JP3675258B2 - 筐体の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気装置、電子装置、通信装置などの各種装置に用いられ、スタンド部と、そのスタンド部に取り付けられる本体部とを有する筐体の取付構造に関し、特に、ネジなどの締結部品や工具を用いることなく、スタンド部に本体部を取り付けることができる筐体の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、従来の取付構造を適用した筐体を示す斜視図、図7(A)は本体部とスタンド部との従来の取付構造を示す正面断面図であり、(B)はその側面断面図である。
【0003】
図6に示すように、この筐体は、デスクや床面などに設置されるスタンド部50と、そのスタンド部50の上部に取り付けられ、直立状態に支持される本体部51とを有する。
【0004】
本体部51は、第1のケース(ベース)52と第2のケース(カバー)53とに分割されて構成されており、それぞれのケースはネジなどの締結部品54によって固定されている。
【0005】
図7(A)及び(B)に示すように、スタンド部50の上面には、断面略逆L字状に長手方向に延びて形成された2つのガイド受け部55が設けられている。第1のケース52及び第2のケース53の各底面には、断面略L字状に長手方向に延びて形成され、スタンド部50のガイド受け部55が挿入され嵌合される挿入口を備えたガイド部56が設けられている。
【0006】
次に、上記筐体の取付方法について説明する。まず、ドライバーなどの工具を使用してネジなどの締結部品54で第1のケース52及び第2のケース53を固定して、本体部51を組み立てる。
【0007】
次いで、本体部51のガイド部56の挿入口にガイド受け部55を挿入して嵌合する。 以上の工程により筐体の取付作業が完了する(以下、この技術を従来例1という)。
【0008】
また、ネジを使用しないで取り付ける工法として、接着剤を用いる接着工法、加熱による熱融着工法、微振動による超音波融着工法などが知られている(以下、この技術を従来例2という)。
【0009】
また、特開平8−222881号公報には、ネジを用いることなく、プリント基板を筐体に固定する方法が開示されている(以下、この技術を従来例3という)。
【0010】
さらに、特開平7−191781号公報には、片側が嵌め込み式で、反対側がスライド式の係合部を設け、ネジを用いることなく、容易な外装部品の組み付け及び分解ができる情報処理装置が開示されている(以下、この技術を従来例4という)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来例1の筐体の取付構造では、ネジなどの締結部品を用いているので、締結部品に要する資材費及び組み立て工数が増大し、量産性およびコスト低減に限界がある。また、組立分解作業時にドライバーなどの工具を必要とするため、作業が面倒であり、作業性が悪い。さらに、本体部とスタンド部の固定がガイド形状による圧入のみによって行っているため、不慮の落下や衝撃によりスタンド部と本体部とが容易に離脱してしまうおそれがある。
【0012】
従来例2のように、ネジを使用しない工法では、各工法に適合する特殊設備が必要となり、新たな設備投資が必要になる。また、一旦固定させてしまうと分解不可能であり、調整や修理などが困難である。従って、故障などが生じた場合には、筐体を廃棄せざるを得ず部品を無駄にしてしまうことになる。
【0013】
従来例3及び従来例4には、スタンド部に本体部を取り付ける筐体の取付構造については、何ら開示されておらず、それを示唆する記載もない。
【0014】
本発明の目的は、ネジなどの締結部品や工具、特殊な工法を用いることなく、スタンド部に本体部を容易に取り付けることができる筐体の取付構造を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の筐体の取付構造は、スタンド部と、そのスタンド部に取り付けられる本体部とを有する筐体の取付構造において、
前記スタンド部の上面には、断面略逆L字状に長手方向に延びて形成されたガイド受け部が設けられ、
前記本体部の底面には、断面略L字状に長手方向に延びて形成され、前記ガイド受け部が挿入して嵌合される挿入口を備え、その挿入口の挿入側と反対側の位置に当接部を備えたガイド部と、そのガイド部の当接部に当接されるまで挿入されたガイド受け部を保持して前記ガイド部から離脱するのを防止する離脱防止爪部とが設けられている、ことを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第2の筐体の取付構造は、前記本体部の底面には、断面略L字状に長手方向に延びて形成されたガイド受け部が設けられ、
前記スタンド部の上面には、断面略逆L字状に形成され、前記ガイド受け部が挿入して嵌合される挿入口を備え、その挿入口の挿入側と反対側の位置に当接部を備えたガイド部と、そのガイド部の当接部に当接されるまで挿入されたガイド受け部を保持して前記ガイド部から離脱するのを防止する離脱防止爪部とが設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
前記離脱防止爪部は、前記ガイド受け部の挿入先端側と反対側の端部に当接してもよい。
【0018】
前記離脱防止爪部は、前記ガイド受け部を保持する方向に付勢しており、前記ガイド受け部が前記ガイド部の挿入口に挿入できるように変形可能であってもよい。
【0019】
前記本体部は、第1のケースと第2のケースとから構成され、第1のケースには係止爪受け部が設けられ、第2のケースには、前記第1のケースの係止爪受け部に係止される係止爪部が設けられ、前記第1のケース及び第2のケースの底面にそれぞれ前記ガイド部が設けられていてもよい。
【0020】
前記本体部は、第1のケースと第2のケースとから構成され、
第1のケースの上端部には、第1の開口部が形成された第1の係止爪受け部が設けられ、その下端部には、第2の開口部が形成された第2の係止爪受け部が設けられ、
第2のケースの上端部には、前記第1の係止爪受け部の第1の開口部に挿入され係止される第1の係止爪部と、前記第1の係止爪部に形成され、第1の開口部に挿入後、前記第1の開口部の下側外縁部に引っ掛かる突出部とが設けられ、その下端部には、前記第2の係止爪受け部の第2の開口部に挿入され係止される第2の係止爪部が設けられ、
前記第1のケース及び第2のケースの底面にそれぞれ前記ガイド部が設けられていてもよい。
【0021】
本発明によれば、筐体の構成部材自体に締結機能を有しているので、資材費の構成部品であるネジなどの締結部品を必要とせず、それに付随して組み立て工程の中に締結工程を必要としない。
【0022】
また、本体部又はスタンド部に離脱防止爪部が設けられているので、不慮の落下や衝撃によって本体部がスタンド部から離脱することを防止できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の取付構造を適用した筐体を示す斜視図、図2は、第1のケース及び第2のケースを示す正面断面図であり、(A)は取付前の状態を示し、(B)は取付後の状態を示し、図3(A)は第1の係止爪受け部を示す平面図であり、(B)は第2の係止爪受け部を示す平面断面図であり、図4(A)は本体部の正面図、(B)は、本体部とスタンド部との本発明の取付構造を示す正面断面図であり、図5(A)は、本体部とスタンド部との本発明の取付構造を示す側面断面図であり、(B)は、本体部のガイド部の挿入口にガイド受け部を挿入している状態を示す側面断面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る筐体は、デスクや床面などに設置されるスタンド部1と、そのスタンド部1の上部に取り付けられ、直立状態に支持される本体部2とを有する。スタンド部1及び本体部2は、歪み変形可能なプラスチック材料などで形成され、例えば樹脂材料であるPS材、ABS材、ポリスチレン材などを金型で一体成形して作られる。
【0025】
本体部2は、第1のケース3と第2のケース4とに分割されて構成されている。第1のケース3の上端部には、図2(A)及び図3(A)に示すように、所定間隔を隔てて2つの第1の係止爪受け部5が設けられている。第1の係止爪受け部5には、係止用の第1の開口部5aが形成されている。
【0026】
一方、第2のケース4の上端部には、第1のケース3の第1の係止爪受け部5に対応した位置に、第1の係止爪受け部5に係止される第1の係止爪部6が設けられている。第1の係止爪部6には、第1の開口部5aに挿入された後、第1の開口部5aの下側外縁部に引っ掛かる突出部6aが形成されている。
【0027】
また、第1のケース3の下端部には、図2(A)及び図3(B)に示すように、所定間隔を隔てて2つの第2の係止爪受け部7が設けられている。第2の係止爪受け部7には、係止用の第2の開口部7aが形成されている。一方、第2のケース4の下端部には、第1のケース3の第2の係止爪受け部7に対応した位置に、第2の開口部7aに挿入して係止される第2の係止爪部8が設けられている。なお、組立作業を容易にするために、第2の係止爪部8は、第2の開口部7aに挿入された状態のときに、所定の隙間(例えば、0.2mm程度)が生じるような大きさ及び形状であるのが好ましい。
【0028】
また、図4(B)及び図5(A)に示すように、スタンド部1の上面には、断面略逆L字状に長手方向に延びて形成された2つのガイド受け部9が設けられている。第1のケース3及び第2のケース4の底面には、断面略L字状に長手方向に延びて形成され、スタンド部1のガイド受け部9が挿入して嵌合される挿入口10を備えたガイド部11と、そのガイド部11に挿入されたガイド受け部9を保持してガイド部11から離脱するのを防止する離脱防止爪部12とが設けられている。図4(A)及び図5(A)に示すように、ガイド部11の挿入口10の挿入側と反対側の位置には、ガイド受け部9の先端部に当接する当接部13を備えている。
【0029】
離脱防止爪部12は、ガイド受け部9を保持する方向(図面では下方向)に付勢しており、図5(B)に示すように、ガイド受け部9がガイド部11の挿入口10に挿入できるように、その基端部を支点として上方向に変形可能である。離脱防止爪部12の先端部12aは、ガイド受け部9の挿入先端側と反対側の端部に当接して、ガイド受け部9の離脱を防止できるように、厚く形成されている。なお、離脱防止爪部12は、1つだけで構成されていてもよく、複数個で構成されていてもよい。
【0030】
次に、本発明の実施の形態に係る筐体の取付方法について説明する。
【0031】
まず、第1のケース3の下部に設けられた第2の係止爪受け部7の第2の開口部7aに第2のケース4の第2の係止爪部8を挿入する。
【0032】
次いで、第1のケース3の上部に設けられた第1の係止爪受け部5の第1の開口部5aに第1のケース3の第1の係止爪部6を挿入して、その第1の係止爪部6の突出部6aを第1の開口部5aの下側外縁部に引っ掛ける。これによって、本体部2を仮結合する。
【0033】
次いで、離脱防止爪部12の基端部を支点として上方向に変形した状態で、本体部2のガイド部11の挿入口10にガイド受け部9を挿入する。ガイド受け部9の先端部がガイド部11の当接部13に当接するまで挿入すると、離脱防止爪部12は、その弾性力によりもとの位置に戻る。これによって、離脱防止爪部12の先端部12aは、ガイド受け部9の挿入先端側と反対側の端部に当接するので、ガイド受け部9がガイド部11の挿入口10から抜けるのを防止することができる。
【0034】
以上の工程により、本発明の実施の形態に係る筐体の取付作業が完了する。
【0035】
本発明によれば、筐体の構成部材自体に締結機能を有しているので、資材費の構成部品であるネジなどの締結部品を必要とせず、それに付随して組み立て工程の中に締結工程を必要としない。その結果、量産性を向上させ、資材費と組み立て工数を含めたトータルのコストダウンを図ることができる。
【0036】
組み立て時に工具を必要としないので、組立作業が容易になり、生産性が向上する。
【0037】
分離、分解時に工具を必要としないで、リサイクル(資源循環)時の分離・分解作業が容易になり、資源の再利用性が向上する。
【0038】
本体部2に離脱防止爪部12が設けられているので、不慮の落下や衝撃によって本体部2がスタンド部1から離脱することを防止できる。
【0039】
なお、装置内部の電気回路部品を実装したプリント配線基板の取付構造をも弾性爪などによってネジレス化すれば、完全に工具を用いない分離、分解可能な装置の筐体構造を提供することができる。
【0040】
上記の実施の形態では、スタンド部1にガイド受け部9が設けられ、本体部2にガイド部11と離脱防止爪部12とが設けられている。これによって、スタンド部1の形状を簡単にでき、金型などのコストを抑えることができる。
【0041】
ただ、スタンド部1の形状を複雑にできる場合には、上記の実施の形態と逆の構成にし、本体部2にガイド受け部9が設けられ、スタンド部1にガイド部11と離脱防止爪部12とが設けられているように構成してもよい。
【0042】
本発明は、上記実施の形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内において、種々の変更が可能である。例えば、本体部2は、3つ以上のケースに分割して構成されていてもよい。また、第1の係止爪受け部5、第1の係止爪部6、第2の係止爪受け部7及び第2の係止爪部8の設置位置及び数は、実施の形態のものに限定されず、例えば、本体部2の側面側に設置したり、1又は3以上設置してもよい。さらに、スタンド部1及び本体部2の材質や形状は、明細書及び図面に開示されたものに限定されるものではなく、適宜変更できる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の筐体の取付構造によれば、次のような優れた効果を奏する。
【0044】
(1)筐体の構成部材自体に締結機能を有しているので、資材費の構成部品であるネジなどの締結部品を必要とせず、それに付随して組み立て工程の中に締結工程を必要としない。その結果、量産性を向上させ、資材費と組み立て工数を含めたトータルのコストダウンを図ることができる。
【0045】
(2)組み立て時に工具を必要としないので、組立作業が容易になり、生産性が向上する。
【0046】
(3)分離、分解時に工具を必要としないで、リサイクル(資源循環)時の分離・分解作業が容易になり、資源の再利用性が向上する。
【0047】
(4)本体部又はスタンド部に離脱防止爪部が設けられているので、不慮の落下や衝撃によって本体部がスタンド部から離脱することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の取付構造を適用した筐体を示す斜視図である。
【図2】第1のケース及び第2のケースを示す正面断面図であり、(A)は取付前の状態を示し、(B)は取付後の状態を示す。
【図3】(A)は第1の係止爪受け部を示す平面図であり、(B)は第2の係止爪受け部を示す平面断面図である。
【図4】(A)は本体部の正面図、(B)は、本体部とスタンド部との本発明の取付構造を示す正面断面図である。
【図5】(A)は、本体部とスタンド部との本発明の取付構造を示す側面断面図であり、(B)は、本体部のガイド部の挿入口にガイド受け部を挿入している状態を示す側面断面図である。
【図6】従来の取付構造を適用した筐体を示す斜視図である。
【図7】(A)は本体部とスタンド部との従来の取付構造を示す正面断面図であり、(B)はその側面断面図である。
【符号の説明】
1:スタンド部
2:本体部
3:第1のケース
4:第2のケース
5:第1の係止爪受け部
5a:第1の開口部
6:第1の係止爪部
6a:突出部
7:第2の係止爪受け部
7a:第2の開口部
8:第2の係止爪部
9:ガイド受け部
10:挿入口
11:ガイド部
12:離脱防止爪部
13:当接部
Claims (5)
- スタンド部と、そのスタンド部の上部に取り付けられる本体部とを有する筐体の取付構造において、
前記本体部の底面には、挿入口を備えるように、前記底面から断面略L字状に先端が内側に折り曲げられ、側面方向に延びて形成された2つのガイド部が設けられ、
前記スタンド部の上面には、前記挿入口に挿入され、2つのガイド部にそれぞれ嵌合されるように、前記上面から断面略逆L字状に先端が外側に折り曲げられ、側面方向に延びて形成された2つのガイド受け部が設けられ、
前記本体部の底面には、さらに、前記ガイド部の挿入口と反対側の位置に設けられた当接部と、その当接部に当接されるまで挿入された前記ガイド受け部を保持して前記ガイド部から離脱するのを防止する離脱防止爪部とが設けられている、
ことを特徴とする筐体の取付構造。 - 前記離脱防止爪部は、前記ガイド受け部の挿入先端側と反対側の端部に当接することを特徴とする請求項1に記載の筐体の取付構造。
- 前記離脱防止爪部は、前記ガイド受け部を保持する方向に付勢しており、前記ガイド受け部が前記ガイド部の挿入口に挿入できるように変形可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の筐体の取付構造。
- 前記本体部は、第1のケースと第2のケースとから構成され、第1のケースには係止爪受け部が設けられ、第2のケースには、前記第1のケースの係止爪受け部に係止される係止爪部が設けられ、前記第1のケース及び第2のケースの底面にそれぞれ前記ガイド部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載の筐体の取付構造。 - 前記本体部は、第1のケースと第2のケースとから構成され、
第1のケースの上端部には、第1の開口部が形成された第1の係止爪受け部が設けられ、その下端部には、第2の開口部が形成された第2の係止爪受け部が設けられ、
第2のケースの上端部には、前記第1の係止爪受け部の第1の開口部に挿入され係止される第1の係止爪部と、前記第1の係止爪部に形成され、第1の開口部に挿入後、前記第1の開口部の下側外縁部に引っ掛かる突出部とが設けられ、その下端部には、前記第2の係止爪受け部の第2の開口部に挿入され係止される第2の係止爪部が設けられ、
前記第1のケース及び第2のケースの底面にそれぞれ前記ガイド部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つの項に記載の筐体の取付構造。
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1999
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