JP3676660B2 - エンジン発電装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン発電装置に関し、特に、自家用発電設備や小型コジェネレーション装置のような、電力系統との連系機能を備えるエンジン発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、停電などの緊急事態に備えるための自家用発電設備が広く普及しているが、最近では、例えば特開平8−182192号公報に記載されるように、電力系統と連系させることによって運転の効率化を図るコジェネレーションタイプの自家用発電設備が普及し始めている。自家発電用設備としては、例えばガソリンエンジンや都市ガス等を燃料とするガスエンジン等で駆動される小型発電機を有する家庭用コジェネレーション装置が使用される。
【0003】
電力系統との連系に際しては、連系可能な発電設備の出力や地絡または短絡事故時の電力系統の保護などの技術的要件を定めた系統連系技術要件ガイドライン(通産省公報)に従って系統連系の円滑化を図ることが望まれる。したがって、発電機が故障して前記ガイドラインに定められた条件から外れないよう、常時監視しなければならない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記発電機では、3相出力巻線の出力を整流した後、商用周波数(系統電源周波数)の交流出力に変換している。そして、通常の比較的大出力の発電機における故障の監視は、3相巻線のそれぞれについて出力電圧値を常時監視することにより行われる。しかしながら家庭用コジェネレーション装置に使用される比較的小型の発電設備では、低コストの発電機部分に上記構成を適用すると監視のためのコスト負担割合がたいへん大きくなり、製造コストの増大を招くという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、発電機の故障を簡易な構成によって検出することができるエンジン発電装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エンジンで駆動される多相出力巻線を有する発電機の発電出力を、整流後にインバータで系統周波数の交流に変換して系統電源に連系するエンジン発電装置において、前記エンジンを始動させ、前記整流後の直流電圧が予定値まで上昇した状態で系統電源との連系を開始し、インバータの出力を上昇させる手段と、連系開始後に前記整流後の直流電圧が予定値以下に低下したとき連系を解列し、前記整流後の直流電圧が予定値に復帰したときに連系を再開する手段と、連系の再開によって前記整流後の直流電圧が予定値以下に低下した場合に発電機が故障したと判断する故障検出手段とを具備した点に第1の特徴がある。
【0007】
第1の特徴によれば、エンジンを始動させて発電機出力の整流後の直流電圧が予定値に達したならば、系統連系を開始しインバータ出力を増大させる。このとき、巻線の1線が断線するなどの故障があれば整流後の直流電圧が低下するが、連系の解列により前記直流電圧は再び上昇する。そこで、再び連系を再開することによって直流電圧の低下が検出されれば発電機の故障と判断する。
【0008】
また、本発明は、前記系統電源との連系開始時には前記インバータの出力を徐々に増大させるよう構成した点に第2の特徴がある。エンジンは暖気完了後、定格負荷のように大きい負荷が急激に投入されるとハンチングや回転速度の急速低下(失速)が起こりやすい。第2の特徴によれば、エンジンは安定的に運転され、連系時に系統電源へ及ぼす影響を軽減できる。そして、その結果として急激な負荷の投入により変動し易い整流後の直流電圧を安定に維持することができ、この変動に起因する誤判断を防止することができる。
【0009】
また、本発明は、前記系統の連系および解列を繰り返し、そのつど前記整流後の直流電圧が予定値以下に低下することが検出されたときに、前記故障検出手段では発電機が故障したと判断するよう構成した点に第3の特徴がある。第3の特徴によれば、故障時の症状の繰り返しを確認して、故障診断についての確実な判断をすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、エンジン発電装置の構成を示すブロック図である。同図において、エンジン発電機10はエンジン11と発電機12とを含み、エンジン11で発電機12を駆動してその回転数に応じた交流を発生させる。発電機12はエンジン11に連結される回転子と3相出力巻線が巻回された固定子とからなる。3相出力巻線の出力端はインバータ装置13に接続される。インバータ装置13は発電機12から出力された交流を商用電力系統と同じ品質(電圧、周波数、ノイズ等に関して)の交流に変換し、商用電力系統の位相と同期をとって連系させる。
【0011】
具体的には、インバータ装置13は発電機12から出力された交流を直流に変換するコンバータ131、およびコンバータ131で変換された直流を商用電力系統の周波数、電圧に合致した交流に変換するインバータ回路133、ならびにフィルタ回路134および連系リレー135を有する。インバータ装置13の出力交流は連系リレー135およびメインスイッチ136を介して商用電力系統14と連系するとともに、内部(例えば家庭内)の電気負荷15に接続される。
【0012】
インバータ回路133を制御するインバータ制御部137はインバータ回路133のFETをスイッチングするとともに、出力電流Ioおよびコンバータ131の出力電圧Vdc 並びに系統保護部138からの信号に基づいて連系リレー135の開閉を制御するなど、インバータ回路133の保護機能を果たす。
【0013】
系統保護部138は発電機の出力電圧データと周波数データとを監視し、これらが所定値から外れていたときや系統電源の停電時に、異常と判断してインバータ制御部137に異常を通知したり、連系リレー135を開いて連系を解列するなどの系統保護機能を果たす。停電は、系統の位相の跳躍の有無によって判断してもよいし、周期的に系統に対してインバータ出力の位相をシフトさせ、そのときの位相変化量に基づいて判断してもよい。インバータ制御部137にはインバータ装置13およぼ商用電力系統14で異常が発生したときの異常内容および異常発生に伴う動作停止(異常停止)を記憶するためのEEPROM等の不揮発性メモリが設けられる。
【0014】
連系リレー135はインバータ装置13の連系運転時に閉じ、インバータ装置13の運転停止時には開いて解列する。連系リレー135は系統保護のための遮断装置を兼ね、系統異常時に解列する。連系リレー135の開閉はマイクロコンピュータで構成できる前記インバータ制御部137や系統保護部138によって制御されるが、メインスイッチ136のオフ時には開いて(解列して)いる。
【0015】
エンジン11を制御するためECU38が設けられ、ECU38は連系リレー135が予め定められた時間経過後も解列が継続しているとき、エンジン11の停止指令を出力する。ECU38にはエンジン発電機10で異常が発生したときの異常内容および異常停止を記憶するためのEEPROM等の不揮発性メモリおよび異常停止を表示するLEDなどによる表示部が設けられる。
【0016】
ECU38とインバータ制御部137および系統保護部138(本明細書ではECU側に対してインバータ制御側と呼ぶことがある)とで互いに状態を通知するため、通信部139が設けられる。また、エンジン発電機10およびインバータ装置13の駆動用電源および制御用電源はインバータ装置13の出力側に接続される電源部140から供給される。
【0017】
エンジン11にはミキサ33で混合された空気およびガスの混合気が導入される。ガスの吸入管34の途中には比例弁35が設けられ、この比例弁35の開度により空燃比が調節される。エンジン11内で混合気は燃焼し、排気管36から排気される。排気管36の途中には酸素濃度センサ37が設けられる。ECU38は酸素濃度センサ37で感知された排気中の酸素濃度に基づいて比例弁35を調整して混合気の空燃比を理論空燃比に制御する。なお、酸素濃度センサ37が活性化するまでの間、エンジン11は無負荷でリーンバーン運転することで有害物質の排出を規定値以下にする。
【0018】
図2,図3はエンジン発電機10起動時の、エンジン発電機制御側(ECU側)およびインバータ制御装置側の動作を示すフローチャートである。メインスイッチ136をオンにした場合、および異常が発生してエンジン11を停止した後に以下の処理が開始される。
【0019】
まず、図2を参照してECU38側の処理を説明する。ステップS1では、前記不揮発性メモリの内容を参照してエンジン11が異常停止中か否かを判断する。異常停止中であったならば、異常停止中の記憶を保持させたままステップS4に進み、LED等でユーザが分かるように異常停止を表示する。エンジン11が異常停止中でなかったらばステップS2に進んで異常停止中である原因がインバータ装置13の異常によるものか否かを判断する。この判断は不揮発性メモリに記憶された異常の内容を参照して行われる。
【0020】
インバータ装置13が異常停止中であればステップS4に進み、インバータ装置13が異常停止中でない場合はステップS3に進む。
【0021】
エンジン11が異常停止中である場合、又はエンジン11の異常による停止中でなくてもインバータ装置13の異常で停止していた場合は、異常停止中の記憶を保持させたままステップS4に進んで異常停止表示をした後、さらにステップS5でユーザによる異常停止解除操作の有無を判別する。そして、異常停止解除操作を待って(ステップS5が肯定)ステップS3に進む。異常停止解除のための操作スイッチ(図示せず)は、ユーザの異常停止解除の意思を明確に認識できるようメインスイッチ136とは別個に設けるのがよい。
【0022】
ステップS3では熱負荷の大きさを検出するコントローラ(図5)から供給される熱要求(ヒートリクエスト)の有無、つまりエンジン11の始動指令の有無を判断する。熱負荷としての貯湯タンクおよびコントローラは後述する。
【0023】
ヒートリクエストがあったならば、ステップS6に進んで、現在エンジン11に異常があるか否かを判断する。異常がなければステップS7に進み、通信部139を付勢してインバータ制御部137にインバータ装置13の状態を問い合わせる。ステップS8ではインバータ装置13からの返答に基づいて現在インバータ装置13に異常があるか否かを判断する。インバータ装置13に異常がなければステップS9に進み、エンジン11を起動する。エンジン11が起動されたことは通信部139からインバータ制御部137に通知される。
【0024】
ステップS10では酸素濃度センサ37が活性化されたか否かが判断され、活性化していると判断されれば、インバータ制御部137に「インバータ起動許可」を送信してインバータを起動させる。酸素濃度センサ37が活性化したかどうかはエンジン始動から予定の時間が経過したこと、または酸素濃度センサ37の環境温度が予定温度に達したこと等から判断できる。
【0025】
次に、図3を参照してインバータ制御部137の処理を説明する。メインスイッチ136をオンにした後、ステップS12では、前記不揮発性メモリの内容により停電を検出しているか否かを判断する。停電が検出されていれば、ステップS13に進み、予定時間(例えば150秒)待機した後、ステップS14に進む。停電が検出されていなければ、ステップS14に進む。
【0026】
ステップS13で予定時間待機することによって次の効果がある。電力会社では停電箇所を特定するために、停電を一時的に復電させることがある。また、一度停電が起こると、復電しても短時間後に再び停電が起こることがある。したがって、メインスイッチ136がオンの状態で停電が起こり、その後瞬時的な復電に対して発電装置が起動してしまうと停電の原因究明に悪影響を及ぼすことがある。これに対して、例えば150秒の待機時間を設けることにより悪影響を回避できる。
【0027】
ステップS14では電力系統に異常がないかを判断する。系統側に異常がなければ、ステップS15でインバータ装置13に現在異常がないかを判断する。インバータ装置13に異常がなければ、ステップS17で発電機12の異常検出を開始する。インバータ装置13に異常があった場合はステップS18で「インバータ異常」を記憶してステップS14に戻る。
【0028】
ステップS14で電力系統異常と判断されたときは、電力系統異常が解除されるまでステップS14の判断を継続する。インバータ装置13の異常を記憶した不揮発性メモリの内容はユーザによる異常解除操作によって(ステップS5肯定時に)クリヤされ、インバータ異常が解除される。また、インバータ装置13の異常の有無は前記ステップS7での問い合わせに応答してECU38側に返答される。
【0029】
ステップS19では整流後の直流電圧Vdc が予定値(例えば380V)以上か否かを判断する。直流電圧Vdc が予定値以上であればステップS20に進み、ステップS1で送信された「インバータ起動許可」により連系リレー135を閉じて系統連系を開始する。
【0030】
ステップS21ではインバータ装置13の出力を増大させる。ステップS22では直流電圧Vdc が予定値(例えば380V)以上に維持されているか否かを判断する。電圧Vdc が予定値以上であればステップS23に進み、出力が定格出力(例えば1KW)に達したか否かを判断する。出力が定格に達していなければステップS21に進んでさらに出力を増大させる。出力が定格に達したならば正常に起動されたと判断され、起動時のインバータ異常判断は終了する。こうして、ステップS21〜S23では徐々に出力を増大させるソフトスタートが実行される。
【0031】
一方、インバータ装置13の出力を増大した結果、定格出力に達していない(ステップS23が否定である)にもかかわらず、直流電圧Vdc が予定値以下に低下したときはステップS22からステップS24に進む。ステップS24では、直流電圧Vdc が予定値に達していないとの判断が予定回数(例えば5回)繰り返されたか否かを判断する。この判断が肯定ならば発電機12の故障と判断され、系統連系を解除しインバータ制御の処理は中止される。また、ステップS24が否定ならば、ステップS25に進んで系統連系を解除する。そして、ステップS26で予定時間(例えば150秒)待機した後、ステップS20に進んで再び系統連系を開始する。なお、ステップS26からステップS20に移行する代わりに、ステップS19に進んでもよい。
【0032】
さらに、ステップS19が否定の場合はステップS27に進み、予定時間(例えば3分)連続して直流電圧Vdc が予定値以下であるか否かを判断する。ステップS27が肯定の場合、またはステップS24が肯定の場合は、発電機12の故障と判断され、ステップS24aに進む。ステップS24aでは発電機12が故障したことをメモリに記憶し、インバータ制御の処理を中止する。
【0033】
次に、起動後のヒートリクエスト・オフ時または異常発生時の処理を説明する。図4はECU38の処理を示すフローチャートである。ステップS30ではヒートリクエストがオフか否かを判断する。ヒートリクエストがオフならばステップS31でエンジン11を停止する。エンジン11を停止した後は、ステップS3(図2)に進んでヒートリクエストがオンになるのを待つ。ヒートリクエストのオフによってエンジン11を停止した場合は、インバータ制御装置13にヒートリクエスト・オフを送信する。
【0034】
ヒートリクエストがオンならばステップS32に進み、エンジン11の異常の有無を判断する。エンジン11が異常であればステップS33に進み、エンジン11を停止させる。エンジン11を停止したならば、ステップS34に進んで「エンジン異常」を不揮発性メモリに記録した後、ステップS1に進む。なお、エンジン11の異常でエンジン11を停止した場合はインバータ制御装置13へエンジン11を停止したことを通知する。
【0035】
エンジン11に異常がない場合はステップS35に進む。ステップS35ではインバータ制御部137との通信によりインバータ装置13から異常受信したか否かを判断する。インバータ装置13から異常受信した場合はステップS36に進んでエンジン11を停止させる。ステップS37では「インバータ装置異常」を不揮発性メモリに記録した後、ステップS1に進む。
【0036】
インバータ装置13の異常を受信していない場合は、ステップS38に進み、インバータ制御部137との通信により系統異常を受信したか否かを判断する。系統異常を受信しなければステップS30に進む。系統異常を受信したならばステップS39に進んでエンジンを停止し、ステップS3に進む。
【0037】
次に、図5を参照してインバータ制御装置13の処理を説明する。ステップS40ではヒートリクエスト・オフをECU38から受信したか否かを判断し、この判断が肯定ならばステップS41で系統連系を解除し、ステップS12(図3)に進む。ヒートリクエスト・オフを受信していない場合は、ステップS42に進んでエンジン11の停止を受信したか否かを判断する。エンジン11の停止を受信した場合は、ステップS43で系統連系を解除し、ステップS12に進む。エンジン11の停止を受信していない場合はステップS44でインバータ装置13の異常有無を判断する。インバータ装置13の異常があればステップS45に進んで系統連系を解除し、ステップS12に進む。
【0038】
インバータ装置13の異常がない場合はステップS46で系統の異常有無を判断する。系統異常がなければステップS47に進んで系統連系中か否かを判断する。系統連系中の場合はステップS40に進む。
【0039】
また、ステップS46で系統異常と判断されれば、ステップS51に進んで系統連系を解除する。ステップS52では停電を検出したか否かを判断する。停電が検出されればステップS53で不揮発性メモリに停電検出したことを記録してステップS54に進む。停電が検出されなかった場合は、ステップS53をスキップしてステップS54に進む。ステップS54では系統異常が予定時間(例えば5分間)連続したか否かを判断する。系統異常が予定時間連続したのでなければステップS47に進む。系統連系中でない場合はステップS48に進んで系統の異常有無を判断する。系統異常があればステップS40に進み、系統異常がなければステップS49に進んで予定時間(例えば150秒)待機してステップS50に進む。ステップS50では系統連系を開始する。系統異常が予定時間連続すればステップS55に進んでエンジン11の停止指令をECU38に送信する。ステップS56では系統異常の有無を判断する。系統異常が解消していれば、ステップS57で予定時間(例えば150秒)待機した後、ステップS12(図3)に進む。
【0040】
次に、上記のエンジン発電機の排熱利用装置を含むコジェネレーションシステムについて説明する。図6のブロック図において、図1と同符号は同一又は同等部分を示す。エンジン11は発電機12の運転に伴って熱を発生し、この熱はエンジン11の熱回収装置16で熱交換により回収される。この熱回収はエンジン11のマフラー等の高温部分全てを対象とすることが好ましい。熱回収装置16を通過する管路18内の冷却水はポンプ19で循環され、この冷却水を媒体として貯湯タンク17に熱量が運搬される。貯湯タンク17には管路18に接続された第1熱交換器20が設けられ、水供給源31からバルブ32を介して貯湯タンク17に供給される水はこの第1熱交換器20から熱を得て温水になる。貯湯タンク17に蓄えられた温水は、第1熱負荷としての給湯器21に供給されて利用・消費される。
【0041】
第1熱交換器20の上方には第2熱交換器22が設けられる。第2熱交換器22に接続された管路23にはセントラルヒーティングシステムや床暖房システム等、第2熱負荷としての暖房装置24が接続されており、貯湯タンク17内の温水を給湯器21に供給する温水経路とは独立した第2の温水経路を構成している。この第2の温水経路によって、貯湯タンク17から2次的に効率よく熱を回収することができる。
【0042】
前記第2の温水経路には追い焚きボイラ25と三方弁26とが設けられている。追い焚きボイラ25には第2の温水経路内で温水を循環させるためのポンプ27が設けられている。三方弁26はバイパス28側または暖房装置24側に温水を循環させるための切り替え手段である。三方弁26を暖房装置24側に切り替えると、貯湯タンク17から出た温水が追い焚きボイラ25および暖房装置24を経て貯湯タンク17に戻る温水経路が形成される。一方、三方弁26をバイパス28側に切り替えると、貯湯タンク17から出た温水が、追い焚きボイラ25を通過した後、暖房装置24を経由せず、バイパス28を経て貯湯タンク17に戻る温水経路が形成される。
【0043】
貯湯タンク17内には温度センサTS1が設けられ、温度センサTS1で検知された温水の温度情報T1はコントローラ29に供給される。温度センサTS1は貯湯タンク17内の、第1熱交換器20の上端近傍から第2熱交換器22の下端近傍までの適当な高さに設置されるのが望ましい。
【0044】
コントローラ29は温度情報T1に基づいてエンジン11の始動および停止の制御を行う。すなわち、温度情報T1は、貯湯タンク17の温水を直接的に利用している給湯器21や、第2熱交換器22を介して間接的に温水を利用している暖房装置24等の熱需要を代表しているので、コントローラ29は、この温度情報T1が基準温度Tref-1 以下であれば熱需要が大きいと判断してヒートリクエストをECU38に出力してエンジン11を駆動して熱量を発生させる。また、温度情報T1が基準温度Tref-1 以上になれば、貯湯タンク17内には十分な熱量が蓄えられたと判断してヒートリクエストをオフにし、エンジン11を停止させる。
【0045】
基準温度Tref-1 は熱負荷の種類や大きさ(つまり給湯器21や暖房装置24の種類や大きさ)、エンジン発電機10の熱出力、および貯湯タンク17の容量等に基づいて決定される。基準温度Tref-1 はエンジン11の安定運転のため、つまり頻繁な起動・停止を回避するためのヒステリシスを有している。
【0046】
エンジン11は、前記温度情報T1に基づいて駆動する場合、発電機12が一定の発電電力を出力するように運転してもよいし、電力負荷15の大きさに応じた発電電力を出力するように、電力負荷追随型で運転してもよい。一定発電出力型においては、駆動源であるエンジン11は、その回転数がほぼ一定となる定格運転にすることができるので、燃料消費量が少なくかつ排気ガスの状態も良好な、高い効率の運転が可能である。ここで、大きい電力需要が生じて発電機12による発電電力に不足が生じた場合は、商用電源14からの電力で不足分をまかなうことができる。
【0047】
貯湯タンク17内の水温は温水消費量つまり熱需要の大きさや、エンジン発電機10の運転方法つまり一定発電出力型であるか電力負荷追随型であるかによって大きく左右される。例えば、温水消費量が少ない場合は、温度センサTS1で検出された水温に基づいてエンジン発電機10を運転すれば水温は80°C程度に維持できる。しかし、給湯器21および暖房装置24の双方で熱需要が発生した場合のように温水が急激に大量に使用された場合や、システムの立上げ時には、貯湯タンク17内の温水の温度は低下し、給水される水の温度程度にしかならないことがある。
【0048】
追い焚きボイラ25は、貯湯タンク17内の水温をエンジン発電機10からの回収熱のみでは基準温度に維持できないときに、有効に機能する。温水コントローラ30は、貯湯タンク17内の水温T1が、前記基準温度Tref-1 よりも低く設定された下方基準温度Tref-L を下回った場合に追い焚き指令Bおよび切替え指令Cをともにオンにする。追い焚き指令Bがオンのときは追い焚きボイラ25が駆動され、切替え指令Cがオンのときは三方弁26はバイパス28側に切り替えられる。これにより、追い焚きボイラ25で加熱された温水が管路23を循環し、この加熱された温水は第2熱交換器22を通じて貯湯タンク17内の水の温度を上昇させる。
【0049】
なお、温度センサTS1より上方に第2の温度センサTS2を設け、前記温度情報T1が基準温度Tref-1 以下になった場合、または温度センサTS2で検出された温度情報T2が基準温度Tref-2 (>Tref-1 )以下になった場合に、コントローラ29がECU38にヒートリクエストを出力してもよい。
【0050】
エンジン発電機10は、温度センサTS1による温度情報T1が、基準温度Tref-1 より高く設定した基準温度Tref-3 (例えば70°C)以上になった場合に停止させる。温度センサTS1による温度情報T1が基準温度Tref-3 に達していれば貯湯タンク17内に貯溜された熱量は十分と判断できるからである。
【0051】
なお、上記貯湯タンク17内の水温で代表される熱負荷の大きさに基づくエンジン発電機10の始動・停止の制御例は、本出願人の出願に係る特願平11−106296号の明細書にさらに詳しく説明されている。
【0052】
図7は本発明の要部機能を示すブロック図である。同図において、直流電圧検出部39は、コンバータ131による整流後の直流電圧Vdc を検出する。第1異常監視部40は、発電機異常検出指令に応答して直流電圧Vdc の監視を始め、直流電圧Vdc が予定時間(例えば3分)以内にしきい値電圧Vdcth (例えば380V)以上になったときは連系開始信号を出力する。直流電圧Vdc が予定時間以内にしきい値電圧Vdcth 以上にならない場合は、発電機故障信号を出力する。
【0053】
前記連系開始信号に応答して連系リレー135がオンになるとともに、出力増大部41が付勢されてインバータ装置13の出力を徐々に増大させる。さらに、インバータ出力検出部42は連系開始信号に応答してインバータ装置13の出力の検出を開始する。
【0054】
第2異常監視部43は連系開始信号に応答して直流電圧検出部40およびインバータ出力検出部42の出力を監視し、直流電圧Vdc がしきい値電圧Vdcth 以上に保持された状態でインバータ出力が定格出力(例えば1kw)に達したならば発電機正常信号を出力する。
【0055】
一方、連系開始信号が出力された後、インバータ出力が定格出力に達するまでに直流電圧Vdc がしきい値電圧Vdcth 以下に下がった場合は、連系リレー135をオフにするため、予定時間Tの間異常信号を出力する。時間Tは連系を解列して無負荷になることによって直流電圧Vdc がしきい値Vdcth に復帰するのに要する時間であり、例えば3相巻線の1線が断線した状態で直流電圧Vdc が復帰すると予想される時間である。異常信号は反転されてゲート44に入力され、連系リレー135がオフになる。さらに、異常信号はカウンタ45に入力され、異常信号の立上がりでカウンタ値をインクリメントする。
【0056】
異常信号が予定時間T後に立ち下がると連系リレー135は再びオンになり、第2異常監視部43は、直流電圧検出部40およびインバータ出力検出部42の出力の基づいて上述と同様の動作を繰り返す。そして、カウンタ45のカウンタ値が設定値になった場合は、発電機故障信号としてのカウントアップ信号を出力する。カウンタ45のカウントアップまでに、直流電圧Vdc がしきい値電圧Vdcth 以上に保持された状態でインバータ出力が定格出力に達することができれば発電機正常信号を出力する。
【0057】
なお、カウンタ45を設けるのは、故障検出の精度を上げるためであり、これを省略して、負荷を繋いだ結果、1回でも直流電圧がしきい値以下になったならば直ちに故障と判断するようにしてもよい。また、発電機12の故障検出はECU38に送信され、エンジン11が停止される。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜請求項3の発明によれば、発電機の巻線の1線が断線するなどの故障があれば、系統連系の開始により整流後の直流電圧が低下する。この場合の、直流電圧が低下は連系の解列により回復する。そこで、一旦解列し、再び連系を再開することによって直流電圧の低下が検出されれば発電機の故障と判断できる。これにより、発電機の3相巻線のそれぞれについて出力電圧値を常時監視することなく、簡単に故障を検出することができる。
【0059】
また、請求項2の発明によれば、暖気完了後に大きい負荷が急激に投入されるのを防止でき、系統連系開始時に系統側へ及ぼす影響を軽減できる。そして、その結果として急激な負荷の投入により変動し易い整流後の直流電圧を安定に維持することができ、この変動に起因する誤判断を防止することができる。さらに、請求項3の発明によれば、故障時の症状の繰り返しを確認することで、故障診断について精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るエンジン発電装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 起動時のECUの動作を示すフローチャートである。
【図3】 起動時のインバータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】 異常発生時のECUの動作を示すフローチャートである。
【図5】 異常発生時のインバータ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】 本発明の一実施形態に係るコジェネレーション装置の構成を示すブロック図である。
【図7】 エンジン発電装置の要部機能を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…エンジン発電機、 11…エンジン、 12…発電機、 13…インバータ装置、 14…商用電力系統、 17…貯湯タンク、 20…第1熱交換器、21…給湯器、 35…比例弁、 37…酸素濃度センサ、 38…ECU、39…直流電圧検出部、 40…第1異常監視部、 41…出力増大部、 42…インバータ出力検出部、 43…第2異常監視部、 45…カウンタ、 131…コンバータ、 133…インバータ回路、 135…連系リレー、 137…インバータ制御部、 138…系統保護部、 139…通信部
Claims (3)
- エンジンで駆動される多相出力巻線を有する発電機の発電出力を、整流後にインバータで系統周波数の交流に変換して系統電源に連系するエンジン発電装置において、
前記エンジンを始動させ、前記整流後の直流電圧が予定値まで上昇した状態で系統電源との連系を開始し、インバータの出力を上昇させる手段と、
連系開始後に前記整流後の直流電圧が予定値以下に低下したとき連系を解列し、前記整流後の直流電圧が予定値に復帰したときに連系を再開する手段と、
連系の再開によって前記整流後の直流電圧が予定値以下に低下した場合に発電機が故障したと判断する故障検出手段とを具備したことを特徴とするエンジン発電装置。 - 前記系統電源との連系開始時には前記インバータの出力を徐々に増大させるよう構成したことを特徴とする請求項1記載のエンジン発電装置。
- 前記系統の連系および解列を繰り返し、そのつど前記整流後の直流電圧が予定値以下に低下することが検出されたときに、前記故障検出手段では発電機が故障したと判断するよう構成したことを特徴とする請求項1または請求項2記載のエンジン発電装置。
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