JP3673646B2 - 保持材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、被保持物に回されて、その被保持物を簡単に保持することができる、保持材に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来、例えば、建物の天井等から、配線・配管材や各種ダクト等の被保持物を吊り下げるようにして保持するために、湾曲可能な帯状の金属板からなる、保持材としての保持バンドが使用されていた。
【0003】
例えば、図8に示す保持バンド21においては、その長手方向に所定間隔を置いて複数の透孔21a、21aが並ぶように設けられていた。この保持バンド21は、被保持物22の下側に回すようにし、上部側を、天井の形鋼23等に固定された吊り金具24の孔24aに通し、その後、両端を透孔21a、21aが連通するように重ね合わせて、その連通する透孔21a、21aにボルト25を挿通して、その挿通したボルト25の先端側にナット(図示せず)を螺合させることで、その両端が止められるものであった。
【0004】
しかし、上記の保持バンド21にあっては、ボルト25とナットを別途用意しなければならず、また、重ね合わせた両端の互いの透孔21a、21aが連通するように位置を合わせて、その透孔21a、21aにボルト25を挿通させ、さらにナットを螺合させるという一連の作業を必要とし、面倒で作業性が悪かった。
【0005】
また、例えば、図9に示す保持バンド31においては、ボルト25やナットを不要にするものであり、切り起こされる爪部31a、31aと、その爪部31a、31aが挿通される透孔32b、32bとが設けられていた。この保持バンド31は、被保持物22の下側に回した両側において、一方側の爪部31a、31aを他方側の透孔31b、31bに挿通し、その後、爪部31a、31aを折り曲げることにより、その両側の重合部が止められるものであった。
【0006】
しかし、この保持バンド31にあっては、湾曲可能な金属板により形成され、爪部31aも容易に切り起こしできるものであったため、爪部31aが折り曲げられて保持バンド31の両端が止められても、その折り曲げられた爪部31aが、元の状態に復帰するよう変形し易く、重合部が、分離する虞があった。ここで、重合部の分離を防止するように、爪部31aの剛性を高めることは、その爪部31aの切り起こしや折り曲げが困難となって、作業性が悪くなるので、望ましくなかった。
【0007】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、被保持物に回されて、その被保持物を簡単に保持することができる、保持材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る保持材は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る保持材は、湾曲可能な平板状の帯状板からなり、配線・配管材等の被保持物に回されて、その被保持物を保持するものである。この保持材は、前記帯状板の長手方向において、厚さ方向に貫通する貫通部が穿設された掛止部と、その掛止部に掛かり止められる被掛止部とを、それぞれ複数有するとともに、前記掛止部と前記被掛止部とが、前記帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列されてなる。ここにおいて、前記貫通部は、幅広貫通部と、その幅広貫通部に連通するようにして、その幅広貫通部の、前記帯状板の長手方向の両側に設けられ、前記帯状板の長手方向に直交する方向となる左右方向の幅が、前記幅広貫通部よりも幅狭な幅狭貫通部とを備える。また、前記被掛止部は、前記左右方向の幅が、前記幅広貫通部よりも幅狭かつ前記幅狭貫通部より幅広であって、前記幅広貫通部に挿通可能な幅広部と、その幅広部に連設されるようにして、その幅広部の、前記帯状板の長手方向の両側に設けられ、前記左右方向の幅が、前記幅広部よりも幅狭かつ前記幅狭貫通部より幅狭な幅狭部とを備える。そして、前記幅広部の、前記帯状板の長手方向の各側に位置して前記幅狭部に繋がる辺は、前記左右方向に延びるようにして形成されている。そこで、前記幅狭部は、前記幅広貫通部に挿入された前記被掛止部の、前記掛止部の面に沿う前記帯状板の長手方向の移動により、前記幅狭貫通部内に進入し、前記幅広部は、前記掛止部に掛かり止められる。こうして、この保持材を用いて被保持物を保持する際には、この保持材を被保持物に回して、その被保持物を保持する。このとき、被掛止部を幅広部から幅狭部に至るまで、掛止部の幅広貫通部に挿通し、次いで、被掛止部を、掛止部の面に沿う、帯状板の長手方向に移動することで、被掛止部の幅狭部を、掛止部の幅狭貫通部内に進入させると、被掛止部の幅広部は、掛止部に、その幅狭貫通部から抜脱不能に掛かり止められる。そして、掛止部と被掛止部とは、帯状板の長手方向において、それぞれ複数設けられており、帯状板を切断して使用する場合に、幅広部の、帯状板の長手方向の両側に設けられる幅狭部のいずれか任意の一方を切断部として、また、他方を、幅狭貫通部内に進入する幅狭部として機能させることができる。しかも、被掛止部の幅狭部を、幅広貫通部の、帯状板の長手方向の両側に設けられる幅狭貫通部のいずれにも進入させることができるので、この保持材の使用に際して、保持材の向きを考慮することなく使用することができる。
【0009】
また、前記掛止部と前記被掛止部とが、前記帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列されているため、この帯状板を、被保持物の大きさ等を考慮の上、適宜長さに切断して使用することができる。ここにおいて、「前記掛止部と前記被掛止部とが、前記帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列され」とは、掛止部と、被掛止部とが、それらの1つずつが、帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列される場合だけでなく、いずれか一方あるいは両方が、2つ以上を単位として、帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列される場合も含むものである。
【0010】
【0011】
また、請求項2に記載の発明に係る保持材は、湾曲可能な平板状の帯状板からなり、配線・配管材等の被保持物に回されて、その被保持物を保持するものである。この保持材は、前記帯状板の長手方向において、厚さ方向に貫通する貫通部が穿設された掛止部と、その掛止部に掛かり止められる被掛止部とを、それぞれ複数有するとともに、前記掛止部と前記被掛止部とが、前記帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列されてなる。ここにおいて、前記貫通部は、幅広貫通部と、その幅広貫通部に連通し、前記帯状板の長手方向に直交する方向となる左右方向の幅が、前記幅広貫通部よりも幅狭な幅狭貫通部とを備える。また、前記被掛止部は、前記左右方向の幅が、前記幅広貫通部よりも幅狭かつ前記幅狭貫通部より幅広であって、前記幅広貫通部に挿通可能な幅広部と、その幅広部に連設され、前記左右方向の幅が、前記幅広部よりも幅狭かつ前記幅狭貫通部より幅狭な幅狭部とを備える。そして、この保持材は、前記貫通部内に、前記幅狭貫通部内に進入した前記幅狭部が前記幅広貫通部内に戻るのを防止する、戻り防止部を備える。そして、前記戻り防止部は、前記幅広貫通部から前記幅狭貫通部に至る途中に、前記幅狭貫通部側ほど前記貫通部の内側に突出するようにして形成されている。そこで、前記幅狭部は、前記幅広貫通部に挿入された前記被掛止部の、前記掛止部の面に沿う前記帯状板の長手方向の移動により、前記戻り防止部を乗り越えて前記幅狭貫通部内に進入し、前記幅広部は、前記掛止部に掛かり止められる。こうして、この保持材を用いて被保持物を保持する際には、この保持材を被保持物に回して、その被保持物を保持する。このとき、被掛止部を幅広部から幅狭部に至るまで、掛止部の幅広貫通部に挿通し、次いで、被掛止部を、掛止部の面に沿う、帯状板の長手方向に移動することで、被掛止部の幅狭部を、掛止部の幅狭貫通部内に進入させると、被掛止部の幅広部は、掛止部に、その幅狭貫通部から抜脱不能に掛かり止められる。そして、このように、被掛止部の幅狭部が、掛止部の幅広貫通部から幅狭貫通部内に進入すると、その進入した幅狭部は、貫通部内に備えられた戻り防止部により、幅広貫通部内に戻るのが防止される。
また、前記掛止部と前記被掛止部とが、前記帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列されているため、この帯状板を、被保持物の大きさ等を考慮の上、適宜長さに切断して使用することができる。ここにおいて、「前記掛止部と前記被掛止部とが、前記帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列され」とは、掛止部と、被掛止部とが、それらの1つずつが、帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列される場合だけでなく、いずれか一方あるいは両方が、2つ以上を単位として、帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列される場合も含むものである。
【0012】
また、請求項3に記載の発明に係る保持材のように、請求項2に記載の保持材であって、前記幅狭部は、前記幅広部の、前記帯状板の長手方向の両側に設けられてもよい。これにより、帯状板を適宜長さに切断して使用する場合に、幅広部の、帯状板の長手方向の両側に設けられる幅狭部のいずれか任意の一方を切断部として、また、他方を、幅狭貫通部内に進入する幅狭部として機能させることができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明に係る保持材のように、請求項3に記載の保持材であって、前記幅狭貫通部は、前記幅広貫通部の、前記帯状板の長手方向の両側に設けられてもよい。これにより、被掛止部の幅狭部を、幅広貫通部の、帯状板の長手方向の両側に設けられる幅狭貫通部のいずれにも進入させることができるので、この保持材の使用に際して、保持材の向きを考慮することなく使用することができる。
【0014】
また、請求項5に記載の発明に係る保持材のように、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の保持材であって、前記幅広部の中央には、前記被保持物を吊り下げるようにして保持するように、取付箇所に取り付けるための取付孔を備えてもよい。これにより、この保持材を、幅広部の中央に備わる取付孔を介して、天井その他の取付箇所に取り付けることで、被保持物を吊り下げるようにして保持することが可能となる。
また、請求項6に記載の発明に係る保持材のようには、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の保持材であって、前記帯状板は、金属板からなっていてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る保持材を、吊り下げ用の保持材に具体化した実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1ないし図4は、本発明に係る保持材の一実施の形態を示す。この保持材1は、例えば、圧延鋼板等の、湾曲可能な帯状板Pからなり、配線・配管材等の被保持物2の下側に回されて、その被保持物2を吊り下げるようにして保持するものである。図2に示すように、この保持材1は、掛止部3と、その掛止部3に掛かり止められる被掛止部4とが、帯状板Pの長手方向に交互に繰り返すように配列されている。このようにして、保持材1は、帯状板Pの長手方向の一の部位に、掛止部3を、他の部位に、被掛止部4を有している。
【0017】
ここで、掛止部3は、この保持材1の幅を形成するようにして、若干横長の矩形形状に形成されて、中央には、厚さ方向に貫通する貫通部3aが穿設されている。この貫通部3aは、中央の、左右方向に延びるスリット状の幅広貫通部3b(左右方向の幅寸法W1)と、その幅広貫通部3bの、帯状板Pの長手方向の両側に、幅広貫通部3bに連通するよう設けられて、幅広貫通部3bよりも、左右方向の幅が幅狭な幅狭貫通部3c、3c(左右方向の幅寸法W2)とを備えている。また、幅広貫通部3bから幅狭貫通部3cに至る途中には、貫通部3aの内側に突出するようにして戻り防止部3d、3dが形成されている。
【0018】
一方、被掛止部4は、幅広部4a(左右方向の幅寸法W3)と、その幅広部4aの、帯状板Pの長手方向の両側に、その幅広部4aに連設されて、その幅広部4aよりも幅狭な幅狭部4b、4b(左右方向の幅寸法W4)とからなっている。幅広部4aは、横長の矩形形状をしており、幅寸法W3が、幅広貫通部3bの幅寸法W1よりも若干小さく形成されており、幅広貫通部3bに挿通可能となっている。さらに、幅広部4aは、幅狭貫通部3cよりも幅広に、つまり、幅広部4aの幅寸法W3が、幅狭貫通部3cの幅寸法W2よりも大きく形成されている。また、幅狭部4bの幅寸法W4は、幅狭貫通部3cの幅寸法W2よりも若干小さく形成されており、幅広貫通部3bに挿入された被掛止部4の、掛止部3の面に沿う帯状板Pの長手方向の移動により、幅狭部4bは、戻り防止部3d、3dを乗り越えて幅狭貫通部3c内に進入可能となっている。こうして、幅狭部4bが幅狭貫通部3c内に進入したとき、幅広部4aが幅狭貫通部3cよりも幅広に形成されているので、幅広部4aは、掛止部3に掛かり止められる。
【0019】
また、幅広部4aの中央には、被保持物2を吊り下げるようにして保持するように、この保持材1を天井その他の取付箇所5に取り付けるための、被取付部としての取付孔1aが穿設されている。この取付孔1aは、小さな丸孔形状をしており、くぎ、ネジ等の取付補助具6をこの取付孔1aに挿通するようにして、取付箇所5にこの保持材1を取り付けることができる。
【0020】
次に、以上の構成からなる保持材1の使用方法を作用効果とともに説明する。初めに、図3に示すように、保持材1の下部側を、ループLを作るように曲げ返し、その曲げ返した先端の被掛止部4を、A方向に移動させることで、幅広部4aから幅狭部4bに至るまで、この保持材1の中間に位置する掛止部3の幅広貫通部3bに挿入する。その後、被掛止部4を、掛止部3の面に沿う、帯状板Pの長手方向(図示実施の形態においては下方向となるB方向)に移動させて、被掛止部4の幅狭部4bを、掛止部3の幅狭貫通部3c内に進入させる。このとき、被掛止部4の幅広部4aは、掛止部3の、幅狭貫通部3cの周縁に、その幅狭貫通部3cから抜脱不能に掛かり止められる。さらに、幅狭貫通部3c内に進入した幅狭部4bは、貫通部3a内の戻り防止部3d、3dにより、幅広貫通部3b内に戻るのが防止される。そして、ループLに、被保持物2が入れられることで、結果的に、この保持材1は、その下部側が被保持物2の下側に回されることとなる(図4参照)。
【0021】
また、保持材1の上端は、図1に示すように、くぎ、ネジ等の取付補助具6を保持材1の取付孔1aに挿通するようにして、天井等に渡された横木7の取付箇所5に打ち込む、あるいはねじ込む等により、その横木7に取り付けられる。
【0022】
このようにして、この保持材1によれば、被掛止部4を、掛止部3の幅広貫通部3bに挿入し、次いで、被掛止部4の幅狭部4bが幅狭貫通部3c内に進入するように移動させるだけで、被掛止部4は、掛止部3に掛かり止められるので、被保持物2を簡単に保持することができる。また、このとき、戻り防止部3d、3dにより、被掛止部4は、幅広貫通部3b側に戻るのが防止されて、被掛止部4は、掛止部3に確実に掛かり止められるので、被保持物2を確実に保持することができる。
【0023】
また、この保持材1の掛止部3と被掛止部4とは、帯状板Pの長手方向に交互に繰り返すように配列されているので、この帯状板Pを、被保持物2の大きさ等を考慮の上、適宜長さに切断して使用することができる。
【0024】
また、この保持材1の幅狭部4bは、幅広部4aの、帯状板Pの長手方向の両側に設けられているので、帯状板Pを適宜長さに切断して使用する場合に、幅広部4aの、帯状板Pの長手方向の両側に設けられる幅狭部4b、4bのいずれか任意の一方を切断部として、また、他方を、幅狭貫通部3c内に進入する本来の幅狭部として機能させることができる。
【0025】
また、この保持材1の幅狭貫通部3cは、幅広貫通部3bの、帯状板Pの長手方向の両側に設けられているので、被掛止部4の幅狭部4bを、幅広貫通部3bの、帯状板Pの長手方向の両側に設けられる幅狭貫通部3c、3cのいずれにも進入させることができ、この保持材1の使用に際して、保持材1の上下の向きを考慮することなく使用することができる。
【0026】
また、保持材1の上端を、取付孔1aを介して、天井等にわたされた横木7の取付箇所5に取り付けることで、被保持物2を吊り下げるようにして保持することができる。
【0027】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、保持材1を取付箇所5に取り付けるにあたって、取付孔1aを使用するのではなく、図5に示すように、保持材1の上部側を、天井等にわたされた形鋼8の取付箇所5に回すようにして、その先端を、下部側の先端と同様にして止めて、被取付部としてのループL1を形成することで、取付箇所5に取り付けてもよい。
【0028】
また、保持材1の、取付箇所5への取り付けは、図6に示すように、天井等に固定された吊り具9の平板状の取付箇所5に穿設された貫通部9aに、保持材1の上部側の先端の被掛止部4を挿入するようにして、取り付けてもよい。こうして、保持材1の上部側の先端の被掛止部4を、この保持材1を取付箇所5に取り付けるための被取付部Mとして機能させることができる。ここで、吊り具9の貫通部9aは、保持材1の幅広貫通部3bと同一形状の幅広貫通部9bと、その幅広貫通部9bの下側に位置し、幅広貫通部9bに連通する、保持材1の幅狭貫通部3cと同一形状の幅狭貫通部9cとを備えており、それらの途中には、保持材1の戻り防止部3dと同一形状の戻り防止部9dが形成されている。こうして、保持材1の上部側の先端の被掛止部4は、下部側の先端の被掛止部4が掛止部3に掛かり止められるのと同様の方法、つまり、被掛止部4を、吊り具9の幅広貫通部9bに挿入し、その後、下方に移動することで、被取付部Mとなる被掛止部4は、取付箇所5に掛かり止められる。
【0029】
また、この保持材1を用いて被保持物2を保持する方法は、前述の方法に限定されるわけでわなく、例えば、保持材1の、被保持物2の下側を回した両端を、天井等にわたされた複数の形鋼8、8の各取付箇所5、5に、それぞれ、図5に示す保持材1の上部側のように、回すようにして取り付けることで、被保持物2を吊下げ保持してもよい。
【0030】
また、この保持材1を取り付ける取付箇所5は、天井でなくとも、壁あるいは床等であってもよく、また、この保持材1は、取付箇所5に取り付けられることなく、例えば、複数本の被保持物2、2に回されてそれら被保持物2、2を単に束ねるようにして保持するものであってもよい。
【0031】
また、掛止部3や被掛止部4の形状は、上述の実施の形態に限定されず、図7に示す保持材10のように、掛止部3の幅狭貫通部3cが、その中央に、左右方向に延びるスリット状に形成されて、幅広貫通部3bが、幅狭貫通部3cと中央で交差する斜め方向に延びるスリット状に形成されてもよい。そして、幅狭貫通部3cと幅広貫通部3bとは、幅狭貫通部3cの幅寸法W2を直径とする扇形状部10a、10aを介して連通している。この保持材10においては、被掛止部4の幅広部4aは、掛止部3でもって兼用され、被掛止部4の幅狭部4bは、帯状板Pの長手方向に並ぶ掛止部3、3(つまり、幅広部4a、4a)をつなぐように配置されている。こうして、この保持材10においては、掛止部3と被掛止部4の幅広部4aとが重複するようにして、それら掛止部3と、被掛止部4とが、帯状板Pの長手方向に交互に繰り返すように配列される。そして、この保持材10を使用するにあたっては、曲げ返した下部側の先端の被掛止部4を、この保持材10の中間に位置する掛止部3の幅広貫通部3bに合うようにねじって、その幅広貫通部3bに、幅広部4aから幅狭部4bに至るまで挿入する。その後、被掛止部4のねじりを戻すように、その被掛止部4を、掛止部3の面に沿う方向として、掛止部3の面に直交するその掛止部3の中心を通る軸を中心に回転する方向に回転移動させて、被掛止部4の幅狭部4bを、掛止部3の幅狭貫通部3c内に進入させる。こうして、被掛止部4の幅広部4aは、掛止部3の、幅狭貫通部3cの周縁に、その幅狭貫通部3cから抜脱不能に掛かり止められる。
【0032】
また、掛止部3と、被掛止部4とは、それらの1つずつが、帯状板Pの長手方向に交互に繰り返すように配列されなくとも、いずれか一方あるいは両方が、2つ以上を単位として、帯状板Pの長手方向に交互に繰り返すように配列されてもよい。さらに、掛止部3と、被掛止部4とは、帯状板Pの長手方向に交互に繰り返すように配列されなくとも、掛止部3が、帯状板Pの長手方向の一の部位に、そして、被掛止部4が、他の部位にあれば、掛止部3と被掛止部4は、各々1つであってもよい。
【0033】
また、保持材1は、圧延鋼板の他に、銅板その他の金属板や合成樹脂板を、プレス加工することにより製造されてもよく、また、合成樹脂材料を樹脂成形することにより製造されてもよい。
【0034】
また、被保持物2は、配線・配管材の他に、各種のダクト類であってもよく、また、それらの断面形状は、円形、矩形、その他の形状であっても構わない。
【0035】
【発明の効果】
以上、詳述したところから明らかなように、この発明に係る保持材によれば、次の効果がある。
【0036】
請求項1に記載された保持材によれば、被掛止部を幅広部から幅狭部に至るまで、掛止部の幅広貫通部に挿通し、次いで、被掛止部の幅狭部を、掛止部の幅狭貫通部内に進入させることで、被掛止部の幅広部は、掛止部に掛かり止められるので、被保持物を簡単に保持することができる。そして、掛止部と被掛止部とは、帯状板の長手方向において、それぞれ複数設けられており、帯状板を切断して使用する場合に、幅広部の両側に設けられる幅狭部のいずれか任意の一方を切断部として、また、他方を、幅狭貫通部内に進入する幅狭部として機能させることができる。しかも、被掛止部の幅狭部を、幅広貫通部の両側に設けられる幅狭貫通部のいずれにも進入させることができるので、この保持材の使用に際して、保持材の向きを考慮することなく使用することができる。
【0037】
また、掛止部と被掛止部とが、帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列されているため、この帯状板を、被保持物の大きさ等を考慮の上、適宜長さに切断して使用することができる。
【0038】
【0039】
また、請求項2に記載された保持材によれば、被掛止部を幅広部から幅狭部に至るまで、掛止部の幅広貫通部に挿通し、次いで、被掛止部の幅狭部を、掛止部の幅狭貫通部内に進入させることで、被掛止部の幅広部は、掛止部に掛かり止められるので、被保持物を簡単に保持することができる。そして、このとき、被掛止部の幅狭部が、戻り防止部により、掛止部の幅広貫通部内に戻るのが防止されて、被掛止部は、掛止部に確実に掛かり止められるので、被保持物を確実に保持することができる。
また、掛止部と被掛止部とが、帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列されているため、この帯状板を、被保持物の大きさ等を考慮の上、適宜長さに切断して使用することができる。
【0040】
また、請求項3に記載された保持材によれば、請求項2の効果に加えて、帯状板を適宜長さに切断して使用する場合に、幅広部の両側に設けられる幅狭部のいずれか任意の一方を切断部として、また、他方を、幅狭貫通部内に進入する幅狭部として機能させることができる。
【0041】
また、請求項4に記載された保持材によれば、請求項3の効果に加えて、被掛止部の幅狭部を、幅広貫通部の両側に設けられる幅狭貫通部のいずれにも進入させることができるので、この保持材の使用に際して、保持材の向きを考慮することなく使用することができる。
【0042】
また、請求項5に記載された保持材によれば、請求項1ないし4のいずれか1項の効果に加えて、この保持材を、幅広部の中央に備わる取付孔を介して、取付箇所に取り付けることで、被保持物を吊り下げるようにして保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る保持材の一実施の形態の、斜視図である。
【図2】 同じく、保持材の一部省略拡大正面図である。
【図3】 同じく、保持材の下部側を曲げ返した状態の、拡大斜視図である。
【図4】 同じく、保持材の被掛止部を貫通部に挿通した状態の、拡大斜視図である。
【図5】 この発明に係る保持材の他の実施の形態の、斜視図である。
【図6】 この発明に係る保持材のさらに他の実施の形態の、部分拡大斜視図である。
【図7】 この発明に係る保持材のさらに他の実施の形態の、保持材の一部省略拡大正面図である。
【図8】 従来の、保持バンドを示す斜視図である。
【図9】 従来の、他の保持バンドを示す斜視図である。
【符号の説明】
1 保持材 1a 取付孔(被取付部)
2 被保持物 3 掛止部
3a 貫通部 3b 幅広貫通部
3c 幅狭貫通部 3d 戻り防止部
4 被掛止部 4a 幅広部
4b 幅狭部 5 取付箇所
10 保持材 P 帯状板
Claims (6)
- 湾曲可能な平板状の帯状板からなり、配線・配管材等の被保持物に回されて、その被保持物を保持する保持材であって、
前記帯状板の長手方向において、厚さ方向に貫通する貫通部が穿設された掛止部と、その掛止部に掛かり止められる被掛止部とを、それぞれ複数有するとともに、前記掛止部と前記被掛止部とが、前記帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列されてなり、
前記貫通部は、幅広貫通部と、その幅広貫通部に連通するようにして、その幅広貫通部の、前記帯状板の長手方向の両側に設けられ、前記帯状板の長手方向に直交する方向となる左右方向の幅が、前記幅広貫通部よりも幅狭な幅狭貫通部とを備え、また、
前記被掛止部は、前記左右方向の幅が、前記幅広貫通部よりも幅狭かつ前記幅狭貫通部より幅広であって、前記幅広貫通部に挿通可能な幅広部と、その幅広部に連設されるようにして、その幅広部の、前記帯状板の長手方向の両側に設けられ、前記左右方向の幅が、前記幅広部よりも幅狭かつ前記幅狭貫通部より幅狭な幅狭部とを備え、
前記幅広部の、前記帯状板の長手方向の各側に位置して前記幅狭部に繋がる辺は、前記左右方向に延びるようにして形成されており、
前記幅狭部は、前記幅広貫通部に挿入された前記被掛止部の、前記掛止部の面に沿う前記帯状板の長手方向の移動により、前記幅狭貫通部内に進入し、前記幅広部は、前記掛止部に掛かり止められることを特徴とする保持材。 - 湾曲可能な平板状の帯状板からなり、配線・配管材等の被保持物に回されて、その被保持物を保持する保持材であって、
前記帯状板の長手方向において、厚さ方向に貫通する貫通部が穿設された掛止部と、その掛止部に掛かり止められる被掛止部とを、それぞれ複数有するとともに、前記掛止部と前記被掛止部とが、前記帯状板の長手方向に交互に繰り返すように配列されてなり、
前記貫通部は、幅広貫通部と、その幅広貫通部に連通し、前記帯状板の長手方向に直交する方向となる左右方向の幅が、前記幅広貫通部よりも幅狭な幅狭貫通部とを備え、また、
前記被掛止部は、前記左右方向の幅が、前記幅広貫通部よりも幅狭かつ前記幅狭貫通部より幅広であって、前記幅広貫通部に挿通可能な幅広部と、その幅広部に連設され、前記左右方向の幅が、前記幅広部よりも幅狭かつ前記幅狭貫通部より幅狭な幅狭部とを備え、
前記貫通部内に、前記幅狭貫通部内に進入した前記幅狭部が前記幅広貫通部内に戻るのを防止する、戻り防止部を備え、
前記戻り防止部は、前記幅広貫通部から前記幅狭貫通部に至る途中に、前記幅狭貫通部側ほど前記貫通部の内側に突出するようにして形成されており、
前記幅狭部は、前記幅広貫通部に挿入された前記被掛止部の、前記掛止部の面に沿う前記帯状板の長手方向の移動により、前記戻り防止部を乗り越えて前記幅狭貫通部内に進入し、前記幅広部は、前記掛止部に掛かり止められることを特徴とする保持材。 - 請求項2に記載の保持材であって、
前記幅狭部は、前記幅広部の、前記帯状板の長手方向の両側に設けられることを特徴とする保持材。 - 請求項3に記載の保持材であって、
前記幅狭貫通部は、前記幅広貫通部の、前記帯状板の長手方向の両側に設けられることを特徴とする保持材。 - 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の保持材であって、
前記幅広部の中央には、前記被保持物を吊り下げるようにして保持するように、取付箇所に取り付けるための取付孔を備えることを特徴とする保持材。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の保持材であって、前記帯状板は、金属板からなることを特徴とする保持材。
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