JP3674280B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、他方のコネクタを収容する収容口に蓋が設けられているコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、雄側コネクタは、雌側コネクタを収容するためのフード部を備えており、内部に複数の雄型端子金具が先端部をフード部内に突出させた状態で組み付けられている。一方、雌側コネクタは、フード部内に嵌め込まれる大きさに形成されており、その内部には上記雄型端子金具に対応して複数の雌型端子金具が組み付けられている。そして、雌側コネクタを雄側コネクタのフード部内へ嵌め込むと、雌型端子金具と雄型端子金具とが接触し合って導通状態となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記構成ではフード部における雌側コネクタを収容するための収容口は常に開口されているため、結合前の段階でフード部内に塵が入り込んだり、異物の侵入によって雄型端子金具が変形してしまう虞があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、他方のコネクタを収容するフード部を備えたものにおいて、そのフード部内への塵等の侵入を防止できるコネクタを提供するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1のコネクタは、相互に嵌合可能な2つのコネクタを備え、一方のコネクタには、両コネクタが嵌合した状態において他方のコネクタを収容するためのフード部が設けられているとともに、前記フード部の前面における前記他方のコネクタを収容するための収容口には、その収容口を塞ぐ扉が開閉可能に設けられるとともに、前記扉を前記他方のコネクタの嵌め込み動作に伴って開放位置へ変位させる扉開放機構が設けられ、前記他方のコネクタは、コネクタハウジングの後面に引き出された電線が電線保持部によって上方へ曲げられた状態で保持された形態とされており、前記他方のコネクタが前記フード部内に嵌合した状態では、前記電線保持部が前記収容口の上縁部に位置するとともに、前記収容口の上縁部に設けた引出溝から前記電線が前記フード部の外へ引き出され、前記電線保持部とこの電線保持部に当接する前記扉とにより、前記収容口の開口領域のうち前記電線の引出し部分を除いた領域を塞ぐ構成とされていることに特徴を有する。
【0005】
請求項2のコネクタは、請求項1記載のコネクタにおいて、前記扉は付勢部材によって前記収容口を塞ぐ方向に付勢されており、かつ、前記扉開放機構は、前記一方と他方の両コネクタのうちの片側に嵌合方向に沿って傾斜させて設けた係合受け部と、反対側のコネクタに設けられ前記係合受け部の傾斜面上を移動してゆく過程で前記扉を前記付勢部材の付勢力に抗して開く方向へ移動させる係合部とからなることに特徴を有する。
【0006】
請求項3のコネクタは、請求項1又は請求項2記載のコネクタにおいて、他方のコネクタをフード部内に収容し、両コネクタを嵌合状態に保持するロック機構が設けられるとともに、その嵌合状態ではロック機構が扉によって覆い隠されることに特徴を有する。
【0007】
【発明の作用・効果】
請求項1の発明によれば、他方のコネクタが収容されるフード部の収容口は扉によって塞がれている。そして、他方のコネクタの収容口への嵌め込みを行うと、その嵌め込み動作に伴って扉は開かれ、他方のコネクタはフード部内へ収容される。従って、本発明では、他方のコネクタを嵌め込む前の状態では収容口は常に塞がれているため、フード部内への塵や異物等の侵入を防止することができ、しかも扉は他方のコネクタの嵌め込み動作に伴って開かれるから、扉に対する開き操作を行う必要がない。
【0008】
請求項2の発明によれば、扉は付勢部材によって収容口を閉じる方向に付勢されているが、他方のコネクタの嵌め込みを行うと、係合部が係合受部の傾斜面上を移動してゆき、その過程で扉は付勢部材の付勢力に抗しつつ開かれる。つまり、他方のコネクタは、付勢部材の付勢力に抗しつつ嵌め込まれて行き、嵌合途中で嵌め込み動作をやめると、他方のコネクタは付勢部材からの付勢力を受けて元の位置へと戻されることになる。従って、他方のコネクタが半嵌合状態となることを防止できる。
【0009】
請求項3の発明によれば、他方のコネクタをフード部内へ収容すると、他方のコネクタはロック機構によってその状態に保持される。また、その状態ではロック機構はフード部によって覆い隠される。つまり、嵌合状態では扉を開けない限り、ロック機構に対する解除操作を行うことができない。従って、嵌合状態に対するロックがより確実なものとなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
<実施形態1>
以下、本発明のコネクタを具体化した実施形態1について図1〜図10を参照して説明する。
本実施形態のコネクタは、相互に嵌合可能な雄側コネクタMと雌側コネクタFとから構成される。
<雌側コネクタ>
雌側コネクタFは、図1中、左側に示されるように直方体形状のコネクタハウジング10とそこに組み付けられる雌型端子金具20とを備えて構成される。コネクタハウジング10内には、横方向(図1中、紙面に直交する方向)に3個のキャビティ11が並設されており、そこには後面(図1中、左側面)に形成された端子組付口11Aを介して雌型端子金具20が組み付けられている。各キャビティ11の前面(図1中、右側面)には、図7に示すように端子挿入口11Bが形成されており、雌雄両コネクタF,Mを嵌合させると後述する雄型端子金具40がその端子挿入口11Bを介して雌型端子金具20に接続される。また、各端子組付口11Aの上縁部には、図5に示すように、電線保持部12が形成されており、雌型端子金具20に接続された電線Cが端子組付口11Aを介して引き出された後、上方へほぼ直角に折り曲げた状態で保持されるようになっている。なお、各キャビティ11内には抜止突部13が形成されており、雌型端子金具20に形成されたランス23と係合して雌型端子金具20を抜け止め(一次係止)している。
【0011】
コネクタハウジング10の上面には、リテーナ14が装着されており、各キャビティ11内に組み付けられた雌型端子金具20に係合して、各雌型端子金具20を二次係止している。また、コネクタハウジング10の下面には、ロックアーム15が片持ち状に形成され、かつそのロックアーム15の下面には長さ方向に対するほぼ中央部に係止突部15Aが形成されている。さらに、コネクタハウジング10の下面には、ロックアーム15の正面視左側方(図7中、左側方)に係合片部16がその先端部を前方に突出させた状態で設けられている。
【0012】
雌型端子金具20は、電線Cの端末が接続されるバレル部21と、雄型端子金具40に接触する接触部22とから構成される。バレル部21は、雌型端子金具20の後端部に形成され、符号を付さないが電線Cの被覆端末をかしめる一対のインシュレーションバレル片と、その被覆端末から剥き出された状態で突出する芯線部分をかしめる一対のワイヤバレル片とからなる。接触部22は、符号を付さないが対向して配設された一対の弾性接触片と、その弾性接触片を覆う保護筒とからなり、雄型端子金具40が弾性接触片間に圧入されるようになっている。また、保護筒には上記抜止突部13と係合して雌型端子金具20を抜け止めするランス23が切り起こし形成されている。
【0013】
<雄側コネクタ>
雄側コネクタMは、図1中、右側に示されるように直方体形状のコネクタハウジング30と、そこに組み付けられる雄型端子金具40及び収容口32を塞ぐ扉50とを備えて構成される。コネクタハウジング30の前部は、雌側コネクタFを収容するフード部31とされ、その内部は雌側のコネクタハウジング10を収容するハウジング収容室31Aとロックアーム15を収容するアーム収容室31Bとに区画されている。ハウジング収容室31Aは、フード部31内における上部に形成され、アーム収容室31Bはそのハウジング収容室31Aの下方に雌側コネクタFのロックアーム15の位置に対応して形成されている。このフード部31の前面(図中、左側面)は開口しており、雌側コネクタFをフード部31内に収容するための収容口32とされている。また、この収容口32の上縁部は庇状に前方へ突出しており、図8に示すように、そこにはフード部31内に収容された雌側コネクタFにおける電線Cをフード部31内から引き出すための引出溝33が切り欠き形成されている。
【0014】
ハウジング収容室31Aの後方には、3個のキャビティ34が横方向(図1中、紙面に直交する方向)に並設されており、そこには後面(図1中、右側面)に形成された端子組付口34Aを介して雄型端子金具40が先端部をハウジング収容室31A内へ突出させた状態で組み付けられている。各キャビティ34内には抜止突部35が形成されており、雄型端子金具40に形成されたランス43と係合して雄型端子金具40を抜け止め(一次係止)している。また、コネクタハウジング30の上面にはリテーナ36が装着されており、一次係止された雄型端子金具40に係合してこれを二次係止している。なお、雄型端子金具40に接続された電線Cは端子組付口34Aを介して後方へ引き出されている。
【0015】
アーム収容室31Bの底面にはその開口端部に係止受部37が突出して形成されており、雌側コネクタFがフード部31内に完全に嵌め込まれると、ロックアーム15の係止突部15Aと係合して雌雄両コネクタF,Mを嵌合状態に保持する。また、このアーム収容室31Bの奥部には、次述する嵌合検知用のショート端子60が組み付けられている。
ショート端子60は、U字状に折り返して形成され、折り返し部分を奥側へ配した状態で組み付けられている。このショート端子60の上端部は、左右両側方(図1中、紙面に直交する方向)へ二股に枝分かれしており、かつこの各枝片部60Aは山なり状に湾曲している。そして、組み付け状態でこの両枝片部60Aはハウジング収容室31A内へ突出する雄型端子金具40のうち、正面視右側に位置する2つの雄型端子金具40の先端部にそれぞれ接触している。これにより、この2つの雄型端子金具40は、雌側コネクタFがフード部31内に嵌合する前には常に導通状態にあり、フード部31内に雌側コネクタFが完全に嵌り込むと、雌側コネクタFのコネクタハウジング10によって各枝片部60Aが押し下げられ、2つの雄型端子金具40は非導通状態となる。
【0016】
雄型端子金具40は、電線Cの端末が接続されるバレル部41と、雌型端子金具20に接触する接触ピン42とから構成される。バレル部41は、雄型端子金具20の後端部に形成され、符号を付さないが電線Cの被覆端末をかしめる一対のインシュレーションバレル片と、その被覆端末から剥き出された状態で突出する芯線部分をかしめる一対のワイヤバレル片とからなる。接触ピン42には、符号を付さないが保護筒が嵌め込まれており、その保護筒には雄型端子金具40を抜け止めするランス43が切り起こし形成されている。
【0017】
扉50は、コネクタハウジング30の下側に取り付けられており、この扉50には、図9に示すように、底板の左右両縁部に側壁51が立ち上がり形成され、かつ図10に示すように、前縁部には上記収容口32を塞ぐ閉鎖壁52が立ち上がり形成されている。そして、左右両側壁51がコネクタハウジング30の左右両側面から突出する支持軸38に支持されることにより、閉鎖壁52が収容口32を塞ぐ位置から下方向へ回動可能となっている。
【0018】
この扉50の閉鎖壁52には、上記雌側コネクタFの係合片部16と対応する位置にスリット52Aが形成され、かつそのスリット52Aの内方には押下片部53が立設されている。押下片部53には、スリット52Aの下縁部から斜め上方に向けて傾斜するガイド面53Aが形成されており、スリット52A内に係合片部16が挿入されるとその先端部がガイド面53Aに係合し扉50を押し下げようになっている。つまり、雌側コネクタFの嵌め込み動作に伴って扉50が押し下げられて収容口32が開口するようになっている。この押下片部53と係合片部16とによって本発明の扉開放機構が構成される。
また、扉50の底板は、その後縁部が後方に延出しており、そこに延出片部54を形成している。一方、コネクタハウジング30の外側面部には、図9に示すように、その後端部に凹部55が形成されており、そこにV字状に曲げられた板バネ56が組み付けられている。これにより、扉50の延出片部54は板バネ56の下端部によって下方向へ押圧され、閉鎖壁52が収容口32を塞ぐ方向へ付勢される。この板バネ56が本発明の付勢部材に相当する。
【0019】
次に、本実施形態の作用について述べる。雌側コネクタFを雄側コネクタMに嵌合する前の状態では、扉50の延出片部54が板バネ56によって下方向へ押圧されているから、収容口32は閉鎖壁52によって常に閉じられた状態にある(図1参照)。
そして、雌側コネクタFを雄側コネクタMに嵌合させるには、まず、雌側コネクタFの係合片部16を雄側コネクタMのスリット52A内へ差し込む。すると、係合片部16が押下片部53のガイド面53Aに当接し、扉50を押し下げる。そして、雌側コネクタFを嵌合方向へ押し込んで行くと扉50は徐々に押し下げられ、雌側コネクタFを収容するための収容口32が徐々に開口する(図2参照)。
さらに、雌側コネクタFを嵌合方向へ押し込むと、収容口32は完全に開口し、コネクタハウジング10及びロックアーム15はそれぞれハウジング収容室31A及びアーム収容室31B内へ入り込む。すると、ロックアーム15は係止突部15Aが係止受部37に当接することにより撓み始める(図3参照)。
コネクタハウジング10が完全にハウジング収容室31A内に嵌り込むと、係止突部15Aが係止受部37を乗り越えて両者は係合し、雌側コネクタFは嵌合状態にロックされる。また、これと同時に、ショート端子60の枝片部60Aがコネクタハウジング10によって押し下げられて2つの雄型端子金具40間は非導通状態とされる。さらに、扉50が板バネ56の弾発力でもとの状態へと戻り、収容口32は再び閉鎖壁52で塞がれる(図4参照)。
【0020】
上記構成において本実施形態では、以下の効果を奏する。
▲1▼雌側コネクタFを嵌め込む前の状態では、収容口32は常に扉50によって塞がれているため、フード部31内への塵や異物等の侵入を防止することができ、しかも扉50は雌側コネクタFの嵌め込み動作に伴って開かれるから、扉50に対する開き操作を行う必要がない。
▲2▼雌側コネクタFは、板バネ56の付勢力に抗しつつ嵌め込まれて行くから、嵌合途中で嵌め込み動作をやめると、雌側コネクタFは板バネ56からの弾発力を受けて元の位置へと戻されることになる。従って、雌側コネクタFが半嵌合状態となることを防止できる。
▲3▼嵌合状態では、ロックアーム15はフード部31によって完全に覆い隠されるから、嵌合状態では扉50を開けない限り、ロックアーム15に対し解除操作を行うことができない。従って、嵌合状態に対するロックがより確実なものとなる。
▲4▼雄側コネクタMに雌側コネクタFにおける電線Cをフード部31内から引き出すための引出溝33を設けたから、嵌合状態で電線Cが閉鎖壁52と収容口32の開口縁部との間に挟まってしまうことがなく、収容口32を扉50によって確実に塞ぐことができる。
【0021】
<実施形態2>
次に、本発明を具体化した実施形態2を図11を参照して説明する。
本実施形態2の特徴はその扉開放機構を上記実施形態1と異なる構成としたところにある。その他の構造、作用、効果については上記実施形態1と概ね同様であるため、説明を簡略的に留め、若しくは省略する。
雄側コネクタ70はコネクタハウジング71と扉72とからなる。
コネクタハウジング71はフード部73を有し、その内部にはショート端子74と雄型端子金具75の先端部が臨んでいるとともに、雌側コネクタ80を嵌合状態にロックするための固定係止部76が形成されている。
扉72は、上面板部72Aの両側縁に沿って垂下縁部72Bを形成するとともに、上面板72Aと両垂下縁部72Bの前端縁同士を連結するように閉塞壁72Cを形成してなり、両垂下縁部72Bの後端部において上下方向の開閉変位を可能にコネクタハウジング71の軸77に支持されている。扉72の軸支位置よりも後方のバネ受け部72Sとコネクタハウジング71の後端のバネ受け部71Sとの間には圧縮コイルバネ(本発明の構成要件である付勢部材)78が装着され、この圧縮コイルバネ78により扉72が閉塞方向に付勢されている。常には、圧縮コイルバネ78の付勢により上面板部72Aがコネクタハウジング71の上面に重なり合うとともに閉塞壁72Cがフード部73の収容口73Aの上半分領域を閉塞する状態に保持されている。
【0022】
一方、雌側コネクタ80は、フード部73内に嵌合されるコネクタハウジング81と、このコネクタハウジング81内に収容した雌型端子金具(図示せず)とを備えて構成されている。コネクタハウジング81の上面にはその両縁に沿って一対の側壁部82が形成され、この両側壁部82の間の空間には後方へ片持ち状に延出するロックアーム83が形成されている。ロックアーム83の延出端に近い位置には、フード部73の固定係止部76と係合することにより両コネクタ70,80を嵌合状態に保持する可動係止部84が形成されている。また、ロックアーム83の延出端はロック解除操作部85となっている。
かかるロックアーム83を備えたコネクタハウジング81には、その後端から門形に立ち上がる保護枠86が形成されている。この保護枠86はコネクタハウジング81の上面とロックアーム83の間に電線(図示せず)が噛み込むのを防止する機能を有する。
【0023】
本実施形態2の扉開放機構を説明する。
雄側コネクタ70における扉72の閉塞壁72Cの下縁は、扉開閉機構を構成する係合部79とされている。一方、雌側コネクタ80には、その保護枠86の左縁からコネクタハウジング81の上面左端縁に亘って扉開閉機構を構成する係合受け部87が形成されている。この係合受け部87は三角形のリブ状をなし、その上面は嵌合方向に対して斜め方向の傾斜面87Aとなっている。この傾斜面87Aは、コネクタハウジング81の上面と保護枠86の上端面とに滑らかに連続している。尚、フード部73内には、この係合受け部87を収容するための逃がし部73Bが形成されている。
【0024】
雄雌両コネクタ70,80を嵌合する際には、まず、指または雌側コネクタ80の先端部を閉塞壁72Cの下縁に引っ掛けることにより圧縮コイルバネ78の付勢に抗して扉72を上に押し上げて収容口73Aを開放し、かかる状態で雌側コネクタ80をフード部73に浅く嵌合させる。この後、扉72の押し上げを解除すると、圧縮コイルバネ78の付勢によって閉塞壁72Cの係合部79がコネクタハウジング81の上面に当接される。このとき、付勢力によって雌側コネクタ80には嵌合方向と交差する下向きの力を受けるが、フード部73と嵌合状態にあるため、両コネクタ70,80が上下に相対変位する虞はない。
この状態から雌側コネクタ80をフード部73内にさらに押し込むと、係合受け部87の傾斜面87Aが係合部79に当接し、その係合部79が傾斜面87A上を登り方向に摺動し、それに伴って扉72が圧縮コイルバネ78の付勢に抗して押し上げられていく(図11を参照)。そして、係合部79が傾斜面87Aの上端に達して保護枠86を乗り越えると、圧縮コイルバネ78の付勢により扉72が閉塞状態となって収容口73Aが閉塞され、その直後に雌側コネクタ80が正規嵌合状態に至る。
尚、正規嵌合に至る直前には、可動係止部84が固定係止部76に乗り上がりつつロックアーム83が上方へ弾性撓みし、正規嵌合状態に至ると同時に両係止部76,84が解離してロックアーム83が下動し、可動係止部84が固定係止部76に対して奥側(図10の右側)から係止し、もって両コネクタ70,80が正規嵌合状態にロックされる。
上述のように本実施形態2では、実施形態1のようにフード部31内に先行して進入する係合片部16に相当する手段を雌側コネクタ80に設けていないので、雌側コネクタ80の全長が短くなっている。また、係合部79と係合受け部87による扉開放動作は雌側コネクタ80がフード部73内に浅く嵌合した状態で行われるので、圧縮コイルバネ78の付勢力によっ扉72が雌側コネクタ80を下方へ押圧しても、両コネクタ70,80は上下方向に相対変位せず、正しい位置関係を保ちつつ嵌合を進めることができる。
【0025】
<実施形態3>
次に、本発明を具体化した実施形態3を図12を参照して説明する。
本実施形態3は、扉開閉機構の構成を上記実施形態2と異ならせたものである。この他の構成については実施形態2と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
雄側コネクタ70においては、扉72の閉塞壁72Cの外面に係合受け部88が形成されている。この係合受け部88は、側方から視て三角形状をなし、斜め前下方に面するオーバーハング状の傾斜面88Aを有している。一方、雌側コネクタ80においては、保護枠86の上端縁が係合部89とされている。係合部89の高さは、扉72がコネクタハウジング81の上面に当接している状態で係合受け部88の傾斜面88Aの上端よりも低くなるように設定されている。尚、フード部73には、上記実施形態2の逃がし部73Bに相当する手段は設けられていない。
雄雌両コネクタ70,80を嵌合する際には、まず、指または雌側コネクタ80の先端部を閉塞壁72Cの下縁に引っ掛けることにより圧縮コイルバネ78の付勢に抗して扉72を上に押し上げて収容口73Aを開放し、かかる状態で雌側コネクタ80をフード部73に浅く嵌合させる。そして、雌側コネクタ80をフード部73内に押し込むと、係合部89が係合受け部88の傾斜面88Aの上端位置に当接し、その係合部89が傾斜面88A上を摺動しつつ圧縮コイルバネ78の付勢に抗して扉72を押し上げていく(図12を参照)。そして、傾斜面88Aの下端即ち閉塞壁72Cの下端縁が保護枠86を乗り越えると、圧縮コイルバネ78の付勢により扉72が閉塞状態となって収容口73Aが閉塞されるとともに、両コネクタ70,80が正規嵌合状態に至る。
上述のように本実施形態3では、雌側コネクタ80の扉開閉機構である係合部89がフード部73に進入しない形態となっているので、フード部73内に係合部89の収容スペースが不要となっている。
【0026】
<変形例>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
(1) 上記実施形態では、雄側コネクタMにはショート端子60が組み付けられていたが、これを備えないものであってもよい。
(2) 上記実施形態では、扉50は収容口32を塞ぐ位置に板バネ56によって付勢されていたが、板バネ56を設けずに扉50とコネクタハウジング30との間に相互に係合可能なロック部を設けて扉50を収容口32を塞ぐ位置にロックしておき、係合片部16と押下片部53とが係合したらそのロックが解除されるようにしてもよい。
【0027】
(3) 上記実施形態では、嵌合状態でロックアーム15は扉50によって覆い隠されるように構成されていたが、嵌合状態でロックアームが露出しており、扉50を開けなくてもロックを解除できるように構成してもよい。
その他、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1の嵌合前状態を示す側断面図である。
【図2】 嵌合途中(扉開口途中)を示す側断面図である。
【図3】 嵌合途中(ロックアーム撓み途中)を示す側断面図である。
【図4】 嵌合状態を示す側断面図である。
【図5】 雌側コネクタの平面図である。
【図6】 雌側コネクタの側面図である。
【図7】雌側コネクタの正面図である。
【図8】雄側コネクタの平面図である。
【図9】雄側コネクタの側面図である。
【図10】雄側コネクタの正面図である。
【図11】実施形態2の嵌合過程をあらわす側断面図
【図12】実施形態3の嵌合過程をあらわす側断面図
【符号の説明】
15…ロックアーム(ロック機構)
16…係合片部(係合部)
31…フード部
32…収容口
37…係止受部(ロック機構)
50…扉
53…押下片部(係合受部)
56…板バネ(付勢部材)
M…雄側コネクタ
F…雌側コネクタ
70…雄側コネクタ
72…扉
73…フード部
73A…収容口
76…固定係止部(ロック機構)
78…圧縮コイルバネ(付勢部材)
79、89…係合部
80…雌側コネクタ
83…ロックアーム(ロック機構)
87、88…係合受け部

Claims (3)

  1. 相互に嵌合可能な2つのコネクタを備え、
    一方のコネクタには、両コネクタが嵌合した状態において他方のコネクタを収容するためのフード部が設けられているとともに、
    前記フード部の前面における前記他方のコネクタを収容するための収容口には、その収容口を塞ぐ扉が開閉可能に設けられるとともに、前記扉を前記他方のコネクタの嵌め込み動作に伴って開放位置へ変位させる扉開放機構が設けられ、
    前記他方のコネクタは、コネクタハウジングの後面に引き出された電線が電線保持部によって上方へ曲げられた状態で保持された形態とされており、
    前記他方のコネクタが前記フード部内に嵌合した状態では、前記電線保持部が前記収容口の上縁部に位置するとともに、前記収容口の上縁部に設けた引出溝から前記電線が前記フード部の外へ引き出され、前記電線保持部とこの電線保持部に当接する前記扉とにより、前記収容口の開口領域のうち前記電線の引出し部分を除いた領域を塞ぐ構成とされていることを特徴とするコネクタ。
  2. 請求項1記載のコネクタにおいて、前記扉は付勢部材によって前記収容口を塞ぐ方向に付勢されており、かつ、前記扉開放機構は、前記一方と他方の両コネクタのうちの片側に嵌合方向に沿って傾斜させて設けた係合受け部と、反対側のコネクタに設けられ前記係合受け部の傾斜面上を移動してゆく過程で前記扉を前記付勢部材の付勢力に抗して開く方向へ移動させる係合部とからなることを特徴とするコネクタ。
  3. 請求項1又は請求項2記載のコネクタにおいて、前記他方のコネクタを前記フード部内に収容し、両コネクタを嵌合状態に保持するロック機構が設けられるとともに、その嵌合状態では前記ロック機構が前記扉によって覆い隠されることを特徴とするコネクタ。
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