JP3843408B2 - エンジン発電設備制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン回転数指令の変更頻度をなるべく少なくして長寿命化と燃費の改善を図るエンジン発電設備制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境保護の必要性が喧伝され、自家発電設備としてのエンジン発電装置やコジェネレーション装置などの分散型電源装置が注目されている。これらの発電設備装置においては、電気負荷の増大を検出し、この電気負荷に応じてエンジン回転数の制御を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の装置においては、一般的に負荷に対するエンジン発電機からの出力が不足しているかどうかはエンジン発電機の負荷電流値に基づいて判断しているため、この負荷電流を検出するための専用の電流検出センサを必要としていた。また、電気負荷の変動に応じてエンジンの回転数などの運転状態を頻繁に変更するため、運転効率を高く維持することや、NOxガス排出量等の削減等が容易ではないという問題があった。さらに内燃エンジンは一般に制御に対する応答遅れを有するため、運転状態の頻繁な変更は、オーバーシュートやハンチングの原因となり、その対策が必要であるという問題があった。またエンジン回転数の変動は雑音や低周波振動発生の原因にもなり、エンジンの寿命を短くする要因にもなる。
【0004】
本発明の目的は、簡便な手段で負荷変動を検出できるようにするとともに、負荷変動が生じた場合のエンジン回転数指令値の更新頻度をなるべく少なくして上記の問題を解決するエンジン発電設備の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のエンジン発電設備制御装置は、エンジン発電機から電力を供給される電気負荷にかかる電圧に基づいて電気負荷の大きさを検出する手段と、前記出力電圧に基づいて検出された電気負荷に相応する回転数指令値を予定時間ごとに出力する手段と、前記回転数指令値に基づいて前記エンジンを定速回転させるエンジン制御手段とを具備した点に特徴がある。
【0006】
上記特徴によれば、エンジン発電機はエンジンによって定速回転され、一定の電力を発生する。この一定出力のもとで電気負荷が変化するとエンジン発電機の出力電圧が変化するので、この出力電圧を検出して負荷の大きさが判断される。そして、負荷の変動に応じて回転数指令値が予め設定した時間ごとに出力され、エンジンは回転数指令値に基づいて運転される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。エンジン発電機10は、互いに機械的に連結された(内燃)エンジン11と発電機12を含み、エンジン11で発電機12を駆動してエンジン回転数に応じた周波数および電圧の交流電流を発生する。出力交流はコンバータ13で第1電圧Vegの直流に変換され、逆流防止ダイオード14を介してインバータ30の入力に供給される。
【0008】
ゲート制御部15は予め与えられた目標または設定電圧Veg0 (例えば、190V)と前記第1電圧Vegとを供給され、コンバータ13の、計測された実出力電圧Vegが前記設定電圧Veg0 に等しくなるように、公知の適宜の手法で、コンバータ13を構成するサイリスタの導通を制御する。このような構成により、コンバータ13の、ある予定の出力電流範囲においてはコンバータ13の出力電圧Vegが前記設定電圧Veg0 に保持される。
【0009】
変換効率を考慮に入れないとすれば、発電機12の出力電力は、直ちにインバータ30の出力電力である。したがって、例えば、エンジン11の回転数が2000rpmのとき、出力電力が2kw、電気負荷35側の定格電圧が200Vであったとすれば、インバータ30は定電流出力制御(CI制御)によって10Aの電流を出力する。ここで、電気負荷35aが付加されて総合電気負荷が増大(つまり負荷インピーダンスが減少)して11Aの負荷電流が要求された場合には2KWの最大出力では、インバータ30から11Aが出力されると、電気負荷35側の端子電圧は約182Vに低下する。また、電気負荷がさらに増大して12Aの負荷電流が要求された場合、端子電圧は約167Vに低下する。このように、負荷電流が所定値を超えるとインバータ30の出力電圧が発電機12の出力電力で決定されることになるので、電気負荷の端子電圧は電気負荷の大きさによって決定される。
【0010】
そこで、本実施形態では電圧検出器32をインバータ30の出力側に設け、この電圧検出器32による検出電圧Vを、電気負荷を代表する値(負荷電圧)としてエンジン制御部16に入力するようにした。エンジン制御部16は供給された検出電圧(負荷電圧信号)Vの、定格電圧に対する偏差を算出し、その偏差に基づいて、後で詳述するように、エンジンの回転数信号Net すなわち燃料信号を発生する。
【0011】
図4のブロック図および図5のフローチャートを参照してエンジン制御部16の機能および動作を詳細に説明する。負荷安定判断部60は、後述するような基準と手法にしたがって電気負荷35が安定しているかどうかを判断し(図5のステップS11)、負荷が安定しており、かつVタイマ61が設定された予定時間(例えば1秒であるが、状況に応じて適当に設定でき、また一定時間でなくてもよい)を計測し終っているときは、負荷電圧サンプリング部62がVタイマ61の出力でトリガされて負荷電圧信号Vi が取り込まれる(ステップS12、13)。負荷が不安定の時は、Vタイマ61の状態とは無関係に(あるいは、より短い時間間隔で)、負荷電圧信号Vi が取り込まれる。
【0012】
電圧降下演算部69は定格電圧(例えば200V)に対する電圧信号Vi の偏差つまり電圧降下Vd を算出する。電圧降下Vd はNe0 設定テーブル63に入力され、この電圧降下Vd に基づいて、Ne0 設定テーブル63から定格電圧を維持するのに必要なエンジン回転数調整値Ne0 が読出され(ステップS14)、Neo 補正部65の演算機能65a〜cに供給される(ステップS16)。テーブルの代わりに、予め準備された公知の計算式で前記エンジン回転数調整値Ne0 を演算しても良い。予定時間が未だ経過せず、Vタイマ61がタイムアップしていないときは、ステップS13およびS14はスキップされ、エンジン回転数調整値Ne0 の読出し、演算は行なわれない。したがって、後続のエンジン回転数目標値演算動作においては、前回指示されたエンジン回転数調整値Ne0 に基づいて決定されたエンジン回転数がそのまま目標値として使用される。
【0013】
導通角サンプリング部64は、αタイマ75がカウントアップするごとに(ステップS15:前記のVタイマよりも短い時間、例えば、5m秒ごと)、導通角サンプリング部64をトリガして、ゲート制御部15から供給される導通角信号αをサンプリングさせ、検出値αi を取り込む(ステップS16)。検出値αi は比較部76に供給され、上下限値メモリ77から転送される導通角の上限値Yおよび下限値Xと比較される(ステップS17)。
【0014】
前記導通角は、AC/DCコンバータ13内の整流サイリスタ(図示せず)のオン時間デューティ比(%)で表わされる。導通角αi が上限値Y%(例えば、85%)よりも大きいことは、現在の電気負荷に対してエンジンが過負荷気味、すなわち発電電力が不足する可能性があることを意味するから、Ne0 補正部65の演算機能65aによって、設定テーブル63からの出力Ne0 に予定の補正値ΔNe2 を加算して新たなエンジン回転数調整値Neo を発生する(ステップS18)。
【0015】
反対に、導通角αi が下限値X%(例えば、75%)よりも小さいことは、現在の電気負荷に対してエンジン発電機10からの電力供給が過剰気味であることを意味するから、Ne0 補正部65の演算機能65bによって、前記出力Ne0 から予定の補正値ΔNe1 を減算して新たなエンジン回転数調整値Ne0 を発生する(ステップS19)。また導通角αi が下限値Xおよび上限値Yの間にあるときは、電気負荷に対して事実上適正な発電量が得られているから、演算機能65cは、得られたエンジン回転数調整値Ne0 を、そのまま新たなエンジン回転数調整値Net とする(ステップS20)なお、前記△Ne1 および△Ne2 を等しい値としてもよいことは当然である。
【0016】
Net 出力部66は、前述のようにして得られた新たなエンジン回転数調整値Ne0 を付加してエンジン回転数目標値Net を更新し、燃料演算部67に供給され、そこで燃料信号に変換されてエンジン11に供給される(ステップS21)。前記Net 出力部66が新たなエンジン回転数目標値Net を出力するごとに、出力回数カウンタ68がカウントアップされる。前記カウンタ68が予定回数(例えば、3回)に達するまでは、αタイマ75による予定時間(例えば、5m秒)ごとの導通角検出値の取り込みと回転数目標値Net 出力の更新が繰返されるが、予定回数に達すると、再びVタイマ61が起動されて最初の状態へ復旧する(ステップS22、23)。
【0017】
以上の説明においては、エンジン回転数目標値Net を燃料信号に変換するものとしたが、その代わりにスロットル開度などの他のデ−タに変換して回転数制御を実行しても良いことは当然である。また、ステップS16〜20で演算したエンジン回転数目標値Net を、ステップS21でその都度出力する代わりに、ステップS22に決められた予定回数分の適当な代表値(例えば、単純平均値や加重平均値など)をステップS21で演算し、ステップS22の判定が肯定になった時点で前記代表値を回転数目標値Net として出力するようにしてもよい。
【0018】
上述のように、電気負荷の変動に応答するエンジン回転数指令値の更新制御は、比較的長いサイクルで行なわれるので、エンジンがほぼ一定回転数で運転する時間割合が長くなり、低NOx化、エンジンの長寿命化、雑音発生の低減、燃費の改善などの効果が期待できる。
【0019】
つぎに負荷安定の判断手法について説明する。負荷安定(ステップS11)の判断は次のような負荷不安定要素の有無によって行うことができるが、もちろんこれに限定されるものではなく、他の適当な方法で判断しても良いことは当然である。
1.図5のステップS17の判定において、導通角αがY以上になるルーチンとX以下になるルーチンとが交互に予定回数(例えば、3回)以上連続した場合。 2.設定テーブル63から読出された回転数指令値Ne0 の増加および減少が、一定回数中に予定回数以上交互に繰返された場合。
3.導通角αの上限値Yまたは下限値Xからのはみ出し量が予定値を超えた場合。
【0020】
図1のエンジン発電機10はエンジン排熱回収手段を備えたコジェネレーション装置を構成するものとして示されている。エンジン発電機10の液冷装置17は公知の適当なものでよく、ポンプP1 によって冷却液(例えば、水やエチレングリコール)が循環されてエンジンや発電機の発熱を吸収し、冷却する。これによって温度上昇した前記冷却液は熱交換器19に供給され、外部からポンプP2 によって供給される給水を加熱した後、再度エンジンや発電機の冷却に使用される。前記熱交換器によって暖められた給水は熱負荷33へ供給され、例えば温水として、または暖房用などの熱源として使用される。もちろん、コジェネレーション装置にすることは本発明の必須要件ではなく、単に、本発明がコジェネレーション装置にも適用できることを示すに過ぎない。
【0021】
本発明は、複数台のエンジン発電装置が連系された場合にも適用できる。図2は4台のエンジン発電装置が連系された例の概要を示すブロック図であり、図1と同符号は同一部分を表わす。ただし、簡略化のために、図1に符号10〜13、15、16で示したエンジン発電機装置は単なる個々のブロック100、200、300、400で示し、熱に関する部分は図示を省略した。
【0022】
図2において、各エンジン発電機装置の負荷分担の移行を円滑かつ一義的にするために、各コンバータの出力直流電圧設定値Veg1 、Veg2 、Veg3 、Veg4 を同一にせず、相互間に差を持たせるのが望ましい。例えばVeg1 >Veg2 >Veg3 >Veg4 >Vacとすれば、前述の説明から容易に分かるように、まず初めは電圧設定値がいちばん高いエンジン発電機装置100が負荷35を負担し、負荷35の増加に伴なってエンジン発電機装置200、300、400が順に負荷を負担する。負荷が変動した場合の各エンジン発電機装置による発電量の調整制御、すなわち各エンジンの回転数制御は上述と同様に行なわれる。
【0023】
このような装置では、各エンジン発電機の負荷分担割合が、何等の制御手段をも必要とせず各電源の特性にしたがって自動的に決定されるので、装置の構成および制御手法が格段に簡略化される。さらに、エンジン発電機の出力が経年変化や劣化によって低下しても、現在の発電応力に応じた負荷分担が自動的に行なわれるので、一部のエンジン発電機を系列から外して保守点検、修理することが可能になる。
【0024】
エンジン発電機の他の制御方法として、上述のように各発電機の目標出力電圧を、それらの発電能力または容量とは無関係に設定するのではなく、発電容量の大きい装置ほど目標出力電圧を高く設定して、優先的に負荷を負担させるようにしてもよい。
【0025】
さらに、図2に点線枠で囲って示すように、出力電圧値メモリ37、劣化判定部38、および表示警報部39を付加し、一定の回転数指令を与えたときの各発電装置の交流または直流出力電圧値を、適当な時間間隔でメモリ37に記憶しておき、劣化判定部38で前記出力電圧値の変化率および/または変化量を監視し、それらの値が予定の閾値を超えたときは、発電機の劣化または故障と判定して表示警報部39で劣化または故障の表示および/または警報を発生するようにしてもよい。
【0026】
図3には、図2の実施形態をコジェネレーションシステムに適用した場合の全装置の構造の概念図を示す。同図において、図1、2と同一の符号は同一または同等部分を示す。各発電機装置の構成は同じであるので、1つの発電機装置100にのみ説明符号を付している。
【0027】
発電機装置は前面または側面に保守用のパネル41を有し、内部には各構成部品を制御するためのECU、空冷用ファンやフィン、液冷用細管(共に図示せず)などを含む。エンジン排ガスは排気口49から放出される。冷却用空気は取入れ口42から取り入れられ、内部で暖められた空気は吹出し口43から放出される。前記液冷用細管は冷却液供給配管45および同戻り配管46の各一方端に連結され、これら配管内にはポンプP1 によって水やエチレングリコールなどの熱媒体液が循環される。
【0028】
前記配管45、46の他端は熱交換器19に連結される。前記熱交換器19には、配管46を通して給送される高温熱媒体液との熱交換のために給水管47および温水管48の各1端が連結され、ポンプP2 によって給水される。給水管47および温水管48の他端は熱負荷33に連結され、熱交換器19で得られた温水の熱を熱負荷(暖房機や給湯器など)33に供給する。熱負荷が給湯などのように温水を消費する場合は、給水が外部から行なわれることはもちろんである。
【0029】
各エンジン発電機装置100、200、300、400で発生された交流電流はそれぞれに対応したコンバータ13A、13B、13C、13Dに供給されて予定電圧の直流に変換される。自動電圧調整装置50はインバータ30の出力交流電圧が設定値(この例では、100V)になるように、インバータ30への直流電流を制御する。自動電圧調整装置50はまた、各エンジン発電装置内のECUのための動作電圧を供給する。総合制御装置51は前記自動電圧調整装置50および各ECUなどと通信線52を介して交信し、それぞれの動作を適正に制御する。54はオペレータが利用できる操作パネルである。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、予定時間ごとに回転数指令値を入力するようにしたので、頻繁な回転数の変更が避けられ、定速回転時間の割合が増える。その結果、運転状態の頻繁な変更がなくなり、オーバーシュートやハンチングが防止され、エンジンの長寿命化、低NOx化や燃費の改善を図ることができる。その反面、電気負荷の変動が著しいときには、回転数目標値を短い時間間隔で更新して負荷に追従させることもできる。また、エンジン発電機の負荷の大きさを検出するための電流検出手段が不要となり、構成が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】 本発明の他の実施形態を示すブロック図である。
【図3】 図2の実施形態をコジェネレーションシステムに適用した場合の全装置の構造を示す概念図である。
【図4】 本発明によるエンジン回転数指令値および目標値演算のための機能ブロックである。
【図5】 本発明によるエンジン回転数指令値および目標値演算のための手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10…エンジン発電機、 13、23…コンバータ、 15、25…ゲート制御部、 16…エンジン制御部、 30…インバータ、 32…電圧検出器、 35…電気負荷、 61…Vタイマ、 62…負荷電流サンプリング部、 63…Neo テーブル、 64…導通角サンプリング部、 65…Ne0 補正部、 66… Net 出力部、 67…燃料演算部
Claims (3)
- エンジンによって駆動されるエンジン発電機を含むエンジン発電設備制御装置において、
前記エンジン発電機から電力を供給される電気負荷にかかる電圧に基づいて電気負荷の大きさを検出する手段と、
前記出力電圧に基づいて検出された電気負荷に相応する回転数指令値を予定時間ごとに出力する手段と、
前記回転数指令値に基づいて前記エンジンを定速回転させるエンジン制御手段とを具備し、
前記エンジン制御手段が、
前記回転数指令値に基づいて前記エンジンの回転数目標値を、前記予定時間より短い時間間隔で演算する目標値演算手段と、
前記エンジンの回転数の前記目標値に対する偏差が小さくなるように、前記エンジンへの燃料供給を制御する手段とを含んでいることを特徴とするエンジン発電設備制御装置。 - 前記電気負荷が安定な時には前記回転数指令値の供給間隔を長く、前記電気負荷が不安定な時には短くするように調整されることを特徴とする請求項1記載のエンジン発電設備制御装置。
- 前記エンジン発電機から発生される交流電流を直流に変換する整流手段と、
前記整流手段の導通角を、前記電気負荷の変動に応答して調整する手段とをさらに具備し、
前記導通角が予定範囲を超えたときに前記電気負荷が不安定であると判断することを特徴とする請求項2記載のエンジン発電設備制御装置。
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