下にあるが、筒状金属体13の内側は外部と連通した大気雰囲気とすることができる。
【0006】
そのため、温度検出素子22、23や通電端子21あるいはこれらに接続される導体が腐食性ガスに曝されることを防ぐことできるようになっている。
【0007】
また、このような板状セラミック体11の材質としては、近年、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスが用いられる一方、筒状金属体13は金属で形成されており、両部材の熱膨張差に伴う応力を緩和するために、筒状金属体13のフランジ部13aの肉厚を0.1〜2mm程度の薄肉とするとともに、板状セラミック体11と筒状金属体13とを接合するロウ材としてAg系のロウ材が使用されていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した半導体製造装置では、100〜300℃、さらには600℃程度の高温条件でウエハ30を加工することが多く、上記ウエハ支持部材には常温から上記処理温度の間での熱サイクルが加わることになる。
【0009】
そのため、この熱サイクルによる熱応力が、筒状金属体13と板状セラミック体11との接合層14に集中して繰り返し発生することから、図4(a)(b)に示すように筒状金属体13のフランジ部13aがクリープ変形して板状セラミック体11との間に隙間が生じたり、あるいはフランジ部13aが板状セラミック体11から剥離してしまうといった課題があった。即ち、加熱時に通常の形状で接合していた熱膨脹係数の大きい筒状金属体13と熱膨脹係数の小さい板状セラミック板11とが冷却されると、板状セラミック体11より筒状金属体13の方が収縮が進んで筒状金属体13と板状セラミック体11との間に引張応力が作用し、この状態が進行すると接合層14より剥離や割れが生じるというものであった。
【0010】
そして、この課題は図3に示すウエハ支持部材において、数サイクルから数十サイクルの使用で発生し、半導体製造装置のように高真空状態が要求される場合、ウエハ支持部材を構成する板状セラミック体11と筒状金属体13との間からガスリークが発生し、高真空状態を維持できなくなるとともに、ガスリークが発生すると、真空処理室18内の腐食性ガスが筒状金属体13の内側に侵入し、温度検出素子22、23、通電端子21、及び導体を腐食させるといった課題があった。
【0011】
そこで、本件出願人はこれらの課題を解決するウエハ支持部材として、図5に示すように、筒状金属体13のフランジ部13aの下面に、板状セラミック体11との熱膨張差の小さい応力緩和リング24をロウ材にて接合したウエハ支持部材を先に提案している(特開平9−213775号公報参照)。
【0012】
このウエハ支持部材11では、筒状金属体13のフランジ部13aを、熱膨張係数が近似した板状セラミック体11と応力緩和リング24とで挟持し、フランジ部13aの変形を拘束することができるため、板状セラミック体11と筒状金属体13のフランジ部13aとの間に隙間ができることを効果的に防ぐことができるといった利点があった。
【0013】
しかしながら、近年、ウエハ30上に成膜する膜材質の増加に伴って処理温度がさらに高くなり、650℃以上の高温条件下でウエハ30を加工することが望まれているのであるが、Ag系のロウ材では、処理温度がロウ材の融点に近いため、繰り返し発生する熱応力に十分耐え得るだけの強度が得られず、また、処理温度が650℃以上を越えると、著しく酸素を通過させ易くなり、気密性が保てなくなるといった課題があった。
【0014】
その為、このような高温処理条件下では、ロウ材として融点の高いAu−Ni系やNiCr系のロウ材を用いれば良いのであるが、これらのロウ材のロウ付け温度は900℃以上と高く、図5に示す構造においてもロウ付け時における板状セラミック体11と筒状金属体13との熱膨張差を十分に吸収しきれないために、図4(a)(b)のように筒状金属体13のフランジ部13aがクリープ変形して板状セラミック体11との間に隙間が生じたり、あるいはフランジ部13が板状セラミック体11から剥離することを避けることができなかった。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、セラミック部材に有する凹部内に、金属部材に備える断面形状が略コ字状をした係合部を挿入するとともに、この係合部内に前記セラミック部材との熱膨張差が2×10-6/℃以下の応力緩和部材を配設してなり、上記セラミック部材、金属部材、応力緩和部材をそれぞれロウ材にて接合してセラミック部材と金属部材との接合体を構成したものである。
【0016】
また、本発明は、板状セラミック体の上面をウエハの載置面とし、その下面に環状の凹部を設け、該凹部内に、筒状金属体の一方端側に備える断面形状が略コ字状をした環状の係合部を挿入するとともに、この係合部内に前記板状セラミック体との熱膨張差が2×10-6/℃以下である応力緩和リングを配設してなり、上記板状セラミック体、筒状金属体、及び応力緩和リングをそれぞれロウ材にて接合してウエハ支持部材を構成したものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は本発明のセラミック部材と金属部材との接合体を、半導体ウエハを保持するウエハ支持部材に適用した例を示す断面図である。なお、従来例と同一部分は同一符号で表す。
【0019】
図1に示すウエハ支持部材は、板状セラミック体1の上面を半導体ウエハ30を載せる載置面1aとし、その内部に内部電極2を埋設したもので、サセプターと呼ばれるものである。また、板状セラミック体1の下面には環状の凹部1bを有し、この凹部1b内に、筒状金属体3の一方端側に備える断面形状が略コ字状をした環状の係合部4を挿入するとともに、この係合部4内に上記板状セラミック体1との熱膨張差が2×10-6/℃以下である応力緩和リング6を挿入してあり、板状セラミック体1、筒状金属体3、及び応力緩和リング6をAu系やNiCr系のロウ材にて気密に接合してある。
【0020】
そして、筒状金属体3の下端に備えたフランジ部5をOリング17を介して真空処理室18の底面に気密接合することによりウエハ支持部材を真空処理室18内に設置してある。
【0021】
また、板状セラミック体1の下面には、内部電極2への通電端子21や熱電対等の板状セラミック体1の温度検出素子22あるいは測温用光ファイバー等のウエハ30の温度検出素子23を設置してあり、これらと接続される導線を筒状金属体3の内側より外部へ導出するようになっている。
【0022】
このウエハ支持部材を使用するには、載置面1aにウエハ30を載置しておいて、真空処理室18の内部を真空とし、内部電極2を静電吸着用として用いる場合には、ウエハ30と内部電極2との間に直流電圧を印加して静電吸着力を発現させることによって載置面1a上のウエハ30を吸着固定して各種処理を行い、また、内部電極2をヒータ電極として用いる場合には、内部電極2に交流電圧を印加することで、載置面1a上のウエハ30を加熱しながら各種加工を行うようになっている。
【0023】
そして、本発明によれば、板状セラミック体1の下面に環状の凹部1bを設けるとともに、この凹部1b内に、筒状金属体3の一方端側に備える断面形状が略コ字状をした環状の係合部4を挿入するとともに、この係合部4内に板状セラミック体1との熱膨張差が近似した応力緩和リング6を挿入し、各部材を高融点を有するAu系やNiCr系のロウ材にて接するようにしてあることから、900℃以上の高温下でロウ付けしたり、常温から650℃以上の処理温度範囲で繰り返し熱サイクルを加えても、板状セラミック体1の凹部1bと筒状金属体3の係合部4との間に隙間ができることを効果的に防ぐことができる。
【0024】
即ち、図2に接合部の拡大図を示すように、板状セラミック体1の凹部1bの底面に応力緩和リング6をロウ材にて接合するとともに、板状セラミック体1の凹部1bと応力緩和リング6との隙間に、筒状金属体3に備える係合部4の鍔4aをそれぞれ挿入してロウ材にて接合するようにしてあるため、板状セラミック体1と筒状金属体3の鍔4aとの間に熱応力が発生しても、筒状金属体3の鍔4aは、板状セラミック体1との熱膨張係数が近似した応力緩和リング6にて挟持して拘束することができるため、筒状金属体3の鍔4aが変形することを防止できる。
【0025】
しかも、筒状金属体3の係合部4は、その断面形状を略コ字状とし、図面の水平方向に占める面積を小さくできるため、水平方向に働く熱応力を低減することができるとともに、係合部4には鍔4aを設けて表面積を大きくしてあることから、板状セラミック体1と筒状金属体3との接合強度を大幅に高めることができる。
【0026】
かくして、本発明のウエハ支持部材を用いれば、筒状金属体3の下端を気密に接合することで、真空処理室18内を10-9torr/sec以下の高真空で、腐食性ガスが導入された高温状態とし、筒状金属体13の内側を外部と連通した大気雰囲気とすることができるというように、筒状金属体3の内側を、真空処理室18の雰囲気と完全に遮断することができるため、温度検出素子22、23や通電端子21あるいはこれらに接続される導体が腐食性ガスに曝されることを防ぐことできる。
【0027】
ただし、このような優れた効果を奏するためには、板状セラミック体1の凹部1bの開口部から凹部1bの底面に接合された応力緩和リング6までの距離Lを3mm以下とすることが良い。
【0028】
これは、凹部1bの開口部から応力緩和リング6までの距離Lが3mmを越えて深くなると、凹部1bの開口部近傍には板状セラミッック体1に比べて熱膨張係数の大きい金属のみが介在することになるため、熱応力によって凹部1bの開口部周縁を形成するセラミック部にクラックが発生する恐れがあるからである。また、筒状金属体3の係合部4内に収容する応力緩和リング6の厚みTと幅Wは共に2mm以上とすることが良い。これは、厚みTや幅Wが2mm未満では、筒状金属体3の鍔4aの変形を防止する効果が乏しいからで、望ましくは5mm以上が良い。なお、上限については特に制約はないが、構造上許容される範囲内とすれば良い。
【0029】
さらに、筒状金属体3に備える係合部4の鍔4aの肉厚Uは、板状セラミック体1との熱膨張差に伴う応力を小さくする観点からできるだけ薄い方が良く、2.0mm以下とすることが良い。ただし、肉厚Uが0.05mm以下より薄くなると、鍔4aの肉厚Uは、0.05〜2.0mmが良く、好ましくは0.1〜2.0mmの範囲が良い。
【0030】
ところで、この実施形態において、板状セラミック体1を成すセラミックスとしては、Al2 O3 ,AlN,ZrO2 ,SiC,Si3 N4 等の一種以上を主成分とするセラミックスを用いることができる。これらの中でも特に腐食性ガスに対する耐食性及び耐プラズマ性の点から、99重量%以上のAl2 O3 を主成分としSiO2 ,MgO,CaO等の焼結助剤を含有するアルミナセラミックスや、AlNを主成分とし周期律表2a族元素や3a族元素の酸化物を0.5〜20重量%の範囲で含有する窒化アルミニウム質セラミックス、あるいは99重量%以上のAlNを主成分とする高純度窒化アルミニウム質セラミックスのいずれかが好適である。
【0031】
また、応力緩和リング6の材質としては、板状セラミック体1との熱膨張率差が2×10-6/℃以下の範囲にあれば金属やセラミックスのいずれの材質を用いても良いが、特に、板状セラミック体1と同じ主成分のセラミックス、望ましくは板状セラミック体1と同一組成のセラミックスを用いることが好適である。
【0032】
さらに、筒状金属体3の材質としては、腐食性ガスに対する耐食性や耐プラズマ性が高く、上記板状セラミック体1との熱膨張差が6×10-6/℃以下の金属を用いることが好ましい。熱膨張差が6×10-6/℃を超えると、ロウ付け直後にセラミックスの接合界面にクラックが生じや易くなるためである。具体的には、W,Mo,Ni,Al,Cu,Ti,Fe−Ni−Co合金、Fe−Ni合金等を用いることができる。
【0033】
さらに、ロウ材の材質としては前述したAu系やNiCr系のロウ材以外にAl,Cu,Pt,Pd,Inを主体とするロウ材を用いることができ、これらのロウ材を用いれば、650℃以上の高温条件下で繰り返し熱サイクルが加わったとしても、十分な接合強度を維持することができるとともに、酸素を通過させないため好適であるが、600℃以下の条件下では、Agを主体とするロウ材を用いることもできる。
【0034】
なお、図2では、応力緩和リング6と筒状金属体3の係合部4とをロウ材にて接合した例を示したが、予め係合部4の鍔4a間の幅を応力緩和リング6の幅Wと同等あるいは若干小さくしておいて、係合部4内に応力緩和リング6を嵌合させても構わない。
【0035】
以上のように、本実施形態では、ウエハ支持部材の例をもって説明したが、本発明は、この実施形態だけに限定されるものではなく、セラミック部材と金属部材とをロウ材でもって接合してなる接合体であればどのような形状のセラミック部材と金属部材の接合体であっても適用できることは言うまでもない。
【0036】
【実施例】
本発明実施例として、図1に示すウエハ支持部材を試作した。
【0037】
板状セラミック体1は、直径が約220mmの円板状で、AlN含有量が99.9重量%の高純度窒化アルミニウムセラミックスにより形成した。この板状セラミック体1は、上記AlNの一次原料をメタノールに混合し、粉砕して平均粒径1μmとしたあと、10%の有機バインダーを添加してスラリーとした。このスラリーをスプレードライヤーにて造粒し、所定の造粒粉体を作製した。そして、この造粒粉体を用い、ヒータ電極としてモリブデン(Mo)からなる内部電極2を埋設してなる成形体を形成し、この成形体をホットプレス焼結した。なお、ホットプレスの条件は1910℃、200kg/cm2 とした。
【0038】
また、板状セラミック体1を形成する窒化アルミニウムセラミックスの特性を調べたところ、比重が3.26g/cm3 と理論密度に対して充分な焼結密度を有しており、その熱膨張係数は5×10-6/℃であった。
【0039】
一方、筒状金属体3は、熱膨張係数が8×10-6/℃であるFe−Ni−Co合金により形成し、その寸法は、筒部の外径を150mm、肉厚を0.5mmとするとともに、断面形状がコ字状をした係合部4の鍔4aの肉厚Uを0.5mm、鍔4a間の幅を11.1mmとした。
【0040】
さらに、応力緩和リング6は、上記板状セラミック体1と同じ高純度窒化アルミニウムセラミックスにより形成し、その寸法は、厚みTが5mm、幅Wが11mmのリング体とした。
【0041】
なお、板状セラミック体1の凹部1bの幅は12.1mm、凹部1bの深さは5.5mmとした。
【0042】
しかるのち、板状セラミック体1、筒状金属体3、応力緩和リング6をロウ付けで接合するのであるが、予め板状セラミック体1の凹部1bと応力緩和リング6にAu−Ni−V系のロウ材を用いて1050℃の温度でメタライズ層を形成しておき、板状セラミック体1の凹部1bの底面に応力緩和リング6をAu−Ni−V系のロウ材を用いてロウ付け固定したあと、凹部1bと応力緩和リング6との隙間に筒状金属体3の係合部4に備える鍔4aをそれぞれ挿入するとともに、Au−Ni−V系のロウ材を用いてロウ付け固定した。
【0043】
そこで、このウエハ支持部材1の筒状金属体3にHeガスを供給し、板状セラミック体1と筒状金属体3との接合部からのリークの有無をHeガスリークディテクターを用いて測定したところで、本発明のウエハ支持部材にはガスのリークは見られず、良好な接合状態であった。
【0044】
これに対し、図3に示す従来のウエハ支持部材及び図5に示す本件出願人が先に提案したウエハ支持部材を、それぞれ本発明のウエハ支持部材を形成する同一材質により形成したところ、ガスのリークが見られ、ロウ付け直後に板状セラミック体11と筒状金属体13のフランジウ13aとの間に隙間が発生した。
【0045】
次に、本発明実施例のウエハ支持部材に対し、板状セラミック体1の凹部1bの開口部から応力緩和リング6までの距離Lを異ならせたものを数点用意し、これらのウエハ支持部材をCVD装置の真空処理室18内に気密に設置し、15℃/分の昇温速度で常温から850℃までの熱サイクルを50回加えたあとのガスリークの有無をHeガスリークディテクターを用いて測定した。
【0046】
それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0047】
【表1】
【0048】
この結果、板状セラミック体1の凹部1bの開口部から応力緩和リング6までの距離Lが、3.0mm以下であれば、50回の熱サイルルを加えてもガスリークが見られず、十分な接合強度を有することを確認することができた。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、セラミック部材に備える凹部に、金属部材に有する断面形状が略コ字状をした係合部を挿入するとともに、上記断面形状が略コ字状をした係合部内に前記セラミック部材との熱膨張差が2×10-6/℃以下の応力緩和部材を配設してなり、上記セラミック部材、金属部材、応力緩和部材をそれぞれロウ材にて接合してセラミック部材と金属部材との接合体を構成したことによって、900℃以上の温度でロウ付けしたり、あるいは常温から650℃以上という非常に高温の温度範囲で熱サイクルを繰り返し加えても、セラミック部材と金属部材との接合部に隙間ができたり、金属部材の係合部が剥離することを効果的に防ぎ、接合部の耐久性を大幅に向上させることができる。
【0050】
また、本発明は、ウエハの載置面を有する板状セラミックス体の下面に環状の凹部を設け、該凹部内に、筒状金属体の一方端側に備える断面形状が略コ字状をした環状の係合部を挿入するとともに、この係合部内に前記板状セラミック体との熱膨張差が2×10-6/℃以下である応力緩和リングを配設してなり、上記板状セラミック体、筒状金属体、及び応力緩和リングをそれぞれロウ材にて接合してウエハ支持部材を構成したことによって、900℃以上の温度でロウ付けしたり、あるいは常温から650℃以上という非常に高温の温度範囲で熱サイクルを繰り返し加えても、板状セラミック体と筒状金属体の係合部との間に隙間ができたり、筒状金属体の係合部が剥離することを効果的に防ぎ、ガスリークの発生を防止することができる。その為、真空処理室内の高真空度を維持できるとともに、筒状金属体内に備える通電端子や温度検出素子及びこれらと接続される導体等が腐食性ガスに曝されるとを防ぎ、長期間にわたって使用可能なウエハ支持部材とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック部材と金属部材との接合体を、半導体ウエハを保持するウエハ支持部材に適用した例を示す断面図である。
【図2】本発明のウエハ支持部材における板状セラミック体と筒状金属体との接合構造を示す拡大断面図である。
【図3】従来のウエハ支持部材を真空処理室内に設置した状態を示す断面図である。
【図4】(a)(b)はそれぞれ従来のウエハ支持部材における板状セラミック体と筒状金属体との接合部における破損状態を説明するための拡大断面図である。
【図5】本件出願人が先に提案したウエハ支持部材を真空処理室内に設置した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1,11・・・板状セラミック体 1a,11a・・・載置面
1b・・・環状の凹部 2,12・・・内部電極 3,13・・・筒状金属体
4・・・係合部 5・・・フランジ部 6,24・・・応力緩和リング
17・・・Oリング 18・・・真空処理室 21・・・通電端子
22,23・・・温度検出素子 30・・・半導体ウエハ
Claims (2)
- セラミック部材に有する凹部内に、金属部材に備える断面形状が略コ字状をした係合部を挿入するとともに、該係合部内に前記セラミック部材との熱膨張差が2×10-6/℃以下の応力緩和部材を配設してなり、上記セラミック部材、金属部材、応力緩和部材をそれぞれロウ材にて接合したことを特徴とするセラミック部材と金属部材との接合体。
- 板状セラミックス体の上面をウエハの載置面とし、その下面に環状の凹部を有し、該凹部内に、筒状金属体の一方端側に備える断面形状が略コ字状をした環状の係合部を挿入するとともに、該係合部内に前記板状セラミック体との熱膨張差が2×10-6/℃以下である応力緩和リングを配設してなり、上記板状セラミック体、筒状金属体、及び応力緩和リングをそれぞれロウ材にて接合したことを特徴とするウエハ支持部材。
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