JP3673439B2 - 伸縮目地材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築物の屋上、駐車場の床面等の保護コンクリート層に埋設し、コンクリートの伸縮によって亀裂が発生するのを防止する伸縮目地材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、屋上や駐車場等に保護コンクリート層を形成するには、スラブコンクリートの上面に防水層を設け、該防水層の上面にコンクリートを打設して行っているが、日射や季節の変化に伴う温度変化により、コンクリートに膨張、収縮による亀裂が無数に発生するので、亀裂の発生を防止するために伸縮目地材を適当な間隔でマス目状に埋設しなければならない。そこで、従来の伸縮目地材は、例えば、発泡合成樹脂や軟質ゴム等で成形した長尺な弾性を有する芯材をスラブの上面に配置し、この弾性材の上部に、硬質または半硬質の合成樹脂、ゴム等で成形したキャップ材を被着した構成であり、各保護コンクリート層を一定幅で確実に断絶させることができるので、伸縮に伴う亀裂の発生を防止することをある程度可能にするものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の伸縮目地材において、芯材は単一の材質で弾性があり、若しくは硬質であるために、充分な伸縮性に対応することができない。例えば、夏季の日照時にはコンクリート面が60〜80℃程度にまで上昇するが、冬季の厳冬時には−10〜−30℃程度まで温度低下するので、100℃程度の温度差が発生し、この温度差分だけコンクリートが大きく伸縮することになり、目地材に大きな側圧が作用する。したがって、前記従来の目地材では、コンクリートが夏季に膨張して大きな側圧が作用し、圧縮されて破損したり、キャップがひび割れしたり外れることがある。また冬季には収縮するので、コンクリートと目地材との間に大きな空隙が発生して雨水や塵埃が流入し、下地面の下方に水漏れが発生したり、コンクリートと目地材とが剥離して目地材としての機能が喪失する。本発明は上記に鑑み提案されたもので、芯材を複合の材質を使用することにより、特に季節変化や昼夜の大きな温度変化に基づくコンクリートの伸縮に充分に耐えることができる伸縮目地材を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明は、芯材の上端にキャップ部材を被着して構成した伸縮目地材において、前記芯材は、硬質部分と軟質部分とを重合して構成されるとともに、前記硬質部分がU字状で前記軟質部分がU字状の内部に収納され、前記硬質部分の下端に外部方向に延在し下面に空部を形成する脚片を設けてなることを特徴とする伸縮目地材である。
【0005】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の実施の形態を説明する前に図面に示す参考例の形態について説明する。屋上や駐車場等の保護コンクリート層の基礎となるスラブコンクリートの上面には、防水層等が適宜に形成され、これらスラブコンクリートと防水層とからなる下地面(図示せず)の上に、伸縮目地材1を配設する。
【0006】
伸縮目地材1は、芯材2と、この芯材2の上端部に被着するキャップ部材3とが基本的構成で、必要であれば前記キャップ部材3を芯材2の上部に強固に保持するための留め具4を使用する。また、現場でモルタルを使用しない乾式工法の場合には、芯材2の下端に被着して下地面に支持する台座部材5を使用することもあり、モルタルを用いて芯材2を下地面に固定する湿式工法の場合には前記台座部材5をほとんど使用しない。
【0007】
前記台座部材5は、目地方向に芯材2を受け入れる嵌合溝51を有する逆T字状で、例えばスチロール等の合成樹脂、木材、或いはアルミニウム等の金属材など、適宜な材質により成形する。前記台座部材5は、ほとんどの場合長尺材であるが、短尺材を適宜の間隔で並列して構成してもよい。
【0008】
前記芯材2は、目地間隔となる厚さ、例えば20,25,30,40mm等、適宜な厚さと、保護コンクリート層の厚さに対応する高さとを有する縦板状の長尺部材で、硬質部分21と軟質部分22とを重合した構成である。前記硬質部分21は、金属や木材、塩化ビニールなどのようにきわめて硬質な素材ではなく、ある程度の屈曲性や弾力性を有する発泡硬質樹脂やゴム質で成形する。
【0009】
図1,2の参考例の形態によれば、前記芯材2の硬質部分21は縦断面がU字状の長尺材で、例えば発泡スチロール、その他の硬質樹脂、若しくは硬質ゴム材などで成形し、耐圧性、耐水性、その他コンクリート内部に埋設される場合に充分に耐えられる機能を備える。そして前記軟質部分22は、硬質部分21のU字状内部に充満状に収納する薄い板状の長尺材で、発泡ウレタン、その他の軟質樹脂や軟質ゴム材により成形する。したがって、硬質部分21のU字状内部に軟質部分22に収納し、接着剤またはボルトとナット、若しくはピンなどの止着手段で一体化することにより、芯材2を構成することができる。しかし、図1,2において、軟質部分22をU字状にし、硬質部分1をU字状内部に収納して一体化することにより芯材2を構成することもできる。
【0010】
上記した芯材2の上端部分23には、当該芯材2の上端部分23を保護すると共にコンクリートとの定着を良好にして伸縮目地材1とコンクリートとの間に隙間が生じないように、キャップ部材3を被着する。
【0011】
このキャップ部材3は、天板部31の両側縁31’から若干内側に入った位置において側壁部32が垂下する下向きコ字状で、更に図示の実施形態では、各側壁部32の下縁に断面U字状の係止部33が外向きに設けてある。そして天板部31の両側縁31’を若干上方に湾曲状に突出させているため、コンクリートの打設時にコテ切りが良好になっている。
【0012】
上記キャップ部材3は、ポリプロピレンや合成ゴム等のある程度硬質で、弾力性のある素材により成形することができる。また、硬質塩化ビニルによりキャップ部材の下向きコ字状の基枠体を成形し、この基枠体の上面に高分子合成ゴムのテープ材を添設すると共に、側壁部32に非硫化ブチルゴムのテープ材を貼設して構成してもよい。したがって、用途に応じて形状及び材質を適宜に選択決定することができる。
【0013】
そして、上記したキャップ部材3を、留め具4によって芯材2に保持する。即ち、前記留め具4は短尺材で、上記キャップ部材3の係止部33に係止するように内向きに延出する係止縁41を、基板部42の上縁に備えている。また、基板部42の内側面には、複数の、図示の実施形態では、3本の釘状部43が突設してあり、この釘状部43を芯材2に打ち込んで固定するようになっている。
【0014】
更に、図示の参考例の形態においては、釘状部43の基端部分の下側に、キャップ部材3の係止部33の厚みに相当する間隔保持部44を設けている。即ち、この間隔保持部44の端面が芯材2の外側面に当接することで、係止部33が存在していても、基板部42を芯材2と平行に保ち、押えコンクリートの側圧が加わっても、留め具4が斜めになったり外れないような構成にしている。また、この間隔保持部44は、釘状部43の補強リブとしても機能する。更に、各釘状部43の先端付近には、抜け止めのリング状部45が複数形成してある。尚、上記のような留め具4は、合成樹脂によって、適宜に成形できる。
【0015】
上記のような伸縮目地材1の施工法を簡単に説明すると、現場でモルタルを使用しない乾式工法においては、下地面の目地材設置位置に墨出しをする。次に、台座部材4の底面部に添設しておいた両面テープ(図示せず)の剥離紙を剥がし、墨に合わせて下地面に固定する。
【0016】
上記のようにして固定した台座部材5の嵌合溝51に、芯材2を上から嵌入させ、この芯材2の上端部分23にキャップ部材3を被着する。そして、キャップ部材3の係止部33に留め具4の係止縁41を係止させながら、釘状部43を芯材2の側面に打ち込んで固定する。尚、キャップ部材3を被着して留め具4で固定した状態の芯材2を台座部材5の嵌合溝51に嵌入させるようにしてもよい。また、キャップ部材3を芯材2に被着する深さを変えることで、目地材の全体の高さを調整可能である。
【0017】
上記のようにして下地面上に目地材1を固定したら、下地面上にコンクリートを打設して屋上面、駐車場面などの保護コンクリート面を施工する。そして、キャップ部材3を固定した本発明の目地材によれば、当該目地材の敷設作業中や保護コンクリートの打設中、或いは施工後の保護コンクリートの側圧によってキャップ部材3が外れることがないし、季節の変化や昼夜の温度変化による保護コンクリートの伸縮にも充分に追従することができる。
【0018】
特に、硬質部分21と軟質部分22とを重合して芯材2を構成してあるので、硬質部分21が保護コンクリートの圧力を受け、軟質部分22が圧力変化に追従するので、伸縮機能がきわめて良好であって、コンクリートの大きな伸縮に耐えることができるし、硬質部分21によって目地材の形状を維持することができる。
【0019】
なお、現場でモルタルを使用する湿式工法の場合、前記台座部材5を使用しないで下地面に墨出しした線上に沿って、キャップ部材3を被着して留め具4で保持した芯材2を載置し、芯材2の左右側面に適宜の間隔でモルタルを塊状にあてがって前記芯材2を固定する。そして、設計通りに芯材を固定したら、下地面上にコンクリートを打設して保護コンクリート層を施工する。
【0020】
図3に示す参考例の形態は、芯材2の構成において、薄板状の硬質部分21と軟質部分22とを重合して接着剤、ビスなどの止着手段(図示せず)で一体状に固定した構成であり、また図4に示す参考例の形態は、薄板状の2枚の硬質部分21の間に薄板状の軟質部分22をサンドイッチ状に重合して接着剤などの止着手段で一体に固定した構成である。これらの実施の形態によれば、何れも簡単な構成により芯材2を形成することができ、特に軟質部分22によって保護コンクリートの伸縮に確実に追従することができるものである。なお、上記各実施の形態においても、上端にキャップ部材を被着するし、湿式工法の場合にはそのままで使用し、乾式工法の場合には台座部材を使用するものである。
【0021】
図5に示す参考例の形態は、芯材2の硬質部分21が縦断面U字状であって前記図1,2の実施の形態と同様にU字状内部に硬質部分22が充満状に収納されているが、前記硬質部分21の下端に、左右に水平に延在する板状の脚片6を一体に設けた構成の目地材で、前記各実施の形態と同様に、上端にキャップ部材を被着する。このような構成であれば、乾式工法においては、下地面上に直接目地材を載置してコンクリートを打設することができるので、台座部材を別個に使用する必要がない。また、湿式工法においては、塊状のモルタルを脚片6の上面と硬質部分21の外面とにまたがって下地面上に付着することができるので、施工時に目地材を確実に保持することができ、コンクリート打設時にずれ動くことがない。
【0022】
図6に示す本発明の実施の形態は、図5の参考例の形態において、脚片6の下面に浅い空部7を形成した構成で、その他の構成は前記各参考例の形態と同様に、キャップを使用して乾式工法に、若しくは湿式工法において使用することができる。このような構成であれば、コンクリートの施工時、施工後において、下地表面との間に前記空部7に基づく緩衝機能が生じるので、目地材に側圧が作用した場合に、不陸を調整することができる。
【0023】
以上本発明を図示した実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限りどのようにでも実施できる。例えば、芯材及びキャップ部材の形状や材質は適宜に選択できる。
【0024】
【発明の効果】
以上要するに、本発明は芯材の上端にキャップ部材を被着して構成した伸縮目地材において、前記芯材は、硬質部分と軟質部分とを重合して構成されるとともに、前記硬質部分がU字状で前記軟質部分がU字状の内部に収納され、前記硬質部分の下端に外部方向に延在し下面に空部を形成する脚片を設けてなることを特徴とするものである。
【0025】
したがって、芯材を構成する硬質部分と軟質部分とが相俟って、コンクリートから作用する側圧を受け止めることができ、特に季節の変化や昼夜の極端な温度変化によるコンクリートの伸縮が発生しても、軟質部分がこの伸縮作用に追従することができ、また硬質部分が全体の形状を保持するので、破損したり潰れることがなく、目地材としての機能を損なうことがない。また、コンクリートによる側圧を受けても変形し難いので、上端に被着するキャップ部材が外れたり割れることなく、またコンクリートの収縮時であっても軟質部分が膨らむのでコンクリートと目地材との間にほとんど隙間が発生しないため、雨水が流入したり塵埃が入り込むことがなく、構造が簡単で実用的価値が著しく高い目地材を提供することができる。また、コンクリートの施工時、施工後において、下地表面との間に硬質部分の下端の下面に設けた空部に基づく緩衝機能が生じるので、目地材に側圧が作用した場合に、不陸を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例の形態に係る伸縮目地材の一部の斜視図である。
【図2】 図1における縦断面図である。
【図3】 参考例の形態を示す要部の縦断面図である。
【図4】 参考例の形態を示す要部の縦断面図である。
【図5】 参考例の形態を示す一部の縦断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態を示す要部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 伸縮目地材
2 芯材
3 キャップ部材
4 留め具
5 台座部材
6 脚片
7 空部
21 硬質部分
22 軟質部分
23 上端部分
31 天板部
31’ 側縁
32 側壁部
33 係止部
34 リブ
41 係止縁
42 基板部
43 釘状部
44 間隔保持部
45 リング状部
51 嵌合溝

Claims (1)

  1. 芯材の上端にキャップ部材を被着して構成した伸縮目地材において、前記芯材は、硬質部分と軟質部分とを重合して構成されるとともに、前記硬質部分がU字状で前記軟質部分がU字状の内部に収納され、前記硬質部分の下端に外部方向に延在し下面に空部を形成する脚片を設けてなることを特徴とする伸縮目地材。
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