JP3676179B2 - 電源回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、電源回路に関し、スイッチングレギュレータ方式で直流電圧を生成する、電源回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の電源回路では、負荷に供給する直流電圧を一定に保つために、負荷に接続された所定端子の電圧と基準電圧との差分をオペアンプによって求め、この差分が0VとなるようにPWM制御回路によってスイッチング素子のオン/オフを制御していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、何らかのトラブルによって負荷が開放されると、上記の所定端子の電圧が降下し、基準電圧との差分が大きくなる。すると、PWM制御回路は、直流電圧を上昇させるようにPWM信号を発生する。この結果、過大な直流電圧が生成され、スイッチング素子を含む各種の素子が破壊されるおそれがあった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、直流電圧の上昇による素子の破壊を防止することができる、電源回路を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、スイッチング素子のオン/オフによって第1直流電圧を交流電圧に変換する第1変換手段、整流および平滑によって交流電圧を第2直流電圧に変換する第2変換手段、第2直流電圧が印加される第1出力端子、負荷を介して第1出力端子と接続される第2出力端子、第2出力端子と基準電位面との間に設けられる第1抵抗素子、一方端子が第1抵抗素子の負荷側端子に接続される第2抵抗素子、第1出力端子と第2抵抗素子の他方端子との間に設けられるかつ第2直流電圧が第1所定値を超えたときに導通するツェナーダイオード、第2抵抗素子の他方端子の印加電圧に応じてスイッチング素子のオン/オフ比を制御する制御手段、および第2出力端子の印加電圧が第2所定値を下回ったとき前記スイッチング素子のオン/オフを強制的に中断する中断手段を備え、制御手段の応答速度は中断手段の応答速度よりも早いことを特徴とする電源回路である。
【0006】
【作用】
第1直流電圧はスイッチング素子のオン/オフによって交流電圧に変換され、変換された交流電圧は整流および平滑によって第2直流電圧に変換される。変換された第2直流電圧は、第1出力端子に印可される。第1出力端子には負荷を介して第2出力端子が接続され、第2出力端子と基準電位面との間には第1抵抗素子が設けられる。第2抵抗素子の一方端子は第1抵抗素子の負荷側端子に接続され、第2抵抗素子の他方端子と第1出力端子との間にはツェナーダイオードが設けられる。このツェナーダイオードは、第2直流電圧が第1所定値を超えたときに導通する。制御手段は、第2抵抗素子の他方端の印加電圧に応じてスイッチング素子のオン/オフ比を制御する。一方、中断手段は、第2出力端子の印加電圧が第2所定値を下回ったときスイッチング素子のオン/オフを強制的に中断する。
【0007】
負荷が第1出力端子および第2出力端子と適切に接続されている場合、ツェナーダイオードは非導通状態となる。このとき、第2抵抗素子の他方端子の印加電圧は第1抵抗素子の負荷側端子の印加電圧とほぼ同様の値を示し、制御手段はこのような印加電圧に基づいてスイッチング素子のオン/オフ比を制御する。これによって、第2直流電圧の値が安定する。
【0008】
負荷が開放されると、第2抵抗素子の他方端子の印加電圧は、基準電位近くまで低下する。このとき、制御手段は、第2直流電圧が低下したとみなして、第2直流電圧が上昇するようにスイッチング素子を制御する。これによって第2直流電圧が第1所定値を超えると、ツェナーダイオードが導通し、第2抵抗素子の他方端子の印加電圧が上昇する。中断手段の応答速度よりも早い応答速度を有する制御手段は、上昇した印加電圧に応じてスイッチング素子を制御し、この結果、第2直流電圧が安定する。第2出力端子の印加電圧が第2所定値を下回ると、スイッチング素子のオン/オフが中断手段によって強制的に中断される。
【0009】
【発明の効果】
この発明によれば、第2直流電圧が上昇すると、ツェナーダイオードが導通し、これによって第2抵抗素子の他方端子の印加電圧も上昇する。すると、制御手段が第2抵抗素子の印加電圧に応じて第2直流電圧を制御する。このため、負荷の開放から中断手段が動作するまでの間に整流素子や平滑素子の破壊を防止することができる。また、第2出力端子の印加電圧が第2所定値を下回ると、中断手段がスイッチング素子のオン/オフを強制的に中断する。このため、給電を速やかに停止させることができる。
【0010】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0011】
【実施例】
図1を参照して、この実施例の電源回路10は、インダクタンスL1を含む。インダクタンスL1の一方端子は、マイナス端子が基準電位面と接続された直流電源V1のプラス端子と接続される。インダクタンスL1の他方端子は、エミッタ接地されたトランジスタT1のコレクタならびにダイオードD1のアノードと接続される。ダイオードD1のカソードは、他方端子が基準電位面と接続されたキャパシタC1の一方端子,ツェナーダイオードZD1のカソードおよび出力端子S1と接続される。
【0012】
出力端子S1は発光ダイオードLED1のアノードと接続され、出力端子S2は発光ダイオードLED6のカソードと接続される。発光ダイオードLED1およびLED6の間には図示しない4個の発光ダイオードLED2〜5が存在し、これら6個の発光ダイオードLED1〜LED6は直列接続される。このような発光ダイオードLED1〜LED6が負荷を形成する。出力端子S2は、コンパレータ22のマイナス入力端子と直接的に接続されるとともに、抵抗R3およびR1を介して基準電位面と接続される。ツェナーダイオードZD1のアノードは、オペアンプ24のマイナス入力端子に直接的に接続されるとともに、抵抗R2を介して抵抗R3およびR1の接続点に接続される。なお、抵抗R1,R2およびR3の抵抗値はそれぞれ100Ω,1KΩおよび33Ωであり、ツェナーダイオードZD1の耐電圧VDZ(ツェナー電圧)は27Vである。また、発光ダイオードLED1〜LED6の合計の降下電圧は20Vである。
【0013】
オペアンプ24のプラス入力端子には、基準電圧V2(1.5V)が印加される。オペアンプ24は、マイナス端子の印加電圧と基準電圧V2との間の差分を求め、差分信号をPWM制御回路12に与える。PWM制御回路12は、オペアンプ24から出力された差分信号によりPWM信号のパルス幅を調整する。
【0014】
基準電圧V2は、コンパレータ22のプラス入力端子にも印加される。コンパレータ22はマイナス端子の印加電圧を基準電圧V2と比較し、印加電圧>V2のときローレベル信号を、印加電圧≦V2のときハイレベル信号をそれぞれ出力する。コンパレータ22の出力端子はインバータ20の入力端子と接続され、インバータ20の出力端子はトランジスタT2のベースと接続される。トランジスタT2のエミッタは基準電位面と接続され、コレクタは定電流源18およびRS−FF回路14のS端子と接続される。RS−FF回路14は、S端子の印加電圧がローレベルのとき(所定閾値を下回るとき)ハイレベル信号をQ端子から出力し、S端子の印加電圧がハイレベルとなると(所定閾値以上となると)ローレベル信号をQ端子から出力する。
【0015】
ANDゲート16は、RS−FF回路14のQ端子出力に応じてゲートを開閉する。つまり、Q端子出力がハイレベルであればゲートを開き、PWM制御回路12から出力されたPWM信号をそのままトランジスタT1のベースに与える。これに対して、Q端子出力がローレベルであればゲートを閉じ、この結果、トランジスタT1のベース入力は常にローレベルとなる。
【0016】
トランジスタT1は、ベース入力がハイレベルのときにオン状態となり、ベース入力がローレベルのときにオフ状態となる。PWM信号がベースに与えられたときは、このPWM信号に応答してトランジスタT1が繰り返しオン/オフされる。これによって直流電源V1の電源電圧が交流電圧に変換され、変換された交流電圧は、ダイオードD1による整流処理およびキャパシタC1による平滑処理によって直流電圧に戻される。ここで、キャパシタC1の端子電圧つまり負荷電圧はトランジスタT1のオン/オフ比に依存し、オン期間が長いほど電圧値が高くなり、オン期間が短いほど電圧値が低くなる。このようにインダクタンスL1を設けかつトランジスタT1をオン/オフすることによって負荷電圧を制御する方式は、昇圧型スイッチングレギュレータ方式と呼ばれる。
【0017】
発光ダイオードLED1〜LED6を流れる直流電流I0(負荷電流)が15mAのとき、コンパレータ22のマイナス入力端子には約2.0Vの電圧が印加される。この印加電圧は基準電圧V2(=1.5V)よりも大きいため、コンパレータ22の出力はローレベルとなり、インバータ20の出力はハイレベルとなる。これによってトランジスタT2はオン状態となり、RS−FF回路14のS端子にはローレベル信号が入力される。このときQ端子からはハイレベル信号が出力され、これによってANDゲート16が開かれる。一方、入力インピーダンスが高いオペアンプ24のマイナス入力端子には、抵抗R1の端子電圧とほぼ同じ1.5Vの電圧が印可される。このため、オペアンプ24の出力レベルはほぼ一定となり、PWM制御回路12は現時点のパルス幅を維持する。PWM制御回路12から出力されたPWM信号は、ANDゲート16を経てトランジスタT1のベースに与えられ、これによって、出力端子S1の印加電圧つまり負荷電圧は22V程度で安定する。
【0018】
発光ダイオードLED1〜LED6のいずれかが断線し、出力端子S1およびS2が開放された場合(負荷が開放された場合)、抵抗R1の端子電圧は0V近くまで低下する。すると、オペアンプ24の出力レベル(差分信号レベル)は上昇し、これに応じて、パルス幅が拡大されたPWM信号がPWM制御回路12から出力される。一方、入力インピーダンスの高いコンパレータ22のマイナス入力端子の印加電圧も0ボルト近くまで低下し、トランジスタT2がオン状態からオフ状態に移行するが、RS−FF回路14のS端子の印加電圧が所定閾値を超えるまでには時間がかかる。この結果、負荷が開放されてからQ端子出力がハイレベルからローレベルに変化するまでの間、パルス幅が拡大されたPWM信号がトランジスタT1のベースに印加される。これによって、出力端子S1の印加電圧が22Vから急激に上昇を開始する。
【0019】
この急激な上昇によって出力端子S1の印加電圧がツェナーダイオードZD1の耐電圧VDZ(=27V)を超えると、ツェナーダイオードZD1が導通する。ツェナーダイオードZD1の導通電流IDZは抵抗R2およびR1を介して基準電位面に流れ込み、オペアンプ24のマイナス端子には(R2+R1)・IDZの電圧が印加される。オペアンプ24は、この印加電圧と1.5Vの基準電圧との差分信号をPWM制御回路12に与える。PWM制御回路12は、与えられた差分信号のレベルが0Vとなるように、つまり(R2+R1)・IDZ=1.5Vとなるように、PWM信号のパルス幅を制御する。この結果、出力端子S1の端子電圧は、28.5V(=VDZ+1.5V)で安定する。
【0020】
一方、RS−FF回路14のS端子の印加電圧が閾値を越え、Q端子出力がハイレベルからローレベルに変化すると、ANDゲート16が閉じられる。これによってトランジスタT1はオフ状態に移行し、出力端子S1の印加電圧は常に0Vとなる。つまり、負荷に対する給電が停止される。なお、抵抗R1およびR2の抵抗比は1:10であるため、オペアンプ24のマイナス入力端子の印加電圧が1.5Vに落ち着いたとき、抵抗R1の端子電圧は0.14V程度の値をとる。つまり、抵抗R1の端子電圧は、基準電圧V2(=1.5V)よりもかなり小さな値を示す。このため、ANDゲート16は閉状態を維持し続ける。
【0021】
この実施例によれば、負荷が開放されると、抵抗R2の他方端子の印加電圧が基準電位近くまで低下する。このとき、PWM制御回路12は、出力端子S2の端子電圧が低下したとみなして、この端子電圧が上昇するようにトランジスタT1を制御する。これによって出力端子S1の端子電圧が27Vを超えると、ツェナーダイオードZD1が導通し、抵抗R2の他方端子の印加電圧が上昇する。PWM制御回路12は、上昇した印加電圧に応じてトランジスタT1のオン/オフ比を制御し、この結果、出力端子S1の印加電圧が安定する。一方、出力端子S2の印加電圧は、負荷の開放によって基準電圧V2を下回る。すると、トランジスタT1のオン/オフがRS−FF回路14によって強制的に中断される。
【0022】
ここで、PWM制御回路12の応答速度はRS−FF回路14の応答速度よりも速い。このため、負荷が開放されてからトランジスタT1のオン/オフが強制的に中断されるまでの間に、ダイオードD1やキャパシタC1が過電圧によって破壊されることはない。
【0023】
なお、この実施例では、オペアンプ24のプラス入力端子に印加する基準電圧V2をコンパレータ22のプラス入力端子にも印加しているため、コンパレータ22のマイナス入力端子には基準電圧V2よりも高い電圧を入力する必要があり、このような理由から抵抗R3を設けている。換言すれば、コンパレータ22のプラス入力端子に基準電圧V2よりも小さい電圧(たとえば1V)を印可するようにしたときは、抵抗R3は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す回路図である。
【符号の説明】
10…電源回路
12…PWM制御回路
14…RS−FF回路
16…ANDゲート
18…定電流源
20…インバータ
22…コンパレータ
24…オペアンプ

Claims (1)

  1. スイッチング素子のオン/オフによって第1直流電圧を交流電圧に変換する第1変換手段、
    整流および平滑によって前記交流電圧を第2直流電圧に変換する第2変換手段、
    前記第2直流電圧が印加される第1出力端子、
    負荷を介して前記第1出力端子と接続される第2出力端子、
    前記第2出力端子と基準電位面との間に設けられる第1抵抗素子、
    一方端が前記第1抵抗素子の負荷側端子に接続される第2抵抗素子、
    前記第1出力端子と前記第2抵抗素子の他方端子との間に設けられるかつ前記第2直流電圧が第1所定値を超えたときに導通するツェナーダイオード、
    前記第2抵抗素子の他方端子の印加電圧に応じて前記スイッチング素子のオン/オフ比を制御する制御手段、および
    前記第2出力端子の印加電圧が第2所定値を下回ったとき前記スイッチング素子のオン/オフを強制的に中断する中断手段を備え
    前記制御手段の応答速度は前記中断手段の応答速度よりも早いことを特徴とする電源回路。
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