JP5462554B2 - エンジン発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンにより駆動される発電機と、前記発電機の発電出力を商用電力系統に系統連系するインバータとを備えたエンジン発電装置に関する。
従来のエンジン発電装置では、例えば、3相出力巻線を有する発電機をエンジンにより駆動し、発電機から出力された交流電力を直流電力に変換するコンバータを備え、インバータが、コンバータからの直流電力を商用電力系統の周波数及び電圧と合致する交流電力に変換することにより、発電機の発電出力を商用電力系統に系統連系している(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の装置では、発電機が故障しているか否かを監視することが求められていることから、インバータに入力されるコンバータからの直流電圧を監視しておき、その直流電圧が予定値以下に低下すると、発電機の故障と判定している。
特許第3676660号公報
上記特許文献1に記載の装置では、発電機が故障しているとインバータに入力される直流電圧が低下することを利用して、インバータの直流電圧が予定値以下に低下することにより発電機の故障と判定している。しかしながら、インバータの直流電圧が低下する要因としては、発電機の故障だけでなく、エンジンに一時的な失火が生じたときにもインバータの直流電圧が低下することになる。よって、上記特許文献1に記載の装置では、エンジンに一時的な失火が生じているときにも発電機の故障と判定してしまう可能性がある。
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、発電機の故障が発生している状態とエンジンに一時的な失火が発生している状態とを的確に区別して判定することができるエンジン発電装置を提供する点にある。
この目的を達成するために、本発明に係るエンジン発電装置の特徴構成は、エンジンにより駆動される発電機と、前記発電機の発電出力を商用電力系統に系統連系するインバータとを備えたエンジン発電装置において、
前記発電機の発電出力を示す発電電力値が電圧低下基準値以下であり且つ前記エンジンの回転速度の低下側への変化を示す回転速度の低下側変化値が回転速度の変化基準値としての失火発生基準値より大きい場合には、前記エンジンの失火が発生している失火発生状態であると判定し、前記発電電力値が前記電圧低下基準値以下であり且つ前記低下側変化値が前記失火発生基準値以下である場合には、前記発電機の故障が発生している発電機故障発生状態であると判定する失火・発電機故障判定手段を備え
前記エンジンの回転速度又はその回転速度の変化を示す回転速度値が低回転基準値以下であると、前記エンジンの回転速度が異常に低下している低回転異常状態と判定する低回転異常判定手段を備え、
前記失火・発電機故障判定手段は、前記低下側変化値として、第1演算時間の間における前記エンジンの回転速度の低下側への変化を示す値を求めており、前記低回転異常判定手段は、前記回転速度値として、第2演算時間の間における前記エンジンの回転速度の変化を示す値を求めており、前記第1演算時間が前記第2演算時間よりも短い時間に設定されている点にある。
また、本発明に係るエンジン発電装置の更なる特徴構成は、前記失火・発電機故障判定手段は、前記失火発生状態と前記発電機故障発生状態とを区別して判定する点にある。
エンジンの失火が発生すると、発電電力値が低下するとともに、エンジンの回転速度も低下側に変化することになる。一方、発電機の故障が発生すると、発電電力値が低下するが、エンジンの回転速度が低下側に変化しない。そこで、本特徴構成によれば、失火・発電機故障判定手段が、単に、発電機の発電出力を示す発電電力値を用いるのではなく、発電電力値に加えて、エンジンの回転速度の低下側への変化を示す回転速度の低下側変化値を用いて、発電電力値が電圧低下基準値以下であり且つ低下側変化値が失火発生基準値より大きいと、エンジンの回転速度が実際に低下しているとして、失火発生状態であると判定し、発電電力値が電圧低下基準値以下であり且つ低下側変化値が失火発生基準値以下であると、エンジンの回転速度が低下していないとして、発電機故障発生状態であると判定する。したがって、発電電力値と電圧低下基準値との大小の比較だけでなく、低下側変化値と失火発生基準値との大小の比較を行うことによって、エンジンの回転速度が実際に低下しているか否かを判別して、失火発生状態であるか発電機故障発生状態であるかを的確に区別して判定することができる。しかも、エンジンの失火は瞬時に発生するものであるが、回転速度の低下側変化値は、エンジンの回転速度の低下側への変化を示すものであるので、低下側変化値は失火の発生が的確に反映された値となる。よって、低下側変化値と失火発生基準値との大小を比較することで、失火発生状態の判定を精度よく行うことができる。
以上のことから、エンジンに一時的な失火が生じたときには、失火発生状態であると精度よく判定することができながら、発電機の故障が発生しているときには、発電機故障発生状態であると判定することができ、発電機の故障が発生している状態とエンジンに一時的な失火が発生している状態とを的確に区別して判定することができ、エンジンに一時的な失火が生じているときに発電機の故障との誤判定を行うことのないエンジン発電装置を実現できる。
本特徴構成によれば、低回転異常判定手段が、エンジンの回転速度又はその回転速度の変化を示す回転速度値が低回転基準値以下であると、低回転異常状態と判定するので、エンジンの故障が発生している状態を判定することができる。そして、この低回転異常判定手段による低回転異常状態の判定を行った上で、さらに、上述の如く、失火・発電機故障判定手段による失火発生状態及び発電機故障発生状態の判定を行うことで、失火も含めてエンジンの故障を的確に判定することができながら、その失火も含めたエンジンの故障と発電機の故障とを的確に区別して判定することができる。
本特徴構成によれば、低下側変化値も回転速度値も、エンジンの回転速度の変化についての値であるが、第1演算時間が第2演算時間よりも短い時間に設定されているので、低下側変化値の方が回転速度値よりも短時間で繰り返し求めることができる。これにより、失火・発電機故障判定手段の判定を低回転異常判定手段の判定よりも短時間で繰り返し行うことができる。したがって、基本的には低回転異常判定手段の判定によりエンジンの故障を判定できながら、瞬時に発生する失火によるエンジンの故障については失火・発電機故障判定手段の判定により的確に判定することができ、エンジンの故障をより精度よく判定することができる。
本発明に係るエンジン発電装置の更なる特徴構成は、前記失火・発電機故障判定手段は、前記発電電力値として、前記第1演算時間の間における前記発電機の発電出力の変化を示す値を求めている点にある。
本特徴構成によれば、失火・発電機故障判定手段は、低下側変化値だけでなく、発電電力値も、第1演算時間の間における値を求めているので、同一タイミングにおける低下側変化値及び発電電力値を用いて、失火発生状態及び発電機故障発生状態の判定を行うことができる。よって、失火発生状態と発電機故障発生状態との区別をより一層精度よく行うことができる。
本発明に係るエンジン発電装置の更なる特徴構成は、前記エンジンの回転速度を目標回転速度に調整する回転速度調整手段が備えられ、前記失火発生基準値及び前記低回転基準値が前記エンジンの目標回転速度に応じた値に変更設定自在に構成されている点にある。
本特徴構成によれば、回転速度調整手段が、目標回転速度にエンジンの回転速度を調整するので、目標回転速度を変更設定することによりエンジンの回転速度を変更させることができ、そのエンジンの回転速度の変更に伴って発電機の発電出力を変更することができる。よって、例えば、電力負荷での要求電力量に応じて発電機の発電出力を変更させることもでき、必要に応じて発電機の発電出力を変更させることができる。そして、失火発生基準値及び低回転基準値がエンジンの目標回転速度に応じた値に変更設定されるので、変更される目標回転速度に適切に対応した状態で、失火発生状態と発電機故障発生状態とを判定することができる。
コージェネレーションシステムの概略構成を示す図 低下側変化値、発電電力値、及び、回転速度値の求め方を説明するための運転制御部のブロック図 失火発生状態及び発電機故障発生状態を判定する動作を示すフローチャート 低回転異常状態を判定する動作を示すフローチャート
本発明に係るエンジン発電装置を適応させたコージェネレーションシステムの実施形態について図面に基づいて説明する。
このコージェネレーションシステムは、図1に示すように、エンジン1によって発電機2を駆動するように構成された本発明に係るエンジン発電装置3と、エンジン1にて発生する排熱を回収して貯湯タンク4への貯湯および熱消費端末5への熱媒供給を行う排熱回収部6と、このコージェネレーションシステムの運転を制御する運転制御部7等を備えている。
エンジン発電装置3は、エンジン1の出力軸に連結されてエンジン1の駆動により交流電力を発電する発電機2(永久磁石式20極三相交流発電機)と、発電機2から出力された交流電力を直流電力に変換するコンバータ8と、コンバータ8から出力された直流電力を交流電力に変換するインバータ9とを備えている。商用電力系統10は、電力供給ライン11を介して、テレビ、冷蔵庫、洗濯機等の電力負荷12に電気的に接続されている。インバータ9は、コンバータ8からの直流電力を商用電力系統10の周波数及び電圧と合致する交流電力に変換することにより、発電機2の発電出力を商用電力系統10に系統連系している。
インバータ9は、コージェネ用電力供給ライン13を介して電力供給ライン11に電気的に接続されており、発電機2からの発電電力が電力負荷12に供給自在に構成されている。電力供給ライン11には、図示は省略するが、電力負荷12の負荷電力を計測する電力負荷計測手段が設けられ、この電力負荷計測手段は、電力供給ライン11を通して流れる電流に逆潮流が発生するか否かをも検出するように構成されている。そして、逆潮流が生じないように、インバータ9により発電機2から電力供給ライン11に供給される電力が制御され、発電電力の余剰電力は、その余剰電力を熱に変換自在な電気ヒータHに供給されるように構成されている。
電気ヒータHは、冷却水回路14を通流するエンジン冷却水を加熱自在に設けられている。冷却水回路14は、冷却水ポンプ15の作動によりエンジン1と排熱回収用熱交換器16との間でエンジン冷却水を循環させている。電気ヒータHは、余剰電力の大きさが大きくなるほど消費電力を大きくしてエンジン冷却水の加熱量が大きくなるように、余剰電力の大きさに応じてエンジン冷却水の加熱量を調整自在に構成されている。
エンジン1の運転は、運転制御部7により制御されている。エンジン1は、図示は省略するが、通常の4サイクルエンジンと同様の構成を有しており、燃料ガス(例えば天然ガス)と空気の混合気を燃焼室に吸気したのち、燃焼室において混合気を圧縮し、その後、燃焼室において混合気を点火して燃焼膨張させ、燃焼により発生した排ガスを排気路に排気させる。そして、エンジン1のピストンは連結棒に揺動自在に連結されており、ピストンの往復動は連結棒によってクランク軸の回転運動に変換されている。エンジン1には、クランク軸の角度を検出することでエンジン回転速度を検出可能な回転センサ17が備えられており、回転センサ17は、クランク軸が1回転すると1パルス出力するように構成されている。
排熱回収部6は、温度成層を形成する状態で湯水を貯湯する貯湯タンク4、湯水通流路18を通して貯湯タンク4内の湯水等を循環させる湯水循環ポンプ19、湯水通流路18を通流する湯水を加熱させる排熱回収用熱交換器16、ファン20を作動させた状態でのバーナ21の燃焼により湯水通流路18を通流する湯水を加熱させる補助加熱用熱交換器22等を備えている。湯水通流路18と貯湯タンク4の下部と連通する取り出し路23、及び、湯水通流路18と貯湯タンク4の上部と連通する貯湯路24が設けられ、貯湯路24には、貯湯弁25が設けられている。また、貯湯路24は、貯湯タンク4の上部から取り出した湯水や補助加熱用熱交換器22を通過した湯水を給湯栓等に供給して給湯できるように構成されている。
湯水循環ポンプ19の作動により、取り出し路23により貯湯タンク4の下部から取り出した湯水を湯水通流路18により排熱回収用熱交換器16に供給される。排熱回収用熱交換器16においては、エンジン1の排熱を有する冷却水回路14のエンジン冷却水と湯水通流路18の湯水とを熱交換させて、エンジン冷却水にて湯水を加熱させるように構成されている。そして、貯湯弁25を開弁させることで、排熱回収用熱交換器16を通過した湯水を貯湯タンク4の上部に戻すことができ、エンジン1の排熱により貯湯タンク4に高温の湯水を貯湯することができるように構成されている。
湯水通流路18に連なる熱消費用通流路26には、湯水の通流を断続する断続弁27、熱媒加熱用熱交換器28が設けられている。熱媒循環路29を通して熱媒を熱媒加熱用熱交換器28と熱消費端末5との間で循環させる熱媒循環ポンプ30が設けられている。これにより、熱媒加熱用熱交換器28においては、排熱回収用熱交換器16や補助加熱用熱交換器22にて加熱された湯水を通流させることにより、熱媒循環路29を通流する熱媒を加熱させるように構成されている。熱消費端末5は、床暖房装置や浴室暖房装置等の暖房端末にて構成されている。
運転制御部7は、所定のコンピュータプログラムを実行することによりエンジン1の運転等を制御するように構成されている。例えば、電力負荷12での要求電力量及び熱消費端末5や給湯での要求熱量について、運転制御部7は、過去の要求電力量及び過去の要求熱量に基づいて、将来の要求電力量及び要求熱量を予測自在に構成されている。そして、運転制御部7は、電力負荷12での要求電力量又は熱消費端末5や給湯での要求熱量を賄うために、予測した将来の要求電力量又は要求熱量に応じてエンジン1の運転を制御するように構成されている。運転制御部7は、エンジン1を運転させるときに、冷却水ポンプ15及び湯水循環ポンプ19を作動させて、エンジン1の排熱を湯水通流路18の湯水にて回収して貯湯タンク4に貯湯するように構成されている。
上述の如く、運転制御部7は、電力負荷12での要求電力量又は熱消費端末5や給湯での要求熱量を賄うために、予測した将来の要求電力量又は要求熱量に応じてエンジン1の運転を制御するが、例えば、熱消費端末5や給湯での要求熱量を賄うために、予測した将来の要求熱量に応じてエンジン1の運転を制御する所謂熱主運転を行う場合等に、発電機2の発電電力の電力負荷12に対する余剰分である余剰電力が発生する。このとき、余剰電力は、インバータ9により電気ヒータHに供給される。これにより、電気ヒータHは、余剰電力により冷却水回路14のエンジン冷却水を加熱することになり、エンジン1の排熱に回収することに加えて、余剰電力を熱に変換してその変換した熱をも回収自在に構成されている。
本発明に係るエンジン発電装置3では、図2に示すように、発電機2の故障が発生している状態とエンジン1の失火が発生している状態とを区別して判定するために、失火・発電機故障判定部31、及び、各種の演算を行う演算部33が運転制御部7に備えられている。本発明に係るエンジン発電装置3では、運転制御部7が、定格の回転速度(例えば1200rpm)にてエンジン1を運転させており、この定格の回転速度でのエンジン1の駆動により発電機2からの発電電力を出力するように構成されている。
運転制御部7は、第1演算周期(例えば0.5ms(2kHz))が経過するごとに発電機1からの交流電圧V2を計測しており、その計測された交流電圧V2が演算部33に入力されている。演算部33は、入力された交流電圧V2の周波数からエンジン1の回転速度を求めている。例えば発電機2が永久磁石式20極三相交流発電機の場合、交流電圧V2の周波数が200Hzであれば、エンジン1の回転速度を1200rpmと求めている。そして、演算部33は、第1演算時間(例えば100ms)の間におけるエンジン1の回転速度の移動平均値を求め、前回求めた移動平均値と今回求めた移動平均値との差を回転速度の低下側変化値N1として失火・発電機故障判定部31に出力している。回転速度の低下側変化値N1は、エンジン1の回転速度の低下側への変化を示すものであり、第1演算時間の間におけるエンジン1の回転速度の移動平均値の差としている。移動平均値の求め方については、現時点から第1演算時間(例えば100ms)前の間において第1演算周期(例えば0.5ms)ごとに求められたエンジン1の回転速度の平均値としており、第1演算周期(例えば0.5ms)が経過して次のエンジン1の回転速度が求められるごとに次の移動平均値を求めている。
運転制御部7は、第1演算周期(例えば0.5ms(2kHz))が経過するごとにコンバータ8からインバータ9に入力される直流電圧V3を計測しており、その計測された直流電圧V3を演算部33に入力している。演算部33は、第1演算時間(例えば100ms)の間における直流電圧V3の移動平均値を求め、その求めた移動平均値を発電電力値V1として失火・発電機故障判定部31に出力している。発電電力値V1は、発電機2の発電出力を示すものであり、第1演算時間の間における直流電圧V3の移動平均値としている。移動平均値の求め方については、上述のエンジン1の回転速度の移動平均値と同様にして求めている。
これにより、失火・発電機故障判定部31には、演算部33にて演算された低下側変化値N1(第1演算時間の間におけるエンジン1の回転速度の移動平均値の差)及び発電電力値V1(第1演算時間の間における直流電圧V3の移動平均値)が入力される。失火・発電機故障判定部31は、発電電力値V1が電圧低下基準値Va以下であり且つ低下側変化値N1が失火発生基準値Naより大きい場合には、エンジン1の失火が発生している失火発生状態であると判定する。また、失火・発電機故障判定部31は、発電電力値V1が電圧低下基準値Va以下であり且つ低下側変化値N1が失火発生基準値Na以下である場合には、発電機1が故障している発電機故障発生状態であると判定する。よって、失火・発電機故障判定手段が、失火・発電機故障判定部31及び演算部33から構成されている。ここで、電圧低下基準値Vaについては、例えば300Vとしており、AC200Vの出力が不能になる値に設定することができる。失火発生基準値Naは、エンジン1の回転速度の変化基準値であり、例えばエンジン1の目標回転速度×0.1としている。このエンジン1は定格の回転速度(例えば1200rpm)を目標回転速度としているので、失火発生基準値Naを120rpmと設定している。
以下、失火発生状態及び発電機故障発生状態の判定について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
運転制御部7は、エンジン1の運転を開始したのち発電機2による発電を開始してその発電機2による発電を継続させる(ステップ#1,2)。そして、失火・発電機故障判定部31は、演算部33にて演算された発電電力値V1が入力されて、発電電力値V1が電圧低下基準値Va以下であると、演算部33にて演算された低下側変化値N1が失火発生基準値Naよりも大きいか否かを判別する(ステップ#3,4)。失火・発電機故障判定部31は、低下側変化値N1が失火発生基準値Naよりも大きいと、失火発生状態であると判定し、その失火発生状態との判定を設定時間(例えば30分)に設定回数(例えば5回)以上行っていると、エンジン1の失火故障であるとして、エンジン1の運転を停止させる(ステップ#5〜#8)。失火・発電機故障判定部31は、ステップ#4において、低下側変化値N1が失火発生基準値Na以下であると、発電機故障発生状態であると判定し、その発電機故障発生状態との判定を設定時間(例えば1秒)以上継続していると、発電機2の故障であるとして、エンジン1の運転を停止させる(ステップ#9〜#11、ステップ#8)。そして、失火、発電機故障判定部31は、演算部33にて演算された発電電力値V1及び低下側変化値N1が入力される毎に、ステップ#3,4等の動作を繰り返し行っている。
このようにして、演算部33が、第1演算時間(例えば100ms)における回転速度の低下側変化値N1及び発電電力値V1を求めており、失火・発電機故障判定部31は、回転速度の低下側変化値N1及び発電電力値V1に基づいて、失火発生状態と発電機故障発生状態とを区別して判定することができる。また、失火・発電機故障判定部31は、第1演算周期(例えば0.5ms)が経過する毎に演算部33から低下側変化値N1及び発電電力値V1が出力されるので、失火発生状態と発電機故障発生状態との判定を短時間で繰り返し行うことができる。よって、本発明では、失火発生状態と発電機故障発生状態との判定を迅速に且つ的確に行うことができる。また、回転速度の低下側変化値N1を求めるときのエンジン1の回転速度については、回転センサ17の出力情報を用いるのではなく、発電機1からの交流電圧V2の周波数から求めることで、瞬時に発生する失火の失火発生状態を精度よく判定することができる。さらに、低下側変化値N1及び発電電力値V1の双方が第1演算時間における値であるので、同一タイミングにおける低下側変化値N1及び発電電力値V1を用いて判定することができ、失火発生状態と発電機故障発生状態との区別をより精度よく行うことができる。
図2に示すように、運転制御部7には、失火・発電機故障判定部31に加えて、エンジン1の回転速度が異常に低下している低回転異常状態を判定する低回転異常判定部32が備えられている。
運転制御部7は、回転センサ17の出力情報P(クランク軸が1回転するごとに1パルス出力)を計測しており、その計測された回転センサ17の出力情報Pを演算部33に入力している。演算部33は、第2演算時間(例えば500ms)の間におけるエンジン1の回転速度の回転速度の移動平均値を求め、その求めた移動平均値を回転速度値N2として低回転異常判定部32に出力している。回転速度値N2は、エンジン1の回転速度を示すものであり、第2演算時間の間におけるエンジン1の回転速度の移動平均値としている。低回転異常判定部32は、演算部33から入力された回転速度値N2が低回転基準値Nb以下であると、エンジン1の回転速度が異常に低下している低回転異常状態と判定する。よって、低回転異常判定手段が、低回転異常判定部32及び演算部33から構成されている。低回転基準値Nbについては、例えばエンジン1の目標回転速度×0.8としており、このエンジン1は定格の回転速度(例えば1200rpm)を目標回転速度としているので、低回転基準値Nbを960rpmと設定している。
以下、低回転異常状態の判定について、図4のフローチャートに基づいて説明する。
運転制御部7は、エンジン1の運転を開始したのち回転センサ17の出力情報に基づいてエンジン1の回転速度を監視している。そして、低回転異常判定部32は、演算部33にて演算された回転速度値N2が入力されて、回転速度値N2が低回転基準値Nb以下であると、低回転異常状態であると判定して、エンジン1の運転を停止させる(ステップ#12〜14)。運転制御部7は、回転速度値N2が低回転基準値Nbよりも大きいと、エンジン1の運転を継続させる(ステップ#15)。
図3のフローチャートにて示した動作と図4のフローチャートにて示した動作とは併行して行われており、失火・発電機故障判定部31が、第1演算時間(例えば100ms)において求められた低下側変化値N1及び発電電力値V1に基づいて、失火発生状態と発電機故障発生状態とを区別して判定するとともに、低回転異常判定部32が、第2演算時間(例えば500ms)における回転速度値N2に基づいて、低回転異常状態を判定している。第1演算時間は、第2演算時間よりも短い時間が設定されており、失火発生状態と発電機故障発生状態との判定が、低回転異常状態の判定よりも短時間で繰り返し行われる。ここで、例えばエンジン1の回転速度が1200rpmである場合、低下側変化値N1及び発電電力値V1を求める際の第1演算時間である100msは1サイクルに相当することになり、回転速度値N2を求める際の第2演算時間である500msは5サイクルに相当することになる。
したがって、本発明では、エンジン系統での故障によりエンジン1の回転速度が低下している低回転異常状態を低回転異常判定部32にて判定することで、基本的にエンジン系統の故障を判定した上で、さらに、低回転異常状態を判定するよりも短い時間にて失火・発電機故障判定部31が失火発生状態と発電機故障発生状態とを区別して判定することで、瞬時に発生する失火のエンジン系統の故障が発生しているときに、発電機等の電気系統の故障であると誤って判定することなく、エンジン系統の故障か発電機等の電気系統の故障かを的確に区別して判定することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第1演算時間の間におけるエンジン1の回転速度の移動平均値を求めた上で前回求めた移動平均値から今回求めた移動平均値を引いた移動平均値の差を、低下側変化値N1としているが、例えば、単位時間当たりのエンジン1の回転速度の低下側への変化率を低下側変化値N1とすることもでき、この場合、単位時間を第1演算時間とすることができる。
(2)上記実施形態では、発電電力値V1を求めるに当たり、インバータ9に入力される直流電圧V3を用いているが、例えば、発電機2から出力される交流電圧V2を用いて発電電力値V1を求めることもできる。
(3)上記実施形態では、第2演算時間(例えば500ms)の間におけるエンジン1の回転速度の回転速度の移動平均値を、回転速度値N2としているが、単位時間当たりのエンジン1の平均回転速度を回転速度値N2とすることもでき、この場合、単位時間を第2演算時間とすることができる。また、単に、エンジン1の回転速度を回転速度値N2とすることもできる。
(4)上記実施形態では、エンジン1を定格の回転速度(例えば1200rpm)にて運転させるようにしているが、例えば、運転制御部7が、電力負荷12での要求電力量の大きさに応じて、その要求電力量が大きくなるほど目標回転速度として高い回転速度を設定し、その設定した目標回転速度になるようにエンジン1の回転速度を制御することもできる。このように、運転制御部7がエンジン1の回転速度を制御することで、運転制御部7が回転速度調整手段に相当する。この場合、運転制御部7が、失火発生基準値Na及び低回転基準値Nbをエンジン1の目標回転速度に応じた値に変更設定している。ここで、失火発生基準値Naについては、上述の如く、例えばエンジン1の目標回転速度×0.1と設定することができ、低回転基準値Nbについても、上述の如く、エンジン1の目標回転速度×0.8と設定することができる。
本発明は、エンジンにより駆動される発電機と、前記発電機の発電出力を商用電力系統に系統連系するインバータとを備え、発電機の故障が発生している状態とエンジンに一時的な失火が発生している状態とを的確に区別して判定することができる各種のエンジン発電装置に適応可能である。
1 エンジン
2 発電機
3 エンジン発電装置
9 インバータ
10 商用電力系統
31 失火・発電機故障判定部(失火・発電機故障判定手段)
32 低回転異常判定部(低回転異常判定手段)
33 演算部(失火・発電機故障判定手段及び低回転異常判定手段)
N1 回転速度の低下側変化値
N2 回転速度値
Na 失火発生基準値
Nb 低回転基準値
V1 発電電力値
Va 電圧低下基準値

Claims (4)

  1. エンジンにより駆動される発電機と、前記発電機の発電出力を商用電力系統に系統連系するインバータとを備えたエンジン発電装置において、
    前記発電機の発電出力を示す発電電力値が電圧低下基準値以下であり且つ前記エンジンの回転速度の低下側への変化を示す回転速度の低下側変化値が回転速度の変化基準値としての失火発生基準値より大きい場合には、前記エンジンの失火が発生している失火発生状態であると判定し、前記発電電力値が前記電圧低下基準値以下であり且つ前記低下側変化値が前記失火発生基準値以下である場合には、前記発電機の故障が発生している発電機故障発生状態であると判定する失火・発電機故障判定手段を備え
    前記エンジンの回転速度又はその回転速度の変化を示す回転速度値が低回転基準値以下であると、前記エンジンの回転速度が異常に低下している低回転異常状態と判定する低回転異常判定手段を備え、
    前記失火・発電機故障判定手段は、前記低下側変化値として、第1演算時間の間における前記エンジンの回転速度の低下側への変化を示す値を求めており、前記低回転異常判定手段は、前記回転速度値として、第2演算時間の間における前記エンジンの回転速度の変化を示す値を求めており、前記第1演算時間が前記第2演算時間よりも短い時間に設定されているエンジン発電装置。
  2. 前記失火・発電機故障判定手段は、前記失火発生状態と前記発電機故障発生状態とを区別して判定する請求項1に記載のエンジン発電装置。
  3. 前記失火・発電機故障判定手段は、前記発電電力値として、前記第1演算時間の間における前記発電機の発電出力の変化を示す値を求めている請求項1又は2に記載のエンジン発電装置。
  4. 前記エンジンの回転速度を目標回転速度に調整する回転速度調整手段が備えられ、前記失火発生基準値及び前記低回転基準値が前記エンジンの目標回転速度に応じた値に変更設定自在に構成されている請求項の何れか1項に記載のエンジン発電装置。
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