JP3677246B2 - 光増幅型分光装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光量の少ない被測定光を増幅しながら波長分布に関して分光を行なう光増幅型分光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の性質を表すパラメーターの1つに波長分布がある。この波長分布を測定するには、光の波長の違いによる物質の屈折率が異なるという性質を用いたプリズム、回折格子による光の干渉を用いたグレーティングなどの分散型の分光装置が用いられている。これらの手法は共に、検出したい光をプリズムまたはグレーティングにより空間的に分離した後、スリットを用いて必要な光のみを得るまたは、空間的に分離した光をCCDを用いて検出するものである。
【0003】
また、光パラメトリック増幅を用いた波長測定装置としては、特開平6−235950号が知られている。これは、レーザ光源から、非線形光学特性を有する光学素子に励起光を照射して2本のパラメトリック発光を起こさせ、少なくとも一方の発生光の光軸に一致させて被測定光を光学素子に入射させ、パラメトリック増幅された被測定光の情報を持った2本のパラメトリック増幅光が、パラメトリック発生光の発生方向と近似する波長に応じた方向に出力することから、いずれか一方の増幅光の出射角を検出し、被測定光の波長分布を測定するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した分散型の分光装置では、プリズム、グレーティング等、装置内での光の損失のため、特に被測定光の強度が弱い場合には測定が困難であるという問題点があった。また、特開平6−235950号で開示されるような光パラメトリック増幅を用いた波長測定装置では、検出光を増幅して検出を行なうことができるが、被測定光の入射方向に強く増幅されるので、一度に広い波長範囲で、増幅かつ分光を行なうことが困難であった。そこで、本発明の目的は、上記した技術的課題を解決するためになされたものであり、一度に広い波長範囲で、増幅かつ分光を行なうことができる光増幅型分光装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を解決するために成された光増幅型分光装置である。すなわち、本発明の光増幅型分光装置は、非線形光学特性を有する光学素子と、この光学素子に被測定光と比べて波長が短く、強度の強いポンプ光を照射してパラメトリック発生を起こさせるレーザー光源と、前記被測定光を前記ポンプ光と同じタイミングで、光軸を一致させて前記光学素子に入射させる光学手段とを備え、前記被測定光の波長に依存した出射角で放出されるパラメトリック増幅光を用いて分光を行う光増幅型分光装置において、前記被測定光の偏光方向を変えることによるパラメトリック増幅光の強度変化、または前記ポンプ光の偏光方向及び前記光学素子をポンプ光の光軸を回転軸として回転を行うことによるパラメトリック増幅光の強度変化を検出することを特徴とする。
本発明によれば、被測定光の光強度が弱い場合において、今まで分光装置内で損失してしまっていた光を増幅しながら分光測定ができる。また、円形状に光が広がっているので、例えば、CCDを用いて検出でき、再度光を集めることもできることから、必要としていない迷光の強度が強く、十分な分光ができなかった場合には、必要のない光を空間的に除去した後、再度分光を行うことが可能である。
さらに、本発明の光増幅型分光装置は、被測定光の偏光方向を変えることによるパラメトリック増幅光の強度変化、または、ポンプ光の偏光方向及び光学素子を光の入射角を中心とした、回転を行うことによるパラメトリック増幅光の強度変化を検出することにより、被測定光に関する偏光情報を得ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付してある。
図1は本発明の一実施例に係る光増幅型分光装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の光増幅型分光装置は、非線形光学特性を有する光学素子10と、パラメトリック増幅を起こさせるレーザ光20と、被測定光21と、これらレーザ光20と被測定光21を受光し光軸を合わせるためのハーフミラー13と、レーザ光20及び被測定光21を共軸上で光学素子10に集光照射を行なうレンズ11を備えている。さらに、被測定光21がパラメトリック増幅により増幅され、被測定光21の波長に依存する出射角を有して円形状に発生するパラメトリック増幅光22により分光を行なう機構と光学素子10を通過したレーザ光20を取り除くプリズム12を備えている。このように構成した光増幅型分光装置において、レーザー光20及び被測定光21は同じタイミングで光学素子10に入射するようになっている。
【0009】
本実施形態では、レーザ光20及び被測定光21を共軸にして、非線形光学特性を有する光学素子10に入射させることにより、被測定光21の波長に依存する出射角で円形状に発生するパラメトリック増幅光22を得ている。
波長による検出角度は以下の原理に基づき算出される。
一軸性の非線形光学素子を用いた場合、常光線での屈折率n、異常光線での屈折率nが存在する。これらの屈折率は、光の波長λにより異なる値をとる。常光線方向から異常光線方向にθ度異なった方向の屈折率n(θ)は、次の数式(1)となる。
【0010】
【数1】
Figure 0003677246
【0011】
パラメトリック増幅では、シグナル光λ、k、アイドラ光λ、k、ポンプ光λ
と呼ばれる3つの光の相互作用により光増幅が起こる。それぞれのλ及びkは光の波長、波数ベクトルを示しており、添え字は1がシグナル光、2がアイドラ光、3がポンプ光を表している。パラメトリック増幅が起こる場合には、次の条件の条件が満たされる。
【0012】
【数2】
Figure 0003677246
【数3】
Figure 0003677246
【0013】
ここで、kはベクトル量であり、式(3)の条件を図で表すと、図2のようになる。また、波数ベクトルkは、nを屈折率とすると次の数式(4)と示される。
【0014】
【数4】
Figure 0003677246
【0015】
一般的に、パラメトリック増幅は波長可変のレーザを作成する場合に用いられる。その場合には、式(1)乃至(4)を満たし、かつ波数ベクトルk、k、kの方向が同じとなるように、光の入射方向と光学素子10の結晶方向を合わせた条件で発生する強い増幅光を利用している。
【0016】
本発明においては、ポンプ光であるレーザ光20が異常光線方向に偏光成分を持ち、シグナル光である被測定光21及びアイドラ光が常光線方向に偏光成分を持つ場合を考えている。レーザ光20の入射方向は、非線形光学特性を有する光学素子10に対し、ある結晶方向と一致するので、被測定光21のパラメトリック増幅は、式(1)乃至(4)から計算できることになる。被測定光21によるパラメトリック増幅光22のレーザ光20に対する出射角度の違いγは、次の数式(5)で与えられる。
【0017】
【数5】
Figure 0003677246
【0018】
以上のことから、本発明に係る分光装置の分光特性が求められる。
【0019】
パラメトリック増幅光22のレーザ光20に対する出射角度の違いγは、光学素子10の結晶軸に対する被測定光21及びレーザ光20の入射角θにより、異なる値をとるため、結晶軸方向を変えることにより測定波長範囲を選定することができる。また、上記出射角度の違いγは、非線形光学特性を有する光学素子10の屈折率やレーザ光20の波長の違いによっても異なる値をとるため、測定波長範囲を選定することができることを示している。
【0020】
また、式(5)は、レーザ光20、被測定光21の偏光方向の違いにより異なった式となるため、被測定光21の偏光解析が可能となる。
【0021】
【実施例】
本発明の実施例を図3を用いて説明する。図3は本実施例を具体的な機器で構成した射視図である。本実施例では、非線形光学特性を有する光学素子として、光学軸を30度にカットしたBBO(β−BaB)結晶40を使用し、これをレーザ光20、被測定光21に対し入射角度を変えられるように回転ステージ31を設置してある。尚、非線形光学特性を有する光学素子40はBBO結晶に限られず、KHPO(KDP)、LiNbOなど、パラメトリック発生を起こすものであれば使用可能である。使用する光学素子によって分光が可能な波長範囲は異なるので、被測定波長領域から選定することになる。レーザ装置にはチタンサファイアレーザ30を用いている。被測定光21は、ハーフミラー13を用いてレーザ光20と共軸上に合わせられ、光学レンズ11を用いてBBO結晶40に集光照射される。
【0022】
本実施例では、レーザ光源30は、チタンサファイアレーザの第二高調波(波長、400nm)を使用した。レーザ光20及び被測定光21はBBO結晶40に対し垂直に入射している。レーザ光20は回転ステージ31の回転軸に垂直な偏光をもち、被測定光21は回転ステージ31の回転軸に平行な偏光をしている。BBO結晶40を通過した後のレーザ光20は、プリズム12を用いて光を除去している。
【0023】
被測定光21として、550nm、570nmの光を入射したところ、被測定光21によるパラメトリック増幅光22は、レーザ光20に対して出射角度γ=3.18度の方向に円形状に放出された550nm光が観測され、出射角度γ=3.11度の方向に円形状に放出された570nmの光が観測された。
【0024】
次いで、回転ステージ31を用いてBBO結晶40を回転させ、結晶軸29度の方向からレーザ光20及び被測定光21が入射するようにした場合、被測定光21によるパラメトリック増幅光22は、レーザ光20に対して、550nmの光は出射角度γ=2.70度に変化し、570nmの光はγ=2.53度に出射角度がそれぞれ変化した。
尚、被測定光21が偏光情報を含んでいる場合、BBO結晶40に入射する被測定光21の偏光方向を回転させることにより、偏光情報を含んだパラメトリック増幅光を得ることができる。また、レーザ光20の偏光方向を変化させ、あるいはBBO結晶40を回転させ、相対的に被測定光21光の偏光方向をBBO結晶40に対し変化させてもよいことは勿論である。
【0025】
図4は図3の装置を用いて観測を行なった、エタノール溶液中に溶解したローダミンBの蛍光スペクトルを示している。ローダミンBを溶解したエタノール溶液中にレーザ光を照射し、得られた蛍光をレンズを用いて集光し、BBO結晶40に照射をした。被測定光21は光学軸に対し30度で、かつ、レーザ光20と同じタイミングで入射を行なった。図4は、被測定光21及びレーザ光20が、BBO結晶40を透過し30cm進んだ位置を中心として、レーザ光20の進行方向に垂直な平面内の円の半径位置における増幅光22の光強度をプロットしたものである。増幅光22には、シグナル光、アイドラ光が含まれているので、図4の測定では、アイドラ光を除去するフィルターを通過させた後、検出をおこなった。
【0026】
エタノール溶液中に溶解したローダミンBでは、590nm近傍をピークトップに持つ線幅の広い蛍光スペクトルが発生する。590nmの波長の光は1.58cmの位置に検出されると考えられる。図4に示すように、本実施例では、1.58cmを中心としたローダミンBの蛍光スペクトルが観測されている。図4の測定では、520nmの波長の光が1.7cmに、720nmの波長の光が1.3cmの位置に検出されると考えられる。
【0027】
図5は図4と同様の実験条件において、検出光としてアイドラ光を用いた結果である。測定は、シグナル光を除去するフィルターを通過させた後、検出をおこなった。590nmの光を被測定光として入射した場合に発生するアイドラ光は、3.4cmの位置に検出されると考えられることから、中心から3cmの位置に観測されている光は、ローダミンBの蛍光を基にして、図3の分光装置により発生したアイドラ光である。図5の測定では、540nmの波長の光に伴って発生するアイドラ光が4.5cmの位置に、740nmの波長の光に伴って発生するアイドラ光が1.5cmの位置に検出されると考えられる。
【0028】
このようにして、被測定光を本発明の光増幅型分光装置を用いることにより分光しながら、光を増幅することが可能である。
また、レーザ光20がパルスレーザであり、かつ被測定光21光もパルスレーザを光源としたパルス光である場合、レーザ光20に光遅延回路を設けることりより、レーザパルスの重なった時のみパラメトリック増幅が発生することを利用して時間分解測定を行なうことができる。
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【0029】
【発明の効果】
本発明にかかる光増幅型分光装置によれば、入射した光の波長に依存した出射角で放出される円形状のパラメトリック増幅光を用いて光を増幅しながら分光を行なうことが可能となる。また、パラメトリック増幅光の出射角が、非線形光学特性を有する光学素子材料に対する被測定光およびポンプ光の入射角度に依存することを利用して、被測定光の測定波長領域を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施態様に係る光増幅型分光装置の構成を示すブロッフ図である。
【図2】パラメトリック発光がおこる波数ベクトルの条件を示した図である。
【図3】本実施例を具体的な機器で構成した射視図である。
【図4】本実施例の分光装置を用いて測定したローダミンBの蛍光スペクトルを示す図である。
【図5】本実施例の分光装置において、測定光としてアイドラ光を用いた場合に、測定されるローダミンBの蛍光スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
10:非線形光学素子
11:光学レンズ
12:プリズム
13:ハーフミラー
20:レーザ光
21:被測定光
22:パラメトリック増幅光
30:回転ステージ
31:レーザ装置
40:BBO結晶

Claims (1)

  1. 非線形光学特性を有する光学素子と、この光学素子に被測定光と比べて波長が短く、強度の強いポンプ光を照射してパラメトリック発生を起こさせるレーザー光源と、前記被測定光を前記ポンプ光と同じタイミングで、光軸を一致させて前記光学素子に入射させる光学手段とを備え、前記被測定光の波長に依存した出射角で放出されるパラメトリック増幅光を用いて分光を行う光増幅型分光装置において、
    前記被測定光の偏光方向を変えることによるパラメトリック増幅光の強度変化、または前記ポンプ光の偏光方向及び前記光学素子をポンプ光の光軸を回転軸として回転を行うことによるパラメトリック増幅光の強度変化を検出することを特徴とする光増幅型分光装置。
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