JP3678214B2 - 電気調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般家庭で用いられる蒸し料理用の電気調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電気調理器としては、多くのものが知られていが、その代表的な例を図11に基づいて説明する。
【0003】
図において、1は蒸し料理のための食材である肉まん等を収容する蒸し皿であり、底部2には複数の蒸気通過孔3が、上端周縁にはフランジ4がそれぞれ設けてある。5は蒸し皿1の把手部である。6は水を収容し加熱される鍋であり、その側面上端部7にフランジ4を載置することにより蒸し皿1が鍋内に設置されている。8は蒸し皿1のフランジ4上に装備して鍋6の開口部を覆った蓋であり、その一部には蒸気逃がし孔9を設けている。なお、10は蓋8の外周縁を覆う支持部材である。
【0004】
上記した蒸し皿1は把手部5を持って容易に持ち運ぶことができ、フランジ4部の下部を鍋6の側面上端部7に載置することにより、蒸し皿1を鍋6内にセットする。その後に蓋8の支持部材10がフランジ4の上部に嵌合して蓋8を蒸し皿1上に載置する。また、蓋9は蒸し皿1を外して、支持部材10が鍋6の側面上端部7に嵌合して、鍋6にも載置できるものである。
【0005】
以上の構成において、鍋6内の蒸し皿1の底部2より下方に水を入れて、蓋8を載置して鍋6を加熱する。すると、蒸気は蒸気通過孔3から上昇して、蒸し皿1と蓋8内に充満して、蒸し皿1上に収容した食材が蒸し料理される。また鍋6を加熱しつづけると蒸気の量が増えるが、蒸気の一部は蓋8の蒸気逃がし孔9から外に放出されるので、蓋8が蒸気で噴き上がることや、転げ落ちることを防止できた。
【0006】
また、従来の他の電気調理器として、液体材料が食材の場合は、孔なしの蒸し容器を用い、その周囲から発生した蒸気を導き、蒸し料理をするようにしたものも知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示すような電気調理器では、蒸し料理をするとき、鍋6内で発生した蒸気は、蒸し皿1蒸気通過孔3を通って蒸し皿1上に充満し、蓋8に触れて結露が起こり、その水滴は蓋8の内側を伝って下方に流れる。ここで、蓋8が蒸し皿1に載置されているので、水滴は蒸し皿1に流れ込み、蒸し皿1上の食材に触れることになり、蒸し皿1に直接食材を載せると調理がうまくできないというか課題があった。また、他の電気調理器として示したものでは、蒸し容器の周囲から蒸気を導くものであるため、蒸気が蒸し容器の内部まで回り込むことが難しく、蒸し加熱の調理ムラができるという課題があった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、水滴による食材への悪影響をなくすとともに、蒸し加熱の調理ムラをなくした電気調理器を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の電気調理器は、水を収容し加熱される鍋と、この鍋の蓋と、前記鍋内に設置され底面に複数の孔を設けた蒸し皿とを有し、前記鍋の開口縁には、前記蓋を載置する蓋受け部と、この蓋受け部の内側に前記蒸し皿の全周に設けたフランジを支持する支持部を設け、前記蓋受け部に前記蓋を載置するとともに前記支持部に前記フランジを支持した状態において、前記フランジと前記鍋の開口縁との間に、前記蓋内面に発生する水滴を前記鍋内に戻す隙間を構成し、前記鍋の開口縁には、前記支持部の上面よりも低位置に、前記フランジの落ち込み防止の突出部を設けたものである。
【0010】
これにより、蓋内面に発生する水滴は隙間から鍋内に戻され、水滴による食材への悪影響をなくすとともに、蒸気の多くは蒸し皿の底面に設けた複数の孔から食材に供給され、蒸し加熱の調理ムラをなくすことができる。また、フランジの鍋内への落ち込みを防止できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、水を収容し加熱される鍋と、この鍋の蓋と、前記鍋内に設置され底面に複数の孔を設けた蒸し皿とを有し、前記鍋の開口縁には、前記蓋を載置する蓋受け部と、この蓋受け部の内側に前記蒸し皿の全周に設けたフランジを支持する支持部を設け、前記蓋受け部に前記蓋を載置するとともに前記支持部に前記フランジを支持した状態において、前記フランジと前記鍋の開口縁との間に、前記蓋内面に発生する水滴を前記鍋内に戻す隙間を構成し、前記鍋の開口縁には、前記支持部の上面よりも低位置に、前記フランジの落ち込み防止の突出部を設けた電気調理器とすることにより、蓋内面に発生する水滴は隙間から鍋内に戻され、水滴による食材への悪影響をなくすとともに、蒸気の多くは蒸し皿の底面に設けた複数の孔から食材に供給され、蒸し加熱の調理ムラをなくすことができる。また、フランジの鍋内への落ち込みを防止できる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、蓋内面に発生する水滴を鍋内に戻す隙間は、蒸し皿のフランジと鍋の開口縁との間、および蒸し皿のフランジと蓋の内側との間にそれぞれ構成した請求項1に記載の電気調理器とすることにより、特に、蓋内面に発生する水滴は蒸し皿のフランジ上面に触れることなく鍋内に戻され、水滴による食材への悪影響をなくすことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、蒸し皿のフランジを支持する支持部は、鍋の開口縁に突出した複数個の突部より構成した請求項1に記載の電気調理器とすることにより、特に、蓋内面に発生する水滴はフランジを支持する支持部間の隙間から鍋内に戻され、水滴による食材への悪影響をなくすことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、鍋の開口縁は内側下方に向かって傾斜した傾斜面とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気調理器とすることにより、特に、蓋内面に発生する水滴が鍋の開口縁に流れた際に、開口縁の傾斜面の作用によりスムーズに鍋内に戻され、水滴による食材への悪影響をなくすことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、蓋を載置する蓋受け部は、鍋の開口縁に突出した複数個の突部より構成し、その蓋受け部の内側面を蒸し皿のフランジと近接させた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気調理器とすることにより、蓋内面に発生する水滴は蓋受け部間の隙間から鍋内に戻され、水滴による食材への悪影響をなくすことができるとともに、蓋受け部の内側面で蒸し皿の位置ずれを防止することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、鍋の開口縁には、蓋の外周に位置して上方に傾斜して伸びたフランジ部を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気調理器とすることにより、蓋内面に発生する水滴が一度に多量に鍋の開口縁に流れてもフランジ部により鍋の外に水が流れるのを防止できる。
【0017】
請求項7に記載の発明は、鍋の開口縁の一部には、蒸し皿のフランジと鍋の開口縁との間の隙間より大きな開口部分を設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気調理器とすることにより、開口部分から必要に応じ鍋内に足し水を行うことができる。
【0018】
【実施例】
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(参考例1)
図1〜図4は本発明の参考例1における電気調理器を示すものである。
【0020】
図において、21は蒸し料理のための食材である肉まん等を収容する蒸し皿であり、底面22に複数の孔23を設け、側面24の上端全周にはフランジ25が設けてある。26は蒸し皿21を内部に設置する鍋で、その底部27をヒーター37上に載置し、側面28上部の開口縁29には、蓋受け部32が設けられている。30は鍋26の蓋で、全体として上に凸形の球面状であり、外周部31が蓋受け部32に載置され鍋の開口部を覆っている。33は鍋26の開口縁29で蓋受け部32の内側に位置して設けた支持部であり、開口縁29に突出した幅L3の複数個の突部より構成し、蒸し皿21のフランジ25を支持する。
【0021】
前記構成において、鍋26の蓋受け部32に蓋30を載置するとともに支持部33にて蒸し皿21のフランジ25を支持した状態では、蒸し皿21の側面24と鍋26の側面28との間に隙間48が形成され、フランジ25と開口縁29の上面34との間に縦方向の距離L1の隙間が形成され、フランジ25と蓋30との間に距離L2の隙間が形成されるものである。距離L2の隙間は、蓋受け部32の内周の縦壁35とフランジ25の外周縁との間の隙間を通して縦方向の距離L1の隙間および蒸し皿21の側面24と鍋26の側面28との間の隙間48に連なっている。
【0022】
なお、図中、36は蓋26のつまみ、38はヒーター37の下方と側方を覆った遮熱板であり、補助脚39を介してボデー40に取り付けている。41はボデー40に載置する上枠、42は鍋26の把手、43は鍋26内に収容した水、44、45は蒸気A、Bである。46は蓋30の内面に発生する水滴で、前記した各隙間を通って鍋26内に戻る。47は水43が沸騰してできる泡を示す。49は蒸し皿21上に載せた肉まん等の食材である。
【0023】
以上の構成において、ヒーター37を加熱すると鍋26の底部27は高温になり、鍋26に入れた水43は沸騰する。そして蒸気A44が発生して、蒸気A44は蒸し皿21の孔23を通過して食材49に当たりながら、蒸し皿21と蓋30の間に蒸気が充満する。そして、蒸気は蓋30の内側に触れると結露して水滴46が発生する。その水滴46は蓋30の内側を外方向で下方に流れ、外周部31から開口縁29に移動する。そのとき、距離L2が水滴46の厚みよりも広い時には、水滴46はフランジ25に触れることはなく、縦壁35に沿って上面34に流れる。そして距離L1が水滴46の厚みよりも広いときには、水滴46はフランジ25と上面34の間を通って、隙間48の間を通り鍋26内に戻る。水滴46が鍋26内に戻ることにより、蒸気損失は少なく、鍋26に入れる水量は少なくでき、機器本体をコンパクトにできる。
【0024】
ここで、水43が沸騰し始めると、発生した蒸気は蒸気A44のほかに蒸気B45のように隙間48を上昇してフランジ25と上面34の間からも蒸気が流れるが、水滴が戻り始めると、蒸気B45はほとんど流れなくなる。これにより、蒸気は蒸し皿21の孔23から上に流れることで、食材49には蒸気が良く当たり、うまく調理ができる。
【0025】
また、蓋30にできた水滴46が鍋26の開口縁29に流れる際に、距離L2を4ミリ以上にすることで、水滴46はフランジ25の上面に触れても、フランジ26の上面から蒸し皿21内に水滴46が流れ込むことがない。さらに、距離L1を3ミリ以上にすることで、鍋26の開口縁29に流れる水滴がフランジ25の上面を乗り越えて、フランジ25の上面から蒸し皿21内に水滴46が流れ込むことはなく、フランジ25の下方を通って鍋26の底に戻ることができる。また、距離L1を6ミリ以下にすることで、蒸気B45がこの隙間から上昇する量を少なくすることできる。また、幅L3を20ミリ以下にすると、水滴46は支持部33の近傍のフランジ25と開口縁29の間の隙間から鍋26内に流れ、蒸し皿21の内部に水滴46が流れるのを防止できる。これらの事柄については実験により確認している。
【0026】
(参考例2)
次に、図5、図6により本発明の参考例2における電気調理器について説明する。電気調理器の基本構成は参考例1と同様なので省略し、異なる部分についてのみを説明する。
【0027】
鍋26の開口縁29は、内側下方に向かって傾斜した傾斜面51としたものであり、その開口縁29には蓋30の外周部31が載置される複数個の蓋受け部52と、蓋受け部52の内側に蒸し皿21のフランジ25が載置するための、複数個の支持部53が形成されている。蓋受け部52、支持部53は、鍋26の開口縁29に突出した複数個の突部より構成している。
【0028】
以上の構成において、蒸気は蓋30の内側に触れると結露して水滴が発生して、その水滴は移動して、鍋26の開口縁29に達する。そのとき、開口縁29が傾斜面51になっているので、開口縁29のフランジ25や支持部53の近傍に水滴が一部分溜まるのを無くし、鍋26内に水滴をスムーズに流すことができる。
【0029】
また、鍋26の開口縁29の蓋受け部52の内側面54は、蒸し皿21のフランジ25と近接した構成にした。すなわち、傾斜面51構成により蒸し皿21の載置位置がずれやすくなり、ずれると上に持ち上がって不安定になるが、蓋受け部52の内側面54を蒸し皿21のフランジ25に近接させることで位置ずれを防止している。
【0030】
(実施例1)
次に、図7、図8により本発明の実施例1における電気調理器について説明する。電気調理器の基本構成は参考例1、2と同様なので省略し、異なる部分についてのみを説明する。
【0031】
鍋26の開口縁29には、蓋30を載置する複数個の蓋受け部61と、この蓋受け部61の内側に蒸し皿21の全周に設けたフランジ25を支持する複数個の支持部62を設け、さらに支持部62の上面よりも低位置に、複数の突出部63を設けている。この複数の突出部63はフランジ25の落ち込み防止の役割を果している。
【0032】
以上の構成において、鍋26の開口縁29に溜まった水滴は、参考例2のように開口縁29を傾斜面とし、蓋受け部61および支持部62を複数個(実施例では3箇所)にした方が鍋26に戻りやすいが、蒸し皿21のフランジ25を上から押すと鍋26内に落ち込むため、支持部62の上面よりも低位置に、複数の突出部63を設けることで、フランジ25と開口縁29の隙間から水を流しながらフランジ25の落ち込みを防止することができる。
【0033】
(実施例2)
次に、図9により本発明の実施例2における電気調理器について説明する。電気調理器の基本構成は参考例1、実施例1と同様なので省略し、異なる部分についてのみを説明する。
【0034】
鍋26の開口縁29には、蓋30の外周に位置して上方に傾斜して伸びたフランジ部70を設けたものである。
【0035】
これにより、蓋30の内側を流れる水滴が一度に多くの量が鍋26の開口縁29に流れても、鍋26の開口縁29の上方に設けたフランジ部70により鍋26の外に水が流れるのを防止できる。また、フランジ部70は傾斜させているので、調理時に使いやすいものである。
【0036】
(実施例3)
次に、図10により本発明の実施例3における電気調理器について説明する。電気調理器の基本構成は参考例1、実施例2と同様なので省略し、異なる部分についてのみを説明する。
【0037】
鍋26の開口縁29の一部には、蒸し皿21のフランジ25と鍋26の開口縁29との間の隙間より大きな開口部分71を設けたものである。
【0038】
これにより、鍋26内の水量を少なししても、鍋26の開口縁29の大きな開口部分71から足し水を行うことができる。これは、鍋26の深さを浅くすることができることでもある。
【0039】
上記した各実施例1〜3の構成は適宜組み合わせることができるものであり、各実施例そのものに限られるものではない。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明の電機調理器は、調理中に蓋内面に発生する水滴が鍋内に戻され、水滴による食材への悪影響をなくすとともに、蒸気の多くは蒸し皿の底面に設けた複数の孔から食材に供給され、蒸し加熱の調理ムラをなくすことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例1における電気調理器の断面図
【図2】 同電気調理器の蒸し皿の平面図
【図3】 同電気調理器の要部構成を示す部分断面図
【図4】 (a)同電気調理器の鍋の平面図
(b)同電気調理器の鍋の断面図
【図5】 本発明の参考例2における電気調理器の断面図
【図6】 同電気調理器の鍋の平面図
【図7】 本発明の実施例1における電気調理器の断面図
【図8】 同電気調理器の鍋の平面図
【図9】 本発明の実施例2における電気調理器の断面図
【図10】 本発明の実施例3における電気調理器の断面図
【図11】 (a)従来の電気調理器の断面図
(b)同電気調理器の蒸し皿の平面図
【符号の説明】
21 蒸し皿
23 孔
25 フランジ
26 鍋
29 開口縁
30 蓋
32、52、61 蓋受け部
33、53、62 支持部
37 ヒーター
46 水滴
48 隙間
L1、L2 距離(隙間)
51 傾斜面
63 突出部
70 フランジ部
71 開口部分
Claims (7)
- 水を収容し加熱される鍋と、この鍋の蓋と、前記鍋内に設置され底面に複数の孔を設けた蒸し皿とを有し、前記鍋の開口縁には、前記蓋を載置する蓋受け部と、この蓋受け部の内側に前記蒸し皿の全周に設けたフランジを支持する支持部を設け、前記蓋受け部に前記蓋を載置するとともに前記支持部に前記フランジを支持した状態において、前記フランジと前記鍋の開口縁との間に、前記蓋内面に発生する水滴を前記鍋内に戻す隙間を構成し、前記鍋の開口縁には、前記支持部の上面よりも低位置に、前記フランジの落ち込み防止の突出部を設けた電気調理器。
- 蓋内面に発生する水滴を鍋内に戻す隙間は、蒸し皿のフランジと鍋の開口縁との間、および蒸し皿のフランジと蓋の内側との間にそれぞれ構成した請求項1に記載の電気調理器。
- 蒸し皿のフランジを支持する支持部は、鍋の開口縁に突出した複数個の突部より構成した請求項1に記載の電気調理器。
- 鍋の開口縁は内側下方に向かって傾斜した傾斜面とした請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気調理器。
- 蓋を載置する蓋受け部は、鍋の開口縁に突出した複数個の突部より構成し、その蓋受け部の内側面を蒸し皿のフランジと近接させた請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気調理器。
- 鍋の開口縁には、蓋の外周に位置して上方に傾斜して伸びたフランジ部を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気調理器。
- 鍋の開口縁の一部には、蒸し皿のフランジと鍋の開口縁との間の隙間より大きな開口部分を設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気調理器。
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