JP3678090B2 - 半導体加速度センサ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体加速度センサ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体加速度センサとして、図8及び図9に示すように、矩形枠状の支持部16に一対の薄肉の撓み部4を介して揺動自在に支持された重り部5を有し、各撓み部4にそれぞれ撓み部4の変形を検出する2つのゲージ抵抗6が形成され、各ゲージ抵抗6から支持部16の所定部位にわたってp+形拡散抵抗配線11が形成されたセンシングエレメント1を備えたものが提案されている(特開平7−159432号公報参照)。
【0003】
ここで、重り部5と撓み部4と支持部16とはn形シリコン基板1aをエッチング加工することにより一体に形成されている。すなわち、センシングエレメント1は、n形シリコン基板1aの裏面側において重り部5を全周にわたって囲む凹所10aが異方性エッチングなどを利用して形成され、n形シリコン基板1aの主表面側において撓み部4を残して重り部5を略全周にわたって囲み且つ凹所10aに連通するスリット10が反応性イオンエッチングなどを利用して形成されている。要するに、n形シリコン基板1aの主表面側において、支持部16の内周面と重り部5の外周面との間には、スリット10の幅だけの隙間があることになる。尚、ゲージ抵抗6はn形シリコン基板1aの一部よりなる撓み部4の主表面側の適宜位置にp形不純物を拡散させることにより形成されている。
【0004】
また、センシングエレメント1の主表面側には、支持部16において上記p+形拡散抵抗配線11にコンタクト部12を介して接続されたアルミニウム配線13が設けられており、さらに、アルミニウム配線13に接続されたワイヤボンディング用のパッド14が設けられている。パッド14には、一端が外部接続される金やアルミニウムなどの金属細線よりなるボンディングワイヤ7の他端がボンディングされる。
【0005】
ここで、上述した4つのゲージ抵抗6はブリッジ接続されており、センシングエレメント1の厚み方向(図8における上下方向)に加速度αが印加されると、重り部5(以下、重り部5の重さをMとする)に力F(F=M×α)が発生し、重り部5が揺動することで撓み部4が撓められる。その結果、撓み部4に歪みによる応力が生じ、ピエゾ抵抗効果によって各ゲージ抵抗6の抵抗値が変化するので、この抵抗値変化を電圧信号として取り出すことで、印加された加速度を検出できるようになっている。
【0006】
センシングエレメント1の主表面側(図8における上面側)には、撓み部4及び重り部5を覆う上部キャップ2が接合用アルミニウム薄膜9を介して陽極接合により接合されている。上部キャップ2はシリコンと略等しい熱膨張率を有する耐熱ガラスから形成され、センシングエレメント1の主表面側に設けられた接合用アルミニウム薄膜9を介してセンシングエレメント1に接合されている。ここに、接合用アルミニウム薄膜9は膜厚が約1〜2μmであって、n形シリコン基板1aの主表面側において、重り部5を全周にわたって囲むように形成されている。
【0007】
また、センシングエレメント1の裏面側(図8における下面側)には、撓み部4及び重り部5を覆う下部キャップ3が陽極接合により接合されている。ここに、下部キャップ3は、上部キャップ2と同様に、シリコンと略等しい熱膨張率を有する耐熱ガラスから形成され、周部が全周にわたって支持部16に接合されている。
【0008】
上部キャップ2及び下部キャップ3は、それぞれ重り部5との対向面に重り部5の揺動空間(重り部5との間のエアギャップ)を確保する凹所2a,3aがエッチングやサンドブラスト加工などにより形成されている。
【0009】
この半導体加速度センサでは、上記エアギャップを形成することにより、エアダンピング効果を利用してセンサ自体の周波数特性を制御するようになっている。ここに、各凹所2a,3aの底面と重り部5との間の距離や各凹所2a,3aの形状は、センサ自体の周波数特性が最適となるように設定してある。つまり、共振を起こさないようにエアダンピング効果を利用して減衰特性を持たせてある。要するに、センシングエレメント1の感知部(すなわち撓み部4及び重り部5)を上部キャップ2及び下部キャップ3にて密閉された空間に収納し、エアダンピングを大気圧下で行わせることにより、過大な加速度が加わった場合でも、重り部5の移動を抑制して撓み部4の破壊を防止している。
【0010】
また、上部キャップ2及び下部キャップ3では、それぞれ凹所2a,3aの底面の適宜位置に、過大な加速度が印加された時に重り部5の移動範囲を規制するストッパ2b,3bが形成されている。要するに、過大な加速度が印加された場合には、重り部5がストッパ2b,3bに当接することにより、それ以上変位することがないから、重り部5が過大に変位して撓み部4が破壊するのを防止できる。ここに、上部キャップ2が第1のストッパ部材を構成し、下部キャップ3が第2のストッパ部材を構成している。
【0011】
ところで、接合用アルミニウム薄膜9は、センシングエレメント1の主表面側において、重り部5の周りを囲むように全周にわたって形成されているのであるが、図10に示すように、接合用アルミニウム薄膜9とセンシングエレメント1の主表面との間にはシリコン酸化膜19が形成され、このシリコン酸化膜19によってp+形拡散抵抗配線11と接合用アルミニウム薄膜9との間が電気的に絶縁されている。ここで、シリコン酸化膜19は、p+形拡散抵抗配線11を形成する際にマスクとして用いたシリコン酸化膜の表面に、さらにシリコン酸化膜を形成することによって形成されているので、シリコン酸化膜19の表面はp+形拡散抵抗配線11に対応する部位が窪んでいる。したがって、シリコン酸化膜19上に形成された接合用アルミニウム薄膜9もp+形拡散抵抗配線11に対応する部位が窪んでおり、この部分に100〜200nm(1000〜2000Å)程度の間隔の隙間20が発生し、この隙間20を介して上部キャップ2及び下部キャップ3で囲まれるエアギャップ(キャビティ)と外部とが通気している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の半導体加速度センサでは、センシングエレメント1の主表面側及び裏面側に、重り部5及び撓み部4を覆うように上部キャップ2及び下部キャップ3をそれぞれ接合し、エアギャップを形成することにより、エアダンピング効果を利用して減衰特性を持たせているが、上部キャップ2をセンシングエレメント1に接合するために、センシングエレメント1の主表面側に重り部5の周りを囲むようにして接合用アルミニウム薄膜9を形成しているので、重り部5の大きさを大きくすることができず、重り部5を大きくしようとするとセンシングエレメント1が大型化していた。また、重り部5を大きくできないため、センサの感度を高めることができず、またセンサの小型化を図ることができなかった。尚、センシングエレメント1の感度は、立方結晶の主軸に対する独立なピエゾ抵抗係数をπ44、重り部5の重さをM、重り部5の中心からゲージ抵抗6の中心までの重心距離をL、撓み部4の幅をH、撓み部4の厚みをT、印加電圧をEとすると、その感度は次式で表される。
【0013】
(感度)=6×π44×{(M×L)/(H×T2)}×E
この式から分かるように、感度を高めるためには重り部5の重さMを重くしたり、重心距離Lを長くする必要があるが、そのためには重り部5の大きさを大きくする必要があった。しかしながら、上述のようにセンシングエレメント1の主表面側には重り部5の周りを囲むように接合用アルミニウム薄膜9が形成されているので、重り部5の重さMを増すために重り部5を大きくしたり、重心距離Lを長くしようとすると、センシングエレメント1全体が大型化するという問題がある。
【0014】
また、パッド14が設けられたセンシングエレメント1の部位は保護されていないため、パッド14に接続されたボンディングワイヤ7が振動や衝撃によって切断される虞があり、センサの信頼性が低いという問題がある。そこで、パッド14に接続されたボンディングワイヤ7を保護するために、パッド14に粘性を有する保護樹脂(例えばJCR(半導体ジャンクションコーティングレジン)などの用途に用いられるシリコーン樹脂など)を塗布して、ボンディングワイヤ7を保護することが考えられるが、上述のように、上部キャップ2と接合用アルミニウム薄膜9との間には隙間20が形成されているので、この隙間20を介して保護樹脂がエアギャップ内部に流れ込み、撓み部4付近に付着してセンサの特性が変化する虞がある。
【0015】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、小型で感度が高く、且つ、信頼性の高い半導体加速度センサ及びその製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、半導体基板よりなる枠状の支持部の一つの枠片に薄肉の撓み部を介して揺動自在に支持され支持部から離間した重り部を有し、撓み部に撓み部の変形を検出するゲージ抵抗が形成されたセンシングエレメントと、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線と交差する方向において対向する支持部の2つの枠片の主表面側に金属薄膜よりなる2つの接合層と、センシングエレメントの主表面側において撓み部及び重り部を覆うように前記接合層を介して支持部に陽極接合され、少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第1のストッパ部材と、センシングエレメントの裏面側において撓み部及び重り部を覆うように支持部に接合され少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第2のストッパ部材と、撓み部の一端が結合された支持部の枠片の主表面側に形成され前記ゲージ抵抗と電気的に接続されたボンディング用のパッドとを備え、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺にセンシングエレメント側に突出する突出片を形成し、前記突出片の先端面と対向するセンシングエレメントの部位に、突出片側に突出し該突出片の先端面と接触することによって、第1のストッパ部材との間の隙間を閉塞する接触片を形成したことを特徴としている。
【0017】
このように、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線の方向と交差する方向において対向する支持部の2つの枠片に接合層が形成され、この接合層を介して第1のストッパ部材とセンシングエレメントとが陽極接合されており、前記直線の方向において対向する支持部の他の2つの枠片と第1のストッパ部材とは陽極接合されていないので、他の2つの枠片に第1のストッパ部材を接合するための接合層を形成する必要はなく、その分重り部の大きさを大きくすることができ、且つ、前記直線の方向において重り部の中心位置とゲージ抵抗の中心位置との間の距離を長くとることができるから、センシングエレメント全体の大きさを大きくすることなく、重り部の大きさを大きくして感度を高めた半導体加速度センサを実現することができる。しかも前記直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺からはセンシングエレメント側に突出する突出片が形成され、この突出片の先端面と対向する支持部の部位には、突出片側に突出して突出片の先端面と接触する接触片が形成されているので、突出片と接触片とにより第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間を塞ぐことができ、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止することができ、信頼性を高めた半導体加速度センサを実現できる。
【0018】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記接触片は表面が粗化された金属薄膜からなり、当該金属薄膜が前記突出片の先端面に接触した状態で前記突出片に陽極接合されることを特徴とし、金属薄膜の表面は粗化され、凹凸が形成されているので、突出片の先端面と接触片とを陽極接合すると、金属薄膜の表面において突出している部位のみが突出片の先端面に接合され、金属薄膜の表面において窪んでいる部位は突出片の先端面に接合されていないので、この部分に微少な隙間が形成されるが、この隙間は充分小さいので、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【0019】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、前記接触片は、センシングエレメントの他の部位と電気的に絶縁された金属薄膜から成ることを特徴とし、接触片はセンシングエレメントの他の部位と電気的に絶縁されているので、第1のストッパ部材と接合層との間に電圧を印加して、第1のストッパ部材をセンシングエレメントに陽極接合する際に、第1のストッパ部材と接触片との間には電圧が印加されないから、第1のストッパ部材と接触片とは陽極接合されずに圧接された状態となる。したがって、突出片の先端面と接触片とが圧接されることにより、第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間が塞がれ、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【0020】
請求項4の発明では、請求項1の発明において、前記2つの接合層の内の一方の接合層における前記パッド側の端部から連続一体に形成され、他方の接合層に向かって突出する1乃至複数の第1の金属薄膜と、他方の接合層における前記パッド側の端部から連続一体に形成され、一方の接合層に向かって突出し、前記第1の金属薄膜との間に所定の間隔をおいて配置される1乃至複数の第2の金属薄膜とで、前記接触片を構成したことを特徴とし、一方の接合層の端部から他方の接合層に向かって突出する第1の金属薄膜と、他方の接合層の端部から一方の接合層に向かって突出する第2の金属薄膜とを所定の間隔をおいて配置しているので、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、第1及び第2の金属薄膜により第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から保護用樹脂が内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【0021】
請求項5の発明では、半導体基板よりなる枠状の支持部の一つの枠片に薄肉の撓み部を介して揺動自在に支持され支持部から離間した重り部を有し、撓み部に撓み部の変形を検出するゲージ抵抗が形成されたセンシングエレメントと、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線と交差する方向において対向する支持部の2つの枠片の主表面側に金属薄膜よりなる2つの接合層と、センシングエレメントの主表面側において撓み部及び重り部を覆うように前記接合層を介して支持部に陽極接合され、少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第1のストッパ部材と、センシングエレメントの裏面側において撓み部及び重り部を覆うように支持部に接合され少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第2のストッパ部材と、撓み部の一端が結合された支持部の枠片の主表面側に形成され前記ゲージ抵抗と電気的に接続されたボンディング用のパッドとを備え、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺にセンシングエレメント側に突出する突出片を形成し、前記突出片の先端面と対向するセンシングエレメントの部位に、突出片側に突出して突出片の先端面と接触する接触片を形成して成る半導体加速度センサの製造方法であって、第1のストッパ部材に設けられた突出片の先端面とセンシングエレメントの接触片とを接触させることによって、第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間を閉塞した状態で、第1のストッパ部材を前記接合層を介してセンシングエレメントに陽極接合することを特徴としている。
【0022】
このように、第1のストッパ部材を接合層を介してセンシングエレメントに接合する際に、前記直線の方向において対向する支持部の他の2つの枠片と第1のストッパ部材との間に隙間を設けているので、他の2つの枠片に第1のストッパ部材を接合するための接合層を形成する必要はなく、その分重り部の大きさを大きくすることができ、且つ、前記直線の方向において重り部の中心位置とゲージ抵抗の中心位置との間の距離を長くとることができるから、センシングエレメント全体の大きさを大きくすることなく、重り部の大きさを大きくして加速度の感度を高めることができ、さらに前記直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺からはセンシングエレメント側に突出する突出片が形成され、この突出片の先端面と対向する支持部の部位には、突出片側に突出して突出片の先端面と接触する接触片が形成されており、接合時に突出片の先端面と接触片とを接触させているので、突出片と接触片とにより第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間を塞ぐことができ、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止することができ、センサの信頼性を高めることができる。
【0023】
請求項6の発明では、請求項5の発明において、接触片を金属薄膜で形成し、接触片の表面をエッチングして粗化した後、前記突出片の先端面と接触片とを陽極接合したことを特徴とし、金属薄膜の表面は粗化され、凹凸が形成されているので、突出片の先端面と接触片とを陽極接合すると、金属薄膜の表面において突出している部位のみが突出片の先端面に接合され、金属薄膜の表面において窪んでいる部位は突出片の先端面に接合されていないので、この部分に微少な隙間が形成されるが、この隙間は充分小さいので、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【0024】
請求項7の発明では、請求項5の発明において、接触片を金属薄膜で形成し、第1のストッパ部材を接合層を介してセンシングエレメントに陽極接合する際に、接触片とセンシングエレメントの他の部位との間を電気的に絶縁したことを特徴とし、接触片はセンシングエレメントの他の部位と電気的に絶縁されているので、第1のストッパ部材と接合層との間に電圧を印加して、第1のストッパ部材をセンシングエレメントに陽極接合する際に、第1のストッパ部材と接触片との間には電圧が印加されないから、第1のストッパ部材と接触片とは陽極接合されずに圧接された状態となる。したがって、突出片の先端面と接触片とが圧接されることにより、第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間が塞がれ、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0026】
(実施形態1)
本実施形態の半導体加速度センサを図1及び図2を参照して説明する。尚、上述した従来の半導体加速度センサと同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0027】
この半導体加速度センサは、シリコン基板よりなるセンシングエレメント1の主表面側及び裏面側に上部キャップ(第1のストッパ部材)2及び下部キャップ(第2のストッパ部材)3をそれぞれ接合して構成される。
【0028】
センシングエレメント1は、矩形枠状の支持部16に一対の薄肉の撓み部4を介して揺動自在に支持された重り部5を有し、各撓み部4にそれぞれ撓み部4の変形を検出する2つのゲージ抵抗6が形成され、各ゲージ抵抗6から支持部16の所定部位にわたってp+形拡散抵抗配線11が形成されている。
【0029】
ここで、重り部5と撓み部4と支持部16とはn形シリコン基板1aをエッチング加工することにより一体に形成されている。すなわち、センシングエレメント1は、n形シリコン基板1aの裏面側において重り部5を全周にわたって囲む凹所10aが異方性エッチングなどを利用して形成され、n形シリコン基板1aの主表面側において撓み部4を残して重り部5を略全周にわたって囲み且つ凹所10aに連通するスリット10が反応性イオンエッチングなどを利用して形成されている。要するに、n形シリコン基板1aの主表面側において、支持部16の内周面と重り部5の外周面との間には、スリット10の幅だけの隙間があることになる。尚、ゲージ抵抗6はn形シリコン基板1aの一部よりなる撓み部4の主表面側の適宜位置にp形不純物を拡散させることにより形成されている。
【0030】
また、撓み部4の一端が結合された支持部16の枠片16cの主表面側には、上記p+形拡散抵抗配線11にコンタクト部12を介して接続されたアルミニウム配線13が設けられており、さらに、アルミニウム配線13に接続されたワイヤボンディング用のパッド14が設けられている。パッド14には、一端が外部接続されるボンディングワイヤ7の他端がボンディングされる。
【0031】
ここで、上述した4つのゲージ抵抗6はブリッジ接続されており、センシングエレメント1の厚み方向(図1における上下方向)に加速度αが印加されると、重り部5に力F(F=M×α)が発生し、重り部5が揺動することで撓み部4が撓められる。その結果、撓み部4に歪みによる応力が生じ、ピエゾ抵抗効果によって各ゲージ抵抗6の抵抗値が変化するので、この抵抗値変化を電圧信号として取り出すことで、印加された加速度を検出できるようになっている。
【0032】
センシングエレメント1の主表面側(図1における上面側)には、シリコンと略等しい熱膨張率を有する耐熱ガラスから形成され、撓み部4及び重り部5を覆う上部キャップ2が接合用アルミニウム薄膜(接合層)9を介して陽極接合により接合されている。ここに、接合用アルミニウム薄膜9は膜厚が約1〜2μmであって、n形シリコン基板1aの主表面側において、支持部16と撓み部4と重り部5とを結ぶ直線と交差する方向において対向する支持部16の枠片16a,16bのみに形成されている。すなわち、上部キャップ2は枠片16a,16b間に橋架するようにしてセンシングエレメント1に接合されており、支持部16と撓み部4と重り部5とを結ぶ直線の方向において対向する支持部16の枠片16c,16dと上部キャップ2との間は開放されている。したがって、支持部16と撓み部4と重り部5とを結ぶ直線の方向において対向する支持部16の枠片16c,16dに上部キャップ2を接合するための接合用アルミニウム薄膜9を形成する必要がなく、その分だけ重り部5の大きさを大きくして、重り部5の重さMを重くすることができ、且つ重り部5の中心からゲージ抵抗6の中心までの重心距離Lを長くとることができるから、センシングエレメント1の大きさを大きくすることなく、センサの感度を高めることができる。
【0033】
また、センシングエレメント1の裏面側(図1における下面側)には、撓み部4及び重り部5を覆う下部キャップ3が陽極接合により接合されている。ここに、下部キャップ3はシリコンと略等しい熱膨張率を有する耐熱ガラスから形成され、その周部は全周にわたって支持部16に接合されている。
【0034】
上部キャップ2及び下部キャップ3は、それぞれ重り部5との対向面に重り部5の揺動空間(重り部5との間のエアギャップ)を確保する凹所2a,3aがエッチングやサンドブラスト加工などにより形成されている。上述のように、上部キャップ2は支持部16の2つの枠片16a,16bに接合されており、支持部16の他の2つの枠片16c,16dと上部キャップ2との間は接合されていないのであるが、支持部16と撓み部4と重り部5とを結ぶ直線の方向において対向する上部キャップ2の2辺の内、パッド14側の一辺にはセンシングエレメント1側に突出する突出片2cが形成されている。この突出片2cの先端面とセンシングエレメント1表面との間の間隔は約1〜2μmであり、接合用アルミニウム薄膜9の膜厚と略同じ間隔となっている。
【0035】
そこで、本実施形態では、突出片2cの先端面と対向するセンシングエレメント1の部位に、突出片2c側に突出して突出片2cの先端面と接触するアルミニウム薄膜からなる接触片21を形成している。而して、突出片2cと接触片21とによりセンシングエレメント1と上部キャップ2との間の隙間が閉塞されているので、ボンディングワイヤ7を保護するためにパッド14が形成されたセンシングエレメント1の部位に、例えば保護樹脂18を塗布したとしても、保護樹脂18がエアギャップ内部に侵入することはなく、エアギャップ内部に侵入した保護樹脂18が撓み部4に付着するなどしてセンサの特性が変化することはない。尚、本実施形態では接触片21をアルミニウム薄膜で形成しているが、アルミニウム薄膜の代わりにシリコン酸化膜で接触片21を形成しても良い。
【0036】
ここで、保護樹脂18としては例えばJCRなどの用途に用いられる粘性を有するシリコーン樹脂などを用いており、保護樹脂18は硬化後の表面が弾性に富んでおり、外力によるストレスを吸収することによって、チップの破損やボンディングワイヤ7の断線を防止することができる。なお、保護樹脂18の粘度は約100P〜600P、硬度は約20〜30であり、この保護樹脂18の粘度や流動性を適当に選択することによって、突出片2cと接触片21との間の隙間内に保護樹脂18を適切な深さまで侵入させ、熱硬化や紫外線硬化などを行って、硬化させることができる。尚、突出片2cの厚みは例えば約100μm以上に設定されており、保護樹脂18が突出片2cと接触片21との間の隙間を介してエアギャップ内部まで侵入することはない。
【0037】
一方、支持部16と撓み部4と重り部5とを結ぶ直線の方向において対向する上部キャップ2の2辺の内、パッド14側と反対側の一辺とセンシングエレメント1との間は開放されており、この開口15を介してエアギャップ内部と外部とは連通している。本実施形態では、上部キャップ2に形成された凹所2aの深さを略数10μmとし、ストッパ2bの高さを、凹所2aの底面から数μm〜10μm弱程度としているが、凹所2a及びストッパ2bの寸法を適切に調節することによって、開口15を介して流動する空気の影響を無くすことができ、充分なエアダンピング効果を得ることができる。尚、上部キャップ2の平面部の外形寸法は数100μm程度である。また、凹所2a,3aの底面におけるストッパ2b,3bの位置は、重り部5の揺動範囲を所望の範囲に規制することのできる位置であればどのような位置に設けても良い。
【0038】
(実施形態2)
本実施形態の半導体加速度センサについて図3(a)(b)を参照して説明する。尚、半導体加速度センサの基本的な構成は実施形態1と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0039】
本実施形態では、実施形態1の半導体加速度センサにおいて、センシングエレメント1の表面に設けた接触片21をアルミニウム薄膜から形成しており、その表面をフッ酸或いは発煙硝酸でエッチングして粗化している。而して、図3(b)に示すように、接触片21の表面には凹凸が形成されている。
【0040】
ここで、接触片21は接合用アルミニウム薄膜9と電気的に接続されているので、上部キャップ2をセンシングエレメント1に陽極接合すると、上部キャップ2は接合用アルミニウム薄膜9を介してセンシングエレメント1に接合されると共に、上部キャップ2の突出片2cが接触片21を介してセンシングエレメント1に接合される。この時、接触片21の表面は粗化されているので、接触片21の表面における突出している部位、すなわち突起部21aのみが突出片2cの先端面に接合され、接触片21の表面における突起部21a以外の窪んでいる部位は突出片2cの先端面に接合されず、その部分には数100nm(数1000Å)の隙間が形成される。しかしながら、この隙間は充分小さいので、ボンディングワイヤ7を保護するための保護樹脂18がエアギャップ内部に侵入することはなく、エアギャップ内部に侵入した保護樹脂18が撓み部4に付着するなどしてセンサの特性が変化することはない。
【0041】
(実施形態3)
本実施形態の半導体加速度センサについて図4及び図5を参照して説明する。尚、半導体加速度センサの基本的な構成は実施形態1と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
本実施形態では、センシングエレメント1の表面に設けた接触片21をアルミニウム薄膜から形成しており、この接触片21はセンシングエレメント1の他の部位と電気的に絶縁されている。すなわち、上述した従来の半導体加速度センサと同様に、センシングエレメント1の表面と接触片21との間には例えばシリコン酸化膜が形成され、接触片21とp+形拡散抵抗配線11との間を電気的に絶縁している。また、支持部16の枠片16a,16bに形成された接合用アルミニウム薄膜9と接触片21とは隙間をおいて配設されており、接合用アルミニウム薄膜9と接触片21とは電気的に絶縁されている。このように、接触片21はセンシングエレメント1の他の部位と電気的に絶縁されているので、上部キャップ2と接合用アルミニウム薄膜9との間に電圧を印加して、上部キャップ2をセンシングエレメント1に陽極接合する際に、上部キャップ2と接触片21との間に電圧が印加されることはなく、突出片2cの先端面と接触片21とは互いに接合されず、圧接された状態となる。したがって、突出片2cの先端面と接触片21とが圧接されることにより、突出片2cの先端面とセンシングエレメント1の表面との間の隙間が閉塞され、ボンディングワイヤ7を保護するための保護樹脂18がエアギャップ内部に侵入することはなく、エアギャップ内部に侵入した保護樹脂18が撓み部4に付着するなどしてセンサの特性が変化することはない。
【0043】
(実施形態4)
本実施形態の半導体加速度センサについて図6及び図7を参照して説明する。尚、半導体加速度センサの基本的な構成は実施形態1と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
本実施形態では、実施形態1の半導体加速度センサと同様、支持部16と撓み部4と重り部5とを結ぶ直線と交差する方向において対向する支持部16の2つの枠片16a,16bに接合用アルミニウム薄膜9を形成している。ここで、一方の枠片16aに形成された接合用アルミニウム薄膜9における枠片16c側の端部からは、他方の枠片16bに形成されたアルミニウム薄膜9に向かって延びる短冊状の金属薄膜(第1の金属薄膜)9bが連続一体に形成されている。また、他方の枠片16bに形成された接合用アルミニウム薄膜9における枠片16c側の端部からは、一方の枠片16aに形成された接合用アルミニウム薄膜9に向かって延びる短冊状の一対の金属薄膜(第2の金属薄膜)9aが連続一体に形成されている。そして、枠片16a側の接合用アルミニウム薄膜9から延設された金属薄膜9bと、枠片16b側の接合用アルミニウム薄膜9から延設された金属薄膜9a,9aとは所定の隙間をおいて交互に配設されている。
【0045】
而して、上部キャップ2をセンシングエレメント1に陽極接合すると、接合用アルミニウム薄膜9を介して上部キャップ2の両側片がセンシングエレメント1の枠片16a,16bに接合されるとともに、突出片2cの先端面が金属薄膜9a,9bを介して枠片16cに接合される。この時、突出片2cの先端面とセンシングエレメント1表面との間には蛇行するように延びる隙間22が形成されるが、この隙間22の長さは充分長いので、ボンディングワイヤ7を保護するためパッド14に塗布された保護樹脂18が隙間22を介してエアギャップ内部に侵入することはなく、エアギャップ内部に侵入した保護樹脂18が撓み部4に付着するなどしてセンサの特性が変化することはない。
【0046】
【発明の効果】
上述のように、請求項1の発明は、半導体基板よりなる枠状の支持部の一つの枠片に薄肉の撓み部を介して揺動自在に支持され支持部から離間した重り部を有し、撓み部に撓み部の変形を検出するゲージ抵抗が形成されたセンシングエレメントと、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線と交差する方向において対向する支持部の2つの枠片の主表面側に金属薄膜よりなる2つの接合層と、センシングエレメントの主表面側において撓み部及び重り部を覆うように前記接合層を介して支持部に陽極接合され、少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第1のストッパ部材と、センシングエレメントの裏面側において撓み部及び重り部を覆うように支持部に接合され少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第2のストッパ部材と、撓み部の一端が結合された支持部の枠片の主表面側に形成され前記ゲージ抵抗と電気的に接続されたボンディング用のパッドとを備え、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺にセンシングエレメント側に突出する突出片を形成し、前記突出片の先端面と対向するセンシングエレメントの部位に、突出片側に突出し該突出片の先端面と接触することによって、第1のストッパ部材との間の隙間を閉塞する接触片を形成したことを特徴としている。
【0047】
このように、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線の方向と交差する方向において対向する支持部の2つの枠片に接合層が形成され、この接合層を介して第1のストッパ部材とセンシングエレメントとが陽極接合されており、前記直線の方向において対向する支持部の他の2つの枠片と第1のストッパ部材とは陽極接合されていないので、他の2つの枠片に第1のストッパ部材を接合するための接合層を形成する必要はなく、その分重り部の大きさを大きくすることができ、且つ、前記直線の方向において重り部の中心位置とゲージ抵抗の中心位置との間の距離を長くとることができるから、センシングエレメント全体の大きさを大きくすることなく、重り部の大きさを大きくして感度を高めた半導体加速度センサを実現することができる。しかも前記直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺からはセンシングエレメント側に突出する突出片が形成され、この突出片の先端面と対向する支持部の部位には、突出片側に突出して突出片の先端面と接触する接触片が形成されているので、突出片と接触片とにより第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間を塞ぐことができ、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止することができ、信頼性を高めた半導体加速度センサを実現できる。
【0048】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記接触片は表面が粗化された金属薄膜からなり、当該金属薄膜が前記突出片の先端面に接触した状態で前記突出片に陽極接合されることを特徴とし、金属薄膜の表面は粗化され、凹凸が形成されているので、突出片の先端面と接触片とを陽極接合すると、金属薄膜の表面において突出している部位のみが突出片の先端面に接合され、金属薄膜の表面において窪んでいる部位は突出片の先端面に接合されていないので、この部分に微少な隙間が形成されるが、この隙間は充分小さいので、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【0049】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記接触片は、センシングエレメントの他の部位と電気的に絶縁された金属薄膜から成ることを特徴とし、接触片はセンシングエレメントの他の部位と電気的に絶縁されているので、第1のストッパ部材と接合層との間に電圧を印加して、第1のストッパ部材をセンシングエレメントに陽極接合する際に、第1のストッパ部材と接触片との間には電圧が印加されないから、第1のストッパ部材と接触片とは陽極接合されずに圧接された状態となる。したがって、突出片の先端面と接触片とが圧接されることにより、第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間が塞がれ、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【0050】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記2つの接合層の内の一方の接合層における前記パッド側の端部から連続一体に形成され、他方の接合層に向かって突出する1乃至複数の第1の金属薄膜と、他方の接合層における前記パッド側の端部から連続一体に形成され、一方の接合層に向かって突出し、前記第1の金属薄膜との間に所定の間隔をおいて配置される1乃至複数の第2の金属薄膜とで、前記接触片を構成したことを特徴とし、一方の接合層の端部から他方の接合層に向かって突出する第1の金属薄膜と、他方の接合層の端部から一方の接合層に向かって突出する第2の金属薄膜とを所定の間隔をおいて配置しているので、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、第1及び第2の金属薄膜により第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から保護用樹脂が内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【0051】
請求項5の発明は、半導体基板よりなる枠状の支持部の一つの枠片に薄肉の撓み部を介して揺動自在に支持され支持部から離間した重り部を有し、撓み部に撓み部の変形を検出するゲージ抵抗が形成されたセンシングエレメントと、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線と交差する方向において対向する支持部の2つの枠片の主表面側に金属薄膜よりなる2つの接合層と、センシングエレメントの主表面側において撓み部及び重り部を覆うように前記接合層を介して支持部に陽極接合され、少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第1のストッパ部材と、センシングエレメントの裏面側において撓み部及び重り部を覆うように支持部に接合され少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第2のストッパ部材と、撓み部の一端が結合された支持部の枠片の主表面側に形成され前記ゲージ抵抗と電気的に接続されたボンディング用のパッドとを備え、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺にセンシングエレメント側に突出する突出片を形成し、前記突出片の先端面と対向するセンシングエレメントの部位に、突出片側に突出して突出片の先端面と接触する接触片を形成して成る半導体加速度センサの製造方法であって、第1のストッパ部材に設けられた突出片の先端面とセンシングエレメントの接触片とを接触させることによって、第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間を閉塞した状態で、第1のストッパ部材を前記接合層を介してセンシングエレメントに陽極接合することを特徴としている。
【0052】
このように、第1のストッパ部材を接合層を介してセンシングエレメントに接合する際に、前記直線の方向において対向する支持部の他の2つの枠片と第1のストッパ部材との間に隙間を設けているので、他の2つの枠片に第1のストッパ部材を接合するための接合層を形成する必要はなく、その分重り部の大きさを大きくすることができ、且つ、前記直線の方向において重り部の中心位置とゲージ抵抗の中心位置との間の距離を長くとることができるから、センシングエレメント全体の大きさを大きくすることなく、重り部の大きさを大きくして加速度の感度を高めることができ、さらに前記直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺からはセンシングエレメント側に突出する突出片が形成され、この突出片の先端面と対向する支持部の部位には、突出片側に突出して突出片の先端面と接触する接触片が形成されており、接合時に突出片の先端面と接触片とを接触させているので、突出片と接触片とにより第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間を塞ぐことができ、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止することができ、センサの信頼性を高めることができる。
【0053】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、接触片を金属薄膜で形成し、接触片の表面をエッチングして粗化した後、前記突出片の先端面と接触片とを陽極接合したことを特徴とし、金属薄膜の表面は粗化され、凹凸が形成されているので、突出片の先端面と接触片とを陽極接合すると、金属薄膜の表面において突出している部位のみが突出片の先端面に接合され、金属薄膜の表面において窪んでいる部位は突出片の先端面に接合されていないので、この部分に微少な隙間が形成されるが、この隙間は充分小さいので、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【0054】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、接触片を金属薄膜で形成し、第1のストッパ部材を接合層を介してセンシングエレメントに陽極接合する際に、接触片とセンシングエレメントの他の部位との間を電気的に絶縁したことを特徴とし、接触片はセンシングエレメントの他の部位と電気的に絶縁されているので、第1のストッパ部材と接合層との間に電圧を印加して、第1のストッパ部材をセンシングエレメントに陽極接合する際に、第1のストッパ部材と接触片との間には電圧が印加されないから、第1のストッパ部材と接触片とは陽極接合されずに圧接された状態となる。したがって、突出片の先端面と接触片とが圧接されることにより、第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間が塞がれ、ダイボンディング用のパッドに配線を保護するための保護用樹脂を塗布したとしても、保護用樹脂が第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間から内部に侵入するのを防止した半導体加速度センサを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の半導体加速度センサの断面図である。
【図2】同上のセンシングエレメントの上面図である。
【図3】実施形態2の半導体加速度センサを示し、(a)は断面図、(b)は要部拡大図である。
【図4】実施形態3の半導体加速度センサの断面図である。
【図5】同上のセンシングエレメントの上面図である。
【図6】実施形態4の半導体加速度センサの断面図である。
【図7】同上のセンシングエレメントの上面図である。
【図8】従来の半導体加速度センサの断面図である。
【図9】同上のセンシングエレメントの上面図である。
【図10】図9のD−D’断面図である。
【符号の説明】
1 センシングエレメント
2 上部キャップ
2c 突出片
3 下部キャップ
4 撓み部
5 重り部
6 ゲージ抵抗
14 パッド
16 支持部
16c,16d 枠片
21 接触片
Claims (7)
- 半導体基板よりなる枠状の支持部の一つの枠片に薄肉の撓み部を介して揺動自在に支持され支持部から離間した重り部を有し、撓み部に撓み部の変形を検出するゲージ抵抗が形成されたセンシングエレメントと、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線と交差する方向において対向する支持部の2つの枠片の主表面側に金属薄膜よりなる2つの接合層と、センシングエレメントの主表面側において撓み部及び重り部を覆うように前記接合層を介して支持部に陽極接合され、少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第1のストッパ部材と、センシングエレメントの裏面側において撓み部及び重り部を覆うように支持部に接合され少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第2のストッパ部材と、撓み部の一端が結合された支持部の枠片の主表面側に形成され前記ゲージ抵抗と電気的に接続されたボンディング用のパッドとを備え、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺にセンシングエレメント側に突出する突出片を形成し、前記突出片の先端面と対向するセンシングエレメントの部位に、突出片側に突出し該突出片の先端面と接触することによって、第1のストッパ部材との間の隙間を閉塞する接触片を形成したことを特徴とする半導体加速度センサ。
- 前記接触片は表面が粗化された金属薄膜からなり、当該金属薄膜が前記突出片の先端面に接触した状態で前記突出片に陽極接合されることを特徴とする請求項1記載の半導体加速度センサ。
- 前記接触片は、センシングエレメントの他の部位と電気的に絶縁された金属薄膜から成ることを特徴とする請求項1記載の半導体加速度センサ。
- 前記2つの接合層の内の一方の接合層における前記パッド側の端部から連続一体に形成され、他方の接合層に向かって突出する1乃至複数の第1の金属薄膜と、他方の接合層における前記パッド側の端部から連続一体に形成され、一方の接合層に向かって突出し、前記第1の金属薄膜との間に所定の間隔をおいて配置される1乃至複数の第2の金属薄膜とで、前記接触片を構成したことを特徴とする請求項1記載の半導体加速度センサ。
- 半導体基板よりなる枠状の支持部の一つの枠片に薄肉の撓み部を介して揺動自在に支持され支持部から離間した重り部を有し、撓み部に撓み部の変形を検出するゲージ抵抗が形成されたセンシングエレメントと、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線と交差する方向において対向する支持部の2つの枠片の主表面側に金属薄膜よりなる2つの接合層と、センシングエレメントの主表面側において撓み部及び重り部を覆うように前記接合層を介して支持部に陽極接合され、少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第1のストッパ部材と、センシングエレメントの裏面側において撓み部及び重り部を覆うように支持部に接合され少なくとも重り部に対向する部位に凹所が形成された第2のストッパ部材と、撓み部の一端が結合された支持部の枠片の主表面側に形成され前記ゲージ抵抗と電気的に接続されたボンディング用のパッドとを備え、支持部と撓み部と重り部とを結ぶ直線の方向において対向する第1のストッパ部材の2辺の内、前記パッド側の一辺にセンシングエレメント側に突出する突出片を形成し、前記突出片の先端面と対向するセンシングエレメントの部位に、突出片側に突出して突出片の先端面と接触する接触片を形成して成る半導体加速度センサの製造方法であって、第1のストッパ部材に設けられた突出片の先端面とセンシングエレメントの接触片とを接触させることによって、第1のストッパ部材とセンシングエレメントとの間の隙間を閉塞した状態で、第1のストッパ部材を前記接合層を介してセンシングエレメントに陽極接合することを特徴とする半導体加速度センサの製造方法。
- 接触片を金属薄膜で形成し、接触片の表面をエッチングして粗化した後、前記突出片の先端面と接触片とを陽極接合したことを特徴とする請求項5記載の半導体加速度センサの製造方法。
- 接触片を金属薄膜で形成し、第1のストッパ部材を接合層を介してセンシングエレメントに陽極接合する際に、接触片とセンシングエレメントの他の部位との間を電気的に絶縁したことを特徴とする請求項5記載の半導体加速度センサの製造方法。
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