JP3674198B2 - 消磁コイルの取付け方法およびカラー映像受像機 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消磁コイルの取付け方法およびカラー映像受像機に関し、更に詳しくは、消磁コイルの取付け方法を改良して磁気シールド効率の向上を図った消磁コイルの取付け方法およびそれを用いたカラー映像受像機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子技術の発達やユーザニーズの高まりにより、電子機器の高性能化が進んでいる。例えばコンピュータディスプレイなどのカラー映像受像機においては、大画面化や高画質化が進行している。これらのカラー映像受像機に使用される陰極線管では、地磁気等の外部磁界の影響により電子ビームが正しく蛍光面に衝突しないために起こる色純度の変化を防止するため、外部磁気シールド板(以下、単に「OMS」と略記する)や消磁コイルが用いられる。
詳細は後述するが、この消磁コイルにより、OMS、陰極線管内の内部磁気シールド板、色選別手段、および色選別手段の取付けられたフレームに交流減衰磁界を加えて磁化することにより、陰極線管の内部空間に反磁界を形成してシールド効果を高めている。
【0003】
カラー映像受像機における従来の消磁コイルの取付け方法について図5を参照して説明する。図5は従来の技術による消磁コイルの取付け方法を示す図であり、(a)は消磁コイルの取付け状態を示す上面図、(b)は消磁コイルおよび外部磁気シールド板の位置関係を示す斜視図である。
【0004】
図5に示されるような陰極線管1のパネル外周部には、バルブの爆縮を防ぐ補強金具2が巻着して構成される。補強金具2の例えば四隅には、陰極線管1をベズル・キャビネット(図示省略)に取付けるためのホルダ3(図5における陰極線管上部のホルダを3a、3bとする)が一体的に設けられている。陰極線管1のファンネル部には高圧電圧を印加するアノードボタン4が形成されている。
そして、従来の技術による消磁コイル5は、補強金具2の上下部に図5(b)のように配置され、更にその外側には外部磁気シールド板(OMS)6が消磁コイル5の一部を覆うように配置されている。
【0005】
消磁コイル5は、導体であるリード線を数回巻回して、陰極線管1の上部用および下部用として略長方形状としてフォーミング(整形)され、全周にわたって電気絶縁用テープを巻き付けて形成される。上部用および下部用の消磁コイル5は、図示を省略したリード線により直列に接続され、カラー映像受像機の電源投入時には電気回路から上記リード線を介して所定の消磁電流(減衰振動電流)を印加することにより、色選別手段等の磁性体の消磁を行うようになっている。
【0006】
しかしながら、従来の技術による消磁コイル5は、図5に示すように、全長が短く(例えば20インチの陰極線管で850mm程度)、消磁コイル5によって囲まれる面積Uが小さいため、詳細は後述するが、陰極線管1内の内部磁気シールド板、色選別手段、フレーム等の磁性体に充分な磁束を通すことが出来ず、陰極線管1の消磁効率が低いという問題がある。
【0007】
また、消磁コイル5を覆うように配置された従来のOMS6は、図5(b)に示されるように、管軸V方向の幅が均一で狭く、消磁コイル5全体を挟み込む構造にできないため、消磁コイル5の発生する磁束が充分にOMS6に流れず、陰極線管1の消磁効率が低いという問題がある。なお、消磁コイル5の何れか1方をOMS6の外側に配置するような構成においても、同様の理由で陰極線管1の消磁効率は低いものであった。
【0008】
一方、特開昭61−289787公報記載の「カラーテレビジョン受像機」には、磁気シールド板の内側と外側の両方にまたがって巻回された磁気キャンセルコイルを設置する方法が開示されているが、この方法は磁気キャンセルコイルを磁気シールド板に沿って巻回させるものであり、本発明とは構成を異にするものである。また、特開平2−76494公報記載の「カラー映像受像機」には、磁気キャンセルコイルを消磁コイルに併用する内容が開示されているが、このコイルの形状は陰極線管パネル部の外周に取付けるようになされた“リング形状”であり、本発明の“上下対向型”とは構成が異なるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる観点に鑑みてなされたもので、その課題は、従来の消磁コイルの取付け方法およびカラー映像受像機における色選別手段等の磁性体の消磁効率の低さを改善し、効率の良い磁気キャンセル効果の得られる消磁コイルの取付け方法およびカラー映像受像機を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明の消磁コイルの取付け方法は、ホルダを備えた補強金具を巻着してなる陰極線管に取付けられる消磁コイルの取付け方法において、
その消磁コイルによって囲まれる面積内に補強金具の長辺部が含まれ、かつ消磁コイルがホルダに接し、更に消磁コイルの少なくとも一部が陰極線管のネック方向にアノードボタンを越えて延在するように取付けられることを特徴とする。
【0011】
また、好ましくは、陰極線管の上下部に陰極線管の管面方向に迫り出した突出縁部が形成された外部磁気シールド板を更に備え、
消磁コイルは、外部磁気シールド板の突出縁部を介して外部磁気シールド板の内側と外側の両方にまたがり、外部磁気シールド板を挟み込むように取付けられることが望ましい。
これにより、消磁コイルが色選別手段等の磁性体に近接するとともに、消磁コイルが外部磁気シールド板を挟み込むようになるので、一定の消磁電流でより高い密度の磁束を色選別手段等の磁性体に供給することができ、陰極線管の磁気シールド効率の向上を図ることができる。
【0012】
本発明のカラー映像受像機は、ホルダを備えた補強金具を巻着してなる陰極線管と、陰極線管に取付けられる上下一対の消磁コイルと、外部磁気シールド板とを有するカラー映像受像機において、
外部磁気シールド板に、陰極線管の上下部において管面方向に迫り出した突出縁部を形成するとともに、
消磁コイルは、消磁コイルによって囲まれる面積内に補強金具の長辺部が含まれ、かつ消磁コイルがホルダに接し、かつ消磁コイルの少なくとも一部が陰極線管のネック方向にアノードボタンを越えて延在し、更に外部磁気シールド板の突出縁部にまたがり、その後外部磁気シールド板に沿って延在するように取付けられていることを特徴とする。
これにより、例えば消磁コイル→外部磁気シールド板→フレームおよび色選別手段というループにより陰極線管内の磁性体に効率よく磁束を流せるようになり、地磁気ドリフト量が改善される。そのため、電子ビームがより正確に蛍光体に衝突するようになり、カラー映像受像機における色純度が改善される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態につき添付図面を参照して説明する。
【0014】
先ず、図1および図2を参照して本発明の消磁コイルの取付け方法の手順▲1▼を説明する。図1は本発明の消磁コイルの取付け方法を示す上面図であり、図2は消磁コイルと陰極線管内の磁性体との関係を示す上面図である。なお、従来技術で記載した事項と共通する部分には以降も同一参照符号を付し、それらの説明を一部省略する。
【0015】
図1に示されるような陰極線管1のパネル外周部には補強金具2が巻設して構成される。補強金具2の例えば四隅にはホルダ3(陰極線管上部のホルダを3a、3bとする)が一体的に設けられている。陰極線管1のファンネル部には高圧電圧を印加するアノードボタン4が形成されている。
【0016】
また、図2における陰極線管1の内部には、色選別手段7と、色選別手段7を保持するフレーム8が形成されている。陰極線管1の上下部(陰極線管管面の長辺方向)、左右部(陰極線管管面の短辺方向、後述する図4参照)には、フレーム8に近接して内部磁気シールド板(以下、単に「IMS」と略記する)9が配設されている。なお、図2および図4に示したフレーム8およびIMS9は実際には陰極線管1の内部に形成されるものであるが、説明を容易にするため実線で示した。
【0017】
再度図1に戻り、本発明の特徴事項たる消磁コイル15は、陰極線管1に次のように配置される。すなわち、本発明の消磁コイル15は、消磁コイル15によって囲まれる面積U内に補強金具2の長辺部が含まれ、かつ消磁コイル5が補強金具2に設けられた左右ホルダ3a、3bに接し、更に消磁コイル15後方(ネック方向)の少なくとも一部が、管軸Vとアノードボタン4を含んで直交する基線Wを越えて延在するように配置される。
【0018】
これにより、消磁コイル15は、図2に示すように、陰極線管1内の磁性体(色選別手段7、フレーム8、IMS9)を取り囲むことができ、その結果、これら磁性体に充分な磁束を通過させることができ、陰極線管1の磁気シールド効率を向上することができる。なお、消磁コイル15は陰極線管1の下部にも同様に設置されているが、上部と対称的に形成されているものとしてその説明を省略する。
【0019】
次に、図3および図4を参照して本発明の消磁コイルの取付け方法の手順▲2▼を説明する。図3は本発明の消磁コイルの取付け方法における消磁コイルと外部磁気シールド板の位置関係を示す斜視図であり、図4は本発明の消磁コイルの取付け方法による磁束の流れを示す側面図である。
【0020】
本発明の一方の特徴事項たる外部磁気シールド板(OMS)16は、次のように構成される。すなわち、本発明のOMS16は、図3に示すように、陰極線管の上下部(陰極線管の長辺方向側)において、陰極線管の管面方向に迫り出した突出縁部10が形成されている。そして、消磁コイル15は、OMS16の上下部に設けられた突出縁部10の外側にまたがり、その後OMS16の内面に沿って延在するように取付けられる。このように、消磁コイル15を本発明OMS16の内側と外側の両方にまたがり、OMS16の突出縁部10を挟み込むように配置することにより、消磁コイル15より発生した磁束を充分OMS16に通すことが可能となる。なお、消磁コイル15は、OMS16の突出縁部10の内側にまたがり、その後OMS16の外側に沿って延在するように取付けても良い。更に、図4に示すように形成されたIMS9→OMS16→フレーム8→色選別手段7というループZにより陰極線管1内の磁性体に効率よく磁束を流せるようになる。
【0021】
引き続き、本発明の消磁コイルの取付け方法による効果を確認するための実験2例につき、順次説明する。
【0022】
先ず、表1を参照して実験1を説明する。表1は管面方向に迫り出した突出縁部10が形成されたOMS16に、消磁コイル15を、OMS16の突出縁部10の外側にまたがり、その後OMS16の内面に沿って延在するように取付ける構成とした時のIMS9およびOMS16内の磁束密度の変化を示す。この実験は、IMS9およびOMS16に検出コイルを巻回し、出力電圧を積分器を介してオシロスコープで測定する方法にて行った。本発明を実施前のIMS9を通過する磁束密度を基準(=1)とし、各相対値で示した。
【0023】
【表1】
【0024】
表1から明らかなように、本発明を実施前に比して本発明を実施後のOMS16により効率良く磁束が流れていることが知見される。このことは、消磁コイル15をOMS16の内側と外側の両方にまたがるように配置することにより、OMS16に効率良く磁束が流れていることを示すものである。
【0025】
次に、表2を参照して実験2を説明する。表2は本発明による地磁気ドリフト量を測定したものであり、その測定は、例えば表2右図に示すように、磁界H中に陰極線管1を設置し、磁界Hに直交するY軸を中心に360°回転する(実際には磁場を回転する)ことにより、地磁気ドリフト量を測定する従来公知の方法にて行った。
【0026】
ここで、地磁気ドリフト量とは、カラー陰極線管を地磁気存在する場所(本実施例の地磁気水平成分は略30μT(テスラ))で東西南北を含む360°方角へ向け設置したとき(消磁は方角変更毎に行う)の電子ビームの水平方向最大移動量(Peak to Peak 値) であり、この値が小さい程、陰極線管1の磁気シールド効果が高いと言える。その測定結果を表2に示す。なお、この実施例では、消磁コイル全長1100mm(従来850mm)、片側100ターン(従来と同じ)とし、突入電流は共に20AP-P で比較した。また、表2には、同様にして測定した従来の消磁コイル、手順▲1▼の消磁コイルのみ延長した場合、および手順▲2▼の消磁コイルをOMS挟み込んだ場合についてもあわせて掲載している。
【0027】
【表2】
【0028】
表2において、地磁気ドリフト量の単位は〔μm P-P〕である。表2に示されたY軸端の地磁気ドリフト量は、Y軸上2、5の平均ドリフト量であり、コーナのドリフト量は、各々コーナ1、3、4、6の平均ドリフト量である。表2から明らかなように、本発明の消磁コイルのみ延長の場合、Y軸端では従来の34に比べ27と7μm P-Pシールド効果が改善され、コーナでは5μm P-Pシールド効果が改善されていることが判る。このように地磁気ドリフト量が改善されることにより、上述したように電子ビームがより正確に蛍光体に衝突するようになり、色純度が改善される。
【0029】
本発明は前記実施の形態例に限定されず種々の実施形態を採ることができる。例えば、本実施の形態例ではコンピュータディスプレイに使用される陰極線管について例示したが、その他テレビジョン受像機に使用される一般的な陰極線管、或いはハイビジョン型やフルフラット型の陰極線管も含まれる。また、消磁コイルの形状について略凹型形状のものを例示したが、ループ状のものやその他形状にも応用可能であり、消磁コイルの形状に限定されるものではない。更に、本発明は本発明の要旨を逸脱することなく種々の構成を採りうることは言うまでもない。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の消磁コイルの取付け方法およびカラー映像受像機によれば、消磁コイルによって囲まれる面積内に補強金具の長辺部が含まれ、かつ消磁コイルが補強金具に設けられたホルダに接し、かつ消磁コイルの少なくとも一部が、陰極線管のネック方向にアノードボタンを越えて延在するように配設されている。更に消磁コイルは、外部磁気シールド板に形成された突出縁部にまたがり、その後外部磁気シールド板に沿って延在するように取付ける構成とした。これにより、一定の消磁電流でより高密度の磁束を色選別手段等の磁性体に供給することができ、陰極線管の磁気シールド効率の向上を図ることができる。また、陰極線管内の色選別手段等の磁性体に効率よく磁束を流せるようになるため、地磁気ドリフト量が改善され、電子ビームがより正確に蛍光体に衝突するようになって色純度の改善されたカラー映像受像機が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の消磁コイルの取付け方法を示す上面図である。
【図2】 消磁コイルと陰極線管内の磁性体との関係を示す上面図である。
【図3】 本発明の消磁コイルの取付け方法における消磁コイルと外部磁気シールド板の位置関係を示す斜視図である。
【図4】 本発明の消磁コイルの取付け方法による磁束の流れを示す側面図である。
【図5】 従来の技術による消磁コイルの取付け方法を示す図であり、(a)は消磁コイルの取付け状態を示す上面図、(b)は消磁コイルおよび外部磁気シールド板の位置関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
1……陰極線管、2……補強金具、3a,3b……ホルダ、4……アノードボタン、5,15……消磁コイル、6,16……外部磁気シールド板(OMS)、7……色選別手段、8……フレーム、9……内部磁気シールド板(IMS)、10……突出縁部
【発明の属する技術分野】
本発明は、消磁コイルの取付け方法およびカラー映像受像機に関し、更に詳しくは、消磁コイルの取付け方法を改良して磁気シールド効率の向上を図った消磁コイルの取付け方法およびそれを用いたカラー映像受像機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子技術の発達やユーザニーズの高まりにより、電子機器の高性能化が進んでいる。例えばコンピュータディスプレイなどのカラー映像受像機においては、大画面化や高画質化が進行している。これらのカラー映像受像機に使用される陰極線管では、地磁気等の外部磁界の影響により電子ビームが正しく蛍光面に衝突しないために起こる色純度の変化を防止するため、外部磁気シールド板(以下、単に「OMS」と略記する)や消磁コイルが用いられる。
詳細は後述するが、この消磁コイルにより、OMS、陰極線管内の内部磁気シールド板、色選別手段、および色選別手段の取付けられたフレームに交流減衰磁界を加えて磁化することにより、陰極線管の内部空間に反磁界を形成してシールド効果を高めている。
【0003】
カラー映像受像機における従来の消磁コイルの取付け方法について図5を参照して説明する。図5は従来の技術による消磁コイルの取付け方法を示す図であり、(a)は消磁コイルの取付け状態を示す上面図、(b)は消磁コイルおよび外部磁気シールド板の位置関係を示す斜視図である。
【0004】
図5に示されるような陰極線管1のパネル外周部には、バルブの爆縮を防ぐ補強金具2が巻着して構成される。補強金具2の例えば四隅には、陰極線管1をベズル・キャビネット(図示省略)に取付けるためのホルダ3(図5における陰極線管上部のホルダを3a、3bとする)が一体的に設けられている。陰極線管1のファンネル部には高圧電圧を印加するアノードボタン4が形成されている。
そして、従来の技術による消磁コイル5は、補強金具2の上下部に図5(b)のように配置され、更にその外側には外部磁気シールド板(OMS)6が消磁コイル5の一部を覆うように配置されている。
【0005】
消磁コイル5は、導体であるリード線を数回巻回して、陰極線管1の上部用および下部用として略長方形状としてフォーミング(整形)され、全周にわたって電気絶縁用テープを巻き付けて形成される。上部用および下部用の消磁コイル5は、図示を省略したリード線により直列に接続され、カラー映像受像機の電源投入時には電気回路から上記リード線を介して所定の消磁電流(減衰振動電流)を印加することにより、色選別手段等の磁性体の消磁を行うようになっている。
【0006】
しかしながら、従来の技術による消磁コイル5は、図5に示すように、全長が短く(例えば20インチの陰極線管で850mm程度)、消磁コイル5によって囲まれる面積Uが小さいため、詳細は後述するが、陰極線管1内の内部磁気シールド板、色選別手段、フレーム等の磁性体に充分な磁束を通すことが出来ず、陰極線管1の消磁効率が低いという問題がある。
【0007】
また、消磁コイル5を覆うように配置された従来のOMS6は、図5(b)に示されるように、管軸V方向の幅が均一で狭く、消磁コイル5全体を挟み込む構造にできないため、消磁コイル5の発生する磁束が充分にOMS6に流れず、陰極線管1の消磁効率が低いという問題がある。なお、消磁コイル5の何れか1方をOMS6の外側に配置するような構成においても、同様の理由で陰極線管1の消磁効率は低いものであった。
【0008】
一方、特開昭61−289787公報記載の「カラーテレビジョン受像機」には、磁気シールド板の内側と外側の両方にまたがって巻回された磁気キャンセルコイルを設置する方法が開示されているが、この方法は磁気キャンセルコイルを磁気シールド板に沿って巻回させるものであり、本発明とは構成を異にするものである。また、特開平2−76494公報記載の「カラー映像受像機」には、磁気キャンセルコイルを消磁コイルに併用する内容が開示されているが、このコイルの形状は陰極線管パネル部の外周に取付けるようになされた“リング形状”であり、本発明の“上下対向型”とは構成が異なるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる観点に鑑みてなされたもので、その課題は、従来の消磁コイルの取付け方法およびカラー映像受像機における色選別手段等の磁性体の消磁効率の低さを改善し、効率の良い磁気キャンセル効果の得られる消磁コイルの取付け方法およびカラー映像受像機を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために本発明の消磁コイルの取付け方法は、ホルダを備えた補強金具を巻着してなる陰極線管に取付けられる消磁コイルの取付け方法において、
その消磁コイルによって囲まれる面積内に補強金具の長辺部が含まれ、かつ消磁コイルがホルダに接し、更に消磁コイルの少なくとも一部が陰極線管のネック方向にアノードボタンを越えて延在するように取付けられることを特徴とする。
【0011】
また、好ましくは、陰極線管の上下部に陰極線管の管面方向に迫り出した突出縁部が形成された外部磁気シールド板を更に備え、
消磁コイルは、外部磁気シールド板の突出縁部を介して外部磁気シールド板の内側と外側の両方にまたがり、外部磁気シールド板を挟み込むように取付けられることが望ましい。
これにより、消磁コイルが色選別手段等の磁性体に近接するとともに、消磁コイルが外部磁気シールド板を挟み込むようになるので、一定の消磁電流でより高い密度の磁束を色選別手段等の磁性体に供給することができ、陰極線管の磁気シールド効率の向上を図ることができる。
【0012】
本発明のカラー映像受像機は、ホルダを備えた補強金具を巻着してなる陰極線管と、陰極線管に取付けられる上下一対の消磁コイルと、外部磁気シールド板とを有するカラー映像受像機において、
外部磁気シールド板に、陰極線管の上下部において管面方向に迫り出した突出縁部を形成するとともに、
消磁コイルは、消磁コイルによって囲まれる面積内に補強金具の長辺部が含まれ、かつ消磁コイルがホルダに接し、かつ消磁コイルの少なくとも一部が陰極線管のネック方向にアノードボタンを越えて延在し、更に外部磁気シールド板の突出縁部にまたがり、その後外部磁気シールド板に沿って延在するように取付けられていることを特徴とする。
これにより、例えば消磁コイル→外部磁気シールド板→フレームおよび色選別手段というループにより陰極線管内の磁性体に効率よく磁束を流せるようになり、地磁気ドリフト量が改善される。そのため、電子ビームがより正確に蛍光体に衝突するようになり、カラー映像受像機における色純度が改善される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態につき添付図面を参照して説明する。
【0014】
先ず、図1および図2を参照して本発明の消磁コイルの取付け方法の手順▲1▼を説明する。図1は本発明の消磁コイルの取付け方法を示す上面図であり、図2は消磁コイルと陰極線管内の磁性体との関係を示す上面図である。なお、従来技術で記載した事項と共通する部分には以降も同一参照符号を付し、それらの説明を一部省略する。
【0015】
図1に示されるような陰極線管1のパネル外周部には補強金具2が巻設して構成される。補強金具2の例えば四隅にはホルダ3(陰極線管上部のホルダを3a、3bとする)が一体的に設けられている。陰極線管1のファンネル部には高圧電圧を印加するアノードボタン4が形成されている。
【0016】
また、図2における陰極線管1の内部には、色選別手段7と、色選別手段7を保持するフレーム8が形成されている。陰極線管1の上下部(陰極線管管面の長辺方向)、左右部(陰極線管管面の短辺方向、後述する図4参照)には、フレーム8に近接して内部磁気シールド板(以下、単に「IMS」と略記する)9が配設されている。なお、図2および図4に示したフレーム8およびIMS9は実際には陰極線管1の内部に形成されるものであるが、説明を容易にするため実線で示した。
【0017】
再度図1に戻り、本発明の特徴事項たる消磁コイル15は、陰極線管1に次のように配置される。すなわち、本発明の消磁コイル15は、消磁コイル15によって囲まれる面積U内に補強金具2の長辺部が含まれ、かつ消磁コイル5が補強金具2に設けられた左右ホルダ3a、3bに接し、更に消磁コイル15後方(ネック方向)の少なくとも一部が、管軸Vとアノードボタン4を含んで直交する基線Wを越えて延在するように配置される。
【0018】
これにより、消磁コイル15は、図2に示すように、陰極線管1内の磁性体(色選別手段7、フレーム8、IMS9)を取り囲むことができ、その結果、これら磁性体に充分な磁束を通過させることができ、陰極線管1の磁気シールド効率を向上することができる。なお、消磁コイル15は陰極線管1の下部にも同様に設置されているが、上部と対称的に形成されているものとしてその説明を省略する。
【0019】
次に、図3および図4を参照して本発明の消磁コイルの取付け方法の手順▲2▼を説明する。図3は本発明の消磁コイルの取付け方法における消磁コイルと外部磁気シールド板の位置関係を示す斜視図であり、図4は本発明の消磁コイルの取付け方法による磁束の流れを示す側面図である。
【0020】
本発明の一方の特徴事項たる外部磁気シールド板(OMS)16は、次のように構成される。すなわち、本発明のOMS16は、図3に示すように、陰極線管の上下部(陰極線管の長辺方向側)において、陰極線管の管面方向に迫り出した突出縁部10が形成されている。そして、消磁コイル15は、OMS16の上下部に設けられた突出縁部10の外側にまたがり、その後OMS16の内面に沿って延在するように取付けられる。このように、消磁コイル15を本発明OMS16の内側と外側の両方にまたがり、OMS16の突出縁部10を挟み込むように配置することにより、消磁コイル15より発生した磁束を充分OMS16に通すことが可能となる。なお、消磁コイル15は、OMS16の突出縁部10の内側にまたがり、その後OMS16の外側に沿って延在するように取付けても良い。更に、図4に示すように形成されたIMS9→OMS16→フレーム8→色選別手段7というループZにより陰極線管1内の磁性体に効率よく磁束を流せるようになる。
【0021】
引き続き、本発明の消磁コイルの取付け方法による効果を確認するための実験2例につき、順次説明する。
【0022】
先ず、表1を参照して実験1を説明する。表1は管面方向に迫り出した突出縁部10が形成されたOMS16に、消磁コイル15を、OMS16の突出縁部10の外側にまたがり、その後OMS16の内面に沿って延在するように取付ける構成とした時のIMS9およびOMS16内の磁束密度の変化を示す。この実験は、IMS9およびOMS16に検出コイルを巻回し、出力電圧を積分器を介してオシロスコープで測定する方法にて行った。本発明を実施前のIMS9を通過する磁束密度を基準(=1)とし、各相対値で示した。
【0023】
【表1】
【0024】
表1から明らかなように、本発明を実施前に比して本発明を実施後のOMS16により効率良く磁束が流れていることが知見される。このことは、消磁コイル15をOMS16の内側と外側の両方にまたがるように配置することにより、OMS16に効率良く磁束が流れていることを示すものである。
【0025】
次に、表2を参照して実験2を説明する。表2は本発明による地磁気ドリフト量を測定したものであり、その測定は、例えば表2右図に示すように、磁界H中に陰極線管1を設置し、磁界Hに直交するY軸を中心に360°回転する(実際には磁場を回転する)ことにより、地磁気ドリフト量を測定する従来公知の方法にて行った。
【0026】
ここで、地磁気ドリフト量とは、カラー陰極線管を地磁気存在する場所(本実施例の地磁気水平成分は略30μT(テスラ))で東西南北を含む360°方角へ向け設置したとき(消磁は方角変更毎に行う)の電子ビームの水平方向最大移動量(Peak to Peak 値) であり、この値が小さい程、陰極線管1の磁気シールド効果が高いと言える。その測定結果を表2に示す。なお、この実施例では、消磁コイル全長1100mm(従来850mm)、片側100ターン(従来と同じ)とし、突入電流は共に20AP-P で比較した。また、表2には、同様にして測定した従来の消磁コイル、手順▲1▼の消磁コイルのみ延長した場合、および手順▲2▼の消磁コイルをOMS挟み込んだ場合についてもあわせて掲載している。
【0027】
【表2】
【0028】
表2において、地磁気ドリフト量の単位は〔μm P-P〕である。表2に示されたY軸端の地磁気ドリフト量は、Y軸上2、5の平均ドリフト量であり、コーナのドリフト量は、各々コーナ1、3、4、6の平均ドリフト量である。表2から明らかなように、本発明の消磁コイルのみ延長の場合、Y軸端では従来の34に比べ27と7μm P-Pシールド効果が改善され、コーナでは5μm P-Pシールド効果が改善されていることが判る。このように地磁気ドリフト量が改善されることにより、上述したように電子ビームがより正確に蛍光体に衝突するようになり、色純度が改善される。
【0029】
本発明は前記実施の形態例に限定されず種々の実施形態を採ることができる。例えば、本実施の形態例ではコンピュータディスプレイに使用される陰極線管について例示したが、その他テレビジョン受像機に使用される一般的な陰極線管、或いはハイビジョン型やフルフラット型の陰極線管も含まれる。また、消磁コイルの形状について略凹型形状のものを例示したが、ループ状のものやその他形状にも応用可能であり、消磁コイルの形状に限定されるものではない。更に、本発明は本発明の要旨を逸脱することなく種々の構成を採りうることは言うまでもない。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の消磁コイルの取付け方法およびカラー映像受像機によれば、消磁コイルによって囲まれる面積内に補強金具の長辺部が含まれ、かつ消磁コイルが補強金具に設けられたホルダに接し、かつ消磁コイルの少なくとも一部が、陰極線管のネック方向にアノードボタンを越えて延在するように配設されている。更に消磁コイルは、外部磁気シールド板に形成された突出縁部にまたがり、その後外部磁気シールド板に沿って延在するように取付ける構成とした。これにより、一定の消磁電流でより高密度の磁束を色選別手段等の磁性体に供給することができ、陰極線管の磁気シールド効率の向上を図ることができる。また、陰極線管内の色選別手段等の磁性体に効率よく磁束を流せるようになるため、地磁気ドリフト量が改善され、電子ビームがより正確に蛍光体に衝突するようになって色純度の改善されたカラー映像受像機が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の消磁コイルの取付け方法を示す上面図である。
【図2】 消磁コイルと陰極線管内の磁性体との関係を示す上面図である。
【図3】 本発明の消磁コイルの取付け方法における消磁コイルと外部磁気シールド板の位置関係を示す斜視図である。
【図4】 本発明の消磁コイルの取付け方法による磁束の流れを示す側面図である。
【図5】 従来の技術による消磁コイルの取付け方法を示す図であり、(a)は消磁コイルの取付け状態を示す上面図、(b)は消磁コイルおよび外部磁気シールド板の位置関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
1……陰極線管、2……補強金具、3a,3b……ホルダ、4……アノードボタン、5,15……消磁コイル、6,16……外部磁気シールド板(OMS)、7……色選別手段、8……フレーム、9……内部磁気シールド板(IMS)、10……突出縁部
Claims (3)
- ホルダを備えた補強金具を巻着してなる陰極線管に取付けられる消磁コイルの取付け方法において、
前記消磁コイルによって囲まれる面積内に前記補強金具の長辺部が含まれ、かつ前記消磁コイルが前記ホルダに接し、更に前記消磁コイルの少なくとも一部が、前記陰極線管のネック方向にアノードボタンを越えて延在するように取付けられることを特徴とする消磁コイルの取付け方法。 - 前記陰極線管の上下部において、前記陰極線管の管面方向に迫り出した突出縁部が形成された外部磁気シールド板を備え、
前記消磁コイルは、前記外部磁気シールド板の突出縁部を介して前記外部磁気シールド板の内側と外側の両方に跨がり、前記外部磁気シールド板を挟み込むように取付けられることを特徴とする請求項1記載の消磁コイルの取付け方法。 - ホルダを備えた補強金具を巻着してなる陰極線管と、前記陰極線管に取付けられる上下一対の消磁コイルと、外部磁気シールド板とを有するカラー映像受像機において、
前記外部磁気シールド板に、前記陰極線管の上下部において管面方向に迫り出した突出縁部を形成するとともに、
前記消磁コイルは、前記消磁コイルによって囲まれる面積内に前記補強金具の長辺部が含まれ、かつ前記消磁コイルが前記ホルダに接し、かつ前記消磁コイルの少なくとも一部が前記陰極線管のネック方向にアノードボタンを越えて延在し、更に前記外部磁気シールド板の突出縁部に跨がり、その後前記外部磁気シールド板に沿って延在するように取付けられていることを特徴とするカラー映像受像機。
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-
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- 1996-11-29 JP JP32001296A patent/JP3674198B2/ja not_active Expired - Fee Related
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